添付一覧
(9) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素0.05%)
次亜塩素酸ナトリウム溶液を一定量採り、精製水を加えて20×C(Cは有効塩素濃度%)倍に薄めたもの
この溶液は、使用の都度調製する。
(10) クロラミンT溶液(1.25w/v%)
クロラミンT〔p―トルエンスルホンクロロアミドナトリウム(3水塩)〕0.125gを精製水に溶かして10mlとしたもの
この溶液は、使用の都度調製する。
(11) 水酸化ナトリウム溶液(4w/v%)
(12) アセトン
測定対象成分を含まないもの
(13) p―ジメチルアミノベンジリデンローダニン溶液
p―ジメチルアミノベンジリデンローダニン〔5―(4―ジメチルアミノベンジリデン)―2―チオキソ―4―チアゾリジノン〕0.02gをアセトンに溶かして100mlとしたもの
(14) 塩化ナトリウム溶液(0.1mol/L)
塩化ナトリウム5.844gを精製水に溶かして1Lとしたもの
(15) 硝酸銀溶液(5w/v%)
(16) クロム酸カリウム溶液
クロム酸カリウム50gを精製水200mlに溶かし、わずかに赤褐色の沈澱が生じるまで硝酸銀溶液(5w/v%)を加え、ろ過した溶液に精製水を加えて1Lとしたもの
(17) 硝酸銀溶液(0.1mol/L)
硝酸銀17gを精製水に溶かして1Lとしたもの
この溶液は、褐色瓶に入れて冷暗所に保存する。
なお、次の操作により硝酸銀溶液(0.1mol/L)のファクター(f)を求める。
塩化ナトリウム溶液(0.1mol/L)25mlを白磁皿に採り、クロム酸カリウム溶液約0.2mlを指示薬として加え、硝酸銀溶液(0.1mol/L)を用いて淡黄褐色が消えずに残るまで滴定する。別に、同様に操作して精製水について試験を行い、補正した硝酸銀溶液(0.1mol/L)のml数aから次式によりファクターを算定する。
ファクター(f)=25/a
(18) 亜硫酸水素ナトリウム溶液(1w/v%)
(19) シアン化物イオン標準原液
シアン化カリウム0.502gを精製水に溶かして200mlとしたもの
なお、標準液の調製の都度、次に定める方法により、その含有するシアン化物イオンの濃度を測定する。
この溶液100mlを採り、水酸化ナトリウム溶液(4w/v%)0.5mlを加えた後、p―ジメチルアミノベンジリデンローダニン溶液0.5mlを指示薬として加え、硝酸銀溶液(0.1mol/L)を用いて液が赤色を呈するまで滴定し、これに要した硝酸銀溶液(0.1mol/L)のml数bから、次式により溶液に含まれるシアン化物イオンの濃度(mg/ml)を算定する。
シアン化物イオン(mg/ml)=5.204×b×f/100
この式において、fは硝酸銀溶液(0.1mol/L)のファクターを表す。
この溶液は、褐色瓶に入れて冷暗所に保存する。
(20) シアン化物イオン標準液(10mg/L)
シアン化物イオンとして0.5mgに相当するシアン化物イオン標準原液に精製水を加えて50mlとしたもの
なお、この溶液は冷却が必要であり、試薬調製時に液温が上がらないように注意する。
この溶液1mlは、シアン化物イオン0.01mgを含む。
この溶液は、使用の都度調製する。
(21) シアン化物イオン標準液(0.2mg/L)
シアン化物イオン標準液(10mg/L)1mlにリン酸緩衝液(1mol/L)0.5mlを加え、更に精製水を加えて50mlとしたもの
なお、この溶液は冷却が必要であり、試薬調製時に液温が上がらないように注意する。
この溶液1mlは、シアン化物イオン0.0002mgを含む。
この溶液は、使用の都度調製する。
(22) 塩化シアン標準液
あらかじめ冷却したリン酸緩衝液(0.01mol/L)約20mlをメスフラスコに入れ、次いで次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素0.05%)1ml又はクロラミンT溶液(1.25w/v%)0.25mlを加え、更にシアン化物イオン標準液(0.2mg/L)25mlを加えた後、リン酸緩衝液(0.01mol/L)を加えて50mlとし、1時間以上冷所で静置し、反応させたもの
なお、この溶液は冷却が必要であり、試薬調製時に液温が上がらないように注意する。
この溶液1mlは、シアン化物イオンに換算して0.0001mgを含む。
この溶液は、使用の都度調製し、速やかに使用する。
(23) シアン混合標準液
あらかじめ冷却したリン酸緩衝液(0.01mol/L)約45mlをメスフラスコに入れ、次いで次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素0.05%)1ml又はクロラミンT溶液(1.25w/v%)0.25mlを加えて混合し、更にシアン化物イオン標準液(10mg/L)0.5mlを加えて混合し、1時間以上冷所で静置し、反応させた後、亜硫酸水素ナトリウム溶液(1w/v%)0.25mlを加えて十分に混合し、シアン化物イオン標準液(10mg/L)0.5mlを加え、更にリン酸緩衝液(0.01mol/L)を加えて50mlとしたもの
なお、この溶液は冷却が必要であり、試薬調製時に液温が上がらないように注意する。
この溶液1mlは、シアン化物イオン及び塩化シアンをシアン化物イオンに換算してそれぞれ0.0001mg含む。
この溶液は、使用の都度調製し、速やかに使用する。
2 器具及び装置
(1) メンブランフィルターろ過装置
孔径約0.2μmのメンブランフィルターを備えたもの
(2) イオンクロマトグラフ
ア 分離カラム
内径4~9mm、長さ5~25cmのもので、多孔性のポリマー基材に―SO3Hをイオン交換基として2~4meq/g被覆したもの又はこれと同等以上の分離性能を有するもの
イ 反応部
分離カラムで分離された液と塩素化液、上記1の(9)又は(10)のいずれかの発色液が別々に混合できるもので、反応温度等が対象物質の最適反応条件に設定できるもの
例えば、塩素化液を毎分0.5mlの流量で注入して40℃で反応させた後、発色液を毎分0.4mlの流量で注入して100℃で反応させることができるもの
