添付一覧
注
A……試料原液を接種したもの
B……検体の10倍希釈液を接種したもの
C……検体の100倍希釈液を接種したもの
E.C.はつ酵管 ペプトン20.0g,乳糖5.0g,胆汁酸塩1.5g,リン酸二カリウム(無水)4.0g,リン酸一カリウム(無水)1.5g及び食塩5.0gを1,000mlの精製水に溶かす。これをはつ酵管に分注して高圧滅菌した後,速やかに冷却する。最終pHは,6.8~7.0でなければならない。
(4) むき身にした生食用かきの腸炎ビブリオ最確数は,検体1gにつき100以下でなければならない。この場合,腸炎ビブリオ最確数の測定法は,第1 食品の部D 各条の項の○ 生食用鮮魚介類の1 生食用鮮魚介類(切り身又はむき身にした鮮魚介類(生かきを除く。)であつて,生食用のもの(凍結させたものを除く。)に限る。以下この項において同じ。)の成分規格の1.及び2.に準じて行う。
2 生食用かきの加工基準
(1) 原料用かきは,海水100ml当たり大腸菌群最確数が70以下の海域で採取されたものであるか,又はそれ以外の海域で採取されたものであつて100ml当たり大腸菌群最確数が70以下の海水又は塩分濃度3%の人工塩水を用い,かつ,当該海水若しくは人工塩水を随時換え,又は殺菌しながら浄化したものでなければならない。
海水の大腸菌群最確数の測定法 検体として採取した海水10mlを5本の倍濃度乳糖ブイヨンはつ酵管に,1mlを5本の乳糖ブイヨンはつ酵管に,0.1mlを5本の乳糖ブイヨンはつ酵管にそれぞれ接種し,35°(上下1.0°の余裕を認める。)で培養する。24時間(前後2時間の余裕を認める。)後又は48時間(前後3時間の余裕を認める。以下この目において同じ。)後にガス発生を認めた海水は,大腸菌群推定試験陽性とし,直ちに次の確定試験を行う。
大腸菌群推定試験陽性の海水を接種した倍濃度乳糖ブイヨンはつ酵管又は乳糖ブイヨンはつ酵管の培養液を,直径3mmの白金耳でB.G.L.B.はつ酵管に1白金耳移植する。これを35°(上下1.0°の余裕を認める。)で48時間培養する。その際ガス発生を認めた海水は,大腸菌群確定試験陽性とする。検体100mlに対する大腸菌群最確数は,検体として採取した海水のうち,大腸菌群確定試験陽性を示した海水を接種した倍濃度乳糖ブイヨンはつ酵管の数に応じて,最確数表により算出された係数とする。この場合,当該表中「試料原液」とあるのは「検体である海水10ml」と,「検体の10倍希釈液」とあるのは「検体である海水1ml」と,「検体の100倍希釈液」とあるのは「検体である海水0.1ml」とする。
(2) 原料用かきを一時水中で貯蔵する場合は,100ml当たり大腸菌群最確数が70以下の海水又は塩分濃度3%の人工塩水を用い,かつ,当該海水若しくは人工塩水を随時換え,又は殺菌しながら貯蔵しなければならない。
(3) 原料用かきは,水揚げ後速やかに衛生的な水で十分洗浄しなければならない。
(4) 生食用かきの加工は,衛生的な場所で行わなければならない。また,その加工に当たつては,化学的合成品たる添加物(亜塩素酸水、次亜塩素酸水及び次亜塩素酸ナトリウム並びに水素イオン濃度調整剤として用いられる塩酸及び二酸化炭素を除く。)を使用してはならない。
(5) むき身作業に使用する水は,食品製造用水,殺菌した海水又は食品製造用水を使用した人工海水を使用しなければならない。
(6) むき身作業に使用する器具は,洗浄及び殺菌が容易なものでなければならない。またその使用に当たつては洗浄した上殺菌しなければならない。
(7) むき身容器は,洗浄及び殺菌が容易な金属,合成樹脂等でできた不滲透性のものでなければならない。またその使用に当たつては,専用とし,かつ,洗浄した上殺菌しなければならない。
(8) むき身は,食品製造用水,殺菌した海水又は食品製造用水を使用した人工海水で十分洗浄しなければならない。
(9) 生食用冷凍かきにあつては,加工後速やかに凍結させなければならない。
(10) 生食用かきの加工中に生じたかきがらについては,当該加工を行う場所の衛生を保つため速やかに他の場所に搬出する等の処理を行わなければならない。
3 生食用かきの保存基準
(1) 生食用かきは,10°以下に保存しなければならない。ただし,生食用冷凍かきにあつては,これを-15°以下で保存しなければならない。
(2) 生食用かきは,清潔で衛生的な有蓋の容器に収めるか又は清潔で衛生的な合成樹脂,アルミニウム箔若しくは耐水性の加工紙で包装して保存しなければならない。ただし,生食用冷凍かきにあつては,清潔で衛生的な合成樹脂,アルミニウム箔又は耐水性の加工紙で包装して保存しなければならない。
○ 寒天
1 寒天の成分規格
寒天は,その1kgにつき,ホウ素化合物の含有量がホウ酸(H3BO3)として1g以下でなければならない。
○ 穀類、豆類及び野菜
1 穀類及び豆類の成分規格
次の表の第1欄に掲げる穀類又は豆類は、同表第2欄に掲げる物をそれぞれ同表第3欄に定める量を超えて含有するものであってはならない。この場合において、同表の第2欄に掲げる物について同表の第3欄に「不検出」と定めているときは、次の2に規定する試験法によって試験した場合に、その物が検出されるものであってはならない。
第1欄 |
第2欄 |
第3欄 |
米(玄米及び精米をいう。2の(1)において同じ。) |
カドミウム及びその化合物 |
Cdとして0.4ppm |
小麦(玄麦) |
デオキシニバレノール |
1.0mg/kg |
大豆 |
シアン化合物 |
不検出 |
小豆類 |
シアン化合物 |
不検出(ただし,サルタニ豆,サルタピア豆,バター豆,ペギア豆,ホワイト豆及びライマ豆にあつてはHCNとして500ppm) |
えんどう |
シアン化合物 |
不検出 |
そら豆 |
シアン化合物 |
不検出 |
らつかせい |
シアン化合物 |
不検出 |
その他の豆類 |
シアン化合物 |
不検出 |
2 穀類及び豆類の成分規格の試験法
(1) 検体
食品 |
検体 |
米 |
玄米及び精米 |
えんどう,小豆類,そら豆及び大豆 |
豆 |
らつかせい |
殻を除去したもの |
その他の豆類 |
豆 |
(2) カドミウム試験法
カドミウムの定量法は,次に示す原子吸光法による。
a 装置
原子吸光光度計
光源 カドミウムホローカソードランプ
燃料 アセチレン又は水素
b 試薬・試液
次に示すもの以外は,第2 添加物の部C 試薬・試液等の項に示すものを用いる。
カドミウム標準溶液 金属カドミウム0.100gを10%硝酸50mlに溶かし,煮沸し,水を加えて1,000mlとする。この10mlを採り,水を加えて1,000mlとする。
カドミウム標準溶液1ml=1μg Cd2+
1%ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム溶液 ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム1gを水に溶かして100mlとする。
25%酒石酸カリウムナトリウム溶液 酒石酸カリウムナトリウム25gを水に溶かして100mlとする。
c 試料の調製
