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(ワイヤロープのドラムへの巻込み)

第二十一条 つり上げ装置等の溝付きドラムの溝にワイヤロープが巻き込まれる方向と当該溝に巻き込まれるときの当該ワイヤロープの方向との角度は、四度以内でなければならない。

2 つり上げ装置等の溝付きドラム以外のドラムに係るフリートアングルの値は、二度以内でなければならない。

(ワイヤロープとドラム等との緊結)

第二十二条 ワイヤロープとドラム、ジブ、フックブロック等との連結は、合金詰めソケット止め、クランプ止め、コッタ止め等の方法により緊結することにより行わなければならない。

(ドラムの強度等)

第二十三条 つり上げ装置等を構成するドラム、シャフト、ピンその他の部品は、十分な強度を有し、かつ、つり上げ装置等の作動に支障となる摩耗、変形、割れ等がないものでなければならない。

第三節 安全装置等

(巻過防止装置等)

第二十四条 ワイヤロープ又はつりチェーンを用いるつり上げ装置、起伏装置及び伸縮装置は、巻過防止装置又は巻過ぎを防止するための警報装置を備えるものでなければならない。

第二十五条 前条の巻過防止装置は、次に定めるところによるものでなければならない。

一 巻過ぎを防止するため、自動的に動力を遮断し、及び作動を制動する機能を有するものであること。

二 フック、グラブバケット等のつり具の上面(当該つり具の巻上げ用シーブの上面を含む。)とジブの先端のシーブその他当該上面が接触するおそれがある物(ジブを除く。)の下面との間隔が〇・二五メートル以上(直働式の巻過防止装置にあっては、〇・〇五メートル以上)となるように調整できる構造とすること。

三 容易に点検を行うことができる構造とすること。

2 前条の巻過防止装置のうち電気式のものにあっては、前項に定めるところによるほか、次に定めるところによるものでなければならない。

一 接点、端子、巻線その他電気を通ずる部分(以下この項において「通電部分」という。)の外被は、鋼板その他堅固なものであり、かつ、水、粉じん等により機能に障害を生ずるおそれがない構造のものであること。

二 通電部分と前号の外被との間は、耐電圧試験において、日本工業規格C八二〇一―四―一(低圧開閉装置及び制御装置―第四部:接触器及びモータスタータ―第一節:電気機械式接触器及びモータスタータ)に定める基準に適合する絶縁効力を有する構造とすること。

三 第一号の外被の見やすい箇所に、定格電圧及び定格電流を記載した銘板が取り付けられていること。

四 接点が開放されることにより巻過ぎが防止される構造とすること。

五 動力回路を直接遮断する構造のものにあっては、通電部分は、温度試験において、日本工業規格C八二〇一―四―一(低圧開閉装置及び制御装置―第四部:接触器及びモータスタータ―第一節:電気機械式接触器及びモータスタータ)に定める基準に適合するものであること。

(平三〇厚労告三三・一部改正)

第二十六条 第二十四条の巻過ぎを防止するための警報装置は、次に定めるところによるものでなければならない。

一 フック、グラブバケット等のつり具の上面(当該つり具の巻上げ用シーブの上面を含む。)とジブの先端のシーブその他当該上面が接触するおそれがある物(ジブを除く。)の下面との間隔が当該移動式クレーンの最高つり上げ速度(単位 メートル毎秒)の一・五倍(つり具の巻上げ又はジブの伸長が一操作で停止する移動式クレーンにあっては、一・〇倍)に等しい値の長さ(単位 メートル)に達するまでに確実に作動する構造とすること。

二 水、粉じん等により機能に障害を生ずるおそれがない構造とすること。

三 容易に点検を行うことができる構造とすること。

四 警音を発する方式とすること。

(過負荷防止装置)

第二十七条 移動式クレーンは、過負荷防止装置を備えるものでなければならない。ただし、次に掲げる移動式クレーンで過負荷防止装置以外の過負荷を防止するための装置(次条第一項に規定する安全弁及び荷重計を除く。)を備えるものにあっては、この限りでない。

一 つり上げ荷重が三トン未満の移動式クレーン

二 ジブの傾斜角及び長さが一定である移動式クレーン

(平三〇厚労告三三・一部改正)

(安全弁等)

第二十八条 水圧、油圧又は蒸気圧を動力として用いるつり上げ装置、起伏装置及び伸縮装置は、水圧、油圧又は蒸気圧の過度の上昇を防止するための安全弁を備えるものでなければならない。

2 前項のつり上げ装置、起伏装置及び伸縮装置は、水圧、油圧又は蒸気圧の異常低下によるつり具等の急激な降下を防止するための逆止め弁を備えるものでなければならない。ただし、第十九条第二項第一号及び第三号に適合するブレーキ(人力によるブレーキを除く。)を備えるものにあっては、この限りでない。

