添付一覧
○資機材等の材質に関する試験
(平成十二年二月二十三日)
(厚生省告示第四十五号)
水道施設の技術的基準を定める省令(平成十二年厚生省令第十五号)第一条第十七号ハの規定に基づき、資機材等の材質に関する試験を次のように定め、平成十二年四月一日から適用する。
資機材等の材質に関する試験
水道施設の技術的基準を定める省令(平成12年厚生省令第15号)第1条第17号ハに規定する資機材等の材質に関する試験は、次に定めるところによる。
1 浸出用液の調製
(1) 試薬は、次のとおりとする。
ア 精製水
蒸留法若しくはイオン交換法により精製した水又は蒸留法、イオン交換法、逆浸透法若しくは活性炭吸着法を組み合わせた方法により精製した水。その電気伝導率は、2μS/cm以下とする。
イ 有効塩素濃度1.0mg/ml次亜塩素酸ナトリウム溶液
次亜塩素酸ナトリウム溶液を有効塩素濃度が1.0mg/mlとなるように精製水で希釈したもの。
ウ 0.04mol/l塩化カルシウム溶液
塩化カルシウム4.44gを精製水に溶かして1lとしたもの。
エ 0.04mol/l炭酸水素ナトリウム溶液
炭酸水素ナトリウム3.36gを精製水に溶かして1lとしたもの。
オ 塩酸(1+99)
カ 0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液
水酸化ナトリウム4.0gを精製水に溶かして1lとしたもの。
(2) 調製方法
ビーカーに精製水900mlを採り、有効塩素濃度1.0mg/ml次亜塩素酸ナトリウム溶液、0.04mol/l炭酸水素ナトリウム溶液及び0.04mol/l塩化カルシウム溶液を適量加えた後、精製水を加えて1lとする。
この溶液を塩酸(1+99)及びそれを10倍希釈したもの並びに0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液及びそれを10倍希釈したものを用いてpH調整し、水質がpH7.0(±0.1)、硬度45(±5)mg/l、アルカリ度35(±5)mg/l及び残留塩素1.0(±0.2)mg/l(膜モジュールに係る場合にあっては、0mg/l)になるように調製する。
水質の確認は、次の表の左欄に掲げる事項について、同表の右欄に掲げる方法により行うものとする。
pH値 |
ガラス電極法 |
カルシウム、マグネシウム等(硬度) |
フレーム―原子吸光光度法、誘導結合プラズマ発光分光分析法(以下「ICP法」という。)、誘導結合プラズマ―質量分析法(以下「ICP―MS法」という。)、イオンクロマトグラフ法(陽イオン)又は滴定法 |
アルカリ度 |
滴定法 |
残留塩素 |
ジエチル―p―フェニレンジアミン法、電流法、吸光光度法又は携帯型残留塩素計測定法 |
2 浸出液の調製
(1) 器具試験
次に掲げる方法に従って、常温(おおむね23℃。以下同じ。)の浸出用液を用い、洗浄、コンディショニング(浸出液を安定させるために浸出用液を満たし、捨てる操作を繰り返すことをいう。以下同じ。)及び浸出の操作を継続して行う。この場合において、浸出用液の水温は常温に維持する。
ア 洗浄
供試資機材(試験に供される資機材等をいう。以下同じ。)を水道水で1時間洗い、その後、精製水で3回洗う。
イ コンディショニング
① 管(継手及びバルブ類を含む。以下同じ。)については、浸出用液を用い、供試資機材内部を浸出用液で満たして密封し、14日間静置する。浸出用液は14日間のうち少なくとも9回交換するものとし、1回の静置時間は24時間以上とする。
ただし、供試資機材の材質、構造等によりコンディショニングを行わなくても当該浸出液が基準に適合することが明らかな場合には、コンディショニングの操作は、省略することができる。この場合において、洗浄操作後、浸出用液で3回洗い、浸出の操作を行うものとする。
② 溶剤を含む表層用材料については、供試資機材内部を浸出用液で満たして密封し、1日間静置した後、浸出用液を捨てる操作を2回繰り返す。その後、供試資機材内部を浸出用液で満たして密封し、7日間静置した後、浸出用液を捨てる操作を4回繰り返す。
③ 溶剤を含まない表層用材料については、供試資機材内部を浸出用液で満たして密封し、1日静置した後、浸出用液を捨てる操作を2回繰り返す。
