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○感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

(平成十年十月二日)

(法律第百十四号)

第百四十三回臨時国会

小渕内閣

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律をここに公布する。

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

目次

前文

第一章 総則(第一条―第八条)

第二章 基本指針等(第九条―第十一条)

第三章 感染症に関する情報の収集及び公表(第十二条―第十六条の二)

第四章 就業制限その他の措置(第十六条の三―第二十六条の二)

第五章 消毒その他の措置(第二十六条の三―第三十六条)

第六章 医療

第一節 医療措置協定等(第三十六条の二―第三十六条の八)

第二節 流行初期医療確保措置等(第三十六条の九―第三十六条の四十)

第三節 入院患者の医療等(第三十七条―第四十四条)

第七章 新型インフルエンザ等感染症(第四十四条の二―第四十四条の六)

第七章の二 指定感染症(第四十四条の七―第四十四条の九)

第八章 新感染症(第四十四条の十―第五十三条)

第九章 結核(第五十三条の二―第五十三条の十五)

第九章の二 感染症対策物資等(第五十三条の十六―第五十三条の二十三)

第十章 感染症の病原体を媒介するおそれのある動物の輸入に関する措置(第五十四条―第五十六条の二)

第十一章 特定病原体等

第一節 一種病原体等(第五十六条の三―第五十六条の五)

第二節 二種病原体等(第五十六条の六―第五十六条の十五)

第三節 三種病原体等(第五十六条の十六・第五十六条の十七)

第四節 所持者等の義務(第五十六条の十八―第五十六条の二十九)

第五節 監督(第五十六条の三十―第五十六条の三十八)

第十二章 感染症及び病原体等に関する調査及び研究並びに医薬品の研究開発(第五十六条の三十九―第五十六条の四十九)

第十三章 費用負担(第五十七条―第六十三条)

第十四章 雑則(第六十三条の二―第六十六条)

第十五章 罰則(第六十七条―第八十四条)

附則

人類は、これまで、疾病、とりわけ感染症により、多大の苦難を経験してきた。ペスト、痘そう、コレラ等の感染症の流行は、時には文明を存亡の危機に追いやり、感染症を根絶することは、正に人類の悲願と言えるものである。

医学医療の進歩や衛生水準の著しい向上により、多くの感染症が克服されてきたが、新たな感染症の出現や既知の感染症の再興により、また、国際交流の進展等に伴い、感染症は、新たな形で、今なお人類に脅威を与えている。

一方、我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である。

このような感染症をめぐる状況の変化や感染症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ、感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染症に迅速かつ適確に対応することが求められている。

ここに、このような視点に立って、これまでの感染症の予防に関する施策を抜本的に見直し、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する総合的な施策の推進を図るため、この法律を制定する。

第一章 総則

(目的)

第一条 この法律は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関し必要な措置を定めることにより、感染症の発生を予防し、及びそのまん延の防止を図り、もって公衆衛生の向上及び増進を図ることを目的とする。

(基本理念)

第二条 感染症の発生の予防及びそのまん延の防止を目的として国及び地方公共団体が講ずる施策は、これらを目的とする施策に関する国際的動向を踏まえつつ、保健医療を取り巻く環境の変化、国際交流の進展等に即応し、新感染症その他の感染症に迅速かつ適確に対応することができるよう、感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、これらの者の人権を尊重しつつ、総合的かつ計画的に推進されることを基本理念とする。

(平一八法一〇六・一部改正)

(国及び地方公共団体の責務)

第三条 国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動等を通じた感染症に関する正しい知識の普及、感染症に関する情報の収集、整理、分析及び提供、感染症に関する研究の推進、病原体等の検査能力の向上並びに感染症の予防に係る人材の養成及び資質の向上を図るとともに、社会福祉等の関連施策との有機的な連携に配慮しつつ感染症の患者が良質かつ適切な医療を受けられるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない。この場合において、国及び地方公共団体は、感染症の患者等の人権を尊重しなければならない。

2 国及び地方公共団体は、地域の特性に配慮しつつ、感染症の予防に関する施策が総合的かつ迅速に実施されるよう、相互に連携を図らなければならない。

3 国は、感染症及び病原体等に関する情報の収集及び研究並びに感染症に係る医療のための医薬品の研究開発の推進及び当該医薬品の安定供給の確保、病原体等の検査の実施等を図るための体制を整備し、国際的な連携を確保するよう努めるとともに、地方公共団体に対し前二項の責務が十分に果たされるように必要な技術的及び財政的援助を与えることに努めなければならない。

(平一八法一〇六・令四法九六・一部改正)

(国民の責務)

第四条 国民は、感染症に関する正しい知識を持ち、その予防に必要な注意を払うよう努めるとともに、感染症の患者等の人権が損なわれることがないようにしなければならない。

(医師等の責務)

第五条 医師その他の医療関係者は、感染症の予防に関し国及び地方公共団体が講ずる施策に協力し、その予防に寄与するよう努めるとともに、感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、良質かつ適切な医療を行うとともに、当該医療について適切な説明を行い、当該患者等の理解を得るよう努めなければならない。

2 病院、診療所、病原体等の検査を行っている機関、老人福祉施設等の施設の開設者及び管理者は、当該施設において感染症が発生し、又はまん延しないように必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(平一八法一〇六・一部改正)

(獣医師等の責務)

第五条の二 獣医師その他の獣医療関係者は、感染症の予防に関し国及び地方公共団体が講ずる施策に協力するとともに、その予防に寄与するよう努めなければならない。

2 動物等取扱業者(動物又はその死体の輸入、保管、貸出し、販売又は遊園地、動物園、博覧会の会場その他不特定かつ多数の者が入場する施設若しくは場所における展示を業として行う者をいう。)は、その輸入し、保管し、貸出しを行い、販売し、又は展示する動物又はその死体が感染症を人に感染させることがないように、感染症の予防に関する知識及び技術の習得、動物又はその死体の適切な管理その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(平一五法一四五・追加)

(定義等)

第六条 この法律において「感染症」とは、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症及び新感染症をいう。

2 この法律において「一類感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。

一 エボラ出血熱

二 クリミア・コンゴ出血熱

三 痘そう

四 南米出血熱

五 ペスト

六 マールブルグ病

七 ラッサ熱

3 この法律において「二類感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。

一 急性灰白髄炎

二 結核

三 ジフテリア

四 重症急性呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。)

五 中東呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る。)

六 鳥インフルエンザ(病原体がインフルエンザウイルスA属インフルエンザAウイルスであってその血清亜型が新型インフルエンザ等感染症(第七項第三号に掲げる新型コロナウイルス感染症及び同項第四号に掲げる再興型コロナウイルス感染症を除く。第六項第一号及び第二十五項第一号において同じ。)の病原体に変異するおそれが高いものの血清亜型として政令で定めるものであるものに限る。第五項第七号において「特定鳥インフルエンザ」という。)

4 この法律において「三類感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。

一 コレラ

二 細菌性赤痢

三 腸管出血性大腸菌感染症

四 腸チフス

五 パラチフス

5 この法律において「四類感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。

一 E型肝炎

二 A型肝炎

三 黄熱

四 Q熱

五 狂犬病

六 炭

七 鳥インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く。)

八 ボツリヌス症

九 マラリア

十 野

十一 前各号に掲げるもののほか、既に知られている感染性の疾病であって、動物又はその死体、飲食物、衣類、寝具その他の物件を介して人に感染し、前各号に掲げるものと同程度に国民の健康に影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるもの

6 この法律において「五類感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。

一 インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)

二 ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く。)

三 クリプトスポリジウム症

四 後天性免疫不全症候群

五 性器クラミジア感染症

六 梅毒

七 麻しん

八 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症

九 前各号に掲げるもののほか、既に知られている感染性の疾病(四類感染症を除く。)であって、前各号に掲げるものと同程度に国民の健康に影響を与えるおそれがあるものとして厚生労働省令で定めるもの

7 この法律において「新型インフルエンザ等感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。

一 新型インフルエンザ(新たに人から人に伝染する能力を有することとなったウイルスを病原体とするインフルエンザであって、一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。)

二 再興型インフルエンザ(かつて世界的規模で流行したインフルエンザであってその後流行することなく長期間が経過しているものとして厚生労働大臣が定めるものが再興したものであって、一般に現在の国民の大部分が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。)

三 新型コロナウイルス感染症(新たに人から人に伝染する能力を有することとなったコロナウイルスを病原体とする感染症であって、一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。)

四 再興型コロナウイルス感染症(かつて世界的規模で流行したコロナウイルスを病原体とする感染症であってその後流行することなく長期間が経過しているものとして厚生労働大臣が定めるものが再興したものであって、一般に現在の国民の大部分が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。)

8 この法律において「指定感染症」とは、既に知られている感染性の疾病(一類感染症、二類感染症、三類感染症及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)であって、第三章から第七章までの規定の全部又は一部を準用しなければ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるものをいう。

9 この法律において「新感染症」とは、人から人に伝染すると認められる疾病であって、既に知られている感染性の疾病とその病状又は治療の結果が明らかに異なるもので、当該疾病にかかった場合の病状の程度が重篤であり、かつ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。

10 この法律において「疑似症患者」とは、感染症の疑似症を呈している者をいう。

11 この法律において「無症状病原体保有者」とは、感染症の病原体を保有している者であって当該感染症の症状を呈していないものをいう。

12 この法律において「感染症指定医療機関」とは、特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関、第二種感染症指定医療機関、第一種協定指定医療機関、第二種協定指定医療機関及び結核指定医療機関をいう。

13 この法律において「特定感染症指定医療機関」とは、新感染症の所見がある者又は一類感染症、二類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者の入院を担当させる医療機関として厚生労働大臣が指定した病院をいう。

14 この法律において「第一種感染症指定医療機関」とは、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者の入院を担当させる医療機関として都道府県知事が指定した病院をいう。

15 この法律において「第二種感染症指定医療機関」とは、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者の入院を担当させる医療機関として都道府県知事が指定した病院をいう。

16 この法律において「第一種協定指定医療機関」とは、第三十六条の二第一項の規定による通知(同項第一号に掲げる措置をその内容に含むものに限る。)又は第三十六条の三第一項に規定する医療措置協定(同号に掲げる措置をその内容に含むものに限る。)に基づき、新型インフルエンザ等感染症若しくは指定感染症の患者又は新感染症の所見がある者を入院させ、必要な医療を提供する医療機関として都道府県知事が指定した病院又は診療所をいう。

17 この法律において「第二種協定指定医療機関」とは、第三十六条の二第一項の規定による通知(同項第二号又は第三号に掲げる措置をその内容に含むものに限る。)又は第三十六条の三第一項に規定する医療措置協定(第三十六条の二第一項第二号又は第三号に掲げる措置をその内容に含むものに限る。)に基づき、第四十四条の三の二第一項(第四十四条の九第一項の規定に基づく政令によって準用される場合を含む。)又は第五十条の三第一項の厚生労働省令で定める医療を提供する医療機関として都道府県知事が指定した病院若しくは診療所(これらに準ずるものとして政令で定めるものを含む。次項、第三十八条第二項、第四十二条第一項、第四十四条の三の三第一項及び第五十条の四第一項において同じ。)又は薬局をいう。

18 この法律において「結核指定医療機関」とは、結核患者に対する適正な医療を担当させる医療機関として都道府県知事が指定した病院若しくは診療所又は薬局をいう。

19 この法律において「病原体等」とは、感染症の病原体及び毒素をいう。

20 この法律において「毒素」とは、感染症の病原体によって産生される物質であって、人の生体内に入った場合に人を発病させ、又は死亡させるもの(人工的に合成された物質で、その構造式がいずれかの毒素の構造式と同一であるもの(以下「人工合成毒素」という。)を含む。)をいう。

