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○エレベーター構造規格

(平成五年八月二日)

(労働省告示第九十一号)

労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第三十七条第二項及び第四十二条の規定に基づき、エレベーター構造規格を次のように定める。

エレベーター構造規格

目次

第一章 構造部分

第一節 材料(第一条―第三条)

第二節 許容応力(第四条―第十条)

第三節 荷重(第十一条―第十三条)

第四節 強度(第十四条・第十五条)

第五節 昇降路等(第十六条―第二十三条)

第二章 機械部分

第一節 昇降装置等(第二十四条―第二十九条)

第二節 安全装置等(第三十条―第三十四条)

第三節 電気機器等(第三十五条・第三十六条)

第三章 加工(第三十七条―第三十九条)

第四章 ワイヤロープ及びチェーン(第四十条・第四十一条)

第五章 雑則(第四十二条・第四十三条)

附則

第一章 構造部分

第一節 材料

(材料)

第一条 エレベーター(労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号)第十二条第一項第六号に掲げるエレベーター及び同令第十三条第三項第十七号に掲げるエレベーターをいう。以下同じ。)の構造部分(エレベーターのうち、はしご、囲い、覆いその他人又は荷を昇降させるための支持部分以外の部分及び機械部分を除いた部分をいう。以下同じ。)の材料は、次に掲げる日本産業規格に適合した鋼材又はこれらと同等以上の化学成分及び機械的性質を有する鋼材でなければならない。ただし、支持はり、ガイドレール、控え及び土木、建築等の工事の作業に使用するエレベーター(以下「工事用エレベーター」という。)以外のエレベーター(以下「常設エレベーター」という。)の搬器の材料については、この限りでない。

一 日本産業規格G三一〇一(一般構造用圧延鋼材)に定めるSS三三〇又はSS四〇〇

二 日本産業規格G三一〇六(溶接構造用圧延鋼材)

三 日本産業規格G三一一四(溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材)

四 日本産業規格G三一三六(建築構造用圧延鋼材)

五 日本産業規格G三四四四(一般構造用炭素鋼鋼管)に定めるSTK四〇〇、STK四九〇又はSTK五四〇

六 日本産業規格G三四四五(機械構造用炭素鋼鋼管)に定める一三種、一八種、一九種又は二〇種

七 日本産業規格G三四六六(一般構造用角形鋼管)

2 前項の規定にかかわらず、厚生労働省労働基準局長が認めた場合には、構造部分(同項ただし書に規定するものを除く。)に同項に定める鋼材以外の鋼材、アルミニウム合金材等を使用することができる。

3 第一項の規定にかかわらず、工事用エレベーターの搬器の床材には、木材を使用することができる。

4 前項の規定により使用することができる木材は、強度上の著しい欠点となる割れ、虫食い、節、繊維の傾斜等がないものでなければならない。

(平一二労告一二〇・平一五厚労告八・平一五厚労告三九七・平三〇厚労告三三・令元厚労告四八・一部改正)

(鋼材に係る計算に使用する定数)

第二条 前条第一項本文の鋼材に係る計算に使用する定数は、次の表の上欄に掲げる定数の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値とする。

定数の種類

縦弾性係数(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

二〇六、〇〇〇

横弾性係数(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

七九、〇〇〇

ポアソン比

〇・三

線膨張係数

〇・〇〇〇〇一二

比重

七・八五

(支持はりの構造)

第三条 支持はりは、鉄骨造、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造のものでなければならない。

(平一五厚労告八・一部改正)

第二節 許容応力

(鋼材に係る許容応力の値)

第四条 第一条第一項本文の鋼材に係る計算に使用する許容引張応力の値、許容圧縮応力の値、許容曲げ応力の値、許容せん断応力の値及び許容支え圧応力の値は、それぞれ次の式により計算して得た値とする。

σta=σa

σca=(1/1.15)σa

σbat=σta

σbac=(1/1.15)σta

τ=(1/√3)σa

σda=1.42σa

( これらの式において、σta、σa、σca、σbat、σbac、τ及びσdaは、それぞれ次の値を表すものとする。

σta 許容引張応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

σa 鋼材に係る次に掲げる値のうちいずれか小さい値

イ 降伏点又は耐力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)の値を一・五で除して得た値

ロ 引張強さ(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)の値を一・八で除して得た値

σca 許容圧縮応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

σbat 引張応力の生ずる側における許容曲げ応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

σbac 圧縮応力の生ずる側における許容曲げ応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

τ 許容せん断応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

σda 許容支え圧応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル))

2 第一条第一項本文の鋼材に係る計算に使用する許容座屈応力の値は、次の式により計算して得た値とする。

λ<20の場合 σk=σca

20≦λ≦200の場合 σk=(1/ω)σca

( これらの式において、λ、σk、σca及びωは、それぞれ次の値を表すものとする。

λ 有効細長比

σk 許容座屈応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

σca 許容圧縮応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

ω 別表に定める座屈係数)