検体約10~30gを精密に量り採り,300mlのケールダールフラスコに入れ,水10~40ml及び硝酸40mlを加え,よく混和した後,穏やかに加熱する。暫時加熱した後,放冷し,硫酸20mlを加え,再び加熱する。その間,必要があれば時々少量ずつ硝酸を加える。内容物が淡黄色から無色の透明な液になれば分解は完了する。冷後水を加えて全量を100mlとする。
別に,分解に用いた酸と同量の酸を採り,試料と同様に操作して空試験溶液とする。
d 試験操作
試料Vml(Cd2+として0.5~20μgの範囲で50ml以下の量)を採り,25%酒石酸カリウムナトリウム溶液5mlを加え,次にブロモチモールブルー試液2滴を加えた後,液の色が淡黄色から青紫色になるまでアンモニア水で中和し,更に水を加えて100mlとする。これに飽和硫酸アンモニウム溶液10mlを加え,次いで1%ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム溶液5mlを加え,数分間放置した後,メチルイソブチルケトン10mlを正確に加え,振とう機を用いて約5分間激しく振り混ぜた後,静置し,メチルイソブチルケトン層を分取し,波長228.8nmで吸光度Aを測定する。
別に,カドミウム標準溶液V'ml(5~20ml)及び空試験溶液Vmlを採り,それぞれ試料の場合と同様に操作して吸光度As及びAoを測定する。
検体中のカドミウム濃度C(ppm)は次式により求める。
C(ppm)=V'×((A-Ao)/(As-Ao))×(試料溶液全量(ml)/V)×(1/検体採取量(g))
(3) シアン化合物試験法
1.試薬・試液
次に示すもの以外は,第2 添加物の部C 試薬・試液等の項に示すものを用いる。
クエン酸緩衝液 クエン酸128.1g及び水酸化ナトリウム64.4gを水に溶かして1Lとし,用時10倍容に薄め,クエン酸溶液及び水酸化ナトリウム溶液でpHを5.9に調整する。
ピクリン酸紙 ろ紙をピクリン酸飽和水溶液に浸し,室温で乾燥した後,7mm×40mmの大きさに切り,用時10%炭酸ナトリウム溶液で潤す。
2.定性試験
粉砕した検体20.0gを200mlの三角フラスコに量り採り,クエン酸緩衝液50mlを加え,ピクリン酸紙をつるしたコルク栓で密栓し,25~35°で時々静かに振り混ぜながら,3時間放置した後,酒石酸2gを加え,直ちに上記のコルク栓で密栓し,時々振り混ぜながら50~60°で1時間加熱するとき,シアン化合物が存在すればピクリン酸紙は赤褐色に変わる。
3.定量試験
粉砕した検体25.0gにクエン酸緩衝液200mlを加え,密栓して振り混ぜた後,25~35°で3~5時間放置し,更に水100mlを加え,水蒸気蒸留する。受器には200mlの三角フラスコを用い,あらかじめ5%水酸化カリウム溶液5mlを入れ,受器を傾け,冷却器の下端を液中に浸す。留液が約150mlとなるまで蒸留し,この留液に10%ヨウ化カリウム溶液5mlを加え,0.05mol/l硝酸銀溶液が濁るまで滴定する。
0.05mol/l硝酸銀溶液1ml=2.70mgHCN
(4) (2)及び(3)に掲げる試験法と同等以上の性能を有すると認められる試験法
3 豆類の使用基準
シアン化合物の検出される豆類は生あんの原料以外に使用してはならない。
4 野菜の加工基準
発芽防止の目的で,ばれいしよに放射線を照射する場合は,次の方法によらなければならない。
(1) 使用する放射線の線源及び種類は,コバルト60のガンマ線とすること。
(2) ばれいしよの吸収線量が150グレイを超えてはならないこと。
(3) 照射加工を行つたばれいしよに対しては,再度照射してはならないこと。
○ 生あん
1 生あんの成分規格
生あんは,シアン化合物の検出されるものであつてはならない。この場合のシアン化合物の検出法は,次のとおりとする。
検出法
乾燥物10gに相当する生あんを採り,200mlの三角フラスコに入れ,以下第1 食品の部D 各条の項の○ 穀類,豆類及び野菜の2 穀類及び豆類の成分規格の試験法の目の(3) シアン化合物試験法を準用する。
2 生あんの製造基準
シアン化合物を含有する豆類を原料として生あんを製造する場合は,つぎの方法によらなければならない。
(1) つけ込みは温湯を用いて4時間以上行なうこと。
(2) 煮込みは,渋切りを1回以上行なつた後十分に煮沸を継続すること。
(3) 製あん機にかけて製あんした後,水そうで3回以上十分にさらすこと。
○ 豆腐
1 豆腐の成分規格
豆腐のうち,常温で保存するもの(移動販売に係る豆腐及び成型した後水さらしをしないで直ちに販売の用に供されることが通常である豆腐を除く。)にあっては,当該豆腐中で発育し得る微生物が陰性でなければならない。
2 豆腐の製造基準
(1) 原料用大豆は,品質が良好できよう雑物を含まないものでなければならない。
(2) 原料用大豆は,十分に水洗しなければならない。
(3) 豆汁又は豆乳は,沸騰状態で2分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法により殺菌しなければならない。
(4) 豆汁のろ過,凝固剤の添加及び豆腐の成型は,清潔で衛生的に行わなければならない。
(5) 豆腐(無菌充填豆腐(連続流動式の加熱殺菌機で殺菌した豆乳に,殺菌又は除菌された凝固剤を添加して,容器包装に無菌的に充填した後加熱凝固させたものをいう。以下同じ。)を除く。)の水さらしは,絶えず換水をしながら行わなければならない。
(6) 無菌充填豆腐は,原材料等に由来して当該食品中に存在し,かつ,発育し得る微生物を死滅させ,又は除去するのに十分な効力を有する方法で殺菌又は除菌した原材料を用い,あらかじめ殺菌した適切な容器包装へ無菌的に充填する方法を定め,その定めた方法により行わなければならない。この場合における殺菌又は除菌の方法は,次のとおりとする。
1.豆乳の殺菌にあっては,その中心部の温度を120℃で4分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法であること。
2.凝固剤の殺菌又は除菌にあっては,原材料等に由来して当該食品中に存在し,かつ,発育し得る微生物を死滅させ,又は除去するのに十分な効力を有する方法であること。
(7) 包装豆腐(豆乳に凝固剤を添加して容器包装に充填した後加熱凝固させたものをいう。)のうち,無菌充填豆腐以外のものについては,90℃で40分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法により殺菌しなければならない。
(8) 豆腐を製造する場合に使用する器具は,十分に洗浄し,かつ,殺菌したものでなければならない。
(9) 豆腐を製造する場合に使用する水は,食品製造用水でなければならない。
3 豆腐の保存基準
(1) 豆腐は,冷蔵するか,又は十分に洗浄し,かつ,殺菌した水槽内において,冷水(食品製造用水に限る。)で絶えず換水をしながら保存しなければならない。ただし,移動販売に係る豆腐,成型した後水さらしをしないで直ちに販売の用に供されることが通常である豆腐及び無菌充填豆腐にあっては,この限りでない。
(2) 移動販売に係る豆腐は,十分に洗浄し,かつ,殺菌した器具を用いて保冷をしなければならない。
○ 即席めん類
1 即席めん類(めんを油脂で処理したものに限る。以下この項において同じ。)の成分規格即席めん類は,めんに含まれる油脂の酸価が3を超え,又は過酸化物価が30を超えるものであつてはならない。