(回転部分の防護)

第二十九条 歯車、軸、軸継手等の回転部分で労働者に危険を及ぼすおそれがある箇所には、覆い、囲い等を備えなければならない。

(警報装置)

第三十条 移動式クレーンは、電鈴、ブザー等の警報装置を備えるものでなければならない。

(傾斜角指示装置)

第三十一条 移動式クレーンでジブが起伏するものは、運転者の見やすい位置に、当該ジブの傾斜角の度合いを示す装置を備えるものでなければならない。

(外れ止め装置)

第三十二条 フックは、玉掛け用ワイヤロープ等が当該フックから外れることを防止するための装置を備えるものでなければならない。

(前照燈等)

第三十三条 移動式クレーン(クローラクレーン及び被けん引式の移動式クレーンを除く。)は、次に掲げる装置を備えるものでなければならない。ただし、最高走行速度が三十五キロメートル毎時未満の移動式クレーン(最高走行速度が二十キロメートル毎時以上の移動式クレーンにあっては、原動機回転計を備えるものに限る。)にあっては、速度計を備えないことができる。

一 白色又は淡黄色の燈光の前照燈

二 赤色の燈光の尾燈

三 赤色の燈光の制動燈

四 白色又は淡黄色の燈光の後退燈

五 方向指示器

六 警音器

七 後写鏡

八 移動式クレーンの直前にある障害物を確認することができる鏡

九 速度計

(操作回路)

第三十四条 電磁接触器等の操作回路であって、地絡した場合に電磁接触器等が閉路されるおそれがあるものは、次に定めるところによるものでなければならない。

一 コイルの一端を電路の接地側の電線に接続すること。

二 コイルと電路の接地側の電線との間に開閉器がないこと。

第四節 操作部分等

(つり上げ装置等の操作部分)

第三十五条 つり上げ装置、起伏装置、伸縮装置、旋回装置、ブレーキ、警報装置等の操作部分は、運転のために必要な視野を確保することができ、かつ、運転者が容易に操作することができる位置に設けられていなければならない。

2 つり上げ装置、起伏装置、伸縮装置又は旋回装置の操作部分には、運転者の見やすい箇所に、当該操作部分が制御する移動式クレーンの作動の種別及び方向並びに作動を停止する位置が表示されているものでなければならない。ただし、運転者が当該操作部分から手を放した場合に、自動的に当該操作部分が移動式クレーンの作動を停止させる位置に戻り、当該移動式クレーンの作動を停止させる構造の移動式クレーンにあっては、当該位置を表示しないことができる。

(運転室)

第三十六条 走行のための運転室は、次に定めるところによるものでなければならない。

一 運転者が安全な運転を行うことができる視野を確保することができる構造とすること。

二 走行中の振動、衝撃、動揺等により運転者が転落しない構造とすること。

三 前面ガラスは、安全ガラスとすること。

四 前面ガラスには、前方の視野を確保することができる自動式の窓ふき器を備えること。

(伸縮装置)

第三十七条 伸縮装置は、ジブの各段に係る長さが当該段の先端側に隣接する段に係る長さよりも短くなることのないように伸縮させるものでなければならない。ただし、自動的にジブの各段に係る長さを検出し、つり上げる荷の荷重が定格荷重を超えた場合に直ちに移動式クレーンの作動を停止させる機能を有する過負荷防止装置を備える移動式クレーンにあっては、この限りでない。

第三章 加工

(溶接)

第三十八条 構造部分に使用する鋼材を溶接する場合には、次に定めるところにより行わなければならない。

一 アーク溶接によること。

二 日本工業規格Z三二一一(軟鋼用被覆アーク溶接棒)に適合した溶接棒又はこれと同等以上の性能を有する溶接材料を用いること。

三 母材を予熱する場合を除き、溶接を行う場所における気温が零度以下でないこと。

2 第一条ただし書の規定により厚生労働省労働基準局長が構造部分に使用することを認めた材料(鋼材を除く。)を溶接する場合には、厚生労働省労働基準局長が定めるところにより行わなければならない。

3 構造部分のうちリベット締めを行った部分については、溶接を行ってはならない。

4 構造部分の溶接部は、溶込みが十分で、かつ、割れ又はアンダカット、オーバラップ、クレータ等で有害なものがあってはならない。

(平一二労告一二〇・一部改正)

(穴あけ)

第三十九条 構造部分のリベット穴及びボルト穴は、かえり及び割れが生じない方法によってあけられていなければならない。

(平三〇厚労告三三・一部改正)

(緩み止め等)

