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備考:表の色価を超える場合は、希釈倍率を調整して測定する。

G01850

21.質量分析法

質量分析(Mass spectrometry:MS)は、分子をイオン化させ、統一原子質量単位に対する比で表したイオンの相対質量(m)をイオンの電荷数(z)で割って得られる無次元量のm/z値に応じてイオンを分離検出する方法であり、被検成分の確認、純度の試験等に用いる。統一原子質量単位は基底状態の12Cの12分の1の質量であり、原子、分子及びイオンの質量を表す際に用いられる。測定結果は、イオンのm/z値をx軸に、それに対する信号の相対強度をy軸に示したマススペクトルとして示される。被検成分の分子を構成する各元素の単一同位体(通常、天然存在比が最大の同位体)だけからなる分子又はイオンの精密質量をモノアイソトピック質量という。通常、マススペクトル上には、モノアイソトピックイオンとともにその同位体イオンが存在する。分子質量関連イオンのm/z値から被検成分の分子の質量を求めることが可能であり、フラグメントイオンが観測される場合には、フラグメントイオンの質量、分子質量関連イオンとフラグメントイオンの質量差等から構造の確認や推定を行うことが可能である。タンデム質量分析(MS/MS)は、m/z値により選択されたプリカーサーイオンを解離させ、生じたプロダクトイオンを質量分析に供する手法である。観測したプロダクトイオンのm/z値により、構造の確認や推定を行うことが可能である。概略は次の図による。

装置

質量分析計は、通常、試料導入部、イオン化部(イオン源)、質量分離部、検出部及びデータ処理部からなる。また、質量分離部等を高真空に保つための排気系を備える。イオン化部への試料の導入法としては、被検成分を含む溶液等をシリンジポンプやキャピラリーチップ等を利用してイオン化部に導入する直接注入法、また、被検成分を含む液体や固体をガラス管等に詰め、イオン化部の電子線や反応イオン雰囲気のごく近傍まで導入する直接導入法等がある。さらに、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動等の分離分析法により分離した各成分を連続的にイオン化部に導入する方法等がある。質量分析計に導入された被検成分はイオン化部においてイオン化され、正又は負の電荷を有するイオンを生成する。質量分析法には様々なイオン化法があり、イオン化法の選択は、生成するイオン種及び相対強度に影響を及ぼす。測定対象となる被検成分の極性や分子量及び目的等に応じて、最適なイオン化法を選択することが重要となる。質量分離部では、イオン化部において生成したイオンがm/z値に基づいて分離される。その結果、対象とする被検成分に由来するイオンの質量や相対存在量を測定することができる。質量分離部を通過したイオンは、通常、検出部において電子を放出させることにより電気信号として記録される。

一段階目の質量分離部でプリカーサーイオンを選択し、イオンを解離させ生じたプロダクトイオンを二段階目の質量分離部で分離し、検出するタンデム質量分析計がある。イオンの構造の確認又は推定、特異的及び高感度な分析に用いられる。タンデム質量分析は、プリカーサーイオンの選択、イオンの解離及びプロダクトイオンの分離を、それぞれ前段の質量分離部、中間領域及び後段の質量分離部で行う空間的タンデム質量分析と、同一の質量分離部の異なる時間区分で行う時間的タンデム質量分析とに分類される。前者の質量分析計として、三連四重極型、四重極飛行時間型、飛行時間型等がある。後者の質量分析計として、イオントラップ型があり、プリカーサーイオンの選択、解離及びプロダクトイオンの分離を複数回繰り返すことにより、MSnが可能である。

操作法

装置の指示に従って、適当な標準物質を用い、質量分析計の質量校正を行う。また、イオン化部、質量分離部、検出器のガス圧、温度、電圧値等の設定パラメータを調整し、検出されるイオンピークの形状、感度、相対強度を最適化する。イオン化部の各種パラメータは、生成するイオン種、質量分離部に輸送されるイオン種及び相対強度に影響し、質量分離部に関連するパラメータは、ピーク幅、質量真度、質量分解能、感度等に影響し、検出器のパラメータは信号強度及びシステム感度に影響する。代表的なイオン化法として、電子イオン化(Electro ionization:EI)法、化学イオン化(Chemical ionization:CI)法、エレクトロスプレーイオン化(Electrospray ionization:ESI)法、大気圧化学イオン化(Atmospheric pressure chemical ionization:APCI)法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(Matrix―assisted laser desorption/ionization:MALDI)法等がある。また、質量分析の測定法として、全イオンモニタリング(Total ion monitoring:TIM)、選択イオンモニタリング(Selected ion monitoring:SIM)、選択反応モニタリング(Selected reaction monitoring:SRM)等、被検成分の確認、純度や定量等の試験に必要とされるデータを得ることができる様々な手法がある。成分規格・保存基準各条等に従って検液を調製し、規定された操作条件に従って測定する。質量分析は、分子の質量や構造情報に基づく特異的な検出法として、確認、純度や定量等の試験に用いられる。

(1) 確認の試験 質量分析による被検成分の確認試験は、通例、被検成分の分子の質量の確認により行われる。通例、標準被検成分を用いて、測定値が各条で規定された値の範囲内であること、又は規定されたイオンが検出されることを確認した後、試験を行う。ただし、標準被検成分がない場合、規定されたイオン化法や質量範囲に応じて、装置の各構成ユニットの測定パラメータを最適化する必要がある。クロマトグラフィー等の分離分析と組み合わせて確認試験を実施することもできる。装置の質量分解能及び被検成分の分子の質量に応じて、質量分析で求めた被検成分の分子の質量は、モノアイソトピック質量や分子量に対応させることができる。通常、モノアイソトピックピークより主同位体のみからなる分子の質量を求めるが、分子量が大きい又は分解能が十分でない等の理由でモノアイソトピックピークが確認できない場合は、ピークの加重平均等から分子の平均質量を求める。タンパク質等の分子量が大きな被検成分をESI/MSで分析した場合、多数の多価イオンとして観測されるので、デコンボリューション処理により平均質量を求める。被検成分の分子より生じた特徴的な部分構造情報を含むフラグメントイオンやプロダクトイオンの検出と組み合わせることもある。

(2) 純度及び定量の試験 質量分析による被検成分の純度及び定量の試験は、通例、試料中の被検成分の規格値に対応する濃度の標準溶液等を用いて、クロマトグラフィー等の分離分析と組み合わせて行われる。液体クロマトグラフィー質量分析で用いる移動相の条件はカラム分離とイオン化の両方に適した組成となるよう考慮する必要がある。試験溶液中の特定の成分より生じる分子質量関連イオン若しくは特徴的なフラグメントイオンやプロダクトイオンのピーク面積又は高さを測定し、標準溶液中の対象とする成分より生じるイオンのピーク面積又は高さと比較する。より正確な値や精度のよい結果を得るために、測定対象とする被検成分の安定同位体標識化合物や類似化合物等を内標準物質として試験溶液に添加する方法も可能である。被検成分や内標準物質の分析対象イオンには、純度試験及び定量に適したイオンを選択するよう留意する。また、標準溶液の分析結果から作成する検量線や、内標準物質に対する被検成分の検出感度の比から得られる検量線は、純度試験及び定量に適した濃度範囲の値を用いるよう留意する。クロマトグラフィー等と質量分析を組み合わせて試験を行う場合には、クロマトグラフィーに準じたシステム適合性が求められる。

用語

(1) 電子イオン化(Electron ionization:EI)法:気化した被検成分の分子Mが熱電子のエネルギー(通常は70eV)によりイオン化し、分子イオンM+・や分子の構造情報を持つフラグメントイオンを生じるイオン化法である。分子量が1000程度以下の低分子量で揮発性試料や気体試料等の非極性分子をイオン化するのに適している。再現性の高いフラグメンテーションパターンを有するマススペクトルが得られることから、データライブラリーを利用した化合物の同定等に利用される。

(2) 化学イオン化(Chemical ionization:CI)法:気化した被検成分の分子が、イオン化室に導入したメタンやイソブタン、アンモニア等のガスから熱電子のエネルギーにより生成した反応イオンとのイオン分子反応によりイオン化し、プロトン付加分子[M+H]や脱プロトン分子[M-H]あるいは反応イオン付加分子等が生じる。EI法に比べて生成するイオンの内部エネルギーが小さくなるので、フラグメンテーションは起こりにくい。

(3) エレクトロスプレーイオン化(Electrospray ionization:ESI)法:試料液又は検液を先端が高電圧に印加されたキャピラリーに通し噴霧すると帯電した霧状の液滴が生成する。さらに、溶媒の蒸発に伴い液滴の電荷密度が増大した後、試料分子がイオン化し、[M+H]や[M-H]あるいはアルカリ金属イオン付加分子等が生じる。比較的高極性の低分子から高分子量の被検成分のイオン化に利用され、[M+nH]n+や[M-nH]n-等のような多価イオンを生成しやすい性質を利用してペプチドやタンパク質、多糖等の生体高分子の測定にも応用される。

(4) 大気圧化学イオン化(Atmospheric pressure chemical ionization:APCI)法:試料液又は検液を加熱キャピラリーに通し窒素ガスによる気化・噴霧を行い、高電圧の針電極によるコロナ放電を起こすと溶媒分子がイオン化する。この溶媒イオンとのイオン分子反応によって被検成分の分子がイオン化し、[M+H]や[M-H]あるいはアルカリ金属イオン付加分子等が生じる。分子量1500程度以下の非極性から高極性化合物のイオン化に適している。

(5) マトリックス支援レーザー脱離イオン化(Matrix―assisted laser desorption/ionization:MALDI)法:試料とα―シアノ―4―ヒドロキシケイ皮酸やシナピン酸等のマトリックスを混合したものにパルスレーザーを照射するとマトリックスの電子励起に伴い試料中の被検成分の分子が瞬時に気化・イオン化する。このときマトリックスと被検成分の分子の間でプロトンの授受が起こり、[M+H]や[M-H]あるいはアルカリ金属イオン付加分子等が生じる。適切なマトリックスを選択することにより、数百の低分子量から数十万の高分子量までの化合物のイオン化が可能である。測定に必要な試料量が微量であることからペプチドやタンパク質等の生体由来の被検成分のイオン化に利用される。

(6) 全イオンモニタリング(Total ion monitoring:TIM):フルスキャンモードとも呼ばれる。選択したm/z値の範囲のイオンを全て検出し記録する手法であり、各走査のイオン量の積算値を全イオン電流(Total ion current:TIC)という。

(7) 選択イオンモニタリング(Selected ion monitoring:SIM):選択した特定のm/z値を持つイオンの信号量のみを記録する手法である。液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)やガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)等を用いた、被検成分の定量や高感度検出を行うために用いられる。

(8) 選択反応モニタリング(Selected reaction monitoring:SRM):特定のm/z値のプリカーサーイオンを解離させて生じる特定のm/z値のプロダクトイオンを検出する方法である。SIMと同様に被検成分の定量や高感度検出を行うために用いられる。

G01900

22.重金属試験法

重金属試験法は、添加物中に混在する重金属の限度試験である。この試験における重金属とは、酸性において硫化ナトリウム試液によって呈色する金属性物質をいい、その量は、鉛(Pb)の量として表す。

以下、本試験法を用いる場合において、例えば、「Pbとして20μg/g以下(1.0g、第1法、比較液 鉛標準液(重金属試験用)2.0mL)」とあるのは、本品1.0gを量って試料とし、比較液には鉛標準液(重金属試験用)2.0mLを用い、第1法により操作し、試験を行うとき、重金属がPbとして20μg/g以下であることを示す。

操作法

(1) 検液及び比較液の調製

別に規定するもののほか、次の方法による。

第1法 別に規定する量の試料を量り、比色管に入れ、水約40mLを加えて溶かし、更に酢酸(1→20)2mL及び水を加えて50mLとし、検液とする。

別の比色管に別に規定する量の鉛標準液(重金属試験用)を量って入れ、酢酸(1→20)2mL及び水を加えて50mLとし、比較液とする。

第2法 別に規定する量の試料を量り、石英製又は磁製のるつぼに入れ、緩く蓋をし、弱く加熱して炭化する。冷後、硝酸2mL及び硫酸5滴を加え、白煙が発生しなくなるまで加熱した後、450~550℃で灰化するまで強熱する。冷後、塩酸2mLを加え、水浴上で蒸発乾固し、残留物に塩酸3滴を加えた後、熱湯10mLを加えて2分間加温する。冷後、フェノールフタレイン試液1滴を加え、更にアンモニア試液を液がわずかに赤くなるまで加えた後、比色管に移す。るつぼを水で洗い、洗液を比色管に加え、更に酢酸(1→20)2mL及び水を加えて50mLとし、検液とする。別に、試料の場合と同質のるつぼに硝酸2mL、硫酸5滴及び塩酸2mLを入れ、加熱して蒸発乾固し、残留物に塩酸3滴を加え、以下、検液の調製の場合と同様に操作して別の比色管に移す。るつぼを水で洗い、洗液を比色管に加え、更に別に規定する量の鉛標準液(重金属試験用)、酢酸(1→20)2mL及び水を加えて50mLとし、比較液とする。

ただし、試験に供する検液が澄明でない場合には、検液及び比較液を同一の条件でろ過する。

第3法 別に規定する量の試料を量り、石英製又は磁製のるつぼに入れ、初めは注意して弱く加熱して炭化し、次に強熱して灰化する。冷後、王水1mLを加え、水浴上で蒸発乾固し、残留物を塩酸3滴で潤し、熱湯10mLを加えて2分間加温する。次に、フェノールフタレイン試液1滴を加え、更にアンモニア試液を液がわずかに赤くなるまで加えた後、酢酸(1→20)2mLを加え、必要がある場合には、ろ過し、水10mLで洗い、ろ液及び洗液を比色管に入れ、水を加えて50mLとし、検液とする。別に、試料の場合と同質のるつぼに王水1mLを入れ、水浴上で蒸発乾固し、以下、検液の調製の場合と同様に操作し、ろ液及び洗液を比色管に入れ、別に規定する量の鉛標準液(重金属試験用)及び水を加えて50mLとし、比較液とする。

