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○防毒マスクの規格

(平成二年九月二十六日)

(労働省告示第六十八号)

労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第四十二条の規定に基づき、防毒マスクの規格を次のように定める。

防毒マスクの規格

(適用範囲)

第一条 この告示に定める規格は、ガス若しくは蒸気又はこれらのものと混在する粉じんを吸入することにより人体に害を及ぼすおそれがある場所において使用する防毒マスクのうち、次の表の下欄に掲げる有害物質(これらのものと混在する粉じんを含む。)に対して使用する同表の上欄に掲げるものについて適用する。ただし、酸素濃度が一八パーセントに満たない場所又はガス若しくは蒸気の濃度が二パーセント(アンモニアにあっては、三パーセント)を超える場所において使用するものについては適用しない。

区分

有害物質

ハロゲンガス用防毒マスク

ハロゲンのガス又は蒸気

有機ガス用防毒マスク

有機化合物のガス又は蒸気

一酸化炭素用防毒マスク

一酸化炭素

アンモニア用防毒マスク

アンモニア

亜硫酸ガス用防毒マスク

亜硫酸ガス

(平一二労告八八・一部改正)

(防毒マスク等の種類)

第二条 防毒マスクは、次の表の下欄に掲げる形状及び使用の範囲により、それぞれ同表の上欄に掲げる種類に区分するものとする。

種類

形状及び使用の範囲

隔離式防毒マスク

吸収缶、連結管、吸気弁、面体、排気弁及びしめひもからなり、かつ、吸収缶によってガス又は蒸気をろ過した清浄空気を連結管を通して吸気弁から吸入し、呼気は排気弁から外気中に排出するものであって、ガス又は蒸気の濃度が二パーセント(アンモニアにあっては、三パーセント)以下の大気中で使用するもの

直結式防毒マスク

吸収缶、吸気弁、面体、排気弁及びしめひもからなり、かつ、吸収缶によってガス又は蒸気をろ過した清浄空気を吸気弁から吸入し、呼気は排気弁から外気中に排出するものであって、ガス又は蒸気の濃度が一パーセント(アンモニアにあっては、一・五パーセント)以下の大気中で使用するもの

直結式小型防毒マスク

吸収缶、吸気弁、面体、排気弁及びしめひもからなり、かつ、吸収缶によってガス又は蒸気をろ過した清浄空気を吸気弁から吸入し、呼気は排気弁から外気中に排出するものであって、ガス又は蒸気の濃度が〇・一パーセント以下の大気中で使用する非緊急用のもの

2 防毒マスクの面体は、次の表の下欄に掲げる形状により、それぞれ同表の上欄に掲げる種類に区分するものとする。

種類

形状

全面形

顔面全体を覆うもの

半面形

鼻及び口辺のみを覆うもの

3 防毒マスクは、防じん機能を有するものと有しないものに区分するものとし、防じん機能を有する防毒マスクにあっては、その性能によりS一、S二、S三、L一、L二及びL三に区分するものとする。

(平一二労告八八・一部改正)

(材料)

第三条 防毒マスクの各部に使用する材料は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。

一 顔面に密着する部分については、皮膚に障害を与えないものであること。

二 吸収缶の内面については、吸収剤に腐食されないもの又は吸収剤に腐食されないよう十分な防腐処理が施されているものであること。

三 ろ過材については、人体に障害を与えないものであること。

四 通常の取扱いにおいて、き裂、変形その他の異常を生じないものであること。

(平一二労告八八・一部改正)

(強度に係る試験)

第四条 防毒マスクの各部は、次の表の上欄に掲げる区分に応じて、同表の中欄に掲げる試験方法による試験を行った場合に、それぞれ同表の下欄に掲げる条件に適合するものでなければならない。

区分

試験方法

条件

 

(引張試験)

 

しめひも取付部分及びしめひも

しめひも取付部分及びしめひもごとに、全面形の面体を有する防毒マスクにあっては五〇ニュートン、半面形の面体を有する防毒マスクにあっては二五ニュートンの引張荷重をかけ、破断又は離脱の有無を調べる。

いずれも破断又は離脱しないこと。

 

(引張試験)

 

隔離式防毒マスクの連結管取付部分及び連結管

連結管取付部分及び連結管に、九八ニュートンの引張荷重をかけ、破断又は離脱の有無を調べる。

破断又は離脱しないこと。

(平八労告一・平一二労告八八・一部改正)

(構造)