また、反応部は、塩素化液又は発色液に侵されない材質のもの
ウ 可視吸収検出器
波長636nm付近に設定したもの
3 試料の採取及び保存
試料は、精製水で洗浄したガラス瓶又はポリエチレン瓶に採取し、試料100mlにつきリン酸緩衝液(1mol/L)1mlを加えた後、満水にして直ちに密栓し、冷蔵して速やかに試験する。速やかに試験できない場合は、冷蔵保存し、24時間以内に試験する。
4 試験操作
(1) 前処理
検水(検水に含まれるそれぞれの対象物質の濃度が0.1mg/Lを超える場合には、0.001~0.1mg/Lとなるように精製水を加えて調製したもの)をメンブランフィルターろ過装置でろ過し、初めのろ液約10mlは捨て、次のろ液を試験溶液とする。
(2) 分析
上記(1)で得られた試験溶液の一定量をイオンクロマトグラフに注入し、シアン化物イオンと塩化シアンのピーク高さ又はピーク面積を求め、下記5により作成した検量線から試験溶液中のシアン化物イオンと塩化シアンの濃度を求め、この濃度に上記3で加えたリン酸緩衝液(1mol/L)の量による補正を加え、検水中のシアン化物イオンと塩化シアンの濃度を算定する。
シアン化物イオンの濃度と塩化シアンの濃度を合計してシアンとしての濃度を算定する。
5 検量線の作成
次のいずれかの方法により行う。
(1) シアン化物イオン標準液及び塩化シアン標準液を用いる方法
あらかじめ冷却したリン酸緩衝液(0.01mol/L)を4個以上のメスフラスコに採り、シアン化物イオン標準液(0.2mg/L)を加え、それぞれにリン酸緩衝液(0.01mol/L)を加えて、濃度を段階的にした溶液を調製する。この場合、調製した溶液のシアン化物イオンの濃度は、上記4(1)に示す検水の濃度範囲を超えてはならない。以下速やかに上記4(2)と同様に操作して、シアン化物イオンの濃度とピーク高さ又はピーク面積との関係を求める。
別に、あらかじめ冷却したリン酸緩衝液(0.01mol/L)を4個以上のメスフラスコに採り、塩化シアン標準液を加え、それぞれにリン酸緩衝液(0.01mol/L)を加えて、濃度を段階的にした溶液を調製する。この場合、調製した溶液の塩化シアンの濃度は、上記4(1)に示す検水の濃度範囲を超えてはならない。以下速やかに上記4(2)と同様に操作して、塩化シアンの濃度とピーク高さ又はピーク面積との関係を求める。
(2) シアン混合標準液を用いる方法
あらかじめ冷却したリン酸緩衝液(0.01mol/L)を4個以上のメスフラスコに採り、シアン混合標準液を加え、それぞれにリン酸緩衝液(0.01mol/L)を加えて、濃度を段階的にした溶液を調製する。この場合、調製した溶液のシアン化物イオン及び塩化シアンのそれぞれの濃度は、上記4(1)に示す検水の濃度範囲を超えてはならない。以下速やかに上記4(2)と同様に操作して、シアン化物イオン及び塩化シアンのそれぞれの濃度とピーク高さ又はピーク面積との関係を求める。
6 空試験
精製水を一定量採り、100mlにつきリン酸緩衝液(1mol/L)1mlを加え、以下上記4(1)及び(2)と同様に操作して試験溶液中のシアン化物イオンと塩化シアンの濃度を求め、検量線の濃度範囲の下限値を下回ることを確認する。
求められた濃度が当該濃度範囲の下限値以上の場合は、是正処置を講じた上で上記4(1)及び(2)と同様の操作を再び行い、求められた濃度が当該濃度範囲の下限値を下回るまで操作を繰り返す。
7 連続試験を実施する場合の措置
オートサンプラーを用いて10以上の試料の試験を連続的に実施する場合には、以下に掲げる措置を講ずる。
(1) おおむね10の試料ごとの試験終了後及び全ての試料の試験終了後に、上記5で調製した溶液の濃度のうち最も高いものから最も低いものまでの間の一定の濃度(以下この7において「調製濃度」という。)に調製した溶液について、上記4(2)に示す操作により試験を行い、算定された濃度と調製濃度との差を求める。
(2) 上記(1)により求められた差が調製濃度の±10%の範囲を超えた場合には、是正処置を講じた上で上記(1)で行った試験の前に試験を行ったおおむね10の試料及びそれらの後に試験を行った全ての試料について再び分析を行う。その結果、上記(1)により求められた差が再び調製濃度の±10%の範囲を超えた場合には、上記4及び5の操作により試験し直す。
別表第13
(平17厚労告125・平24厚労告66・平26厚労告147・平29厚労告87・平30厚労告138・令2厚労告95・令6厚労告99・一部改正)
イオンクロマトグラフ(陰イオン)による一斉分析法
ここで対象とする項目は、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素、フッ素、塩素酸並びに塩化物イオンである。
1 試薬
(1) 精製水
測定対象成分を含まないもの
(2) エチレンジアミン溶液(50mg/ml)
エチレンジアミン0.5gを精製水に溶かして10mlとしたもの
この溶液は、冷暗所に保存し、1か月以上を経過したものは使用してはならない。
(3) チオ硫酸ナトリウム溶液(0.3w/v%)
(4) ヨウ化カリウム溶液(5w/v%)
(5) 窒素ガス
精製が必要な場合には、洗浄瓶を用いてヨウ化カリウム溶液(5w/v%)に通し、酸化剤を除去したもの
ただし、ヨウ化カリウム溶液(5w/v%)は、着色したものは使用してはならない。
(6) 溶離液
測定対象成分が分離できるもの
(7) 除去液
サプレッサを動作させることができるもの
(8) 塩酸
(9) ヨウ化カリウム
(10) 炭酸ナトリウム(無水)
(11) イソアミルアルコール
測定対象成分を含まないもの
(12) ヨウ素酸カリウム溶液(0.017mol/L)
ヨウ素酸カリウム3.567gを精製水に溶かして1Lとしたもの
(13) 硫酸(1+5)
(14) でんぷん溶液
可溶性でんぷん1gを精製水約100mlとよく混ぜながら、熱した精製水200ml中に加え、約1分間煮沸後、放冷したもの
ただし、上澄み液を使用する。
