添付一覧
一 基礎的内部格付手法採用金庫として承認する場合は、第四節第一款から第六款までに規定する最低要件に沿った内部格付制度を、当該承認に先立って三年以上にわたり使用しており、同節第七款及び第八款に規定する最低要件を内部格付手法の使用を開始する日以降満たすことが見込まれ、かつ、内部格付手法実施計画が合理的なものであること。ただし、内部格付制度の改良を行うことを妨げない。
二 先進的内部格付手法採用金庫として承認する場合は、第四節第五款第四目から第六目までに規定するLGD及びEADの自金庫推計値を利用するための最低要件に沿った内部格付制度を、当該承認に先立って三年以上にわたり使用していること、内部格付手法実施計画又は先進的内部格付手法移行計画が合理的なものであること並びに前号の基準を満たすこと。ただし、内部格付制度の改良を行うことを妨げない。
(令六金庁厚労告一・一部改正)
(変更に係る届出)
第百十八条 内部格付手法採用金庫は、次の各号のいずれかに該当することとなった場合には、遅滞なく、その旨及びその内容を金融庁長官及び厚生労働大臣に届け出るものとする。
一 承認申請書の記載事項に変更がある場合
二 承認申請書の添付書類の記載事項に重要な変更がある場合
三 第四節第一款から第八款までに規定する最低要件を満たさない事由が生じた場合
2 前項第三号に掲げる事由が生じた場合には、内部格付手法採用金庫は、当該事由に関する改善計画を記載した書面又は当該事由が当該金庫のリスクの観点から重要でない旨の説明を記載した書面を速やかに提出するものとする。
(平二二金庁厚労告四・令六金庁厚労告一・一部改正)
(承認の取消し)
第百十九条 金融庁長官及び厚生労働大臣は、前条第一項第三号に規定する場合であって、内部格付手法を用いて信用リスク・アセットの額を算出することが不適当と判断したときは、第百十四条の承認を取り消すことができる。
第二款 段階的適用等
(内部格付手法の適用)
第百二十条 内部格付手法採用金庫は、全てのエクスポージャーに対して、内部格付手法を適用するものとする。ただし、内部格付手法の適用を開始した後の一定の期間について、事業単位ごと又は資産区分ごとに標準的手法を適用する旨を内部格付手法実施計画に定めている場合は、この限りでない。
2 前項の規定にかかわらず、アセット・クラス(次に掲げるエクスポージャーで構成されるポートフォリオの区分であって、信用リスク・アセットの額の算出において内部格付手法を適用する単位をいう。以下この項及び第百二十二条において同じ。)のうち、内部格付手法が適さないと判断されるアセット・クラスに対しては、内部格付手法を適用しないものとする。ただし、当該アセット・クラス内のポートフォリオ構成の大きな変化その他の事情が生じた場合は、この限りでない。
一 ソブリン向けエクスポージャー(購入債権を除く。)
二 金融機関等向けエクスポージャー(購入債権を除く。)
三 事業法人向けエクスポージャー(特定貸付債権及び購入債権を除く。)
四 特定貸付債権(購入債権を除く。)
五 購入事業法人等向けエクスポージャー
六 居住用不動産向けエクスポージャー(購入債権を除く。)
七 適格リボルビング型リテール向けエクスポージャー(購入債権を除く。)
八 その他リテール向けエクスポージャー(購入債権を除く。)
九 購入リテール向けエクスポージャー
3 前二項の規定にかかわらず、内部格付手法採用金庫は、自金庫の信用リスク・アセットに関連する事業の大部分にわたる譲渡その他の特段の事情がある場合には、金融庁長官及び厚生労働大臣の承認を得たときに限り、内部格付手法に代えて標準的手法を用いることができる。
(平一九金庁厚労告二・平二五金庁厚労告一・令六金庁厚労告一・令七金庁厚労告二・一部改正)
(先進的内部格付手法への移行)
第百二十一条 先進的内部格付手法採用金庫は、内部格付手法実施計画又は先進的内部格付手法移行計画に従って、事業法人等向けエクスポージャーのLGD及びEADを推計するものとする。
2 前項の規定にかかわらず、先進的内部格付手法採用金庫は、事業法人等向けエクスポージャー(ソブリン向けエクスポージャー及び特定貸付債権に該当するものを除く。)のうち、次に掲げるエクスポージャーについてLGD及びEADの自金庫推計値を用いないものとする。
一 事業法人の連結売上高(当該事業法人が連結財務諸表を作成している場合及び内部格付手法採用金庫が同一のグループに属するものとして管理している場合にあっては、連結の売上高であって直近三年間の平均値又は三年ごとに更新される直近の値)が五百億円を超える事業法人向けエクスポージャー
二 次のイ又はロに掲げるものに対するエクスポージャー(前号に該当するものを除く。)
イ 規制金融機関