2 即席めん類の保存基準
即席めん類は,直射日光を避けて保存しなければならない。
○ 冷凍食品
1 冷凍食品(製造し,又は加工した食品(清涼飲料水,食肉製品,鯨肉製品,魚肉ねり製品,ゆでだこ及びゆでがにを除く。以下この項において同じ。)及び切り身又はむき身にした鮮魚介類(生かきを除く。以下この項において同じ。)を凍結させたものであつて,容器包装に入れられたものに限る。以下この項において同じ。)の成分規格
(1) 無加熱摂取冷凍食品(冷凍食品のうち製造し,又は加工した食品を凍結させたものであつて,飲食に供する際に加熱を要しないとされているものをいう。以下この項において同じ。)は,細菌数(生菌数)が検体1gにつき100,000以下で,かつ,大腸菌群が陰性でなければならない。この場合の細菌数(生菌数)の測定法及び大腸菌群試験法は,次のとおりとする。
1.検体の採取及び試料の調製
冷凍したまま容器包装の表面をアルコール綿でよくふき,滅菌した器具を用いて開封し,その内容の全体を細切りした後無作為に25gを無菌的に滅菌ホモジナイザーにとり,滅菌リン酸緩衝希釈水225mlを加えて細砕する。その10mlを滅菌ピペツトを用いて滅菌試料びんにとり,滅菌リン酸緩衝希釈水90mlを加えてよく混和し,これを試料原液とする。
細菌数(生菌数)の測定に関しては,1平板に30~300の集落がえられるように滅菌リン酸緩衝希釈水で試料原液を段階希釈したものを試料とし,大腸菌群の試験に関しては,試料原液を試料とする。
2.細菌数(生菌数)の測定法
第1 食品の部D 各条の項の○ 清涼飲料水の2 清涼飲料水の製造基準の(2)の2.のbに準じて行う。
3.大腸菌群試験法
第1 食品の部D 各条の項の○ 氷菓の1 氷菓の成分規格の(3)の3.に準じて行う。
(2) 加熱後摂取冷凍食品(冷凍食品のうち製造し,又は加工した食品を凍結させたものであつて,無加熱摂取冷凍食品以外のものをいう。以下この項において同じ。)であつて凍結させる直前に加熱されたものは,細菌数(生菌数)が検体1gにつき100,000以下で,かつ,大腸菌群が陰性でなければならない。この場合の細菌数(生菌数)の測定法及び大腸菌群試験法は,(1)の1.,2.及び3.に準じて行う。
(3) 加熱後摂取冷凍食品であつて,凍結させる直前に加熱されたもの以外のものは,細菌数(生菌数)が検体1gにつき3,000,000以下で,かつ,E.coliが陰性でなければならない(ただし,小麦粉を主たる原材料とし,摂食前に加熱工程が必要な冷凍パン生地様食品については,E.coliが陰性であることを要しない。)。この場合の細菌数(生菌数)の測定法及びE.coliの試験法は,次のとおりとする。
1.検体の採取及び試料の調製
(1)の1.に準じて行う。この場合において,E.coliの試験に関しては,試料原液を試料とする。
2.細菌数(生菌数)の測定法
(1)の2に準じて行う。
3.E.coliの試験法
試料を1mlずつ3本のE.C.はつ酵管(第1 食品の部D各条の項の○ 生食用かきの1 生食用かきの成分規格の(3)の3.に規定するものをいう。)に接種し,恒温水槽を用いて44.5°(上下0.2°の余裕を認める。)で24時間(前後2時間の余裕を認める。以下この目において同じ。)培養する。その際,ガス発生を認めた試料は,推定試験陽性とし,ガス発生を認めないものは,推定試験陰性とする。
推定試験が陽性の場合は,当該E.C.はつ酵管より1白金耳をE・M・B・培養基にかく線し,35°(上下1.0°の余裕を認める。以下この目において同じ。)で24時間培養した後,E.coliの定型的集落(定型的集落がない場合は,定型的集落に類似した集落2以上)を釣菌して,乳糖ブイヨンはつ酵管及び寒天斜面にそれぞれ移植する(定型的集落に類似した集落を釣菌した場合は,各集落から釣菌したもの別にそれぞれ移植する。)。
乳糖ブイヨンはつ酵管は35°で48時間(前後3時間の余裕を認める。),寒天斜面は35°で24時間培養し,乳糖ブイヨンはつ酵管においてガス発生を確認した場合に,これと相対する寒天斜面について鏡検し,グラム陰性無芽胞桿菌を認めた場合をE.coli陽性とする。
(4) 生食用冷凍鮮魚介類(冷凍食品のうち切り身又はむき身にした鮮魚介類であつて,生食用のものを凍結させたものをいう。以下この項において同じ。)は,細菌数(生菌数)が検体1gにつき100,000以下であり,かつ,大腸菌群が陰性であつて,腸炎ビブリオ最確数が100以下でなければならない。この場合の細菌数(生菌数)の測定法及び大腸菌群試験法は,(1)の1.,2.及び3.に準じて,腸炎ビブリオ最確数の測定法は,第1 食品の部D 各条の項の○ 生食用鮮魚介類の1 生食用鮮魚介類(切り身又はむき身にした鮮魚介類(生かきを除く。)であつて,生食用のもの(凍結させたものを除く。)に限る。以下この項において同じ。)の成分規格の1.及び2.に準じて行う。
2 冷凍食品(生食用冷凍鮮魚介類に限る。)の加工基準
(1) 原料用鮮魚介類は,鮮度が良好なものでなければならない。
(2) 加工に使用する水は,食品製造用水,殺菌した海水又は食品製造用水を使用した人工海水を使用しなければならない。
(3) 原料用鮮魚介類が凍結されたものである場合は,その解凍は,衛生的な場所で行うか,又は清潔な水槽中で食品製造用水,殺菌した海水又は食品製造用水を使用した人工海水を用い,かつ,十分に換水しながら行わなければならない。
(4) 原料用鮮魚介類は,食品製造用水,殺菌した海水又は食品製造用水を使用した人工海水で十分に洗浄し,製品を汚染するおそれのあるものを除去しなければならない。
(5) (4)の処理を行つた鮮魚介類の加工は,その処理を行つた場所以外の衛生的な場所で行わなければならない。また,その加工に当たつては,化学的合成品たる添加物(亜塩素酸水、次亜塩素酸水及び次亜塩素酸ナトリウム並びに水素イオン濃度調整剤として用いられる塩酸及び二酸化炭素を除く。)を使用してはならない。
(6) 加工に使用する器具は,洗浄及び殺菌が容易なものでなければならない。また,その使用に当たつては,洗浄した上殺菌しなければならない。
(7) 加工した生食用鮮魚介類は,加工後速やかに凍結させなければならない。
3 冷凍食品の保存基準
(1) 冷凍食品は,これを-15°以下で保存しなければならない。
(2) 冷凍食品は,清潔で衛生的な合成樹脂,アルミニウム箔または耐水性の加工紙で包装して保存しなければならない。
○ 容器包装詰加圧加熱殺菌食品
1 容器包装詰加圧加熱殺菌食品(食品(清涼飲料水,食肉製品,鯨肉製品及び魚肉ねり製品を除く。)を気密性のある容器包装に入れ,密封した後,加圧加熱殺菌したものをいう。以下同じ。)の成分規格
容器包装詰加圧加熱殺菌食品は,当該容器包装詰加圧加熱殺菌食品中で発育し得る微生物が陰性でなければならない。この場合の微生物の試験法は,次のとおりとする。
(1) 恒温試験
検体を容器包装のまま採取し,35.0°(上下1.0°の余裕を認める。)で14日間保持する。この間において容器包装の膨張の有無又は内容物の漏えいの有無を観察する。この場合容器包装の膨張の有無は約20°に冷却して観察するものとし,容器包装の膨張又は漏えいを認めたものは,当該容器包装詰加圧加熱殺菌食品中で発育し得る微生物が陽性であるとみなす。
