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○クレーン構造規格

(平成七年十二月二十六日)

(労働省告示第百三十四号)

労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第三十七条第二項及び第四十二条の規定に基づき、クレーン構造規格を次のように定める。

クレーン構造規格

目次

第一章 構造部分等

第一節 材料(第一条・第二条)

第二節 許容応力(第三条―第七条)

第三節 荷重(第八条―第十条)

第四節 強度(第十一条―第十四条)

第五節 安定度(第十五条)

第六節 控え(第十六条)

第二章 機械部分

第一節 ブレーキ(第十七条―第十九条)

第二節 ドラム等(第二十条―第二十三条)

第三節 安全装置等(第二十四条―第三十三条の二)

第四節 電気機器等(第三十四条―第三十八条)

第三章 附属部分

第一節 緩衝装置等(第三十九条・第四十条)

第二節 逸走防止装置等(第四十一条・第四十二条)

第三節 歩道等(第四十三条―第四十六条)

第四節 運転室及び運転台(第四十七条―第四十九条)

第四章 加工(第五十条―第五十三条)

第五章 ワイヤロープ等(第五十四条―第五十五条の二)

第六章 雑則(第五十六条・第五十七条)

附則

第一章 構造部分等

第一節 材料

(材料)

第一条 クレーン(労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号)第十二条第一項第三号に掲げるクレーン及び同令第十三条第三項第十四号に掲げるクレーンをいう。以下同じ。)の構造部分(クレーンのうち、階段、はしご道、手すり、歩道、運転室、囲い、覆いその他クレーンの荷をつり上げるための支持部分以外の部分及び機械部分を除いた部分をいう。以下同じ。)(構造部分の一部として使用するワイヤロープを除く。)の材料は、次に掲げる日本産業規格に適合した鋼材又はこれらと同等以上の化学成分及び機械的性質を有する鋼材でなければならない。ただし、厚生労働省労働基準局長が認めた場合には、この限りでない。

一 日本産業規格G三一〇一(一般構造用圧延鋼材)に定めるSS四〇〇

二 日本産業規格G三一〇六(溶接構造用圧延鋼材)

三 日本産業規格G三一一四(溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材)

四 日本産業規格G三一二八(溶接構造用高降伏点鋼板)

五 日本産業規格G三一三六(建築構造用圧延鋼材)

六 日本産業規格G三四四四(一般構造用炭素鋼鋼管)に定めるSTK四〇〇、STK四九〇又はSTK五四〇

七 日本産業規格G三四四五(機械構造用炭素鋼鋼管)に定める一三種、一八種、一九種又は二〇種

八 日本産業規格G三四六六(一般構造用角形鋼管)

2 前項の規定にかかわらず、つり上げ荷重が五トン未満のケーブルクレーンの構造部分のうち塔、支柱又は控えには、木材を使用することができる。

3 前項の規定により使用することができる木材は、強度上の著しい欠点となる割れ、虫食い、節、繊維の傾斜等がないものでなければならない。

(平一二労告一二〇・平一五厚労告三九九・平三〇厚労告三三・令元厚労告四八・一部改正)

(鋼材に係る計算に使用する定数)

第二条 前条第一項本文の鋼材に係る計算に使用する定数は、次の表の上欄に掲げる定数の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値とする。

定数の種類

縦弾性係数(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

二〇六、〇〇〇

横弾性係数(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

七九、〇〇〇

ポアソン比

〇・三

線膨張係数(単位 毎度)

〇・〇〇〇〇一二

比重

七・八五

第二節 許容応力

(鋼材に係る許容応力の値)

第三条 第一条第一項本文の鋼材に係る計算に使用する許容引張応力の値、許容圧縮応力の値、許容曲げ応力の値、許容せん断応力の値及び許容支え圧応力の値は、それぞれ次の式により計算して得た値とする。

σta=σa

σca=σa/1.15

σbat=σa

σbac=σa/1.15

τ=σa/(√3)

σda=1.42σa

( これらの式において、σa、σta、σca、σbat、σbac、τ及びσdaは、それぞれ次の値を表すものとする。

σa 鋼材に係る次に掲げる値のうちいずれか小さい値

イ 降伏点又は耐力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)の値を一・五で除して得た値

ロ 引張強さ(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)の値を一・八で除して得た値

σta 許容引張応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

σca 許容圧縮応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

σbat 引張応力の生ずる側における許容曲げ応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

σbac 圧縮応力の生ずる側における許容曲げ応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

τ 許容せん断応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

σda 許容支え圧応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル))