第五条 防毒マスクの構造は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。

一 容易に破損しないものであること。

二 装着が簡単で、装着したときに、異常な圧迫感又は苦痛を与えないものであること。

三 死積が著しく大きいものでないこと。

四 着用者の視野を著しく妨げるものでないこと。

五 全面形の面体を有するものにあっては、呼気によりアイピースが曇らないものであること。

六 吸収缶、吸気弁、排気弁又はしめひもが取り替えられる構造のものにあっては、当該吸収缶、吸気弁、排気弁又はしめひもが容易に取り替えることができるものであること。

七 着用者自身がその顔面と面体との密着性の良否を随時容易に検査できるものであること。

(平一二労告八八・一部改正)

第六条 防毒マスクの各部の構造は、次の表の上欄に掲げる区分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる条件に適合するものでなければならない。

区分

条件

吸収缶

一 吸収剤がち密に、かつ、露出しないように詰められていること。

二 防じん機能を有する防毒マスクにあっては、粉じんを捕集するためのろ過材を具備していること。

吸気弁

微弱な呼吸に対して確実に、かつ、鋭敏に作動すること。

排気弁

一 微弱な呼吸に対して、弁及び弁座の乾湿の状態にかかわらず、確実に、かつ、鋭敏に作動すること。

二 内部と外部の圧力が平衡している場合に、面体の向きにかかわらず、閉鎖状態を保つこと。

三 外力による損傷が生じないように覆い等により保護されていること。

しめひも

適当な長さ及び弾力性を有し、かつ、長さを容易に調節することができること。

連結管

一 適度な伸縮性を有し、種々の状態に曲げても通気に支障が生じないこと。

二 あご、腕等による圧迫があった場合でも通気に支障が生じないこと。

三 首の運動に支障が生じないような長さであること。

(平一二労告八八・一部改正)

(性能に係る試験)

第七条 防毒マスク(吸収缶を除く。)の性能は、次の表の上欄に掲げる試験方法による試験を行った場合に、それぞれ同表の下欄に掲げる条件に適合するものでなければならない。

試験方法

条件

(気密試験)

 

隔離式防毒マスクにあっては面体と連結管とを連結した後排気弁及び連結管の他端を、直結式防毒マスク及び直結式小型防毒マスクにあっては排気弁及び面体の吸収缶連結部を、それぞれ密そく具でふさぎ、気密試験器に当該面体を装着し、その内部に九八〇パスカルに達するまでアンモニア含有空気を送気し、全体にフェノールフタレイン・アルコール水溶液でぬらした布をかけ、紅変の有無により漏気の有無を調べる。

漏気しないこと。

(吸気抵抗試験)

 

通気抵抗試験器に防毒マスク(吸収缶(吸気弁を備えた吸収缶については、吸気弁を含む。)を取り除いたもの)を装着し、通気抵抗試験器の吸気口から空気を毎分四〇リットルの流量で吸気した場合における防毒マスクの内外の圧力差を測定する。この場合において、連結管のある防毒マスクについては、当該連結管を一八〇度に曲げた場合について測定する。

圧力差が、隔離式防毒マスクにあっては七〇パスカル以下、直結式防毒マスク及び直結式小型防毒マスクにあっては五〇パスカル以下であること。

(排気抵抗試験)

 

通気抵抗試験器に防毒マスク(吸気口を密そく具でふさいだもの)を装着し、通気抵抗試験器の排気口から空気を毎分四〇リットルの流量で排気した場合における防毒マスクの内外の圧力差を測定する。

圧力差が八〇パスカル以下であること。

(排気弁の作動気密試験)

 

気密試験器に排気弁を装着し、空気を毎分一リットルの流量で吸引して排気弁の閉鎖による内部の減圧状態を調べ、次に内部の圧力を外部の圧力より一四七〇パスカル低下させて放置し、内部の圧力が常圧に戻るまでの時間を測定する。この場合において、気密試験器の内容積は、五〇立方センチメートルとする。

一 空気を吸引した場合に直ちに内部が減圧すること。

二 内部の圧力が常圧に戻るまでの時間が一五秒以上であること。

(二酸化炭素濃度上昇値試験)

 