3 前二項の規定にかかわらず、支持はり、控え(ガイロープのものを除く。)及び常設エレベーターの搬器に使用する第一条第一項本文の鋼材に係る計算に使用する許容引張応力、許容圧縮応力及び許容曲げ応力の値は、当該材料の破壊強度の値をそれぞれ三・〇で除して得た値とすることができる。

(平一五厚労告八・一部改正)

(溶接部に係る許容応力の値)

第五条 第一条第一項本文の鋼材により構成されるエレベーターの構造部分(以下「構造部分」という。)の溶接部に係る計算に使用する許容引張応力、許容圧縮応力、許容曲げ応力及び許容せん断応力の値は、前条第一項の規定にかかわらず、同項に規定するそれぞれの値(溶接加工の方法がすみ肉溶接である場合には、許容せん断応力の値)に、次の表の上欄に掲げる溶接加工の方法及び同表の中欄に掲げる鋼材の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる係数を乗じて得た値とする。

溶接加工の方法

鋼材の種類

係数

許容引張応力に係るもの

許容圧縮応力に係るもの

許容曲げ応力に係るもの

許容せん断応力に係るもの

突合せ溶接

A

〇・八四〇

〇・九四五

〇・八四〇

〇・八四〇

B

〇・八〇〇

〇・九〇〇

〇・八〇〇

〇・八〇〇

すみ肉溶接

A

〇・八四〇

〇・八四〇

〇・八四〇

B

〇・八〇〇

〇・八〇〇

〇・八〇〇

備考 この表において、Aは日本産業規格G三一〇六(溶接構造用圧延鋼材)、日本産業規格G三一一四(溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材)、日本産業規格G三一三六(建築構造用圧延鋼材)に定めるSN四〇〇B、SN四〇〇C、SN四九〇B若しくはSN四九〇C、日本産業規格G三四四四(一般構造用炭素鋼鋼管)に定めるSTK四九〇、日本産業規格G三四四五(機械構造用炭素鋼鋼管)に定める一八種又は日本産業規格G三四六六(一般構造用角形鋼管)に定めるSTKR四九〇の規格に適合する鋼材を、Bはこれらの鋼材以外の鋼材を表すものとする。

2 前項の規定にかかわらず、放射線試験を行う場合において、構造部分の溶接部(溶接加工の方法が突合せ溶接である場合に限る。)が次に掲げるところに該当するときは、当該溶接部に係る計算に使用する許容引張応力、許容圧縮応力及び許容曲げ応力の値は、前条第一項に規定する値とすることができる。

一 日本工業規格Z三一〇四(鋼溶接部の放射線透過試験方法及び透過写真の等級分類方法)(以下この条において「規格」という。)に規定する第三種の欠陥がないこと。

二 規格に規定する第一種の欠陥又は第二種の欠陥のいずれかがある場合には、当該欠陥に係る規格に規定する欠陥点数が、それぞれ規格に規定する第一種の二級の許容限度を表す値又は第二種の二級の許容限度を表す値以下であること。

三 規格に規定する第一種の欠陥及び第二種の欠陥が混在する場合には、当該欠陥に係る規格に規定する欠陥点数が、それぞれ規格に規定する第一種の二級の許容限度を表す値及び第二種の二級の許容限度を表す値の二分の一以下であること。

3 前項の放射線試験は、次に定めるところによるものでなければならない。

一 規格に定めるところに従い構造部分の溶接部の全長の二十パーセント以上の長さについて行うこと。

二 構造部分の溶接部は、その余盛りが母材の表面と同一の面まで削られていること。ただし、余盛りの中央における高さが、次の表の上欄に掲げる母材の厚さに応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる高さ以下である場合には、この限りでない。

母材の厚さ(単位 ミリメートル)

高さ(単位 ミリメートル)

十二以下

一・五

十二を超え二十五以下

二・五

二十五を超えるもの

三・〇

(平一五厚労告八・令元厚労告四八・一部改正)

(許容応力の値の特例)

第六条 第一条第二項の規定により厚生労働省労働基準局長が使用することを認めた材料及び当該材料により構成される構造部分の溶接部に係る計算に使用する許容応力の値は、当該材料の化学成分及び機械的性質を考慮して厚生労働省労働基準局長が定めるものとする。

(平一二労告一二〇・一部改正)

(許容応力の値の低減)

第七条 第四条第一項及び第二項並びに第五条に規定する許容応力の値並びに前条の規定により厚生労働省労働基準局長が定める許容応力の値は、応力の値が垂直動荷重の位置若しくは大きさ又は水平動荷重の方向若しくは大きさにより変化する場合には、前三条(第四条第三項を除く。)の規定にかかわらず、最大応力の値と最小応力の値との比及び応力の値の変化の繰り返し数に応じて、減少させた値でなければならない。

(平一二労告一二〇・平一五厚労告八・一部改正)

(許容応力の値の割増し)