この溶液は、使用の都度調製する。
(15) チオ硫酸ナトリウム溶液(0.1mol/L)
チオ硫酸ナトリウム(5水塩)26g及び炭酸ナトリウム(無水)0.2gを精製水に溶かして1Lとし、イソアミルアルコール約10mlを加えて振り混ぜ、2日間静置したもの
なお、次の操作によりチオ硫酸ナトリウム溶液(0.1mol/L)のファクター(f)を求める。
ヨウ素酸カリウム溶液(0.017mol/L)25mlを共栓付き三角フラスコに採り、ヨウ化カリウム2g及び硫酸(1+5)5mlを加えて直ちに密栓し、静かに振り混ぜた後、暗所に5分間静置し、更に精製水100mlを加える。次に、チオ硫酸ナトリウム溶液(0.1mol/L)を用いて滴定し、液の黄色が薄くなってから1~2mlのでんぷん溶液を指示薬として加え、液の青色が消えるまで更に滴定する。別に、同様に操作して精製水について試験を行い、補正したチオ硫酸ナトリウム溶液(0.1mol/L)のml数aから次式によりファクターを算定する。
ファクター(f)=25/a
(16) 硝酸態窒素標準原液
硝酸ナトリウム6.068gを精製水に溶かして1Lとしたもの
この溶液1mlは、硝酸態窒素1mgを含む。
この溶液は、冷暗所に保存する。
(17) 亜硝酸態窒素標準原液
亜硝酸ナトリウム4.926gを精製水に溶かして1Lとしたもの
この溶液1mlは、亜硝酸態窒素1mgを含む。
この溶液は、冷暗所に保存する。
(18) フッ素標準原液
フッ化ナトリウム2.210gを精製水に溶かして1Lとしたもの
この溶液1mlは、フッ素1mgを含む。
この溶液は、ポリエチレン瓶に入れて冷暗所に保存する。
(19) 塩素酸標準原液
塩素酸ナトリウム1.3gを精製水に溶かして1Lとしたもの
なお、次に定める方法により含有する塩素酸の濃度を測定する。
共栓付き三角フラスコに塩酸10mlを採り、これに塩素酸標準原液10ml及びヨウ化カリウム1gを加え、直ちに栓をする。この溶液を暗所で20分間静置した後、チオ硫酸ナトリウム溶液(0.1mol/L)で滴定し、液の褐色が淡黄色に変わったら1~2mlのでんぷん溶液を指示薬として加え、液の青色が消えるまで更に滴定する。これに要したチオ硫酸ナトリウム溶液(0.1mol/L)のml数bから次式により溶液に含まれる塩素酸の濃度(mg/ml)を算定する。
塩素酸(mg/ml)=(b×1.391×f)/10
この式において、fはチオ硫酸ナトリウム溶液(0.1mol/L)のファクターを表す。
この溶液は、冷暗所に保存する。
(20) 塩化物イオン標準原液
塩化ナトリウム1.649gを精製水に溶かして1Lとしたもの
この溶液1mlは、塩化物イオン1mgを含む。
この溶液は、冷暗所に保存する。
(21) 陰イオン混合標準液
硝酸態窒素、亜硝酸態窒素、フッ素、塩素酸及び塩化物イオンのそれぞれ一定量の標準原液を混合し、精製水で硝酸態窒素は10~1000倍、亜硝酸態窒素は100~10000倍、フッ素は10~1000倍、塩素酸は10~1000倍、塩化物イオンは5~500倍の範囲内における任意の濃度に薄めたもの
この溶液1mlは、硝酸態窒素0.001~0.1mg、亜硝酸態窒素0.0001~0.01mg、フッ素0.001~0.1mg、塩素酸0.001~0.1mg及び塩化物イオン0.002~0.2mgを含む。
この溶液は、冷暗所に保存する。
2 器具及び装置
(1) メンブランフィルターろ過装置
別表第12の2(1)の例による。
(2) イオンクロマトグラフ
ア 分離カラム
サプレッサ型は、内径2~8mm、長さ5~25cmのもので、陰イオン交換基を被覆したポリマー系充填剤を充填したもの又はこれと同等以上の分離性能を有するもの
ノンサプレッサ型は、内径4~4.6mm、長さ5~25cmのもので、陰イオン交換基を被覆した表面多孔性のポリアクリレート若しくはシリカを充填したもの又はこれと同等以上の分離性能を有するもの
イ 検出器
電気伝導度検出器又は紫外部吸収検出器
3 試料の採取及び保存
試料は、精製水で洗浄したガラス瓶又はポリエチレン瓶に採取し、速やかに試験する。速やかに試験できない場合は、冷暗所に保存し、2週間以内に試験する。
ただし、フッ素の検査に用いる試料は、ポリエチレン瓶に採取する。
なお、残留塩素が含まれている場合には、試料1Lにつきエチレンジアミン溶液(50mg/ml)0.1~1ml又はチオ硫酸ナトリウム溶液(0.3w/v%)1~2mlを加える。ただし、亜硝酸態窒素及び塩素酸の検査を行わない場合は、エチレンジアミン溶液又はチオ硫酸ナトリウム溶液の添加を省略することができる。
また、二酸化塩素を含む試料については、散気用フィルター付きの管を用い窒素ガスで15分間曝気した後、試料1Lにつきエチレンジアミン溶液(50mg/ml)0.1~1ml又はチオ硫酸ナトリウム溶液(0.3w/v%)1~2mlを加える。ただし、塩素酸の検査を行わない場合は、窒素ガスによる曝気を省略することができる。
4 試験操作
(1) 前処理
検水(検水に含まれるそれぞれの対象物質の濃度が表1に示す濃度範囲の上限値を超える場合には、同表に示す濃度範囲になるように精製水を加えて調製したもの)をメンブランフィルターろ過装置でろ過し、初めのろ液約10mlを捨て、次のろ液を試験溶液とする。
表1 対象物質の濃度範囲
対象物質 |
濃度範囲(mg/L) |
硝酸態窒素 |
0.02~20 |
亜硝酸態窒素 |
0.004~0.4 |
フッ素 |
0.05~5 |
塩素酸 |
0.06~1.2 |
塩化物イオン |
0.2~200 |
(2) 分析
上記(1)で得られた試験溶液の一定量をイオンクロマトグラフに注入し、それぞれの陰イオンのピーク高さ又はピーク面積を求め、下記5により作成した検量線から試験溶液中のそれぞれの陰イオンの濃度を求め、検水中のそれぞれの陰イオンの濃度を算定する。
5 検量線の作成
陰イオン混合標準液をメスフラスコ4個以上に採り、それぞれに精製水を加えて、濃度を段階的にした溶液を調製する。この場合、調製した溶液のそれぞれの陰イオンの濃度は、表1の濃度範囲を超えてはならない。以下上記4(2)と同様に操作して、それぞれの陰イオンの濃度とピーク高さ又はピーク面積との関係を求める。