摂氏二五度プラスマイナス五度の室内において、次の図に示す寸法の試験用人頭(以下「試験用人頭」という。)の顔面部に防毒マスクを装着した状態及び装着しない状態で、人工肺により一回当たり二・〇リットルプラスマイナス〇・一リットルの正弦波形の空気(呼気における空気にあっては、二酸化炭素の濃度が五・〇パーセントのものとする。)を毎分一五回、試験用人頭を通じて吸排気させながら、二酸化炭素濃度測定器により吸気における二酸化炭素の濃度(以下この表において「二酸化炭素濃度」という。)が一定となるまで測定する。

試験用人頭図(単位 ミリメートル)

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防毒マスクを装着した状態における二酸化炭素濃度と防毒マスクを装着しない状態における二酸化炭素濃度の差が、一・〇パーセント以下の値であること。

2 吸収缶の性能は、次の表の上欄に掲げる試験方法による試験を行った場合に、それぞれ同表の下欄に掲げる条件に適合するものでなければならない。

試験方法

条件

(気密試験)

 

吸収缶容器の接合部等が吸収缶と面体とが接続する側又は吸収缶の側面にあることが構造上確認できるものにあっては、吸収缶の内部に空気を一四七〇パスカルに達するまで送気し、漏気の有無を調べる。

漏気しないこと。

(通気抵抗試験)

 

通気抵抗試験器に吸収缶(吸気弁を備えた吸収缶については、吸気弁を含む。)を装着し、空気を毎分四〇リットルの流量で通じ、吸収缶の内外の圧力差を測定する。

圧力差が、当該吸収缶を使用する防毒マスクの種類及び防じん機能の有無に応じて、次の表に掲げる値以下であること。

 

 

 

 


マスクの種類

隔離式防毒マスク

直結式防毒マスク

直結式小型防毒マスク

 

区分


一酸化炭素用

防じん機能を有するもの

S一及びL一

三一〇

S二及びL二

三二〇

S三及びL三

四〇〇

防じん機能を有しないもの

二八〇

一酸化炭素用以外のもの

防じん機能を有するもの

S一及びL一

三一〇

二八〇

二八〇

S二及びL二

三二〇

二九〇

二九〇

S三及びL三

四〇〇

三七〇

三七〇

防じん機能を有しないもの

二五〇

二二〇

二二〇

備考 この表において、単位はパスカルとする。

 

 

 

(除毒能力試験)

 

次の表の上欄に掲げる吸収缶の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる試験ガス含有空気を毎分三〇リットルの流量で吸収缶の内部に通じ、試験ガスの濃度を次の各号のいずれかの方法により測定する。この場合において、試験温度は二〇度プラスマイナス二度、試験湿度は五〇パーセントプラスマイナス五パーセントとする。

一 ガス分析計による場合

吸収缶を通過した試験ガス含有空気をガス分析計に通じ、試験ガスの濃度を測定する。

二 ガス吸収法による場合

吸収缶を通過した試験ガス含有空気を、捕集液を入れた捕集管に通じ、当該試験ガス含有空気中の試験ガスを捕集して濃度を測定する。

次の表の上欄に掲げる吸収缶の種類に応じて、同表の中欄に掲げる濃度に達するまでの時間が、それぞれ同表の下欄に掲げる時間以上であること。ただし、一酸化炭素用の隔離式防毒マスク用の吸収缶にあっては、試験開始後五分間以内で、未反応又は未吸着による試験ガスの未吸収がある場合には、吸収缶を通過した試験ガスの濃度が一〇〇p・p・mを超えないこと。

 

 

 

 

種類

濃度(p・p・m)

時間(分)

 

ハロゲンガス用の隔離式防毒マスク用の吸収缶

六〇

ハロゲンガス用の直結式防毒マスク用の吸収缶

一五

 

 

 

 

種類

試験ガス含有空気

 