④ 濾材については、濾材の直径が0.95cm以上の場合にあっては濾材1250g及び浸出用液1lの比率で、濾材の直径が0.95cm未満の場合にあっては濾材625g及び浸出用液1lの比率で混合し、1時間静置した後、浸出用液を捨てる操作を2回繰り返す。
⑤ 粒状活性炭については、粒状活性炭25g及び浸出用液1lの比率で混合し、1時間静置した後、浸出用液を捨てる操作を2回繰り返す。
⑥ ①から⑤までに掲げる供試資機材以外のものについては、原則として浸出用液で3回洗浄することとする。
ウ 浸出
① 管については、供試資機材内部を浸出用液で満たして密封し、この水温を維持して16時間静置した後、浸出液を採取する。
② 溶剤を含む資機材の表層用材料については、供試資機材内部を浸出用液で満たして密封し、7日間静置した後、浸出液を採取する。
③ 溶剤を含まない資機材の表層用材料については、供試資機材内部を浸出用液で満たして密封し、3日間静置した後、浸出液を採取する。
④ 濾材については、濾材の直径が0.95cm以上の場合にあっては濾材1250g及び浸出用液1lの比率で、濾材の直径が0.95cm未満の場合にあっては濾材625g及び浸出用液1lの比率で混合し、1時間静置した後、0.45μmの濾紙により濾過し、浸出液を採取する。
⑤ 粒状活性炭については、粒状活性炭25g及び浸出用液1lの比率で混合し、1時間静置した後、0.45μmの濾紙により濾過し、浸出液を採取する。
⑥ ①から⑤までに掲げる供試資機材以外のものについては、供試資機材内部を浸出用液で満たして密封し、16時間静置した後、浸出液を採取する。
(2) 部品試験又は材料試験
部品又は材料(金属にあっては、評価対象器具と当該部品又は材料の製造方法が類似しているものに限る。)の試験は、当該部品又は材料が使用される器具の試験に準じた試験操作により行う。
ア 次の表の左欄に掲げる部品又は材料については、接触面積(部品又は材料が浸出用液と接触する部分の表面積をいう。)の接触容積(部品又は材料が接触する浸出用液の容積をいう。)に対する比は、右欄に掲げる比を超えるものとする。
表層用材料 |
浸出用液1lにつき50cm2 |
接着剤、潤滑剤又はシール材 |
浸出用液1lにつき15cm2 |
膜モジュール |
浸出用液1lにつき500cm2 |
イ 使用される場所において塗布する基層用材料については、2層被覆にあっては浸出用液と接触する下塗りと上塗りの面積比が1:2で、3層被覆にあっては浸出用液と接触する下塗りと中塗りと上塗りの面積比が1:2:3で、4層被覆にあっては浸出用液と接触する下塗りと第1中塗りと第2中塗りと上塗りの面積比が1:2:3:6であるものとする。
(3) 空試験
空試験は、ガラス容器その他の試験の結果への影響がほとんどない容器中に浸出用液のみを満たし、器具試験、部品試験又は材料試験に準じた試験操作により行う。
3 分析方法
次の表の左欄に掲げる事項についての浸出液の分析は、同表の右欄に掲げる方法によるものとする。
器具試験、部品試験又は材料試験により得られた浸出液の分析値と空試験により得られた浸出液の分析値との差を当該器具、部品又は材料の分析値とする。ただし、味及び臭気については、器具試験、部品試験又は材料試験により得られた浸出液の分析結果が空試験により得られた浸出液の分析結果と比較して異常である場合には、当該器具、部品又は材料の分析結果を異常とする。
カドミウム及びその化合物 |
フレームレス―原子吸光光度法、ICP法又はICP―MS法 |
水銀及びその化合物 |
還元気化―原子吸光光度法 |
セレン及びその化合物 |
フレームレス―原子吸光光度法、ICP―MS法、水素化物発生―原子吸光光度法又は水素化物発生―誘導結合プラズマ発光分光分析法(以下「水素化物発生―ICP法」という。) |
鉛及びその化合物 |
フレームレス―原子吸光光度法、ICP法又はICP―MS法 |
ヒ素及びその化合物 |
フレームレス―原子吸光光度法、ICP―MS法、水素化物発生―原子吸光光度法又は水素化物発生―ICP法 |
六価クロム化合物 |