ロ 金融業、保険業その他これらに類する業種に属する事業を主たる事業として営む者(これに準ずる外国の者を含む。)であって、イに該当しないもの(第百三十一条第二項第二号及び第三号において「非規制金融機関等」という。)
(令六金庁厚労告一・一部改正)
(適用除外)
第百二十二条 前二条の規定にかかわらず、内部格付手法採用金庫は、内部格付手法実施計画又は先進的内部格付手法移行計画に記載がある場合には、信用リスク・アセットの額を算出するに当たって重要でない事業単位又は資産区分に対して、標準的手法を適用することができる。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 内部格付手法を適用するアセット・クラス内の標準的手法を用いて算出する信用リスク・アセットの額の合計額の内部格付手法を適用するアセット・クラスの信用リスク・アセットの額の合計額(内部格付手法を適用するアセット・クラス内の標準的手法を用いて算出する信用リスク・アセットの額の合計額を含む。次号において同じ。)に占める割合が十パーセントを超える場合
二 内部格付手法を適用するアセット・クラス内の標準的手法を用いる一の事業単位又は資産区分に係る信用リスク・アセットの額の合計額の内部格付手法を適用するアセット・クラスの信用リスク・アセットの額の合計額に占める割合が二パーセントを超える場合
(平一九金庁厚労告二・平二五金庁厚労告一・令六金庁厚労告一・一部改正)
(スロッティング・クライテリアの利用)
第百二十三条 内部格付手法採用金庫は、第百二十七条第四項及び第六項の規定によりスロッティング・クライテリアを利用する場合には、プロジェクト・ファイナンス、オブジェクト・ファイナンス、コモディティ・ファイナンス及び事業用不動産向け貸付けの区分ごとに利用するものとする。
(平二五金庁厚労告一・令六金庁厚労告一・一部改正)
第二節 期待損失の取扱い
(期待損失額)
第百二十四条 事業法人等向けエクスポージャー(第百二十七条第四項及び第六項の規定によりスロッティング・クライテリアに割り当てられた特定貸付債権を除く。)及びリテール向けエクスポージャーの期待損失額は、当該エクスポージャーのPD、LGD及びEADを乗じた額とする。ただし、デフォルトした場合は、第百九十二条第六項に定めるELdefaultにEADを乗じた額とする。
2 第百二十七条第四項において、スロッティング・クライテリアに割り当てられたボラティリティの高い事業用不動産向け貸付けを除く特定貸付債権の期待損失額は、当該エクスポージャーのEADに次の表に掲げるリスク・ウェイト及び八パーセントを乗じた額とする。ただし、同項ただし書に従って、優に割り当てられ、かつ、五十パーセントのリスク・ウェイトの適用を受けたエクスポージャーについては零パーセント、良に割り当てられ、かつ、七十パーセントのリスク・ウェイトの適用を受けたエクスポージャーについては五パーセントのリスク・ウェイトを適用する。
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優 |
良 |
可 |
弱い |
デフォルト |
リスク・ウェイト(パーセント) |
五 |
十 |
三十五 |
百 |
六百二十五 |
3 第百二十七条第六項において、スロッティング・クライテリアに割り当てられたボラティリティの高い事業用不動産向け貸付けの期待損失額は、当該エクスポージャーのEADに次の表に掲げるリスク・ウェイト及び八パーセントを乗じた額とする。
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優 |
良 |
可 |
弱い |
デフォルト |
リスク・ウェイト(パーセント) |
五 |
五 |
三十五 |
百 |
六百二十五 |
4 第百十条の規定は、前三項の規定による期待損失額を算出する場合について準用する。この場合において、同条中「標準的手法採用金庫」とあるのは「内部格付手法採用金庫」と、「リスク・ウェイトを千二百五十パーセントを上限として合計し、当該クレジット・デリバティブの与信相当額に当該リスク・ウェイトを乗ずることにより、信用リスク・アセットの額を算出するものとする」とあるのは「PD及びLGDを乗じて得た額を百パーセントを上限として合計し、これに当該クレジット・デリバティブのEADを乗ずることにより、期待損失額を算出するものとする」と読み替えるものとする。
