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○ボイラー構造規格

(平成十五年四月三十日)

(厚生労働省告示第百九十七号)

労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第三十七条第二項の規定に基づき、ボイラー構造規格(平成元年労働省告示第六十五号)の全部を次のように改正する。

ボイラー構造規格

目次

第一編 鋼製ボイラー

第一章 材料(第一条―第六条)

第二章 構造

第一節 総則(第七条)

第二節 胴及びドーム(第八条・第九条)

第三節 鏡板及び平板(第十条―第十四条)

第四節 管板(第十五条―第十八条)

第五節 炉筒及び火室(第十九条―第二十四条)

第六節 ステー及びステーによって支えられる板(第二十五条―第三十二条)

第七節 穴及びその補強(第三十三条・第三十四条)

第八節 管、管寄せ、管台及びフランジ(第三十五条―第四十一条)

第三章 工作及び水圧試験

第一節 溶接(第四十二条―第六十条)

第二節 水圧試験(第六十一条)

第四章 附属品

第一節 安全弁、逃がし弁及び逃がし管(第六十二条―第六十五条)

第二節 圧力計、水高計及び温度計(第六十六条―第六十八条)

第三節 水面測定装置(第六十九条―第七十二条)

第四節 給水装置等(第七十三条―第七十六条)

第五節 蒸気止め弁及び吹出し装置(第七十七条―第七十九条)

第六節 手動ダンパ等(第八十条―第八十三条)

第七節 自動制御装置(第八十四条・第八十五条)

第五章 雑則(第八十六条・第八十七条)

第二編 鋳鉄製ボイラー(第八十八条―第百一条)

附則

第一編 鋼製ボイラー

第一章 材料

(主要材料)

第一条 鋼製ボイラー(以下この編において「ボイラー」という。)の主要材料は、鉄鋼材料又は非鉄金属材料であって、最高使用圧力及び使用温度に応じ、当該材料に及ぼす化学的影響及び物理的影響に対し、安全な化学的成分及び機械的性質を有するものでなければならない。

2 前項の使用温度は、内部の蒸気又は液体の最高温度とし、伝熱面における材料の使用温度は、内部の蒸気若しくは液体の最高温度に三十度を加えた温度(放射過熱器にあっては、内部の蒸気の最高温度に五十度以上を加えた温度)又は適切な方法によって求めた値を加えた温度とするものとする。

(材料の使用制限)

第二条 次の表の上欄に掲げる材料は、それぞれ同表の下欄に掲げるボイラー又はボイラーの圧力を受ける部分に使用してはならない。

材料

ボイラー又はボイラーの圧力を受ける部分

炭素の含有量が〇・三五パーセントを超える材料

溶接を行う部分

日本産業規格G三一〇六(溶接構造用圧延鋼材)及びこれと同等以下の機械的性質を有するもの

次に掲げるボイラー又はその部分

一 最高使用圧力が一・六メガパスカルを超えるボイラー

二 最高使用圧力が一メガパスカルを超え、一・六メガパスカル以下のボイラーの胴又は鏡板であって、胴の長手継手又は鏡板のこれに準ずる継手が溶接されたもの

日本産業規格G三一〇一(一般構造用圧延鋼材)及びこれと同等以下の機械的性質を有するもの

次に掲げるボイラー又はその部分

一 最高使用圧力が一・六メガパスカルを超えるボイラー

二 最高使用圧力が〇・七メガパスカルを超え、一・六メガパスカル以下のボイラーの胴又は鏡板であって、胴の長手継手又は鏡板のこれに準ずる継手が溶接されたもの

日本産業規格G三四五四(圧力配管用炭素鋼鋼管)、日本産業規格G三四五五(高圧配管用炭素鋼鋼管)、日本産業規格G三四五六(高温配管用炭素鋼鋼管)、日本産業規格G三四五八(配管用合金鋼鋼管)及び日本工業規格G三四五九(配管用ステンレス鋼管)並びにこれらと同等以下の機械的性質を有するもの

ボイラーの伝熱管

日本産業規格G三四五二(配管用炭素鋼鋼管)及びこれと同等以下の機械的性質を有するもの

次に掲げる部分

一 最高使用圧力が〇・七メガパスカルを超えるボイラーの本体から逆止め弁までの給水管及び本体から吹出し弁(吹出し弁が二個以上ある場合には、ボイラー本体から遠いもの)までの吹出し管

二 最高使用圧力が一メガパスカル以下のボイラーの蒸気管、給水管及び吹出し管(前号に掲げるものを除く。)以外の管

日本産業規格G四〇五一(機械構造用炭素鋼鋼材)及びこれと同等以下の機械的性質を有するもの

ボイラーの胴及び鏡板

日本産業規格G四三〇三(ステンレス鋼棒)、日本産業規格G四三〇四(熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)及び日本産業規格G四三〇五(冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)並びにこれらと同等以下の機械的性質を有するもの

節炭器の管寄せであって火炎に触れない部分以外の部分

日本産業規格G五五〇一(ねずみ鋳鉄品)及び日本産業規格G五七〇五(可鍛鋳鉄品)に定めるパーライト可鍛鋳鉄品並びにこれらと同等以下の機械的性質を有するもの

次のいずれかに該当する部分(節炭器を除く。)

一 圧力を受け、かつ、火炎に触れる部分

二 平面で囲まれた箱形鋳物であって、長手軸に垂直な断面の内側が一辺二百ミリメートルの正方形の内に納まらないもの(圧力が一メガパスカル以下で使用する弁その他の附属品を除く。)

三 一・六メガパスカルを超える圧力を受ける部分

四 マンホールのふた板

日本産業規格G五五〇二(球状黒鉛鋳鉄品)、日本産業規格G五七〇五(可鍛鋳鉄品)に定める黒心可鍛鋳鉄品並びに日本工業規格B八二七〇(圧力容器(基盤規格))の附属書五に定めるダクタイル鉄鋳造品及びマレアブル鉄鋳造品並びにこれらと同等以下の機械的性質を有するもの

次のいずれかに該当する部分(節炭器を除く。)

一 圧力を受け、かつ、火炎に触れる部分

二 平面で囲まれた箱形鋳物であって、長手軸に垂直な断面の内側が一辺二百ミリメートルの正方形の内に納まらないもの(圧力が一メガパスカル以下で使用する弁その他の附属品を除く。)

三 二・四メガパスカルを超える圧力を受ける部分

四 マンホールのふた板

日本工業規格H三三〇〇(銅及び銅合金継目無管)及びこれと同等以下の機械的性質を有するもの

圧力計の連絡管その他の附属品以外の部分

日本産業規格H五一二〇(銅及び銅合金鋳物)及びこれと同等以下の機械的性質を有するもの

弁その他の附属品以外の部分

(令元厚労告四八・一部改正)

