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(2) ヒ素及び鉛を検出するものであつてはならない。また,金属製容器包装入りのものにあつては,スズの含有量は150.0ppmを超えるものであつてはならない。

この場合のヒ素及び鉛の試験法は,次のとおりとする。

1.試験溶液の調製

試験溶液の調製は,aに示す湿式分解法又はbに示す乾式灰化法により行う。ただし,ヒ素の試験にあつては,aに示す湿式分解法により行う。

a 湿式分解法

飲用に際して使用される水の倍数で100gを除した量の検体を採り,これを分解フラスコに移し,水30mlを加えて溶かした後,硝酸20ml及び硫酸10mlを加え,加熱しながら硝酸1~2mlを時々補充し,溶液がほとんど無色又は淡黄色となるまで加熱を続ける。いつたん冷却した後,水10ml及びシュウ酸アンモニウム溶液10mlを加え,フラスコのけい部に白霧が現われるまで加熱する。冷後,水を加えて全量を50mlとし,これを試験溶液とする。別に,検体の代わりに水を用いて検体の場合と同様に操作し得られた溶液を空試験溶液とする。

b 乾式灰化法

飲用に際して使用される水の倍数で50gを除した量の検体を採り,450~500℃でほとんど白色の灰分が得られるまで加熱する。冷後,塩酸(1→2)5mlを静かに注加して溶かした後,水浴上で蒸発乾固する。冷後,1mol/l塩酸に溶かして全量を25mlとし,これを試験溶液とする。別に,検体の代わりに水を用いて検体の場合と同様に操作して得られた溶液を空試験溶液とする。

2.ヒ素及び鉛の試験法

ヒ素の試験法は第1 食品の部D 各条の項の○ 清涼飲料水の1 清涼飲料水の成分規格の(2)の3.のaの② ヒ素の試験法を,鉛の試験法は同目の(2)の3.のaの③ 鉛の試験法を準用する。

(3) 乳酸菌を加えない粉末清涼飲料にあつては,大腸菌群が陰性であり,細菌数が検体1gにつき3,000以下でなければならない。

この場合の大腸菌群試験法および細菌数の測定法は,つぎのとおりとする。

1.検体の採取および試料の調製

容器包装の表面をアルコール綿でふき,滅菌した器具を用いて開封し,その内容のうち10gを無菌的に滅菌試料びんにとり,滅菌リン酸緩衝液を加えて100mlとし,密せんして(発泡性のものにあつては,かきまぜて二酸化炭素を発散させた後密せんして)よくふりまぜ,これを試料原液とする。

2.大腸菌群試験法

試料原液の10mlおよび1mlならびに10倍液1mlをとり,これを試料として,第1食品の部C 食品一般の保存基準の項の1の(2) 大腸菌群試験法によつて行なう。

3.細菌数(生菌数)の測定法

試料原液,10倍液,100倍液及び1,000倍液を検体として,第1 食品の部D 各条の項の○ 清涼飲料水の2 清涼飲料水の製造基準の(2)の2.のbによつて行う。

(4) 乳酸菌を加えた粉末清涼飲料にあつては,大腸菌群が陰性であり,細菌数(乳酸菌を除く。)が検体1gにつき3,000以下でなければならない。

この場合の大腸菌群試験法および細菌数の測定法は,つぎのとおりとする。

1.検体の採取および試料の調製

(3)の1.検体の採取および試料の調製の操作と同様の操作で行なう。

2.大腸菌群試験法

(3)の2.大腸菌群試験法によつて行なう。

3.細菌数(生菌数。ただし,乳酸菌を除く。)の測定法

a 試料原液,10倍液,100倍液および1,000倍液のそれぞれについて,滅菌ペトリザラを2枚以上用意し,これにそれぞれの検液を各1mlずつ正確に滅菌ピペツトでとり,これに加温溶解して43~45℃に保持した1.0μg/mlペニシリンGカリウム添加ブドウ糖加寒天培地約15mlを加え,静かに回転または前後左右に傾斜して混合し,冷却凝固させる。検液をペトリザラにとつてから培地を注加するまでに20分間以上経過してはならない。

培地が凝固したならば,これを倒位でフ卵器にいれる。

この場合,検液を加えないで希釈用液1mlと培地とを混合したものを対照とし,ペトリザラ,希釈用液および培地が無菌でかつ操作が完全であつたことならびに検液とペニシリンGカリウムを添加しないブドウ糖加寒天培地とを混合したものを対照とし,乳酸菌が1.0μg/mlのペニシリンGカリウムで完全に抑えられたことを確かめなければならない。

ペトリザラは直径9~10cm,深さ1.5cmとする。

培養温度は35℃(上下1.0℃の余裕を認める。)とし,培養時間は24時間(前後2時間の余裕を認める。)とする。

ペニシリンGカリウム添加ブドウ糖加寒天培地 ブドウ糖5~10gを少量の水に溶かしておき,これに加温溶解した2.5~3.0%の普通寒天培地を注加し混合し,分注した後121℃で15分間滅菌する。なお,ペニシリンGカリウムは平板作製直前に培地に添加し,混合するものとする。

b 試料原液,10倍液,100倍液および1,000倍液のそれぞれについて,滅菌ペトリザラを2枚以上用意し,これにそれぞれの検液を各1mlずつ正確に滅菌ピペツトでとり,これに加温溶解して43~45℃に保持した4%塩化ナトリウム含有B.C.P.加プレートカウント寒天培地約15mlを加え,静かに回転または前後左右に傾斜して混合し,冷却凝固させる。検液をペトリザラにとつてから培地を注加するまでに20分間以上経過してはならない。

培地が凝固したならば,これを倒置し35℃(上下1.0℃の余裕を認める。)で24時間(前後2時間の余裕を認める。)培養する。

この場合,検液を加えないで希釈用液1mlと培地を混合したものを対照とし,ペトリザラ,希釈用液および培地の無菌であつたことならびに操作が完全であつたことを確かめなければならない。

ペトリザラは直径9~10cm,深さ1.5cmとする。

4%塩化ナトリウム含有B.C.P.加プレートカウント寒天培地 酵母エキス2.5g,ペプトン5g,ブドウ糖1g,塩化ナトリウム40gおよび粉末寒天15gを水1,000mlに加えて加熱溶解し,pH6.8~7.0に修正し,これにB.C.P.を0.004~0.006%の割合に加えて121℃で15分間滅菌する。

c aの培養において算定した細菌数とbの培養において算定した細菌数を合計した数を求める細菌数とする。

細菌数の算定方法は,(3)の3.細菌数(生菌数)の測定法に準ずる。

2 粉末清涼飲料の製造基準

粉末清涼飲料の容器包装は,適当な方法で洗浄され,乾燥されたガラスびん,金属製容器包装,合成樹脂製容器包装(紙製またはセロフアン製の容器包装であつて,合成樹脂で全面に積層加工したものを含む。)または金属製もしくは合成樹脂製の運搬器具に収めて,密せんもしくは密封するかまたは防じん,防湿および防虫できるようにしたものでなければならない。ただし,洗浄したことと同一の効果がある製造方法で製造される容器包装であつて,使用されるまでに汚染されるおそれのないように取り扱われたものについては,洗浄することを要しない。