5 第百十二条の規定は、前各項の規定による期待損失額を算出する場合について準用する。この場合において、同条中「第百十条」とあるのは「第百二十四条第四項において読み替えて準用する第百十条」と、「標準的手法採用金庫」とあるのは「内部格付手法採用金庫」と、「信用リスク・アセットの額を算出するものとする」とあるのは「算出するものとする」と、「当該クレジット・デリバティブの想定元本額を限度としてプロテクション提供者のリスク・ウェイトを適用したときに信用リスク・アセットの額の削減効果が最も小さい一のエクスポージャーについて削減される信用リスク・アセットの額を控除することができる」とあるのは「当該クレジット・デリバティブのEADを限度としてプロテクション提供者の所要自己資本率を適用したときに信用リスク・アセットの額の削減効果が最も小さい一のエクスポージャーについて削減される期待損失額を控除することができる」と読み替えるものとする。
6 第百十三条の規定は、第一項から第四項までの規定による期待損失額を算出する場合について準用する。この場合において、同条中「第百十条」とあるのは「第百二十四条第四項において読み替えて準用する第百十条」と、「標準的手法採用金庫」とあるのは「内部格付手法採用金庫」と、「信用リスク・アセットの額を算出するものとする」とあるのは「算出するものとする」と、「当該クレジット・デリバティブの想定元本額を限度としてプロテクション提供者のリスク・ウェイトを適用したときに、信用リスク・アセットの額の削減効果において、最も小さい一のエクスポージャーから数えて当該特定順位参照型クレジット・デリバティブにおけるあらかじめ特定された順位から一を減じて得られる順位までのエクスポージャーについて削減される信用リスク・アセットの額の合計額を控除することができる」とあるのは「当該クレジット・デリバティブのEADを限度としてプロテクション提供者の所要自己資本率を適用したときに、信用リスク・アセットの額の削減効果において、最も小さい一のエクスポージャーから数えて当該特定順位参照型クレジット・デリバティブにおけるあらかじめ特定された順位から一を減じて得られる順位までのエクスポージャーについて削減される期待損失額を控除することができる」と読み替えるものとする。
7 前各項に定めのないエクスポージャーの期待損失額は零とする。
8 内部格付手法採用金庫が、第百四十二条の規定により保有エクスポージャーの信用リスク・アセットの額を算出するに当たり、同条第二項の場合において、保有エクスポージャーの裏付けとなる資産等の信用リスク・アセットの総額を算出するときに、当該裏付けとなる資産等に内部格付手法を適用するエクスポージャーが含まれるときは、当該エクスポージャー(同条第一項に規定する保有エクスポージャーに相当する部分に限る。)の期待損失額の算出については、前各項の規定を準用する。
(平一九金庁厚労告二・平二五金庁厚労告一・平三一金庁厚労告二・令六金庁厚労告一・一部改正)
(一般貸倒引当金の配分)
第百二十五条 内部格付手法採用金庫は、信用リスク・アセットの額の算出に当たり標準的手法と内部格付手法を併用する場合には、一般貸倒引当金の総額(証券化エクスポージャーに係るものを除く。)を標準的手法により算出される信用リスクに対応する部分と内部格付手法により算出される信用リスクに対応する部分に信用リスク・アセットの額(証券化エクスポージャーに係るものを除く。)の割合で区分するものとする。ただし、標準的手法のみを用いる標準的手法採用金庫又は当該標準的手法採用金庫の連結子法人等が計上する一般貸倒引当金は、標準的手法により算出される信用リスクに対応するものとし、内部格付手法のみを用いる内部格付手法採用金庫又は当該内部格付手法採用金庫の連結子法人等が計上する一般貸倒引当金(証券化エクスポージャーに係るものを除く。)は、内部格付手法により算出される信用リスクに対応するものとする。
2 内部格付手法採用金庫は、前項の規定にかかわらず、信用リスク管理指針に別段の定めがある場合には、当該信用リスク管理指針にのっとり、一般貸倒引当金(証券化エクスポージャーに係るものを除く。)を区分することができる。
(平一九金庁厚労告二・令六金庁厚労告一・一部改正)
第三節 信用リスク・アセットの額の算出
第一款 内部格付手法採用金庫における信用リスク・アセットの額の合計額
(内部格付手法採用金庫における信用リスク・アセットの額の合計額)
第百二十六条 内部格付手法採用金庫の信用リスク・アセットの額の合計額とは、次に掲げる額の合計額をいう。
一 内部格付手法採用金庫が内部格付手法により算出する次に掲げる信用リスク・アセットの額の合計額
イ 事業法人等向けエクスポージャー及びリテール向けエクスポージャーについて算出した信用リスク・アセットの額(購入債権、リース料(第百四十九条第一項に規定するリース料をいう。)、同時決済取引及び非同時決済取引に係る信用リスク・アセットの額を含む。)
ロ 第百四十二条の規定により算出される信用リスク・アセットの額