第4法 別に規定する量の試料を量り、白金製、石英製又は磁製のるつぼに入れ、硝酸マグネシウム六水和物・エタノール(95)溶液(1→10)10mLを加えて混和し、エタノールに点火して燃焼させた後、徐々に加熱して炭化する。冷後、硫酸1mLを加え、注意して加熱した後、500~600℃で強熱して灰化する。この方法で炭化物が残る場合には、少量の硫酸で潤し、再び強熱して灰化する。冷後、残留物に塩酸3mLを加えて溶かし、水浴上で蒸発乾固し、この残留物を塩酸3滴で潤し、水10mLを加え、加温して溶かす。次に、フェノールフタレイン試液1滴を加え、更にアンモニア試液を液がわずかに赤くなるまで加えた後、比色管に移す。るつぼを水で洗い、洗液を比色管に加え、更に酢酸(1→20)2mL及び水を加えて50mLとし、検液とする。別に、試料の場合と同質のるつぼに硝酸マグネシウム六水和物・エタノール(95)溶液(1→10)10mLをとり、エタノールに点火して燃焼させる。冷後、硫酸1mLを加え、以下、検液の調製の場合と同様に操作して別の比色管に移す。るつぼを水で洗い、洗液を比色管に加え、更に別に規定する量の鉛標準液(重金属試験用)、酢酸(1→20)2mL及び水を加えて50mLとし、比較液とする。

ただし、試験に供する検液が澄明でない場合には、検液及び比較液を同一の条件でろ過する。

(2) 試験

別に規定するもののほか、検液及び比較液に硫化ナトリウム試液2滴ずつを加えて混和し、5分間放置した後、両比色管を白色の背景を用い、上方及び側方から観察する。このとき、検液の呈する色は、比較液の呈する色より濃くない。

G02000

23.水分測定法(カールフィッシャー法)

水分測定法は、メタノール等の低級アルコール及びピリジン等の有機塩基の存在下で、水がヨウ素及び二酸化硫黄と次の式に示すように定量的に反応することを利用して水分を測定する方法である。

H2O+I2+SO2+3C5H5N+CH3OH→2C5H5N・HI+C5H5N・HSO4CH3

測定法には、容量滴定法及び電量滴定法がある。

容量滴定法は、反応に必要なヨウ素を水分測定用試液中に溶解させ、試料中の水と反応して消費されたヨウ素の滴定量により、水分を測定する方法である。

電量滴定法は、ヨウ化物イオンを混合した水分測定用陽極液を用い、電解によりヨウ素を発生させる。ヨウ素が定量的に水と反応することに基づき、電解に要した電気量により、水分を測定する方法である。

以下、本試験を用いる場合において、例えば、「4.0%以下(0.5g、容量滴定法、逆滴定)」とあるのは、試料約0.5gを精密に量り、容量滴定法の逆滴定により試験するとき、その水分が試料の採取量の4.0%以下であることを示す。

1.容量滴定法

装置

通例、自動ビュレット、逆滴定フラスコ、かくはん機及び定電圧分極電流滴定装置又は定電流分極電位差滴定装置から成る。

水分測定用試液は、吸湿性が非常に強いので、装置は外部からの吸湿を防ぐように工夫する。防湿にはシリカゲル、水分測定用塩化カルシウム等を使用する。

操作法

水分測定用試液による滴定は、湿気を避けて行い、原則として、これを標定したときの温度と同一の温度で行う。

被滴定液中に一対の白金電極又は双白金電極を浸し、可変抵抗器を適当に調節して電極間に微小電圧を加え、水分測定用試液を滴加するとき変化する電流(マイクロアンペア)を測定する(定電圧分極電流滴定法)。滴定が進むにつれて回路中の電流が大きく変化し、数秒で再び元の位置に戻る。この電流の変化が一定時間(通例、30秒間以上)持続する状態になったときを滴定の終点とする。

又は、電極間に微小電流を流しておき、水分測定用試液を滴加するとき変化する電位差(ミリボルト)を測定する(定電流分極電位差滴定法)。滴定の途中で回路中の電圧計の値が数百ミリボルトの分極状態から急に減少し、消極状態となり、数秒で再び元の状態に戻る。消極状態が一定時間(通例、10~30秒間又はそれ以上)持続する状態になったときを滴定の終点とする。

ただし、逆滴定により定電圧分極電流滴定法を用いる場合には、水分測定用試液が過量に残存する間は、電流計の針が振り切れ、終点に達すると急に元の位置に戻る。定電流分極電位差滴定法を用いる場合には、水分測定用試液が過量に存在する間は、電圧計の値が元の位置にあり、終点に達すると一定の電圧が掛かる。

水分測定用試液による滴定は、別に規定するもののほか、次のいずれかの方法による。終点は、通例、逆滴定を行う場合の方が明瞭に判別できる。

(1) 直接滴定 別に規定するもののほか、次の方法による。

水分測定用メタノール適量を乾燥滴定フラスコに入れ、水分測定用試液を終点まで加えてフラスコ内を無水の状態にしておく。次に、水分5~30mgを含むような量の試料を精密に量り、速やかに滴定フラスコに入れ、かき混ぜて溶かした後、更に激しくかき混ぜながら水分測定用試液で終点まで滴定する。試料が溶媒に溶けないときは手早く粉末とし、水分5~30mgを含むような量の試料を精密に量り、速やかに滴定フラスコに入れ、湿気を避けて5~30分間かき混ぜた後、激しくかき混ぜながら滴定を行う。

試料が溶媒に溶けないとき又は試料がカールフィッシャー反応を妨害するときは、水分気化装置を用いて試料を加熱し、乾燥空気又は窒素をキャリヤーとして試料中の水分を滴定フラスコ中に導入することができる。

なお、滴定は湿度の低い雰囲気下で行う必要があるが、滴定に長時間を要する等雰囲気中の水分の影響が避けられない場合には、試料を測定したときと同様の操作による空試験を行い、補正する。

ただし、

V:滴定に要した水分測定用試液の量(mL)

f:水分測定用試液の1mLに対応する水(H2O)のmg数

M:試料の採取量(mg)

(2) 逆滴定 別に規定するもののほか、次の方法による。

水分測定用メタノール適量を乾燥滴定フラスコに入れ、水分測定用試液を終点まで滴加してフラスコ内を無水の状態にしておく。次に、水分5~30mgを含むような量の試料を精密に量り、速やかに滴定フラスコに入れ、過量の水分測定用試液の一定量を加え、かき混ぜて溶かした後、更に激しくかき混ぜながら水・メタノール標準液で滴定を行う。別に、試料が溶媒に溶けないときは手早く粉末とし、水分5~30mgを含むような量の試料を精密に量り、速やかに滴定フラスコに入れ、過量の水分測定用試液の一定量を加え、湿気を避けて5~30分間かき混ぜた後、更に激しくかき混ぜながら滴定する。

ただし、

V:水分測定用試液の量(mL)

f:水分測定用試液の1mLに対応する水(H2O)のmg数

VS:滴定に要した水・メタノール標準液の量(mL)

f′:水・メタノール標準液1mL中の水(H2O)のmg数

M:試料の採取量(mg)

2.電量滴定法

装置

通例、ヨウ素発生用電解槽を備えた滴定フラスコ、かくはん機及び定電流分極電位差滴定装置から成る。

ヨウ素発生用電解槽は、隔壁で隔てられた陽極及び陰極で構成され、陽極は水分測定用陽極液(発生液)中に、陰極は水分測定用陰極液(対極液)中に浸される。通例、両極とも白金網が用いられる。

水分測定用陽極液及び水分測定用陰極液は吸湿性が非常に強いので、装置は外部からの吸湿を防ぐようにする。防湿には、シリカゲル、水分測定用塩化カルシウム等を用いる。

水分測定用陽極液及び水分測定用陰極液

水分測定用陽極液及び水分測定用陰極液は、一組の試薬として、次のいずれかの方法により調製する。なお、同等以上の精度がある場合には、他の調製方法による水分測定用陽極液及び水分測定用陰極液を使用することができる。

(1) 調製法1

水分測定用陽極液 水分測定用イミダゾール102gを水分測定用メタノール900mLに溶かし、氷冷した後、液温を30℃以下に保ちながら、乾燥した二酸化硫黄を通じ、その増量が64gに達したとき、ヨウ素12gを加えて溶かし、かき混ぜながら、液の色が褐色から黄色に変わるまで水を滴加し、水分測定用メタノールを加えて1000mLとする。

水分測定用陰極液 2,2′―イミノジエタノール塩酸塩24gを水分測定用メタノール100mLに溶かす。

(2) 調製法2

水分測定用陽極液 1,3―ジ(4―ピリジル)プロパン40g及びジエタノールアミン30gを水分測定用メタノール約200mLに溶かし、乾燥した二酸化硫黄を通じ、その増量が25gに達したとき、炭酸プロピレン50mLを加え、ヨウ素6gを溶かした後、水分測定用メタノールを加えて500mLとし、液の色が褐色から黄色に変わるまで水を滴加する。

水分測定用陰極液 水分測定用塩化コリン30gを水分測定用メタノールに溶かして100mLとする。

(3) 調製法3

水分測定用陽極液 ジエタノールアミン100gを水分測定用メタノール又は水分測定用メタノール/水分測定用クロロホルム混液(3:1)900mLに溶かし、冷却しながら、乾燥した二酸化硫黄を通じ、その増量が64gに達したとき、ヨウ素20gを加えて溶かし、液の色が褐色から黄色に変わるまで水を滴加する。

水分測定用陰極液 塩化リチウム25gを水分測定用メタノール/ニトロメタン混液(4:1)1000mLに溶かす。

操作法

滴定フラスコ中に水分測定用陽極液を入れた後、この液中に定電流分極電位差滴定装置の一対の白金電極又は双白金電極を浸す。別に、水分測定用陰極液を満たしたヨウ素発生用電解槽を水分測定用陽極液中に浸す。あらかじめ電解電流を流して、滴定フラスコ内を無水の状態にしておく。次に、水分0.2~5mgを含むような量の試料を精密に量り、速やかに滴定フラスコに入れ、かき混ぜて溶かした後、更に激しくかき混ぜながら終点まで滴定する。試料が陽極液に溶けないときは、手早く粉末とし、水分0.2~5mgを含むような量の試料を精密に量り、速やかに滴定フラスコに入れ、湿気を避けて5~30分間かき混ぜた後、更に激しくかき混ぜながら滴定を行う。別に、試料が溶媒に溶けないとき又は試料がカールフィッシャー反応を妨害するときは、水分気化装置を用いて試料を加熱し、窒素又は乾燥空気をキャリヤーとして試料中の水分を滴定フラスコ中に導入することができる。

滴定開始より終点に至るまでのヨウ素の発生に要した電気量(C)(電流(A)×時間(秒))を測定し、次の式により試料中の水分(%)を求める。

なお、滴定は湿度の低い雰囲気下で行う必要があるが、滴定に長時間を要する等雰囲気中の水分の影響が避けられない場合には、試料を測定したときと同様の操作により空試験を行い、補正する。

ただし、

E:ヨウ素の発生に要した電気量(C)

M:試料の採取量(mg)

G02100

24.赤外吸収スペクトル測定法

赤外吸収スペクトル測定法は、赤外線を試料に照射して得られる吸収スペクトルにより物質の確認を行う方法である。赤外吸収スペクトルは、通例、横軸に波数(cm-1)を、縦軸に透過率(%)又は吸光度をとったグラフで示される。

装置及び調整法

分散型赤外分光光度計又はフーリエ変換赤外分光光度計を用いる。

あらかじめ分光光度計を調整した後、分解能、透過率の再現性及び波数の再現性が、以下の試験に適合することを確認する。厚さ約0.04mmのポリスチレン膜の吸収スペクトルを測定するとき、得られた吸収スペクトルの2870cm-1付近の極小と2850cm-1付近の極大における透過率(%)の差は18%以上である。また、1589cm-1付近の極小と1583cm-1付近の極大の透過率(%)の差は12%以上である。波数目盛りは、通例、ポリスチレン膜の下記の特性吸収波数(cm-1)のうち、いくつかを用いて補正する。なお、( )内の数値は、これらの値の許容範囲を表す。

3060.0(±1.5) 2849.5(±1.5) 1942.9(±1.5) 1601.2(±1.0) 1583.0(±1.0) 1154.5(±1.0) 1028.3(±1.0)

ただし、分散型装置を用いる場合の許容範囲は、1601.2cm-1における吸収波数が1601.2±2.0cm-1、1028.3cm-1における吸収波数が1028.3±2.0cm-1の範囲内にあることとする。

透過率及び波数の再現性は、ポリスチレン膜の3000~1000cm-1における数点の吸収を2回繰り返し測定するとき、透過率の差は0.5%以内とし、波数の差は、3000cm-1付近で5cm-1以内、1000cm-1付近で1cm-1以内とする。

測定用試料の調製及び測定

試料は別に規定するもののほか、成分規格・保存基準各条に「乾燥し」とあるときは、乾燥減量の項の条件で乾燥したものを用いる。測定用試料は最も強い吸収帯(ペースト法における流動パラフィン由来の吸収帯を除く。)の透過率が5~10%の範囲になるように、次のいずれかの方法によって調製する。窓板は臭化カリウム、塩化ナトリウム等を使用する。対照は、通例、複光束型の装置では補償光路側に置かれて試料と同時に測定され、単光束型の装置では試料と同一光路に置かれて別に測定される。対照のとり方は試料調製法により異なり、測定雰囲気のバックグラウンド吸収が用いられることもある。

