○電動ファン付き呼吸用保護具の規格
(平成二十六年十一月二十八日)
(厚生労働省告示第四百五十五号)
労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第四十二条の規定に基づき、電動ファン付き呼吸用保護具の規格を次のように定め、平成二十六年十二月一日から適用する。
電動ファン付き呼吸用保護具の規格
(適用範囲)
第一条 この告示に定める規格は、粉じん又はガス若しくは蒸気(これらのものと混在する粉じんを含む。)を吸入することにより人体に害を及ぼすおそれがある場所において使用する電動ファン付き呼吸用保護具のうち、次の表の下欄に掲げる有害物質(これらのガス又は蒸気と混在する粉じんを含む。)に対して使用する同表の上欄に掲げるものについて適用する。ただし、酸素濃度が一八パーセントに満たない場所又はガス若しくは蒸気の濃度が二パーセント(アンモニアにあっては、三パーセント)を超える場所において使用するものについては適用しない。
区分 |
有害物質 |
防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具 |
粉じん |
ハロゲンガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具 |
ハロゲンのガス又は蒸気 |
有機ガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具 |
有機化合物のガス又は蒸気 |
アンモニア用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具 |
アンモニア |
亜硫酸ガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具 |
亜硫酸ガス |
(令五厚労告八八・追加)
(電動ファン付き呼吸用保護具等の種類)
第二条 電動ファン付き呼吸用保護具は、次の表の下欄に掲げる形状により、それぞれ同表の上欄に掲げる種類に区分するものとする。
種類 |
形状 |
|
面体形 |
隔離式 |
電動ファン、ろ過材又は吸収缶、連結管、面体、排気弁及びしめひもからなり、かつ、ろ過材又は吸収缶によって粉じん又はガス若しくは蒸気をろ過した清浄空気を電動ファンにより連結管を通して面体内に送気し、呼気は排気弁から外気中に排出するもの |
直結式 |
電動ファン、ろ過材又は吸収缶、面体、排気弁及びしめひもからなり、かつ、ろ過材又は吸収缶によって粉じん又はガス若しくは蒸気をろ過した清浄空気を電動ファンにより面体内に送気し、呼気は排気弁から外気中に排出するもの |
|
ルーズフィット形 |
隔離式 |
電動ファン、ろ過材又は吸収缶及び連結管並びにフード又はフェイスシールドからなり、かつ、ろ過材又は吸収缶によって粉じん又はガス若しくは蒸気をろ過した清浄空気を電動ファンにより連結管を通してフード内又はフェイスシールド内に送気するもの |
直結式 |
電動ファン及びろ過材又は吸収缶並びにフード又はフェイスシールドからなり、かつ、ろ過材又は吸収缶によって粉じん又はガス若しくは蒸気をろ過した清浄空気を電動ファンによりフード内又はフェイスシールド内に送気するもの |
2 電動ファン付き呼吸用保護具の面体は、次の表の下欄に掲げる形状により、それぞれ同表の上欄に掲げる種類に区分するものとする。
種類 |
形状 |
全面形 |
顔面全体を覆うもの |
半面形 |
鼻及び口辺のみを覆うもの |
3 電動ファン付き呼吸用保護具は、電動ファンの性能により、通常風量形と大風量形に区分するものとする。
4 防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具は、その漏れ率に係る性能により、S級、A級及びB級に区分するものとする。
5 防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具及び防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具であって防じん機能を有するもののろ過材は、その性能により、PS一、PS二、PS三、PL一、PL二及びPL三に区分するものとする。
(令五厚労告八八・旧第一条繰下・一部改正)
(材料)
第三条 電動ファン付き呼吸用保護具の各部に使用する材料は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
一 皮膚に接触する部分については、皮膚に障害を与えないものであること。
二 ろ過材については、人体に障害を与えないものであること。
三 通常の取扱いにおいて、亀裂、変形その他の異常を生じないものであること。
四 防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具の吸収缶の内面については、吸収剤に腐食されないもの又は吸収剤に腐食されないよう十分な防腐処理が施されているものであること。
五 防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具のフード又はフェイスシールドについては、呼吸用の空気が通る部分であって外気に接する部分に使用される材料が、非通気性のものであること。
(令五厚労告八八・旧第二条繰下・一部改正)
(強度に係る試験)
第四条 電動ファン付き呼吸用保護具の各部は、次の表の上欄に掲げる区分に応じて、同表の中欄に掲げる試験方法による試験を行った場合に、それぞれ同表の下欄に掲げる条件に適合するものでなければならない。
区分 |
試験方法 |
条件 |
しめひも取付部分及びしめひも |
(引張試験) しめひも取付部分及びしめひもごとに、全面形の面体を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては五〇ニュートン、半面形の面体を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては二五ニュートンの引張荷重をかけ、破断又は離脱の有無を調べる。 |