第八条 第四条第一項及び第二項並びに第五条に規定する許容応力の値並びに第六条の規定により厚生労働省労働基準局長が定める許容応力の値は、第十四条第一項第二号の荷重の組合せによる計算においては十五パーセントを、同項第三号又は第四号の荷重の組合せによる計算においては三十パーセントを限度として割増した値とすることができる。

(平一二労告一二〇・平一五厚労告八・一部改正)

(エレベーターの支持はり等の許容応力)

第九条 次の表の上欄に掲げるエレベーターの部分に使用する材料のうち、第一条第一項本文の鋼材以外の材料(同条第二項の規定により厚生労働省労働基準局長が使用することを認めた材料を除く。以下この条において単に「材料」という。)に係る計算に使用する許容引張応力、許容圧縮応力及び許容曲げ応力の値は、当該材料の破壊強度の値をそれぞれ同表の下欄に掲げる値で除して得た値とする。

エレベーターの部分

支持はり

鋼材の部分

三・〇

コンクリートの部分

七・〇

ガイドレール(鋼製のものを除く。)

三・〇

控え(ガイロープのものを除く。)

三・〇

常設エレベーターの搬器

三・〇

(平一五厚労告八・一部改正)

(木材に係る許容応力の値)

第十条 第一条第三項の搬器の床材に使用する木材に係る計算に使用する繊維方向の許容曲げ応力の値は、次の表の上欄に掲げる木材の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値とする。

木材の種類

許容曲げ応力の値(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

針葉樹

あかまつ、くろまつ及びべいまつ

九・五

からまつ、ひば、ひのき及びべいひ

九・〇

つが及びべいつが

八・五

もみ、えぞまつ、とどまつ、べにまつ、すぎ、べいすぎ及びスプルース

七・五

広葉樹

かし

十三・〇

くり、なら、ぶな及びけやき

十・〇

合板

ラワン

八・〇

アピトン及びカポール

十一・〇

(平一五厚労告八・一部改正)

第三節 荷重

(計算に使用する荷重の種類)

第十一条 構造部分に掛かる荷重のうち計算に使用する荷重は、次に掲げるとおりとする。

一 垂直動荷重

二 垂直静荷重

三 水平動荷重

四 風荷重

五 地震荷重

2 前項の規定にかかわらず、屋外に設置されるエレベーター以外のエレベーターについては、同項第四号に掲げる荷重を構造部分に掛かる荷重としないことができる。

(風荷重)

第十二条 前条第一項第四号の風荷重の値は、次の式により計算して得た値とする。

W=qCA

( この式において、W、q、C及びAは、それぞれ次の値を表すものとする。

W 風荷重(単位 ニュートン)

q 速度圧(単位 ニュートン毎平方メートル)

C 風力係数

A 受圧面積(単位 平方メートル))

2 前項の速度圧の値は、次の表の上欄に掲げる風の状態に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる式により計算して得た値とする。

風の状態

暴風時

4004√h

暴風時以外

834√h

備考 この表において、hは、エレベーターの風を受ける面の地上からの高さ(単位 メートル)(高さが十五メートル未満の場合には、十五)を表すものとする。

3 第一項の風力係数は、エレベーターの風を受ける面に関して風洞試験を行って得た値又は次の表の上欄に掲げるエレベーターの風を受ける面の区分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値とする。

エレベーターの風を受ける面の区分

平面トラス(鋼管製の平面トラスを除く。)により構成される面

W1が〇・一未満のもの

二・〇

W1が〇・一以上〇・三未満のもの

一・八

W1が〇・三以上〇・九未満のもの

一・六

W1が〇・九以上のもの

二・〇

平板により構成される面

一・二

円筒の面及び鋼管製の平面トラスにより構成される面

W2が三・〇未満のもの

一・二

W2が三・〇以上のもの

〇・七

備考 この表においてW1及びW2は、それぞれ次の値を表すものとする。

W1 充実率(エレベーターの風を受ける面の見付面積を当該風を受ける面の面積で除して得た値)

W2 円筒又は鋼管の外径(単位 メートル)に前項に規定する速度圧の値(単位 ニュートン毎平方メートル)の平方根を乗じて得た値

4 第一項の受圧面積は、エレベーターの風を受ける面の風の方向に直角な面に対する投影面積(以下この項において単に「投影面積」という。)とする。この場合において、エレベーターの風を受ける面が風の方向に対して二面以上重なっているときは、次に定めるところによる。

一 風を受ける面が二面重なっているとき 風の方向に対して第一の面となる面の投影面積に、風の方向に対して第二の面となる面のうち第一の面と重なっている部分の投影面積の六十パーセントの面積及び風の方向に対して第二の面となる面のうち第一の面と重なっていない部分の投影面積を加えた面積

二 風を受ける面が三面以上重なっているとき 前号に定めるところにより得た面積に、風の方向に対して第三以降の面のうち風の方向に対して前方にある面と重なっている部分の投影面積の五十パーセントの面積及び風の方向に対して第三以降の面のうち風の方向に対して前方にある面と重なっていない部分の投影面積を加えた面積

(地震荷重)