3 コツプ販売式自動販売機に収める粉末清涼飲料の保存基準

コツプ販売式自動販売機に収める粉末清涼飲料は,2 粉末清涼飲料の製造基準に定める措置を講じて保存されなければならない。

○ 氷雪

1 氷雪の成分規格

(1) 氷雪は,大腸菌群が陰性であり,かつ,その融解水1ml中の細菌数が100以下でなければならない。

(2) 氷雪の大腸菌群の試験法は第1 食品の部のc 食品一般の保存基準の項の1の(2) 大腸菌群試験法によるものとし,細菌数の試験法は次のとおりとする。

1.検体の採取及び試料の調製

検体を滅菌蒸留水でよく洗じようし,滅菌した容器に入れ,室温又は40°以下の温湯中で振り動かしながら全部融解させた後,直ちにこの融解水の原液,10倍液,100倍液及び1,000倍液を作る。

2.細菌数(生菌数)の測定法

第1 食品の部D 各条の項の○ 清涼飲料水の2 清涼飲料水の製造基準の(2)の2.のbによつて行う。

2 氷雪の製造基準

氷雪の製造に使用する原水は,食品製造用水でなければならない。

○ 氷菓

1 氷菓の成分規格

(1) 氷菓は,その融解水1ml中の細菌数(はつ酵乳又は乳酸菌飲料を原料として使用したものにあつては,乳酸菌又は酵母以外の細菌の数)が,10,000以下でなければならない。

(2) 氷菓は,大腸菌群が陰性でなければならない。

(3) 氷菓の細菌数の測定法および大腸菌群試験法はつぎのとおりとする。

1.検体の採取および試料の調製

検体は,製品が成分規格に適合するかしないかを判断することのできる数量を滅菌採取器具を用いて無菌的に滅菌採取ビンにとり,なるべくその温度を保つて保持し,または運搬し,採取後4時間以内に試験に供しなくてはならない。

試料は,検体を40°以下でなるべく短時間で全部融解させ,その10mlを共センビンにとつたものに,細菌数(生菌数)の測定に関しては滅菌生理食塩水90mlを加えて10倍希釈したものを1平板に30~300の集落がえられるように滅菌生理食塩水で段階希釈したもの,大腸菌群の試験に関しては滅菌生理食塩水90mlを加えて10倍希釈したものとする。

2.細菌数(生菌数)の測定法

各試料について滅菌ペトリザラ2枚以上を用意し,滅菌ピペツトを用いて対応する滅菌ペトリザラに当該試料1mlずつを正確にとり,これらにあらかじめ加温して溶かし43~45°の温度に保持した標準寒天培養基(第1 食品の部D 各条の項の○ 清涼飲料水の2 清涼飲料水の製造基準の(2)の2.のbに規定するものをいう。)約15mlを加え,静かに回転し,前後左右に傾斜して混合し,冷却凝固させる。この操作は試料をペトリザラにとつてから20分以内に完了させなければならない。培養基が凝固したならば,倒置して35°(上下1.0°の余裕を認める。)の温度で48時間(前後3時間の余裕を認める。)培養する。この場合,検体の希釈に用いた滅菌生理食塩水1mlに,試料に加えた培養基と同一同量の培養基を混合し,静かに回転し,以下試料の場合と同様に操作して培養したものを対照としペトリザラ,生理食塩水および培養基が無菌であつたことならびに操作が完全であつたことを確めなければならない。

ペトリザラは直径9~10cm深さは1.5cmとする。

細菌数の算定は,つぎの要領による。

1平板の集落数30~300のもの(1平板の集落数が30~300のものがないときは拡散集落の部分が平板の2分の1以下で他の集落がよく分散していて算定に支障のないもの)の集落数を集落計算器を用いて常に一定した光線の下で計測し,希釈倍率が同一な試料ごとに各平板の集落数を平均した値に,当該試料に係る希釈倍率を乗じてえた数値を加算し,有効であつた平板の希釈倍率別による種類の数で除してえた値を細菌数とする。ただし,つぎの場合はこれを試験室内事故とする。

a 集落の発生のなかつた場合

b 拡散集落の部分が平板の2分の1を越えた場合

c 汚染されたことが明らかなもの

d その他不適当と思われるもの

3.大腸菌群試験法

滅菌ペトリザラ2枚を用意し,それぞれに滅菌ピペツトを用いて試料1mlを正確にとる。これにあらかじめ加温して溶かし43~45°の温度を保持させたデソキシコーレイト寒天培養基を10~15mlの量を加え,静かに回転し,前後左右に傾斜して混合し,冷却凝固させる。培養基が凝固した後,その表面にさらに同培養基を3~4mlの量を加えて冷却凝固させる。この操作は試料をペトリザラにとつてから20分以内に完了させなければならない。

培養基が凝固したならば,倒置して35°(上下1.0°の余裕を認める。)の温度で20時間(前後2時間の余裕を認める。)培養して集落の有無を観察する。暗赤色の集落を認めたものは推定試験陽性とし,該当しないものは推定試験陰性とする。

推定試験が陽性の場合は,当該集落の代表的なものをE・M・B・培養基に塗抹とまつし,35°(上下1.0°の余裕を認める。)の温度で24時間(前後2時間の余裕を認める。)培養した後,大腸菌群の定型的集落(定型的集落がない場合は,定型的集落に類似した集落2以上)をちよう菌して,乳糖ブイヨン発酵管および寒天斜面にそれぞれ移植する(定型的集落に類似した集落をちよう菌した場合は各集落からちよう菌したもの別にそれぞれ移植する。)。

乳糖ブイヨン発酵管は35°(上下1.0°の余裕を認める。)の温度で48時間(前後3時間の余裕を認める。),寒天斜面は35°(上下1.0°の余裕を認める。)の温度で24時間培養し,乳糖ブイヨン発酵管においてガス発生を確認した場合に,これと相対する寒天斜面培養について鏡検し,グラム陰性無芽胞かん菌を認めた場合を大腸菌群陽性とする。

ペトリザラは直径9~10cm,深さ1.5cmとする。

デソキシコーレイト寒天培養基 ペプトン10g,寒天15~25g,乳糖10g,食塩5g,クエン酸鉄アンモニウム2gおよびリン酸一カリウム2gを水1,000mlに加熱して溶かし,これをろ過したロ液をpH7.3~7.5に修正し,これにデソキシコール酸ナトリウム1gおよびニユートラル・レツド33mgを加えて,さらにpH7.3~7.5に修正する。