いずれも破断又は離脱しないこと。 |
連結管取付部分及び連結管 |
(引張試験) 連結管取付部分及び連結管に、面体形の電動ファン付き呼吸用保護具にあっては一〇〇ニュートン、ルーズフィット形の電動ファン付き呼吸用保護具にあっては五〇ニュートンの引張荷重をかけ、破断又は離脱の有無を調べる。 |
破断又は離脱しないこと。 |
(令五厚労告八八・旧第三条繰下)
(構造)
第五条 電動ファン付き呼吸用保護具の構造は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
一 容易に破損しないものであること。
二 装着が簡単で、装着したときに異常な圧迫感又は苦痛を与えないものであること。
三 着用者の視野を著しく妨げるものでないこと。
四 全面形の面体を有するもの及びルーズフィット形のものにあっては、呼気によりアイピースが曇らないものであること。
五 ろ過材又は吸収缶、排気弁及びしめひもが容易に取り替えることができるものであること。
六 面体形のものにあっては、着用者自身がその顔面と面体との密着性の良否を随時容易に検査できるものであること。
七 防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、防毒マスク用の吸収缶を取り付けることができないものであること。
八 面体形の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、面体内圧が陰圧に近づいていること又は達したことを着用者に知らせる警報装置を有するものであること。
九 ルーズフィット形のもの(防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、S級又はA級のものに限る。)にあっては、最低必要風量に近づいていることを着用者に知らせる警報装置を有するものであること。
十 ルーズフィット形の防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具であって、B級のものにあっては、前号の警報装置又は電池の電圧が電動ファン付き呼吸用保護具を有効に作動できる電圧の下限値となったことを着用者に知らせる警報装置を有するものであること。
(令五厚労告八八・旧第四条繰下・一部改正)
第六条 電動ファン付き呼吸用保護具の各部の構造は、次の表の上欄に掲げる区分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる条件に適合するものでなければならない。ただし、同表吸収缶の項の規定は、防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具に限り適用する。
区分 |
条件 |
吸収缶 |
一 吸収剤がち密に、かつ、露出しないように詰められていること。 二 防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具であって防じん機能を有するものにあっては、粉じんを捕集するためのろ過材を具備していること。 |
電動ファン |
水、粉じん等の侵入によりその機能に障害を生ずるおそれがないこと。 |
排気弁 |
一 通常の呼吸に対して、弁及び弁座の乾湿の状態にかかわらず、確実に、かつ、鋭敏に作動すること。 二 内部と外部の圧力が平衡している場合に、面体の向きにかかわらず、閉鎖状態を保つこと。 三 外力による損傷が生じないように覆い等により保護されていること。 |
しめひも |
一 適当な長さ及び弾力性を有すること。 二 長さを容易に調節することができること。 |
連結管 |
一 適度な伸縮性を有し、種々の状態に曲げても通気に支障が生じないこと。 二 あご、腕等による圧迫があった場合でも通気に支障が生じないこと。 三 首の運動に支障が生じないような長さであること。 |
(令五厚労告八八・旧第五条繰下・一部改正)
(性能に係る試験)
第七条 電動ファン付き呼吸用保護具の性能は、次の表の上欄に掲げる試験方法による試験を行った場合に、それぞれ同表の下欄に掲げる条件に適合するものでなければならない。
試験方法 |
条件 |
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(粒子捕集効率試験)(防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具及び防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具であって防じん機能を有するものに限る。) 次の各号に掲げる試験粒子の種類に応じて、試験粒子の濃度を測定し、次の式によりろ過材の粒子捕集効率を算定する。なお、粒径分布の中央値については、粒子数を基準にした中央値とする。 |
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一 試験粒子が塩化ナトリウムの場合 粒子捕集効率測定器に装着したろ過材又は吸収缶へ、塩化ナトリウム含有空気(塩化ナトリウムの粒径分布の中央値が〇・〇六マイクロメートル以上〇・一マイクロメートル以下で、その幾何標準偏差が一・八以下であって、かつ、塩化ナトリウムの濃度が一立方メートル当たり五〇ミリグラム以下で、その変動がプラスマイナス一五パーセント以下のものをいう。)を、通常風量形のものにあっては毎分一〇四リットル、大風量形のものにあっては毎分一三八リットルの流量で通じ、ろ過材又は吸収缶に供給される塩化ナトリウムが二〇〇ミリグラムに達するまでの経過において、ろ過材又は吸収缶通過前及び通過後の塩化ナトリウムの濃度を散乱光方式による塩化ナトリウム濃度測定器により連続的に測定する。ただし、複数のろ過材又は吸収缶を有する電動ファン付き呼吸用保護具について一のろ過材又は吸収缶により試験を行う場合における本文の流量及びろ過材又は吸収缶に供給される塩化ナトリウムの量は、当該電動ファン付き呼吸用保護具の有するろ過材又は吸収缶の数で除することができるものとする。 |