成分規格・保存基準各条で特に規定されるもののほか、通例、試料の吸収スペクトルは波数4000~600cm-1の範囲で測定する。なお、吸収スペクトルの測定は装置の分解能、波数目盛り及び波数精度の確認を行ったときと同一の操作条件の下で行う。

(1) 錠剤法 固体試料1~2mgをめのう製の乳鉢で粉末とし、これに、別に規定するもののほか、希釈剤として赤外吸収スペクトル測定用臭化カリウム0.10~0.20gを加え、湿気を吸わないように注意し、速やかによくすり混ぜた後、錠剤成形器に入れて加圧製錠する。ただし、必要な場合には、0.67kPa以下の減圧下に錠剤の単位面積(cm2)当たり50~100kN(5000~10000kg)の圧力を5~8分間加えて透明な錠剤を調製する。通例、希釈剤のみを用いて同様にして調製した錠剤を対照として測定する。

(2) 溶液法 成分規格・保存基準各条に規定する方法で調製した検液を液体用固定セルに注入し、通例、検液の調製に用いた溶媒を対照として測定する。なお、本法に用いる溶媒としては、試料との相互作用又は化学反応がなく、窓板を侵さないものを用いる。固定セルの厚さは、通例、0.1mm又は0.5mmとする。

(3) ペースト法 固体試料5~10mgをめのう製の乳鉢で粉末とし、別に規定するもののほか、少量の流動パラフィン、通例、1~2滴を加えてよく練り合わせ、試料ペーストを調製する。調製した試料ペーストを1枚の窓板の中心部に薄く広げた後、空気が入らないように注意しながら、別の窓板で挟み、通例、窓板のみを対照として測定する。

(4) 液膜法 液体試料1~2滴を2枚の窓板の間に挟み、窓板の間にできた液層を測定する。液層を厚くする必要がある場合には、アルミニウム箔等を2枚の窓板の間に挟み、その中に液体試料がたまるようにする。通例、窓板のみを対照として測定する。

(5) 薄膜法 試料を薄膜のまま、又は成分規格・保存基準各条に規定する方法によって薄膜を調製した後、通例、窓板のみを対照として測定する。

(6) 気体試料測定法 排気した5~10cmの長さの光路をもつ気体セルに、試料を別に規定する圧で導入し、通例、気体セルを減圧(真空)にしたものを対照として測定する。必要に応じて1m以上の光路をもつ長光路セルを用いることもある。

(7) ATR法 ATR(減衰全反射)プリズム面に試料を密着させ、その反射スペクトルを測定する。通例、プリズムのみを対照として測定する。

確認方法

試料について、成分規格・保存基準各条等に規定する測定法で得られた吸収スペクトルを、確認しようとする物質の参照スペクトル又は標準品の吸収スペクトルと比較し、同一波数のところに同様の強度の吸収が認められるとき、互いの同一性が確認される。ただし、固体状態で測定された試料の吸収スペクトルが、参照スペクトル又は標準品の吸収スペクトルと異なった場合の取扱いが成分規格・保存基準各条に規定されているとき、規定された条件で試料又は試料及び標準品を処理した後、再測定する。

二つのスペクトルを比較するとき、通例、試料の吸収スペクトルと参照スペクトルが測定される装置は異なったものであり、それらの分解能には差がある。分散型赤外分光光度計の分解能の差に基づく波数の変動は4000~2000cm-1の波数領域で最大となるが、フーリエ変換赤外分光光度計の分解能は、波数によらず一定であるため、その波数精度は、全波数領域において不変である。

成分規格・保存基準各条において赤外吸収スペクトル測定法による確認試験が規定される各品目については、それぞれの各条内に、波数4000~600cm-1における参照スペクトルが掲載されている。ただし、吸収波数による確認法が規定された品目、及びATR法による測定が規定された品目を除く。参照スペクトルについての説明は、試薬・試液等の項の10.参照赤外吸収スペクトルに記載されている。ATR法においては、別に定められた場合を除き、同じ操作条件により得られる標準品の吸収スペクトルとの比較を行う。

G02200

25.旋光度測定法

旋光度測定法は、試料の比旋光度又は旋光度を旋光計によって測定する方法である。一般に光線の振動は、進行方向に垂直に起こるが、通常の光線では、その振動方向は限定されない。しかし、一般に偏光といわれる平面偏光では、振動は進行方向を含む一平面内にのみ起こり、このような光線は、偏光面を有するという。物質又はその溶液には、光の偏光面を右又は左に回転させる性質をもつものがある。この性質を光学活性又は旋光性といい、旋光性の度合いは物質の化学構造に関係する。

旋光度は、光学的活性物質又はその溶液が偏光面を回転する角度であり、旋光計によって測定する。旋光度は、測定管の層長に比例し、溶液の濃度、温度及び波長に関係する。旋光の性質は、偏光の進行方向に向き合って、偏光面を右に回転するものを右旋性、左に回転するものを左旋性とし、偏光面を回転する角度を示す数字の前に、それぞれ記号+又は-を付け、角度を表す数字の右肩に°を付ける。旋光度画像37 (1KB)別ウィンドウが開きます
とは、特定の単色光x(波長又は名称で記載する)を用い、温度t℃で測定したときの偏光面の回転角度を表す。

本試験法を用いる場合において、例えば、「比旋光度 画像38 (5KB)別ウィンドウが開きます

 (1g、水、10mL、乾燥物換算)」とあるのは、本品約1gを精密に量り、水を加えて溶かして正確に10mLとし、この液につき、20℃で測定し、乾燥物換算を行うとき、比旋光度が+20.5~+21.5°であることを示す。また、「旋光度 画像39 (4KB)別ウィンドウが開きます
」とあるのは、本品の液につき、20℃の旋光度が-110.0~-150.0°であることを示す。

装置

旋光計は光源、偏光子、測定管及び検光子から構成される。

その測定は、通例、温度は20℃又は25℃、層長は100mm、光源はナトリウムランプの輝線スペクトルであるナトリウムD線を用いて行う。ただし、層長100mmの試料セルを用いて測定する場合、試料の性質によっては装置が測定できる旋光度の角度範囲を超えることがあるので、測定に適した層長の試料セルを用いる。また、単色光源としては、水銀ランプの輝線スペクトルを用いることもできる。適切な干渉フィルターを用いることによりナトリウムD線に近い光線が得られるのであれば、キセノンランプ等、他の光源を代替法として用いることができる。

装置の正確さの確認

装置の目盛りは、旋光度測定用スクロースで調製した溶液の旋光度を測定し、スクロース固有の比旋光度値が得られることによりその正確さを確認する。日常的には、旋光度が確認されている石英板を使用することができる。また、干渉フィルターを用いてナトリウムD線に近い光線を得る装置を用いた場合、干渉フィルターの性能によっては、ナトリウムランプの輝線スペクトルであるナトリウムD線を用いる装置で得られる測定値とは異なる測定値が得られることがある。この場合、試料を用いて、干渉フィルターを用いた装置が試験の目的を達成するために必要な正確さを備えていることを検証する。

測定

一般に単位濃度(1g/mL)、単位セル長(1mm)当たりの旋光度として比旋光度画像40 (2KB)別ウィンドウが開きます

を規定する。ただし、光学活性な物質の単位濃度を特定できない場合、旋光度画像41 (1KB)別ウィンドウが開きます
を規定する。

比旋光度画像42 (2KB)別ウィンドウが開きます

は、実測される偏光面の回転角画像43 (1KB)別ウィンドウが開きます
より、次式を用いて求める。なお、比旋光度の単位として(°)を用いるが、この単位は便宜的なものであり、正確には(°・mm-1・(g/mL)-1)である。

比旋光度画像44 (2KB)別ウィンドウが開きます
は次の式で表す。

ただし、

t:測定時の温度(℃)

x:特定の単色光の波長(nm)、ただし、ナトリウムD線を用いる場合、単にDと記載する。

α:偏光面を回転した角度(°)

l:測定した液の層長(測定した溶液層の長さ)、すなわち、光路長又はセル長(mm)

c:測定した液の試料の濃度(g/mL)

旋光度画像46 (1KB)別ウィンドウが開きます
は次の式で表す。

G02300

26.タール色素試験法

タール色素試験法は、タール色素の純度試験及び定量に用いる。

1.水不溶物

以下、本試験法を用いる場合において、例えば、「0.20%以下(タール色素試験法)」とあるのは、次の方法によるとき、水不溶物が0.20%以下であることを示す。

操作法

あらかじめるつぼ型ガラスろ過器(1G4)を135℃で30分間乾燥し、デシケーター中で放冷した後、質量を精密に量る。

試料2.0gを量り、熱湯200mLを加えてよく振り混ぜた後、放冷し、不溶物を先のガラスろ過器でろ過し、洗液が無色となるまで水で洗い、ガラスろ過器とともに135℃で3時間乾燥し、デシケーター中で放冷した後、質量を精密に量る。

2.塩化物及び硫酸塩

以下、本試験法を用いる場合において、例えば、「総量として5.0%以下(タール色素試験法)」とあるのは、次の方法によるとき、塩化ナトリウム及び硫酸ナトリウムが、総量として5.0%以下であることを示す。

操作法

別に規定するもののほか、試料約0.1gを精密に量り、水に溶かして正確に100mLとし、この液10mLを正確に量り、水に溶かして正確に50mLとし、検液とする。別に、塩化物イオン標準原液及び硫酸イオン標準原液それぞれ0.5mL、1mL、5mL及び10mLを正確に量り、それぞれに水を加えて正確に100mLとし、標準液とする。検液及び標準液をそれぞれ一定量ずつ量り、次の操作条件でイオンクロマトグラフィーを行う。次にそれぞれの標準液の塩化物イオン及び硫酸イオンのピーク面積又はピーク高さを測定し、検量線を作成する。さらに、検液の塩化物イオン及び硫酸イオンのピーク面積又はピーク高さを測定し、検量線からそれぞれのイオンの量を求め、得られたイオン量に塩化物イオンは1.65、硫酸イオンは1.48を乗じ、検液中の塩化ナトリウム及び硫酸ナトリウムの濃度を求め、試料中の含量を算出する。なお、検液の塩化物イオン及び硫酸イオンのピーク面積又はピーク高さが検量線の範囲を超える場合には、適宜希釈し、換算して試料中の含量を算出する。

操作条件

検出器 電気伝導度計

カラム充填剤 全多孔性陰イオン交換体

カラム管 内径4.6~6.0mm、長さ5~10cmのステンレス管又はプラスチック管

ガードカラム カラムと同一の内径で同一の充填剤を充填したもの。

カラム温度 40℃

移動相 フタル酸0.42g及び2―アミノ―2―ヒドロキシメチル―1,3―プロパンジオール0.29gを水1000mLに溶かす(pH4.0)。

流量 1.5mL/分

3.ヨウ化物

以下、本試験法を用いる場合において、例えば、「0.40%以下(タール色素試験法)」とあるのは、次の方法によるとき、ヨウ化ナトリウムが0.40%以下であることを示す。

操作法

試料約0.1gを精密に量り、水に溶かして正確に100mLとし、この液4mLを正確に量り、水に溶かして正確に10mLとし、検液とする。別に、ヨウ化物イオン標準原液0.5mL、1mL、2mL及び4mLを正確に量り、それぞれに水を加えて正確に100mLとし、標準液とする。検液及び標準液をそれぞれ一定量ずつ量り、塩化物及び硫酸塩の操作法に規定する操作条件でイオンクロマトグラフィーを行う。次に、標準液のヨウ化物イオンのピーク面積又はピーク高さを測定し、検量線を作成する。さらに、検液のヨウ化物イオンのピーク面積又はピーク高さを測定し、検量線からイオンの量を求め、得られたイオン量に1.18を乗じ、検液中のヨウ化ナトリウムの濃度を求め、試料中の含量を算出する。ただし、操作は直射日光を避け、検液の調製は遮光した容器を用い、調製後直ちに試験を行う。

4.臭化物

以下、本試験法を用いる場合において、例えば、「1.0%以下(タール色素試験法)」とあるのは、次の方法によるとき、臭化ナトリウムが1.0%以下であることを示す。

操作法

試料約0.1gを精密に量り、水に溶かして正確に100mLとし、この液4mLを正確に量り、水に溶かして正確に10mLとし、検液とする。別に、臭化物イオン標準原液0.5mL、1mL、2mL及び4mLを正確に量り、それぞれに水を加えて正確に100mLとし、標準液とする。検液及び標準液をそれぞれ一定量ずつ量り、塩化物及び硫酸塩の操作法に規定する操作条件でイオンクロマトグラフィーを行う。次に、標準液の臭化物イオンのピーク面積又はピーク高さを測定し、検量線を作成する。さらに、検液の臭化物イオンのピーク面積又はピーク高さを測定し、検量線からイオンの量を求め、得られたイオン量に1.29を乗じ、検液中の臭化ナトリウムの濃度を求め、試料中の含量を算出する。ただし、操作は直射日光を避け、検液の調製は遮光した容器を用い、調製後直ちに試験を行う。

5.鉛

以下、本試験法を用いる場合において、例えば、「Pbとして2μg/g以下(タール色素試験法、第1法)」とあるのは、第1法により操作し、試験を行うとき、Pbとして2μg/g以下であることを示す。