(材料の許容引張応力)

第三条 材料(鋳造品を除く。)の許容引張応力は、次の各号に定めるところによる。

一 鉄鋼材料及び非鉄金属材料の許容引張応力は、次に掲げる値のうち最小のものとする。

イ 常温における引張強さの最小値の四分の一

ロ 材料の使用温度における引張強さの四分の一

ハ 常温における降伏点又は〇・二パーセント耐力の最小値の一・五分の一

ニ 材料の使用温度における降伏点又は〇・二パーセント耐力の一・五分の一(オーステナイト系ステンレス鋼鋼材であって、都道府県労働局長の認めた箇所に使用されるものについては、材料の使用温度における〇・二パーセント耐力の九十パーセントとすることができる。)

二 前号の規定にかかわらず、熱処理等により強度を高めたボルトの許容引張応力は、前号から求めた値及び次に掲げる値のうち最小のものとする。

イ 常温における引張強さの最小値の五分の一

ロ 常温における降伏点又は〇・二パーセント耐力の最小値の四分の一

2 前項の規定にかかわらず、材料の使用温度が当該材料のクリープ領域にある場合の許容引張応力は、次の各号に掲げる値のうち最小のものとする。

一 当該温度において千時間に〇・〇一パーセントのクリープを生ずる応力の平均値

二 当該温度において十万時間でラプチャを生ずる応力の平均値の一・五分の一

三 当該温度において十万時間でラプチャを生ずる応力の最小値の一・二五分の一

第四条 鋳造品の許容引張応力は、次の各号に定めるところによる。

一 鋳鉄品の許容引張応力は、次のイ及びロに掲げる鋳鉄品の区分に応じ、それぞれイ及びロに掲げる値とする。

イ 日本産業規格G五五〇二(球状黒鉛鋳鉄品)のFCD四〇〇及びFCD四五〇並びに日本産業規格G五七〇五(可鍛鋳鉄品)に定める黒心可鍛鋳鉄品並びにこれらと同等以上の機械的性質を有するもの 材料の使用温度における引張強さの六・二五分の一

ロ その他の鋳鉄品 材料の使用温度における引張強さの十分の一

二 鋳鋼品の許容引張応力は、次のイ及びロに掲げる鋳鋼品の区分に応じ、それぞれイ及びロに掲げる鋳造係数を前条第一項第一号又は第二項の規定から求めた値に乗じて得た値とする。

イ 日本産業規格G五一〇一(炭素鋼鋳鋼品)であって、次の表に掲げる化学成分の含有量が同表の上欄に掲げる鋳鋼品の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる値以下である鋳鋼品、日本産業規格G五一〇二(溶接構造用鋳鋼品)、日本産業規格G五一二一(ステンレス鋼鋳鋼品)及び日本産業規格G五一五一(高温高圧用鋳鋼品)並びにこれらと同等以上の機械的性質を有するもの 〇・八(都道府県労働局長の定める検査に合格したものにあっては、当該検査の種類及び方法に応じ、〇・九又は一・〇)

鋳鋼品の種類

化学成分

炭素

マンガン

りん

硫黄

けい素

ニッケル

クロム

SC三六〇及びSC四一〇

〇・二五

〇・七〇

〇・〇四

〇・〇四

〇・六〇

〇・五〇

〇・五〇

〇・五〇

SC四五〇及びSC四八〇

〇・三五

〇・七〇

〇・〇四

〇・〇四

〇・六〇

〇・五〇

〇・五〇

〇・五〇

備考

一 各成分の単位は、パーセントとする。

二 炭素の含有量の値が表中の値より〇・〇一減少するごとにマンガンの含有量を表中の値より〇・〇四増加することができる。ただし、マンガンの含有量の値は、一・一〇を超えてはならない。

三 ニッケル、クロム及び銅の含有量の合計の値は、一・〇を超えてはならない。

ロ その他の鋳鋼品の鋳造係数 〇・六七

三 非鉄金属鋳造品の許容引張応力は、前条第一項第一号から求めた値に鋳造係数〇・八を乗じて得た値とする。

(令元厚労告四八・一部改正)

(材料の許容圧縮応力)

第五条 材料の許容圧縮応力は、許容引張応力に等しい値とする。

(材料の許容せん断応力)

第六条 材料の許容せん断応力は、許容引張応力の八十パーセントの値とする。

第二章 構造

第一節 総則

(厚さの許容寸法)

第七条 管の厚さは、最小厚さ以上でなければならない。

2 管以外の部分の厚さは、最小厚さから〇・二五ミリメートルを減じた値以上でなければならない。

第二節 胴及びドーム

(胴又はドームの板の厚さ)

第八条 胴又はドームに使用する板の厚さは、六ミリメートル以上としなければならない。ただし、次の各号に掲げる胴又はドームに使用する板の厚さは、当該各号に定めるところによるものとする。

一 ステーを取り付けるもの及び内径が九百ミリメートルを超え、千三百五十ミリメートル以下のもの 八ミリメートル以上

二 内径が千三百五十ミリメートルを超え、千八百五十ミリメートル以下のもの 十ミリメートル以上

三 内径が千八百五十ミリメートルを超えるもの 十二ミリメートル以上

2 ころ広げによって水管を取り付ける水管ボイラーの胴板の管取付部の完全な輪形をなす接触面における厚さは、十ミリメートル以上でなければならない。

(内面に圧力を受ける胴又はドームの板の最小厚さ)

第九条 内面に圧力を受ける胴又はドームに使用する板の最小厚さは、最高使用圧力が加わったときに当該板に生じる応力と当該板の許容引張応力とが等しくなる場合の当該板の厚さに付け代を加えた厚さとする。

第三節 鏡板及び平板

(鏡板の厚さの制限)

第十条 鏡板(全半球形鏡板を除く。)の厚さは、胴板の最小厚さ以上としなければならない。

(鏡板の形状の要件)

第十一条 鏡板の形状は、当該鏡板に過剰な応力集中が生じないものとしなければならない。

(ステーなし鏡板の最小厚さ)

第十二条 第九条の規定は、中低面に圧力を受け、球面の一部をなすステーなし鏡板の最小厚さについて準用する。

2 中高面に圧力を受け、球面の一部をなすステーなし鏡板の最小厚さは、次の各号に掲げる値のうちいずれか大きい値とする。

一 中低面に最高使用圧力が加わったときに当該鏡板に生じる応力と当該鏡板の許容引張応力とが等しくなる場合の当該鏡板の厚さに一・六七を乗じて得た値に付け代を加えた厚さ

二 中高面に最高使用圧力の四倍の圧力が加わったときに当該鏡板に生じる応力と当該鏡板に座屈が生じる応力とが等しくなる場合の当該鏡板の厚さに付け代を加えた厚さ

(鏡板の補強しない穴)