第十三条 第十一条第一項第五号の地震荷重の値は、垂直動荷重及び垂直静荷重のそれぞれ二十パーセントに相当する荷重がエレベーターに対し水平方向に作用するものとして計算して得た値とする。

第四節 強度

(強度計算に係る荷重の組合せ)

第十四条 構造部分を構成する部材の断面に生ずる応力の値は、次に掲げる荷重の組合せによる計算において、第二節に規定する許容応力の値を超えてはならない。

一 静荷重係数を乗じた垂直静荷重及び動荷重係数を乗じた垂直動荷重の組合せ

二 静荷重係数を乗じた垂直静荷重、動荷重係数を乗じた垂直動荷重、水平動荷重及び暴風時以外のときの風荷重の組合せ

三 垂直静荷重、垂直動荷重(人及び荷の荷重を除く。)及び暴風時の風荷重の組合せ

四 垂直静荷重、垂直動荷重(人及び荷の荷重を除く。)及び地震荷重の組合せ

2 前項の応力の値は、同項各号に掲げる荷重の組合せにおいて、当該構造部分の強度に関し最も不利となる場合におけるそれぞれの荷重によって計算するものとする。

3 第一項第一号及び第二号の静荷重係数及び動荷重係数は、常設エレベーターにあってはそれぞれエレベーターの種類、荷重率、運転時間率、定格速度、衝撃及び構造部分の形状に応ずる値とし、工事用エレベーターにあってはそれぞれ一・一以上及び一・二五以上とする。

(平一五厚労告八・一部改正)

(剛性の保持)

第十五条 構造部分は、当該エレベーターの使用に支障となる変形が生じないように剛性が保持されているものでなければならない。

第五節 昇降路等

(昇降路の構造)

第十六条 工事用エレベーターであって、搬器として長さ三メートル以上の荷台を使用し、定格速度が〇・一七メートル毎秒以下のもの(以下「ロングスパン工事用エレベーター」という。)以外のエレベーターには、次に定めるところにより、昇降路を設けなければならない。

一 出入口(非常口を含む。次号において同じ。)の部分及び人が近づくおそれのない部分を除き、壁又は囲いが設けられていること。

二 出入口に戸が設けられていること。

三 同一階における出入口が二以上設けられている場合には、一の搬器につき同時に二以上の出入口の戸が開かない構造のものであること。

四 搬器が停止する最上階にこれが停止したときの搬器(一の昇降路内に二の搬器を有するエレベーター(以下「ダブルデッキエレベーター」という。)にあっては、上部の搬器)の枠の上端から昇降路の頂部にある床又ははりの下端までの垂直距離(以下「頂部すき間」という。)及び搬器が停止する最下階の床面から昇降路の底部の床面までの垂直距離(以下「ピットの深さ」という。)は、第三十条第一項第六号及び第七号(同条第六項又は第七項の規定により同条第一項第六号に掲げる装置を備えないエレベーターにあっては、同項第七号)に掲げる装置が確実に作動するのに十分なものであること。

五 運転のために必要でないワイヤロープ、配線、パイプ等が内部に設けられていないこと。

2 前項第一号の壁又は囲い及び第二号の出入口の戸は、難燃材料で造り、又は覆ったものでなければならない。

(平一一労告一二三・平一五厚労告八・一部改正)

(昇降路塔等の構造)

第十七条 昇降路塔又はガイドレール支持塔は、次に定めるところによるものでなければならない。

一 建設物に固定され、又は控えを用いて支持されていること。

二 基礎は、不同沈下によるひずみを生じないようなものであること。

三 ピット(地上に設けられるものを除く。)は、周囲が堅固に土止めされたものであること。

四 はしごが頂部まで設けられていること。ただし、容易に点検、修理等を行うことができる場合は、この限りでない。

(平一五厚労告八・一部改正)

(昇降路塔等の控え)

第十八条 昇降路塔又はガイドレール支持塔の控えは、次に定めるところによるものでなければならない。

一 架空電路に近接していないこと。

二 控えのうちガイロープにあっては、次に定めるところによること。

イ クリップ、ターンバックル、シンブル等の金具を用いて緊張されていること。

ロ ガイロープ用アンカ又はこれと同等以上に堅固な固定物に確実に取り付けられていること。

ハ シャックル、シンブル等の金具を用いて昇降路塔又はガイドレール支持塔と緊結されていること。

ニ イの場合においてターンバックルが用いられているときは、より戻りを防止するための措置が講じられていること。

(昇降路塔等のはしご)

第十九条 昇降路塔又はガイドレール支持塔に設けられるはしごは、次に定めるところによるものでなければならない。

一 踏さんは、二十五センチメートル以上三十五センチメートル以下の間隔で、かつ、等間隔に設けられていること。

二 踏さんと直近の固定物との間の水平距離は、十五センチメートル以上であること。

三 側木を有しない部分にあっては、踏さんは、足が横にすべり出ないようになっていること。

(ガイドレール)