2 第一条第一項本文の鋼材に係る計算に使用する許容座屈応力の値は、次の式により計算して得た値とする。

λ<20の場合

σk=σca

20≦λ≦200の場合

σk=(1/ω)σca

( これらの式において、λ、σk、σca及びωは、それぞれ次の値を表すものとする。

λ 有効細長比

σk 許容座屈応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

σca 許容圧縮応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

ω 座屈係数(別表第一に定める座屈係数又は厚生労働省労働基準局長が認めた計算の方法により計算して得た値をいう。))

(平一二労告一二〇・一部改正)

(溶接部に係る許容応力の値)

第四条 第一条第一項本文の鋼材により構成されるクレーンの構造部分(以下「構造部分」という。)の溶接部に係る計算に使用する許容応力(許容支え圧応力及び許容座屈応力を除く。)の値は、前条第一項の規定にかかわらず、同項に規定するそれぞれの値(溶接加工の方法がすみ肉溶接である場合には、許容せん断応力の値)に、次の表の上欄に掲げる溶接加工の方法及び同表の中欄に掲げる鋼材の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる係数を乗じて得た値とする。

溶接加工の方法

鋼材の種類

係数

許容引張応力に係るもの

許容圧縮応力に係るもの

許容曲げ応力に係るもの

許容せん断応力に係るもの

突合せ溶接

A

〇・八四〇

〇・九四五

〇・八四〇

〇・八四〇

B

〇・八〇〇

〇・九〇〇

〇・八〇〇

〇・八〇〇

すみ肉溶接

A

〇・八四〇

〇・八四〇

〇・八四〇

B

〇・八〇〇

〇・八〇〇

〇・八〇〇

備考 この表において、Aは日本産業規格G三一〇六(溶接構造用圧延鋼材)、日本産業規格G三一一四(溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材)、日本産業規格G三一二八(溶接構造用高降伏点鋼板)、日本産業規格G三一三六(建築構造用圧延鋼材)に定めるSN四〇〇B、SN四〇〇C、SN四九〇B若しくはSN四九〇C、日本産業規格G三四四四(一般構造用炭素鋼鋼管)に定めるSTK四九〇、日本産業規格G三四四五(機械構造用炭素鋼鋼管)に定める一八種又は日本産業規格G三四六六(一般構造用角形鋼管)に定めるSTKR四九〇に適合する鋼材を、Bはこれらの鋼材以外の鋼材を表すものとする。

2 前項の規定にかかわらず、放射線試験を行う場合において、構造部分の溶接部(溶接加工の方法が突合せ溶接である場合に限る。)が次に掲げるところに該当するときは、当該溶接部に係る計算に使用する許容応力(許容引張応力、許容圧縮応力及び許容曲げ応力に限る。)の値は、前条第一項に規定する値とすることができる。

一 日本産業規格Z三一〇四(鋼溶接継手の放射線透過試験方法)(以下この条において「規格」という。)に規定する第三種のきずがないこと。

二 規格に規定する第一種及び第四種のきず又は第二種のきずのいずれかがある場合には、当該きずに係る規格に規定するきず点数又はきず長さがそれぞれ規格に規定する第一種及び第四種の二類の許容限度を表す値又は第二種の二類の許容限度を表す値以下であること。

三 規格に規定する第一種及び第四種のきず並びに第二種のきずが混在する場合には、当該きずに係る規格に規定するきず点数及びきず長さがそれぞれ規格に規定する第一種及び第四種の二類の許容限度を表す値及び第二種の二類の許容限度を表す値の二分の一以下であること。

3 前項の放射線試験は、次に定めるところによるものでなければならない。

一 規格に定めるところに従い構造部分の溶接部の全長の二十パーセント以上の長さについて行うこと。

二 構造部分の溶接部は、その余盛りが母材の表面と同一の面まで削られていること。ただし、余盛りの中央における高さが、次の表の上欄に掲げる母材の厚さに応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる高さ以下である場合には、この限りでない。

母材の厚さ(単位 ミリメートル)

高さ(単位 ミリメートル)