操作法

(1) 検液、比較液及び空試験液の調製

別に規定するもののほか、次の方法による。

第1法 試料1.0gを量り、白金製、石英製又は磁製のるつぼに入れ、硫酸を少しずつ加えて試料全体を潤し、100℃付近から500℃まで徐々に温度を上げ、内容物を、必要な場合には、ガラス棒で砕きながら、ほとんど炭化し、硫酸の白煙が発生しなくなるまで加熱する。その後、るつぼを電気炉に入れ、徐々に加熱して500~600℃で強熱して灰化する。炭化物が残るときは、硫酸で潤し、硫酸の白煙が発生しなくなるまで加熱した後、再び電気炉で強熱して灰化する。なお、500~550℃で灰化操作を行う場合には、耐熱ガラス製のビーカーが使用できる。冷後、残留物に塩酸(1→4)10mLを加え、必要な場合には、蓋をし、加熱して溶かし、蒸発乾固した後、硝酸(1→100)を加えて溶かし、10mLとし、必要な場合には、ろ過し、検液とする。別に、鉛標準液2mLを正確に量り、硝酸(1→100)を加えて正確に10mLとし、比較液とする。また、試料を用いずに検液の調製と同様に操作して得られた液を空試験液とする。

第2法 試料1.0gを量り、白金製、石英製又は磁製のるつぼに入れ、硝酸マグネシウム六水和物・エタノール(95)溶液(1→10)10mLを加えて混和し、エタノールに点火して燃焼させる。燃焼終了近くになると内容物が飛び散ることがあるため、必要な場合には、蓋を用いる。冷後、硫酸を少しずつ加えて試料全体を潤し、第1法と同様に操作する。炭化物が残るときは、硝酸マグネシウム六水和物・エタノール(95)溶液(1→10)5mLを加えて混和し、同様の操作を繰り返す。なお、500~550℃で灰化操作を行う場合には、耐熱ガラス製のビーカーが使用できる。残留物に塩酸(1→4)30mLを加え、溶けるまで加熱する。冷後、試料液とする。試料液に、クエン酸水素二アンモニウム溶液(1→2)10mLを加える。指示薬としてチモールブルー試液1mLを加え、アンモニア水を液の色が黄色から淡黄緑色に変わるまで加える。この液を分液漏斗又は遠心管に移し、灰化容器を少量の水で洗い、洗液を合わせ、更に水を加えて約100mLとする。ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム溶液(3→100)5mLを加えて5分間放置し、酢酸ブチル10mLを正確に加えて5分間振とうした後、放置又は遠心分離する。酢酸ブチル層をとり、これを検液とする。別に、鉛標準液2mLを正確に量り、試料液と同様に操作し、比較液とする。また、試料を用いずに検液の調製と同様に操作して得られた液を空試験液とする。

(2) 試験

検液、比較液及び空試験液につき、原子吸光光度法(フレーム方式)により次の操作条件で吸光度を測定するとき、検液と空試験液の吸光度の差は、比較液の吸光度以下である。

操作条件

光源ランプ 鉛中空陰極ランプ

分析線波長 283.3nm

支燃性ガス 空気

可燃性ガス アセチレン

6.亜鉛及び鉄

以下、本試験法を用いる場合において、例えば、「Znとして200μg/g以下(タール色素試験法、亜鉛及び鉄(1))」とあるのは、次の(1)の方法によるとき、亜鉛が、Znとして200μg/g以下であることを示す。

操作法

試料1.0gを量り、白金製、石英製若しくは磁製のるつぼ又は耐熱ガラス製のビーカーに入れ、硫酸を少しずつ加えて試料全体を潤し、100℃付近から500℃まで徐々に温度を上げ、必要な場合には、ガラス棒で内容物を砕きながら、内容物がほとんど炭化し、硫酸の白煙が発生しなくなるまで加熱する。その後、るつぼを電気炉に入れ、徐々に加熱して450~550℃で強熱して灰化する。なお、炭化物が残るときは、硫酸で潤し、同様の操作を繰り返す。冷後、残留物に塩酸3mLを加えてかき混ぜ、更に水7mLを加えて振り混ぜ、定量分析用ろ紙(5種C)を用いてろ過する。ろ紙上の残留物を塩酸(1→4)5mL及び水で洗い、洗液をろ液に合わせ、これに水を加えて50mLとし、試料液とする。

(1) 亜鉛 試料液2.5mLを量り、塩酸(1→4)4mL及び水を加えて20mLとし、検液とする。別に、亜鉛標準液1.0mL、塩酸(1→4)4mL及び水を加えて20mLとし、比較液とする。また、試料を用いずに検液の調製と同様に操作して得られた液を空試験液とする。検液、比較液及び空試験液につき、次の操作条件で原子吸光光度法(フレーム方式)により試験を行うとき、検液と空試験液の吸光度の差は、比較液の吸光度以下である。

操作条件

光源ランプ 亜鉛中空陰極ランプ

分析線波長 213.9nm

支燃性ガス 空気

可燃性ガス アセチレン

(2) 鉄 試料液5mLを量り、塩酸(1→4)10mL及び水を加えて50mLとし、検液とする。別に、鉄標準液5.0mL、塩酸(1→4)10mL及び水を加えて50mLとし、比較液とする。また、試料を用いずに検液の調製と同様に操作して得られた液を空試験液とする。検液、比較液及び空試験液につき、次の操作条件で原子吸光光度法(フレーム方式)により試験を行うとき、検液と空試験液の吸光度の差は、比較液の吸光度以下である。

操作条件

光源ランプ 鉄中空陰極ランプ

分析線波長 248.3nm

支燃性ガス 空気

可燃性ガス アセチレン

7.マンガン及びクロム

以下、本試験法を用いる場合において、例えば、「Mnとして50μg/g以下(タール色素試験法、マンガン及び(1))」とあるのは、次の(1)の方法によるとき、マンガンが、Mnとして50μg/g以下であることを示す。

操作法

試料1.0gを量り、白金製、石英製若しくは磁製のるつぼ又は耐熱ガラス製のビーカーに入れ、硫酸を少しずつ加えて試料全体を潤し、100℃付近から500℃まで徐々に温度を上げ、必要な場合には、ガラス棒で内容物を砕きながら、内容物がほとんど炭化し、硫酸の白煙が発生しなくなるまで加熱する。その後、電気炉に入れ、徐々に加熱して450~550℃で強熱して灰化する。炭化物が残るときは、硫酸で潤し、同様の操作を繰り返す。冷後、残留物に塩酸3mLを加えてかき混ぜ、更に水7mLを加えて振り混ぜ、定量分析用ろ紙(5種C)を用いてろ過する。ろ紙上の残留物を塩酸(1→4)5mL及び水5mLで洗い、洗液をろ液に合わせA液とする。先のろ紙上の残留物をろ紙と共に白金製のるつぼに入れ、105℃で乾燥後、150℃付近から500℃まで徐々に温度を上げ、試料がほとんど炭化するまで加熱した後、電気炉に入れ、450~550℃で強熱して灰化する。これに炭酸ナトリウム0.8gを加え、800℃以上で強熱し融解させる。冷後、水10mLを加え、塩酸を滴加して酸性とする。これをビーカーに移し、更にるつぼを少量の水で洗い、洗液をビーカーに加え、激しくかき混ぜた後、A液に加え、更に水を加えて50mLとし、試料液とする。

(1) マンガン 試料液10mLを量り、塩酸(1→4)10mL及び水を加えて50mLとし、検液とする。別に、マンガン標準液1.0mL、塩酸(1→4)10mL及び水を加えて50mLとし、比較液とする。また、試料を用いずに検液の調製と同様に操作して得られた液を空試験液とする。検液、比較液及び空試験液につき、次の操作条件で原子吸光光度法(フレーム方式)により試験を行うとき、検液と空試験液の吸光度の差は、比較液の吸光度以下である。

操作条件

光源ランプ マンガン中空陰極ランプ

分析線波長 279.5nm

支燃性ガス 空気

可燃性ガス アセチレン

(2) クロム 別に規定するもののほか、試料液10mLを量り、塩酸(1→4)10mL及び水を加えて50mLとし、検液とする。別に、クロム標準液4.0mL、塩酸(1→4)10mL及び水を加えて50mLとし、比較液とする。また、試料を用いずに検液の調製と同様に操作して得られた液を空試験液とする。検液、比較液及び空試験液につき、次の操作条件で原子吸光光度法(フレーム方式)により試験を行うとき、検液と空試験液の吸光度の差は、比較液の吸光度以下である。

操作条件

光源ランプ クロム中空陰極ランプ

分析線波長 357.9nm

支燃性ガス 空気

可燃性ガス アセチレン

8.ヒ素

以下、本試験法を用いる場合において、例えば、「Asとして3μg/g以下(タール色素試験法)」とあるのは、次の方法によるとき、ヒ素が、Asとして3μg/g以下であることを示す。

操作法

試料0.50gを量り、磁製のるつぼ又は耐熱性ガラスビーカーに入れ、これに硝酸マグネシウム六水和物・エタノール(95)溶液(1→50)20mLを加え、エタノールに点火して燃焼させる。燃焼終了近くになると内容物が飛び散ることがあるため、必要な場合には、蓋を用いる。その後、150℃付近から500℃まで徐々に温度を上げ、必要な場合には、ガラス棒で内容物を砕きながら、ほとんど炭化するまで加熱する。その後、電気炉に入れ、徐々に加熱して450~550℃で強熱して灰化する。炭化物が残るときは、少量の硝酸で潤し、白煙が発生しなくなるまで加熱した後、再び電気炉に入れて450~550℃で灰化する。冷後、残留物に塩酸6mLを加え、必要な場合には、水約10mLを加え、蓋をし、加熱して溶かす。冷後、水を加えて正確に25mLとし、検液とする。別に、ヒ素標準液3.0mL、塩酸6mL及び水を加えて25mLとし、比較液とする。また、試料を用いずに検液の調製と同様に操作して得られた液を空試験液とする。検液、比較液及び空試験液につき、それぞれの液4mLに塩酸3mL及びヨウ化カリウム溶液(1→10)1mLを加え、室温で30分間放置した後、L(+)―アスコルビン酸溶液(1→10)2mL及び水を加えて20mLとし、ヒ素試験法の装置Cを用いて、試験を行うとき、検液から得られた液と空試験液から得られた液の吸光度の差は、比較液から得られた液の吸光度以下である。

装置により検液、空試験液及び比較液に加える塩酸、ヨウ化カリウム溶液及びL(+)―アスコルビン酸溶液の量や濃度は異なり、装置に導入する検液、比較液、塩酸、ヨウ化カリウム溶液及びテトラヒドロホウ酸ナトリウム試液の流量や濃度が異なる場合もある。

9.副成色素

以下、本試験法を用いる場合において、例えば、「(タール色素試験法、副成色素(1))」とあるのは、次の(1)の方法によることを示す。

(1) 試料約0.1gを精密に量り、酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)を加え、必要な場合には、超音波処理で溶かして酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)で正確に100mLとし、検液とする。別に規定された副成色素を減圧デシケーター中で24時間乾燥し、それぞれ約10mgを精密に量り、酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)にそれぞれ溶かして正確に100mLとし、標準原液とする。これらの標準原液0.5mL、1mL、2mL及び5mLを正確に量り、酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)を加えてそれぞれ正確に100mLとし、標準液とする。検液及び標準液をそれぞれ一定量ずつ量り、次の操作条件で液体クロマトグラフィーを行う。次に、標準液のそれぞれの色素のピーク面積を測定し、検量線を作成する。検液の副成色素のピーク面積を測定し、検量線からそれぞれの色素量を求め、その合計値を求める。なお、検液の副成色素のピーク面積が検量線の範囲を超える場合には、検液を適宜酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)で正確に希釈し、換算して試料中の色素量を求める。

操作条件

検出器 可視吸光光度計又はフォトダイオードアレイ検出器(測定波長 成分規格・保存基準各条に規定)

カラム充填剤 5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲル

カラム管 内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管

カラム温度 40℃付近の一定温度

移動相A 酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)

移動相B アセトニトリル/水混液(7:3)

濃度勾配 成分規格・保存基準各条に規定

流量 1mL/分

(2) 別に規定するもののほか、試料0.1gを量り、酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)を加え、必要な場合には、超音波処理で溶かして酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)で正確に100mLとする。この液2mLを正確に量り、酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)で正確に20mLとし、検液とする。検液の一定量を量り、次の操作条件で液体クロマトグラフィーを行う。検液中の主色素ピーク面積の1000分の1をAとする。検液中の、別に規定する面積測定範囲内に現れるAより大きいピーク面積の総和をATとし、主色素ピーク以外のピークを副成色素としてそのピーク面積の和をASとし、次式により副成色素の量を求める。

副成色素の量(%)=AS/AT×C

ただし、C:含量(%)

操作条件

検出器 可視吸光光度計又はフォトダイオードアレイ検出器(測定波長 成分規格・保存基準各条に規定)

カラム充填剤 5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲル

カラム管 内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管

カラム温度 40℃付近の一定温度

移動相A 酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)

移動相B アセトニトリル/水混液(7:3)

濃度勾配 成分規格・保存基準各条に規定

流量 1mL/分

面積測定範囲 成分規格・保存基準各条に規定

10.未反応原料及び反応中間体

試料約0.1gを精密に量り、別に規定する溶液に溶かして正確に100mLとし、検液とする。別に規定された未反応原料及び反応中間体を減圧デシケーター中で24時間乾燥し、それぞれ約10mgを精密に量り、別に規定するもののほか、酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)を加え、必要な場合には、超音波処理で溶かし、それぞれ酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)で正確に100mLとし、標準原液とする。これらの標準原液0.5mL、1mL、2mL及び5mLを正確に量り、酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)を加えてそれぞれ正確に100mLとし、標準液とする。検液及び標準液をそれぞれ一定量ずつ量り、次の操作条件で液体クロマトグラフィーを行う。次に、それぞれの標準液のピーク面積を測定し、検量線を作成する。検液の未反応原料及び反応中間体のピーク面積を測定し、検量線からその量を求める。