6 空試験
精製水を一定量採り、以下上記4(1)及び(2)と同様に操作して試験溶液中のそれぞれの陰イオンの濃度を求め、検量線の濃度範囲の下限値を下回ることを確認する。
求められた濃度が当該濃度範囲の下限値以上の場合は、是正処置を講じた上で上記4(1)及び(2)と同様の操作を再び行い、求められた濃度が当該濃度範囲の下限値を下回るまで操作を繰り返す。
7 連続試験を実施する場合の措置
オートサンプラーを用いて10以上の試料の試験を連続的に実施する場合には、以下に掲げる措置を講ずる。
(1) おおむね10の試料ごとの試験終了後及び全ての試料の試験終了後に、上記5で調製した溶液の濃度のうち最も高いものから最も低いものまでの間の一定の濃度(以下この7において「調製濃度」という。)に調製した溶液について、上記4(2)に示す操作により試験を行い、算定された濃度と調製濃度との差を求める。
(2) 上記(1)により求められた差が調製濃度の±10%の範囲を超えた場合には、是正処置を講じた上で上記(1)で行った試験の前に試験を行ったおおむね10の試料及びそれらの後に試験を行った全ての試料について再び分析を行う。その結果、上記(1)により求められた差が再び調製濃度の±10%の範囲を超えた場合には、上記4及び5の操作により試験し直す。
別表第14
(平17厚労告125・平18厚労告191・平21厚労告56・平24厚労告66・平26厚労告147・平29厚労告87・平30厚労告138・令4厚労告134・令5厚労告85・令6厚労告99・一部改正)
パージ・トラップ―ガスクロマトグラフ―質量分析計による一斉分析法
ここで対象とする項目は、四塩化炭素、1,4―ジオキサン、シス―1,2―ジクロロエチレン及びトランス―1,2―ジクロロエチレン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ベンゼン、クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン並びにブロモホルムである。
1 試薬
(1) 精製水
測定対象成分を含まないもの
(2) 塩酸(1+10)
(3) アスコルビン酸ナトリウム
(4) チオ硫酸ナトリウム溶液(0.3w/v%)
(5) メチルアルコール
測定対象成分を含まないもの
(6) 内部標準原液
フルオロベンゼン及び4―ブロモフルオロベンゼンはそれぞれ0.500g、1,4―ジオキサン―d8は0.400gをメチルアルコール10mlを入れた別々のメスフラスコに採り、メチルアルコールを加えて100mlとしたもの
これらの溶液1mlは、フルオロベンゼン及び4―ブロモフルオロベンゼンをそれぞれ5mg、1,4―ジオキサン―d8を4mg含む。
これらの溶液は、調製後直ちに液体窒素等で冷却しながら1~2mlのアンプルに小分けし、封入して冷凍保存する。
(7) 内部標準液
内部標準原液をメチルアルコールで4~400倍に薄めたもの
3種類の内部標準物質を使用する場合には、3種類の内部標準原液をメチルアルコール少量を入れた1つのメスフラスコにそれぞれ一定量採取し、同様の希釈操作を行う。
この溶液1mlは、フルオロベンゼン又は4―ブロモフルオロベンゼンを0.0125~1.25mg及び1,4―ジオキサン―d8を0.01~1mg含む。
この溶液は、使用の都度調製する。
(8) 揮発性有機化合物標準原液
四塩化炭素、1,4―ジオキサン、シス―1,2―ジクロロエチレン、トランス―1,2―ジクロロエチレン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ベンゼン、クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン及びブロモホルムのそれぞれ0.500gについて、メチルアルコール少量を入れた別々のメスフラスコに採り、メチルアルコールを加えて10mlとしたもの
これらの溶液1mlは、四塩化炭素、1,4―ジオキサン、シス―1,2―ジクロロエチレン、トランス―1,2―ジクロロエチレン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ベンゼン、クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン及びブロモホルムをそれぞれ50mg含む。
これらの溶液は、調製後直ちに液体窒素等で冷却しながら1~2mlのアンプルに小分けし、封入して冷凍保存する。
(9) 揮発性有機化合物混合標準液
それぞれの揮発性有機化合物標準原液を一定量ずつあらかじめメチルアルコール少量を入れたメスフラスコに採り、メチルアルコールで100倍の濃度に薄めたもの
この溶液1mlは、四塩化炭素、1,4―ジオキサン、シス―1,2―ジクロロエチレン、トランス―1,2―ジクロロエチレン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ベンゼン、クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン及びブロモホルムをそれぞれ0.5mg含む。
この溶液は、使用の都度調製する。
2 器具及び装置
(1) ねじ口瓶
容量40~100mlのもので、ポリテトラフルオロエチレン張りのキャップをしたもの
(2) アンプル
容量1~2mlのもの
(3) パージ・トラップ装置
ア パージ容器
ガラス製で、5~25mlの精製水及び検水を処理できるもの
イ 恒温槽
30~80℃の範囲内で一定の温度に保持できるもの
ウ トラップ管
内径2mm以上、長さ5~30cmのもので、ステンレス管又はこの内面にガラスを被覆したものにポリ―2,6―ジフェニル―p―ジフェニレンオキサイド、シリカゲル及び活性炭を3層に充填したもの又はこれと同等以上の吸着性能を有するもの
エ 脱着装置
トラップ管を180~250℃の温度に急速に加熱できるもの
オ クライオフォーカス装置