2 氷菓の製造基準及び保存基準

(1) 氷菓の原水は,食品製造用水でなければならない。

(2) 氷菓の原料(はつ酵乳及び乳酸菌飲料を除く。)は,68°で30分間加熱殺菌するか,またはこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で殺菌しなければならない。

(3) 氷結管から氷菓を抜きとる場合に,その外部を加温するために使用する水は,流水(食品製造用水に限る。)でなければならない。

(4) 氷菓を容器包装に分注する場合は,分注機械を用い,打せんする場合は,打せん機械を用いなければならない。

(5) 氷菓の融解水は,氷菓の原料としてはならない。ただし,(2)による加熱殺菌をしたものは,この限りでない。

(6) 氷菓の器具又は容器包装は,使用する前に適当な方法で洗浄し,かつ,殺菌したものであること。ただし,既に洗浄され,かつ,殺菌された容器包装又は殺菌効果を有する製造方法で製造された容器包装であつて,使用されるまでに汚染されるおそれのないように取り扱われたものにあつては,この限りでない。

(7) 氷菓を保存する場合に使用する容器は,適当な方法で殺菌したものでなければならない。

(8) 原料および製品は,有がいの容器に貯蔵し,取扱い中手指を直接原料および製品に接触させてはならない。

○ 食肉及び鯨肉(生食用食肉及び生食用冷凍鯨肉を除く。以下この項において同じ。)

1 食肉及び鯨肉の保存基準

(1) 食肉及び鯨肉は,10°以下で保存しなければならない。ただし,細切りした食肉及び鯨肉を凍結させたものであつて容器包装に入れられたものにあつては,これを-15°以下で保存しなければならない。

(2) 食肉及び鯨肉は,清潔で衛生的な有がいの容器に収めるか,又は清潔で衛生的な合成樹脂フィルム,合成樹脂加工紙,硫酸紙,パラフィン紙若しくは布で包装して,運搬しなければならない。

2 食肉及び鯨肉の調理基準

食肉又は鯨肉の調理は,衛生的な場所で,清潔で衛生的な器具を用いて行わなければならない。

○ 生食用食肉(牛の食肉(内臓を除く。以下この目において同じ。)であって、生食用として販売するものに限る。以下この目において同じ。)

1 生食用食肉の成分規格

(1) 生食用食肉は,腸内細菌科菌群が陰性でなければならない。

(2) (1)に係る記録は,1年間保存しなければならない。

2 生食用食肉の加工基準

生食用食肉は、次の基準に適合する方法で加工しなければならない。

(1) 加工は,他の設備と区分され,器具及び手指の洗浄及び消毒に必要な専用の設備を備えた衛生的な場所で行わなければならない。また,肉塊(食肉の単一の塊をいう。以下この目において同じ。)が接触する設備は専用のものを用い,一つの肉塊の加工ごとに洗浄及び消毒を行わなければならない。

(2) 加工に使用する器具は,清潔で衛生的かつ洗浄及び消毒の容易な不浸透性の材質であつて,専用のものを用いなければならない。また,その使用に当たつては,一つの肉塊の加工ごとに(病原微生物により汚染された場合は,その都度),83°以上の温湯で洗浄及び消毒をしなければならない。

(3) 加工は、法第48条第6項第1号から第3号までのいずれかに該当する者、同項第4号に該当する者のうち食品衛生法施行令(昭和28年政令第229号)第35条第15号に規定する食肉製品製造業(法第48条第7項に規定する製造業に限る。)に従事する者又は都道府県知事若しくは地域保健法(昭和22年法律第101号)第5条第1項の規定に基づく政令で定める市及び特別区の長が生食用食肉を取り扱う者として適切と認める者が行わなければならない。ただし、その者の監督の下に行われる場合は、この限りでない。

(4) 加工は,肉塊が病原微生物により汚染されないよう衛生的に行わなければならない。また,加工は,加熱殺菌をする場合を除き,肉塊の表面の温度が10°を超えることのないようにして行わなければならない。

(5) 加工に当たつては,刃を用いてその原形を保つたまま筋及び繊維を短く切断する処理,調味料に浸潤させる処理,他の食肉の断片を結着させ成形する処理その他病原微生物による汚染が内部に拡大するおそれのある処理をしてはならない。

(6) 加工に使用する肉塊は,凍結させていないものであつて,衛生的に枝肉から切り出されたものでなければならない。

(7) (6)の処理を行つた肉塊は,処理後速やかに,気密性のある清潔で衛生的な容器包装に入れ,密封し,肉塊の表面から深さ1cm以上の部分までを60°で2分間以上加熱する方法又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌を行つた後,速やかに4°以下に冷却しなければならない。

(8) (7)の加熱殺菌に係る温度及び時間の記録は,1年間保存しなければならない。

3 生食用食肉の保存基準

(1) 生食用食肉は,4°以下で保存しなければならない。ただし,生食用食肉を凍結させたものにあつては,これを-15°以下で保存しなければならない。

(2) 生食用食肉は,清潔で衛生的な容器包装に入れ,保存しなければならない。

4 生食用食肉の調理基準

(1) 2の(1)から(5)までの基準は,生食用食肉の調理について準用する。

(2) 調理に使用する肉塊は,2の(6)及び(7)の処理を経たものでなければならない。

(3) 調理を行つた生食用食肉は,速やかに提供しなければならない。

○ 食鳥卵

1 食鳥卵の成分規格

(1) 殺菌液卵(鶏の液卵を殺菌したものをいう。以下同じ。)はサルモネラ属菌が検体25gにつき陰性でなければならない。

(2) 未殺菌液卵(殺菌液卵以外の鶏の液卵をいう。以下同じ。)は,細菌数が検体1gにつき1,000,000以下でなければならない。

2 食鳥卵(鶏の液卵に限る。)の製造基準

(1) 一般基準

鶏の液卵は,次の基準に適合する方法で製造しなければならない。

1.製造に使用する鶏の殻付き卵(以下「原料卵」という。)は,食用不適卵であつてはならない。

2.原料卵は,正常卵,汚卵並びに軟卵及び破卵に選別された状態で取り扱わなければならない。

(2) 個別基準

1.殺菌液卵

殺菌液卵は,次の基準に適合する方法で製造しなければならない。

a 製造に使用する汚卵,軟卵及び破卵は,搬入後24時間以内(8°以下で保存する場合にあつては,72時間以内)に割卵し,加熱殺菌しなければならない。

b 製造に使用する正常卵を搬入後3日以上保存する場合は,8°以下で保存し,できるだけ速やかに割卵しなければならない。

c 製造に使用する汚卵は,洗浄するとともに,150ppm以上の次亜塩素酸ナトリウム溶液により殺菌するか,又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で殺菌しなければならない。