21 この法律において「特定病原体等」とは、一種病原体等、二種病原体等、三種病原体等及び四種病原体等をいう。

22 この法律において「一種病原体等」とは、次に掲げる病原体等(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第十四条第一項、第二十三条の二の五第一項若しくは第二十三条の二十五第一項の規定による承認又は同法第二十三条の二の二十三第一項の規定による認証を受けた医薬品又は再生医療等製品に含有されるものその他これに準ずる病原体等(以下「医薬品等」という。)であって、人を発病させるおそれがほとんどないものとして厚生労働大臣が指定するものを除く。)をいう。

一 アレナウイルス属ガナリトウイルス、サビアウイルス、フニンウイルス、マチュポウイルス及びラッサウイルス

二 エボラウイルス属アイボリーコーストエボラウイルス、ザイールウイルス、スーダンエボラウイルス及びレストンエボラウイルス

三 オルソポックスウイルス属バリオラウイルス(別名痘そうウイルス)

四 ナイロウイルス属クリミア・コンゴヘモラジックフィーバーウイルス(別名クリミア・コンゴ出血熱ウイルス)

五 マールブルグウイルス属レイクビクトリアマールブルグウイルス

六 前各号に掲げるもののほか、前各号に掲げるものと同程度に病原性を有し、国民の生命及び健康に極めて重大な影響を与えるおそれがある病原体等として政令で定めるもの

23 この法律において「二種病原体等」とは、次に掲げる病原体等(医薬品等であって、人を発病させるおそれがほとんどないものとして厚生労働大臣が指定するものを除く。)をいう。

一 エルシニア属ペスティス(別名ペスト菌)

二 クロストリジウム属ボツリヌム(別名ボツリヌス菌)

三 ベータコロナウイルス属SARSコロナウイルス

四 バシラス属アントラシス(別名炭疽菌)

五 フランシセラ属ツラレンシス種(別名野兎病菌)亜種ツラレンシス及びホルアークティカ

六 ボツリヌス毒素(人工合成毒素であって、その構造式がボツリヌス毒素の構造式と同一であるものを含む。)

七 前各号に掲げるもののほか、前各号に掲げるものと同程度に病原性を有し、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある病原体等として政令で定めるもの

24 この法律において「三種病原体等」とは、次に掲げる病原体等(医薬品等であって、人を発病させるおそれがほとんどないものとして厚生労働大臣が指定するものを除く。)をいう。

一 コクシエラ属バーネッティイ

二 マイコバクテリウム属ツベルクローシス(別名結核菌)(イソニコチン酸ヒドラジド、リファンピシンその他結核の治療に使用される薬剤として政令で定めるものに対し耐性を有するものに限る。)

三 リッサウイルス属レイビーズウイルス(別名狂犬病ウイルス)

四 前三号に掲げるもののほか、前三号に掲げるものと同程度に病原性を有し、国民の生命及び健康に影響を与えるおそれがある病原体等として政令で定めるもの

25 この法律において「四種病原体等」とは、次に掲げる病原体等(医薬品等であって、人を発病させるおそれがほとんどないものとして厚生労働大臣が指定するものを除く。)をいう。

一 インフルエンザウイルスA属インフルエンザAウイルス(血清亜型が政令で定めるものであるもの(新型インフルエンザ等感染症の病原体を除く。)又は新型インフルエンザ等感染症の病原体に限る。)

二 エシェリヒア属コリー(別名大腸菌)(腸管出血性大腸菌に限る。)

三 エンテロウイルス属ポリオウイルス

四 クリプトスポリジウム属パルバム(遺伝子型が一型又は二型であるものに限る。)

五 サルモネラ属エンテリカ(血清亜型がタイフィ又はパラタイフィAであるものに限る。)

六 志賀毒素(人工合成毒素であって、その構造式が志賀毒素の構造式と同一であるものを含む。)

七 シゲラ属(別名赤痢菌)ソンネイ、デイゼンテリエ、フレキシネリー及びボイデイ

八 ビブリオ属コレラ(別名コレラ菌)(血清型がO一又はO一三九であるものに限る。)

九 フラビウイルス属イエローフィーバーウイルス(別名黄熱ウイルス)

十 マイコバクテリウム属ツベルクローシス(前項第二号に掲げる病原体を除く。)

十一 前各号に掲げるもののほか、前各号に掲げるものと同程度に病原性を有し、国民の健康に影響を与えるおそれがある病原体等として政令で定めるもの

26 厚生労働大臣は、第三項第六号の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、あらかじめ、厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。

(平一一法一六〇・平一五法一四五・平一八法一〇六・平二〇法三〇・平二五法八四・平二六法一一五・令三法五・令四法九六・一部改正)

第七条 削除

(令四法九六)

(疑似症患者及び無症状病原体保有者に対するこの法律の適用)

第八条 一類感染症の疑似症患者又は二類感染症のうち政令で定めるものの疑似症患者については、それぞれ一類感染症の患者又は二類感染症の患者とみなして、この法律の規定を適用する。

2 新型インフルエンザ等感染症の疑似症患者であって当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のあるものについては、新型インフルエンザ等感染症の患者とみなして、この法律の規定を適用する。

3 一類感染症の無症状病原体保有者又は新型インフルエンザ等感染症の無症状病原体保有者については、それぞれ一類感染症の患者又は新型インフルエンザ等感染症の患者とみなして、この法律の規定を適用する。

(平二〇法三〇・一部改正)

第二章 基本指針等

(基本指針)

第九条 厚生労働大臣は、感染症の予防の総合的な推進を図るための基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならない。

2 基本指針は、次に掲げる事項について定めるものとする。

一 感染症の予防の推進の基本的な方向

二 感染症の発生の予防のための施策に関する事項

三 感染症のまん延の防止のための施策に関する事項

四 感染症及び病原体等に関する情報の収集、調査及び研究に関する事項

五 病原体等の検査の実施体制及び検査能力の向上に関する事項

六 感染症に係る医療を提供する体制の確保に関する事項

七 感染症の患者の移送のための体制の確保に関する事項

八 感染症に係る医療のための医薬品の研究開発の推進に関する事項

九 感染症に係る医療を提供する体制の確保その他感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するための措置に必要なものとして厚生労働省令で定める体制の確保に係る目標に関する事項

十 第四十四条の三第二項又は第五十条の二第二項に規定する宿泊施設の確保に関する事項

十一 第四十四条の三の二第一項に規定する新型インフルエンザ等感染症外出自粛対象者又は第五十条の三第一項に規定する新感染症外出自粛対象者の療養生活の環境整備に関する事項

十二 第四十四条の五第一項(第四十四条の八において準用する場合を含む。)、第五十一条の四第一項若しくは第六十三条の三第一項の規定による総合調整又は第五十一条の五第一項、第六十三条の二若しくは第六十三条の四の規定による指示の方針に関する事項

十三 第五十三条の十六第一項に規定する感染症対策物資等の確保に関する事項

十四 感染症に関する啓発及び知識の普及並びに感染症の患者等の人権の尊重に関する事項

十五 感染症の予防に関する人材の養成及び資質の向上に関する事項

十六 感染症の予防に関する保健所の体制の確保に関する事項

十七 特定病原体等を適正に取り扱う体制の確保に関する事項

十八 緊急時における感染症の発生の予防及びまん延の防止、病原体等の検査の実施並びに医療の提供のための施策(国と地方公共団体及び地方公共団体相互間の連絡体制の確保を含む。)に関する事項

十九 その他感染症の予防の推進に関する重要事項

3 厚生労働大臣は、感染症の予防に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、前項第五号、第六号、第十号、第十一号、第十三号、第十五号、第十六号及び第十八号に掲げる事項(以下この項において「特定事項」という。)については少なくとも三年ごとに、特定事項以外の前項各号に掲げる事項については少なくとも六年ごとに、それぞれ再検討を加え、必要があると認めるときは、基本指針を変更するものとする。

4 厚生労働大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。

5 厚生労働大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

(平一一法一六〇・平一五法一四五・平一八法一〇六・令三法五・令四法九六・一部改正)

(予防計画)

第十条 都道府県は、基本指針に即して、感染症の予防のための施策の実施に関する計画(以下この条及び次条第二項において「予防計画」という。)を定めなければならない。

2 前項の予防計画は、当該都道府県における次に掲げる事項について定めるものとする。

一 地域の実情に即した感染症の発生の予防及びまん延の防止のための施策に関する事項

二 感染症及び病原体等に関する情報の収集、調査及び研究に関する事項

三 病原体等の検査の実施体制及び検査能力の向上に関する事項

四 感染症に係る医療を提供する体制の確保に関する事項

五 感染症の患者の移送のための体制の確保に関する事項

六 感染症に係る医療を提供する体制の確保その他感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するための措置に必要なものとして厚生労働省令で定める体制の確保に係る目標に関する事項

七 第四十四条の三第二項又は第五十条の二第二項に規定する宿泊施設の確保に関する事項

八 第四十四条の三の二第一項に規定する新型インフルエンザ等感染症外出自粛対象者又は第五十条の三第一項に規定する新感染症外出自粛対象者の療養生活の環境整備に関する事項

九 第六十三条の三第一項の規定による総合調整又は第六十三条の四の規定による指示の方針に関する事項

十 感染症の予防に関する人材の養成及び資質の向上に関する事項

十一 感染症の予防に関する保健所の体制の確保に関する事項

十二 緊急時における感染症の発生の予防及びまん延の防止、病原体等の検査の実施並びに医療の提供のための施策(国との連携及び地方公共団体相互間の連絡体制の確保を含む。)に関する事項

3 第一項の予防計画においては、前項各号に掲げる事項のほか、当該都道府県における感染症に関する知識の普及に関する事項について定めるよう努めるものとする。

4 都道府県は、基本指針が変更された場合には、当該都道府県が定める予防計画に再検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。都道府県が予防計画の実施状況に関する調査、分析及び評価を行い、必要があると認めるときも、同様とする。

5 厚生労働大臣は、予防計画の作成の手法その他予防計画の作成上重要な技術的事項について、都道府県に対し、必要な助言をすることができる。

6 都道府県は、予防計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、その区域内の感染症の予防に関する施策の整合性の確保及び専門的知見の活用を図るため、あらかじめ、次条第一項に規定する都道府県連携協議会において協議しなければならない。

7 都道府県は、予防計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、市町村(保健所を設置する市及び特別区(以下「保健所設置市等」という。)を除く。)の意見を聴かなければならない。

8 都道府県は、予防計画を定め、又はこれを変更するに当たっては、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十条の四第一項に規定する医療計画及び新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)第七条第一項に規定する都道府県行動計画との整合性の確保を図らなければならない。

9 都道府県は、予防計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に提出しなければならない。

10 厚生労働大臣は、都道府県に対し、前項の規定により提出を受けた予防計画について、必要があると認めるときは、助言、勧告又は援助をすることができる。

11 都道府県は、厚生労働大臣に対し、第二項第六号に掲げる事項の達成の状況を、毎年度、厚生労働省令で定めるところにより、報告しなければならない。

12 厚生労働大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、必要に応じ、厚生労働省令で定めるところにより、その内容を公表するものとする。

13 第十項の規定は、第十一項の規定により受けた報告について準用する。

14 保健所設置市等は、基本指針及び当該保健所設置市等の区域を管轄する都道府県が定める予防計画に即して、予防計画を定めなければならない。

15 前項の予防計画は、当該保健所設置市等における次に掲げる事項について定めるものとする。

一 第二項第一号、第三号、第五号、第八号及び第十号から第十二号までに掲げる事項

二 病原体等の検査の実施体制の確保その他感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するための措置に必要なものとして厚生労働省令で定める体制の確保に係る目標に関する事項

16 第十四項の予防計画においては、前項各号に掲げる事項のほか、当該保健所設置市等における第二項第二号及び第七号に掲げる事項並びに感染症に関する知識の普及に関する事項について定めるよう努めるものとする。

17 保健所設置市等は、予防計画を定め、又はこれを変更するに当たっては、新型インフルエンザ等対策特別措置法第八条第一項に規定する市町村行動計画との整合性の確保を図らなければならない。