ハ 第百五十四条の二から第百五十四条の四の二までの規定により算出される信用リスク・アセットの額
ニ 株式等エクスポージャー、その他資産(第百五十四条第二項に規定する資産をいう。)及びリース取引における見積残存価額の信用リスク・アセットの額
二 内部格付手法採用金庫が標準的手法を適用する部分につき、第十九条第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定を準用することにより標準的手法により算出した信用リスク・アセットの額の合計額。この場合において、同項中「標準的手法採用金庫」とあるのは「内部格付手法採用金庫」と読み替えるものとする。
三 次章に定めるところにより算出した証券化エクスポージャーに係る信用リスク・アセットの額
四 第六章の二に定めるところにより算出したCVAリスク相当額を八パーセントで除して得た額
五 第六章の三に定めるところにより算出した第十九条第一項第三号に規定する中央清算機関関連エクスポージャーに係る信用リスク・アセットの額
(平二五金庁厚労告一・平三一金庁厚労告二・令六金庁厚労告一・一部改正)
第二款 事業法人等向けエクスポージャー
(事業法人等向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額)
第百二十七条 事業法人等向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額は、第百三十条に定めるPD、第百三十一条に定めるLGD、第百三十二条に定めるEAD及び第百三十三条に定めるマチュリティ(M)(ただし、PDが百パーセントの場合は一とする。以下同じ。)を用いて、第一号に掲げる算式により、同号に掲げる算式の算出に要する所要自己資本率(K)は第二号に掲げる算式により、同号に掲げる算式の算出に要する相関係数(R)及びマチュリティ調整(b)は、それぞれ第三号及び第四号に掲げる算式により算出される額とする。
一 信用リスク・アセットの額=K×12.5×EAD
二 所要自己資本率(K)=[LGD×N{(1-R)-0.5×G(PD)+(R/(1-R))0.5×G(0.999)}-EL]×{1-1.5×b}-1×{1+(M-2.5)×b}
ただし、零を下回る場合は零とする。
N{x}は、標準正規分布の累積分布関数。ただし、PDが百パーセントの場合は一とする(以下同じ。)。
G(x)は、N{x}の逆関数(以下同じ。)
ELは、PDにLGDを乗じた率。ただし、PDが百パーセントの場合は第百九十二条第六項に定めるELdefaultとする(以下同じ。)。
三 相関関数(R)=0.12×((1-EXP(-50×PD))/(1-EXP(-50)))+0.24×{1-(1-EXP(-50×PD))/(1-EXP(-50))}
EXP(x)は、自然対数の底をx乗した値(以下同じ。)
四 マチュリティ調整(b)={0.11852-0.05478×log(PD)}2
log(x)は、自然対数を指す(以下同じ。)
2 内部格付手法採用金庫は、中堅中小企業向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額を算出する場合は、前項の規定にかかわらず、同項第三号に定める相関係数に代えて、次に定める相関係数を用いることができる。
相関係数(R)=0.12×((1-EXP(-50×PD))/(1-EXP(-50)))+0.24×{1-((1-EXP(-50×PD))/(1-EXP(-50)))}-0.04×{1-((S-5)/45)}
Sは、当該事業法人の売上高(第一条第五十号ただし書に定める場合は総資産)(単位:億円)。ただし、五億円に満たない場合には、五億円として算出する。
3 内部格付手法採用金庫は、大規模規制金融機関等向けエクスポージャー(中堅中小企業向けエクスポージャーに該当するものを含む。)の信用リスク・アセットの額を算出する場合は、前二項の規定にかかわらず、第一項第三号又は前項に定める相関係数に代えて、これらの規定に定める相関係数に一・二五を乗じて得た値を、それぞれ相関係数として用いるものとする。
4 内部格付手法採用金庫は、ボラティリティの高い事業用不動産向け貸付けを除く特定貸付債権のPDの推計について第百八十九条に定める要件を満たさない場合は、第一項の規定にかかわらず、当該内部格付手法採用金庫が付与する格付(以下「内部格付」という。)を次の表に掲げる五のリスク・ウェイトに対応したスロッティング・クライテリアに割り当て、エクスポージャーの額(EADをいう。)に当該リスク・ウェイトを乗じた額を信用リスク・アセットの額とすることができる。ただし、第一条第四十八号ロただし書の定めにより事業用不動産向け貸付けに区分されたものを除き、次の表において優又は良に割り当てられるエクスポージャーの満期までの残存期間が二年半未満である場合は、優に割り当てられるエクスポージャーについて五十パーセント、良に割り当てられるエクスポージャーについて七十パーセントのリスク・ウェイトを適用することができる。