d 原料卵を洗浄する場合は,汚卵と区別して,割卵の直前に流水(食品製造用水に限る。)で行わなければならない。

e 割卵から充てんまでの工程は,一貫して行わなければならない。

f 割卵には,清潔で洗浄及び殺菌の容易な器具を用いなければならない。

g 機械を用いて割卵する場合は,遠心分離方式及び圧搾方式で行つてはならない。

h 割卵に用いる設備(卵殻のろ過を行う場合にあつては,ろ過に用いる設備を含む。)は,作業終了後及び作業中に定期的に清掃し,及び殺菌しなければならない。

i 誤つて食用不適卵を割卵した場合は,直ちに,当該食用不適卵が混入した鶏の液卵を廃棄するとともに,割卵に用いた器具を洗浄し,及び殺菌しなければならない。

j 殺菌前の鶏の液卵は,割卵後速やかに冷却装置のある貯蔵タンクへ移し,8°以下に冷却しなければならない。ただし,割卵後直ちに殺菌する場合にあつては,この限りでない。

k 殺菌前の鶏の液卵を8時間以上貯蔵する場合は,割卵後速やかに5°以下に冷却しなければならない。

l 鶏の液卵は,次に掲げる方法又はこれらと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌しなければならない。

① 鶏の液卵(加糖し,又は加塩したものを除く。②において同じ。)を連続式により加熱殺菌する場合にあつては,次の表の第1欄に掲げる種類の区分に応じ,同表の第2欄に掲げる温度により,3分30秒間以上加熱殺菌すること。

第1欄

第2欄

全卵

60°

卵黄

61°

卵白

56°

② 鶏の液卵をバッチ式により加熱殺菌する場合にあつては,次の表の第1欄に掲げる種類の区分に応じ,同表の第2欄に掲げる温度により,10分間以上加熱殺菌すること。

第1欄

第2欄

全卵

58°

卵黄

59°

卵白

54°

③ 加糖し,又は加塩した鶏の液卵を加熱殺菌する場合にあつては,次の表の第1欄に掲げる種類の区分に応じ,同表の第2欄に掲げる温度により,3分30秒間以上連続式により,加熱殺菌すること。

第1欄

第2欄

卵黄に10%加塩したもの

63.5°

卵黄に10%加糖したもの

63.0°

卵黄に20%加糖したもの

65.0°

卵黄に30%加糖したもの

68.0°

全卵に20%加糖したもの

64.0°

m 鶏の液卵は,加熱殺菌後直ちに8°以下に冷却しなければならない。

n 冷却後,鶏の液卵を容器包装に充てんする場合は,微生物汚染が起こらない方法により,殺菌した容器包装に充てんし,直ちに密封しなければならない。

2.未殺菌液卵

未殺菌液卵は,次の基準に適合する方法で製造しなければならない。

a 製造に使用する汚卵,軟卵及び破卵は,搬入後速やかに割卵しなければならない。

b 製造に使用する正常卵を搬入後3日以上保存する場合は,8°以下で保存し,できるだけ速やかに割卵しなければならない。

c 製造に使用する汚卵は,洗浄するとともに,150ppm以上の次亜塩素酸ナトリウム溶液により殺菌するか,又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で殺菌しなければならない。

d 原料卵を洗浄する場合は,汚卵と区別して,割卵の直前に流水(食品製造用水に限る。)で行わなければならない。

e 割卵から充てんまでの工程に用いる設備は,作業の前後及び1ロットの原料卵を処理するごとに,又は作業中に定期的に清掃し,殺菌しなければならない。

f 割卵には,清潔で洗浄及び殺菌の容易な器具を用いなければならない。

g 機械を用いて割卵する場合は,遠心分離方式及び圧搾方式で行つてはならない。

h 誤つて食用不適卵を割卵した場合は,直ちに,当該食用不適卵が混入した鶏の液卵を廃棄するとともに,割卵に用いた器具を洗浄し,及び殺菌しなければならない。

i 割卵から充てんまでの工程で,鶏の液卵の温度が上昇しないように適切に温度管理を行わなければならない。

j 鶏の液卵は,割卵後速やかに8°以下に冷却しなければならない。

k 冷却後,鶏の液卵を容器包装に充てんする場合は,微生物汚染が起こらない方法により,殺菌した容器包装に充てんし,直ちに密封しなければならない。

3 食鳥卵(鶏の液卵に限る。)の保存基準

(1) 鶏の液卵は,8°以下(鶏の液卵を冷凍したものにあつては,-15°以下)で保存しなければならない。

(2) 製品の運搬に使用する器具は,洗浄し,殺菌し,及び乾燥したものでなければならない。

(3) 製品の運搬に使用するタンクは,ステンレス製のものであり,かつ,定置洗浄装置により洗浄し,及び殺菌する方法又はこれと同等以上の効果を有する方法で洗浄し,及び殺菌したものでなければならない。

4 食鳥卵(鶏の殻付き卵に限る。)の使用基準

鶏の殻付き卵を加熱殺菌せずに飲食に供する場合にあつては,賞味期限を経過していない生食用の正常卵を使用しなければならない。

○ 血液,血球及び血漿しよう

1 血球及び血漿しようの加工基準

(1) 加工に使用する血液(以下「原料血液」という。)は,採血後直ちに4°以下に冷却し,かつ,冷却後4°以下に保持したものでなければならない。

(2) 原料血液は,鮮度が良好であつて,性状が正常でなければならない。

(3) 加工に用いる器具は,適切な方法で洗浄殺菌したものでなければならない。

(4) 加工は,連続一貫して行わなければならない。

(5) 加工は,加熱殺菌する場合を除き,血球又は血漿しようの温度が10°を超えることのないようにして行わなければならない。

(6) 凍結を行う場合は,分離後速やかに血球又は血漿しようが-18°以下になるようにして行わなければならない。

2 血液,血球及び血漿しようの保存基準

(1) 血液,血球及び血漿しようは,4°以下で保存しなければならない。

(2) 冷凍した血液,血球及び血漿しようは,-18°以下で保存しなければならない。

(3) 血液,血球及び血漿しようは,清潔で衛生的な容器包装に収めて保存しなければならない。

○ 食肉製品

1 食肉製品の成分規格

(1) 一般規格

食肉製品は,その1kgにつき0.070gを超える量の亜硝酸根を含有するものであつてはならない。

(2) 個別規格

1.乾燥食肉製品(乾燥させた食肉製品であつて,乾燥食肉製品として販売するものをいう。以下同じ。)は,次の規格に適合するものでなければならない。

a E.coli(大腸菌群のうち,44.5°で24時間培養したときに,乳糖を分解して,酸及びガスを生ずるものをいう。以下同じ。)陰性でなければならない。

b 水分活性が0.87未満でなければならない。

2.非加熱食肉製品(食肉を塩漬けした後,くん煙し,又は乾燥させ,かつ,その中心部の温度を63°で30分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法による加熱殺菌を行つていない食肉製品であつて,非加熱食肉製品として販売するものをいう。ただし,乾燥食肉製品を除く。以下同じ。)は,次の規格に適合するものでなければならない。