フレームレス―原子吸光光度法、ICP法又はICP―MS法 |
亜硝酸態窒素 |
イオンクロマトグラフ法(陰イオン) |
シアン化物イオン及び塩化シアン |
イオンクロマトグラフ―ポストカラム吸光光度法(注1) |
硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 |
イオンクロマトグラフ法(陰イオン) |
フッ素及びその化合物 |
イオンクロマトグラフ法(陰イオン) |
ホウ素及びその化合物 |
ICP法又はICP―MS法 |
四塩化炭素 |
パージ・トラップ―ガスクロマトグラフ―質量分析法(以下「PT―GC―MS法」という。)又はヘッドスペース―ガスクロマトグラフ―質量分析法(以下「HS―GC―MS法」という。) |
1,4―ジオキサン |
PT―GC―MS法又は固相抽出―ガスクロマトグラフ―質量分析法 |
シス―1,2―ジクロロエチレン及びトランス―1,2―ジクロロエチレン |
PT―GC―MS法又はHS―GC―MS法 |
ジクロロメタン |
PT―GC―MS法又はHS―GC―MS法 |
テトラクロロエチレン |
PT―GC―MS法又はHS―GC―MS法 |
トリクロロエチレン |
PT―GC―MS法又はHS―GC―MS法 |
ベンゼン |
PT―GC―MS法又はHS―GC―MS法 |
ホルムアルデヒド |
溶媒抽出―誘導体化―ガスクロマトグラフ―質量分析法、誘導体化―高速液体クロマトグラフ法又は誘導体化―液体クロマトグラフ―質量分析法 |
亜鉛及びその化合物 |
フレームレス―原子吸光光度法、フレーム―原子吸光光度法、ICP法又はICP―MS法 |
アルミニウム及びその化合物 |
フレームレス―原子吸光光度法、ICP法又はICP―MS法 |
鉄及びその化合物 |
フレームレス―原子吸光光度法、フレーム―原子吸光光度法、ICP法又はICP―MS法 |
銅及びその化合物 |
フレームレス―原子吸光光度法、フレーム―原子吸光光度法、ICP法又はICP―MS法 |
ナトリウム及びその化合物 |
フレームレス―原子吸光光度法、フレーム―原子吸光光度法、ICP法、ICP―MS法又はイオンクロマトグラフ法(陽イオン) |
マンガン及びその化合物 |
フレームレス―原子吸光光度法、フレーム―原子吸光光度法、ICP法又はICP―MS法 |
塩化物イオン |
イオンクロマトグラフ法(陰イオン)又は滴定法 |
蒸発残留物 |
重量法 |
陰イオン界面活性剤 |
固相抽出―高速液体クロマトグラフ法又は液体クロマトグラフ―質量分析法(注1) |
非イオン界面活性剤 |
固相抽出―吸光光度法又は固相抽出―高速液体クロマトグラフ法 |
フェノール類 |
固相抽出―誘導体化―ガスクロマトグラフ―質量分析法又は固相抽出―液体クロマトグラフ―質量分析法(注1) |
有機物(全有機炭素(TOC)の量)(注2) |
全有機炭素計測定法 |
味 |
官能法 |
臭気 |
官能法 |
色度 |
比色法又は透過光測定法 |
濁度 |
比濁法、透過光測定法又は積分球式光電光度法 |
1,2―ジクロロエタン |
PT―GC―MS法又はHS―GC―MS法 |
アミン類 |
吸光光度法 |
エピクロロヒドリン |
PT―GC―MS法 |
酢酸ビニル |
PT―GC―MS法又はHS―GC―MS法 |
N,N―ジメチルアニリン |
PT―GC―MS法又はHS―GC―MS法 |
スチレン |
PT―GC―MS法又はHS―GC―MS法 |
2,4―トルエンジアミン |
固相抽出―ガスクロマトグラフ―質量分析法(以下「固相抽出―GC―MS法」という。) |
2,6―トルエンジアミン |
固相抽出―GC―MS法 |
1,2―ブタジエン |
PT―GC―MS法又はHS―GC―MS法 |
1,3―ブタジエン |
PT―GC―MS法又はHS―GC―MS法 |
注
1 平成19年3月31日までの間は、この表のシアン化物イオン及び塩化シアンの項、陰イオン界面活性剤の項及びフェノール類の項については、各項に定める方法のほか、それぞれ流路型吸光光度法を適用することができる。