一二以下

一・五

一二を超え二五以下

二・五

二五を超えるもの

三・〇

(平三〇厚労告三三・令元厚労告四八・一部改正)

(木材に係る許容応力の値)

第五条 第一条第二項の木材に係る計算に使用する木材の繊維方向の許容引張応力の値、許容圧縮応力の値、許容曲げ応力の値及び許容せん断応力の値は、次の表の上欄に掲げる木材の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値とする。

木材の種類

許容応力の値(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

許容引張応力

許容圧縮応力

許容曲げ応力

許容せん断応力

針葉樹

あかまつ、くろまつ及びべいまつ

六・〇

七・五

九・五

〇・八

からまつ、ひば、ひのき及びべいひ

五・五

七・〇

九・〇

〇・七

つが及びべいつが

五・〇

六・五

八・五

〇・七

もみ、えぞまつ、とどまつ、べにまつ、すぎ、べいすぎ及びスプルース

四・五

六・〇

七・五

〇・六

広葉樹

かし

八・〇

九・〇

一三・〇

一・四

くり、なら、ぶな及びけやき

六・〇

七・〇

一〇・〇

一・〇

2 第一条第二項の木材に係る計算に使用する木材の繊維方向の許容座屈応力の値は、次の式により計算して得た値とする。

λ≦100の場合

σk=σca(1-0.007λ)

λ>100の場合

σk=σca(0.3/(λ/100)2)

( これらの式において、λ、σk及びσcaは、それぞれ次の値を表すものとする。

λ 有効細長比

σk 許容座屈応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

σca 許容圧縮応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル))

(許容応力の値の特例)

第六条 第一条第一項ただし書の規定により厚生労働省労働基準局長が使用することを認めた材料及び当該材料により構成される構造部分の溶接部に係る計算に使用する許容応力の値は、当該材料の化学成分及び機械的性質を考慮して厚生労働省労働基準局長が定めるものとする。

(平一二労告一二〇・一部改正)

(許容応力の値の割増し)

第七条 第三条から第五条までに規定する許容応力の値及び前条の規定により厚生労働省労働基準局長が定める許容応力の値は、第十一条第一項第二号の荷重の組合せによる計算においては十五パーセントを、同項第三号から第五号までの荷重の組合せによる計算においては三十パーセントを限度として割り増した値とすることができる。

(平一二労告一二〇・一部改正)

第三節 荷重

(計算に使用する荷重の種類)

第八条 構造部分にかかる荷重のうち計算に使用する荷重は、次に掲げるとおりとする。

一 垂直動荷重

二 垂直静荷重

三 水平動荷重

四 熱荷重

五 風荷重

六 地震荷重

七 衝突荷重

(風荷重)

第九条 前条第五号の風荷重の値は、次の式により計算して得た値とする。ただし、厚生労働省労働基準局長が認めた場合には、この限りでない。

W=qCA

( この式において、W、q、C及びAは、それぞれ次の値を表すものとする。

W 風荷重(単位 ニュートン)

q 速度圧(単位 ニュートン毎平方メートル)

C 風力係数)

A 受圧面積(単位 平方メートル))

2 前項の速度圧の値は、次の表の上欄に掲げるクレーンの状態に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる式により計算して得た値とする。

クレーンの状態

作動時

834(√h)

停止時

9804(√h)

備考 この表において、hは、クレーンの風を受ける面の地上からの高さ(単位 メートル)(高さが十六メートル未満の場合には、十六)を表すものとする。

3 第一項の風力係数は、クレーンの風を受ける面に関して風洞試験を行って得た値又は次の表の上欄に掲げるクレーンの風を受ける面の区分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値とする。

クレーンの風を受ける面の区分

平面トラス(鋼管製の平面トラスを除く。)により構成される面

W1が〇・一未満のもの

二・〇

W1が〇・一以上〇・三未満のもの

一・八

W1が〇・三以上〇・九未満のもの

一・六

W1が〇・九以上のもの

二・〇

平板により構成される面

W2が五未満のもの

一・二

W2が五以上一〇未満のもの

一・三

W2が一〇以上一五未満のもの

一・四

W2が一五以上二五未満のもの

一・六

W2が二五以上五〇未満のもの

一・七

W2が五〇以上一〇〇未満のもの

一・八

W2が一〇〇以上のもの

一・九

円筒の面及び鋼管製の平面トラスにより構成される面

W3が三未満のもの

一・二

W3が三以上のもの

〇・七

備考 この表において、W1、W2及びW3は、それぞれ次の値を表すものとする。

W1 充実率(クレーンの風を受ける面の見付面積を当該風を受ける面の面積で除して得た値)