第十三条 第三十四条ただし書の規定に基づく補強しない穴を鏡板に設ける場合には、マンホールの周囲及び鏡板の隅の丸みの部分に過剰な応力集中が生じない方法によらなければならない。

(ステーによって支えられない平板等の最小厚さ)

第十四条 第九条の規定は、平鏡板、平ふた板、平底板等の平板でステーによって支えられないもの、炉筒を取り付ける丸ボイラーの平鏡板及び立てボイラーの鏡板又は火室天井板で平らなものの最小厚さについて準用する。

第四節 管板

(煙管ボイラーの管板の最小厚さ)

第十五条 煙管ボイラーの管板の最小厚さは、次の表の上欄に掲げる管板の外径に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる値とする。

管板の外径(単位 ミリメートル)

管板の最小厚さ(単位 ミリメートル)

千三百五十以下

千三百五十を超え千八百五十以下

十二

千八百五十を超えるもの

十四

2 煙管の外径が三十八ミリメートル以上百二ミリメートル以下である煙管ボイラーの管板の最小厚さは、前項の表に掲げる最小厚さと次の算式により算定される最小厚さのうちいずれか大きい値とする。

t=5+(d/10)

(この式において、t及びdは、それぞれ次の値を表すものとする。

t 管板の最小厚さ(単位 ミリメートル)

d 管穴の直径(単位 ミリメートル))

(煙管の最小ピッチ)

第十六条 煙管ボイラーの煙管の最小ピッチは、次の算式により算定するものとする。

p=(1+(4.5/t))d

(この式において、p、t及びdは、それぞれ次の値を表すものとする。

p 煙管の最小ピッチ(単位 ミリメートル)

t 管板の厚さ(単位 ミリメートル)

d 管穴の直径(単位 ミリメートル))

(外だき横煙管ボイラーの後管板のステー)

第十七条 外だき横煙管ボイラーの後管板に取り付けるステーは、棒ステー、ドッグステー、ガセットステー等胴底部の過熱の原因とならないステーとしなければならない。

(燃焼室の管板の最小厚さ)

第十八条 機関車形ボイラー等であって、燃焼室の天井板にかかる荷重が管板にもかかるものにあっては、管板の最小厚さは、最高使用圧力が加わったときに当該管板に生じる応力と当該管板の許容圧縮応力とが等しくなる場合の当該管板の厚さに付け代を加えた厚さとする。

第五節 炉筒及び火室

(炉筒又は火室の板の厚さ)

第十九条 炉筒又は火室であって、フランジを設けるものの板の厚さは、八ミリメートル以上としなければならない。

(炉筒又は火室の板の最小厚さ)

第二十条 平形炉筒、立て横管ボイラーの火室及び波形炉筒の板の最小厚さは、最高使用圧力の三倍の圧力が加わったときに当該板に生じる応力と当該板に座屈が生じる応力とが等しくなる場合の当該板の厚さに付け代を加えた厚さとする。

(平形炉筒のフランジ)

第二十一条 平形炉筒のフランジの曲げ半径(火炎の側で測るものとする。)は、当該フランジに過剰な応力集中が生じない曲げ半径としなければならない。

(炉筒と煙管との距離)

第二十二条 炉筒煙管ボイラーの炉筒の外面と煙管の外面との距離は、当該炉筒及び当該煙管に過熱が生じない距離としなければならない。

(煙突管の最小厚さ)

第二十三条 第二十条の規定は、煙突管の最小厚さについて準用する。

(煙突管の内径)

第二十四条 立てボイラーの火室天井板と鏡板とを貫いて取り付けられた煙突管の内径は、当該煙突管に座屈が生じない内径としなければならない。

第六節 ステー及びステーによって支えられる板

(ステーの水平及び垂直方向の中心線間距離)

第二十五条 ステーの水平及び垂直方向の中心線間の距離は、ステーを板にねじ込んで一端又は両端をかしめた場合には、ステーが切れたときに当該ステーに隣接するステーに過剰な応力集中が生じない距離としなければならない。

(ステーボルト等)

第二十六条 ステーボルト、棒ステー、管ステー及びガセットステー(次項において「ステーボルト等」という。)の断面積は、最高使用圧力が加わったときに当該断面に生じる応力と当該断面の許容引張応力を一・一で除して得た値とが等しくなる場合の当該断面の面積以上でなければならない。

2 ステーボルト等を取り付ける場合には、取付部が安全上必要な強度を有するような方法によらなければならない。

(ステーボルトに設ける知らせ穴)

第二十七条 長さが二百ミリメートル以下のステーボルトには、蒸気の噴出によりステーの欠損を知らせることができる知らせ穴を設けなければならない。ただし、ステーボルトにより結び付けられる両側の板に著しい温度差がみられない場合における当該ステーボルトについては、この限りでない。

(けたステーの構造)

第二十八条 けたステーのけたと天井板との間には、スケールその他の沈殿物がたまらないようにしなければならない。

2 けたステーは、天井板に座屈が生じないような構造としなければならない。

3 けたステーの一端が天井板に伝える圧縮力は、当該天井板に過剰な荷重がかからない圧縮力としなければならない。

(けたステー板の最小厚さ)

第二十九条 第九条の規定は、けたステー板の最小厚さについて準用する。

(ステーによって支えられる板の厚さ)

第三十条 ステーによって支えられる板の厚さは、八ミリメートル以上としなければならない。

(ステーによって支えられる平板等の最小厚さ)

第三十一条 第九条の規定は、ステーによって支えられる平板、煙管ボイラーの平管板の管群部及び当該管群部に相隣り合う部分の最小厚さについて準用する。

(煙管ボイラーの平板部の補強)

第三十二条 最高使用圧力〇・七メガパスカル以下で、かつ、胴の内径が九百ミリメートル以下の煙管ボイラーの管群部上方の平板部を山形鋼によって補強する場合には、補強部分が安全上必要な強度を有するような方法によらなければならない。

第七節 穴及びその補強

(ボイラーに設ける穴)

第三十三条 ボイラーには、内部の掃除及び検査を行うため、胴又は鏡板に、内部に入ることのできる大きさのマンホール、スケールその他の沈殿物を除去することができる大きさの掃除穴及び検査を行うことができる大きさの検査穴を設けなければならない。ただし、ボイラーの構造により、これらに代わる穴のあるものについては、この限りでない。

(胴、管寄せ等に設ける穴の補強)

第三十四条 胴、管寄せ、皿形鏡板、全半球形鏡板、半だ円体形鏡板及び平鏡板、平ふた板、平底板等の平板に設ける穴は、十分な強度を有する強め材により補強しなければならない。ただし、穴の周辺に過剰な応力集中が生じるおそれのない穴については、この限りでない。