第二十条 ガイドレールは、取付金具により昇降路又はガイドレール支持塔に確実に取り付けられており、かつ、第三十条第一項第六号の装置が作動した場合においても安全な構造のものでなければならない。

(搬器)

第二十一条 搬器は、次に定めるところによるものでなければならない。ただし、工事用エレベーターの搬器にあっては第二号の規定並びに自動車運搬用エレベーターであって、車止めを設ける等の墜落による危険を防止するための措置が講じられているものについては第四号及び第六号の規定は、適用しない。

一 搬器内の人又は物による衝撃に対し堅固なものであること。

二 構造上軽微な部分を除き、難燃材料で造り、又は覆ったものであること。

三 出入口の部分を除き、壁又は囲いが設けられていること。

四 出入口に戸が設けられていること。

五 非常の場合において搬器内の人を安全に搬器外に救出することができる措置が講じられていること。

六 出入口が二以上設けられている場合には、同時に二以上の出入口の戸が開かない構造のものであること。

2 前項の規定にかかわらず、ロングスパン工事用エレベーターの搬器は、次に定めるところによるものでなければならない。

一 搬器内の人又は物による衝撃に対し堅固なものであること。

二 運転者等が搭乗する部分(以下「搭乗席」という。)の周囲に高さ一・八メートル以上の囲いが設けられていること。ただし、搬器上の搭乗席以外の部分と接する部分については、当該囲い以外の遮断するための設備(以下「遮断設備」という。)とすることができる。

三 搭乗席には、落下物による危害を防止するための堅固なヘッドガードが設けられていること。

四 周囲(搭乗席の周囲を除く。)に、高さ九十センチメートル以上の堅固な手すりが設けられ、かつ、当該手すりには中さん及びはば木が取り付けられていること。

(平一五厚労告八・一部改正)

(積載荷重)

第二十二条 積載荷重の値は、次の表の上欄に掲げる搬器の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値以上でなければならない。ただし、工事用エレベーター(ロングスパン工事用エレベーターを除く。)であって、積載荷重を超える荷重の人又は荷を積載した場合に積載された人又は荷の荷重を検出することにより搬器を昇降させることができない装置を備えたものについては、積載荷重の値は、床面積一平方メートルにつき二百五十キログラムとして計算を行って得た値以上とすることができる。

搬器の種類

積載荷重の値(単位 キログラム)

常設エレベーターのうち、荷物用エレベーター及び寝台用エレベーターを除いたもの(以下「乗用エレベーター」という。)又は工事用エレベーター(ロングスパン工事用エレベーターを除く。)の搬器

床面積が一・五平方メートル以下のもの

床面積一平方メートルにつき三百七十として計算を行って得た値

床面積が一・五平方メートルを超え三平方メートル以下のもの

床面積の一・五平方メートルを超える面積に対して一平方メートルにつき五百として計算を行って得た値に五百五十を加えた値

床面積が三平方メートルを超えるもの

床面積の三平方メートルを超える面積に対して一平方メートルにつき六百として計算を行って得た値に一千三百を加えた値

ロングスパン工事用エレベーターの搬器

搭乗席の床面積一平方メートルにつき二百六十として計算を行って得た値に搭乗席以外の部分の床面積一平方メートルにつき百として計算を行って得た値を加えた値

荷物用エレベーター又は寝台用エレベーターの搬器

床面積一平方メートルにつき二百五十(自動車運搬用エレベーターにあっては、百五十)として計算を行って得た値

(平一五厚労告八・一部改正)

(床先の間隔)

第二十三条 昇降路の出入口の床先と搬器の出入口の床先との間隔は、四センチメートル以下でなければならない。ただし、工事用エレベーターについては、安全上支障がない場合には、この限りでない。

2 昇降路壁と搬器の出入口の床先との間隔は、十二・五センチメートル以下でなければならない。ただし、安全上支障がない場合には、この限りでない。

(平一五厚労告八・一部改正)

第二章 機械部分

第一節 昇降装置等

第二十四条 削除

(平一五厚労告八)

(部品の強度)

第二十五条 昇降装置のドラム、シャフト、ピン等昇降装置の機能に影響を与える部品は、十分な強度を有し、かつ、昇降装置の作動に支障となる摩耗、変形、割れ等がないものでなければならない。

(ブレーキ)

第二十六条 エレベーターの昇降装置は、搬器の昇降の作動を制動するためのブレーキを備えるものでなければならない。ただし、油圧のモーターにより駆動される方式のエレベーター以外の油圧を動力とするエレベーター(以下「油圧エレベーター」という。)の昇降装置については、この限りでない。

2 前項のブレーキは、次に定めるところによるものでなければならない。

一 制動トルクの値は、積載荷重に相当する荷重の荷を載せたときにおける当該エレベーターの昇降装置のトルクの値(当該トルクの値が二以上ある場合にあっては、それらの値のうち最大の値)に、次の表の上欄に掲げるエレベーターの区分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値を乗じて得た値以上であること。

