○特定病原体等の運搬に係る容器等に関する基準
(平成十九年六月一日)
(厚生労働省告示第二百九号)
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則(平成十年厚生省令第九十九号)第三十一条の三十六第一項第二号ホ及び第四号の規定に基づき、特定病原体等の運搬に係る容器等に関する基準を次のように定め、平成十九年六月一日から適用する。
特定病原体等の運搬に係る容器等に関する基準
第1 通則
特定病原体等の運搬(船舶又は航空機による運搬を除く。以下同じ。)に係る容器、標識その他特定病原体等の運搬に関する基準は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則(平成10年厚生省令第99号)第31条の36に定めるもののほか、第2から第4に定めるとおりとする。
第2 容器及び包装
1 特定病原体等を収納した容器及び包装は、次に定めるものでなければならない。
(1) 第一次容器又は第二次容器は、適切な方法で密閉され、耐水性で、かつ、95キロパスカル以上の内部ゲージ圧力差及び零下40度から摂氏55度までの温度変化に漏えいなく耐えるものに限ること。
(2) 液状の物質を入れる場合に使用する吸収材又は緩衝材は、当該液状物質を全量吸収することができる量とすること。2個以上の第一次容器が1個の第二次容器に収納される場合には、第一次容器間の接触がないように、個々に包装し、又は分離して包装すること。
(3) 外装容器は、適切な強度を有する頑丈な直方体のもので、少なくともその一面は各辺10センチメートル以上とすること。
(4) 特定病原体等と他の物(当該特定病原体等の運搬をするために必要なものを除く。)を同一の外装容器に収納してはならないこと。
(5) 環境温度又はそれ以上の温度下での運搬にあっては、第一次容器は、ガラス、金属又はプラスチック製であること。
(6) 冷蔵又は冷凍による運搬にあっては、外装容器内に氷又はドライアイスを入れる場合には、氷が溶け出し、又はドライアイスが気化し出した後、その原位置に第二次容器を保持するための内部支持物を設け、かつ、氷を入れる場合にあっては漏水防止性の外装容器を、ドライアイスを使用する場合にあっては気化するガスの放散のための適当な手段を講じた外装容器を用いること。
(7) 液体窒素中での運搬にあっては、第一次容器がプラスチック製であり、かつ、第一次容器及び第二次容器が液体窒素の温度に耐えるものであること。
(8) 凍結乾燥物質の場合にあっては、第一次容器は、火炎で封印されたガラスアンプル又はゴム栓を施した金属製シール付きのガラス製小瓶とすることができること。
(9) 外装容器内に内容物の項目リストを封入すること。
2 特定病原体等を収納した容器及び包装は、次に掲げる条件に適合するものでなければならない。
(1) 内装容器(第一次容器、第二次容器及びこれらに付随するものであって特定病原体等を運搬するために必要なものの総体をいう。以下同じ。)に、収納する特定病原体等に代えて水又は水と不凍液を混合したものをその容量の98パーセント以上充てんした状態で、当該内装容器及び外装容器を、次の表に定める容器の材質に応じた各条件の下に置いた後速やかに9メートルの高さから硬く滑らかな水平面に最大の破損を及ぼすように落下させた場合に、容器又は包装に、漏えい又は運搬の安全性を損なうおそれのある損傷がないこと。
内装容器の材料 |
外装容器の材料 |
条件 |
プラスチック |
プラスチック |
条件1 |
プラスチック |
ファイバ板(段ボール) |
条件1及び2 |
プラスチック |
その他のもの |
条件1 |
その他のもの |
プラスチック |
条件1 |
その他のもの |
ファイバ板(段ボール) |
条件2 |
備考 イ この表において「条件1」とは、包装物(特定病原体等並びにその容器及び包装の総体をいう。以下同じ。)を温度が零下18度以下の環境に24時間(同時にドライアイスを収納する場合にあっては、4時間又はドライアイスがすべて気化するまでのいずれか長い時間)以上置くことをいう。 ロ この表において「条件2」とは、包装物を少なくとも1時間当たり水量約50ミリメートルの降水にさらすことをいう。 |
(2) 内装容器に、収納する特定病原体等に代えて水又は水と不凍液を混合したものをその容量の98パーセント以上充てんした状態で、包装物を、次に定めるその総質量に応じた各条件の下に置いた場合に、容器又は包装に、漏えい又は運搬の安全性を損なうおそれのある損傷がないこと。
イ 総質量が7キログラム以下のものにあっては、質量が7キログラムであり、直径が3.8センチメートル以下の鋼鉄丸棒であって、その先端の半径が0.6センチメートル以下のものを1メートルの高さから当該包装物に対して最大の損傷を及ぼすように落下させ、及び衝突させること。
ロ 総質量が7キログラムを超えるものにあっては、硬質の水平面に垂直に固定した鋼鉄丸捧であって、直径が3.8センチメートル、長さが20センチメートルであり、その上端の半径が0.6センチメートル以下のものに、1メートルの高さから当該包装物に対して最大の損傷を及ぼすように落下させ、及び衝突させること。
(3) 包装物の表面には、様式第1の表示を容易に消えない方法で付さなければならない。
3 1の(3)、(4)、(6)及び(9)並びに2の規定は、事業所内において行う運搬については、適用しない。
第3 標識
1 包装物の表面には、様式第2による標識を見やすいように付さなければならない。
2 液状の特定病原体等を入れた内装容器を外装容器に収納する場合は、1に規定する標識のほか、様式第3による標識を包装物の相対する二側面に見やすいように付さなければならない。
第4 表示等
1 事業所の外において特定病原体等の運搬をする場合は、包装物の表面には、次に掲げる事項を見やすいように表示しなければならない。
(1) 荷送人の氏名又は名称及び住所
(2) 荷受人の氏名又は名称及び住所
(3) 責任者の氏名又は名称及び電話番号
(4) 「病毒を移しやすい物質(人体に対し伝染性があるもの)」及び「UN2814」の文字
2 事業所の外において特定病原体等の運搬をする場合は、当該特定病原体等を運搬する者は、1の(1)から(4)までに掲げる事項その他参考となる事項を荷送人が記載した書類を携行しなければならない。
3 事業所の外において特定病原体等の運搬をする場合は、次に掲げる措置を講じなければならない。
(1) 当該特定病原体等を運搬する者は、特定病原体等の取扱方法、事故が発生した場合の措置その他の運搬に関し留意すべき事項を記載した書類を携行すること。
(2) 当該特定病原体等を運搬する者は、事故が発生した場合に必要な有効塩素濃度0.1パーセント以上の次亜塩素酸ナトリウム水又はこれと同等以上の効果を有する薬剤等を携行すること。
4 2及び3の規定は、四種病原体等の運搬については、適用しない。
様式第1(第2関係)
様式第2(第3関係)
様式第3(第3関係)