ただし、検量線の直線性が得られるように注入量を調節する。最低濃度の標準液で得られたピーク面積をAとし、検液中のAより大きい未反応原料及び反応中間体のピーク面積を測定し、検量線からその量を求める。なお、検液の未反応原料及び反応中間体のピーク面積が検量線の範囲を超える場合には、検液を適宜酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)で正確に希釈し、換算して試料中の未反応原料及び反応中間体量を求める。

操作条件

検出器 紫外吸光光度計又はフォトダイオードアレイ検出器(測定波長 成分規格・保存基準各条に規定)

カラム充填剤 5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲル

カラム管 内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管

カラム温度 40℃付近の一定温度

移動相A 酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)

移動相B アセトニトリル/水混液(7:3)

濃度勾配 成分規格・保存基準各条に規定

流量 1mL/分

11.非スルホン化芳香族第一級アミン

(1) 本試験法を用いる場合において、例えば、「アニリンとして0.01%以下(タール色素試験法)」とあるのは、次の方法によるとき、非スルホン化芳香族第一級アミンが、アニリンとして0.01%以下であることを示す。

操作法

試料2.0gを量り、水100mLの入った分液漏斗に入れ、更に水50mLを加えて溶かし、水酸化ナトリウム溶液(1→25)5mL及び酢酸エチル50mLを加えて振り混ぜ、抽出する。酢酸エチル層を分取し、水層に酢酸エチル50mLを加えて振り混ぜ、抽出する。酢酸エチル抽出液を合わせ、水酸化ナトリウム溶液(1→250)で、色が無くなるまで水洗する。この酢酸エチル抽出液を、塩酸(3→10)10mLで3回抽出し、塩酸抽出液を合わせ、水を加えて正確に100mLとし、試料液とする。試料液10mLを正確に試験管に量り、10分間氷中で冷やし、臭化カリウム溶液(1→2)1mL及び亜硝酸ナトリウム溶液(1→30)50μLを加えて混和し、10分間氷中で放置する。この混和液を、あらかじめ3―ヒドロキシ―2,7―ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム試液(0.05mol/L)1mL及び炭酸ナトリウム溶液(1→10)10mLを入れた比色管に、水で洗い移して正確に25mLとし、15分間暗所で放置し、検液とする。別に、アニリン0.10gを量り、塩酸(3→10)30mLに溶かし、更に水を加えて正確に100mLとする。この溶液2mLを正確に量り、塩酸(3→10)30mLを加えて、更に水を加えて正確に100mLとする。この溶液10mLを正確に量り、塩酸(3→10)30mLを加えて、更に水を加えて正確に100mLとする。この液を試料液と同様に操作し、比較液とする。検液測定の場合には、試料液10mLを比色管に正確に量り、3―ヒドロキシ―2,7―ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム試液(0.05mol/L)1mL及び炭酸ナトリウム溶液(1→10)10mLを入れ、水を加えて正確に25mLとし、対照とする。比較液測定の場合には、塩酸(3→10)3mLに、3―ヒドロキシ―2,7―ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム試液(0.05mol/L)1mL及び炭酸ナトリウム溶液(1→10)10mLを入れ、水を加えて正確に25mLとし、対照とする。それぞれの液につき、510nmで吸光度を測定するとき、検液の吸光度は、比較液の吸光度以下である。

(2) 本試験法を用いる場合において、例えば、「1―ナフチルアミンとして1.0μg/g以下(タール色素試験法)」とあるのは、次の方法によるとき、1―ナフチルアミンが1.0μg/g以下であることを示す。

操作法

試料約2.5gを精密に量り、ビーカーに入れ、水25mLを加えて溶かし、あらかじめ水酸化ナトリウム溶液(1→25)5滴及びメタノール1mLを入れた50mLのメスフラスコに移す。ビーカーを水10mLずつで2回洗い、洗液をメスフラスコに合わせ、水を加えて50mLとし、試料液とする。20mLのクロマトグラフィー用ケイソウ土を充填した吸着管に、試料液20mLを正確に量って注ぎ、流出させる。1時間放置した後、この吸着管にヘキサン100mLを注ぎ、流出液を200mLのナス型フラスコに採取する。流出液に硫酸(3→20000)0.5mLを加え、約1mLとなるまで約40℃の水浴中で減圧下に濃縮後、フラスコに残留するヘキサンを留去させる。残留物に酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)/アセトニトリル混液(3:2)を加えて溶かして正確に2mLとし、検液とする。別に、1―ナフチルアミン約10mgを精密に量り、メタノールに溶かして正確に100mLとし、標準原液とする。標準原液5mLを正確に量り、酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)/アセトニトリル混液(3:2)を加えて正確に50mLとする。この液を酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)/アセトニトリル混液(3:2)で正確に希釈して1mL中に1―ナフチルアミン0.05~1μgを含むように調製し、標準液とする。検液及び標準液をそれぞれ一定量ずつ量り、次の操作条件で液体クロマトグラフィーを行う。次に、標準液の1―ナフチルアミンのピーク面積を測定し、検量線を作成する。検液の1―ナフチルアミンのピークの保持時間に現れるピーク面積を測定し、検量線からその量を1―ナフチルアミンとして求める。

操作条件

検出器 紫外吸光光度計又はフォトダイオードアレイ検出器(測定波長 304nm)

カラム充填剤 5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲル

カラム管 内径4.6mm、長さ15~25cmのステンレス管

カラム温度 40℃付近の一定温度

移動相 酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)/アセトニトリル混液(3:2)

流量 1mL/分

(3) 本試験法を用いる場合において、例えば、「2―メトキシ―5―メチルアニリンとして10μg/g以下(タール色素試験法)」とあるのは、次の方法によるとき、2―メトキシ―5―メチルアニリンが10μg/g以下であることを示す。

操作法

試料約2.5gを精密に量り、ビーカーに入れ、水25mLを加えて溶かし、あらかじめ水酸化ナトリウム溶液(1→25)5滴及びメタノール1mLを入れた50mLのメスフラスコに移す。ビーカーを水10mLずつで2回洗い、洗液をメスフラスコに合わせて水を加えて50mLとし、試料液とする。20mLのクロマトグラフィー用ケイソウ土を充填した吸着管に、試料液20mLを正確に量って注ぎ、流出させる。1時間放置した後、この吸着管にヘキサン100mLを注ぎ、流出液を200mLのナス型フラスコに採取する。流出液に硫酸(3→20000)0.5mLを加え、約1mLとなるまで約40℃の水浴中で減圧下に濃縮後、フラスコに残留するヘキサンを留去させる。残留物に酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)/アセトニトリル混液(3:2)を加えて溶かして正確に2mLとし、検液とする。別に、2―メトキシ―5―メチルアニリン約10mgを精密に量り、メタノールに溶かして正確に100mLとし、標準原液とする。標準原液を酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)/アセトニトリル混液(3:2)で正確に希釈して1mL中に2―メトキシ―5―メチルアニリン0.5~10μgを含むように調製し、標準液とする。検液及び標準液をそれぞれ一定量ずつ量り、次の操作条件で液体クロマトグラフィーを行う。次に、標準液の2―メトキシ―5―メチルアニリンのピーク面積を測定し、検量線を作成する。検液の2―メトキシ―5―メチルアニリンのピークの保持時間に現れるピーク面積を測定し、検量線からその量を2―メトキシ―5―メチルアニリンとして求める。

操作条件

検出器 紫外吸光光度計又はフォトダイオードアレイ検出器(測定波長 290nm)

カラム充填剤 5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲル

カラム管 内径4.6mm、長さ15~25cmのステンレス管

カラム温度 40℃付近の一定温度

移動相 酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)/アセトニトリル混液(3:2)

流量 1mL/分

12.色素前駆体(ロイコ体)

10.未反応原料及び反応中間体の検液を用いて、試験を行う。別に規定する色素前駆体標準原液を酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)で正確に希釈して1mL中に色素前駆体50μgを含むように調製し、比較液とする。検液及び比較液をそれぞれ一定量ずつ量り、次の操作条件で液体クロマトグラフィーを行うとき、検液の色素前駆体のピーク面積は比較液の色素前駆体面積以下である。ただし、色素前駆体ピークが複数の場合には、その合計面積を用いる。

操作条件

検出器 紫外吸光光度計又はフォトダイオードアレイ検出器(測定波長 254nm)

カラム充填剤 5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲル

カラム管 内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管

カラム温度 40℃付近の一定温度

移動相A 酢酸アンモニウム試液(0.02mol/L)

移動相B アセトニトリル/水混液(7:3)

濃度勾配 成分規格・保存基準各条に規定

流量 1mL/分

13.定量法

(1) 塩化チタン(Ⅲ)法

(i) 別に規定する量の検液を正確に量り、500mLの広口三角フラスコに入れ、クエン酸三ナトリウム二水和物15g及び水を加え、必要な場合には、超音波処理で溶かし、水を加えて約200mLとし、この液中に二酸化炭素又は窒素を通じながら、かつ同時に激しく沸騰させながら0.1mol/L塩化チタン(Ⅲ)溶液で滴定する。終点は、試料の固有の色が消えるときとする。

(ii) クエン酸三ナトリウム二水和物の代わりに(+)―酒石酸水素ナトリウム一水和物15gを用いて(i)と同様に行う。

(iii) クエン酸三ナトリウム二水和物の代わりに(+)―酒石酸水素ナトリウム一水和物15gを用いて(i)と同様に行う。ただし、指示薬としてライトグリーンSFイエロー(1→1000)10mLを用い、別に空試験を行い、補正する。

(iv) クエン酸三ナトリウム二水和物の代わりに(+)―酒石酸ナトリウム二水和物20gを用いて(i)と同様に行う。終点は、試料の固有の色が消え、橙色を呈したときとする。

(2) 質量法 あらかじめるつぼ型ガラスろ過器(G4)を135℃で30分間乾燥し、デシケーター中で放冷した後、質量を精密に量る。別に規定する量の検液を正確に量り、500mLのビーカーに入れ、沸騰させた後、塩酸(1→50)25mLを加え、再び煮沸する。次に、ビーカーの内壁を水約5mLで洗い、時計皿等で覆い、水浴上で約5時間加熱した後、放冷する。沈殿は先のガラスろ過器でろ過し、容器及び沈殿を塩酸(1→200)10mLずつで3回洗い、更に水約10mLずつで2回洗う。

この沈殿をガラスろ過器とともに135℃で3時間乾燥し、デシケーター中で放冷した後、質量を精密に量る。

G02400

27.タール色素製剤試験法

タール色素製剤試験法は、タール色素の製剤の確認試験及び純度試験に用いる。

1.タール色素製剤に含まれる色素

検液及び対照液2μLにつき、1―ブタノール/アンモニア水(1→25)/エタノール(99.5)混液(6:3:2)を展開溶媒としてろ紙クロマトグラフィーを行い、展開溶媒が約15cm上昇したとき展開を止め、風乾した後、白色板上に載せ、自然光下で上方から観察する。ただし、ろ紙は、クロマトグラフィー用ろ紙を用いる。また、タール色素の分離が十分でない場合には、エタノール(99.5)(1→4)/アンモニア水(1→5)混液(1:1)を展開溶媒とする。

2.タール色素製剤に含まれる色素レーキ

(1) 別に規定する量の試料を量り、酢酸(1→3)60mLを加え、沸騰するまで加熱した後、放冷する。次にアセトンを加えて100mLとし、よく混和し、上澄液を検液とする。検液及び対照液2μLにつき、1―ブタノール/アンモニア水(1→25)/エタノール(99.5)混液(6:3:2)を展開溶媒としてろ紙クロマトグラフィーを行い、展開溶媒が約15cm上昇したとき展開を止め、風乾した後、白色板上に載せ、自然光下で上方から観察する。ただし、ろ紙は、クロマトグラフィー用ろ紙を用いる。また、タール色素の分離が十分でない場合には、エタノール(99.5)(1→4)/アンモニア水(1→5)混液(1:1)を展開溶媒とする。

(2) 酢酸(1→3)の代わりにアンモニア水(1→25)を用い、エタノール(99.5)(1→4)/アンモニア水(1→5)混液(1:1)を展開溶媒として(1)と同様に行う。

(3) 酢酸(1→3)の代わりに酢酸(1→20)を用い、(1)と同様に行う。

3.重金属

以下、本試験法を用いる場合において、例えば、「Pbとして20μg/g以下(タール色素製剤試験法、重金属)」とあるのは、次の方法によるとき、重金属が、Pbとして20μg/g以下であることを示す。

操作法

(1) 検液及び比較液の調製

(i) アルミニウムレーキを含まないタール色素の製剤の場合

試料2.5gを量り、白金製、石英製若しくは磁製のるつぼ又は耐熱ガラス製のビーカーに入れ、硫酸を少しずつ加えて試料全体を潤し、100℃付近から500℃まで徐々に温度を上げ、必要な場合には、ガラス棒で内容物を砕きながら、内容物がほとんど炭化し、硫酸の白煙が発生しなくなるまで加熱する。その後、電気炉に入れ、徐々に加熱して450~550℃で強熱して灰化する。炭化物が残るときは、硫酸で潤し、同様の操作を繰り返す。冷後、残留物に塩酸3mLを加えてかき混ぜ、更に水7mLを加えて振り混ぜ、定量分析用ろ紙(5種C)を用いてろ過する。ろ紙上の残留物を塩酸(1→4)5mL及び水で洗い、洗液をろ液に合わせ、これに水を加えて50mLとし、試料液とする。試料液20mLを量り、比色管に入れ、フェノールフタレイン試液1滴を加え、液が赤色を呈するまでアンモニア試液を滴加し、更に酢酸(1→4)2mLを加え、必要な場合には、ろ過し、ろ紙を水で洗い、水を加えて50mLとし、検液とする。別に、試料を用いずに試料液の調製と同様に操作し、これをA液とする。A液20mLを量り、比色管に入れる。鉛標準液(重金属試験用)2.0mLを正確に量り、先の比色管に入れ、フェノールフタレイン試液1滴を加え、検液の調製と同様に操作し、比較液とする。