内径0.32~0.53mmの溶融シリカ管又はステンレス管で、-50~-180℃程度に冷却でき、かつ200℃まで加熱できるもの
ただし、クライオフォーカス操作を行わない場合は、この装置を使用しなくてもよい。
(4) ガスクロマトグラフ―質量分析計
ア 分離カラム
内径0.20~0.53mm、長さ60~75mの溶融シリカ製のキャピラリーカラムで、内面に25%フェニル―75%ジメチルポリシロキサンを1μmの厚さに被覆したもの又はこれと同等以上の分離性能を有するもの
イ 分離カラムの温度
対象物質の最適分離条件に設定できるもの
例えば、40℃を1分間保持し、毎分3℃の速度で上昇させ230℃にできるもの
ウ 検出器
選択イオン測定(SIM)又はこれと同等以上の性能を有するもの
エ イオン化電圧
電子イオン化法(EI法)で、70V又は必要な感度が得られる電圧
オ キャリアーガス
純度99.999v/v%以上のヘリウムガス又は必要な感度が得られるもの
3 試料の採取及び保存
試料は、精製水で洗浄したねじ口瓶に泡立てないように採取し、pH値が約2となるように塩酸(1+10)を試料10mlにつき1滴程度加え、満水にして直ちに密栓し、速やかに試験する。速やかに試験できない場合は、冷暗所に保存し、24時間以内に試験する。
なお、残留塩素が含まれている場合には、試料1Lにつきアスコルビン酸ナトリウム0.01~0.5g又はチオ硫酸ナトリウム溶液(0.3w/v%)1~2mlを加える。
4 試験操作
検水(検水に含まれるそれぞれの対象物質の濃度が表1に示す濃度範囲の上限値を超える場合には、同表に示す濃度範囲になるように精製水を加えて調製したもの)をパージ容器に採り、内部標準液を試験溶液の内部標準物質濃度がフルオロベンゼン又は4―ブロモフルオロベンゼンがおおむね0.005~0.5mg/L及び1,4―ジオキサン―d8がおおむね0.004~0.4mg/Lとなるよう一定量注入する。次いで、パージ・トラップ装置及びガスクロマトグラフ―質量分析計を操作し、表1に示すそれぞれの揮発性有機化合物と内部標準物質とのフラグメントイオンのピーク高さ又はピーク面積の比を求め、下記5により作成した検量線から検水中のそれぞれの揮発性有機化合物の濃度を算定する。
表1 対象物質の濃度範囲及びフラグメントイオン
揮発性有機化合物 |
濃度範囲 (mg/L) |
フラグメントイオン (m/z) |
四塩化炭素 |
0.0001~0.05 |
117、119、121 |
1,4―ジオキサン |
0.005~0.1 |
88、58 |
シス―1,2―ジクロロエチレン |
0.0001~0.1 |
61、96、98 |
トランス―1,2―ジクロロエチレン |
0.0001~0.1 |
61、96、98 |
ジクロロメタン |
0.0001~0.1 |
49、84、86 |
テトラクロロエチレン |
0.0001~0.05 |
166、164、129 |
トリクロロエチレン |
0.0001~0.05 |
130、132、95 |
ベンゼン |
0.0001~0.05 |
78、77、52 |
クロロホルム |
0.0001~0.1 |
83、85、47 |
ジブロモクロロメタン |
0.0001~0.1 |
129、127、131 |
ブロモジクロロメタン |
0.0001~0.1 |
83、85、47 |
ブロモホルム |
0.0001~0.1 |
173、171、175 |
フルオロベンゼン ※ |
96、70 |
|
4―ブロモフルオロベンゼン ※ |
95、174、176 |
|
1,4―ジオキサン―d8 ※ |
96、64 |
※印は内部標準物質である。
5 検量線の作成
揮発性有機化合物混合標準液をメスフラスコ4個以上に採り、それぞれに試験溶液と同じ割合となるように内部標準液を加え、更にメチルアルコールを加えて、濃度を段階的にした溶液を調製する。段階的に調製した溶液を一定の割合でメスフラスコに採り、それぞれに精製水を加えて一定量とする。この場合、内部標準物質の濃度が上記4に示す試験溶液の内部標準物質濃度と同一になるよう調整する。以下上記4と同様に操作して、それぞれの揮発性有機化合物と内部標準物質とのフラグメントイオンのピーク高さ又はピーク面積の比を求め、それぞれの揮発性有機化合物の濃度との関係を求める。
6 空試験
精製水を一定量採り、以下上記4と同様に操作して試験溶液中のそれぞれの揮発性有機化合物の濃度を求め、検量線の濃度範囲の下限値を下回ることを確認する。
求められた濃度が当該濃度範囲の下限値以上の場合は、是正処置を講じた上で上記4と同様の操作を再び行い、求められた濃度が当該濃度範囲の下限値を下回るまで操作を繰り返す。
7 連続試験を実施する場合の措置
オートサンプラーを用いて10以上の試料の試験を連続的に実施する場合には、以下に掲げる措置を講ずる。
(1) おおむね10の試料ごとの試験終了後及び全ての試料の試験終了後に、上記5で調製した溶液の濃度のうち最も高いものから最も低いものまでの間の一定の濃度(以下この7において「調製濃度」という。)に調製した溶液について、上記4に示す操作により試験を行い、算定された濃度と調製濃度との差を求める。
(2) 上記(1)により求められた差が調製濃度の±20%の範囲を超えた場合には、是正処置を講じた上で上記(1)で行った試験の前に試験を行ったおおむね10の試料及びそれらの後に試験を行った全ての試料について再び分析を行う。その結果、上記(1)により求められた差が再び調製濃度の±20%の範囲を超えた場合には、上記4及び5の操作により試験し直す。
別表第15
(平17厚労告125・平18厚労告191・平19厚労告74・平21厚労告56・平24厚労告66・平26厚労告147・平29厚労告87・平30厚労告138・令2厚労告95・令4厚労告134・令6厚労告99・一部改正)
ヘッドスペース―ガスクロマトグラフ―質量分析計による一斉分析法