a E.coliが,検体1gにつき100以下でなければならない。

b 黄色ブドウ球菌が,検体1gにつき1,000以下でなければならない。

c サルモネラ属菌陰性でなければならない。

d リステリア・モノサイトゲネスが、検体1gにつき100以下でなければならない。

3.特定加熱食肉製品(その中心部の温度を63°で30分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法以外の方法による加熱殺菌を行つた食肉製品をいう。ただし,乾燥食肉製品及び非加熱食肉製品を除く。以下同じ。)は,次の規格に適合するものでなければならない。

a E.coliが,検体1gにつき100以下でなければならない。

b クロストリジウム属菌(グラム陽性の芽胞形成かん菌であつて亜硫酸を還元する嫌気性の菌をいう。以下同じ。)が,検体1gにつき1,000以下でなければならない。

c 黄色ブドウ球菌が,検体1gにつき1,000以下でなければならない。

d サルモネラ属菌陰性でなければならない。

4.加熱食肉製品(乾燥食肉製品,非加熱食肉製品及び特定加熱食肉製品以外の食肉製品をいう。以下同じ。)のうち,容器包装に入れた後加熱殺菌したものは,次の規格に適合するものでなければならない。

a 大腸菌群陰性でなければならない。

b クロストリジウム属菌が,検体1gにつき1,000以下でなければならない。

5.加熱食肉製品のうち,加熱殺菌した後容器包装に入れたものは,次の規格に適合するものでなければならない。

a E.coli陰性でなければならない。

b 黄色ブドウ球菌が,検体1gにつき1,000以下でなければならない。

c サルモネラ属菌陰性でなければならない。

2 食肉製品の製造基準

(1) 一般基準

食肉製品は,次の基準に適合する方法で製造しなければならない。

1.製造に使用する原料食肉は,鮮度が良好であつて,微生物汚染の少ないものでなければならない。

2.製造に使用する冷凍原料食肉の解凍は,衛生的な場所で行わなければならない。この場合において,水を用いるときは,流水(食品製造用水に限る。)で行わなければならない。

3.食肉は,金属又は合成樹脂等でできた清潔で洗浄の容易な不浸透性の容器に収めなければならない。

4.製造に使用する香辛料,砂糖及びでん粉は,その1g当たりの芽胞数が,1,000以下でなければならない。

5.製造には,清潔で洗浄及び殺菌の容易な器具を用いなければならない。

(2) 個別基準

1.乾燥食肉製品

乾燥食肉製品は,次の基準に適合する方法で製造しなければならない。

a くん煙又は乾燥は,製品の温度を20°以下若しくは50°以上に保持しながら,又はこれと同等以上の微生物の増殖を阻止することが可能な条件を保持しながら水分活性が0.87未満になるまで行わなければならない。

なお,製品の温度を50°以上に保持しながらくん煙又は乾燥を行う場合にあつては,製品の温度が20°を超え50°未満の状態の時間をできるだけ短縮して行わなければならない。

b くん煙又は乾燥後の製品の取扱いは,衛生的に行わなければならない。

2.非加熱食肉製品

非加熱食肉製品は,次のいずれかの基準に適合する方法で製造しなければならない。

a 肉塊(食肉(内臓を除く。)の単一の塊をいう。以下同じ。)のみを原料食肉とする場合

① 製造に使用する原料食肉は,と殺後24時間以内に4°以下に冷却し,かつ,冷却後4°以下で保存したものであつて,pHが6.0以下でなければならない。

② 製造に使用する冷凍原料食肉の解凍は,食肉の温度が10°を超えることのないようにして行わなければならない。

③ 製造に使用する原料食肉の整形は,食肉の温度が10°を超えることのないようにして行わなければならない。

④ 亜硝酸ナトリウムを使用して塩漬けする場合には,次の方法により行わなければならない。

イ 食肉の塩漬けは,乾塩法,塩水法又は一本針を用いる手作業による注入法(以下「一本針注入法」という。)により,肉塊のままで,食肉の温度を5°以下に保持しながら,水分活性が0.97未満になるまで行わなければならない。ただし,最終製品の水分活性を0.95以上とするものにあつては,水分活性はこの限りでない。

乾塩法による場合には,食肉の重量に対して6%以上の食塩,塩化カリウム又はこれらの組合せ及び200ppm以上の亜硝酸ナトリウムを用いて,塩水法又は一本針注入法による場合には,15%以上の食塩,塩化カリウム又はこれらの組合せ及び200ppm以上の亜硝酸ナトリウムを含む塩漬け液を用いて行わなければならない。

なお,塩水法による場合には,食肉を塩漬け液に十分浸して行わなければならない。

ロ 塩漬けした食肉の塩抜きを行う場合には,5°以下の食品製造用水を用いて,換水しながら行わなければならない。

ハ くん煙又は乾燥は,肉塊のままで,製品の温度を20°以下又は50°以上に保持しながら,水分活性が0.95未満になるまで行わなければならない。ただし,最終製品の水分活性を0.95以上とするものにあつては,水分活性はこの限りでない。

なお,製品の温度を50°以上に保持しながらくん煙又は乾燥を行う場合にあつては,製品の温度が20°を超え50°未満の状態の時間をできるだけ短縮して行わなければならない。

⑤ 亜硝酸ナトリウムを使用しないで塩漬けする場合には,次の方法により行わなければならない。

イ 食肉の塩漬けは,乾塩法により,肉塊のままで,食肉の温度を5°以下に保持しながら,食肉の重量に対して6%以上の食塩,塩化カリウム又はこれらの組合せを表面の脂肪を除く部分に十分塗布して,40日間以上行わなければならない。

ロ 塩漬けした食肉の表面を洗浄する場合には,冷水(食品製造用水に限る。)を用いて,換水しながら行わなければならない。

ハ くん煙又は乾燥は,肉塊のままで,製品の温度を20°以下に保持しながら,53日間以上行い,水分活性が0.95未満になるまで行わなければならない。

⑥ くん煙又は乾燥後の製品の取扱いは,衛生的に行わなければならない。

b 肉塊のみを原料食肉とする場合以外の場合

① 製造に使用する冷凍原料食肉の解凍は,食肉の温度が10°を超えることのないようにして行わなければならない。

② 製造に使用する原料食肉の整形は,食肉の温度が10°を超えることのないようにして行わなければならない。

③ 製造に使用する原料食肉は,長径が20mm以下になるように切断しなければならない。

④ 食肉の塩漬けは,食肉(骨及び脂肪を除く。)の重量に対して3.3%以上の食塩,塩化カリウム又はこれらの組合せ及び200ppm以上の亜硝酸ナトリウムを用いて行わなければならない。