第八節 管、管寄せ、管台及びフランジ

(煙管等の最小厚さ)

第三十五条 第二十条の規定は、煙管の最小厚さについて準用する。

2 第九条の規定は、水管、過熱管、節炭器用鋼管等内部に圧力を受ける管の最小厚さについて準用する。

3 第九条の規定は、給水管及び吹出し管の最小厚さについて準用する。この場合において、同条中「最高使用圧力」とあるのは、「最高使用圧力の一・二五倍の圧力又は最高使用圧力に一・五メガパスカルを加えた圧力のうちいずれか小さい圧力」と読み替えるものとする。

(煙管等の厚さの最小値)

第三十六条 煙管及び水管、過熱管、節炭器用鋼管等内部に圧力を受ける管の厚さの最小値は、次の表の上欄に掲げる管の外径に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる値以上としなければならない。

管の外径(単位 ミリメートル)

管の厚さの最小値(単位 ミリメートル)

三八・一以下

二・〇

三八・一を超え五〇・八以下

二・三

五〇・八を超え七六・二以下

二・六

七六・二を超え一〇一・六以下

三・二

一〇一・六を超え一二七・〇以下

三・五

一二七・〇を超えるもの

四・〇

(円筒形管寄せの強さ)

第三十七条 第九条の規定は、円筒形管寄せの強さについて準用する。

(長方形管寄せ)

第三十八条 断面が長方形の管寄せは、次の各号に定めるところによらなければならない。

一 内面における溝形の傷は、安全上支障がないものであること。

二 長方形の断面の隅における内面の曲がりの半径(波形管寄せにあっては、波形に加工する前の半径)は、当該隅に過剰な応力集中が生じない半径であること。

三 管寄せの最小厚さは、最高使用圧力が加わったときに当該管寄せに生じる応力と当該管寄せの許容引張応力とが等しくなる場合の当該管寄せの厚さに付け代を加えた厚さとすること。

(管台の最小厚さ)

第三十九条 第九条の規定は、管台の最小厚さについて準用する。この場合において、鋳鋼製管台の厚さは八ミリメートル以上と、鋳鉄製管台の厚さは十一ミリメートル以上としなければならない。

(フランジ)

第四十条 フランジは、その種類に応じ、日本工業規格B二二二〇(鋼製溶接式管フランジ)、日本工業規格B二二三八(鋼製管フランジ通則)若しくは日本工業規格B二二三九(鋳鉄製管フランジ通則)に適合したもの又はこれらと同等以上の機械的性質を有するものでなければならない。

2 圧力を受けるフランジその他のものを植ねじを用いて胴又は鏡板に取り付ける場合には、取付部が安全上必要な強度を有するようなねじ込みの長さとしなければならない。

(管又は管台の取付け)

第四十一条 管(管ステーを除く。)又は管台を胴、鏡板、管板、管寄せ等に取り付ける場合には、取付部が安全上必要な強度を有するような方法によらなければならない。

第三章 工作及び水圧試験

第一節 溶接

(適用範囲)

第四十二条 ボイラーの圧力を受ける部分の溶接は、この節の定めるところによらなければならない。ただし、圧縮応力以外に応力を生じない部分の溶接については、この限りでない。

(溶接方法)

第四十三条 溶接は、溶接部が安全上必要な強度を有するような方法によらなければならない。

2 溶接は、著しい曲げ応力が生ずる部分を避けなければならない。

(溶接部に設ける穴)

第四十四条 溶接部(溶接金属の縁から六ミリメートル以内の部分を含む。)には、穴を設けてはならない。ただし、溶接後熱処理を行い、かつ、放射線検査に合格した溶接部については、この限りでない。

2 前項ただし書の放射線検査は、穴の中心から測って両側に穴の径の一・五倍以上の範囲について行わなければならない。

(溶接継手の効率)

第四十五条 溶接部の許容引張応力は、第三条又は第四条から求めた値に溶接継手の効率を乗じて得た値とする。

2 前項の溶接継手の効率は、次の表の上欄に掲げる溶接継手の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値による。

溶接継手の種類

溶接継手の効率(単位 パーセント)

放射線検査を行う場合

放射線検査を行わない場合

一 突合せ両側溶接継手又は突合せ片側溶接継手(裏当てを用いる方法その他の方法によって十分な溶込みが得られるものに限る。次号において同じ。)であって裏当てが残っていないもの

一〇〇

七〇

二 突合せ片側溶接継手であって裏当てが残っているもの

九〇

六五

三 前二号以外の突合せ片側溶接継手

六〇

四 両側全厚すみ肉重ね溶接継手

五五

五 片側全厚すみ肉重ね溶接継手

四五

(溶接後熱処理)

第四十六条 溶接部は、溶接後熱処理を行わなければならない。ただし、漏止め溶接部等溶接後熱処理の必要がない溶接部については、この限りでない。

2 溶接後熱処理は、日本産業規格Z三七〇〇(溶接後熱処理方法)又はこれと同等と認められる規格(以下この項において「日本産業規格等」という。)に定めるところにより、炉内で行わなければならない。ただし、胴、管寄せ、管等の周継手等局部加熱の方法によることができると認められる溶接部の溶接後熱処理は、局部加熱の方法によることができる。この場合において、当該日本産業規格等に定められた保持温度又は保持時間を低減することができる場合は、現場溶接、使用材料及び構造等により当該日本産業規格等に定める保持温度及び保持時間で当該溶接後熱処理を行うことが困難な場合又は適当でない場合に限るものとする。

3 特殊な材料、構造等により、前項に規定する方法で溶接後熱処理を行うことが困難な場合又は適当でない場合には、都道府県労働局長が定める方法によることができる。

(令元厚労告四八・一部改正)

(溶接部の要件)

第四十七条 溶接部は、溶込みが十分で、かつ、割れ又はアンダカット、オーバラップ、クレータ、スラグの巻込み、ブローホール等で有害なものがあってはならない。

(溶接部の機械試験)

第四十八条 溶接部は、次の各号に掲げるところにより作成した試験板について、第五十一条から第五十四条までに規定する機械試験を行い、これに合格したものでなければならない。

一 胴の長手継手の溶接を行う場合には、試験板は、胴端に取り付け、かつ、溶接線が胴の長手継手と同一直線上にあるようにして胴の長手継手と同時に溶接を行い、胴全体について一個の試験板を作ること。ただし、胴各節の長手継手の溶接が同一条件で行われない場合には、各節ごとに一個の試験板を作ること。

二 胴の周継手又はドーム等の取付部の溶接を行う場合には、試験板は、胴、ドーム等とは別に準備して、胴の周継手又はドーム等の取付部の溶接に引き続き同一条件によって溶接するものとし、胴全体に対して一個の試験板を作ること(前号の試験板が胴の周継手又はドーム等の取付部と同一条件で溶接され、当該試験板について第五十一条から第五十四条までに規定する機械試験を行う場合を除く。)。