ここで対象とする項目は、四塩化炭素、1,4―ジオキサン、シス―1,2―ジクロロエチレン及びトランス―1,2―ジクロロエチレン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ベンゼン、クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン並びにブロモホルムである。
1 試薬
(1) 精製水
別表第14の1(1)の例による。
(2) 塩酸(1+10)
(3) アスコルビン酸ナトリウム
(4) チオ硫酸ナトリウム溶液(0.3w/v%)
(5) 塩化ナトリウム
測定対象成分を含まないもの
(6) メチルアルコール
別表第14の1(5)の例による。
(7) 内部標準原液
フルオロベンゼン及び4―ブロモフルオロベンゼンはそれぞれ0.500gをメチルアルコール10mlを入れた別々のメスフラスコに採り、メチルアルコールを加えて100mlとしたもの
1,4―ジオキサン―d8は0.400gをメチルアルコール5mlを入れたメスフラスコに採り、メチルアルコールを加えて10mlとしたもの
これらの溶液1mlは、フルオロベンゼン及び4―ブロモフルオロベンゼンをそれぞれ5mg、1,4―ジオキサン―d8を40mg含む。
これらの溶液は、調製後直ちに液体窒素等で冷却しながら1~2mlのアンプルに小分けし、封入して冷凍保存する。
(8) 内部標準液
内部標準原液をメチルアルコールで4~400倍に薄めたもの
3種類の内部標準物質を使用する場合には、3種類の内部標準原液をメチルアルコール少量を入れた1つのメスフラスコに等量採取し、同様の希釈操作を行う。
この溶液1mlは、フルオロベンゼン又は4―ブロモフルオロベンゼンを0.0125~1.25mg及び1,4―ジオキサン―d8を0.1~10mg含む。
この溶液は、使用の都度調製する。
(9) 揮発性有機化合物標準原液
別表第14の1(8)の例による。
(10) 揮発性有機化合物混合標準液
別表第14の1(9)の例による。
2 器具及び装置
(1) ねじ口瓶
別表第14の2(1)の例による。
(2) アンプル
別表第14の2(2)の例による。
(3) バイアル
容量10~100mlのもの
(4) セプタム
(5) ポリテトラフルオロエチレンシート
厚さ0.05mm以上のもの
(6) 金属製キャップ
(7) 金属製キャップ締め器
(8) 恒温槽
60~80℃の範囲内で一定の温度に保持できるもの
(9) トラップ管
内径2mm以上、長さ5~30cmのもので、ステンレス管又はこの内面にガラスを被覆したもので、ポリ―2,6―ジフェニル―p―ジフェニレンオキサイドを0.2~0.3g充填したもの又はこれと同等以上の吸着性能を有するもの
ただし、トラップ操作を行わない場合は、この装置を使用しなくてもよい。
(10) 脱着装置
トラップ管を180~250℃の温度に急速に加熱できるもの
ただし、トラップ操作を行わない場合は、この装置を使用しなくてもよい。
(11) ガスクロマトグラフ―質量分析計
ア 試料導入部
最適温度が設定できるもの
イ 分離カラム
別表第14の2(4)アの例による。
ウ 分離カラムの温度
別表第14の2(4)イの例による。
エ 検出器
別表第14の2(4)ウの例による。
オ イオン化電圧
別表第14の2(4)エの例による。
カ キャリアーガス
別表第14の2(4)オの例による。
3 試料の採取及び保存
別表第14の3の例による。
4 試験操作
(1) 前処理
バイアルに塩化ナトリウムを検水量10mlに対して3gを入れた後、検水(検水に含まれるそれぞれの対象物質の濃度が別表第14の表1に示す濃度範囲の上限値を超える場合には、同表に示す濃度範囲になるように精製水を加えて調製したもの)をバイアル容量に対して0.40~0.85となるように採り、内部標準液を試験溶液の内部標準物質濃度がフルオロベンゼン又は4―ブロモフルオロベンゼンがおおむね0.0025~0.25mg/L及び1,4―ジオキサン―d8がおおむね0.002~0.2mg/Lとなるよう一定量注入する。直ちにポリテトラフルオロエチレンシート、セプタム、金属製キャップをのせ、金属製キャップ締め器で密閉する。次いで、バイアルを振り混ぜた後、恒温槽で30分間以上加温し、これを試験溶液とする。
(2) 分析
上記(1)で得られた試験溶液の気相の一定量をガスクロマトグラフ―質量分析計(トラップ操作を行う場合にはトラップ管及び脱着装置を接続したもの)に注入し、別表第14の表1に示すそれぞれの揮発性有機化合物と内部標準物質とのフラグメントイオンのピーク高さ又はピーク面積の比を求め、下記5により作成した検量線から試験溶液中のそれぞれの揮発性有機化合物の濃度を求め、検水中のそれぞれの揮発性有機化合物の濃度を算定する。
5 検量線の作成
揮発性有機化合物混合標準液をメスフラスコ4個以上に採り、それぞれに試験溶液と同じ割合となるように内部標準液を加え、更にメチルアルコールを加えて、濃度を段階的にした溶液を調製する。精製水を上記4(1)と同様に採り、これに段階的に調製した溶液を一定の割合で注入する。この場合、調製した溶液のそれぞれの揮発性有機化合物の濃度は、上記4(1)に示す検水の濃度範囲を超えてはならない。また、内部標準物質の濃度が上記4(1)に示す試験溶液の内部標準物質濃度と同一になるよう調製する。以下上記4(1)及び(2)と同様に操作して、それぞれの揮発性有機化合物と内部標準物質とのフラグメントイオンのピーク高さ又はピーク面積の比を求め、それぞれの揮発性有機化合物の濃度との関係を求める。
6 空試験
精製水を一定量採り、以下上記4(1)及び(2)と同様に操作して試験溶液中のそれぞれの揮発性有機化合物の濃度を求め、検量線の濃度範囲の下限値を下回ることを確認する。
求められた濃度が当該濃度範囲の下限値以上の場合は、是正処置を講じた上で上記4(1)及び(2)と同様の操作を再び行い、求められた濃度が当該濃度範囲の下限値を下回るまで操作を繰り返す。
7 連続試験を実施する場合の措置
オートサンプラーを用いて10以上の試料の試験を連続的に実施する場合には、以下に掲げる措置を講ずる。