⑤ 塩漬けした食肉の塩抜きを行う場合には,5°以下の食品製造用水を用いて,換水しながら行わなければならない。

⑥ くん煙又は乾燥は,製品の温度を20°以下に保持しながら20日間以上行い,pHが5.0未満,水分活性が0.91未満(製品の温度を15°を超えて,くん煙し,又は乾燥させる場合には,pHが5.4未満かつ水分活性が0.91未満)又はpHが5.3未満かつ水分活性が0.96未満になるまで行わなければならない。ただし,常温で保存するものにあつては,pHが4.6未満又はpHが5.1未満かつ水分活性が0.93未満になるまで行わなければならない。

⑦ 次のイからハまでに掲げる場合にあつては,④の食塩,塩化カリウム又はこれらの組合せの使用及び⑥のくん煙又は乾燥の期間は適用しない。

イ 次の表の第1欄に掲げる食肉の中心部を,同表の第2欄に掲げる温度の区分に応じ,同表の第3欄に掲げる期間冷凍し,又はこれと同等以上の効力を有する方法により冷凍したものを原料食肉として製品を製造する場合

第1欄

第2欄

第3欄

厚さが150mm以下の食肉

-29°以下の温度

6日

-29°を超え-24°以下の温度

10日

-24°を超え-15°以下の温度

20日

厚さが150mmを超え675mm以下の食肉

-29°以下の温度

12日

-29°を超え-24°以下の温度

20日

-24°を超え-15°以下の温度

30日

ロ その中心部を次の表の第1欄に掲げる温度の区分に応じ,同表の第2欄に掲げる時間加熱し,又はこれと同等以上の効力を有する方法により加熱した食肉を原料食肉として製品を製造する場合(食肉の温度が20°を超え50°未満の状態の時間が120分以内である場合に限る。)

第1欄

第2欄

50°

580分

51°

300分

52°

155分

53°

79分

54°

41分

55°

21分

56°

11分

57°

6分

58°

3分

59°

2分

60°

1分

63°

瞬時

ハ 製品の水分活性が0.91未満となるように製造する場合

⑧ くん煙又は乾燥後の製品の取扱いは,衛生的に行わなければならない。

3.特定加熱食肉製品

特定加熱食肉製品は,次の基準に適合する方法で製造しなければならない。

a 製造に使用する原料食肉は,と殺後24時間以内に4°以下に冷却し,かつ,冷却後4°以下で保存した肉塊でpHが6.0以下でなければならない。

b 製造に使用する冷凍原料食肉の解凍は,食肉の温度が10°を超えることのないようにして行わなければならない。

c 製造に使用する原料食肉の整形は,食肉の温度が10°を超えることのないようにして行わなければならない。

d 食肉の塩漬けを行う場合には,肉塊のままで,乾塩法又は塩水法により行わなければならない。

e 塩漬けした食肉の塩抜きを行う場合には,5°以下の食品製造用水を用いて,換水しながら行わなければならない。

f 製造に調味料等を使用する場合には,食肉の表面にのみ塗布しなければならない。

g 製品は,肉塊のままで,その中心部を次の表の第1欄に掲げる温度の区分に応じ,同表の第2欄に掲げる時間加熱し,又はこれと同等以上の効力を有する方法により殺菌しなければならない。この場合において,製品の中心部の温度が35°以上52°未満の状態の時間を170分以内としなければならない。

第1欄

第2欄

55°

97分

56°

64分

57°

43分

58°

28分

59°

19分

60°

12分

61°

9分

62°

6分

63°

瞬時

h 加熱殺菌後の冷却は,衛生的な場所において十分行わなければならない。この場合において,製品の中心部の温度が25°以上55°未満の状態の時間を200分以内としなければならない。

なお,冷却に水を用いるときは,流水(食品製造用水に限る。)で行わなければならない。

i 冷却後の製品の取扱いは,衛生的に行わなければならない。

4.加熱食肉製品

加熱食肉製品は,次の規格に適合する方法で製造しなければならない。

a 製品は,その中心部の温度を63°で30分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法(魚肉を含む製品であつて気密性のある容器包装に充てんした後殺菌するものにあつては,その中心部の温度を80°で20分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法)により殺菌しなければならない。

b 加熱殺菌後の冷却は,衛生的な場所において十分行わなければならない。この場合において,水を用いるときは,流水(食品製造用水に限る。)で行わなければならない。

c 加熱殺菌した後容器包装に入れた製品にあつては,冷却後の取扱いは,衛生的に行わなければならない。

5.この目の(2)の1.、2.、3.及び4.に規定する以外の方法により塩漬け、くん煙、乾燥又は殺菌を行い食肉製品を製造しようとする場合並びにこの目の(2)の1.、2.、3.及び4.に規定する以外の方法により塩漬け、くん煙、乾燥又は殺菌を行った食肉製品を輸入しようとする場合には、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。

3 食肉製品の保存基準

(1) 一般基準

1.冷凍食肉製品(冷凍食肉製品として販売する食肉製品をいう。)は,-15°以下で保存しなければならない。

2.製品は,清潔で衛生的な容器に収めて密封するか,ケーシングするか,又は清潔で衛生的な合成樹脂フィルム,合成樹脂加工紙,硫酸紙若しくはパラフィン紙で包装して,運搬しなければならない。

(2) 個別基準

1.非加熱食肉製品

非加熱食肉製品は,10°以下(肉塊のみを原料食肉とする場合であつて,水分活性が0.95以上のものにあつては,4°以下)で保存しなければならない。ただし,肉塊のみを原料食肉とする場合以外の場合であつて,pHが4.6未満又はpHが5.1未満かつ水分活性が0.93未満のものにあつては,この限りでない。

2.特定加熱食肉製品

特定加熱食肉製品のうち,水分活性が0.95以上のものにあつては,4°以下で,水分活性が0.95未満のものにあつては,10°以下で保存しなければならない。

3.加熱食肉製品

加熱食肉製品は,10°以下で保存しなければならない。ただし,気密性のある容器包装に充てんした後,製品の中心部の温度を120°で4分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法により殺菌したものにあつては,この限りでない。

○ 鯨肉製品

1 鯨肉製品の成分規格

(1) 鯨肉製品は,大腸菌群陰性でなければならない。

(2) 鯨肉ベーコンは,その1kgにつき0.070gを超える量の亜硝酸根を含有するものであつてはならない。

2 鯨肉製品の製造基準

鯨肉製品は,次の基準に適合する方法で製造しなければならない。

(1) 製造に使用する原料鯨肉は,鮮度が良好であつて,微生物汚染の少ないものでなければならない。

(2) 製造に使用する冷凍原料鯨肉の解凍は,衛生的な場所で行わなければならない。この場合において,水を用いるときは,流水(食品製造用水に限る。)で行わなければならない。