第四十条 ボルト、ナット、ねじ等には、緩み止め又は抜け止めを施さなければならない。ただし、高力ボルトを用いて接合する場合には、この限りでない。

第四章 ワイヤロープ及びつりチェーン

(ワイヤロープ)

第四十一条 ワイヤロープは、次に定めるところによるものでなければならない。

一 安全率は、次の表の上欄に掲げるワイヤロープの種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値以上であること。

ワイヤロープの種類

巻上げ用ワイヤロープ及びジブの起伏用ワイヤロープ

四・五

ジブの伸縮用ワイヤロープ

三・五五

ジブの支持用ワイヤロープ

三・七五

二 次のイからニまでに該当すること。

イ 一よりの間において、素線(フィラ線を除く。以下この号において同じ。)の数の十パーセント以上の素線が切断していないこと。

ロ 直径の減少が、公称径の七パーセント以下であること。

ハ キンクしていないこと。

ニ 著しい形崩れ又は腐食がないこと。

三 巻上げ用ワイヤロープにあっては、つり具の位置が最も低くなる場合において、つり上げ装置のドラムに二巻き以上残る長さであること。

四 ジブの起伏用ワイヤロープにあっては、ジブの位置が最も低くなる場合において、起伏装置のドラムに二巻き以上残る長さであること。

五 ジブの伸縮用ワイヤロープにあっては、ジブの長さが最も短くなる場合において、伸縮装置のドラムに二巻き以上残る長さであること。

2 前項第一号の安全率は、ワイヤロープの切断荷重の値を当該ワイヤロープにかかる荷重の最大の値で除して得た値とする。この場合において、巻上げ用ワイヤロープ、ジブの起伏用ワイヤロープ及びジブの伸縮用ワイヤロープについては、これらのワイヤロープ(揚程が五十メートル以下である移動式クレーンに使用されるワイヤロープを除く。)の質量及びこれらのワイヤロープが通るシーブの効率を含めて計算するものとする。

(つりチェーン)

第四十二条 つりチェーンは、次に定めるところによるものでなければならない。

一 安全率は、五以上であること。

二 リンクチェーンにあっては、次のイからハまでに該当すること。

イ 伸びが、当該リンクチェーンが製造された時の長さの五パーセント以下であること。

ロ リンクの断面の直径の減少が、当該リンクチェーンが製造された時の当該リンクの断面の直径の十パーセント以下であること。

ハ き裂がないこと。

三 ローラチェーンにあっては、次のイからハまでに該当すること。

イ 伸びが、当該ローラチェーンが製造された時の長さの二パーセント以下であること。

ロ リンクプレートの断面積の減少が、当該ローラチェーンが製造された時の当該リンクプレートの断面積の十パーセント以下であること。

ハ き裂がないこと。

2 前項第一号の安全率は、つりチェーンの切断荷重の値を当該つりチェーンにかかる荷重の最大の値で除して得た値とする。

第五章 雑則

(表示)

第四十三条 移動式クレーンは、運転者の見やすい位置に、定格荷重が明確に表示されているものでなければならない。

2 移動式クレーンは、次の事項を記載した銘板が取り付けられているものでなければならない。

一 製造者名

二 製造年月

三 つり上げ荷重

3 拡幅式のクローラを有するクローラクレーンで、クローラを最大限に張り出さない状態で定格荷重を有しないものは、クローラを最大限に張り出さない状態における作業の禁止に係る警告が明確に表示されているものでなければならない。

(適用除外)

第四十四条 第十六条から第十八条まで、第三十三条及び第三十六条の規定は、次に掲げる移動式クレーンについては、適用しない。

一 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第五項に規定する運行の用に供する移動式クレーン(同法第九十九条の規定に基づき政令で定められる自動車である移動式クレーンを含む。)

二 鉄道クレーン

三 浮きクレーン

四 人力で走行する移動式クレーン

第四十五条 移動式クレーンのうち、特殊な構造のもの又は国際規格等に基づき製造されたものであって、前各章の規定を適用することが困難なものについて、厚生労働省労働基準局長が前各章の規定に適合するものと同等以上の性能があると認めた場合には、この告示の関係規定は、適用しない。

(平一二労告一二〇・平三〇厚労告三三・一部改正)

附 則

1 この告示は、平成八年二月一日から適用する。

2 移動式クレーン構造規格(昭和五十一年労働省告示第八十一号。附則第五項において「旧規格」という。)は、廃止する。

3 平成八年二月一日において、現に製造している移動式クレーン又は現に存する移動式クレーンの規格については、なお従前の例による。

4 前項に規定する移動式クレーン以外の移動式クレーンで、平成八年七月一日前に製造された移動式クレーン又は平成八年七月一日において現に製造している移動式クレーンの規格については、なお従前の例によることができる。