恒温試験で陰性の結果を得た検体については,細菌試験を行う。
(2) 細菌試験
1.試料の調製
恒温試験の結果陰性であつた検体について,その開封部の表面をアルコール綿でよくふき,滅菌した器具を用いて開封し,その内容物(内容物の全部又は一部が固形状のものである場合は,滅菌ハサミ等を用いて細切する。)の全部を無菌的に混合した後,その25gを無菌的に採り,滅菌リン酸緩衝希釈水225mlを加えて細砕する。その1mlを滅菌ピペツトを用いて滅菌試験管に採り,滅菌リン酸緩衝希釈水9mlを加えてよく混和し,これを試料とする。
2.試験法
試料を1mlずつ5本のチオグリコール酸塩培養基に接種し,35.0°(上下1.0°の余裕を認める。)で48時間(前後3時間の余裕を認める。)培養する。この場合,培養基のいずれかに菌の増殖を認めたものは陽性とする。
チオグリコール酸塩培養基 L―シスチン0.5g,ブドウ糖5g,酵母エキス5g,ペプトン15g,チオグリコール酸塩0.5g,食塩2.5g,レサズリン0.001g及び粉末寒天0.8gを精製水1,000mlに加えて加温溶解し,これをpH7.0~7.2に修正し,試験管に10mlずつ分注した後,121°で15分間滅菌する。
2 容器包装詰加圧加熱殺菌食品の製造基準
(1) 製造に使用する野菜等の原料は,鮮度その他の品質が良好なものでなければならない。
(2) 製造に使用する野菜等の原料は,必要に応じ十分に洗浄したものでなければならない。
(3) 製造に当たつては,保存料又は殺菌料として用いられる化学的合成品たる添加物(次亜塩素酸水及び次亜塩素酸ナトリウムを除く。)を使用してはならない。
(4) 缶詰食品又は瓶詰食品以外の容器包装詰加圧加熱殺菌食品の容器包装の封かんは,熱溶融又は巻締めにより行わなければならない。
(5) 製造の際に行う加圧加熱殺菌は,自記温度計を付けた殺菌器で行い,自記温度計によるその記録は3年間保存しなければならない。
(6) 製造の際に行う加圧加熱殺菌は,次の二つの条件に適合するように加圧加熱殺菌の方法を定め,その定めた方法により行わなければならない。
1.原材料等に由来して当該食品中に存在し,かつ,発育し得る微生物を死滅させるのに十分な効力を有する方法であること。
2.そのpHが4.6を超え,かつ,水分活性が0.94を超える容器包装詰加圧加熱殺菌食品にあつては,中心部の温度を120°で4分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法であること。
(7) 加圧加熱殺菌後の冷却に水を用いるときは,流水(食品製造用水に限る。)で行うか,又は遊離残留塩素を1.0ppm以上含む水で絶えず換水をしながら行わなければならない。
(8) 製造に使用する器具は,十分に洗浄したうえ殺菌したものでなければならない。
第2 添加物
A 通則
1.添加物の適否は、別に規定するもののほか、通則、一般試験法、成分規格・保存基準各条等の規定によって判定する。ただし、性状の項目の固体の形状は、参考に供するもので、適否の判定基準を示すものではない。
2.物質名の前後に「 」を付けたものは、成分規格・保存基準各条に規定する添加物を示す。ただし、成分規格・保存基準各条の表題、製造基準及び使用基準ではこれを付けない。
3.物質名の次に( )で分子式又は組成式を付けたものは、化学的純物質を意味する。原子量は、2015年国際原子量表―原子量表(2017)(日本化学会原子量専門委員会)による。ただし、2015年国際原子量表において原子量が変動範囲で示される元素の原子量は、2007年国際原子量表―原子量表(2010)(日本化学会原子量専門委員会)による。また、分子量は、小数第2位までとし、第3位を四捨五入する。
単位及び記号
4.主な計量の単位は、次の記号を用いる。
メートル |
m |
センチメートル |
cm |
ミリメートル |
mm |
マイクロメートル |
μm |
ナノメートル |
nm |
キログラム |
kg |
グラム |
g |
ミリグラム |
mg |
マイクログラム |
μg |
ナノグラム |
ng |
セルシウス度 |
℃ |
モル |
mol |
ミリモル |
mmol |
平方センチメートル |
cm2 |
リットル |
L |
ミリリットル |
mL |
マイクロリットル |
μL |
メガヘルツ |
MHz |
毎センチメートル |
cm-1 |
ニュートン |
N |
キロパスカル |
kPa |
パスカル |
Pa |
パスカル秒 |
Pa・s |
ミリパスカル秒 |
mPa・s |
平方ミリメートル毎秒 |
mm2/s |
モル毎リットル |
mol/L |
ミリモル毎リットル |
mmol/L |
マイクロジーメンス毎センチメートル |
μS/cm |
度(角度) |
° |
5.質量百分率を示すには、%の記号を用いる。液体又は気体100mL中の物質量(g)を示すには、w/v%の記号を用いる。物質100g中の物質量(mL)を示すには、v/w%の記号を用いる。液体又は気体100mL中の物質量(mL)を示すには、vol%の記号を用いる。ただし、百分率における固体の物質量(g)は、別に規定するもののほか、無水物として算定した量を表す。
6.添加物の力価を示す場合には、成分規格・保存基準各条に規定する単位を用いる。
7.温度の表示は、セルシウス法を用い、アラビア数字の右に℃を付けて示す。また、試験操作において温度を整数で示す場合の許容範囲は、通例、指定した温度の±1℃又は±5%のいずれか大きい方とする。ただし、温度の保持に装置を用いる場合には、装置の設定温度とし、その装置の温度調節精度を許容するものとする。
試験
8.規定の方法に代わる方法で、それが規定の方法以上の精度のある場合には、その方法を用いることができる。ただし、その結果について疑いのある場合には、規定の方法で最終の判定を行う。
9.成分規格・保存基準各条等における試験は、別に規定するもののほか、成分規格・保存基準各条等の規定に基づき、一般試験法中のそれぞれ対応する試験法により行う。
10.試験において、規定された値(以下「規格値」という。)と試験によって得られた値(以下「実測値」という。)との比較によって適否の判定を行う場合には、実測値は規格値より1桁下まで求め、その多く求めた1桁について四捨五入し、規格値と比較することにより判定を行う。規格値をa~bと記載したものは、a以上、b以下であることを示す。
11.試験に用いる水は、別に規定するもののほか、食品製造用水を超ろ過(逆浸透、限外ろ過)、イオン交換、蒸留又はそれらの組み合わせにより精製した水であり、精製した後、速やかに用いる。ただし、適当な容器に入れ、微生物や化学物質による汚染の抑制が図られる場合、一定期間保存したものを用いてもよい。
12.標準温度は20℃、常温は15~25℃、室温は1~30℃、微温は30~40℃とする。冷所は、別に規定するもののほか、1~15℃の場所とする。冷水は10℃以下、微温湯は30~40℃、温湯は60~70℃、熱湯は約100℃の水とする。加温するとは、別に規定するもののほか、60~70℃に熱することである。