(3) 鯨肉は,金属又は合成樹脂等でできた清潔で洗浄の容易な不浸透性の容器に収めなければならない。

(4) 製造に使用する香辛料,砂糖及びでん粉は,その1g当たりの芽胞数が1,000以下でなければならない。

(5) 製造には,清潔で洗浄及び殺菌の容易な器具を用いなければならない。

(6) 製品は,その中心部の温度を63°で30分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法により殺菌しなければならない。

(7) 加熱殺菌後の冷却は,衛生的な場所において十分行わなければならない。この場合において,水を用いるときは,流水(食品製造用水に限る。)で行わなければならない。

3 鯨肉製品の保存基準

(1) 鯨肉製品は,10°以下(冷凍鯨肉製品(冷凍鯨肉製品として販売する鯨肉製品をいう。)にあつては,-15°以下)で保存しなければならない。ただし,気密性のある容器包装に充てんした後,製品の中心部の温度を120°で4分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法により殺菌したものにあつては,この限りでない。

(2) 製品は,清潔で衛生的な容器に収めて密封するか,ケーシングするか,又は清潔で衛生的な合成樹脂フィルム,合成樹脂加工紙,硫酸紙若しくはパラフィン紙で包装して,運搬しなければならない。

○ 魚肉ねり製品

1 魚肉ねり製品の成分規格

(1) 魚肉ねり製品(魚肉すり身を除く。)は,大腸菌群陰性でなければならない。

(2) 魚肉ソーセージおよび魚肉ハムにあつては,その1kgにつき,亜硝酸根の0.05gを超える量を含有するものであつてはならない。

2 魚肉ねり製品の製造基準

(1) 製造に使用する魚類は,鮮度が良好なものでなければならない。

(2) 製造に使用する魚類は,加工前に水で十分洗じようして,清潔な洗じようしやすい金属または合成樹脂等でできた不滲透性の容器に収めなければならない。

(3) 身卸には清潔な調理器具を使用し,身卸した精肉は,清潔な洗じようしやすい金属または合成樹脂等でできた不滲透性の専用容器に収めなければならない。

(4) 精肉の水さらしは,冷たい衛生的な水を用い,かつ,十分に換水をしながら行なわなければならない。

(5) 製造に使用する冷凍原料肉の解凍は,衛生的な場所で行わなければならない。この場合において,水を用いるときは,衛生的な流水で行わなければならない。

(6) 魚肉ねり製品を製造する場合に使用する砂糖,でん粉及び香辛料は,その1g当たりの芽胞数が1,000以下でなければならない。

(7) 製造には,清潔な,かつ,洗浄及び殺菌をしやすい器具を用いなければならない。

(8) 魚肉ソーセージ及び魚肉ハムにあつては,その中心部の温度を80°で45分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法により,特殊包装かまぼこにあつては,その中心部の温度を80°で20分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法により,その他の魚肉ねり製品にあつては,その中心部の温度を75°に保つて加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法により殺菌しなければならない。ただし,魚肉すり身にあつては,この限りでない。

(9) 加熱殺菌後の放冷は,衛生的な場所において十分に行わなければならない。この場合において,水を用いるときは,流水(食品製造用水に限る。)で行うか,又は遊離残留塩素1.0ppm以上を含む水で絶えず換水をしながら行わなければならない。

3 魚肉ねり製品の保存基準

(1) 魚肉ソーセージ,魚肉ハム及び特殊包装かまぼこにあつては,10°以下で保存しなければならない。ただし,気密性のある容器包装に充てんした後,その中心部の温度を120°で4分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法により殺菌した製品及びそのpH(製品の一部を細切したものを採り,これに10倍量の精製水を加えて細砕したもののpHをいう。)が4.6以下又はその水分活性が0.94以下である製品にあつては,この限りでない。

(2) 冷凍魚肉ねり製品にあつては,これを-15°以下で保存しなければならない。

(3) 製品は,清潔で衛生的にケーシングをするか,清潔で衛生的な有がいの容器に収めるか,または清潔な合成樹脂フイルム,合成樹脂加工紙,硫酸紙もしくはパラフイン紙で包装して運搬しなければならない。

○ いくら,すじこ及びたらこ(スケトウダラの卵巣を塩蔵したものをいう。以下この項において同じ。)

1 いくら,すじこ及びたらこの成分規格

いくら,すじこ及びたらこは,その1kgにつき亜硝酸根の0.005gを越える量を含有するものであつてはならない。

○ ゆでだこ

1 ゆでだこの成分規格

(1) 腸炎ビブリオは,陰性でなければならない。この場合の腸炎ビブリオ試験法は,次のとおりとする。

1.検体の採取及び試料の調製

滅菌器具を用いて,細切りしたものから無作為に25gをストマツキング用ポリエチレン袋に採取し,アルカリペプトン水225mlを加えて約30秒~1分間ストマツキングを行つたものを試料とする。

アルカリペプトン水 ペプトン10g及び塩化ナトリウム20gを500mlの精製水に溶かし,これに約1mol/l水酸化ナトリウム溶液を加えてpH8.6になるように調整し,更に精製水を加えて全量を1,000mlとし,高圧滅菌を行う。第1 食品の部D 各条の項の○ 生食用鮮魚介類の1 生食用鮮魚介類(切り身又はむき身にした鮮魚介類(生かきを除く。)であつて,生食用のもの(凍結させたものを除く。)に限る。以下この項において同じ。)の成分規格の2.のaにおいて同じ。

2.試料の培養及び腸炎ビブリオの判定

a 試料を容器に移したものを恒温槽を用いて37°で一夜培養し,容器の1白金耳をTCBS寒天培地に塗抹した上で,37°で一夜培養した後,培地上の腸炎ビブリオと推定される集落を同定し,判定する。

TCBS寒天培地 酵母エキス5g,ペプトン10g,白糖20g,チオ硫酸ナトリウム10g,クエン酸ナトリウム10g,コール酸ナトリウム3g,ウシ胆じゆう末5g,塩化ナトリウム10g,クエン酸鉄1g,ブロムチモールブルー40mg,チモールブルー40mg及び寒天15gを精製水で加温溶解し,約1mol/l水酸化ナトリウム溶液を加えてpH8.5~8.7になるように調製し,更に精製水を加えて全量を1,000mlとし,加温溶解する。第1 食品の部D 各条の項の○ 生食用鮮魚介類の1 生食用鮮魚介類(切り身又はむき身にした鮮魚介類(生かきを除く。)であつて,生食用のもの(凍結させたものを除く。)に限る。以下この項において同じ。)の成分規格の2.のaにおいて同じ。

b aの方法と同等以上の性能を有すると認められる方法により行う。

(2) 冷凍ゆでだこは,細菌数(生菌数)が検体1gにつき100,000以下で,かつ,大腸菌群が陰性でなければならない。この場合の細菌数(生菌数)の測定法及び大腸菌群試験法は,第1 食品の部D 各条の項の○ 冷凍食品の1 冷凍食品(製造し,又は加工した食品(清涼飲料水,食肉製品,鯨肉製品,魚肉ねり製品,ゆでだこ及びゆでがにを除く。以下この項において同じ。)及び切り身又はむき身にした鮮魚介類(生かきを除く。以下この項において同じ。)を凍結させたものであつて,容器包装に入れられたものに限る。以下この項において同じ。)の成分規格の(1)の1.,2.及び3.に準じて行う。