W2 クレーンの風を受ける面の長手方向の長さを当該風を受ける面の幅で除して得た値

W3 円筒又は鋼管の外径(単位 メートル)にクレーンの停止時における前項に規定する速度圧の値(単位 ニュートン毎平方メートル)の平方根を乗じて得た値

4 第一項の受圧面積は、クレーンの風を受ける面の風の方向に直角な面に対する投影面積(以下この項において「投影面積」という。)とする。この場合において、クレーンの風を受ける面が風の方向に対して二面以上重なっているときは、風の方向に対して第一の面の投影面積に、風の方向に対して第二以降の面(以下この項において「第二以降の面」という。)のうち風の方向に対して前方にある面と重なっている部分の投影面積に次の図に示す低減率を乗じて得た面積及び第二以降の面のうち風の方向に対して前方にある面と重なっていない部分の投影面積を加えた面積とする。

備考 この図において、b、h、φ及びηは、それぞれ次の値を表すものとする。

b 相対するクレーンの風を受ける面に係るけたの間隔

h 相対するクレーンの風を受ける面に係るけたのうち風の方向に対して前方にあるけたの高さ

φ 相対するクレーンの風を受ける面に係るけたのうち風の方向に対して前方にあるけたのクレーンの風を受ける面に係る充実率(平面トラスにより構成される面については前項の表の備考において規定するW1とし、平板により構成される面及び円筒の面については1とする。)

η 低減率

(平一二労告一二〇・一部改正)

(地震荷重)

第十条 第八条第六号の地震荷重の値は、垂直静荷重の二十パーセントに相当する荷重がクレーンに対し水平方向に作用するものとして計算して得た値とする。ただし、厚生労働省労働基準局長が認めた場合には、この限りでない。

(平一二労告一二〇・一部改正)

第四節 強度

(強度計算に係る荷重の組合せ)

第十一条 構造部分を構成する部材の断面に生ずる応力の値は、次に掲げる荷重の組合せによる計算において、それぞれ第二節に規定する許容応力の値を超えてはならない。

一 衝撃係数(次の式により計算して得た値をいう。以下この項において同じ。)及び別表第二に定める作業係数(以下この項において「作業係数」という。)を乗じた垂直動荷重、作業係数を乗じた垂直静荷重、作業係数を乗じた水平動荷重並びに熱荷重の組合せ

ジブクレーンの場合

Ψ=1+0.3V ただし、1+0.3V<1.10の場合は、Ψ=1.10、1+0.3V>1.30の場合は、Ψ=1.30とする。

その他のクレーンの場合

Ψ=1+0.6V ただし、1+0.6V<1.10の場合は、Ψ=1.10、1+0.6V>1.60の場合は、Ψ=1.60とする。

( この号において、Ψ及びVは、それぞれ次の値を表すものとする。

Ψ 衝撃係数

V 巻上定格速度(単位 メートル毎秒))

二 衝撃係数及び作業係数を乗じた垂直動荷重、作業係数を乗じた垂直静荷重、作業係数を乗じた水平動荷重、熱荷重並びにクレーンの作動時における風荷重の組合せ

三 垂直動荷重、垂直静荷重、熱荷重及び地震荷重の組合せ

四 垂直動荷重、垂直静荷重、熱荷重及び衝突荷重の組合せ

五 垂直静荷重、熱荷重及びクレーンの停止時における風荷重の組合せ

2 前項に規定する応力の値は、同項各号に掲げる荷重の組合せにおいて、当該構造部分の強度に関し最も不利となる場合におけるそれぞれの荷重によって計算するものとする。

(疲れ強さに対する安全性)

第十二条 構造部分は、疲れ強さに対する安全性が確認されたものでなければならない。

(剛性の保持)

第十三条 構造部分は、壁面座屈、著しい変形等が生じないように剛性が保持されているものでなければならない。

(たわみの限度)