(ii) タール色素アルミニウムレーキを含むタール色素の製剤の場合

試料2.5gを量り、(i)と同様に灰化する。冷後、残留物に塩酸5mL及び硝酸1mLを加えて塊を十分に砕き、加熱して蒸発乾固し、必要な場合には、電気炉に入れ、450~550℃で1時間強熱する。さらに、塩酸5mLを加えて塊を十分に砕き、再度加熱して蒸発乾固する。残留物に塩酸(1→4)10mLを加え、加熱して溶かす。冷後、定量分析用ろ紙(5種C)を用いてろ過し、ろ紙上の残留物を塩酸(1→4)約30mLで洗い、洗液をろ液に合わせ、加熱して蒸発乾固する。次に、この残留物に塩酸(1→4)10mLを加え、加熱して溶かす。冷後、ろ過する。さらに、容器及びろ紙上の残留物を塩酸(1→4)5mL及び水で洗い、洗液をろ液に合わせ、水を加えて50mLとし、試料液とする。試料液20mLを量り、比色管に入れ、酢酸アンモニウム溶液(2→15)を加えてpHを約4とした後、水を加えて50mLとし、検液とする。別に、試料を用いずに試料液の場合と同様に操作し、これをA液とする。A液20mLを量り、比色管に入れる。鉛標準液(重金属試験用)2.0mLを量り、A液を入れた比色管に入れ、検液の調製と同様に操作して、比較液とする。

(2) 試験

検液及び比較液に硫化ナトリウム試液を2滴ずつ加えて振り混ぜ、5分間放置するとき、検液の呈する色は、比較液の呈する色より濃くない。

4.マンガン及びクロム

以下、本試験法を用いる場合において、例えば、「Mnとして50μg/g以下(タール色素製剤試験法、マンガン及びクロム(1))」とあるのは、次の方法(1)によるとき、Mnとして50μg/g以下であることを示す。

(1) マンガン 試料2.5gを量り、白金製、石英製若しくは磁製のるつぼ又は耐熱ガラス製のビーカーに入れ、硫酸を少しずつ加えて試料全体を潤し、100℃付近から500℃まで徐々に温度を上げ、必要な場合には、ガラス棒で内容物を砕きながら、内容物がほとんど炭化し、硫酸の白煙が発生しなくなるまで加熱する。その後、電気炉に入れ、徐々に加熱して450~550℃で強熱して灰化する。炭化物が残るときは、硫酸で潤し、同様の操作を繰り返す。冷後、残留物に塩酸3mLを加えてかき混ぜ、更に水7mLを加えて振り混ぜ、定量分析用ろ紙(5種C)を用いてろ過する。ろ紙上の残留物を塩酸(1→4)5mL及び水5mLで洗い、洗液をろ液に合わせてA液とする。先のろ紙上の残留物をろ紙とともに白金製のるつぼに入れ、105℃で乾燥後、約450℃で加熱灰化する。これに炭酸ナトリウム2gを加え、800℃以上で強熱し、融解させる。冷後、水10mLを加え、塩酸を滴加して酸性とする。これをビーカーに移し、更にるつぼを少量の水で洗い、洗液をビーカーに加え、激しくかき混ぜた後、A液に加え、更に水を加えて50mLとし、試料液とする。また、試料を用いずに試料液の調製と同様に操作し、B液とする。色素の含有量が50%を超える場合には、試料液4.0mLを量り、塩酸(1→4)10mL及び水を加えて50mLとし、検液とする。別に、B液4.0mL、マンガン標準液1.0mL、塩酸(1→4)10mL及び水を加えて50mLとし、比較液とする。色素の含有量が50%以下の場合には、試料液及びB液をそれぞれ8.0mLずつ量り、検液及び比較液を調製する。検液及び比較液につき、次の操作条件で原子吸光光度法により試験を行うとき、検液の吸光度は、比較液の吸光度以下である。

操作条件

光源ランプ マンガン中空陰極ランプ

分析線波長 279.5nm

支燃性ガス 空気

可燃性ガス アセチレン

(2) クロム 色素の含有量が50%を超える場合には、(1)の試料液10mLを量り、塩酸(1→4)10mL及び水を加えて50mLとし、検液とする。別に、(1)のB液10mL、クロム標準液10mL、塩酸(1→4)10mL及び水を加えて50mLとし、比較液とする。色素の含有量が50%以下の場合には、(1)の試料液及び(1)のB液をそれぞれ20mLずつ量り、検液及び比較液を調製する。検液及び比較液につき、次の操作条件で原子吸光光度法により試験を行うとき、検液の吸光度は、比較液の吸光度以下である。

操作条件

光源ランプ クロム中空陰極ランプ

分析線波長 357.9nm

支燃性ガス 空気

可燃性ガス アセチレン

G02500

28.タール色素レーキ試験法

タール色素レーキ試験法は、タール色素レーキの純度試験及び定量に用いる。

1.塩酸及びアンモニア不溶物

以下、本試験法を用いる場合において、例えば、「0.5%以下(タール色素レーキ試験法)」とあるのは、次の方法によるとき、塩酸及びアンモニア不溶物が0.5%以下であることを示す。

操作法

あらかじめるつぼ型ガラスろ過器(G4)を135℃で30分間乾燥し、デシケーター中で放冷した後、質量を精密に量る。

試料約2gを精密に量り、水20mLを加えて混和した後、塩酸20mLを加えてよくかき混ぜ、更に熱湯300mLを加えてよく振り混ぜる。次に容器を時計皿等で覆い、水浴上で30分間加熱した後、放冷し、遠心分離し、上澄液を先のるつぼ型ガラスろ過器でろ過する。必要な場合には、数回に分けて遠心分離し、順次上澄液をろ過してもよい。容器内の不溶物は少量の水で遠心管に移し、更に水を加えて約50mLとし、遠心分離し、上澄液をろ過器でろ過した後、容器内の不溶物を少量の水を用いてろ過器に移す。さらに、容器・ガラスろ過器上の不溶物を水5mLずつで2回洗い、その後ガラスろ過器上の不溶物をアンモニア水(1→25)で洗液がほとんど無色となるまで洗った後、塩酸(1→35)10mLで洗う。ただし、残が多く、水で洗う時にろ過に時間を要する場合には、アンモニア水(1→25)でガラスろ過器の内容物を溶解させながら、ろ過してもよい。次に洗液が硝酸銀溶液(1→50)で変化しなくなるまで水で洗い、ガラスろ過器とともに135℃で3時間乾燥し、デシケーター中で放冷した後、質量を精密に量る。

2.ヨウ化物

以下、本試験法を用いる場合において、例えば、「0.20%以下(タール色素レーキ試験法)」とあるのは、次の方法によるとき、ヨウ化ナトリウムが0.20%以下であることを示す。

操作法

試料約0.1gを精密に量り、水25mLを正確に量って加え、約30分間時々振り混ぜた後、乾燥ろ紙でろ過し、このろ液5mLを正確に量り、水に溶かして正確に50mLとし、検液とする。別にヨウ化物イオン標準原液0.5mL、1mL、2mL及び4mLを正確に量り、それぞれ水を加えて正確に100mLとし、標準液とする。検液及び標準液をそれぞれ一定量ずつ量り、次の操作条件でイオンクロマトグラフィーを行う。次に標準液のヨウ化物イオンのピーク面積又はピーク高さを測定し、検量線を作成する。さらに、検液のヨウ化物イオンのピーク面積又はピーク高さを測定し、検量線からイオンの量を求め、得られたイオン量に1.18を乗じ、検液中のヨウ化ナトリウムの濃度を求め、試料中の含量を算出する。ただし、操作は直射日光を避け、検液の調製は遮光した容器を用い、調製後直ちに試験を行う。

操作条件

検出器 電気伝導度計

カラム充填剤 全多孔性陰イオン交換体

カラム管 内径4.6~6.0mm、長さ5~10cmのステンレス管又はプラスチック管

ガードカラム カラムと同一の内径で同一の充填剤を充填したもの

カラム温度 40℃

移動相 フタル酸0.42g及び2―アミノ―2―ヒドロキシメチル―1,3―プロパンジオール0.29gを水1000mLに溶かす(pH4.0)。

流量 1.5mL/分

3.鉛

以下、本試験法を用いる場合において、例えば、「Pbとして5μg/g以下(タール色素レーキ試験法、鉛)」とあるのは、次の方法によるとき、鉛が、Pbとして5μg/g以下であることを示す。

操作法

(1) 検液、比較液及び空試験液の調製

試料1.0gを量り、白金製、石英製又は磁製のるつぼに入れ、硫酸を少しずつ加えて試料全体を潤し、100℃付近から500℃まで徐々に温度を上げ、内容物を、必要な場合には、ガラス棒で砕きながら、ほとんど炭化し、硫酸の白煙が発生しなくなるまで加熱する。その後、灰化容器を電気炉に入れ、徐々に加熱して500~600℃で強熱して灰化する。炭化物が残るときは、硫酸で潤し、硫酸の白煙が発生しなくなるまで加熱した後、再び電気炉で強熱して灰化する。なお、500~550℃で灰化操作を行う場合には、耐熱ガラス製のビーカーを使用できる。冷後、残留物に塩酸(1→4)30mLを加え、必要な場合には、蓋をし、加熱して溶かす。冷後、試料液とする。試料液に、クエン酸水素二アンモニウム溶液(1→2)10mLを加える。指示薬としてチモールブルー試液1mLを加え、アンモニア水を液の色が黄色から淡黄緑色に変わるまで加える。この液を分液漏斗又は遠心管に移し、灰化容器を少量の水で洗い、洗液を合わせ、更に水を加えて約100mLとする。ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム溶液(3→100)5mLを加えて5分間放置し、酢酸ブチル10mLを正確に加えて5分間振とうした後、放置又は遠心分離する。酢酸ブチル層をとり、これを検液とする。別に、鉛標準液5mLを正確に量り、検液の調製と同様に操作し、比較液とする。また、試料を用いずに検液の調製と同様に操作した液を空試験液とする。

(2) 試験

検液、比較液及び空試験液につき、原子吸光光度法(フレーム方式)により次の操作条件で吸光度を測定するとき、検液と空試験液の吸光度の差は比較液の吸光度以下である。

操作条件

光源ランプ 鉛中空陰極ランプ

分析線波長 283.3nm

支燃性ガス 空気

可燃性ガス アセチレン

4.亜鉛及び鉄

以下、本試験法を用いる場合において、例えば、「Znとして50μg/g以下(タール色素レーキ試験法、亜鉛及び鉄(1))」とあるのは、次の(1)の方法によるとき、亜鉛が、Znとして50μg/g以下であることを示す。

操作法

試料1.0gを量り、白金製、石英製若しくは磁製のるつぼ又は耐熱ガラス製のビーカーに入れ、硫酸を少しずつ加えて試料全体を潤し、100℃付近から500℃まで徐々に温度を上げ、必要な場合には、ガラス棒で内容物を砕きながら、内容物がほとんど炭化し、硫酸の白煙が発生しなくなるまで加熱する。その後、灰化容器を電気炉に入れ、徐々に加熱して450~550℃で強熱して灰化する。炭化物が残るときは、硫酸で潤し、同様の操作を繰り返す。冷後、残留物に塩酸5mL及び硝酸1mLを加えて塊を十分に砕き、加熱して蒸発乾固する。さらに、塩酸5mLを加えて塊を十分に砕き、再度加熱して蒸発乾固する。残留物に塩酸(1→4)10mLを加え、加熱して溶かす。冷後、定量分析用ろ紙(5種C)を用いてろ過し、ろ紙上の残留物を塩酸(1→4)約30mLで洗い、洗液をろ液に合わせ、加熱して蒸発乾固する。次に、この残留物に塩酸(1→4)10mLを加え、加熱して溶かす。冷後、ろ過する。さらに、容器及びろ紙上の残留物を塩酸(1→4)5mL及び水で洗い、洗液をろ液に合わせ、水を加えて50mLとし、試料液とする。

(1) 亜鉛 試料液10.0mLを量り、塩酸(1→4)4mL及び水を加えて20mLとし、検液とする。別に、亜鉛標準液1.0mL、塩酸(1→4)4mL及び水を加えて20mLとし、比較液とする。また、試料を用いずに検液の調製と同様に操作して調製した液を空試験液とする。検液、比較液及び空試験液につき、次の操作条件で原子吸光光度法(フレーム方式)により試験を行うとき、検液と空試験液の吸光度の差は、比較液の吸光度以下である。

操作条件

光源ランプ 亜鉛中空陰極ランプ

分析線波長 213.9nm

支燃性ガス 空気

可燃性ガス アセチレン

(2) 鉄 試料液10mLを量り、塩酸(1→4)10mL及び水を加えて50mLとし、検液とする。別に、鉄標準液5.0mL、塩酸(1→4)10mL及び水を加えて50mLとし、比較液とする。また、試料を用いずに検液の調製と同様に操作して調製した液を空試験液とする。検液、比較液及び空試験液につき、次の操作条件で原子吸光光度法(フレーム方式)により試験を行うとき、検液と空試験液の吸光度の差は、比較液の吸光度以下である。

操作条件

光源ランプ 鉄中空陰極ランプ

分析線波長 248.3nm

支燃性ガス 空気

可燃性ガス アセチレン

5.バリウム

以下、本試験法を用いる場合において、例えば、「Baとして500μg/g以下(タール色素レーキ試験法)」とあるのは、次の方法によるとき、バリウムが、Baとして500μg/g以下であることを示す。