18 第四項から第六項まで及び第九項から第十三項までの規定は、保健所設置市等が定める予防計画について準用する。この場合において、第四項中「基本指針」とあるのは「基本指針又は当該保健所設置市等の区域を管轄する都道府県が定める予防計画」と、第九項中「厚生労働大臣」とあるのは「都道府県に提出しなければならない。この場合において、当該提出を受けた都道府県は、遅滞なく、これを厚生労働大臣」と、第十項及び第十一項中「厚生労働大臣」とあるのは「都道府県」と、同項中「第二項第六号」とあるのは「第十五項第二号」と、「ならない」とあるのは「ならない。この場合において、当該報告を受けた都道府県は、速やかに、当該報告の内容を厚生労働大臣に報告しなければならない」と、第十二項中「前項」とあるのは「第十八項において読み替えて準用する前項後段」と読み替えるものとする。

19 医療機関、病原体等の検査を行っている機関及び宿泊施設の管理者は、第一項及び第十四項の予防計画の達成の推進に資するため、地域における必要な体制の確保のために必要な協力をするよう努めなければならない。

(平一一法一六〇・平一五法一四五・平一六法一三三・平一八法一〇六・平二三法一〇五・令四法九六・一部改正)

(都道府県連携協議会)

第十条の二 都道府県は、感染症の発生の予防及びまん延の防止のための施策の実施に当たっての連携協力体制の整備を図るため、都道府県、保健所設置市等、感染症指定医療機関、診療に関する学識経験者の団体及び消防機関(消防組織法(昭和二十二年法律第二百二十六号)第九条各号に掲げる機関をいう。)その他の関係機関により構成される協議会(以下この条において「都道府県連携協議会」という。)を組織するものとする。

2 都道府県連携協議会は、その構成員が相互の連絡を図ることにより、都道府県及び保健所設置市等が定めた予防計画の実施状況及びその実施に有用な情報を共有し、その構成員の連携の緊密化を図るものとする。

3 都道府県は、第十六条第二項に規定する新型インフルエンザ等感染症等に係る発生等の公表が行われたときは、都道府県連携協議会を開催し、当該感染症の発生の予防及びそのまん延を防止するために必要な対策の実施について協議を行うよう努めるものとする。

4 都道府県連携協議会において協議が調った事項については、その構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。

5 前各項に規定するもののほか、都道府県連携協議会に関し必要な事項は、都道府県連携協議会が定める。

(令四法九六・追加・一部改正)

(特定感染症予防指針)

第十一条 厚生労働大臣は、感染症のうち、特に総合的に予防のための施策を推進する必要があるものとして厚生労働省令で定めるものについて、当該感染症に係る原因の究明、発生の予防及びまん延の防止、医療の提供、研究開発の推進、国際的な連携その他当該感染症に応じた予防の総合的な推進を図るための指針(次項において「特定感染症予防指針」という。)を作成し、公表するものとする。

2 厚生労働大臣は、特定感染症予防指針を作成し、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。

(平一一法一六〇・一部改正)

第三章 感染症に関する情報の収集及び公表

(医師の届出)

第十二条 医師は、次に掲げる者を診断したときは、厚生労働省令で定める場合を除き、第一号に掲げる者については直ちにその者の氏名、年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を、第二号に掲げる者については七日以内にその者の年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事(保健所設置市等にあっては、その長。以下この章(次項及び第三項、次条第三項及び第四項、第十四条第一項及び第六項、第十四条の二第一項及び第七項、第十五条第十三項並びに第十六条第二項及び第三項を除く。)において同じ。)に届け出なければならない。

一 一類感染症の患者、二類感染症、三類感染症又は四類感染症の患者又は無症状病原体保有者、厚生労働省令で定める五類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者及び新感染症にかかっていると疑われる者

二 厚生労働省令で定める五類感染症の患者(厚生労働省令で定める五類感染症の無症状病原体保有者を含む。)

2 前項の規定による届出を受けた都道府県知事は、同項第一号に掲げる者に係るものについては直ちに、同項第二号に掲げる者に係るものについては厚生労働省令で定める期間内に、当該届出の内容を、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって厚生労働省令で定めるものをいう。第十五条第十三項及び第十四項、第三十六条の五第四項から第六項まで、第三十六条の八第三項、第四十四条の三の五第四項並びに第五十条の六第四項を除き、以下同じ。)により厚生労働大臣に報告しなければならない。

3 都道府県知事は、次の各号に掲げる者について第一項の規定による届出を受けたときは、当該届出の内容を、電磁的方法により当該各号に定める者に通報しなければならない。

一 その管轄する区域外に居住する者 当該者の居住地を管轄する都道府県知事(その居住地が保健所設置市等の区域内にある場合にあっては、その居住地を管轄する保健所設置市等の長及び都道府県知事)

二 その管轄する区域内における保健所設置市等の長が管轄する区域内に居住する者 当該者の居住地を管轄する保健所設置市等の長

4 前二項の規定は、保健所設置市等の長が第一項の規定による届出を受けた場合について準用する。この場合において、第二項中「厚生労働大臣」とあるのは「厚生労働大臣及び当該保健所設置市等の区域を管轄する都道府県知事(次項各号において「管轄都道府県知事」という。)」と、前項第一号及び第二号中「その管轄する」とあるのは「管轄都道府県知事の管轄する」と、同号中「保健所設置市等の長が」とあるのは「当該保健所設置市等以外の保健所設置市等の長が」と読み替えるものとする。

5 第一項の規定による届出をすべき医師(厚生労働省令で定める感染症指定医療機関の医師に限る。)は、電磁的方法であって、当該届出の内容を第二項又は第三項(これらの規定を前項において準用する場合を含む。)の規定による報告又は通報(以下この条において「報告等」という。)をすべき者及び当該報告等を受けるべき者が閲覧することができるものにより当該届出を行わなければならない。

6 第一項の規定による届出をすべき医師(前項の厚生労働省令で定める感染症指定医療機関の医師を除く。)は、電磁的方法であって、当該届出の内容を報告等をすべき者及び当該報告等を受けるべき者が閲覧することができるものにより当該届出を行うよう努めなければならない。

7 第一項の規定による届出が前二項に規定する方法により行われたときは、報告等をすべき者は、当該報告等を行ったものとみなす。

8 厚生労働省令で定める慢性の感染症の患者を治療する医師は、毎年度、厚生労働省令で定めるところにより、その患者の年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。

9 第二項から第七項までの規定は、前項の規定による届出について準用する。この場合において、第二項中「同項第一号に掲げる者に係るものについては直ちに、同項第二号に掲げる者に係るものについては厚生労働省令で定める期間内」とあるのは、「厚生労働省令で定める期間内」と読み替えるものとする。

10 第一項から第七項までの規定は、医師が第一項各号に規定する感染症により死亡した者(当該感染症により死亡したと疑われる者を含む。)の死体を検案した場合について準用する。

(平一一法一六〇・平一五法一四五・平一八法一〇六・平二〇法三〇・平二六法一一五・令三法五・令四法九六・一部改正)

(獣医師の届出)

第十三条 獣医師は、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症又は新型インフルエンザ等感染症のうちエボラ出血熱、マールブルグ病その他の政令で定める感染症ごとに当該感染症を人に感染させるおそれが高いものとして政令で定めるサルその他の動物について、当該動物が当該感染症にかかり、又はかかっている疑いがあると診断したときは、直ちに、当該動物の所有者(所有者以外の者が管理する場合においては、その者。以下この条において同じ。)の氏名その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。ただし、当該動物が実験のために当該感染症に感染させられている場合は、この限りでない。

2 前項の政令で定める動物の所有者は、獣医師の診断を受けない場合において、当該動物が同項の政令で定める感染症にかかり、又はかかっている疑いがあると認めたときは、同項の規定による届出を行わなければならない。ただし、当該動物が実験のために当該感染症に感染させられている場合は、この限りでない。

3 前二項の規定による届出を受けた都道府県知事は、直ちに、当該届出の内容を、電磁的方法により厚生労働大臣に報告しなければならない。

4 都道府県知事は、次の各号に掲げる動物について第一項又は第二項の規定による届出を受けたときは、当該届出の内容を、電磁的方法により当該各号に定める者に通報しなければならない。

一 その管轄する区域外において飼育されていた動物 当該動物が飼育されていた場所を管轄する都道府県知事(その場所が保健所設置市等の区域内にある場合にあっては、その場所を管轄する保健所設置市等の長及び都道府県知事)

二 その管轄する区域内における保健所設置市等の長が管轄する区域内において飼育されていた動物 当該動物が飼育されていた場所を管轄する保健所設置市等の長

5 前二項の規定は、保健所設置市等の長が第一項又は第二項の規定による届出を受けた場合について準用する。この場合において、第三項中「厚生労働大臣」とあるのは「厚生労働大臣及び当該保健所設置市等の区域を管轄する都道府県知事(次項各号において「管轄都道府県知事」という。)」と、前項第一号及び第二号中「その管轄する」とあるのは「管轄都道府県知事の管轄する」と、同号中「保健所設置市等の長が」とあるのは「当該保健所設置市等以外の保健所設置市等の長が」と読み替えるものとする。

6 前条第六項の規定は第一項の規定による届出をすべき獣医師について、同条第七項の規定は第三項又は第四項(これらの規定を前項において準用する場合を含む。)の規定による報告又は通報をすべき者について、それぞれ準用する。この場合において、同条第六項中「内容を報告等」とあるのは「内容を次条第三項又は第四項(これらの規定を同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による報告又は通報(以下この条において「報告等」という。)」と、同条第七項中「第一項」とあるのは「次条第一項」と、「前二項」とあるのは「同条第六項において読み替えて準用する前項」と読み替えるものとする。

7 第一項及び第三項から前項までの規定は獣医師が第一項の政令で定める動物の死体について当該動物が同項の政令で定める感染症にかかり、又はかかっていた疑いがあると検案した場合について、第二項から前項までの規定は所有者が第一項の政令で定める動物の死体について当該動物が同項の政令で定める感染症にかかり、又はかかっていた疑いがあると認めた場合について準用する。

(平一一法一六〇・平一五法一四五・平二〇法三〇・平二六法一一五・令三法五・令四法九六・一部改正)

(感染症の発生の状況及び動向の把握)

第十四条 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、開設者の同意を得て、五類感染症のうち厚生労働省令で定めるもの又は二類感染症、三類感染症、四類感染症若しくは五類感染症の疑似症のうち厚生労働省令で定めるものの発生の状況の届出を担当させる病院又は診療所を指定する。

2 前項の規定による指定を受けた病院又は診療所(以下この条において「指定届出機関」という。)の管理者は、当該指定届出機関の医師が前項の厚生労働省令で定める五類感染症の患者(厚生労働省令で定める五類感染症の無症状病原体保有者を含む。以下この項において同じ。)若しくは前項の二類感染症、三類感染症、四類感染症若しくは五類感染症の疑似症のうち厚生労働省令で定めるものの患者を診断し、又は同項の厚生労働省令で定める五類感染症により死亡した者の死体を検案したときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該患者又は当該死亡した者の年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を当該指定届出機関の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。

3 前項の規定による届出を受けた都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、当該届出の内容を、電磁的方法により厚生労働大臣に報告しなければならない。

4 第十二条第五項及び第六項の規定は第二項の規定による届出について、同条第七項の規定は前項の規定による報告について、それぞれ準用する。この場合において、同条第五項及び第六項中「すべき医師」とあるのは「すべき指定届出機関の管理者」と、同条第五項中「第二項又は第三項(これらの規定を前項において準用する場合を含む。)の規定による報告又は通報(以下この条において「報告等」とあるのは「第十四条第三項の規定による報告(以下この条において単に「報告」と、「当該報告等」とあるのは「当該報告」と、同条第六項及び第七項中「報告等」とあるのは「報告」と、同項中「第一項」とあるのは「第十四条第二項」と読み替えるものとする。