(1) おおむね10の試料ごとの試験終了後及び全ての試料の試験終了後に、上記5で調製した溶液の濃度のうち最も高いものから最も低いものまでの間の一定の濃度(以下この7において「調製濃度」という。)に調製した溶液について、上記4(1)及び(2)に示す操作により試験を行い、算定された濃度と調製濃度との差を求める。
(2) 上記(1)により求められた差が調製濃度の±20%の範囲を超えた場合には、是正処置を講じた上で上記(1)で行った試験の前に試験を行ったおおむね10の試料及びそれらの後に試験を行った全ての試料について再び分析を行う。その結果、上記(1)により求められた差が再び調製濃度の±20%の範囲を超えた場合には、上記4及び5の操作により試験し直す。
別表第16
(平17厚労告125・平24厚労告66・平26厚労告147・平29厚労告87・一部改正)
固相抽出―ガスクロマトグラフ―質量分析法
ここで対象とする項目は、1,4―ジオキサンである。
1 試薬
(1) 精製水
測定対象成分を含まないもの
(2) メチルアルコール
測定対象成分を含まないもの
(3) アセトン
測定対象成分を含まないもの
(4) 窒素ガス
測定対象成分を含まないもの
(5) 内部標準原液
1,4―ジオキサン―d81.000gをメスフラスコに採り、メチルアルコールに溶かして1Lとしたもの
この溶液1mlは、1,4―ジオキサン―d81mgを含む。
この溶液は、冷暗所に保存する。
(6) 内部標準液
内部標準原液をメチルアルコールで10倍に薄めたもの
この溶液1mlは、1,4―ジオキサン―d80.1mgを含む。
この溶液は、使用の都度調製する。
(7) 1,4―ジオキサン標準原液
1,4―ジオキサン1.000gをメスフラスコに採り、メチルアルコールに溶かして1Lとしたもの
この溶液1mlは、1,4―ジオキサン1mgを含む。
この溶液は、冷暗所に保存する。
(8) 1,4―ジオキサン標準液
1,4―ジオキサン標準原液をメチルアルコールで100倍に薄めたもの
この溶液1mlは、1,4―ジオキサン0.01mgを含む。
この溶液は、使用の都度調製する。
2 器具及び装置
(1) 固相カラム
スチレンジビニルベンゼン共重合体固相カラム及び活性炭固相カラム又はこれと同等以上の性能を有するもの
(2) ガスクロマトグラフ―質量分析計
ア 試料導入部
スプリットレス方式のもので、その温度を200~250℃にしたもの
イ 分離カラム
内径0.20~0.53mm、長さ60~75mの溶融シリカ製のキャピラリーカラムで、内面に25%フェニル―75%ジメチルポリシロキサンを0.1~1μmの厚さに被膜したもの又はこれと同等以上の分離性能を有するもの
ウ 分離カラムの温度
最適分離条件に設定できるもの
例えば、45℃を1分間保持し、毎分10℃の速度で上昇させ、200℃を5分間保持できるもの
エ 検出器
別表第14の2(4)ウの例による。
オ イオン化電圧
別表第14の2(4)エの例による。
カ キャリアーガス
別表第14の2(4)オの例による。
3 試料の採取及び保存
試料は、精製水及びアセトンで洗浄した後、120℃程度で2時間程度加熱し放冷したガラス瓶に採取し、速やかに試験する。速やかに試験できない場合は、冷暗所に保存し、2週間以内に試験する。
4 試験操作
(1) 前処理
スチレンジビニルベンゼン共重合体固相カラムと活性炭固相カラムを直列に接続し、スチレンジビニルベンゼン共重合体固相カラム側からアセトン10ml及び精製水10mlを順次注入する。次に、内部標準液5μlを加えた検水200ml(検水に含まれる1,4―ジオキサンの濃度が0.05mg/Lを超える場合には、0.0005~0.05mg/Lとなるように精製水を加えて200mlに調製したもの)を毎分10mlの流量でスチレンジビニルベンゼン共重合体固相カラム側から流した後、活性炭固相カラムを取り外す。活性炭固相カラムに精製水10mlを流した後、窒素ガスを20分間以上通気して乾燥させる。次いで、活性炭固相カラムに通水方向の逆からアセトン2mlをゆっくり流し、試験管に採る。試験管の溶出液に窒素ガスを緩やかに吹き付けて1mlまで濃縮し、これを試験溶液とする。
(2) 分析
上記(1)で得られた試験溶液の一定量をガスクロマトグラフ―質量分析計に注入し、1,4―ジオキサンは88、58のフラグメントイオンのピーク高さ又はピーク面積と1,4―ジオキサン―d8は96、64のフラグメントイオンのピーク高さ又はピーク面積との比を求め、下記5により作成した検量線から試験溶液中の1,4―ジオキサンの濃度を求め、検水中の1,4―ジオキサンの濃度を算定する。
5 検量線の作成
1,4―ジオキサン標準液を段階的にメスフラスコ4個以上に採り、精製水を加えて200mlとする。この場合、調製した溶液の1,4―ジオキサンの濃度は、上記4(1)に示す検水の濃度範囲から算定される試験溶液の濃度範囲を超えてはならない。以下上記4(1)及び(2)と同様に操作して、1,4―ジオキサンと1,4―ジオキサン―d8とのフラグメントイオンのピーク高さ又はピーク面積の比を求め、1,4―ジオキサンの濃度との関係を求める。
6 空試験
精製水200mlを採り、以下上記4(1)及び(2)と同様に操作して試験溶液中の1,4―ジオキサンの濃度を求め、検量線の濃度範囲の下限値を下回ることを確認する。
求められた濃度が当該濃度範囲の下限値以上の場合は、是正処置を講じた上で上記4(1)及び(2)と同様の操作を再び行い、求められた濃度が当該濃度範囲の下限値を下回るまで操作を繰り返す。
7 連続試験を実施する場合の措置
オートサンプラーを用いて10以上の試料の試験を連続的に実施する場合には、以下に掲げる措置を講ずる。
(1) おおむね10の試料ごとの試験終了後及び全ての試料の試験終了後に、上記5で調製した溶液の濃度のうち最も高いものから最も低いものまでの間の一定の濃度(以下この7において「調製濃度」という。)に調製した溶液について、上記4(1)及び(2)に示す操作により試験を行い、算定された濃度と調製濃度との差を求める。