5 前二項に規定する移動式クレーン以外の移動式クレーンで、平成八年七月一日前に製造された移動式クレーン(旧規格に適合するものに限る。)と同一の設計により平成十一年一月一日前に製造された移動式クレーンの構造部分の材料である鋼材に係る許容応力の値については、なお従前の例による。

附 則 (平成一二年一二月二五日労働省告示第一二〇号) 抄

(適用期日)

第一 この告示は、内閣法の一部を改正する法律(平成十二年法律第八十八号)の施行の日(平成十三年一月六日)から適用する。

改正文 (平成一五年一二月一九日厚生労働省告示第四〇〇号) 抄

平成十六年三月三十一日から適用する。

附 則 (平成三〇年二月二六日厚生労働省告示第三三号)

(適用期日)

1 この告示は、平成三十年三月一日から適用する。

(経過措置)

2 平成三十年三月一日において、現に製造している移動式クレーン又は現に存する移動式クレーンの規格については、なお従前の例による。

3 前項に規定する移動式クレーン以外の移動式クレーンで、平成三十一年三月一日前に製造された移動式クレーン又は同日において現に製造している移動式クレーンの規格については、なお従前の例によることができる。

4 前二項に規定する移動式クレーン以外の移動式クレーンで、平成三十一年三月一日前に製造された移動式クレーン(この告示による改正前の移動式クレーン構造規格に適合するものに限る。)と同一の設計により同年九月一日前に製造された移動式クレーンの前方安定度の値については、なお従前の例による。

5 前三項の規定は、これらの項に規定する移動式クレーン又はその部分がこの告示による改正後の移動式クレーン構造規格に適合するに至った後における当該移動式クレーン又はその部分については、適用しない。

附 則 (令和元年六月二八日厚生労働省告示第四八号) 抄

(適用期日)

1 この告示は、不正競争防止法等の一部を改正する法律の施行の日(令和元年七月一日)から適用する。

別表(第3条関係)

(1) 降伏点又は耐力が245ニュートン毎平方ミリメートル以下の鋼材の許容座屈応力の値の計算に用いる座屈係数

λ

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

20

1.00

1.00

1.00

1.00

1.01

1.01

1.01

1.02

1.02

1.03

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

30

1.03

1.04

1.04

1.05

1.05

1.06

1.06

1.07

1.08

1.08

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.01

1.01

40

1.09

1.10

1.10

1.11

1.12

1.12

1.13

1.14

1.14

1.15

1.02

1.02

1.03

1.03

1.04

1.04

1.05

1.05

1.06

1.06

50

1.16

1.17

1.18

1.19

1.19

1.20

1.21

1.22

1.23

1.24

1.07

1.08

1.08

1.09

1.10

1.10

1.11

1.12

1.12

1.13

60

1.25

1.26

1.27

1.28

1.29

1.31

1.32

1.33

1.34

1.35

1.14

1.15

1.16

1.16

1.17

1.18

1.19

1.20

1.21

1.22

70

1.37

1.38

1.39

1.41

1.42

1.43

1.45

1.46

1.48

1.49

1.23

1.24

1.25

1.26

1.27

1.29

1.30

1.31

1.32

1.33

80

1.51

1.52

1.54

1.55

1.57

1.59

1.60

1.62

1.64

1.66

1.35

1.36

1.37

1.39

1.40

1.42

1.43

1.45

1.46

1.48

90

1.68

1.69

1.71

1.73

1.75

1.77

1.79

1.81

1.83

1.85

1.50

1.51

1.53

1.55

1.56

1.58

1.61

1.64

1.68

1.71

100

1.87

1.89

1.91

1.94

1.96

1.98

2.00

2.03

2.05

2.07

1.75

1.78

1.82

1.85

1.89

1.93

1.96

2.00

2.04

110

2.11

2.15

2.19

2.23

2.27

2.31

2.35

2.39

2.43

2.47

120

2.51

2.56

2.60

2.64

2.69

2.73

2.77

2.82

2.86

2.91

130

2.95

3.00

3.04

3.09

3.14

3.18

3.23

3.28

3.33

3.37

140

3.42

3.47

3.52

3.57

3.62

3.67

3.72

3.77

3.83

3.88

150

3.93

3.98

4.03

4.09

4.14

4.20

4.25

4.30

4.36

4.42

160

4.47

4.53

4.58

4.64

4.70

4.75

4.81

4.87

4.93

4.99

170

5.05

5.11

5.17

5.23

5.29

5.35

5.41

5.47

5.53

5.60

180

5.66

5.72

5.78

5.85

5.91

5.98

6.04

6.11

6.17

6.24

190

6.30

6.37

6.44

6.51

6.57

6.64

6.71

6.78

6.85

6.92

200

6.99