三 管寄せ等のように個数の多いものであって、板の厚さの差が六ミリメートル以内、直径の差が百五十ミリメートル以内で、かつ、同一材質のものを同一条件で引き続き溶接する場合には、長手溶接線六十メートル及びその端数ごとに一個の試験板を作ること。

(試験板)

第四十九条 試験板は、母材が適合する日本産業規格又はこれと同等と認められる規格と同一の規格の同一の種類に属し、かつ、同一の厚さを有する材料で作るものとし、溶接によって反りを生じないようにしなければならない。

2 溶接によって試験板に反りを生じた場合には、溶接後熱処理を行う前に整形しなければならない。

3 試験板は、本体の溶接部と同様に溶接後熱処理を行わなければならない。

(令元厚労告四八・一部改正)

(機械試験の種類等)

第五十条 試験板について行う機械試験の種類は、試験板の厚さに応じ、それぞれ次の各号に掲げるとおりとする。

一 厚さ十九ミリメートル未満の試験板 引張試験、表曲げ試験及び裏曲げ試験

二 厚さ十九ミリメートル以上の試験板 引張試験、裏曲げ試験(突合せ両側溶接が行われた試験板にあっては、表曲げ試験とすることができる。)及び側曲げ試験

2 機械試験における試験片は、日本産業規格B八二六五(圧力容器の構造―一般事項)の附属書十一又はこれと同等と認められる規格に定めるところにより採取し、その数は機械試験の種類ごとに一とする。

(令元厚労告四八・一部改正)

(引張試験)

第五十一条 引張試験の方法並びに引張試験片の形状及び寸法は、日本産業規格Z三一二一(突合せ溶接継手の引張試験方法)又はこれと同等と認められる規格に定めるところによらなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、試験片の厚さが厚いため引張試験ができない場合には、薄のこぎりでこれを試験可能な厚さに切り分けたものによって引張試験を行うことができる。この場合においては、切り分けた試験片の全部が引張試験に合格しなければならない。

(令元厚労告四八・一部改正)

(引張試験の合格基準)

第五十二条 引張試験は、試験片の引張強さが母材の常温における引張強さの最小値以上である場合に、これを合格とする。

2 前項の引張試験において、試験片が母材の部分で切れた場合には、その引張強さが母材の常温における引張強さの最小値の九十五パーセント以上で、かつ、溶接部に欠陥がないときは、当該引張試験に合格したものとみなす。

3 第一項の引張試験において、不合格の原因が母材の欠陥にある場合には、当該試験を無効とすることができる。

(曲げ試験)

第五十三条 表曲げ試験片、裏曲げ試験片及び側曲げ試験片の形状及び寸法並びに表曲げ試験、裏曲げ試験及び側曲げ試験の試験方法及び試験用ジグは、日本産業規格Z三一二二(突合せ溶接継手の曲げ試験方法)又はこれと同等と認められる規格に定めるところによらなければならない。

2 第五十一条第二項の規定は、曲げ試験について準用する。

(令元厚労告四八・一部改正)

(曲げ試験の合格基準)

第五十四条 曲げ試験は、試験片の溶接部の外側に長さ三ミリメートルを超える割れ(縁角に生ずる小さな割れを除く。)が生じない場合に、これを合格とする。

(再試験を行うことができる条件)

第五十五条 第五十二条又は前条の規定により機械試験に不合格となった場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、再試験を行うことができる。

一 引張試験において、試験成績が規定の九十パーセント以上のとき。

二 曲げ試験において、溶接部の不合格の原因が溶接部の欠陥以外にあると認められるとき。

(再試験の試験片及び合格基準)

第五十六条 再試験は、不合格となった試験片一個について、同一の試験板又はこれと同時に作成した試験板から採取した二個の試験片によって行い、この試験片が第五十二条又は第五十四条の規定によりともに機械試験に合格した場合に、これを合格とする。

2 試験板の大きさが前項の試験片を採取するのに十分でない場合には、不合格となった試験片を採取した試験板を作成したボイラー溶接士によって、新たに同一条件で試験板を作成することができる。

(放射線検査)

第五十七条 胴及び鏡板の長手継手、周継手等は、その全長について放射線検査を行い、その検査の結果は第五十九条に掲げる要件を具備しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するものについては、放射線検査を省略することができる。

一 長手継手の放射線検査に合格した胴の周継手であって、当該長手継手を溶接したボイラー溶接士が長手継手を溶接した方法と同一の方法で溶接を行ったもの

二 都道府県労働局長が放射線検査の必要がないと認めたもの

(余盛りの高さ)

第五十八条 放射線検査を行う継手の余盛りは、放射線検査を行うのに支障がないものとしなければならない。

2 裏当てを使用した突合せ片側溶接にあっては、裏当てが放射線検査の障害にならない限り、裏当てを残したまま放射線検査を行うことができる。

(放射線検査の方法及び合格基準)

第五十九条 放射線検査の方法及びその結果は、母材の種類に応じ、それぞれ次の各号に掲げるところによらなければならない。

一 鋼材(ステンレス鋼材を除く。) 日本産業規格Z三一〇四(鋼溶接継手の放射線透過試験方法)によって行い、第一種から第四種までのきずが当該日本産業規格に定める透過写真によるきずの像の分類方法により一類若しくは二類であること又はこれと同等と認められる方法によって行い、これと同等と認められる結果であること。

二 ステンレス鋼材 日本産業規格Z三一〇六(ステンレス鋼溶接継手の放射線透過試験方法)によって行い、第一種から第四種までのきずが当該日本産業規格に定める透過写真によるきずの像の分類方法により一類若しくは二類であること又はこれと同等と認められる方法によって行い、これと同等と認められる結果であること。

(令元厚労告四八・一部改正)

(放射線検査の再試験)

第六十条 放射線検査の結果が前条に掲げる要件を具備しない場合には、その原因となったきずの部分を完全に除去して再溶接し、その再溶接した部分について再び放射線検査を行い、その結果が同条に掲げる要件を具備しなければならない。この場合において、第五十七条ただし書の規定は適用しない。

第二節 水圧試験

第六十一条 ボイラーは、最高使用圧力の一・五倍の圧力(その値が〇・二メガパスカル未満のときは、〇・二メガパスカル)により水圧試験を行って異状のないものでなければならない。

2 最高使用圧力以上の圧力を受けるおそれのない温水ボイラーは、前項の規定にかかわらず、最高使用圧力に〇・一メガパスカルを加えた圧力(その値が〇・二メガパスカル未満のときは、〇・二メガパスカル)により水圧試験を行って異状のないものでなければならない。