13.試験室の温度は、別に規定するもののほか、15~30℃とする。試験操作において「直ちに」とあるのは、通例、前の操作の終了から30秒以内に次の操作を開始することをいう。
14.加熱した溶媒又は熱溶媒とは、その溶媒の沸点付近の温度に熱したものをいい、加温した溶媒又は温溶媒とは、別に規定するもののほか、60~70℃に熱したものをいう。
15.「水浴上で加熱する」とは、沸騰している水浴上で加熱することをいい、水浴の代わりに約100℃の蒸気浴を用いることができる。また、「水浴中で加熱する」とは、別に規定するもののほか、沸騰している水浴の中に容器を入れて加熱することをいう。「還流冷却器を付けて加熱する」とは、別に規定するもののほか、その溶媒を沸騰させて、溶媒を還流させることをいう。また、「冷後」とは、加熱又は加温されたものが試験室の温度まで下がった後をいう。
16.液量が滴数で示される場合には、20℃において水20滴を滴加するとき、その質量が0.90~1.10gとなるような器具を用いる。
17.減圧は、別に規定するもののほか、2.0kPa以下とする。
18.デシケーターの乾燥剤は、別に規定するもののほか、シリカゲルとする。
19.液性を酸性、アルカリ性又は中性として示した場合には、別に規定するもののほか、リトマス紙を用いて試験する。また、微酸性、弱酸性、強酸性、微アルカリ性、弱アルカリ性、強アルカリ性等と記載したものは、pH試験紙等を用いて試験した場合の酸性又はアルカリ性の程度の概略を示すものであって、そのpHの範囲は次による。また、液性をpHで示す場合には、一般試験法のpH測定法を用いる。
pHの範囲 |
|
強酸性 |
3未満 |
弱酸性 |
3以上5未満 |
微酸性 |
5以上6.5未満 |
微アルカリ性 |
7.5以上9未満 |
弱アルカリ性 |
9以上11未満 |
強アルカリ性 |
11以上 |
20.溶質名の次に溶液と記載し、特にその溶媒名を示さないものは水溶液を示す。
21.1mol/L塩酸、硫酸(1→10)、50vol%エタノール等液状の試薬名に単に濃度を表示したものは、別に規定するもののほか、水を用いて希釈したものを示す。
22.溶液の濃度を(1→5)、(1→100)等と記載したものは、固形の物質1g又は液状の物質1mLを溶媒に溶かして全量をそれぞれ5mL、100mL等とする割合を示す。また、混液を(10:1)、(5:3:1)等と記載したものは、液状の物質の10容量と1容量の混液、5容量と3容量と1容量の混液等を示す。
23.質量を単に「量る」と記載した場合の採取量は、記載された数値の次の桁で四捨五入した値が、その数値になる量をいう。
例えば、1gとは0.5~1.4g、1.0gとは0.95~1.04g、1.00gとは0.995~1.004gを量ることを意味する。
24.質量を「精密に量る」とは、規格値の桁数を考慮して必要な桁数まで読みとることをいう。通例、0.1mgまで読みとる場合には化学はかり、10μgまで読みとる場合にはセミミクロ化学はかり、1μgまで読みとる場合にはミクロ化学はかりを用いる。
25.定量等に供する試料の採取量に「約」を付けたものは、記載された量の±10%の範囲をいう。
26.容量を「正確に量る」とは、別に規定するもののほか、ホールピペット、ビュレット又はこれらと同程度以上の精度のある体積計を用いて計量することをいう。また、「正確に100mLとする」等と記載した場合には、別に規定するもののほか、メスフラスコを用いることをいう。
27.白色と記載したものは、白色又はほとんど白色であることを示し、無色と記載したものは、無色又はほとんど無色であることを示す。色調を試験するには、別に規定するもののほか、試料が固体の場合には、その1~3gを時計皿等にとり、白色を背景として観察する。また、試料が液体の場合には、試料を内径約15mmの無色の試験管に入れ、液層を約30mmとし、白色を背景として上方及び側方から観察する。液体の試料の蛍光を観察するには、黒色の背景を用いる。
28.においがない旨記載したものは、においがないか又はほとんどにおいがないことを示す。においの試験は、別に規定するもののほか、固体の試料の場合には、約1g、液体の試料の場合には、1mLをビーカー又は試験管にとって行う。
においの強いもの又は刺激性のあるものの試験は、必要に応じて、希釈したり、ろ紙片を用いてもよい。
29.溶解性を示す用語は次による。溶解性は、別に規定するもののほか、固形物の場合には、粉末とした後、溶媒中に入れ、20±5℃で5分ごとに強く30秒間振り混ぜるとき、30分以内に溶ける度合をいう。
用語 |
溶質1g又は1mLを溶かすに要する溶媒量 |
極めて溶けやすい |
1mL未満 |
溶けやすい |
1mL以上10mL未満 |
やや溶けやすい |
10mL以上30mL未満 |
やや溶けにくい |
30mL以上100mL未満 |
溶けにくい |
100mL以上1000mL未満 |
極めて溶けにくい |
1000mL以上10L未満 |
ほとんど溶けない |
10L以上 |
30.ろ過は、別に規定するもののほか、ろ紙を用いて行う。
31.確認試験は、添加物中に含有されている主成分等を、その特性に基づいて確認するために必要な試験である。
32.確認試験は、別に規定するもののほか、通例、規定された液2~5mLを量り、内径8.0~18mmの試験管内で行う。
33.確認試験の項目等において、例えば「炭酸塩の反応を呈する」、「ナトリウム塩の反応を呈する」と記載した場合には、一般試験法の項の定性反応試験法中に記載した炭酸塩、ナトリウム塩の試験を行うとき、規定された反応を呈することをいう。
34.純度試験は、添加物中の混在物の試験であり、通例、混在を予想される物質の種類及びその量の限度を規定する。
35.溶状を見るには、別に規定するもののほか、試料を溶媒中に入れ、30秒~5分間振り混ぜた後、観察する。溶状において、澄明、ほとんど澄明、わずかに微濁、微濁又は混濁と記載したものは、一般試験法の溶状試験法により判断する。
36.濁らないと記載したものは、その液の澄明度が変化しないことを意味する。
37.乾燥又は強熱するとき、恒量とは、別に規定するもののほか、引き続き更に1時間乾燥又は強熱するとき、前後の秤量差が前回に量った乾燥物又は強熱した残留物の質量の0.1%以下であることを示す。ただし、秤量差が、化学はかりを用いたとき0.5mg以下、セミミクロ化学はかりを用いたとき50μg以下、ミクロ化学はかりを用いたとき5μg以下の場合には、無視し得る量とし、恒量とみなす。
38.定量法は、添加物の成分含量又は力価を測定する方法である。成分規格・保存基準各条中に記載した成分含量又は力価の限度は、定量法で得た値の限度を示すものであり、特にその上限を示さない場合には、101.0%を上限とする。
39.試料について単に乾燥し又は強熱しと記載した場合の乾燥又は強熱条件は、その成分規格・保存基準各条の乾燥減量又は強熱減量の項目とそれぞれ同じ条件であることを示す。また、「本品を乾燥したもの」とは、その成分規格・保存基準各条の乾燥減量の項と同じ条件で乾燥したもの、「本品を乾燥物換算したもの」とは、その成分規格・保存基準各条の乾燥減量の項で得られた値に従って換算したもの、「本品を無水物換算したもの」とは、その成分規格・保存基準各条の水分の項で得られた値に従って換算したものを意味する。
容器