一 試験粒子が塩化ナトリウムの場合 粒子捕集効率が、常に次の表の上欄に掲げる電動ファン付き呼吸用保護具のろ過材又は吸収缶の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値以上であること。 |
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種類 |
粒子捕集効率 (パーセント) |
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PS一 |
九五・〇 |
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PS二 |
九九・〇 |
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PS三 |
九九・九七 |
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二 試験粒子がフタル酸ジオクチルの場合 粒子捕集効率測定器に装着したろ過材又は吸収缶へ、フタル酸ジオクチル含有空気(フタル酸ジオクチルのミストの粒径分布の中央値が〇・一五マイクロメートル以上〇・二五マイクロメートル以下で、その幾何標準偏差が一・六以下であって、かつ、フタル酸ジオクチルの濃度が一立方メートル当たり一〇〇ミリグラム以下で、その変動がプラスマイナス一五パーセント以下のものをいう。)を、通常風量形のものにあっては毎分一〇四リットル、大風量形のものにあっては毎分一三八リットルの流量で通じ、ろ過材又は吸収缶に供給されるフタル酸ジオクチルが四〇〇ミリグラムに達するまでの経過において、ろ過材又は吸収缶通過前及び通過後のフタル酸ジオクチルの濃度を散乱光方式によるフタル酸ジオクチル濃度測定器により連続的に測定する。ただし、複数のろ過材又は吸収缶を有する電動ファン付き呼吸用保護具について一のろ過材又は吸収缶により試験を行う場合における本文の流量及びろ過材又は吸収缶に供給されるフタル酸ジオクチルの量は、当該電動ファン付き呼吸用保護具の有するろ過材又は吸収缶の数で除することができるものとする。 |
二 試験粒子がフタル酸ジオクチルの場合 粒子捕集効率が、常に次の表の上欄に掲げる電動ファン付き呼吸用保護具のろ過材又は吸収缶の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値以上であること。 |
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種類 |
粒子捕集効率 (パーセント) |
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PL一 |
九五・〇 |
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PL二 |
九九・〇 |
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PL三 |
九九・九七 |
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(漏れ率試験) 電動ファン付き呼吸用保護具を次の図に示す寸法の揺動形人体模型(以下この表において「揺動形人体模型」という。)に装着し、当該揺動形人体模型に呼吸模擬装置を接続してこれをチャンバ内に設置し、揺動形人体模型及び呼吸模擬装置を作動させた状態で、三分を経過した後、電動ファン付き呼吸用保護具の内部及び外部の塩化ナトリウムの濃度を二分間連続的に測定し、次の式により漏れ率を算定する。この場合において、測定及び漏れ率の算定は、次の各号に定めるところにより行わなければならない。 一 チャンバ内の空気は、試験開始時点において塩化ナトリウム(粒径分布の中央値が〇・〇六マイクロメートル以上〇・二マイクロメートル以下で、その幾何標準偏差が二・〇以下であるもの)の濃度が一立方メートル当たり一八ミリグラム以下で、その変動がプラスマイナス一五パーセント以下となるように調節されていること。 二 チャンバ内において揺動形人体模型の頭部(イ及びロにおいて「頭部」という。)に対して次に掲げる条件により送風すること。 イ 送風する位置は、頭部から前方一メートル以上離れた位置であって水平面に対し四五度下方向の位置であること。 ロ 頭部から三〇センチメートル離れた位置において風速〇・五メートル毎秒プラスマイナス〇・一メートル毎秒となること。 三 手動により流量を調節する機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、最小の風量に設定されていること。 四 呼吸模擬装置は、次の表の上欄に掲げる電動ファン付き呼吸用保護具の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる条件により作動させること。 |
防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、最も高い漏れ率が、次の表の上欄に掲げる種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値以下であること。防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、最も高い漏れ率が、〇・一パーセント以下であること。 |
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種類 |
漏れ率 (パーセント) |