操作法

試料約0.10gを精密に量り、硝酸5mLを加え、100℃で5時間加熱する。冷後、水で正確に100mLとし、検液とする。別に、バリウム標準液1mLを正確に量り、水を加えて正確に100mLとする。この液5mLを正確に量り、水約50mLを加え、更に硝酸5mLを加える。冷後、水を加えて正確に100mLとし、比較液とする。また、試料を用いずに検液の調製と同様に操作した液を空試験液とする。検液、比較液及び空試験液につき、誘導結合プラズマ発光分光分析法により試験を行うとき、検液と空試験液の発光強度の差は、比較液の発光強度以下である。

6.ヒ素

以下、本試験法を用いる場合において、例えば、「Asとして3μg/g以下(タール色素レーキ試験法)」とあるのは、次の方法によるとき、ヒ素が、Asとして3μg/g以下であることを示す。

操作法

試料0.50gを量り、磁製のるつぼ又は耐熱性ガラスビーカーに入れ、これに硝酸マグネシウム六水和物・エタノール(95)溶液(1→10)20mLを加え、エタノールに点火して燃焼させる。燃焼終了近くになると内容物が飛び散ることがあるため、必要な場合には、蓋を用いる。その後、150℃付近から500℃まで徐々に温度を上げ、必要な場合には、ガラス棒で内容物を砕きながら、ほとんど炭化するまで加熱する。その後、電気炉に入れ、徐々に加熱して450~550℃で強熱して灰化する。炭化物が残るときは、少量の硝酸で潤し、白煙が発生しなくなるまで加熱した後、再び電気炉に入れ450~550℃で強熱して灰化する。冷後、残留物に塩酸6mLを加え、必要な場合には、水約10mLを加え、蓋をし、加熱して溶かす。冷後、水を加えて25mLとし、検液とする。別に、ヒ素標準液3.0mL、塩酸6mL及び水を加えて25mLとし、比較液とする。また、試料を用いずに検液の調製と同様に操作して得られた液を空試験液とする。検液、比較液及び空試験液につき、それぞれの液4mLに塩酸3mL及びヨウ化カリウム溶液(1→10)1mLを加え、室温で30分間放置した後、L(+)―アスコルビン酸溶液(1→10)2mL及び水を加えて20mLとし、ヒ素試験法の装置Cを用いて、試験を行うとき、検液から得られた液と空試験液から得られた液の吸光度の差は、比較液から得られた液の吸光度以下である。

装置により検液及び比較液に加える塩酸、ヨウ化カリウム溶液及びL(+)―アスコルビン酸溶液の量や濃度は異なり、装置に導入する検液、比較液、塩酸、ヨウ化カリウム溶液及びテトラヒドロホウ酸ナトリウム試液の流量や濃度が異なる場合もある。

7.定量法

(1) 別に規定する量の試料を精密に量り、500mLの広口三角フラスコに入れ、硫酸(1→20)20mLを加え、よく振り混ぜた後、熱湯50mLを加え、加熱して溶かす。さらに、熱湯150mLを加えた後、クエン酸三ナトリウム二水和物15gを加えて、必要な場合には、超音波処理で溶かし、この液中に二酸化炭素又は窒素を通じながら、かつ同時に激しく沸騰させながら0.1mol/L塩化チタン(Ⅲ)溶液で滴定する。終点は、試料の固有の色が消えるときとする。

(2) クエン酸三ナトリウム二水和物の代わりに(+)―酒石酸水素ナトリウム一水和物15gを用いて(1)と同様に行う。

(3) クエン酸三ナトリウム二水和物の代わりに(+)―酒石酸水素ナトリウム一水和物15gを用いて(1)と同様に行う。ただし、指示薬としてライトグリーンSFイエロー(1→1000)10mLを用い、別に空試験を行い、補正する。

G02600

29.窒素定量法

窒素定量法は、試料に含まれる窒素元素の量を測定する方法である。窒素を含む有機化合物を硫酸で加熱分解し、窒素をアンモニア性窒素とした後、アルカリにより遊離させ、水蒸気蒸留法により捕集したアンモニアを滴定法により定量する方法のほか、元素分析法により試料を高温で燃焼・還元し、発生する窒素ガスを定量する方法がある。

(1) ケルダール法

装置

概略は、図1による。ただし、接続部は、すり合わせにしてもよい。

A:ケルダールフラスコ(硬質ガラス製 容量約300mL)

B:ガラス管

C:アルカリ溶液注入用漏斗

D:ゴム管(BとCを連結する。途中にピンチコックが付けてある。)

E:しぶき止め

F:蒸留管

G:冷却器

H:吸収用フラスコ(容量約300mL)

図1

操作法

別に規定するもののほか、窒素20~30mgに対応する量の試料を精密に量り、Aに入れ、硫酸カリウムの粉末5g、硫酸銅(Ⅱ)五水和物0.5g及び硫酸20mLを加える。次にAを約45°に傾け、泡立ちがほとんど止むまで穏やかに加熱し、更に温度を上げて沸騰させ、内容物が青色の透明な液となった後、更に1~2時間加熱する。冷後、水150mLを徐々に加え、冷却する。冷後、沸騰石又は粒状の亜鉛2~3粒を加え、装置を組み立てる。

Hに0.05mol/L硫酸25mLを正確に量って入れ、更に水約50mLを加え、Gの下端をこの液中に浸す。次に、Cから水酸化ナトリウム溶液(2→5)85mLを徐々に加え、更に少量の水で洗い込み、Dの部分のピンチコックを閉じ、Aを軽く揺り動かして内容物を混和した後、穏やかに加熱し、沸騰し始めたならば加熱を強めて、内容物の約2/3容量が留出するまで蒸留する。次に、Gの下端をHの液面から離し、更にしばらく蒸留を続けた後、Gの下端を少量の水で洗い込み、Hの液中の過量の硫酸を0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液で滴定する。終点の確認には、電位差計又は指示薬(ブロモクレゾールグリーン・メチルレッド混合試液3滴)を用いる。指示薬を用いる場合の終点は、液の赤紫色が微灰黄色を経て微灰緑色に変わるときとする。別に空試験を行い、補正する。

0.05mol/L硫酸1mL=1.401mg N

(2) セミミクロケルダール法

装置

概略は、図2による。総硬質ガラス製で、接続部はすり合わせにしてもよい。装置に用いるゴムは、全て水酸化ナトリウム溶液(1→25)中で10~30分間煮沸し、次に水中で30~60分間煮沸し、最後に水でよく洗ってから用いる。

ただし、有機物の分解、生成したアンモニアの蒸留及びその定量における滴定終点検出法等に自動化された装置を用いることもできる。

A:ケルダールフラスコ

B:水蒸気発生器(硫酸2~3滴を加えた水を入れ、突沸を避けるために沸騰石を入れる。)

C:しぶき止め

D:給水用漏斗

E:蒸気管

F:アルカリ溶液注入用漏斗

G:ピンチコック付きゴム管

H:小孔(径は、管の内径にほぼ等しい。)

J:冷却器(下端は、斜めに切ってある。)

K:受器

図2

操作法

別に規定するもののほか、窒素2~3mgに対応する量の試料を精密に量るか、又はピペットで正確に量り、Aに入れ、これに硫酸カリウム10gと硫酸銅(Ⅱ)五水和物1gの混合物の粉末1gを加え、Aの首に付着した試料を少量の水で洗い込み、更にAの内壁に沿って硫酸7mLを加える。

次に、Aを振り動かしながら、過酸化水素1mLを少量ずつ内壁に沿って注意して加える。Aを徐々に加熱し、更にAの首で硫酸が液化する程度に加熱する。液が青色澄明を経て鮮やかな緑色透明となり、Aの内壁に炭化物を認めなくなったとき、加熱をやめる。必要な場合には、冷却した後、過酸化水素少量を追加し、再び加熱する。冷後、水20mLを注意しながら加えて冷却する。

次に、Aをあらかじめ水蒸気を通じて洗った蒸留装置に連結する。Kにはホウ酸溶液(1→25)15mLを入れ、適量の水を加え、Jの下端をこの液に浸す。Fから水酸化ナトリウム溶液(2→5)30mLを加え、注意して水10mLで洗い込み、Gのピンチコックを閉じ、水蒸気を通じて留液80~100mLを得るまで蒸留する。Jの下端を液面から離し、少量の水でJの下端を洗い込み、0.005mol/L硫酸で滴定する。終点の確認には、電位差計又は指示薬(ブロモクレゾールグリーン・メチルレッド混合試液3滴)を用いる。指示薬を用いる場合の終点は、液の緑色が微灰青色を経て微灰赤紫色に変わるときとする。別に空試験を行い、補正する。

0.005mol/L硫酸1mL=0.1401mg N

ただし、自動化された装置を用いる場合、その操作法はそれぞれの装置の指示に従って行う。

(3) 元素分析法

装置

一般試験法の項16.元素分析法に準拠し、窒素の分析法に適した、十分な真度、精度が得られる装置を用いる。

操作法

別に規定するもののほか、次の方法による。

試料0.002~0.5gを精密に量り、装置に適した方法で測定し、試料中の窒素含量を算出する。

G02700

30.定性反応試験法

定性反応試験法は、確認試験等において用いる試験法である。別に規定するもののほか、試料の液の濃度は、約1%とし、通例、規定された液2~5mLを量り、内径8.0~18mmの試験管内で試験を行う。液性調整には、反応の妨げとならない酸性又はアルカリ性の溶液を用いる。

亜鉛塩

(1) 亜鉛塩の中性~アルカリ性の溶液に硫化アンモニウム試液又は硫化ナトリウム試液を加えるとき、帯白色の沈殿を生じる。沈殿を分離し、これに酢酸(1→20)を加えるとき溶けないが、更に塩酸(1→4)を加えるとき、沈殿は溶ける。

(2) 亜鉛塩の溶液に新たに調製したヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸カリウム三水和物溶液(1→10)を加えるとき、白色の沈殿を生じる。沈殿を分離し、この一部に塩酸(1→4)を加えるとき、沈殿は溶けないが、他の一部に水酸化ナトリウム溶液(1→25)を加えるとき、沈殿は溶ける。

亜塩素酸塩

(1) 亜塩素酸塩の溶液(1→20)5mLに塩酸(1→4)5mLを加えるとき、黄色のガスを発生し、液は黄褐色を呈する。

(2) 亜塩素酸塩の溶液(1→20)5mLに過マンガン酸カリウム溶液(1→300)0.1mLを加え、これに硫酸(1→20)1mLを加えるとき、液の赤紫色は消える。

亜硝酸塩

(1) 亜硝酸塩の溶液(1→20)に硫酸(1→20)を加えて酸性とするとき、特異なにおいのある黄褐色のガスを発生し、硫酸鉄(Ⅱ)七水和物の結晶少量を追加するとき、液は暗褐色を呈する。

(2) 亜硝酸塩の溶液にヨウ化カリウム試液2~3滴を加え、塩酸(1→4)を滴加するとき、液は黄褐色となり、次に黒紫色の沈殿を生じ、デンプン試液を加えるとき、液は紫色を呈する。

亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩

(1) 亜硫酸塩又は亜硫酸水素塩の酢酸酸性溶液にヨウ素・ヨウ化カリウム試液を滴加するとき、試液の色は消える。

(2) 亜硫酸塩又は亜硫酸水素塩の溶液(1→20)を酢酸で酸性とし、調製した溶液と等容量の塩酸(1→4)を加えるとき、二酸化硫黄のにおいを発生し、液は濁らない。これに硫化ナトリウム試液1滴を追加するとき、液は直ちに白濁し、次にこの白濁は、黄色の沈殿に変わる。

アルミニウム塩

(1) アルミニウム塩の溶液(1→20)に塩化アンモニウム溶液(1→10)及びアンモニア試液を加えるとき、白色のゲル状の沈殿を生じ、過量のアンモニア試液を追加するとき、沈殿は溶けない。

(2) アルミニウム塩の溶液(1→20)に水酸化ナトリウム溶液(1→25)を加えるとき、白色のゲル状の沈殿を生じ、過量の水酸化ナトリウム溶液(1→25)を追加するとき、沈殿は溶ける。

(3) アルミニウム塩の溶液にわずかに沈殿を生じるまでアンモニア試液を加え、アリザリンレッドS溶液(1→1000)5滴を追加するとき、沈殿の色は赤色に変わる。

安息香酸塩

(1) 安息香酸塩の溶液(1→20)に塩酸(1→4)を加えて酸性とするとき、結晶性の沈殿を生じる。沈殿を分離し、冷水でよく洗い、乾燥し、融点を測定するとき、120~124℃である。

(2) 安息香酸塩の溶液(1→20)を中和し、塩化鉄(Ⅲ)六水和物溶液(1→10)を加えるとき、淡黄赤色の沈殿を生じ、塩酸(1→4)を追加するとき、白色の沈殿に変わる。

アンモニウム塩

アンモニウム塩に過量の水酸化ナトリウム溶液(1→25)を加えて加温するとき、アンモニアのにおいのあるガスを発生し、このガスは、水で潤したリトマス紙(赤色)を青変する。

塩化物

(1) 塩化物の溶液(1→20)に硫酸及び過マンガン酸カリウムを加えて加熱するとき、塩素のにおいのあるガスを発生し、このガスは、水で潤したヨウ化カリウム・デンプン紙を青変する。

(2) 塩化物の溶液に硝酸銀溶液(1→50)を加えるとき、白色の沈殿を生じる。沈殿を分離し、この一部に硝酸(1→10)を追加するとき、沈殿は溶けないが、他の一部に過量のアンモニア試液を追加するとき、沈殿は溶ける。