試験ガスの種類

濃度

ハロゲンガス用の直結式小型防毒マスク用の吸収缶

四〇

ハロゲンガス用の隔離式防毒マスク用の吸収缶

塩素

〇・五パーセント

有機ガス用の隔離式防毒マスク用の吸収缶

一〇〇

ハロゲンガス用の直結式防毒マスク用の吸収缶

塩素

〇・三パーセント

有機ガス用の直結式防毒マスク用の吸収缶

三〇

有機ガス用の直結式小型防毒マスク用の吸収缶

五〇

ハロゲンガス用の直結式小型防毒マスク用の吸収缶

塩素

〇・〇二パーセント

一酸化炭素用の隔離式防毒マスク用の吸収缶

五〇

一八〇

有機ガス用の隔離式防毒マスク用の吸収缶

シクロヘキサン

〇・五パーセント

アンモニア用の隔離式防毒マスク用の吸収缶

五〇

四〇

有機ガス用の直結式防毒マスク用の吸収缶

シクロヘキサン

〇・三パーセント

アンモニア用の直結式防毒マスク用の吸収缶

五〇

一〇

有機ガス用の直結式小型防毒マスク用の吸収缶

シクロヘキサン

〇・〇三パーセント

アンモニア用の直結式小型防毒マスク用の吸収缶

五〇

四〇

一酸化炭素用の隔離式防毒マスク用の吸収缶

一酸化炭素

一・〇パーセント

亜硫酸ガス用の隔離式防毒マスク用の吸収缶

五〇

アンモニア用の隔離式防毒マスク用の吸収缶

アンモニア

二・〇パーセント

亜硫酸ガス用の直結式防毒マスク用の吸収缶

一五

アンモニア用の直結式防毒マスク用の吸収缶

アンモニア

一・〇パーセント

亜硫酸ガス用の直結式小型防毒マスク用の吸収缶

三五

アンモニア用の直結式小型防毒マスク用の吸収缶

アンモニア

〇・一パーセント

備考 この表において、p・p・mとは百万分の一の容積比をいう。

亜硫酸ガス用の隔離式防毒マスク用の吸収缶

亜硫酸ガス

〇・五パーセント

 

 

 

 

亜硫酸ガス用の直結式防毒マスク用の吸収缶

亜硫酸ガス

〇・三パーセント

亜硫酸ガス用の直結式小型防毒マスク用の吸収缶

亜硫酸ガス

〇・〇三パーセント

 

 

 

(粒子捕集効率試験)

防じん機能を有する防毒マスクにあっては、次の各号に掲げる試験粒子の種類に応じて、試験粒子の濃度を測定し、次の式により粒子捕集効率を算定する。なお、粒径分布の中央値については、粒子数を基準にした中央値とする。

粒子捕集効率(パーセント)=((通過前の試験粒子の濃度(ミリグラム毎立方メートル)-通過後の試験粒子の濃度(ミリグラム毎立方メートル))/通過前の試験粒子の濃度(ミリグラム毎立方メートル))×100

 

一 試験粒子が塩化ナトリウムの場合

粒子捕集効率測定器に装着した吸収缶の内側へ、塩化ナトリウム含有空気(塩化ナトリウムの粒径分布の中央値が〇・〇六マイクロメートル以上〇・一マイクロメートル以下で、その幾何標準偏差が一・八以下であって、かつ、塩化ナトリウムの濃度が一立方メートル当たり五〇ミリグラム以下で、その変動がプラスマイナス一五パーセント以下のものをいう。以下同じ。)を毎分八五リットルの流量で通じ、吸収缶に供給される塩化ナトリウムが一〇〇ミリグラムに達するまでの経過において、吸収缶通過前及び通過後の塩化ナトリウムの濃度を散乱光方式による塩化ナトリウム濃度測定器により連続的に測定する。

一 試験粒子が塩化ナトリウムの場合

粒子捕集効率が、常に次の表の上欄に掲げる吸収缶の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値以上であること。

 

 

 

 

区分

粒子捕集効率(パーセント)

 

S一

八〇・〇

S二

九五・〇

S三

九九・九

 

 

 

 

二 試験粒子がフタル酸ジオクチルの場合

粒子捕集効率測定器に装着した吸収缶の内側へ、フタル酸ジオクチル含有空気(フタル酸ジオクチルのミストの粒径分布の中央値が〇・一五マイクロメートル以上〇・二五マイクロメートル以下で、その幾何標準偏差が一・六以下であって、かつ、フタル酸ジオクチルの濃度が一立方メートル当たり一〇〇ミリグラム以下で、その変動がプラスマイナス一五パーセント以下のものをいう。)を毎分八五リットルの流量で通じ、吸収缶に供給されるフタル酸ジオクチルが二〇〇ミリグラムに達するまでの経過において、吸収缶通過前及び通過後のフタル酸ジオクチルの濃度を散乱光方式によるフタル酸ジオクチル濃度測定器により連続的に測定する。

二 試験粒子がフタル酸ジオクチルの場合

粒子捕集効率が、常に次の表の上欄に掲げる吸収缶の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値以上であること。

 

 

 

 

区分

粒子捕集効率(パーセント)

 

L一

八〇・〇

L二

九五・〇

L三

九九・九