エレベーターの区分

カウンターウェイトを用いる方式のエレベーター

一・二

カウンターウェイトを用いる方式以外のエレベーター

一・五

二 動力が遮断された場合に自動的に作動するものであること。

3 前項第一号の昇降装置のトルクの値は、昇降装置の抵抗がないものとして計算するものとする。ただし、当該昇降装置に七十五パーセント以下の効率のウォーム・ウォーム歯車機構が用いられている場合には、当該歯車機構の抵抗により生ずるトルクの値の二分の一のトルクに相当する抵抗があるものとして計算することができる。

(平一五厚労告八・一部改正)

(ドラム等の直径)

第二十七条 巻上機のドラムのピッチ円の直径と当該ドラムに巻き込まれる巻上用ワイヤロープの直径との比の値及び巻上用ワイヤロープが通っているシーブのピッチ円の直径と当該シーブを通る巻上用ワイヤロープの直径との比の値は、それぞれ四十以上でなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合には、シーブのピッチ円と当該シーブを通る巻上用ワイヤロープの直径との比の値は、三十六以上とすることができる。

一 巻上用ワイヤロープのシーブに接する長さが当該シーブの周の長さの四分の一以下である場合

二 次のいずれにも該当する場合

イ 揚程が十三メートル以下である場合

ロ 定格速度が〇・七五メートル毎秒以下である場合

ハ 積載荷重の値が三百二十キログラム以下である場合

(平一五厚労告八・一部改正)

(巻上用ワイヤロープのドラムへの巻込み)

第二十八条 巻上機の溝付きドラムの溝に巻上用ワイヤロープが巻き込まれる方向と当該溝に巻き込まれるときの当該巻上用ワイヤロープの方向との角度は、四度以内でなければならない。

2 巻上機の溝付きドラム以外のドラムに係るフリートアングルの値は、二度以内でなければならない。

(巻上用ワイヤロープとドラム等との緊結等)

第二十九条 巻上用ワイヤロープと搬器、カウンターウェイト等との連結は、一本ごとに合金詰めソケット止め又はコッタ止めにより緊結することにより行わなければならない。ただし、巻胴式エレベーターの巻上用ワイヤロープと巻上機のドラムとの連結は、一本ごとにクランプ止めにより緊結することにより行うことができる。

2 前項の規定にかかわらず、工事用エレベーターの巻上用ワイヤロープと搬器、カウンターウェイト等との連結は、一本ごとにクランプ止め又は圧縮止めにより緊結することにより行うことができる。

3 巻上用チェーンと搬器等との連結は、一本ごとに鋼製留金具により緊結することにより行わなければならない。

第二節 安全装置等

(安全装置)

第三十条 エレベーターは、次の各号に掲げる安全装置を備えるものでなければならない。

一 搬器及び昇降路の全ての出入口の戸が閉じていない場合には、搬器を昇降させることができない装置

二 搬器が昇降路の出入口の戸の位置に停止していない場合には、かぎを用いなければ外から当該出入口の戸を開くことができない装置

三 操縦装置を操作する者が操作をやめた場合には、操縦装置が搬器を停止させる状態に自動的に復する装置

四 搬器内及び搬器上で動力を遮断することができる装置

五 搬器の速度が定格速度に相当する速度の一・三倍(定格速度が〇・七五メートル毎秒以下のエレベーターにあっては、一・〇五メートル毎秒)を超えないうちに動力を自動的に遮断する装置

六 搬器の降下する速度が前号に掲げる装置が作動すべき速度を超えた場合(定格速度が〇・七五メートル毎秒以下のエレベーターにあっては、搬器の降下する速度が同号に掲げる装置が作動すべき速度に達し、又はこれを超えた場合)には、速度が定格速度に相当する速度の一・四倍(定格速度が〇・七五メートル毎秒以下のエレベーターにあっては、一・一四メートル毎秒)を超えないうちに搬器の降下を自動的に制止する装置

七 搬器が昇降路の頂部にある床若しくははり又は底部に衝突することを防止するため、搬器の昇降を自動的に制御し、及び制止する装置

八 搬器又はカウンターウェイトが、第六号に掲げる装置が作動すべき速度で昇降路の底部に衝突した場合においても搬器内の人が安全であるように衝撃を緩和する装置

九 昇降装置又は電気機器等に故障が生じ、昇降路の出入口の戸の位置に停止している搬器が当該位置から著しく移動した場合又は搬器及び昇降路の全ての出入口の戸が閉じる前に搬器が昇降した場合に、搬器の移動又は昇降を自動的に制止する装置

十 地震その他の衝撃によりエレベーターが設置された建築物等の基礎に鉛直方向又は水平方向に生じた〇・一メートル毎秒毎秒以上三・〇メートル毎秒毎秒以下の加速度を検知し、自動的に、搬器を昇降路の出入口の戸の位置に停止させ、かつ、当該搬器の出入口の戸及び昇降路の出入口の戸を開き、又は搬器内の人がこれらの戸を開くことができることとする装置