40.密封容器とは、通常の取扱い又は貯蔵の間に空気又はその他のガスが侵入しないように内容物を保護する容器をいう。
41.遮光した容器とは、光の透過を防ぐ容器又は光の透過を防ぐ包装を施した容器をいう。
G00100
B 一般試験法
1.亜硫酸塩定量法
亜硫酸塩定量法は、亜硫酸塩類をヨウ素と反応させた後、過量のヨウ素をチオ硫酸ナトリウムで逆滴定し、反応に要したヨウ素の量から亜硫酸塩を定量する方法である。
操作法
別に規定するもののほか、次の方法による。
別に規定する試料の量を精密に量り、あらかじめ0.05mol/Lヨウ素溶液50mLを正確に量って入れた共栓三角フラスコに入れて溶かし、栓をして5分間放置した後、塩酸(2→3)2mLを加える。次に過量のヨウ素を0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する(指示薬 デンプン試液1~3mL)。ただし、デンプン試液は、終点近くで液が薄い黄色になったときに加え、終点は、液の色が消えるときとする。別に空試験を行う。
G00200
2.イオンクロマトグラフィー
イオンクロマトグラフィーは、イオン交換体等を固定相としたカラムに、移動相として溶離液を流すことにより、カラムに注入された混合物をイオン交換能の差を利用してそれぞれの成分に分離し、分析する方法であり、液体試料又は溶液にできる試料に適用でき、確認試験、純度試験、定量法等に用いる。
装置
通例、移動相送液用ポンプ、試料導入部、カラム、検出器及びデータ処理部からなり、カラムはカラム槽等により恒温に保たれる。移動相送液用ポンプは、カラム、連結チューブ等の中に移動相を一定流量で送ることができるものである。試料導入部は、一定量の試料を再現性よく装置に導入できるものである。検出器は、通例、電気伝導度計、紫外吸光光度計等が用いられ、移動相とは異なる性質の成分を検出するものであり、通例、数μg以下の物質に対して濃度に比例した信号を出すものである。なお、検出器として電気伝導度計を用いる場合、測定するイオン種成分の検出を損なうことなくバックグラウンドとなる電気伝導度を低減するため、サプレッサを電気伝導度計の前に設けてもよい。サプレッサを用いる場合には、溶離液には、通例、水酸化カリウム、炭酸緩衝液、ホウ酸緩衝液等の塩基性溶液を用いる。データ処理部は、クロマトグラム、保持時間(検液を注入してから成分のピークの頂点が現れるまでの時間をいう。以下同じ。)又は成分定量値等を記録又は出力させることができる。
操作法
装置をあらかじめ調整した後、別に規定する操作条件に移動相、カラム、検出器及び移動相流量を設定し、カラムを規定の温度で平衡にした後、別に規定する方法で調製した検液又は標準液若しくは比較液を試料導入部から導入する。分離された成分を検出器により検出し、データ処理部を用いてクロマトグラムを記録させる。物質の確認は、標準試料と保持時間(検液を注入してから成分のピークの頂点が現れるまでの時間をいう。以下同じ。)が一致すること又は標準試料を添加しても保持時間が変化せずピークの幅が広がらないことにより行う。定量は、ピーク面積又はピーク高さを用いて行い、通例、次のいずれかの方法による。
(1) 内標準法 別に規定する内標準物質の一定量に対して標準被検成分を段階的に加えた標準液を数種類調製する。標準液を一定量ずつ注入して得られたクロマトグラムから、内標準物質のピーク面積又はピーク高さに対する標準被検成分のピーク面積又はピーク高さの比を求める。この比を縦軸に、標準被検成分量又は内標準物質量に対する標準被検成分量の比を横軸にとり、検量線を作成する。この検量線は、通例、原点を通る直線となる。次に、別に規定する方法で同量の内標準物質を加えた検液を調製し、検量線を作成したときと同一条件でクロマトグラムを記録させ、その内標準物質のピーク面積又はピーク高さに対する被検成分のピーク面積又はピーク高さの比を求め、検量線を用いて被検成分量を求める。
(2) 絶対検量線法 標準被検成分を段階的にとり、標準液を調製し、一定量ずつ正確に、再現性よく注入する。得られたクロマトグラムから求めた標準被検成分のピーク面積又はピーク高さを縦軸に、標準被検成分量を横軸にとり、検量線を作成する。この検量線は、通例、原点を通る直線となる。次に、別に規定する方法で検液を調製し、検量線を作成したときと同一条件でクロマトグラムを記録させ、被検成分のピーク面積又はピーク高さを測定し、検量線を用いて被検成分量を求める。この方法は、注入操作等測定操作の全てを厳密に一定の条件に保って行う。
なお、水は、イオンクロマトグラフィー用精製水を使用し、特に支障のない限り、陰イオン標準液を調製する場合には、ナトリウム塩又はカリウム塩を、陽イオン標準液を調製する場合には、塩化物又は硝酸塩を使用する。
また、いずれの方法の場合にもピーク面積又はピーク高さは、通例、次の方法を用いて測定する。
(1) ピーク面積による場合
次のいずれかの方法を用いる。
(i) 半値幅法 ピーク高さの中点におけるピーク幅にピーク高さを乗じる。
(ii) 自動積分法 検出器からの信号をデータ処理部を用いてピーク面積として測定する。
(2) ピーク高さによる場合
次のいずれかの方法を用いる。
(i) ピーク高さ法 ピークの頂点から記録紙の横軸へ下ろした垂線とピークの両すそを結ぶ接線との交点から頂点までの長さを測定する。
(ii) 自動ピーク高さ法 検出器からの信号をデータ処理部を用いてピーク高さとして測定する。
G00300
3.液体クロマトグラフィー
液体クロマトグラフィーは、適当な固定相を用いて作られたカラムに、移動相として液体を流すことにより、カラムに注入された混合物を固定相に対する保持力の差を利用してそれぞれの成分に分離し、分析する方法であり、液体試料又は溶液にできる試料に適用でき、確認試験、純度試験、定量法等に用いる。
装置
通例、移動相送液用ポンプ、試料導入部、カラム、検出器及びデータ処理部から成り、必要に応じて移動相組成制御装置、カラム槽、反応試薬送液用ポンプ、化学反応槽等を用いる。ポンプは、カラム、連結チューブ等の中に移動相及び反応試薬を一定流量で送ることができるものである。試料導入部は、一定量の試料を再現性よく装置に導入するものである。カラムは、一定の大きさに揃えた液体クロマトグラフィー用充填剤を内面が平滑で不活性な金属等の管に均一に充填したものである。検出器は、通例、紫外吸光光度計、可視吸光光度計、示差屈折計、蛍光光度計、フォトダイオードアレイ検出器、質量分析計等が用いられ、移動相とは異なる性質の成分を検出するものであり、通例、数μg以下の物質に対して濃度に比例した信号を出すものである。データ処理部は、クロマトグラム、保持時間又は成分定量値等を記録し又は出力させることができる。移動相組成制御装置は、段階的制御(ステップワイズ方式)及び濃度勾配制御(グラジエント方式)があり、移動相組成を制御できるものである。
操作法
装置をあらかじめ調整した後、別に規定する操作条件に移動相、カラム、検出器及び移動相流量を設定し、カラムを規定の温度で平衡にした後、別に規定する方法で調製した検液又は標準液若しくは比較液を試料導入部から導入する。分離された成分を検出器により検出し、データ処理部を用いてクロマトグラムを記録させる。分析される成分が検出器で検出されるのに適した吸収、蛍光等の物性を持たない場合には、適当な誘導体化を行い検出する。誘導体化は、通例、プレカラム法又はポストカラム法による。物質の確認は、標準試料と保持時間が一致すること又は標準試料を添加しても保持時間が変化せずピークの幅が広がらないことにより行う。定量は、ピーク面積又はピーク高さを用いて行い、通例、次のいずれかの方法による。