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S級 |
〇・一 |
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A級 |
一・〇 |
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B級 |
五・〇 |
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種類 |
条件 |
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呼吸波形 |
一回の呼吸における換気量 (リットル) |
一分間の呼吸回数 |
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通常風量形 |
正弦波 |
一・五プラスマイナス〇・〇七五 |
二〇 |
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大風量形 |
一・六プラスマイナス〇・〇八 |
二五 |
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五 揺動形人体模型は、次の表の上欄に掲げる揺動箇所及び揺動の範囲ごとに、それぞれ同表の下欄に掲げる一分間の揺動回数だけ作動させること。 |
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揺動箇所及び揺動の範囲 |
一分間の揺動回数 |
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頭部について、鉛直上方を基準として、前後にそれぞれ三〇度の間 |
一七 |
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頭部について、鉛直方向を回転軸とし、水平前方を基準として、左右にそれぞれ五〇度の間 |
一一 |
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腕部について、鉛直下方を基準として、左右に上方へ一〇度から一三〇度の間 |
七 |
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六 測定は、前号の表の上欄に掲げる揺動箇所及び揺動の範囲ごとに行い、それぞれについて漏れ率を算定すること。 七 防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、粒子捕集効率が九九・九パーセント以上の吸収缶を取り付けて試験を実施すること。 揺動形人体模型図(単位 ミリメートル) |
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(内圧試験)(面体形に限る。) 次の図に示す寸法の試験用人頭(以下この表において「試験用人頭」という。)の顔面部又は通気抵抗測定装着具の適切な位置に電動ファン付き呼吸用保護具を装着して気密性を確保し、試験用人頭に呼吸模擬装置を接続して漏れ率試験の項第四号の表の上欄に掲げる電動ファン付き呼吸用保護具の種類に応じて、同表の下欄に掲げる条件で作動させ、吸排気を六回行った後、引き続き面体の内側の圧力と面体の外側の圧力の差(以下この項及び第八条第三項において「面体内圧」という。)を一分間連続的に測定する。この場合において、手動により流量を調節する機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、最小の風量に設定した場合及び最大の風量に設定した場合のそれぞれについて測定を行うものとする。 試験用人頭図(単位 ミリメートル) |
防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、面体内圧が、常に〇パスカルを超え四〇〇パスカル未満であること。防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、面体内圧が、常に〇パスカルを超え一二〇〇パスカル未満であること。 |
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(吸気抵抗試験)(面体形に限る。) 通気抵抗試験器に装着した電動ファン付き呼吸用保護具(電動ファンを停止したもの)の面体の外側から内側へ、空気を毎分四〇リットルの流量で通じた場合における内外の圧力差(以下この項において「吸気抵抗」という。)を測定する。 |
防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、吸気抵抗が一六〇パスカル以下であること。防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、次の表の上欄に掲げる種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値以下であること。 |
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種類 |
吸気抵抗(パスカル) |
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防じん機能を有しないもの |
三二〇 |
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防じん機能を有するもの |
四七〇 |
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(排気抵抗試験)(面体形に限る。) 通気抵抗試験器に装着した電動ファン付き呼吸用保護具(電動ファンを停止したもの)の面体の内側から外側へ、空気を毎分四〇リットルの流量で通じた場合における内外の圧力差(以下この項において「排気抵抗」という。)を測定する。 |