十一 巻胴式エレベーターにあっては、巻上用ワイヤロープが緩んだ場合において、動力を自動的に遮断する装置

十二 ダブルデッキエレベーターにあっては、二の搬器を外枠(当該二の搬器を支持する一の枠をいう。)に固定することができる装置

十三 頂部隙間を一・二メートル未満とするエレベーターにあっては、搬器(ダブルデッキエレベーターにあっては、上部の搬器。以下この号において同じ。)上で作業を行う場合において、当該搬器の天井部から昇降路頂部にある床又ははりの下端までの垂直距離が一・二メートル未満となることを防止する装置

十四 ピットの深さを一・二メートル未満とするエレベーターにあっては、ピットの内部で作業を行う場合において、搬器(ダブルデッキエレベーターにあっては、下部の搬器)の底部から昇降路底部にある床までの垂直距離が一・二メートル未満となることを防止する装置

2 前項の規定にかかわらず、工事用エレベーターは、安全上支障がない場合には、同項第一号、第九号、第十号及び第十一号に掲げる装置を備えないことができる。

3 第一項の規定にかかわらず、ロングスパン工事用エレベーターは、同項第二号及び第五号に掲げる装置を備えないことができる。

4 第一項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当するエレベーターは、同項第四号に掲げる装置のうち、搬器上で動力を遮断することができる装置を備えないことができる。

一 揚程が十メートル以下のものであること。

二 搬器の天井がないものであること。

5 第一項の規定にかかわらず、直接式油圧エレベーター(搬器を油圧のジャッキで直接支えて昇降させるエレベーターをいう。)及び間接式油圧エレベーター(搬器を油圧のジャッキ及びワイヤロープ又はチェーンの組合せにより昇降させるエレベーターをいう。以下同じ。)にあっては、同項第五号から第八号までに掲げる装置を備えないことができる。

6 第一項の規定にかかわらず、次の各号に該当するエレベーターは、同項第五号、第六号及び第八号に掲げる装置を備えないことができる。

一 揚程が五メートル以下のものであること。

二 定格速度が〇・二五メートル毎秒以下のものであること。

三 搬器の床面積が一・五平方メートル以下のものであること。

四 巻上用ワイヤロープ又は巻上用チェーンが切れた場合において搬器の降下を自動的に制止する装置を備えているものであること。

7 第一項の規定にかかわらず、次の各号に該当するエレベーターは、同項第六号に掲げる装置を備えないことができる。

一 揚程が十三メートル以下のものであること。

二 定格速度が〇・七五メートル毎秒以下のものであること。

三 積載荷重の値が三百二十キログラム以下のものであること。

四 巻上用ワイヤロープ又は巻上用チェーンが切れた場合において搬器の降下を自動的に制止する装置を備えているものであること。

8 第一項の規定にかかわらず、工作物に設置されるラック式エレベーター(搬器側に、ガイドレールに沿って昇降路に固定されたラックギヤに噛み合って回転するピニオンギヤを設け、ピニオンギヤを回転させることにより搬器を昇降させる方式のエレベーターをいう。以下同じ。)は、安全上支障がない場合には、同項第九号に掲げる装置を備えないことができる。

9 第一項の規定にかかわらず、荷物用の常設エレベーターは、安全上支障がない場合には、同項第九号及び第十号に掲げる装置を備えないことができる。

10 第一項の規定にかかわらず、揚程が七メートル以下の乗用エレベーター及び寝台用エレベーター並びに工作物に設置されるラック式エレベーターは、同項第十号に掲げる装置を備えないことができる。

(平一一労告一二三・平一五厚労告八・平二三厚労告四一七・一部改正)

(油圧エレベーター等の安全装置)

第三十一条 油圧エレベーターは、前条に定めるもののほか、次の各号に掲げる安全装置を備えるものでなければならない。

一 バルブ、シリンダー等からの水又は油の漏えいによる搬器の降下を防止する装置

二 油圧の過度の上昇を防止する装置

三 プランジャーがシリンダーから離脱することを防止する装置

四 油温を摂氏五度以上摂氏六十度以下に保つための装置

五 動力が遮断された場合において、油が逆流することによる搬器の降下を自動的に制止する装置

六 間接式油圧エレベーターにあっては、次のイからニまでに掲げる装置

イ 巻上用ワイヤロープ又は巻上用チェーンが緩んだ場合において、動力を自動的に遮断する装置

ロ 巻上用ワイヤロープ又は巻上用チェーンが伸びた場合において、プランジャーの行き過ぎを防止する装置。ただし、プランジャーの余裕ストロークにより安全上支障がない場合には、この限りでない。

ハ 搬器の降下する速度が、定格速度に相当する速度の一・四倍(定格速度が〇・七五メートル毎秒以下のエレベーターにあっては、一・一四メートル毎秒)を超えないうちに搬器の降下を自動的に制止する装置。ただし、定格速度が〇・七五メートル毎秒以下のものについては、巻上用ワイヤロープ又は巻上用チェーンが緩んだ場合において、搬器の降下を自動的に制止する装置とすることができる。