5 指定届出機関は、三十日以上の予告期間を設けて、第一項の規定による指定を辞退することができる。

6 都道府県知事は、指定届出機関の管理者が第二項の規定に違反したとき、又は指定届出機関が同項の規定による届出を担当するについて不適当であると認められるに至ったときは、第一項の規定による指定を取り消すことができる。

7 厚生労働大臣は、二類感染症、三類感染症、四類感染症又は五類感染症の疑似症のうち第一項の厚生労働省令で定めるものであって当該感染症にかかった場合の病状の程度が重篤であるものが発生し、又は発生するおそれがあると認めたときは、その旨を都道府県知事に通知するものとする。

8 前項の規定による通知を受けた都道府県知事は、当該都道府県知事が管轄する区域内に所在する指定届出機関以外の病院又は診療所の医師に対し、当該感染症の患者を診断し、又は当該感染症により死亡した者の死体を検案したときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該患者又は当該死亡した者の年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を届け出ることを求めることができる。この場合において、当該届出を求められた医師は、正当な理由がない限り、これを拒んではならない。

9 第三項の規定は、前項の規定による届出を受けた都道府県知事について準用する。

10 第十二条第五項及び第六項の規定は第八項の規定による届出について、同条第七項の規定は前項において準用する第三項の規定による報告について、それぞれ準用する。この場合において、同条第五項及び第六項中「すべき医師」とあるのは「すべき指定届出機関以外の病院又は診療所の医師」と、同条第五項中「第二項又は第三項(これらの規定を前項において準用する場合を含む。)の規定による報告又は通報(以下この条において「報告等」とあるのは「第十四条第九項において準用する同条第三項の規定による報告(以下この条において単に「報告」と、「当該報告等」とあるのは「当該報告」と、同条第六項及び第七項中「報告等」とあるのは「報告」と、同項中「第一項」とあるのは「第十四条第八項」と読み替えるものとする。

(平一一法一六〇・平一五法一四五・平一八法一〇六・平二六法一一五・令三法五・令四法九六・一部改正)

第十四条の二 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、開設者の同意を得て、厚生労働省令で定める五類感染症の患者の検体又は当該感染症の病原体の提出を担当させる病院若しくは診療所又は衛生検査所を指定する。

2 前項の規定による指定を受けた病院若しくは診療所又は衛生検査所(以下この条において「指定提出機関」という。)の管理者は、当該指定提出機関(病院又は診療所に限る。)の医師が同項の厚生労働省令で定める五類感染症の患者を診断したとき、又は当該指定提出機関(衛生検査所に限る。)の職員が当該患者の検体若しくは当該感染症の病原体について検査を実施したときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該患者の検体又は当該感染症の病原体の一部を同項の規定により当該指定提出機関を指定した都道府県知事に提出しなければならない。

3 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定により提出を受けた検体又は感染症の病原体について検査を実施しなければならない。

4 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の検査の結果その他厚生労働省令で定める事項を、電磁的方法により厚生労働大臣に報告しなければならない。

5 厚生労働大臣は、自ら検査を実施する必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第二項の規定により提出を受けた検体又は感染症の病原体の一部の提出を求めることができる。

6 指定提出機関は、三十日以上の予告期間を設けて、第一項の規定による指定を辞退することができる。

7 都道府県知事は、指定提出機関の管理者が第二項の規定に違反したとき、又は指定提出機関が同項の規定による提出を担当するについて不適当であると認められるに至ったときは、第一項の規定による指定を取り消すことができる。

(平二六法一一五・追加、令三法五・令四法九六・一部改正)

(感染症の発生の状況、動向及び原因の調査)

第十五条 都道府県知事は、感染症の発生を予防し、又は感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするため必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者若しくは無症状病原体保有者、新感染症の所見がある者又は感染症を人に感染させるおそれがある動物若しくはその死体の所有者若しくは管理者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。

2 厚生労働大臣は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者若しくは無症状病原体保有者、新感染症の所見がある者又は感染症を人に感染させるおそれがある動物若しくはその死体の所有者若しくは管理者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。

3 都道府県知事は、必要があると認めるときは、第一項の規定による必要な調査として当該職員に次の各号に掲げる者に対し当該各号に定める検体若しくは感染症の病原体を提出し、若しくは当該職員による当該検体の採取に応じるべきことを求めさせ、又は第一号から第三号までに掲げる者の保護者(親権を行う者又は後見人をいう。以下同じ。)に対し当該各号に定める検体を提出し、若しくは当該各号に掲げる者に当該職員による当該検体の採取に応じさせるべきことを求めさせることができる。

一 一類感染症、二類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者若しくは無症状病原体保有者又は当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者 当該者の検体

二 三類感染症、四類感染症若しくは五類感染症の患者、疑似症患者若しくは無症状病原体保有者又は当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者 当該者の検体

三 新感染症の所見がある者又は新感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者 当該者の検体

四 一類感染症、二類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症を人に感染させるおそれがある動物又はその死体の所有者又は管理者 当該動物又はその死体の検体

五 三類感染症、四類感染症若しくは五類感染症を人に感染させるおそれがある動物又はその死体の所有者又は管理者 当該動物又はその死体の検体

六 新感染症を人に感染させるおそれがある動物又はその死体の所有者又は管理者 当該動物又はその死体の検体

七 第一号に定める検体又は当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を所持している者 当該検体又は当該感染症の病原体

八 第二号に定める検体又は当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を所持している者 当該検体又は当該感染症の病原体

九 第三号に定める検体又は当該検体から分離された新感染症の病原体を所持している者 当該検体又は当該感染症の病原体

十 第四号に定める検体又は当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を所持している者 当該検体又は当該感染症の病原体

十一 第五号に定める検体又は当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を所持している者 当該検体又は当該感染症の病原体

十二 第六号に定める検体又は当該検体から分離された新感染症の病原体を所持している者 当該検体又は当該感染症の病原体

4 都道府県知事は、感染症の患者を迅速に発見することにより、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため、感染症の性質、当該都道府県知事の管轄する区域内における感染症の患者の病状又は数、感染症が発生している施設又は業務の種類並びに当該種類ごとの感染症の発生及びまん延の状況並びに感染症を公衆にまん延させるおそれその他の事情を考慮して、前項の規定による求めを行うものとする。

5 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、第三項の規定により提出を受けた検体若しくは感染症の病原体又は当該職員が採取した検体について検査を実施しなければならない。

6 第三項の規定は、第二項の規定による必要な調査について準用する。

7 第一項又は第二項の規定により質問を受け、又は必要な調査を求められた者(次項に規定する特定患者等を除く。)は、当該質問又は必要な調査に協力するよう努めなければならない。

8 都道府県知事又は厚生労働大臣は、一類感染症、二類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者又は新感染症の所見がある者(以下この項において「特定患者等」という。)が第一項又は第二項の規定による当該職員の質問又は必要な調査に対して正当な理由がなく協力しない場合において、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、その特定患者等に対し、当該質問又は必要な調査(第三項(第六項において準用される場合、第四十四条の九第一項の規定に基づく政令によって準用される場合(同条第二項の政令により、同条第一項の政令の期間が延長される場合を含む。)及び第五十三条第一項の規定に基づく政令によって適用される場合(同条第二項の政令により、同条第一項の政令の期間が延長される場合を含む。)を含む。)の規定による求めを除く。)に応ずべきことを命ずることができる。

9 前項の命令は、感染症を公衆にまん延させるおそれ、感染症にかかった場合の病状の程度その他の事情に照らして、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要な最小限度のものでなければならない。

10 都道府県知事又は厚生労働大臣は、第八項の命令をする場合には、同時に、当該命令を受ける者に対し、当該命令をする理由その他の厚生労働省令で定める事項を書面により通知しなければならない。ただし、当該事項を書面により通知しないで命令をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。

11 都道府県知事又は厚生労働大臣は、前項ただし書の場合においては、第八項の命令の後相当の期間内に、当該命令を受けた者に対し、前項の理由その他の厚生労働省令で定める事項を記載した書面を交付しなければならない。

12 第一項及び第二項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

13 都道府県知事及び保健所設置市等の長(以下「都道府県知事等」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項の規定により実施された質問又は必要な調査の結果を、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって厚生労働省令で定めるものをいう。次項、第四十四条の三の五第四項及び第五十条の六第四項において同じ。)により厚生労働大臣(保健所設置市等の長にあっては、厚生労働大臣及び当該保健所設置市等の区域を管轄する都道府県知事)に報告しなければならない。

14 都道府県知事等は、他の都道府県知事等が管轄する区域における感染症のまん延を防止するため必要があると認められる場合として厚生労働省令で定める場合にあっては、厚生労働省令で定めるところにより、第一項の規定により実施された質問又は必要な調査の結果を、電磁的方法により当該他の都道府県知事等に通報しなければならない。

15 厚生労働大臣は、第四十四条の三の五第一項又は第五十条の六第一項の規定に基づく要請による場合を除き、自ら検査を実施する必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第三項の規定により提出を受けた検体若しくは感染症の病原体又は当該職員が採取した検体の一部の提出を求めることができる。

16 都道府県知事は、第一項の規定による質問又は必要な調査を実施するため特に必要があると認めるときは、他の都道府県知事又は厚生労働大臣に対し、感染症の治療の方法の研究、病原体等の検査その他の感染症に関する試験研究又は検査を行う機関(以下「感染症試験研究等機関」という。)の職員の派遣その他の必要な協力を求めることができる。

17 第十二項の規定は、前項の規定により派遣された職員について準用する。

18 第十二項の証明書に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

(平一一法一六〇・平一五法一四五・平一八法一〇六・平二〇法三〇・平二六法一一五・令三法五・令四法九六・一部改正)

(検疫所長との連携)

第十五条の二 都道府県知事は、検疫法(昭和二十六年法律第二百一号)第十八条第三項(同法第三十四条第一項の規定に基づく政令によって準用される場合を含む。)の規定により検疫所長から健康状態に異状を生じた者に対し指示した事項その他の厚生労働省令で定める事項の通知(同法第三十四条の二第三項の規定により実施される場合を含む。)を受けたときは、当該都道府県の職員に、当該健康状態に異状を生じた者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。

2 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定により実施された質問又は必要な調査の結果を厚生労働大臣に報告しなければならない。

3 前条第十二項の規定は、都道府県知事が当該職員に第一項に規定する措置を実施させる場合について準用する。

(平一五法一四五・追加、平二六法一一五・令二法七五・令三法五・一部改正)

第十五条の三 都道府県知事は、検疫法第十八条第五項(同法第三十四条第一項の規定に基づく政令によって準用される場合を含む。)の規定により検疫所長から同法第十八条第四項に規定する者について同項の規定により報告された事項の通知(同法第三十四条の二第三項の規定により実施される場合を含む。)を受けたときは、当該者に対し、同法第十八条第一項の規定により検疫所長が定めた期間内において当該者の体温その他の健康状態について報告を求め、又は当該都道府県の職員に質問させることができる。

2 都道府県知事は、前項の規定による報告又は質問の結果、健康状態に異状を生じた者を確認したときは、厚生労働省令で定めるところにより、直ちにその旨を厚生労働大臣に報告するとともに、当該職員に当該者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。

3 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定により実施された質問又は必要な調査の結果を厚生労働大臣に報告しなければならない。

4 第十五条第十二項の規定は、都道府県知事が当該職員に第一項及び第二項に規定する措置を実施させる場合について準用する。

5 厚生労働大臣は、都道府県知事から要請があり、かつ、この法律又はこの法律に基づく政令の規定により当該都道府県知事が処理することとされている事務の実施体制その他の地域の実情を勘案して、当該都道府県又は保健所設置市等における検疫法第二条第二号に掲げる感染症、同法第三十四条第一項の政令で指定する感染症(当該政令で当該感染症について同法第十八条第五項の規定を準用するものに限る。)又は同法第三十四条の二第一項に規定する新感染症(同条第三項の規定により同法第十八条第五項に規定する事務が実施されるものに限る。)のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該都道府県知事に代わって自ら第一項に規定する措置を実施するものとする。