第十四条 天井クレーンのクレーンガーダは、定格荷重に相当する荷重の荷を当該クレーンガーダのたわみに関し最も不利となる位置でつり上げた場合に、当該クレーンガーダのたわみの値が当該クレーンガーダのスパンの値の八百分の一以下となるものでなければならない。ただし、クレーンガーダのスパンの値が相当程度小さいこと等により、当該クレーンガーダのたわみによる荷のゆれによる危険のおそれがないことが明らかな天井クレーンについては、この限りでない。

第五節 安定度

(安定度)

第十五条 クレーンは、次の場合において、当該クレーンの転倒支点における安定モーメントの値が、それぞれその転倒支点における転倒モーメントの値以上である安定度を有するものでなければならない。

一 垂直動荷重の〇・三倍に相当する荷重が定格荷重がかかる方向と反対の方向にかかった場合

二 垂直動荷重の一・六倍(土木、建築等の工事の作業に使用するクレーン(次号において「工事用クレーン」という。)にあっては、一・四倍)に相当する荷重がかかった場合

三 垂直動荷重の一・三五倍(工事用クレーンにあっては、一・一倍)に相当する荷重、水平動荷重及び作動時における風荷重を組み合わせた荷重がかかった場合

2 前項の規定による安定度は、次に定めるところにより計算するものとする。

一 安定度に影響がある質量は、クレーンの安定に関し最も不利となる状態にあるものとすること。

二 風は、クレーンの安定に関し最も不利となる方向から吹くものとすること。

3 屋外に設置されるクレーンは、荷をつっていない状態における安定度についての計算において、クレーンの停止時における風荷重がかかった場合における当該クレーンの転倒支点における安定モーメントの値がその転倒支点における転倒モーメントの値以上のものでなければならない。

4 前項の規定による安定度は、次に定めるところにより計算するものとする。

一 安定度に影響がある質量は、クレーンの安定に関し最も不利となる状態にあるものとすること。

二 風は、クレーンの安定に関し最も不利となる方向から吹くものとすること。

三 走行クレーンにあっては、逸走防止装置等により、逸走を防止するための措置が講じられた状態にあるものとすること。

第六節 控え

第十六条 ケーブルクレーンの控えは、次に定めるところによるものでなければならない。

一 支柱の頂部を安定させるための控えの数は、二以上であること。

二 架空電路に近接していないこと。

三 控えのうちガイロープにあっては、次に定めるところによること。

イ クリップ、シャックル、シンブル等の金具を用いて支柱及びガイロープ用アンカ又はこれと同等以上に堅固な物(固定されている物に限る。)と緊結されていること。

ロ ターンバックル等の金具を用いて緊張されていること。

ハ ロの場合において、ターンバックルが用いられているときは、より戻りを防止するための措置が講じられていること。

第二章 機械部分

第一節 ブレーキ

(つり上げ装置等のブレーキ)

第十七条 つり上げ装置及び起伏装置は、荷又はジブの降下を制動するためのブレーキを備えるものでなければならない。ただし、水圧シリンダ、油圧シリンダ、空気圧シリンダ又は蒸気圧シリンダを用いるつり上げ装置又は起伏装置については、この限りでない。

2 前項のブレーキは、次に定めるところによるものでなければならない。

一 制動トルクの値(つり上げ装置又は起伏装置に二以上のブレーキが備えられている場合には、それぞれのブレーキの制動トルクの値を合計した値)は、クレーンに定格荷重に相当する荷重の荷をつくった場合における当該クレーンのつり上げ装置又は起伏装置のトルクの値(当該トルクの値が二以上ある場合にあっては、それらの値のうち最大の値)の一・五倍以上であること。

二 人力によるものにあっては、次に定めるところによること。

イ ストロークの値は、足踏み式のものにあっては三十センチメートル以下、手動式のものにあっては六十センチメートル以下であること。

ロ 足踏み式のものにあっては三百ニュートン以下、手動式のものにあっては二百ニュートン以下の力量で作動するものであること。

ハ 歯止め装置又は止め金を備えているものであること。

三 人力によるもの以外のものにあっては、クレーンの動力が遮断された場合に自動的に作動するものであること。

3 前項第一号のつり上げ装置又は起伏装置のトルクの値は、つり上げ装置又は起伏装置の抵抗がないものとして計算するものとする。ただし、当該つり上げ装置又は起伏装置に七十五パーセント以下の効率のウォーム・ウォーム歯車機構が用いられている場合には、当該歯車機構の抵抗により生ずるトルクの値の二分の一のトルクに相当する抵抗があるものとして計算することができる。