2 ゆでだこの加工基準

(1) 加工に使用するたこは,鮮度が良好なものでなければならない。

(2) 加工に使用する水は,食品製造用水,殺菌した海水又は食品製造用水を使用した人工海水を使用しなければならない。

(3) たこは,ゆでた後,速やかに食品製造用水,殺菌した海水又は食品製造用水を使用した人工海水で十分冷却しなければならない。

(4) ゆでだこは,冷却後,清潔な洗浄しやすい金属又は合成樹脂等でできた不浸透性の有がいの容器に収めなければならない。

3 ゆでだこの保存基準

(1) ゆでだこは,10°以下で保存しなければならない。ただし,冷凍ゆでだこにあつては,これを-15°以下で保存しなければならない。

(2) ゆでだこは,清潔で衛生的な有がいの容器に収めるか又は清潔で衛生的な合成樹脂フイルム,合成樹脂加工紙,硫酸紙若しくはパラフイン紙で包装して運搬しなければならない。

○ ゆでがに

1 ゆでがにの成分規格

(1) ゆでがに(飲食に供する際に加熱を要しないものに限る。以下(1)において同じ。)は,腸炎ビブリオが陰性でなければならない。この場合の腸炎ビブリオ試験法は,次のとおりとする。

1.検体の採取及び試料の調整

むき身にして販売されるゆでがにについては,滅菌器具を用いて,細切りしたものから無作為に25gをストマツキング用ポリエチレン袋に採取し,これを検体とする。

からつきのまま販売されるゆでがにについては,からの表面をアルコール綿で消毒した後,滅菌器具を用いて,からを取り除いた上,細切りしたものから無作為に25gをストマツキング用ポリエチレン袋に採取し,これを検体とする。

試料の調整は,第1 食品の部D 各条の項の○ ゆでだこの1 ゆでだこの成分規格の(1)の1.に準じて行う。

2.試料の培養及び腸炎ビブリオの判定

第1 食品の部D 各条の項の○ ゆでだこの1 ゆでだこの成分規格の(1)の2.に準じて行う。

(2) 冷凍ゆでがには,細菌数(生菌数)が検体1gにつき100,000以下で,かつ,大腸菌群が陰性でなければならない。この場合の細菌数(生菌数)の測定法及び大腸菌群試験法は,第1 食品の部D 各条の項の○ 冷凍食品の1 冷凍食品(製造し,又は加工した食品(清涼飲料水,食肉製品,鯨肉製品,魚肉ねり製品,ゆでだこ及びゆでがにを除く。以下この項において同じ。)及び切り身又はむき身にした鮮魚介類(生かきを除く。以下この項において同じ。)を凍結させたものであつて,容器包装に入れられたものに限る。以下この項において同じ。)の成分規格の(1)の1.,2.及び3.に準じて行う。

2 ゆでがに(飲食に供する際に加熱を要し,かつ,凍結させていないものを除く。)の加工基準

(1) 加工に使用するかには,鮮度が良好なものでなければならない。

(2) 加工に使用する水は,食品製造用水,殺菌した海水又は食品製造用水を使用した人工海水を使用しなければならない。

(3) 加工の際に行う加熱は,中心部の温度を70°で1分間以上行う方法又はこれと同等以上の効力を有する方法で行わなければならない。

(4) 加熱後は,速やかに食品製造用水,殺菌した海水又は食品製造用水を使用した人工海水で十分冷却しなければならない。また,冷却に当たつては,原料等からの再汚染を防止するための措置(以下この項において「二次汚染防止措置」という。)を講じなければならない。

(5) 冷却後は,清潔な洗浄しやすい不浸透性の容器に納める方法又はこれと同等以上の効力を有する方法で二次汚染防止措置を講じなければならない。

3 ゆでがにの保存基準

(1) ゆでがに(飲食に供する際に加熱を要しないものであつて,凍結させていないものに限る。)は,10°以下で保存しなければならない。

(2) 冷凍ゆでがには,-15°以下で保存しなければならない。

(3) ゆでがに(飲食に供する際に加熱を要し,かつ,凍結させていないものを除く。)は,清潔で衛生的な容器包装に入れ,保存しなければならない。ただし,二次汚染防止措置を講じて,販売の用に供するために陳列する場合においては,この限りではない。

○ 生食用鮮魚介類

1 生食用鮮魚介類(切り身又はむき身にした鮮魚介類(生かきを除く。)であつて,生食用のもの(凍結させたものを除く。)に限る。以下この項において同じ。)の成分規格

腸炎ビブリオの最確数は,検体1gにつき100以下でなければならない。この場合の腸炎ビブリオ最確数の測定法は,次のとおりとする。

1.検体の採取及び試料の調整

滅菌器具を用いて,細切りしたものから無作為に25gをストマツキング用ポリエチレン袋に採り,リン酸緩衝希釈水(3%食塩)225mlを加え,約30秒~1分間ストマツキングを行い,検体の10倍希釈液を作製して試料とする。

次に,当該10倍希釈液1mlにリン酸緩衝希釈水(3%食塩)9mlを加えて検体の100倍希釈液を作製して試料とする。このほか,必要に応じて,100倍希釈液の作製方法に準じて検体の段階希釈液を作製して試料とする。

リン酸緩衝希釈水(3%食塩) 第1 食品の部D 各条の項の○ 生食用かきの1 生食用かきの成分規格の(3)の1.に規定するリン酸緩衝希釈水に3%の食塩を加えたものとする。

2.腸炎ビブリオ最確数の算定法

a 検体の10倍希釈液1ml,100倍希釈液1ml及び100倍希釈液0.1mlを,アルカリペプトン水10mlの入つた試験管3本ずつにそれぞれ接種し,恒温槽を用いて37°で一夜培養する。各試験管の1白金耳をTCBS寒天培地に塗抹した上で,37°で一夜培養した後,培地上の腸炎ビブリオと推定される集落を同定し,各段階に希釈した試験管の陽性本数に応じて,次の表により算出する。

最確数表