6 厚生労働大臣は、前項の規定により第一項に規定する都道府県知事の事務を代行するときは、その対象となる者にその旨を通知するものとする。

7 第五項の規定により厚生労働大臣が第一項に規定する都道府県知事の事務を代行する場合における第二項及び第四項の規定の適用については、第二項中「都道府県知事」とあるのは「厚生労働大臣」と、「厚生労働大臣に報告するとともに、当該職員に当該者」とあるのは「当該者の居所の所在地を管轄する都道府県知事に通知するものとする。この場合において、当該通知を受けた都道府県知事は、当該職員に当該通知に係る者」と、第四項中「都道府県知事」とあるのは「厚生労働大臣」と、「第一項及び第二項」とあるのは「第一項」と、「場合」とあるのは「場合及び都道府県知事が当該職員に第二項に規定する措置を実施させる場合」とする。

8 前二項に定めるもののほか、第五項の規定による厚生労働大臣の代行に関し必要な事項は、政令で定める。

(平二〇法三〇・追加、平二六法一一五・令二法七五・令三法五・令四法九六・一部改正)

(情報の公表等)

第十六条 厚生労働大臣及び都道府県知事は、第十二条から前条までの規定により収集した感染症に関する情報について分析を行い、感染症の発生の状況、動向及び原因に関する情報並びに当該感染症の予防及び治療に必要な情報を新聞、放送、インターネットその他適切な方法により積極的に公表しなければならない。

2 都道府県知事は、第四十四条の二第一項、第四十四条の七第一項又は第四十四条の十第一項の規定による公表(以下「新型インフルエンザ等感染症等に係る発生等の公表」という。)が行われたときから、第四十四条の二第三項若しくは第四十四条の七第三項の規定による公表又は第五十三条第一項の政令の廃止(第三十六条の二第一項及び第六十三条の四において「新型インフルエンザ等感染症等と認められなくなった旨の公表等」という。)が行われるまでの間、新型インフルエンザ等感染症等に係る発生等の公表が行われた感染症の発生の状況、動向及び原因に関する情報に対する住民の理解の増進に資するため必要があると認めるときは、市町村長に対し、必要な協力を求めることができる。

3 都道府県知事は、前項の規定による協力の求めに関し必要があると認めるときは、当該市町村長に対し、新型インフルエンザ等感染症若しくは指定感染症の患者又は新感染症の所見がある者(当該都道府県の区域内に居住地を有する者に限る。)の数、当該者の居住する市町村の名称、当該者がこれらの感染症の患者又は所見がある者であることが判明した日時その他厚生労働省令で定める情報を提供することができる。

4 第一項の規定による情報の公表又は前項の規定による情報の提供を行うに当たっては、個人情報の保護に留意しなければならない。

(平一一法一六〇・平一八法一〇六・令四法九六・一部改正)

(協力の要請等)

第十六条の二 厚生労働大臣及び都道府県知事は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、感染症の患者の病状、数その他感染症の発生及びまん延の状況並びに病原体等の検査の状況を勘案して、当該感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するために必要な措置を定め、医師、医療機関、診療に関する学識経験者の団体その他の医療関係者又は病原体等の検査その他の感染症に関する検査を行う民間事業者その他の感染症試験研究等機関に対し、当該措置の実施に対する必要な協力を求めることができる。

2 厚生労働大臣及び都道府県知事は、前項の規定による協力の求めを行った場合において、当該協力を求められた者が、正当な理由がなく当該協力の求めに応じなかったときは、同項に定める措置の実施に協力するよう勧告することができる。

3 厚生労働大臣及び都道府県知事は、前項の規定による勧告をした場合において、当該勧告を受けた者が、正当な理由がなくその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。

(平一八法一〇六・追加、令三法五・令四法九六・一部改正)

第四章 就業制限その他の措置

(平二六法一一五・改称)

(検体の採取等)

第十六条の三 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、第十五条第三項第一号に掲げる者に対し同号に定める検体を提出し、若しくは当該職員による当該検体の採取に応じるべきことを勧告し、又はその保護者に対し当該検体を提出し、若しくは同号に掲げる者に当該職員による当該検体の採取に応じさせるべきことを勧告することができる。ただし、都道府県知事がその行おうとする勧告に係る当該検体(その行おうとする勧告に係る当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を含む。以下この項において同じ。)を所持している者からその行おうとする勧告に係る当該検体を入手することができると認められる場合においては、この限りでない。

2 厚生労働大臣は、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症のまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、第十五条第三項第一号に掲げる者に対し同号に定める検体を提出し、若しくは当該職員による当該検体の採取に応じるべきことを勧告し、又はその保護者に対し当該検体を提出し、若しくは同号に掲げる者に当該職員による当該検体の採取に応じさせるべきことを勧告することができる。ただし、厚生労働大臣がその行おうとする勧告に係る当該検体(その行おうとする勧告に係る当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を含む。以下この項において同じ。)を所持している者からその行おうとする勧告に係る当該検体を入手することができると認められる場合においては、この限りでない。

3 都道府県知事は、第一項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該職員に当該勧告に係る第十五条第三項第一号に掲げる者から検査のため必要な最小限度において、同号に定める検体を採取させることができる。

4 厚生労働大臣は、第二項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該職員に当該勧告に係る第十五条第三項第一号に掲げる者から検査のため必要な最小限度において、同号に定める検体を採取させることができる。

5 都道府県知事は、第一項の規定による検体の提出若しくは採取の勧告をし、又は第三項の規定による検体の採取の措置を実施する場合には、同時に、当該勧告を受け、又は当該措置を実施される者に対し、当該勧告をし、又は当該措置を実施する理由その他の厚生労働省令で定める事項を書面により通知しなければならない。ただし、当該事項を書面により通知しないで検体の提出若しくは採取の勧告をし、又は検体の採取の措置を実施すべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。

6 都道府県知事は、前項ただし書の場合においては、当該検体の提出若しくは採取の勧告又は検体の採取の措置の後相当の期間内に、当該勧告を受け、又は当該措置を実施された者に対し、同項の理由その他の厚生労働省令で定める事項を記載した書面を交付しなければならない。

7 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項の規定により提出を受け、若しくは当該職員が採取した検体又は第三項の規定により当該職員に採取させた検体について検査を実施しなければならない。

8 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の検査の結果その他厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に報告しなければならない。

9 厚生労働大臣は、自ら検査を実施する必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第一項の規定により提出を受け、若しくは当該職員が採取した検体又は第三項の規定により当該職員に採取させた検体の一部の提出を求めることができる。

10 都道府県知事は、第一項の規定により検体の提出若しくは採取の勧告をし、第三項の規定により当該職員に検体の採取の措置を実施させ、又は第七項の規定により検体の検査を実施するため特に必要があると認めるときは、他の都道府県知事又は厚生労働大臣に対し、感染症試験研究等機関の職員の派遣その他の必要な協力を求めることができる。

11 第五項及び第六項の規定は、厚生労働大臣が第二項の規定により検体の提出若しくは採取の勧告をし、又は第四項の規定により当該職員に検体の採取の措置を実施させる場合について準用する。

(平二六法一一五・追加)

(健康診断)

第十七条 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に対し当該感染症にかかっているかどうかに関する医師の健康診断を受け、又はその保護者に対し当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に健康診断を受けさせるべきことを勧告することができる。

2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該勧告に係る感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者について、当該職員に健康診断を行わせることができる。

(平一一法一六〇・平二〇法三〇・平二六法一一五・一部改正)

(就業制限)

第十八条 都道府県知事は、一類感染症の患者及び二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者又は無症状病原体保有者に係る第十二条第一項の規定による届出を受けた場合において、当該感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該者又はその保護者に対し、当該届出の内容その他の厚生労働省令で定める事項を書面により通知することができる。

2 前項に規定する患者及び無症状病原体保有者は、当該者又はその保護者が同項の規定による通知を受けた場合には、感染症を公衆にまん延させるおそれがある業務として感染症ごとに厚生労働省令で定める業務に、そのおそれがなくなるまでの期間として感染症ごとに厚生労働省令で定める期間従事してはならない。

3 前項の規定の適用を受けている者又はその保護者は、都道府県知事に対し、同項の規定の適用を受けている者について、同項の対象者ではなくなったことの確認を求めることができる。

4 都道府県知事は、前項の規定による確認の求めがあったときは、当該請求に係る第二項の規定の適用を受けている者について、同項の規定の適用に係る感染症の患者若しくは無症状病原体保有者でないかどうか、又は同項に規定する期間を経過しているかどうかの確認をしなければならない。

5 都道府県知事は、第一項の規定による通知をしようとするときは、あらかじめ、当該患者又は無症状病原体保有者の居住地を管轄する保健所について置かれた第二十四条第一項に規定する感染症診査協議会の意見を聴かなければならない。ただし、緊急を要する場合で、あらかじめ、当該感染症診査協議会の意見を聴くいとまがないときは、この限りでない。

6 前項ただし書に規定する場合において、都道府県知事は、速やかに、その通知をした内容について当該感染症診査協議会に報告しなければならない。

(平一一法一六〇・平一八法一〇六・平二〇法三〇・令四法九六・一部改正)

(入院)

第十九条 都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の患者に対し特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関に入院し、又はその保護者に対し当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。ただし、緊急その他やむを得ない理由があるときは、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院若しくは診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院し、又は当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。

2 都道府県知事は、前項の規定による勧告をする場合には、当該勧告に係る患者又はその保護者に対し適切な説明を行い、その理解を得るよう努めなければならない。

3 都道府県知事は、第一項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該勧告に係る患者を特定感染症指定医療機関又は第一種感染症指定医療機関(同項ただし書の規定による勧告に従わないときは、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院又は診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるもの)に入院させることができる。

4 第一項及び前項の規定に係る入院の期間は、七十二時間を超えてはならない。

5 都道府県知事は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、第一項又は第三項の規定により入院している患者を、当該患者が入院している病院又は診療所以外の病院又は診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院させることができる。

6 第一項又は第三項の規定に係る入院の期間と前項の規定に係る入院の期間とを合算した期間は、七十二時間を超えてはならない。

7 都道府県知事は、第一項の規定による勧告又は第三項の規定による入院の措置をしたときは、遅滞なく、当該患者が入院している病院又は診療所の所在地を管轄する保健所について置かれた第二十四条第一項に規定する感染症診査協議会に報告しなければならない。

(平一八法一〇六・令四法九六・一部改正)

第二十条 都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の患者であって前条の規定により入院しているものに対し十日以内の期間を定めて特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関に入院し、又はその保護者に対し当該入院に係る患者を入院させるべきことを勧告することができる。ただし、緊急その他やむを得ない理由があるときは、十日以内の期間を定めて、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院若しくは診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院し、又は当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。

2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、十日以内の期間を定めて、当該勧告に係る患者を特定感染症指定医療機関又は第一種感染症指定医療機関(同項ただし書の規定による勧告に従わないときは、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院又は診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるもの)に入院させることができる。

3 都道府県知事は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、前二項の規定により入院している患者を、前二項の規定により入院したときから起算して十日以内の期間を定めて、当該患者が入院している病院又は診療所以外の病院又は診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院させることができる。

4 都道府県知事は、前三項の規定に係る入院の期間の経過後、当該入院に係る患者について入院を継続する必要があると認めるときは、十日以内の期間を定めて、入院の期間を延長することができる。当該延長に係る入院の期間の経過後、これを更に延長しようとするときも、同様とする。

5 都道府県知事は、第一項の規定による勧告又は前項の規定による入院の期間を延長しようとするときは、あらかじめ、当該患者が入院している病院又は診療所の所在地を管轄する保健所について置かれた第二十四条第一項に規定する感染症診査協議会の意見を聴かなければならない。