3 次の各号に掲げるボイラーの部分は、それぞれ当該各号に掲げる圧力により水圧試験を行って異状のないものでなければならない。この場合において、第一号の水圧試験は、穴あけするものにあっては、穴あけ前に行うものとし、かつ、当該水圧試験圧力が前項に規定する圧力より小さい場合には、同項に規定する圧力によるものとする。

一 水管ボイラーの溶接部品 最高使用圧力の一・五倍の圧力

二 鋳鉄品の部分 最高使用圧力の二倍の圧力

4 前項第一号の水圧試験は、ボイラーの組立て後、溶接部について放射線検査又は超音波探傷試験が実施でき、かつ、当該溶接部の補修が可能である場合には、当該水圧試験を省略することができる。

第四章 附属品

第一節 安全弁、逃がし弁及び逃がし管

(安全弁)

第六十二条 蒸気ボイラーには、内部の圧力を最高使用圧力以下に保持することができる安全弁を二個以上備えなければならない。ただし、伝熱面積五十平方メートル以下の蒸気ボイラーにあっては、安全弁を一個とすることができる。

2 安全弁は、ボイラー本体の容易に検査できる位置に直接取り付け、かつ、弁軸を鉛直にしなければならない。

3 引火性蒸気を発生する蒸気ボイラーにあっては、安全弁を密閉式の構造とするか、又は安全弁からの排気をボイラー室外の安全な場所へ導くようにしなければならない。

(過熱器の安全弁)

第六十三条 過熱器には、過熱器の出口付近に過熱器の温度を設計温度以下に保持することができる安全弁を備えなければならない。

2 貫流ボイラーにあっては、前条第二項の規定にかかわらず、当該ボイラーの最大蒸発量以上の吹出し量の安全弁を過熱器の出口付近に取り付けることができる。

(銘板)

第六十四条 最高使用圧力が〇・一メガパスカルを超える蒸気ボイラーに備えるリフトが弁座口の径の十五分の一以上の揚程式安全弁及び全量式安全弁(次項において「揚程式安全弁等」という。)は、その材料及び構造が日本工業規格B八二一〇(蒸気用及びガス用ばね安全弁)に適合したもの又はこれと同等以上の機械的性質を有するものでなければならない。

2 揚程式安全弁等には、次の各号に掲げる事項を記載した銘板を見やすいところに取り付けなければならない。

一 製造者の名称又は商標

二 呼び径

三 設定圧力(単位 メガパスカル)

四 吹出し量(単位 キログラム毎時)

(温水ボイラーの逃がし弁又は安全弁)

第六十五条 水の温度が百二十度以下の温水ボイラーには、圧力が最高使用圧力に達すると直ちに作用し、かつ、内部の圧力を最高使用圧力以下に保持することができる逃がし弁を備えなければならない。ただし、水の温度が百二十度以下の温水ボイラーであって、容易に検査ができる位置に内部の圧力を最高使用圧力以下に保持することができる逃がし管を備えたものについては、この限りでない。

2 水の温度が百二十度を超える温水ボイラーには、内部の圧力を最高使用圧力以下に保持することができる安全弁を備えなければならない。

第二節 圧力計、水高計及び温度計

(圧力計)

第六十六条 蒸気ボイラーの蒸気部、水柱管又は水柱管に至る蒸気側連絡管には、次の各号に定めるところにより、圧力計を取り付けなければならない。

一 蒸気が直接圧力計に入らないようにすること。

二 コック又は弁の開閉状況を容易に知ることができること。

三 圧力計への連絡管は、容易に閉そくしない構造であること。

四 圧力計の目盛盤の最大指度は、最高使用圧力の一・五倍以上三倍以下の圧力を示す指度とすること。

五 圧力計の目盛盤の径は、目盛りを確実に確認できるものであること。

(温水ボイラーの水高計)

第六十七条 温水ボイラーには、次の各号に定めるところにより、ボイラー本体又は温水の出口付近に水高計を取り付けなければならない。ただし、水高計に代えて圧力計を取り付けることができる。

一 コック又は弁の開閉状況を容易に知ることができること。

二 水高計の目盛盤の最大指度は、最高使用圧力の一・五倍以上三倍以下の圧力を示す指度とすること。

(温度計)

第六十八条 蒸気ボイラーには、過熱器の出口付近における蒸気の温度を表示する温度計を取り付けなければならない。

2 温水ボイラーには、ボイラーの出口付近における温水の温度を表示する温度計を取り付けなければならない。

第三節 水面測定装置

(ガラス水面計)

第六十九条 蒸気ボイラー(貫流ボイラーを除く。)には、ボイラー本体又は水柱管に、ガラス水面計を二個以上取り付けなければならない。ただし、次の各号に掲げる蒸気ボイラーにあっては、そのうちの一個をガラス水面計でない水面測定装置とすることができる。

一 胴の内径が七百五十ミリメートル以下の蒸気ボイラー

二 遠隔指示水面測定装置を二個取り付けた蒸気ボイラー

2 ガラス水面計は、そのガラス管の最下部が蒸気ボイラーの使用中維持しなければならない最低の水面(以下「安全低水面」という。)を指示する位置に取り付けなければならない。

3 蒸気ボイラー用水面計のガラスは、日本産業規格B八二一一(ボイラー水面計ガラス)に適合したもの又はこれと同等以上の機械的性質を有するものでなければならない。

4 ガラス水面計は、随時、掃除及び点検を行うことができる構造としなければならない。

(令元厚労告四八・一部改正)

(水柱管)

第七十条 最高使用圧力一・六メガパスカルを超えるボイラーの水柱管は、鋳鉄製としてはならない。

2 水柱管は、容易に閉そくしない構造としなければならない。

(水柱管との連絡管)

第七十一条 水柱管とボイラーとを結ぶ連絡管は、容易に閉そくしない構造とし、かつ、水側連絡管及び水柱管は、容易に内部の掃除ができる構造としなければならない。

2 水側連絡管は、管の途中に中高又は中低のない構造とし、かつ、これを水柱管又はボイラーに取り付ける口は、水面計で見ることができる最低水位より上であってはならない。

3 蒸気側連絡管は、管の途中にドレンのたまる部分がない構造とし、かつ、これを水柱管及びボイラーに取り付ける口は、水面計で見ることができる最高水位より下であってはならない。

4 前三項の規定は、水面計に連絡管を取り付ける場合について準用する。

(験水コック)

第七十二条 ガラス水面計でない水面測定装置として験水コックを設ける場合には、ガラス水面計のガラス管取付位置と同等の高さの範囲において三個以上取り付けなければならない。ただし、胴の内径が七百五十ミリメートル以下で、かつ、伝熱面積が十平方メートル未満の蒸気ボイラーにあっては、その数を二個とすることができる。