防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、排気抵抗が八〇パスカル以下であること。防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、排気抵抗が三八〇パスカル以下であること。 |
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(排気弁の作動気密試験)(面体形に限る。) 気密試験器に排気弁を装着し、空気を毎分一リットルの流量で吸引して排気弁の閉鎖による内部の減圧状態を調べ、次に内部の圧力を外部の圧力より一四七〇パスカル低下させて放置し、放置を開始してから内部の圧力が常圧に戻るまでの時間を測定する。この場合において、気密試験器の内容積は、五〇立方センチメートルとする。 |
一 空気を吸引した場合に直ちに内部が減圧すること。 二 放置を開始してから内部の圧力が常圧に戻るまでの時間が一五秒以上であること。 |
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(二酸化炭素濃度上昇値試験)(面体形に限る。) 摂氏二五度プラスマイナス五度の室内において、試験用人頭の顔面部に電動ファン付き呼吸用保護具(電動ファンを停止させたもの。以下この項において同じ。)を装着した状態及び装着しない状態で、試験用人頭に呼吸模擬装置を接続し、呼吸模擬装置により一回当たり二・〇リットルプラスマイナス〇・一リットルの空気(呼気における空気にあっては、二酸化炭素の濃度が五・〇パーセントのものとする。)を正弦波形の呼吸波形により毎分一五回、試験用人頭を通じて吸排気させながら、吸気における二酸化炭素の濃度(以下この項において「二酸化炭素濃度」という。)が一定となるまで二酸化炭素濃度測定器により測定する。 |
電動ファン付き呼吸用保護具を装着した状態における一定となった二酸化炭素濃度と電動ファン付き呼吸用保護具を装着しない状態における一定となった二酸化炭素濃度の差が、二・〇パーセント以下の値であること。 |
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(最低必要風量試験)(ルーズフィット形に限る。) 電動ファン付き呼吸用保護具のフード又はフェイスシールドを装着させた試験用人頭又は試験用人体模型をチャンバ内に、フード内又はフェイスシールド内に送気するための空気取入口をチャンバ外にそれぞれ設置し、これらを連結管等により接続して、チャンバ内の気圧を常圧に維持するようにチャンバ内の空気を吸引装置で吸引し、当該吸引した空気の流量(以下この項及び第八条第三項において「吸引空気流量」という。)を測定する。この場合において、手動により流量を調節する機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、最小の風量に設定するものとする。 |
吸引空気流量が、次の表の上欄に掲げる電動ファン付き呼吸用保護具の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる最低必要風量の値以上であること。 |
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種類 |
最低必要風量 (リットル毎分) |
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通常風量形 |
一〇四 |
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大風量形 |
一三八 |
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(騒音試験) 試験用人頭に電動ファン付き呼吸用保護具を装着し、呼吸模擬装置を接続して漏れ率試験の項第四号の表の上欄に掲げる電動ファン付き呼吸用保護具の種類に応じて、同表の下欄に掲げる条件で作動させ、試験用人頭の耳部における騒音の程度(以下この項において「騒音レベル」という。)を測定する。この場合において、手動により流量を調節する機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、最大の風量に設定するものとする。 |
左右ともに騒音レベルが八〇デシベル以下であること。 |
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(吸収缶の気密試験)(防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具に限る。) 吸収缶容器の接合部等が吸収缶と面体とが接続する側又は吸収缶の側面にあることが構造上確認できるものにあっては、吸収缶の内部に空気を一四七〇パスカルに達するまで送気し、漏気の有無を調べる。 |
漏気しないこと。 |
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(吸収缶の除毒能力試験)(防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具に限る。) 一 試験を行う前に、吸収缶を包装をしたまま通気の方向を水平に保持して、毎分約一〇〇回で約二〇分間(二〇〇〇回以上二〇二〇回以下)の上下二〇ミリメートルの振動を与える。この場合において、同時に複数の吸収缶に振動を与える場合にあっては、これらの吸収缶が接触しないようにする。 二 次の表の上欄に掲げる吸収缶の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる試験ガス含有空気を製造者が設定した流量の範囲(毎分三〇リットルから毎分三〇〇リットルまでの範囲に限る。)内の流量(同一の種類の吸収缶を複数個取り付ける場合にあっては、当該流量を吸収缶の個数で除した流量。以下この表において「試験流量」という。)で吸収缶の内部に通じ、試験ガスの濃度を次のイ又はロのいずれかの方法により測定する。この場合において、試験温度は二〇度プラスマイナス二度、試験の相対湿度は五〇パーセントプラスマイナス五パーセントとする。 イ ガス分析計による場合 吸収缶を通過した試験ガス含有空気をガス分析計に通じ、試験ガスの濃度を測定する。 ロ ガス吸収法による場合 吸収缶を通過した試験ガス含有空気を捕集液を入れた捕集管に通じ、当該試験ガス含有空気中の試験ガスを捕集して濃度を測定する。 |