6 都道府県知事は、第一項の規定による勧告をしようとする場合には、当該患者又はその保護者に、適切な説明を行い、その理解を得るよう努めるとともに、都道府県知事が指定する職員に対して意見を述べる機会を与えなければならない。この場合においては、当該患者又はその保護者に対し、あらかじめ、意見を述べるべき日時、場所及びその勧告の原因となる事実を通知しなければならない。

7 前項の規定による通知を受けた当該患者又はその保護者は、代理人を出頭させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができる。

8 第六項の規定による意見を聴取した者は、聴取書を作成し、これを都道府県知事に提出しなければならない。

(平一八法一〇六・令四法九六・一部改正)

(移送)

第二十一条 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前二条の規定により入院する患者を、当該入院に係る病院又は診療所に移送しなければならない。

(平一一法一六〇・一部改正)

(退院)

第二十二条 都道府県知事は、第十九条又は第二十条の規定により入院している患者について、当該入院に係る一類感染症の病原体を保有していないことが確認されたときは、当該入院している患者を退院させなければならない。

2 病院又は診療所の管理者は、第十九条又は第二十条の規定により入院している患者について、当該入院に係る一類感染症の病原体を保有していないことを確認したときは、都道府県知事に、その旨を通知しなければならない。

3 第十九条若しくは第二十条の規定により入院している患者又はその保護者は、都道府県知事に対し、当該患者の退院を求めることができる。

4 都道府県知事は、前項の規定による退院の求めがあったときは、当該患者について、当該入院に係る一類感染症の病原体を保有しているかどうかの確認をしなければならない。

(最小限度の措置)

第二十二条の二 第十六条の三から第二十一条までの規定により実施される措置は、感染症を公衆にまん延させるおそれ、感染症にかかった場合の病状の程度その他の事情に照らして、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要な最小限度のものでなければならない。

(平一八法一〇六・追加、平二六法一一五・一部改正)

(書面による通知)

第二十三条 第十六条の三第五項及び第六項の規定は、都道府県知事が第十七条第一項の規定による健康診断の勧告、同条第二項の規定による健康診断の措置、第十九条第一項及び第二十条第一項の規定による入院の勧告、第十九条第三項及び第五項並びに第二十条第二項及び第三項の規定による入院の措置並びに同条第四項の規定による入院の期間の延長をする場合について準用する。

(平一八法一〇六・平二六法一一五・一部改正)

(感染症の診査に関する協議会)

第二十四条 各保健所に感染症の診査に関する協議会(以下この条において「感染症診査協議会」という。)を置く。

2 前項の規定にかかわらず、二以上の保健所を設置する都道府県において、特に必要があると認めるときは、二以上の保健所について一の感染症診査協議会を置くことができる。

3 感染症診査協議会は、次に掲げる事務をつかさどる。

一 都道府県知事の諮問に応じ、第十八条第一項の規定による通知、第二十条第一項(第二十六条において準用する場合を含む。)の規定による勧告及び第二十条第四項(第二十六条において準用する場合を含む。)の規定による入院の期間の延長並びに第三十七条の二第一項の規定による申請に基づく費用の負担に関し必要な事項を審議すること。

二 第十八条第六項及び第十九条第七項(第二十六条において準用する場合を含む。)の規定による報告に関し、意見を述べること。

4 感染症診査協議会は、委員三人以上で組織する。

5 委員は、感染症指定医療機関の医師、感染症の患者の医療に関し学識経験を有する者(感染症指定医療機関の医師を除く。)、法律に関し学識経験を有する者並びに医療及び法律以外の学識経験を有する者のうちから、都道府県知事が任命する。ただし、その過半数は、医師のうちから任命しなければならない。

6 この法律に規定するもののほか、感染症診査協議会に関し必要な事項は、条例で定める。

(平一八法一〇六・令四法九六・一部改正)

(都道府県知事に対する苦情の申出)

第二十四条の二 第十九条若しくは第二十条の規定により入院している患者又はその保護者は、当該患者が受けた処遇について、文書又は口頭により、都道府県知事に対し、苦情の申出をすることができる。

2 前項に規定する患者又はその保護者が口頭で同項の苦情の申出をしようとするときは、都道府県知事は、その指定する職員にその内容を聴取させることができる。

3 都道府県知事は、苦情の申出を受けたときは、これを誠実に処理し、処理の結果を苦情の申出をした者に通知しなければならない。

(平一八法一〇六・追加)

(審査請求の特例)

第二十五条 第二十条第二項若しくは第三項の規定により入院している患者であって当該入院の期間が三十日を超えるもの又はその保護者は、同条第二項又は第三項に規定する入院の措置について文書又は口頭により、厚生労働大臣に審査請求(再審査請求及び再々審査請求を含む。以下この条において同じ。)をすることができる。

2 厚生労働大臣は、前項の審査請求があったときは、当該審査請求があった日から起算して五日以内に、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。

3 第二十条第二項若しくは第三項の規定により入院している患者であって当該入院の期間が三十日を超えないもの又はその保護者が、厚生労働大臣に審査請求をしたときは、厚生労働大臣は、当該審査請求に係る入院している患者が同条第二項又は第三項の規定により入院した日から起算して三十五日以内に、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。

4 第二十条第二項若しくは第三項の規定により入院している患者であって当該入院の期間が三十日を超えないもの又はその保護者が、都道府県知事に審査請求をし、かつ、当該入院している患者の入院の期間が三十日を超えたときは、都道府県知事は、直ちに、事件を厚生労働大臣に移送し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。

5 前項の規定により事件が移送されたときは、はじめから、厚生労働大臣に審査請求があったものとみなして、第三項の規定を適用する。

6 厚生労働大臣は、第二項の裁決又は第三項の裁決(入院の期間が三十日を超える患者に係るものに限る。)をしようとするときは、あらかじめ、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。

7 第十九条第三項又は第五項の規定による入院の措置に係る審査請求については、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二章第四節の規定は、適用しない。

(平一一法一六〇・平二六法六九・一部改正)

(準用)

第二十六条 第十九条から第二十三条まで、第二十四条の二及び前条の規定は、二類感染症の患者について準用する。この場合において、第十九条第一項及び第三項並びに第二十条第一項及び第二項中「特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関」とあるのは「特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関若しくは第二種感染症指定医療機関」と、第十九条第三項及び第二十条第二項中「特定感染症指定医療機関又は第一種感染症指定医療機関」とあるのは「特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関又は第二種感染症指定医療機関」と、第二十一条中「移送しなければならない」とあるのは「移送することができる」と、第二十二条第一項及び第二項中「一類感染症の病原体を保有していないこと」とあるのは「二類感染症の病原体を保有していないこと又は当該感染症の症状が消失したこと」と、同条第四項中「一類感染症の病原体を保有しているかどうか」とあるのは「二類感染症の病原体を保有しているかどうか又は当該感染症の症状が消失したかどうか」と読み替えるほか、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

2 第十九条から第二十三条まで、第二十四条の二及び前条の規定は、新型インフルエンザ等感染症の患者について準用する。この場合において、第十九条第一項中「患者に」とあるのは「患者(新型インフルエンザ等感染症(病状の程度を勘案して厚生労働省令で定めるものに限る。)の患者にあっては、当該感染症の病状又は当該感染症にかかった場合の病状の程度が重篤化するおそれを勘案して厚生労働省令で定める者及び当該者以外の者であって第四十四条の三第二項の規定による協力の求めに応じないものに限る。)に」と、同項及び同条第三項並びに第二十条第一項及び第二項中「特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関」とあるのは「特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関、第二種感染症指定医療機関若しくは第一種協定指定医療機関」と、第十九条第三項及び第二十条第二項中「特定感染症指定医療機関又は第一種感染症指定医療機関」とあるのは「特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関、第二種感染症指定医療機関又は第一種協定指定医療機関」と、第二十一条中「移送しなければならない」とあるのは「移送することができる」と読み替えるほか、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

(平一八法一〇六・平二〇法三〇・令三法五・令四法九六・一部改正)

(結核患者に係る入院に関する特例)

第二十六条の二 結核患者に対する前条第一項において読み替えて準用する第十九条及び第二十条の規定の適用については、第十九条第七項中「当該患者が入院している病院又は診療所の所在地」とあるのは「当該患者の居住地」と、第二十条第一項本文中「十日以内」とあるのは「三十日以内」と、同条第四項中「十日以内」とあるのは「十日以内(第一項本文の規定に係る入院にあっては、三十日以内)」と、同条第五項中「当該患者が入院している病院又は診療所の所在地」とあるのは「当該患者の居住地」とする。

(平一八法一〇六・追加、令三法五・一部改正)

第五章 消毒その他の措置

(検体の収去等)

第二十六条の三 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、第十五条第三項第七号又は第十号に掲げる者に対し、当該各号に定める検体又は感染症の病原体を提出すべきことを命ずることができる。

2 厚生労働大臣は、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、第十五条第三項第七号又は第十号に掲げる者に対し、当該各号に定める検体又は感染症の病原体を提出すべきことを命ずることができる。

3 都道府県知事は、第一項の規定による命令を受けた者が当該命令に従わないときは、当該職員に当該命令に係る第十五条第三項第七号又は第十号に掲げる者から検査のため必要な最小限度において、当該各号に定める検体又は感染症の病原体を無償で収去させることができる。

4 厚生労働大臣は、第二項の規定による命令を受けた者が当該命令に従わないときは、当該職員に当該命令に係る第十五条第三項第七号又は第十号に掲げる者から検査のため必要な最小限度において、当該各号に定める検体又は感染症の病原体を無償で収去させることができる。

5 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項の規定により提出を受けた検体若しくは感染症の病原体又は第三項の規定により当該職員に収去させた検体若しくは感染症の病原体について検査を実施しなければならない。

6 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の検査の結果その他厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に報告しなければならない。

7 厚生労働大臣は、自ら検査を実施する必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第一項の規定により提出を受けた検体若しくは感染症の病原体又は第三項の規定により当該職員に収去させた検体若しくは感染症の病原体の一部の提出を求めることができる。

8 都道府県知事は、第一項の規定により検体若しくは感染症の病原体の提出の命令をし、第三項の規定により当該職員に検体若しくは感染症の病原体の収去の措置を実施させ、又は第五項の規定により検体若しくは感染症の病原体の検査を実施するため特に必要があると認めるときは、他の都道府県知事又は厚生労働大臣に対し、感染症試験研究等機関の職員の派遣その他の必要な協力を求めることができる。

(平二六法一一五・追加)

(検体の採取等)

第二十六条の四 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、第十五条第三項第四号に掲げる者に対し、同号に定める検体を提出し、又は当該職員による当該検体の採取に応ずべきことを命ずることができる。

2 厚生労働大臣は、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、第十五条第三項第四号に掲げる者に対し、同号に定める検体を提出し、又は当該職員による当該検体の採取に応ずべきことを命ずることができる。

3 都道府県知事は、第一項の規定による命令を受けた者が当該命令に従わないときは、当該職員に当該命令に係る第十五条第三項第四号に規定する動物又はその死体から検査のため必要な最小限度において、同号に定める検体を採取させることができる。

4 厚生労働大臣は、第二項の規定による命令を受けた者が当該命令に従わないときは、当該職員に当該命令に係る第十五条第三項第四号に規定する動物又はその死体から検査のため必要な最小限度において、同号に定める検体を採取させることができる。

5 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項の規定により提出を受け、若しくは当該職員が採取した検体又は第三項の規定により当該職員に採取させた検体について検査を実施しなければならない。

6 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の検査の結果その他厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に報告しなければならない。

7 厚生労働大臣は、自ら検査を実施する必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第一項の規定により提出を受け、若しくは当該職員が採取した検体又は第三項の規定により当該職員に採取させた検体の一部の提出を求めることができる。

8 都道府県知事は、第一項の規定により検体の提出若しくは採取の命令をし、第三項の規定により当該職員に検体の採取の措置を実施させ、又は第五項の規定により検体の検査を実施するため特に必要があると認めるときは、他の都道府県知事又は厚生労働大臣に対し、感染症試験研究等機関の職員の派遣その他の必要な協力を求めることができる。