過酸化物

(1) 過酸化物の溶液に等容量の酢酸エチル及び二クロム酸カリウム溶液(3→40)1~2滴を加え、更に硫酸(1→20)を加えて酸性とし、直ちに振り混ぜて放置するとき、酢酸エチル層は青色を呈する。

(2) 過酸化物の硫酸酸性溶液に過マンガン酸カリウム溶液(1→300)を滴加するとき、泡立ち、液の色は消える。

カリウム塩

(1) カリウム塩は、炎色反応の試験を行うとき、淡紫色を呈する。炎が黄色のときは、コバルトガラスを用いて観察すると赤紫色を呈する。

(2) カリウム塩の溶液(1→20)を中和し、新たに調製した(+)―酒石酸水素ナトリウム一水和物溶液(1→10)を加えるとき、白色の結晶性の沈殿を生じる(ガラス棒で試験管の内壁をこすると、沈殿の生成が早くなる。)。沈殿を分離し、これにアンモニア試液、水酸化ナトリウム溶液(1→25)又は炭酸ナトリウム溶液(1→8)を加えるとき、沈殿は溶ける。

カルシウム塩

(1) カルシウム塩は、炎色反応の試験を行うとき、黄赤色を呈する。

(2) カルシウム塩の溶液にシュウ酸アンモニウム一水和物溶液(1→30)を加えるとき、白色の沈殿を生じる。沈殿を分離し、これに酢酸(1→20)を加えるとき、沈殿は溶けないが、塩酸(1→4)を追加するとき、沈殿は溶ける。

クエン酸塩

(1) クエン酸塩の溶液(1→20)1~2滴にピリジン/無水酢酸混液(3:1)20mLを加え、2~3分間放置するとき、液は赤褐色を呈する。

(2) クエン酸塩の溶液(1→10)を中和し、等容量の10%硫酸試液を加え、その2/3容量の過マンガン酸カリウム溶液(1→300)を加え、液の色が消えるまで加熱した後、これに全量の1/10容量の臭素試液を滴加するとき、白色の沈殿を生じる。

グリセロリン酸塩

(1) グリセロリン酸塩の溶液にモリブデン酸アンモニウム試液を加えるとき、冷時は沈殿を生じないが、長く沸騰させるとき、黄色の沈殿を生じる。

(2) グリセロリン酸塩に等量の硫酸水素カリウムの粉末を混ぜ、直火で穏やかに加熱するとき、アクロレインの刺激臭を発する。

コハク酸塩

コハク酸塩の溶液(1→20)をpH6~7に調整し、この液5mLに塩化鉄(Ⅲ)六水和物溶液(1→10)1mLを加えるとき、褐色の沈殿を生じる。

酢酸塩

(1) 酢酸塩の溶液に硫酸(1→2)を加えて加温するとき、酢酸のにおいを発する。

(2) 酢酸塩に硫酸及び少量のエタノール(95)を加えて加熱するとき、酢酸エチルのにおいを発する。

(3) 酢酸塩の溶液(1→20)を中和し、塩化鉄(Ⅲ)六水和物溶液(1→10)を加えるとき、液は赤褐色を呈し、沸騰させるとき、赤褐色の沈殿を生じる。これに塩酸を追加するとき、沈殿は溶け、液の色は黄色に変わる。

次亜塩素酸塩

(1) 次亜塩素酸塩溶液5mLに塩酸2mLを加えるとき、ガスを発生して泡立つ。

(2) 次亜塩素酸塩の溶液(1→1000)5mLに水酸化ナトリウム溶液(1→2500)1mL及びヨウ化カリウム試液0.2mLを加えるとき、液は黄色となり、これにデンプン試液0.5mLを加えるとき、液は紫色を呈する。

(3) 次亜塩素酸塩の溶液(1→4)5mLに過マンガン酸カリウム溶液(1→300)0.1mLを加え、これに硫酸(1→20)1mLを加えるとき、液の赤紫色は退色しない(亜塩素酸塩との区別)。

臭素酸塩

(1) 臭素酸塩の溶液(1→20)を硝酸で酸性とし、硝酸銀溶液(1→50)2~3滴を加えるとき、白色の結晶性の沈殿を生じ、加熱するとき、沈殿は溶ける。これに新たに調製した亜硝酸ナトリウム溶液(1→10)1滴を追加するとき、淡黄色の沈殿を生じる。

(2) 臭素酸塩の溶液(1→20)を硝酸で酸性とし、新たに調製した亜硝酸ナトリウム溶液(1→10)5~6滴を加えるとき、液は黄~赤褐色を呈する。

酒石酸塩

(1) 酒石酸塩の溶液(1→20)を中和し、これに硝酸銀溶液(1→50)を加えるとき、白色の沈殿を生じる。沈殿を分離し、この一部に硝酸を加えるとき、沈殿は溶ける。また他の一部にアンモニア試液を加えて加温するとき、沈殿は溶け、徐々に銀鏡を生じる。

(2) 酒石酸塩の溶液(1→20)に酢酸(1→4)2滴、硫酸鉄(Ⅱ)試液1滴及び過酸化水素試液2~3滴を加え、更に過量の水酸化ナトリウム溶液(1→25)を加えるとき、液は赤紫~紫色を呈する。

(3) 酒石酸塩の溶液(1→20)2~3滴に、あらかじめ硫酸5mLにレソルシノール溶液(1→50)2~3滴及び臭化カリウム溶液(1→10)2~3滴を加えた液を加え、水浴上で5~10分間加熱するとき、液は濃青色を呈する。これを冷却した後、過量の水中に注ぐとき、液は赤色を呈する。

硝酸塩

(1) 硝酸塩の溶液に等容量の硫酸を加えてよく振り混ぜる。冷後、硫酸鉄(Ⅱ)試液を層積するとき、接界面に暗褐色の輪帯を生じる。

(2) 硝酸塩の硫酸酸性溶液に過マンガン酸カリウム溶液(1→300)を加えても、液の赤紫色は退色しない(亜硝酸塩との区別)。

炭酸塩

(1) 炭酸塩に塩酸(1→4)を加えるとき、ガスを発生して泡立つ。このガスを水酸化カルシウム試液中に通じるとき、直ちに白色の沈殿を生じる(炭酸水素塩と共通)。

(2) 炭酸塩の溶液(1→20)に硫酸マグネシウム七水和物溶液(1→10)を加えるとき、白色の沈殿を生じ、酢酸(1→20)を追加するとき、沈殿は溶ける。

(3) 炭酸塩の溶液は、フェノールフタレイン試液1滴を加えるとき、液は赤色を呈する(炭酸水素塩との区別)。

炭酸水素塩

(1) 炭酸水素塩に塩酸(1→4)を加えるとき、ガスを発生して泡立つ。このガスを水酸化カルシウム試液中に通じるとき、直ちに白色の沈殿を生じる(炭酸塩と共通)。

(2) 炭酸水素塩の溶液(1→20)に硫酸マグネシウム七水和物溶液(1→10)を加えるとき、常温では沈殿を生じないが、沸騰させるとき、白色の沈殿を生じる。

(3) 炭酸水素塩の溶液は、フェノールフタレイン試液1滴を加えるとき、液は赤色を呈さず、又は赤色を呈しても極めて薄い(炭酸塩との区別)。

チオシアン酸塩

(1) チオシアン酸塩の溶液に過量の硝酸銀溶液(1→10)を加えるとき、白色の沈殿を生じ、沈殿を分離し、この一部に硝酸(1→10)を追加したとき、沈殿は溶けないが、他の一部にアンモニア水を追加するとき、沈殿は溶ける。

(2) チオシアン酸塩の溶液に塩化鉄(Ⅲ)六水和物溶液(1→10)を加えるとき、液は赤色を呈し、これに塩酸を加えるとき、液の赤色は退色しない。

鉄(Ⅱ)塩

(1) 鉄(Ⅱ)塩の弱酸性溶液に新たに調製したヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウム溶液(1→10)を加えるとき、青色の沈殿を生じ、これに塩酸(1→4)又は硝酸(1→10)を追加するとき、沈殿は溶けない。

(2) 鉄(Ⅱ)塩の溶液に水酸化ナトリウム溶液(1→25)又はアンモニア試液を加えるとき、白色のゲル状の沈殿を生じる(これを振り混ぜるとき、沈殿の色は、速やかに灰緑色となり、次第に赤褐色に変わる。)。これに硫化ナトリウム試液を追加するとき、黒色の沈殿を生じる。沈殿を分離し、これに塩酸(1→4)を追加するとき、沈殿は溶ける。

鉄(Ⅲ)塩

(1) 鉄(Ⅲ)塩の弱酸性溶液に新たに調製したヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸カリウム三水和物溶液(1→10)を加えるとき、青色の沈殿を生じ、これに塩酸(1→4)又は硝酸(1→10)を追加するとき、沈殿は溶けない。

(2) 鉄(Ⅲ)塩の溶液に水酸化ナトリウム溶液(1→25)又はアンモニア試液を加えるとき、赤褐色のゲル状の沈殿を生じ、硫化ナトリウム試液を追加するとき、沈殿の色は黒色に変わる。沈殿を分離し、これに塩酸(1→4)を加えるとき、沈殿は溶け、白濁する。

(3) 鉄(Ⅲ)塩の中性~弱酸性溶液にチオシアン酸アンモニウム溶液(2→25)を加えるとき、液は赤色を呈し、これに塩酸を加えるとき、液の赤色は退色しない。

銅(Ⅱ)塩

(1) 銅(Ⅱ)塩の塩酸酸性溶液によく磨いた鉄片を浸して放置するとき、その表面に黄赤色の金属が析出する。

(2) 銅(Ⅱ)塩の溶液に少量のアンモニア試液を加えるとき、淡青色の沈殿を生じ、これに過量のアンモニア試液を追加するとき、沈殿は溶け、液は濃青色を呈する。

(3) 銅(Ⅱ)塩の溶液に新たに調製したヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸カリウム三水和物溶液(1→10)を加えるとき、赤褐色の沈殿を生じ、この一部に酢酸(1→20)を追加するとき、沈殿は溶けないが、他の一部にアンモニア試液を追加するとき、沈殿は溶け、液は濃青色を呈する。

ナトリウム塩

(1) ナトリウム塩は、炎色反応の試験を行うとき、黄~橙色を呈する。

(2) ナトリウム塩の溶液(1→20)を中和し、ヘキサヒドロキソアンチモン(Ⅴ)酸カリウム試液を加えるとき、白色の結晶性の沈殿を生じる(ガラス棒で試験管の内壁をこすると沈殿の生成が早くなる。)。

乳酸塩

乳酸塩の溶液(1→20)を硫酸で酸性とし、過マンガン酸カリウム溶液(1→50)を加えて加熱するとき、アセトアルデヒドのにおいを発する。

マグネシウム塩

マグネシウム塩の溶液に塩化アンモニウム溶液(1→10)及び炭酸アンモニウム試液を加えるとき、沈殿を生じないが、リン酸水素二ナトリウム・12水溶液(1→10)を追加するとき、白色の結晶性の沈殿を生じる。沈殿を分離し、これにアンモニア試液を加えても沈殿は溶けない。

硫酸塩

(1) 硫酸塩の溶液に塩化バリウム二水和物溶液(3→25)を加えるとき、白色の沈殿を生じ、塩酸又は硝酸(1→10)を追加するとき、沈殿は溶けない。

(2) 硫酸塩の中性溶液に酢酸鉛(Ⅱ)試液を加えるとき、白色の沈殿を生じ、酢酸アンモニウム溶液(1→10)を追加するとき、沈殿は溶ける。

(3) 硫酸塩の溶液に等容量の塩酸(1→4)を加えるとき、白濁を生じない(チオ硫酸塩との区別)。また、二酸化硫黄のにおいを発しない(亜硫酸塩との区別)。

リン酸塩(正リン酸塩)

(1) リン酸塩の中性溶液に硝酸銀溶液(1→50)を加えるとき、黄色の沈殿を生じ、硝酸(1→10)又はアンモニア試液を追加するとき、沈殿は溶ける。

(2) リン酸塩の中性~硝酸酸性溶液にモリブデン酸アンモニウム試液を加えて加温するとき、黄色の沈殿を生じ、水酸化ナトリウム溶液(1→25)又はアンモニア試液を追加するとき、沈殿は溶ける。

G02750

31.滴定終点検出法

滴定法は、被滴定液に含まれている被滴定物質に対し、これと反応する滴定物質を加え、化学量論的な反応終点までに要した滴定液(濃度既知の滴定物質を含有)の量又は電気量(滴定物質を発生させるための電気量)から被滴定物質を定量する方法である。

滴定法は、滴定物質添加方法又は反応機序等の点からそれぞれ複数に分類される。滴定物質添加方法による分類としては、被滴定物質と定量的に反応する滴定物質を含む滴定液(容量分析用標準液)の滴加量(体積)から分析対象物質の定量を行う容量滴定と、被滴定物質と定量的に反応する滴定物質を電気分解により発生させ、それに要する電気量から分析対象物質の定量を行う電量滴定がある。電量滴定の例として、20.水分測定法(カールフィッシャー法)の電量滴定法がある。また、反応機序の点からは、被滴定物質と滴定物質との間に生じる化学量論的な反応の種類又は現象の差異により、酸塩基滴定(中和滴定又はpH滴定)、沈殿滴定、錯滴定及び酸化還元滴定等がある。また、非水溶媒系で行われる滴定は一般に非水滴定と通称され、弱酸、弱塩基又はこれらの塩類の滴定にしばしば用いられる。

滴定終点検出法は、滴定法において滴定すべき反応が終わった点を検出する方法であり、その分類としては、指示薬を用いた色調の変化により終点を確認する指示薬法と、電気的信号(指示電極と参照電極の起電力の差(以下「電位差」という。)、電流又は電流制御電圧)の変化により終点を確認する電気的終点検出法がある。