一 次の表の上欄に掲げる種類に応じて、同表の中欄に掲げる濃度に達するまでの時間が、それぞれ同表の下欄に掲げる時間以上であること。 |
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種類 |
濃度(p・p・m) |
時間(分) |
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ハロゲンガス用の吸収缶 |
一 |
四〇 |
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有機ガス用の吸収缶 |
五 |
五〇 |
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アンモニア用の吸収缶 |
五〇 |
四〇 |
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亜硫酸ガス用の吸収缶 |
五 |
三五 |
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備考 この表において、p・p・mとは百万分の一の容積比をいう。 |
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二 同一の種類の吸収缶を複数個取り付ける場合にあっては、吸収缶相互の通気抵抗の差の最大値の絶対値を吸収缶の通気抵抗の平均値で除した値が、〇・二以下であること。 |
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種類 |
試験ガス含有空気 |
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試験ガスの種類 |
濃度(パーセント) |
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ハロゲンガス用の吸収缶 |
塩素 |
〇・〇二 |
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有機ガス用の吸収缶 |
シクロヘキサン |
〇・〇三 |
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アンモニア用の吸収缶 |
アンモニア |
〇・一 |
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亜硫酸ガス用の吸収缶 |
亜硫酸ガス |
〇・〇三 |
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三 同一の種類の吸収缶を複数個取り付ける場合にあっては、毎分四〇リットルの流量又は試験流量における十個の吸収缶相互の通気抵抗の差の最大値の絶対値を吸収缶の通気抵抗の平均値で除した値を次の式により算定する。 (この式において、X、ΔR、|ΔR|max及びRaは、それぞれ次の数値を表すものとする。 X 吸収缶相互の通気抵抗の差の最大値の絶対値を吸収缶の通気抵抗の平均値で除した値 ΔR 毎分四〇リットルの流量又は試験流量における吸収缶相互の通気抵抗の差(単位 パスカル) |ΔR|max ΔRの絶対値が最大値となるもの Ra 毎分四〇リットルの流量又は試験流量における吸収缶の通気抵抗の平均値(単位 パスカル)) |
|||||||||||
(最大流量での漏洩濃度試験)(防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具に限る。) 製造者が設定した最大流量(毎分三〇リットルから毎分三〇〇リットルまでの範囲の流量に限る。)が、吸収缶の除毒能力試験の試験流量と異なる場合にあっては、吸収缶の除毒能力試験と同じ条件の試験ガス含有空気を当該最大流量で吸収缶の内部に通じ、試験ガスの濃度を吸収缶の除毒能力試験と同じ方法により測定する。 |
吸収缶の除毒能力試験の項の下欄の表の上欄に掲げる種類に応じて、同表の中欄に掲げる濃度に達するまでの時間が、三分以上であること。 |
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(流量試験)(防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具に限る。) 一 次のイ又はロに掲げる方法により最大設定平均流量及び最大流量を算定する。 イ 面体形に係る測定方法 (1) 吸収缶を通気抵抗測定用ホルダに装着し、当該ホルダを電動ファン付き呼吸用保護具に取り付ける。当該保護具の面体を最大設定平均流量試験器に装着した状態で、当該保護具は作動させずに、定常流毎分二〇リットル、毎分四〇リットル、毎分六〇リットル、毎分八五リットル、毎分一一〇リットル、毎分一四〇リットル及び毎分一七〇リットルで吸引し、それぞれの通気抵抗を測定する。 (2) 吸収缶を流れる一分当たりの流量は、次の式により算定する。 Q=a×(|ΔP|b) (3) (2)の式を変形した次の式から、回帰分析によって、切片(loga)からaを、傾きからbを求める。 logQ=loga+b×log(|ΔP|) ((2)及び(3)の式において、a、b、Q及びΔPは、それぞれ次の数値を表すものとする。 