(平二六法一一五・追加)

(感染症の病原体に汚染された場所の消毒)

第二十七条 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の患者がいる場所又はいた場所、当該感染症により死亡した者の死体がある場所又はあった場所その他当該感染症の病原体に汚染された場所又は汚染された疑いがある場所について、当該患者若しくはその保護者又はその場所の管理をする者若しくはその代理をする者に対し、消毒すべきことを命ずることができる。

2 都道府県知事は、前項に規定する命令によっては一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止することが困難であると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の患者がいる場所又はいた場所、当該感染症により死亡した者の死体がある場所又はあった場所その他当該感染症の病原体に汚染された場所又は汚染された疑いがある場所について、市町村に消毒するよう指示し、又は当該都道府県の職員に消毒させることができる。

(平一一法一六〇・平一五法一四五・平二〇法三〇・一部改正)

(ねずみ族、昆虫等の駆除)

第二十八条 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症、三類感染症又は四類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがあるねずみ族、昆虫等が存在する区域を指定し、当該区域の管理をする者又はその代理をする者に対し、当該ねずみ族、昆虫等を駆除すべきことを命ずることができる。

2 都道府県知事は、前項に規定する命令によっては一類感染症、二類感染症、三類感染症又は四類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止することが困難であると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがあるねずみ族、昆虫等が存在する区域を指定し、当該区域を管轄する市町村に当該ねずみ族、昆虫等を駆除するよう指示し、又は当該都道府県の職員に当該ねずみ族、昆虫等を駆除させることができる。

(平一一法一六〇・平一五法一四五・一部改正)

(物件に係る措置)

第二十九条 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある飲食物、衣類、寝具その他の物件について、その所持者に対し、当該物件の移動を制限し、若しくは禁止し、消毒、廃棄その他当該感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

2 都道府県知事は、前項に規定する命令によっては一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止することが困難であると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある飲食物、衣類、寝具その他の物件について、市町村に消毒するよう指示し、又は当該都道府県の職員に消毒、廃棄その他当該感染症の発生を予防し、若しくはそのまん延を防止するために必要な措置をとらせることができる。

(平一一法一六〇・平一五法一四五・平二〇法三〇・一部改正)

(死体の移動制限等)

第三十条 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある死体の移動を制限し、又は禁止することができる。

2 一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある死体は、火葬しなければならない。ただし、十分な消毒を行い、都道府県知事の許可を受けたときは、埋葬することができる。

3 一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある死体は、二十四時間以内に火葬し、又は埋葬することができる。

(平二〇法三〇・一部改正)

(生活の用に供される水の使用制限等)

第三十一条 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症又は三類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある生活の用に供される水について、その管理者に対し、期間を定めて、その使用又は給水を制限し、又は禁止すべきことを命ずることができる。

2 市町村は、都道府県知事が前項の規定により生活の用に供される水の使用又は給水を制限し、又は禁止すべきことを命じたときは、同項に規定する期間中、都道府県知事の指示に従い、当該生活の用に供される水の使用者に対し、生活の用に供される水を供給しなければならない。

(建物に係る措置)

第三十二条 都道府県知事は、一類感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある建物について、当該感染症のまん延を防止するため必要があると認める場合であって、消毒により難いときは、厚生労働省令で定めるところにより、期間を定めて、当該建物への立入りを制限し、又は禁止することができる。

2 都道府県知事は、前項に規定する措置によっても一類感染症のまん延を防止できない場合であって、緊急の必要があると認められるときに限り、政令で定める基準に従い、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある建物について封鎖その他当該感染症のまん延の防止のために必要な措置を講ずることができる。

(平一一法一六〇・一部改正)

(交通の制限又は遮断)

第三十三条 都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため緊急の必要があると認める場合であって、消毒により難いときは、政令で定める基準に従い、七十二時間以内の期間を定めて、当該感染症の患者がいる場所その他当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある場所の交通を制限し、又は遮断することができる。

(必要な最小限度の措置)

第三十四条 第二十六条の三から前条までの規定により実施される措置は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要な最小限度のものでなければならない。

(平二六法一一五・一部改正)

(質問及び調査)

第三十五条 都道府県知事は、第二十六条の三から第三十三条までに規定する措置を実施するため必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者がいる場所若しくはいた場所、当該感染症により死亡した者の死体がある場所若しくはあった場所、当該感染症を人に感染させるおそれがある動物がいる場所若しくはいた場所、当該感染症により死亡した動物の死体がある場所若しくはあった場所その他当該感染症の病原体に汚染された場所若しくは汚染された疑いがある場所に立ち入り、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者若しくは無症状病原体保有者若しくは当該感染症を人に感染させるおそれがある動物若しくはその死体の所有者若しくは管理者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。

2 前項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

3 第一項の規定は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

4 前三項の規定は、厚生労働大臣が第二十六条の三第二項若しくは第四項又は第二十六条の四第二項若しくは第四項に規定する措置を実施し、又は当該職員に実施させるため必要があると認める場合について準用する。この場合において、第一項中「、三類感染症、四類感染症若しくは」とあるのは、「若しくは」と読み替えるものとする。

5 第一項から第三項までの規定は、市町村長が第二十七条第二項、第二十八条第二項、第二十九条第二項又は第三十一条第二項に規定する措置を実施するため必要があると認める場合について準用する。

6 第二項の証明書に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

(平一一法一六〇・平一五法一四五・平二〇法三〇・平二六法一一五・一部改正)

(書面による通知)

第三十六条 都道府県知事は、第二十六条の三第一項若しくは第三項、第二十六条の四第一項若しくは第三項、第二十七条第一項若しくは第二項、第二十八条第一項若しくは第二項、第二十九条第一項若しくは第二項、第三十条第一項又は第三十一条第一項に規定する措置を実施し、又は当該職員に実施させる場合には、その名あて人又はその保護者に対し、当該措置を実施する旨及びその理由その他厚生労働省令で定める事項を書面により通知しなければならない。ただし、当該事項を書面により通知しないで措置を実施すべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。

2 都道府県知事は、前項ただし書の場合においては、当該措置を実施した後相当の期間内に、当該措置を実施した旨及びその理由その他同項の厚生労働省令で定める事項を記載した書面を当該措置の名あて人又はその保護者に交付しなければならない。

3 前二項の規定は、厚生労働大臣が第二十六条の三第二項若しくは第四項又は第二十六条の四第二項若しくは第四項に規定する措置を実施し、又は当該職員に実施させる場合について準用する。

4 都道府県知事は、第三十二条又は第三十三条に規定する措置を実施し、又は当該職員に実施させる場合には、適当な場所に当該措置を実施する旨及びその理由その他厚生労働省令で定める事項を掲示しなければならない。

5 第一項及び第二項の規定は、市町村長が当該職員に第二十七条第二項、第二十八条第二項又は第二十九条第二項に規定する措置を実施させる場合について準用する。

(平一一法一六〇・平一五法一四五・平二六法一一五・一部改正)

第六章 医療

第一節 医療措置協定等

(令四法九六・追加)

(公的医療機関等並びに地域医療支援病院及び特定機能病院の医療の提供の義務等)

第三十六条の二 都道府県知事は、新型インフルエンザ等感染症等に係る発生等の公表が行われたときから新型インフルエンザ等感染症等と認められなくなった旨の公表等が行われるまでの間(以下この項、次条第一項及び第三十六条の六第一項において「新型インフルエンザ等感染症等発生等公表期間」という。)に新型インフルエンザ等感染症、指定感染症又は新感染症に係る医療を提供する体制の確保に必要な措置を迅速かつ適確に講ずるため、厚生労働省令で定めるところにより、当該都道府県知事が管轄する区域内にある医療法第七条の二第一項各号に掲げる者が開設する医療機関、独立行政法人国立病院機構、独立行政法人労働者健康安全機構及び国その他の法人が開設する医療機関であって厚生労働省令で定めるもの(以下「公的医療機関等」という。)並びに地域医療支援病院(同法第四条第一項の地域医療支援病院をいう。以下同じ。)及び特定機能病院(同法第四条の二第一項の特定機能病院をいう。以下同じ。)の管理者に対し、次に掲げる措置のうち新型インフルエンザ等感染症等発生等公表期間において当該医療機関が講ずべきもの(第一号から第五号までに掲げる措置にあっては、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症又は新感染症に係る医療を提供する体制の確保に必要な措置を迅速かつ適確に講ずるものとして、厚生労働省令で定めるものに限る。)及び当該措置に要する費用の負担の方法その他の厚生労働省令で定める事項について、通知するものとする。

一 新型インフルエンザ等感染症若しくは指定感染症の患者又は新感染症の所見がある者を入院させ、必要な医療を提供すること。

二 新型インフルエンザ等感染症若しくは指定感染症の疑似症患者若しくは当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者又は新感染症にかかっていると疑われる者若しくは当該新感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者の診療を行うこと。

三 第四十四条の三の二第一項(第四十四条の九第一項の規定に基づく政令によって準用される場合を含む。)又は第五十条の三第一項の厚生労働省令で定める医療を提供すること及び第四十四条の三第二項(第四十四条の九第一項の規定に基づく政令によって準用される場合を含む。)又は第五十条の二第二項の規定により新型インフルエンザ等感染症若しくは指定感染症の患者又は新感染症の所見がある者の体温その他の健康状態の報告を求めること。

四 前三号に掲げる措置を講ずる医療機関に代わって新型インフルエンザ等感染症若しくは指定感染症の患者又は新感染症の所見がある者以外の患者に対し、医療を提供すること。

五 第四十四条の四の二第一項に規定する新型インフルエンザ等感染症医療担当従事者、同項に規定する新型インフルエンザ等感染症予防等業務関係者、第四十四条の八において読み替えて準用する同項に規定する指定感染症医療担当従事者、同条において読み替えて準用する同項に規定する指定感染症予防等業務関係者、第五十一条の二第一項に規定する新感染症医療担当従事者又は同項に規定する新感染症予防等業務関係者を確保し、医療機関その他の機関に派遣すること。

六 その他厚生労働省令で定める措置を実施すること。

2 公的医療機関等並びに地域医療支援病院及び特定機能病院の管理者は、前項の規定による通知を受けたときは、当該通知に基づく措置を講じなければならない。

3 都道府県知事は、第一項の規定による通知をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該通知の内容を公表するものとする。

(令四法九六・追加)

(医療機関の協定の締結等)

第三十六条の三 都道府県知事は、新型インフルエンザ等感染症等発生等公表期間に新型インフルエンザ等感染症、指定感染症又は新感染症に係る医療を提供する体制の確保に必要な措置を迅速かつ適確に講ずるため、当該都道府県知事が管轄する区域内にある医療機関の管理者と協議し、合意が成立したときは、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項をその内容に含む協定(以下「医療措置協定」という。)を締結するものとする。

一 前条第一項各号に掲げる措置のうち新型インフルエンザ等感染症等発生等公表期間において当該医療機関が講ずべきもの

二 第五十三条の十六第一項に規定する個人防護具の備蓄の実施について定める場合にあっては、その内容

三 前二号の措置に要する費用の負担の方法

四 医療措置協定の有効期間

五 医療措置協定に違反した場合の措置

六 その他医療措置協定の実施に関し必要な事項として厚生労働省令で定めるもの

2 前項の規定による協議を求められた医療機関の管理者は、その求めに応じなければならない。

3 都道府県知事は、医療機関の管理者と医療措置協定を締結することについて第一項の規定による協議が調わないときは、医療法第七十二条第一項に規定する都道府県医療審議会の意見を聴くことができる。

4 都道府県知事及び医療機関の管理者は、前項の規定による都道府県医療審議会の意見を尊重しなければならない。

5 都道府県知事は、医療措置協定を締結したときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該医療措置協定の内容を公表するものとする。

6 前各項に定めるもののほか、医療措置協定の締結に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

(令四法九六・追加)

(都道府県知事の指示等)