(2) 上記(1)により求められた差が調製濃度の±20%の範囲を超えた場合には、是正処置を講じた上で上記(1)で行った試験の前に試験を行ったおおむね10の試料及びそれらの後に試験を行った全ての試料について再び分析を行う。その結果、上記(1)により求められた差が再び調製濃度の±20%の範囲を超えた場合には、上記4及び5の操作により試験し直す。
別表第17
(平17厚労告125・平18厚労告191・平21厚労告56・平24厚労告66・平26厚労告147・平29厚労告87・令4厚労告134・令6厚労告99・一部改正)
溶媒抽出―誘導体化―ガスクロマトグラフ―質量分析計による一斉分析法
ここで対象とする項目は、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸である。
1 試薬
(1) 精製水
測定対象成分を含まないもの
(2) アスコルビン酸ナトリウム
(3) チオ硫酸ナトリウム溶液(0.3w/v%)
(4) 硫酸(1+1)
(5) 塩化ナトリウム
測定対象成分を含まないもの
(6) 水酸化ナトリウム溶液(20w/v%)
(7) tert―ブチル―メチルエーテル
測定対象成分を含まないもの
(8) 無水硫酸ナトリウム
測定対象成分を含まないもの
(9) メチルアルコール
測定対象成分を含まないもの
(10) ジアゾメタン溶液
ジアゾメタン生成装置を用い、N―メチル―N’―ニトロ―N―ニトロソグアニジン0.1~0.2gに精製水0.5ml及び水酸化ナトリウム溶液(20w/v%)0.6mlを加え、発生したジアゾメタンを氷冷したtert―ブチル―メチルエーテル3mlに黄色を呈するまで捕集し、このtert―ブチル―メチルエーテル層をジアゾメタン溶液とする。
この溶液は、使用時に調製する。
なお、この操作は必ずドラフト内で行う。
(11) 内部標準原液
1,2,3―トリクロロプロパン0.100gをtert―ブチル―メチルエーテルに溶かして10mlとしたもの
この溶液1mlは、1,2,3―トリクロロプロパン10mgを含む。
この溶液は、調製後直ちにねじ口バイアルに入れて冷凍保存する。
(12) 内部標準液
内部標準原液をtert―ブチル―メチルエーテルで2000倍に薄めたもの
この溶液1mlは、1,2,3―トリクロロプロパン0.005mgを含む。
この溶液は、使用の都度調製する。
(13) クロロ酢酸標準原液、ジクロロ酢酸標準原液及びトリクロロ酢酸標準原液
クロロ酢酸、ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸のそれぞれ0.100gを別々のメスフラスコに採り、tert―ブチル―メチルエーテル又はメチルアルコールを加えて100mlとしたもの
これらの溶液1mlは、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸をそれぞれ1mg含む。
これらの溶液は、調製後直ちに10mlずつをねじ口バイアルに入れて冷凍保存する。
(14) ハロ酢酸混合標準液
クロロ酢酸標準原液、ジクロロ酢酸標準原液及びトリクロロ酢酸標準原液を1つのメスフラスコに等量採り、メチルアルコールで100倍に薄めたもの
この溶液1mlは、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸をそれぞれ0.01mg含む。
この溶液は、使用の都度調製する。
2 器具及び装置
(1) ねじ口瓶
容量40~100mlのガラス製のもので、ポリテトラフルオロエチレン張りのキャップをしたもの又は容量40~100mlのポリエチレン製のもので、ポリエチレン製のキャップをしたもの
(2) ねじ口バイアル
容量10mlのもので、ポリテトラフルオロエチレン張りのキャップをしたもの
(3) ジアゾメタン生成装置
(4) バイアル
(5) ガスクロマトグラフ―質量分析計
ア 試料導入部
試料導入方式に応じて最適温度が設定できるもの
イ 分離カラム
内径0.20~0.53mm、長さ25~30mの溶融シリカ製のキャピラリーカラムで、内面に100%ジメチルポリシロキサンを0.10~0.30μmの厚さに被覆したもの又はこれと同等以上の分離性能を有するもの
ウ 分離カラムの温度
対象物質の最適分離条件に設定できるもの
例えば、50℃を12分間保持し、毎分10℃の速度で上昇させ、150℃を2分間保持できるもの
エ 検出器
別表第14の2(4)ウの例による。
オ イオン化電圧
別表第14の2(4)エの例による。
カ キャリアーガス
別表第14の2(4)オの例による。
3 試料の採取及び保存
試料は、精製水で洗浄したねじ口瓶に泡立てないように採水し、満水にして直ちに密栓し、速やかに試験する。速やかに試験できない場合は、冷蔵保存し、72時間以内に試験する。
なお、残留塩素が含まれている場合には、試料1Lにつきアスコルビン酸ナトリウム0.01~0.5g又はチオ硫酸ナトリウム溶液(0.3w/v%)1~2mlを加える。
4 試験操作
(1) 前処理
検水50ml(検水に含まれるそれぞれの対象物質の濃度が0.1mg/Lを超える場合には、0.001~0.1mg/Lとなるように精製水を加えて50mlに調製したもの)を採り、硫酸(1+1)を用いてpH値を0.5以下とし、塩化ナトリウム20gを加えて振り混ぜる。これにtert―ブチル―メチルエーテル4mlを加えて2分間振り混ぜ、静置後、tert―ブチル―メチルエーテル層を分取する。次に、無水硫酸ナトリウムを加え、このtert―ブチル―メチルエーテル溶液1mlをバイアルに採り、これに内部標準液20μlを加えた後、ジアゾメタン溶液0.1mlを加え、直ちに栓をする。次いで、30~60分間静置後、この溶液を30~40℃で30分程度加温し、これを試験溶液とする。
(2) 分析
上記(1)で得られた試験溶液の一定量をガスクロマトグラフ―質量分析計に注入し、表1に示す対象物質と内部標準物質とのフラグメントイオンのピーク高さ又はピーク面積の比を求め、下記5により作成した検量線から試験溶液中のそれぞれの対象物質の濃度を求め、検水中のそれぞれの対象物質の濃度を算定する。
表1 フラグメントイオン