a及びb 定数 Q 一分当たりの流量(単位 リットル) ΔP 通気抵抗(単位 パスカル)) (4) 吸収缶を通気抵抗測定用ホルダに装着し、当該ホルダを電動ファン付き呼吸用保護具に取り付ける。当該保護具の面体を、呼吸模擬装置が接続されている最大設定平均流量試験器に装着し、気密を確保した上で、当該保護具の電動ファン及び呼吸模擬装置を作動させ、五分経過後から五分間の通気抵抗を測定する。 (5) (4)で測定した通気抵抗を用いて(2)の式により一分当たりの流量を求め、当該流量の平均値を最大設定平均流量とする。 (6) (4)で測定した通気抵抗を用いて(2)の式により一分当たりの流量を求め、当該流量の最大値を最大流量とする。 ロ ルーズフィット形に係る測定方法 (1) 電動ファン付き呼吸用保護具を装着させた試験用人頭をチャンバ内に、電動ファン付き呼吸用保護具に送気するための空気取入口をチャンバ外にそれぞれ設置し、これらを連結管等により接続し、当該保護具の電動ファンを作動させ、チャンバ内の気圧を常圧に維持するようにチャンバ内の空気を吸引装置で吸引し、五分経過後から五分間の吸引した流量を測定する。 (2) (1)で測定した流量の平均値を最大設定平均流量とする。 (3) (1)で測定した流量の最大値を最大流量とする。 二 最大設定平均流量及び最大流量の算定に当たっては、次のイからホまでに掲げる事項に留意しなければならない。 イ 電動ファンの電源は、試験で使用する電動ファン付き呼吸用保護具に対応したものとする。なお、電源が充電式の電池の場合は、十分に充電を行ったものを用いること。 ロ 試験に用いる吸収缶は、試験で使用する電動ファン付き呼吸用保護具に対応したもので、かつ、未使用品とすること。 ハ 差圧測定用ホルダは、吸収缶の差圧を測定するための試験用具で、吸収缶の流入側及び流出側の側面に通気抵抗測定口を備えたものとすること。 ニ 手動により流量を調節する機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、最大の風量に設定するものとすること。 ホ 面体形の電動ファン付き呼吸用保護具の通気抵抗値が、呼吸模擬装置の呼気時にマイナスとなる場合は、その間の通気抵抗値を〇パスカルとして平均値を計算すること。 |
最大設定平均流量が除毒能力試験の試験流量以下であること。また、最大流量が製造者が設定した最大流量以下であること。 |
(令五厚労告八八・旧第六条繰下・一部改正)
(表示等)
第八条 電動ファン付き呼吸用保護具は、見やすい箇所に次に定める事項が表示されているものでなければならない。
一 製造者名
二 製造年月
三 型式の名称
2 吸収缶(防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具であって防じん機能を有するものに具備されるもののうち、ろ過材が分離できるものにあっては、ろ過材を分離した吸収缶及びろ過材)は、その見やすい箇所に製造者名及び製造年月日が表示されているものでなければならない。
3 電動ファン付き呼吸用保護具は、譲渡又は貸与される場合には、次に掲げる事項を記載した印刷物が添付されたものでなければならない。
一 使用の範囲
二 使用上の注意事項
三 公称稼働時間
四 着用者自身がその顔面と面体との密着性の良否を容易に検査する方法
五 防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、取り付けることができる吸収缶の種類、型式の名称及び型式検定合格番号
六 防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、備え付けられている警報装置の説明
七 防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、除毒能力試験の試験流量
八 防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具にあっては、警報装置の警報の確認方法の説明
4 前項第三号の公称稼働時間は、電動ファン付き呼吸用保護具を常温及び常圧において作動させた状態で、面体形のものにあっては面体内圧が前条の表内圧試験の項の下欄に掲げる条件に、ルーズフィット形のものにあっては吸引空気流量が同表の最低必要風量試験の項の下欄に掲げる条件に、それぞれ適合した性能を維持することができる時間を測定するものとする。
5 吸収缶は、次に掲げる事項を記載した印刷物が添付されたものでなければならない。
一 型式の名称
二 使用の範囲
三 使用上の注意事項
四 破過曲線図
五 使用時間記録カード
6 前項第四号の破過曲線図は、一種類の試験ガスごとに添付されなければならない。
7 吸収缶は、次の表の上欄に掲げる種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる色により外部の側面が色分けされるとともに、色分け以外の方法によってその種類が表示されたものでなければならない。
種類 |
色 |
ハロゲンガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具 |
灰色及び黒色(二層に分けること) |
有機ガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具 |
黒色 |
アンモニア用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具 |
緑色 |
亜硫酸ガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具 |
黄赤色 |
備考 防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具であって防じん機能を有するものにあっては、吸収缶のろ過材がある部分に白線を入れる。 |