第三十六条の四 都道府県知事は、公的医療機関等の管理者が、正当な理由がなく、次に掲げる措置を講じていないと認めるときは、当該管理者に対し、当該措置をとるべきことを指示することができる。

一 第三十六条の二第一項の規定による通知に基づく措置

二 当該公的医療機関等が医療措置協定を締結している場合にあっては、当該医療措置協定に基づく措置

2 都道府県知事は、医療機関(公的医療機関等を除く。以下この条において同じ。)の管理者が、正当な理由がなく、次に掲げる措置を講じていないと認めるときは、当該管理者に対し、当該措置をとるべきことを勧告することができる。

一 第三十六条の二第一項の規定による通知に基づく措置

二 当該医療機関が医療措置協定を締結している場合にあっては、当該医療措置協定に基づく措置

3 都道府県知事は、医療機関の管理者が、正当な理由がなく、前項の規定による勧告に従わない場合において必要があると認めるときは、当該管理者に対し、必要な指示をすることができる。

4 都道府県知事は、第一項又は前項の規定による指示をした場合において、これらの指示を受けた公的医療機関等又は医療機関の管理者が、正当な理由がなく、これに従わなかったときは、その旨を公表することができる。

(令四法九六・追加)

(医療措置協定に基づく措置の実施の状況の報告等)

第三十六条の五 都道府県知事は、必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、公的医療機関等又は地域医療支援病院若しくは特定機能病院の管理者に対し、次に掲げる事項について報告を求めることができる。

一 第三十六条の二第一項の規定による通知に基づく措置の実施の状況及び当該措置に係る当該医療機関の運営の状況その他の事項

二 当該医療機関が医療措置協定を締結している場合にあっては、当該医療措置協定に基づく措置の実施の状況及び当該措置に係る当該医療機関の運営の状況その他の事項

2 都道府県知事は、必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、医療措置協定を締結した医療機関(前項に規定する医療機関を除く。)の管理者に対し、当該医療措置協定に基づく措置の実施の状況及び当該措置に係る当該医療機関の運営の状況その他の事項について報告を求めることができる。

3 医療機関の管理者は、前二項の規定による都道府県知事からの報告の求めがあったときは、正当な理由がある場合を除き、速やかに、第一項各号に掲げる事項又は前項に規定する事項を報告しなければならない。

4 前項の規定による報告を受けた都道府県知事は、当該報告の内容を、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって厚生労働省令で定めるものをいう。次項及び第六項において同じ。)により厚生労働大臣に報告するとともに、公表しなければならない。

5 第三項の規定による報告をすべき医療機関(厚生労働省令で定める感染症指定医療機関に限る。)の管理者は、電磁的方法であって、当該報告の内容を前項の規定による報告をすべき者及び当該報告を受けるべき者が閲覧することができるものにより当該報告を行わなければならない。

6 第三項の規定による報告をすべき医療機関(前項の厚生労働省令で定める感染症指定医療機関を除く。)の管理者は、電磁的方法であって、当該報告の内容を第四項の規定による報告をすべき者及び当該報告を受けるべき者が閲覧することができるものにより当該報告を行うよう努めなければならない。

7 第三項の規定による報告をすべき医療機関の管理者が、前二項に規定する方法により報告を行ったときは、当該報告を受けた都道府県知事は、第四項の規定による報告を行ったものとみなす。

8 厚生労働大臣は、第四項の規定による報告(前項の規定により報告を行ったものとみなされた場合を含む。次項、第四十四条の四の二第四項及び第五十一条の二第四項において同じ。)を受けた第一項各号に掲げる事項又は第二項に規定する事項について、必要があると認めるときは、当該都道府県知事に対し、必要な助言又は援助をすることができる。

9 厚生労働大臣は、第四項の規定による報告を受けたとき、又は前項の規定による助言若しくは援助をしたときは、必要に応じ、厚生労働省令で定めるところにより、その内容を公表するものとする。

(令四法九六・追加)

(病原体等の検査を行っている機関等の協定の締結等)

第三十六条の六 都道府県知事等は、新型インフルエンザ等感染症等発生等公表期間に新型インフルエンザ等感染症、指定感染症又は新感染症に係る検査を提供する体制の確保、宿泊施設の確保その他の必要な措置を迅速かつ適確に講ずるため、病原体等の検査を行っている機関、宿泊施設その他厚生労働省令で定める機関又は施設(以下「病原体等の検査を行っている機関等」という。)の管理者と協議し、合意が成立したときは、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項をその内容に含む協定(以下「検査等措置協定」という。)を締結するものとする。

一 次のイからハまでに掲げる病原体等の検査を行っている機関等の区分に応じ、当該病原体等の検査を行っている機関等が新型インフルエンザ等感染症等発生等公表期間において講ずべき措置として、当該イからハまでに定めるもの

イ 病原体等の検査を行っている機関 新型インフルエンザ等感染症若しくは指定感染症の疑似症患者若しくは当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者若しくは新感染症にかかっていると疑われる者若しくは当該新感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者の検体を採取すること又は当該検体について検査を実施すること。

ロ 宿泊施設 第四十四条の三第二項又は第五十条の二第二項に規定する宿泊施設を確保すること。

ハ イ及びロに掲げるもの以外の機関又は施設 厚生労働省令で定める措置を実施すること。

二 第五十三条の十六第一項に規定する個人防護具の備蓄の実施について定める場合にあっては、その内容

三 前二号の措置に要する費用の負担の方法

四 検査等措置協定の有効期間

五 検査等措置協定に違反した場合の措置

六 その他検査等措置協定の実施に関し必要な事項として厚生労働省令で定めるもの

2 都道府県知事等は、検査等措置協定を締結したときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該検査等措置協定の内容を公表するものとする。

3 前二項に定めるもののほか、検査等措置協定の締結に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

(令四法九六・追加)

(都道府県知事等の指示等)

第三十六条の七 都道府県知事等は、検査等措置協定を締結した病原体等の検査を行っている機関等の管理者が、正当な理由がなく、当該検査等措置協定に基づく措置を講じていないと認めるときは、当該管理者に対し、当該措置をとるべきことを勧告することができる。

2 都道府県知事等は、病原体等の検査を行っている機関等の管理者が、正当な理由がなく、前項の規定による勧告に従わない場合において必要があると認めるときは、当該管理者に対し、必要な指示をすることができる。

3 都道府県知事等は、前項の規定による指示をした場合において、当該指示を受けた病原体等の検査を行っている機関等の管理者が、正当な理由がなく、これに従わなかったときは、その旨を公表することができる。

(令四法九六・追加)

(検査等措置協定に基づく措置の実施の状況の報告等)

第三十六条の八 都道府県知事等は、必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、検査等措置協定を締結した病原体等の検査を行っている機関等の管理者に対し、当該検査等措置協定に基づく措置の実施の状況及び当該措置に係る当該病原体等の検査を行っている機関等の運営の状況その他の事項について報告を求めることができる。

2 病原体等の検査を行っている機関等の管理者は、前項の規定による都道府県知事等からの報告の求めがあったときは、正当な理由がある場合を除き、速やかに、同項に規定する事項を報告しなければならない。

3 前項の規定による報告を受けた都道府県知事は厚生労働大臣に対し、当該報告を受けた保健所設置市等の長は都道府県知事に対し、当該報告の内容を、それぞれ電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって厚生労働省令で定めるものをいう。)により報告するとともに、公表しなければならない。この場合において、当該報告を受けた都道府県知事は、速やかに、当該報告の内容を厚生労働大臣に報告しなければならない。

4 厚生労働大臣は都道府県知事に対し、都道府県知事は保健所設置市等の長に対し、それぞれ前項の規定による報告を受けた第一項に規定する事項について、必要があると認めるときは、必要な助言又は援助をすることができる。

5 厚生労働大臣は、第三項の規定による報告を受けたとき、又は前項の規定による助言若しくは援助をしたときは、必要に応じ、厚生労働省令で定めるところにより、その内容を公表するものとする。

(令四法九六・追加)

第二節 流行初期医療確保措置等

(令四法九六・追加)

(流行初期医療確保措置)

第三十六条の九 都道府県知事は、新型インフルエンザ等感染症等に係る発生等の公表が行われた日の属する月から政令で定める期間が経過する日の属する月までの期間において、当該都道府県の区域内にある医療機関が第三十六条の二第一項第一号又は第二号に掲げる措置であって、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症又は新感染症の発生後の初期の段階から当該感染症に係る医療を提供する体制を迅速かつ適確に構築するための措置として厚生労働省令で定める基準を満たすもの(以下この項及び次条において「医療協定等措置」という。)を講じたと認められる場合であって、当該医療機関(以下「対象医療機関」という。)が医療協定等措置を講じたと認められる日の属する月における当該対象医療機関の診療報酬の額として政令で定めるところにより算定した額が、新型インフルエンザ等感染症等に係る発生等の公表前の政令で定める月における当該対象医療機関の診療報酬の額として政令で定めるところにより算定した額を下回った場合には、当該対象医療機関に対し、当該感染症の流行初期における医療の確保に要する費用(以下「流行初期医療の確保に要する費用」という。)を支給する措置(以下「流行初期医療確保措置」という。)を行うものとする。

2 都道府県知事は、前項の規定による流行初期医療確保措置に係る事務を社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)又は国民健康保険団体連合会(以下「国保連合会」という。)に委託することができる。

(令四法九六・追加)

(流行初期医療の確保に要する費用の額)

第三十六条の十 流行初期医療の確保に要する費用の額は、新型インフルエンザ等感染症等に係る発生等の公表が行われた日の属する月から前条第一項の政令で定める期間が経過する日の属する月までの期間において、対象医療機関が医療協定等措置を講じたと認められる日の属する月における当該対象医療機関の診療報酬の額として同項の政令で定めるところにより算定した額と同項の政令で定める月における当該対象医療機関の診療報酬の額として同項の政令で定めるところにより算定した額との差額として政令で定めるところにより算定した額とする。

(令四法九六・追加)

(費用の支弁)

第三十六条の十一 都道府県は、流行初期医療確保措置に要する費用及び流行初期医療確保措置に関する事務の執行に要する費用を支弁する。

(令四法九六・追加)

(国の交付金)

第三十六条の十二 国は、政令で定めるところにより、都道府県に対し、流行初期医療確保措置に要する費用の八分の三に相当する額を交付する。

(令四法九六・追加)

(流行初期医療確保交付金)

第三十六条の十三 都道府県が第三十六条の十一の規定により支弁する流行初期医療確保措置に要する費用の二分の一に相当する額については、政令で定めるところにより、支払基金が当該都道府県に対して交付する流行初期医療確保交付金をもって充てる。

2 前項の流行初期医療確保交付金は、次条第一項の規定により支払基金が徴収する流行初期医療確保拠出金をもって充てる。

(令四法九六・追加)

(流行初期医療確保拠出金等の徴収及び納付義務)

第三十六条の十四 支払基金は、第三十六条の二十五第一項各号(第三号及び第四号を除く。)に掲げる業務に要する費用に充てるため、新型インフルエンザ等感染症等に係る発生等の公表が行われた日の属する月から第三十六条の九第一項の政令で定める期間が経過する日の属する月までの期間において、流行初期医療確保措置が実施された月ごとに、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)第七条第二項に規定する保険者(国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)の定めるところにより都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険にあっては、都道府県)及び高齢者の医療の確保に関する法律第四十八条に規定する後期高齢者医療広域連合(以下「保険者等」という。)から流行初期医療確保拠出金を徴収する。

2 支払基金は、第三十六条の二十五第一項各号(第三号及び第四号を除く。)に掲げる業務に関する事務の処理に要する費用に充てるため、年度ごとに、保険者等から流行初期医療確保関係事務費拠出金を徴収する。

3 保険者等は、流行初期医療確保拠出金及び流行初期医療確保関係事務費拠出金(以下「流行初期医療確保拠出金等」という。)を納付する義務を負う。

(令四法九六・追加)