2 水道施設の技術的基準を定める省令の一部を改正する省令(平成16年厚生労働省令第5号)附則第2条により読み替えて適用される有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)の検査方法については、滴定法による。
4 分析値の補正
(1) (2)及び(3)における用語の定義は、次のとおりとする。
ア 「接触面積」とは、器具、部品又は材料が水又は浸出用液と接触する部分の表面積をいう。
イ 「接触容積」とは、器具、部品又は材料が接触する水又は浸出用液の容積をいう。
ウ 「接触面積比」とは、接触面積の接触容積に対する比をいう。
(2) 部品又は材料による試験の分析値については、次式により器具の分析値に換算するものとする。ただし、味及び臭気については、部品試験又は材料試験により得られた分析結果が異常である場合には、当該部品又は材料を使用する評価対象器具の分析結果を異常とする。
C=ΣNi/VF
Ni=Ai×(VLi/SLi)×SFi
この算式において、C、Ni、VF、Ai、VLi、SLi及びSFiは、それぞれ次の数値を表わすものとする。
C 器具の分析値(mg/l)
Ni 器具の状態における部品又は材料ごとの浸出量(mg)
VF 器具の状態における接触容積(l)
Ai 部品又は材料ごとの分析値(mg/l)
VLi 部品又は材料ごとの試験に用いた浸出用液の体積(l)
SLi 部品又は材料ごとの試験用液が接触する部分の表面積(cm2)
SFi 器具の状態における部品又は材料ごとの接触面積(cm2)
この算式は、部品試験及び材料試験における接触面積比が器具の状態における当該部品又は材料の接触面積比以上の場合について適用する。
(3) 当該器具の分析値から、次式により補正値を算出するものとする。ただし、味及び臭気については、試験に用いた器具の分析結果をそのまま補正結果とする。
評価対象器具の補正値=NF×当該器具の分析値
NF=VL/SL×SF/VF
この算式において、NF、VL、SL、VF及びSFは、それぞれ次の数値を表わすものとする。
NF 補正係数
VL 当該器具における接触容積(l)
SL 当該器具における接触面積(cm2)
VF 評価対象器具における接触容積(l)
SF 評価対象器具における接触面積(cm2)
ア 銅合金製のポリエチレン管用継手及び仕切弁等における銅、鉛及び亜鉛については、VFは評価対象器具における接触容積の100倍とする。
イ この算式における評価対象器具とは、次の条件を満たすものをいう。
(ア) 評価対象器具の使用材料の材質と当該器具の使用材料の材質とが同等であること。
(イ) 評価対象器具の構造及び製造方法と当該器具の構造及び製造方法とが類似していること。
(ウ) 評価対象器具の接触面積比が当該器具の接触面積比以下であること。
5 評価
4の補正値又は補正結果が水道施設の技術的基準を定める省令第1条第17号ハに規定する基準に適合しているかどうかを確認する。
改正文 (平成一四年三月二七日厚生労働省告示第一一九号) 抄
平成十四年四月一日から適用する。
改正文 (平成一六年一月二六日厚生労働省告示第一四号) 抄
平成十六年四月一日から適用する。
改正文 (平成一八年三月三〇日厚生労働省告示第一九二号) 抄
平成十八年四月一日から適用する。
改正文 (平成一九年三月三〇日厚生労働省告示第七五号) 抄
平成十九年四月一日から適用する。
改正文 (平成二一年三月六日厚生労働省告示第五七号) 抄
平成二十一年四月一日から適用する。
改正文 (平成二二年二月一七日厚生労働省告示第五〇号) 抄
平成二十二年四月一日から適用する。
改正文 (平成二四年二月二八日厚生労働省告示第六五号) 抄
平成二十四年四月一日から適用する。
改正文 (平成二六年三月三一日厚生労働省告示第一四七号) 抄
平成二十六年四月一日から適用する。
改正文 (平成二七年三月一二日厚生労働省告示第五六号) 抄
平成二十七年四月一日から適用する。
改正文 (平成二八年三月三〇日厚生労働省告示第一一五号) 抄
平成二十八年四月一日から適用する。
改正文 (令和二年三月二五日厚生労働省告示第九五号) 抄
令和二年四月一日から適用する。
改正文 (令和五年三月二四日厚生労働省告示第八五号) 抄
令和五年四月一日から適用する。