2 験水コックは、その最下位のものを安全低水面の位置に取り付けなければならない。

3 験水コックと蒸気ボイラーを結ぶ管は、容易に閉そくしない構造としなければならない。

第四節 給水装置等

(給水装置)

第七十三条 蒸気ボイラーには、最大蒸発量以上を給水することができる給水装置を備えなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、蒸気ボイラーであって燃料の供給を遮断してもなおボイラーへの熱供給が続くもの及び第八十四条第二項に規定する低水位燃料遮断装置を有しない蒸気ボイラーにあっては、随時単独に最大蒸発量以上を給水することができる給水装置を二個備えなければならない。ただし、給水装置の一つが二個以上の給水ポンプを結合したものである場合には、他の給水装置の給水能力は、当該蒸気ボイラーの最大蒸発量の二十五パーセント以上で、かつ、当該二個以上の給水ポンプを結合した給水装置のうちの給水能力が最大である給水ポンプの給水能力以上とすることができる。

3 蒸気ボイラーであって燃料の供給を遮断してもなお当該ボイラーへの熱供給が続くものに備えられた給水装置は、それぞれ別の動力により運転できるものでなければならない。

(近接した二以上の蒸気ボイラーの特例)

第七十四条 近接した二以上の蒸気ボイラーを結合して使用する場合には、当該結合して使用する蒸気ボイラーを一の蒸気ボイラーとみなして前条の規定を適用する。

(給水弁と逆止め弁)

第七十五条 給水装置の給水管には、蒸気ボイラーに近接した位置に、給水弁及び逆止め弁を取り付けなければならない。ただし、貫流ボイラー及び最高使用圧力〇・一メガパスカル未満の蒸気ボイラーにあっては、給水弁のみとすることができる。

(給水内管)

第七十六条 給水内管は、取外しができる構造のものでなければならない。

第五節 蒸気止め弁及び吹出し装置

(蒸気止め弁)

第七十七条 蒸気止め弁は、当該蒸気止め弁を取り付ける蒸気ボイラーの最高使用圧力及び最高蒸気温度に耐えるものでなければならない。

2 ドレンがたまる位置に蒸気止め弁を設ける場合には、ドレン抜きを備えなければならない。

3 過熱器には、ドレン抜きを備えなければならない。

(吹出し管及び吹出し弁の大きさと数)

第七十八条 蒸気ボイラー(貫流ボイラーを除く。)には、スケールその他の沈殿物を排出することができる吹出し管であって吹出し弁又は吹出しコックを取り付けたものを備えなければならない。

2 最高使用圧力一メガパスカル以上の蒸気ボイラー(移動式ボイラーを除く。)の吹出し管には、吹出し弁を二個以上又は吹出し弁と吹出しコックをそれぞれ一個以上直列に取り付けなければならない。

3 二以上の蒸気ボイラーの吹出し管は、ボイラーごとにそれぞれ独立していなければならない。

(吹出し弁又は吹出しコックの構造)

第七十九条 吹出し弁又は吹出しコックは、見やすく、かつ、取扱いが容易な位置に取り付けなければならない。

2 吹出し弁は、スケールその他の沈殿物がたまらない構造とし、かつ、安全上必要な強度を有するものでなければならない。

第六節 手動ダンパ等

(手動ダンパ)

第八十条 手動ダンパの操作装置は、取扱いが容易な位置に設けなければならない。

(爆発戸)

第八十一条 ボイラーに設けられた爆発戸の位置がボイラー技士の作業場所から二メートル以内にあるときは、当該ボイラーに爆発ガスを安全な方向へ分散させる装置を設けなければならない。

2 微粉炭燃焼装置には、爆発戸を設けなければならない。

(燃焼室に設ける穴)

第八十二条 ボイラーの燃焼室には、掃除及び検査のため、内部に入ることのできる大きさのマンホールを設けなければならない。ただし、炉筒の直径が五百ミリメートル以下の炉筒ボイラーであって、その前部又は後部に掃除穴が設けられているもの及び燃焼室に入ることができる構造のボイラーについては、この限りでない。

(ボイラーの煙突)

第八十三条 ボイラーの煙突は、雨水の浸入によりボイラーに損傷が生ずるおそれのない構造でなければならない。ただし、雨水の浸入によりボイラーに損傷が生ずるおそれのない位置に設けられる煙突については、この限りでない。

第七節 自動制御装置

(自動給水調整装置等)

第八十四条 自動給水調整装置は、蒸気ボイラーごとに設けなければならない。

2 自動給水調整装置を有する蒸気ボイラー(貫流ボイラーを除く。)には、当該ボイラーごとに、起動時に水位が安全低水面以下である場合及び運転時に水位が安全低水面以下になった場合に、自動的に燃料の供給を遮断する装置(第四項及び第九十七条第一項において「低水位燃料遮断装置」という。)を設けなければならない。

3 貫流ボイラーには、当該ボイラーごとに、起動時にボイラー水が不足している場合及び運転時にボイラー水が不足した場合に、自動的に燃料の供給を遮断する装置又はこれに代わる安全装置を設けなければならない。

4 第二項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合には、低水位警報装置(水位が安全低水面以下の場合に、警報を発する装置をいう。)をもって低水位燃料遮断装置に代えることができる。

一 燃料の性質又は燃焼装置の構造により、緊急遮断が不可能なもの

二 ボイラーの使用条件によりボイラーの運転を緊急停止することが適さないもの

(燃焼安全装置)

第八十五条 ボイラーの燃焼装置には、異常消火又は燃焼用空気の異常な供給停止が起こったときに、自動的にこれを検出し、直ちに燃料の供給を遮断することができる装置(以下この条において「燃焼安全装置」という。)を設けなければならない。ただし、前条第四項各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

2 燃焼安全装置は、次の各号に定めるところによらなければならない。

一 作動用動力源が断たれた場合に直ちに燃料の供給を遮断するものであること。

二 作動用動力源が断たれている場合及び復帰した場合に自動的に遮断が解除されるものでないこと。

3 自動的に点火することができるボイラーに用いる燃焼安全装置は、故障その他の原因で点火することができない場合又は点火しても火炎を検出することができない場合には、燃料の供給を自動的に遮断するものであって、手動による操作をしない限り再起動できないものでなければならない。

4 燃焼安全装置に、燃焼に先立ち火炎検出機構の故障その他の原因による火炎の誤検出がある場合には、当該燃焼安全装置は燃焼を開始させない機能を有するものでなければならない。

第五章 雑則

(適用の特例)

第八十六条 第一章から前章までの規定に適合しないボイラーのうち、特殊な設計がなされたもの又は国際規格等に基づき製造されたものであって、都道府県労働局長が当該ボイラーの材料、構造、工作等から判断して当該規定に適合するボイラーと同等以上の安全性を有すると認めたものについては、当該規定に適合しているものとみなす。