(走行ブレーキ)

第十八条 走行クレーンは、走行を制動するためのブレーキを備えるものでなければならない。ただし、次に掲げる走行クレーンにあっては、この限りでない。

一 床上で運転し、かつ、当該運転をする者がクレーンの走行とともに移動する方式のクレーンのうち、次のいずれかに該当するクレーンで屋内に設置されるもの

イ 走行車輪軸受が滑り軸受であるクレーン

ロ 走行車輪軸受が転がり軸受で、かつ、走行の定格速度が〇・三三メートル毎秒以下である走行クレーン

二 油圧で走行するクレーン

三 人力で走行するクレーン

(平一一労告一二五・一部改正)

(横行ブレーキ)

第十九条 トロリが横行するクレーンは、トロリの横行を制動するためのブレーキを備えるものでなければならない。ただし、次に掲げるクレーンにあっては、この限りでない。

一 横行車輪軸受が滑り軸であるクレーンで屋内に設置されるもの

二 床上で運転する方式のクレーン(床上の定位置から運転する方式のクレーンを除く。)のうち、横行車輪軸受が転がり軸受で、かつ、トロリの横行の定格速度が〇・三三メートル毎秒以下であるクレーンで屋内に設置されるもの

三 油圧でトロリが横行するクレーン

四 人力でトロリが横行するクレーン

(平一一労告一二五・一部改正)

第二節 ドラム等

(ドラム等の直径)

第二十条 ワイヤロープにより荷のつり上げ、走行、トロリの横行等の作動をする装置(以下「つり上げ装置等」という。)のドラムのピッチ円の直径と当該ドラムに巻き込まれるワイヤロープの直径との比の値、つり上げ装置等のシーブのピッチ円の直径と当該シーブを通るワイヤロープの直径との比の値又はつり上げ装置等のエコライザシーブのピッチ円の直径と当該エコライザシーブを通るワイヤロープの直径との比の値は、次の表の上欄に掲げるつり上げ装置等の等級及び同表の中欄に掲げるドラム等の区分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値以上でなければならない。ただし、つり上げ装置等に備えられる過負荷を防止するための装置のシーブのピッチ円の直径と当該シーブを通るワイヤロープの直径との比の値は五以上とすることができる。

つり上げ装置等の等級

ドラム等の区分

一グループのワイヤロープ

二グループのワイヤロープ

三グループのワイヤロープ

A

ドラム

一四

一八

二二・四

シーブ

一六

二〇

二五

エコライザシーブ

一〇

一〇

一〇

B

ドラム

一六

二〇

二五

シーブ

一八

二二・四

二八

エコライザシーブ

一〇

一〇

一〇

C

ドラム

一八

二二・四

二八

シーブ

二〇

二五

三一・五

エコライザシーブ

一〇

一〇

一〇

D

ドラム

二二・四

二八

三五・五

シーブ

二五

三一・五

四〇

エコライザシーブ

一〇

一〇

一〇

E

ドラム

二八

三五・五

四五

シーブ

三一・五

四〇

五〇

エコライザシーブ

一二・五

一二・五

一二・五

F

ドラム

三五・五

四五

五六

シーブ

四〇

五〇

六三

エコライザシーブ

一四

一四

一四

備考

1 この表において、A、B、C、D、E及びFは、それぞれ別表第三に定めるつり上げ装置等の等級を表すものとする。

2 この表において、一グループのワイヤロープ、二グループのワイヤロープ及び三グループのワイヤロープは、それぞれ次のワイヤロープを表すものとする。

一グループのワイヤロープ 六ストランド又は八ストランドの平行よりのワイヤロープ及び三十七本線六よりのワイヤロープでステンレス製以外のもの

二グループのワイヤロープ 三ストランド、四ストランド又は多層ストランドのワイヤロープ及び六ストランド(三十七本線六よりのワイヤロープを除く。)又は八ストランドの交差よりのワイヤロープでステンレス製以外のもの並びに六ストランド又は八ストランドの平行よりのワイヤロープ及び三十七本線六よりのワイヤロープでステンレス製のもの

三グループのワイヤロープ 一グループのワイヤロープ及び二グループのワイヤロープ以外のワイヤロープ