ニ 搬器が、昇降路の底部に衝突した場合においても搬器内の人が安全であるように衝撃を緩和する装置

2 油圧のモーターにより駆動される方式のエレベーターは、前条に定めるもののほか、前項第一号、第二号及び第四号に掲げる安全装置を備えるものでなければならない。

(平一一労告一二三・平一五厚労告八・一部改正)

(ロングスパン工事用エレベーターの安全装置)

第三十二条 ロングスパン工事用エレベーターは、前二条に定めるもののほか、次の各号に掲げる安全装置を備えるものでなければならない。ただし、安全上支障がない場合には、第一号に掲げる装置を備えないことができる。

一 搬器の昇降を知らせるための警報装置

二 搬器の傾きを容易に矯正できる装置

三 搬器の傾きが十分の一のこう配を超えないうちに動力を自動的に遮断する装置

四 遮断設備が設けられているものにあっては、遮断設備が閉じていない場合には、搬器を昇降させることができない装置

五 走行式のものにあっては、搬器を最下部に下げた状態でなければ走行させることができない装置

(非常止め装置等)

第三十三条 第三十条第一項第六号に掲げる装置は、次第ぎき非常止め装置でなければならない。ただし、定格速度が〇・七五メートル毎秒以下のエレベーターにあっては、早ぎき非常止め装置とすることができる。

2 第三十条第一項第七号に掲げる装置は、次に定めるところによるものでなければならない。

一 容易に調整及び点検を行うことができる構造のものであること。

二 電気式のものにあっては、次に該当するものであること。

イ 接点、端子、巻線その他電気を通ずる部分(以下この号において「通電部分」という。)の外被は、鋼板その他堅ろうなものであり、かつ、水又は粉じんの侵入により機能に障害を生ずるおそれのない構造のものであること。

ロ 接点が開放されることにより行き過ぎが防止される構造のものであること。

ハ 通電部分と通電部分の外被との間の絶縁効力が、耐電圧試験において、日本工業規格C八二〇一―四―一(低圧開閉装置及び制御装置―第四部:接触器及びモータスタータ―第一節:電気機械式接触器及びモータスタータ)に定める基準に適合するものであること。

ニ 通電部分の外被の見やすい箇所に、定格電圧及び定格電流を表示した銘板が取り付けられていること。

(平一五厚労告八・平三〇厚労告三三・一部改正)

(連絡装置)

第三十四条 エレベーターは、停電等の非常の場合において、搬器内から搬器外に連絡することができる装置を備えるものでなければならない。ただし、荷物用エレベーター又は工事用エレベーターについては、安全上支障がない場合には、この限りでない。

第三節 電気機器等

(電磁接触器等)

第三十五条 電磁接触器等の操作回路であって、接地した場合に電磁接触器等が閉路されるおそれがあるものは、次に定めるところにより電路に接続されていなければならない。

一 コイルの一端を接地側の電線に接続すること。

二 コイルと接地側の電線との間に開閉器がないこと。

(ケーブル)

第三十六条 運転用の回路と非常信号用の回路又は電話用の回路とは、同一のケーブルに収められているものであってはならない。

第三章 加工

(溶接)

第三十七条 構造部分に使用する鋼材を溶接する場合には、次に定めるところにより行わなければならない。

一 アーク溶接によること。

二 日本工業規格Z三二一一(軟鋼用被覆アーク溶接棒)に適合した溶接棒又はこれと同等以上の性能を有する溶接棒を用いること。

三 母材を予熱する場合を除き、溶接を行う場所における気温が零度以下でないこと。

2 構造部分のうちリベット締めを行った部分については、溶接を行ってはならない。

3 構造部分の溶接部は、溶込みが十分で、かつ、割れ又はアンダーカット、オーバーラップ、クレータ等で有害なものがあってはならない。

(穴あけ)

第三十八条 構造部分のリベット穴及びボルト穴は、かえり及び割れが生じない方法によってあけられていなければならない。

(平一五厚労告八・平三〇厚労告三三・一部改正)

(緩み止め等)

第三十九条 ボルト、ナット、ねじ等には、緩み止め又は抜け止めを施さなければならない。ただし、構造部分について、高力ボルトを用いて摩擦接合する場合には、この限りでない。

第四章 ワイヤロープ及びチェーン

(ワイヤロープ)

第四十条 ワイヤロープは、次に定めるところによるものでなければならない。

一 一よりの間において、素線(フィラ線を除く。以下この号において同じ。)の数の十パーセント以上の素線が切断していないこと。

二 直径の減少が、公称径の七パーセント以下であること。

三 キンクしていないこと。

四 著しい形崩れ及び腐食がないこと。

五 巻上用ワイヤロープにあっては、次に定めるところによること。

イ 次の式により計算して得た値が、ワイヤロープの破断荷重の値を五・〇で除して得た値を超えないこと。

α×(L+LP)

( この式において、α、L及びLPは、それぞれ次の値を表すものとする。

α 次の表の上欄に掲げるエレベーターの区分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値