(最高使用圧力の決定)

第八十七条 ボイラーの最高使用圧力は、貫流ボイラー以外のボイラーにあってはボイラー本体の最高使用圧力、貫流ボイラーにあっては蒸気取出口付近における最高使用圧力をもって表す。

2 ボイラー及び圧力容器安全規則(昭和四十七年労働省令第三十三号)に基づく検査を実施した者は、検査の際、ボイラーについて工作上の欠陥、材料の腐食等を認めた場合には、その程度を考慮して最高使用圧力を決定することができる。

第二編 鋳鉄製ボイラー

(鋳鉄製ボイラーの制限)

第八十八条 次の各号に掲げる蒸気ボイラー又は温水ボイラーは、鋳鉄製としてはならない。

一 圧力〇・一メガパスカルを超えて使用する蒸気ボイラー

二 圧力〇・五メガパスカル(日本産業規格B八二〇三(鋳鉄ボイラー構造)又はこれと同等と認められる規格に定めるところによって破壊試験を行い、当該試験の結果に基づき最高使用圧力を算定する場合にあっては、一メガパスカルまで)を超える温水ボイラー

三 温水温度百二十度を超える温水ボイラー

(令元厚労告四八・一部改正)

(主要材料)

第八十九条 鋳鉄製ボイラー(以下この編において「ボイラー」という。)の主要材料は、最高使用圧力及び使用温度に応じ、当該材料に及ぼす化学的影響及び物理的影響に対し、安全な化学的成分及び機械的性質を有するものでなければならない。

2 第一条第二項の規定は、前項の使用温度について準用する。

(ボイラーの構造)

第九十条 ボイラーの構造は、組合せ式としなければならない。

(セクションの肉厚)

第九十一条 セクションの肉厚は、最高使用圧力が〇・三メガパスカル以下のボイラーにあっては八ミリメートル以上、最高使用圧力が〇・三メガパスカルを超えるボイラーにあっては十ミリメートル以上としなければならない。ただし、セクションがステーによって補強される等特殊な構造のボイラーにあっては、この限りでない。

(検査穴)

第九十二条 ボイラーには、内部の検査を行うことができる大きさの検査穴を設けなければならない。

(水圧試験)

第九十三条 ボイラーは、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる圧力により水圧試験を行って異状のないものでなければならない。この場合において、第三号の水圧試験は、組合せ前に行うものとする。

一 蒸気ボイラー 〇・二メガパスカル

二 温水ボイラー 最高使用圧力の一・五倍の圧力(その値が〇・二メガパスカル未満であるものにあっては、〇・二メガパスカル)

三 セクション 最高使用圧力が〇・二メガパスカル以下のボイラーにあっては〇・四メガパスカル、最高使用圧力が〇・二メガパスカルを超えるボイラーにあっては最高使用圧力の二倍の圧力

(安全弁その他の安全装置)

第九十四条 蒸気ボイラーには、内部の圧力を最高使用圧力以下に保持することができる安全弁その他の安全装置を備えなければならない。

(逃がし弁及び逃がし管)

第九十五条 暖房用温水ボイラーには、圧力が最高使用圧力に達すると直ちに作用し、かつ、内部の圧力を最高使用圧力以下に保持することができる逃がし弁を備えなければならない。ただし、開放型膨張タンクに通ずる逃がし管であって、内部の圧力を最高使用圧力以下に保持することができるものを備えた暖房用温水ボイラーについては、この限りでない。

2 給湯用温水ボイラーには、圧力が最高使用圧力に達すると直ちに作用し、かつ、内部の圧力を最高使用圧力以下に保持することができる逃がし弁を備えなければならない。ただし、給水タンクの水面以上に立ち上げた逃がし管を備えた給湯用温水ボイラーについては、この限りでない。

(圧力計、水高計及び温度計)

第九十六条 蒸気ボイラーの蒸気部、水柱管又は水柱管に至る蒸気側連絡管には、圧力計を取り付けなければならない。

2 温水ボイラーには、ボイラーの本体又は温水の出口付近に水高計を取り付けなければならない。ただし、水高計に代えて圧力計を取り付けることができる。

3 第六十六条(第五号を除く。)の規定は蒸気ボイラーの圧力計について、第六十七条の規定は温水ボイラーの水高計について、第六十八条第二項の規定は温水ボイラーの温度計について準用する。

(ガラス水面計及び験水コック)

第九十七条 蒸気ボイラー(低水位燃料遮断装置又は自動水位制御装置を有するものであって、ガラス水面計に呼び径八A以上の直流形の排水弁又は排水コックを備えたものを除く。)には、ガラス水面計を二個以上備えなければならない。ただし、そのうちの一個は、ガラス水面計でない他の水面測定装置とすることができる。

2 第六十九条(第一項を除く。)の規定は、蒸気ボイラーのガラス水面計について準用する。

3 ガラス水面計でない他の水面測定装置として験水コックを設ける場合には、ガラス水面計のガラス管取付位置と同等の高さの範囲において二個以上取り付けなければならない。

4 第七十二条第二項の規定は、蒸気ボイラーの験水コックについて準用する。

(温水温度自動制御装置)

第九十八条 温水ボイラーで圧力が〇・三メガパスカルを超えるものには、温水温度が百二十度を超えないように温水温度自動制御装置を設けなければならない。

(吹出し管等)

第九十九条 蒸気ボイラーには、スケールその他の沈殿物を排出することができる吹出し管であって吹出し弁又は吹出しコックを取り付けたものを備えなければならない。

2 吹出し弁又は吹出しコックは、見やすく、かつ、取扱いが容易な位置に取り付けなければならない。

3 吹出し弁は、スケールその他の沈殿物がたまらない構造としなければならない。

(圧力を有する水源からの給水)

第百条 給水が水道その他圧力を有する水源から供給される場合には、当該水源に係る管を返り管に取り付けなければならない。

(準用)

第百一条 第八十六条及び第八十七条の規定は、鋳鉄製ボイラーについて準用する。

附 則

1 この告示は、公示の日から適用する。ただし、改正後のボイラー構造規格第十二条第二項、第四十八条及び第六十八条第一項の規定は、平成十五年六月一日から適用する。

2 この告示の適用の日において、現に製造しているボイラー又は現に存するボイラーの規格については、なお従前の例による。

3 前項の規定は、同項に規定するボイラー又はその部分がこの告示に適合するに至った後における当該ボイラー又はその部分については、適用しない。

附 則 (令和元年六月二八日厚生労働省告示第四八号) 抄

(適用期日)

1 この告示は、不正競争防止法等の一部を改正する法律の施行の日(令和元年七月一日)から適用する。