(1) 内標準法 別に規定する内標準物質の一定量に対して標準被検成分を段階的に加えた標準液を数種類調製する。標準液を一定量ずつ注入して得られたクロマトグラムから、内標準物質のピーク面積又はピーク高さに対する標準被検成分のピーク面積又はピーク高さの比を求める。この比を縦軸に、標準被検成分量又は内標準物質量に対する標準被検成分量の比を横軸にとり、検量線を作成する。この検量線は、通例、原点を通る直線となる。次に、別に規定する方法で同量の内標準物質を加えた検液を調製し、検量線を作成したときと同一条件でクロマトグラムを記録させ、その内標準物質のピーク面積又はピーク高さに対する被検成分のピーク面積又はピーク高さの比を求め、検量線を用いて被検成分量を求める。成分規格・保存基準各条では、通例、上記の検量線が直線となる濃度範囲に入る一つの標準液及びこれに近い濃度の検液を調製し、各条で規定するそれぞれの量につき、同一条件で液体クロマトグラフィーを行い被検成分量を求める。
(2) 絶対検量線法 標準被検成分を段階的にとり、標準液を調製し、一定量ずつ正確に、再現性よく注入する。得られたクロマトグラムから求めた標準被検成分のピーク面積又はピーク高さを縦軸に、標準被検成分量を横軸にとり、検量線を作成する。この検量線は、通例、原点を通る直線となる。次に、別に規定する方法で検液を調製し、検量線を作成したときと同一条件でクロマトグラムを記録させ、被検成分のピーク面積又はピーク高さを測定し、検量線を用いて被検成分量を求める。この方法は、注入操作等測定操作の全てを厳密に一定の条件に保って行う。
(3) 相対モル感度法 別に規定する基準物質の規定量を正確にとり、別に規定する方法で定量用内標準物質として検液に加えるか、検液とは別に定量用外標準液を調製する。別に規定する操作条件で、検液又は検液及び定量用外標準液を一定量ずつ注入して分析を行う。なお、相対モル感度は一定の分析条件下において有効な係数であるため、通例、規定された分析条件下で行う必要がある。得られたクロマトグラムから、基準物質に対する被検成分のピーク面積又はピーク高さの比を求め、別に規定する相対モル感度を用いて、被検成分量を求める。
なお、いずれの方法の場合にもピーク面積又はピーク高さは、通例、次の方法を用いて測定する。
(1) ピーク面積による場合
次のいずれかの方法を用いる。
(i) 半値幅法 ピーク高さの中点におけるピーク幅にピーク高さを乗じる。
(ii) 自動積分法 検出器からの信号をデータ処理部を用いてピーク面積として測定する。
(2) ピーク高さによる場合
次のいずれかの方法を用いる。
(i) ピーク高さ法 ピークの頂点から記録紙の横軸へ下ろした垂線とピークの両すそを結ぶ接線との交点から頂点までの長さを測定する。
(ii) 自動ピーク高さ法 検出器からの信号をデータ処理部を用いてピーク高さとして測定する。
システム適合性
システム適合性は、添加物の試験に使用するシステムが、当該の試験を行うのに適切な性能で稼働していることを確かめることを目的としている。規定された適合要件を満たさない場合には、そのシステムを用いて行った試験の結果を採用してはならない。
システム適合性は、基本的に「システムの性能」及び「システムの再現性」で評価されるが、純度試験においてはこれらに加えて「検出の確認」が求められる場合がある。
(1) 検出の確認
純度試験において、対象とする不純物等のピークがその規格限度値レベルの濃度で確実に検出されることを確認することによって、使用するシステムが試験の目的を達成するために必要な性能を備えていることを検証する。
(2) システムの性能
被検成分に対する特異性が担保されていることを確認することによって、使用するシステムが試験の目的を達成するために必要な性能を備えていることを検証する。
定量法では、原則として、被検成分と分離確認用物質(基本的には、隣接するピークが望ましい。)との分離度及び必要な場合には、溶出順で規定する。純度試験では、原則として、被検成分と分離確認用物質との分離度及び溶出順で規定する。また、必要な場合には、シンメトリー係数を併せて規定する。ただし、適当な分離確認用物質がない場合には、被検成分の理論段数やシンメトリー係数で規定しても差し支えない。
(3) システムの再現性
標準液又はシステム適合性試験用溶液を繰返し注入したときの被検成分のレスポンスのばらつきの程度(精度)が試験の目的に適合することを確認することによって、使用するシステムが試験の目的を達成するために必要な性能を備えていることを検証する。
システムの再現性の許容限度値は、通常、繰返し注入における被検成分のレスポンスの相対標準偏差(RSD)として規定する。検液の注入を始める前に標準液の注入を繰り返す形だけでなく、標準液の注入を検液の注入の前後に分けて行う形や検液の注入の間に組み込んだ形でシステムの再現性を確認してもよい。
繰返し注入の回数は、6回を原則とするが、グラジエント法を用いる場合や試料中に溶出が遅い成分が混在する場合等、1回の分析に時間が掛かる場合には、6回注入時とほぼ同等のシステムの再現性が担保されるように、達成すべきばらつきの許容限度値を厳しく規定することにより、繰返し注入の回数を減らしてもよい。
システムの再現性の許容限度値は、当該試験法の適用を検討した際のデータと試験に必要とされる精度を考慮して、適切なレベルに設定する。
成分規格・保存基準各条の操作条件のうち、カラムの内径及び長さ、充填剤の粒径、カラム温度、移動相の組成比、移動相の緩衝液組成、移動相のpH、移動相のイオン対形成剤濃度、移動相の塩濃度、切替え回数、切替え時間、グラジエントプログラム及びその流量、誘導体化試薬の組成及び流量、移動相の流量並びに反応時間及び化学反応槽温度は、システム適合性の規定に適合する範囲内で一部変更することができる。
用語
(1) SN比:次の式で定義する。
S/N=2H/h
ただし、
H:対象物質のピークの基線(バックグラウンドノイズの中央値)からのピーク高さ
h:対象物質のピークの前後における検液又は溶媒ブランクのクロマトグラムのバックグラウンドノイズの幅
なお、基線及びバックグラウンドノイズは対象物質のピーク高さの中点におけるピーク幅の20倍に相当する範囲で測定する。また、溶媒ブランクを用いる場合には、対象物質が溶出する位置付近で、上記とほぼ同様の範囲で測定する。
(2) シンメトリー係数:クロマトグラム上のピークの対称性の度合いを示すもので、シンメトリー係数Sとして次の式で定義する。
S=W0.05h/2f
ただし、
W0.05h:ピークの基線からピーク高さの1/20の高さにおけるピーク幅
f:W0.05hのピーク幅をピークの頂点から記録紙の横軸へ下ろした垂線で二分したときのピークの立上り側の距離
なお、W0.05h、fは同じ単位を用いる。
(3) 相対標準偏差:通例、次の式により定義される相対標準偏差(RSD)(%)で規定する。
ただし、
xi:測定値
画像5 (1KB)
:測定値の平均値
n:測定回数
(4) ピークの完全分離:ピークが完全に分離するとは、分離度1.5以上を意味する。ベースライン分離ともいう。
(5) ピークバレー比:クロマトグラム上の二つのピークの間でベースライン分離が達成できないときに、それらのピークの間の分離の程度を示す指標となるもので、ピークバレー比p/vとして次の式で定義する。
p/v=Hp/Hv
ただし、
Hp:マイナーピークのピークの基線からのピーク高さ
Hv:マイナーピークとメジャーピークの分離曲線の最下点(ピークの谷)のピークの基線からの高さ
(6) 分離係数:クロマトグラム上のピーク相互の保持時間の関係を示すもので、分離係数αとして次の式で定義する。分離係数αは、二つの物質の分配の熱力学的な差違の指標で、基本的には、二つの物質の分配平衡係数の比又は二つの物質の分布の比であるが、二つの物質の保持時間の比としてクロマトグラムから求める。
ただし、
tR1、tR2:分離度測定に用いる二つの物質の保持時間、tR1<tR2
t0:移動相のカラム通過時間(k=0の物質の試料注入時からピークの頂点までの時間)
(7) 分離度:クロマトグラム上のピーク相互の保持時間とそれぞれのピーク幅との関係を示すもので、分離度RSとして次の式で定義する。
ただし、
tR1、tR2:分離度測定に用いる二つの物質の保持時間、tR1<tR2
W0.5h1、W0.5h2:それぞれのピークの高さの中点におけるピーク幅
なお、tR1、tR2、W0.5h1、W0.5h2は同じ単位を用いる。
(8) 理論段数:カラム中における物質のバンドの広がりの度合いを示すもので、通例、理論段数Nとして次の式で定義する。
N=5.54×tR2/W0.5h2
ただし、
tR:物質の保持時間
W0.5h:ピーク高さの中点におけるピーク幅
なお、tR、W0.5hは同じ単位を用いる。
(9) 相対モル感度:基準とする物質の単位モル当たりのピーク面積又はピーク高さに対する被検成分の単位モル当たりのピーク面積又はピーク高さの比である。
各機器分析の相対モル感度法では、得られたクロマトグラムから、基準物質に対する被検成分のピーク面積又はピーク高さの比を求め、この比を別に規定する相対モル感度で除して、基準物質に対する被検成分のモル比を求める。次に、このモル比に対して基準物質に対する被検成分の分子量比を乗じることで質量比を求めることができる。したがって、基準物質を定量用内標準物質として検液に加えた場合、次の式により試料中の被検成分量を求めることができる。ただし、純度(P)の代数表記がない場合は、定量用基準物質試薬の純度を100%として用いる。
被検成分量(%)=MS/MT×Aa/AS×MWa/MWS×1/RMS×P
ただし、
MS:定量用基準物質試薬の採取量又は濃度
MT:試料の採取量又は濃度
Aa:被検成分のピーク面積
AS:基準物質のピーク面積
MWa:被検成分の分子量
MWS:基準物質の分子量
RMS:被検成分の基準物質に対する相対モル感度
P:定量用基準物質試薬の純度(%)
なお、MS、MTは同じ単位を用いる。
注意:試験に用いる試薬及び試液は、測定の妨げとなる物質を含まないものを用いる。
G00400
4.塩化物試験法
塩化物試験法は、添加物中に混在する塩化物の限度試験である。
以下、本試験法を用いる場合において、例えば、「Clとして0.041%以下(0.30g、比較液0.01mol/L塩酸0.35mL)」とあるのは、本品0.30gを量り、試料とし、比較液には、0.01mol/L塩酸0.35mLを用い、試験を行うとき、塩化物が、Clとして0.041%以下であることを示す。
操作法
(1) 検液及び比較液の調製
別に規定するもののほか、次の方法による。
試料の量のみを規定する場合には、規定する量の試料を量り、比色管に入れ、水約30mLを加えて溶かし、液がアルカリ性の場合には、硝酸(1→10)を加えて中和する。さらに、硝酸(1→10)6mL及び水を加えて50mLとし、検液とする。また、試料液を調製する場合には、試料液を比色管に入れ、硝酸(1→10)6mL及び水を加えて50mLとし、検液とする。別の比色管に別に規定する量の0.01mol/L塩酸を量って入れ、硝酸(1→10)6mL及び水を加えて50mLとし、比較液とする。検液が澄明でない場合には、両液を同じ条件でろ過する。
(2) 試験
別に規定するもののほか、検液及び比較液に硝酸銀溶液(1→50)1mLずつを加えてよく混和し、直射日光を避け、5分間放置した後、両比色管を黒色を背景とし、上方及び側方から観察して濁度を比較するとき、検液の呈する濁度は、比較液の呈する濁度より濃くない。
G00500
5.炎色反応試験法
炎色反応試験法は、ある種の元素がブンゼンバーナーの無色炎をそれぞれ固有の色に染める性質を利用して、その元素の定性を行う方法である。
操作法
試験に用いる白金線は、径約0.8mmで、先端は直線のままで用いる。試料が固体の場合には、塩酸少量を加えてかゆ状とし、その少量を白金線の先端から約5mmまでの部分に付け、直ちに図に示すように、ほとんど水平に保って無色炎中に入れて試験する。また、試料が液体の場合には、白金線の先端を試料中に約5mm浸し、静かに引き上げて、以下固体の場合と同様に試験する。
炎色反応が持続するとは、その反応が約4秒間持続することをいう。
G00600
6.灰分及び酸不溶性灰分試験法
1.灰分
灰分試験法は、試料を規定された条件で強熱するときに残留する物質の量を測定する方法である。
操作法
あらかじめ白金製、石英製又は磁製のるつぼを500~550℃で1時間強熱し、デシケーター中で放冷した後、その質量を精密に量る。別に規定するもののほか、試料2~4gを、先のるつぼに入れ、その質量を精密に量る。必要な場合には、緩く蓋をして初めは弱く加熱し、徐々に温度を上げて炭化する。さらに、電気炉に入れ、500~550℃で4時間以上強熱して、灰化し、デシケーター中で放冷した後、その質量を精密に量る。再び残留物を恒量になるまで強熱し、デシケーター中で放冷した後、その質量を精密に量る。
この方法で、なお炭化物が残り、恒量にならないときには、熱湯を加えて浸出し、定量分析用ろ紙を用いてろ過し、残留物はろ紙及びろ紙上の不溶物とともに炭化し、更に電気炉に入れ、炭化物がなくなるまで500~550℃で強熱する。これにろ液を加えた後、蒸発乾固し、500~550℃で強熱し、デシケーター中で放冷した後、質量を精密に量る。この方法でも炭化物が残るときは、エタノール(95)少量を加えて潤し、ガラス棒で炭化物を砕き、ガラス棒をエタノール(95)少量で洗い、エタノールを注意して蒸発させた後、前と同様に操作して質量を精密に量る。
2.酸不溶性灰分
酸不溶性灰分試験法は、塩酸(1→4)に不溶の灰分の量を測定する方法である。
操作法
灰分に塩酸(1→4)25mLを注意して加え、5分間穏やかに煮沸し、不溶物を定量分析用ろ紙を用いてろ取し、熱湯でよく洗い、残留物をろ紙とともに乾燥した後、灰分の項と同様に操作した質量既知の白金製、石英製又は磁製のるつぼに入れ、加熱して炭化し、更に電気炉に入れ、3時間強熱し、デシケーター中で放冷した後、その質量を精密に量る。得られた値が規定の値より大きい場合には、恒量になるまで強熱する。