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優 |
良 |
可 |
弱い |
デフォルト |
リスク・ウェイト(パーセント) |
七十 |
九十 |
百十五 |
二百五十 |
零 |
5 第一項の規定にかかわらず、ボラティリティの高い事業用不動産向け貸付けの信用リスク・アセットの額は、同項第三号に定める相関係数に代えて、次に定める相関係数を用いて算出した額とする。
相関係数(R)=0.12×((1-EXP(-50×PD))/(1-EXP(-50)))+0.3×{1-((1-EXP(-50×PD))/(1-EXP(-50)))}
6 内部格付手法採用金庫は、ボラティリティの高い事業用不動産向け貸付けのPDの推計について第百八十九条に定める要件を満たさない場合は、第一項の規定にかかわらず、内部格付を次の表に掲げる五のリスク・ウェイトに対応したスロッティング・クライテリアに割り当て、エクスポージャーの額(EADをいう。)に当該リスク・ウェイトを乗じた額を信用リスク・アセットの額とすることができる。ただし、次の表において優又は良に割り当てられるエクスポージャーの満期までの残存期間が二年半未満である場合は、優に割り当てられるエクスポージャーについて七十パーセント、良に割り当てられるエクスポージャーについて九十五パーセントのリスク・ウェイトを適用することができる。
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優 |
良 |
可 |
弱い |
デフォルト |
リスク・ウェイト(パーセント) |
九十五 |
百二十 |
百四十 |
二百五十 |
零 |
7 第百十条の規定は、前各項の規定による信用リスク・アセットの額を算出する場合について準用する。この場合において、同条中「標準的手法採用金庫」とあるのは「内部格付手法採用金庫」と、第一項及び第四項において準用する場合に「リスク・ウェイトを千二百五十パーセントを上限として合計し、当該クレジット・デリバティブの与信相当額に当該リスク・ウェイトを乗ずることにより、信用リスク・アセットの額を算出するものとする」とあるのは「所要自己資本率を百パーセントを上限として合計し、これに当該クレジット・デリバティブのEAD及び千二百五十パーセントを乗ずることにより、信用リスク・アセットの額を算出するものとする。ただし、信用リスク・アセットの額及び期待損失額を八パーセントで除して得た額の合計額が、当該クレジット・デリバティブのEADに千二百五十パーセントを乗じて得た額を超える場合は、当該超える額を信用リスク・アセットの額から控除することができる」と読み替えるものとする。
8 第百十二条の規定は、第一項から第六項までの規定による信用リスク・アセットの額を算出する場合について準用する。この場合において、同条中「第百十条」とあるのは「第百二十七条第七項において読み替えて準用する第百十条」と、「標準的手法採用金庫」とあるのは「内部格付手法採用金庫」と、「「信用リスク・アセットの額を算出するものとする」」とあるのは「「控除することができる」」と、「信用リスク・アセットの額を算出するものとする。ただしプロテクションの提供対象となり得る複数のエクスポージャーのうち、当該クレジット・デリバティブの想定元本額を限度としてプロテクション提供者のリスク・ウェイトを適用したときに信用リスク・アセットの額の削減効果が最も小さい一のエクスポージャーについて削減される信用リスク・アセットの額を控除することができる」とあるのは「控除し、かつ、プロテクションの提供対象となり得る複数のエクスポージャーのうち、当該クレジット・デリバティブのEADを限度としてプロテクション提供者の所要自己資本率を適用したときに信用リスク・アセットの額の削減効果が最も小さい一のエクスポージャーについて削減される信用リスク・アセットの額を控除することができる」と読み替えるものとする。
9 第百十三条の規定は、第一項から第六項までの規定による信用リスク・アセットの額を算出する場合について準用する。この場合において、同条中「第百十条」とあるのは「第百二十七条第七項において読み替えて準用する第百十条」と、「標準的手法採用金庫」とあるのは「内部格付手法採用金庫」と、「「信用リスク・アセットの額を算出するものとする」」とあるのは「「控除することができる」」と、「信用リスク・アセットの額を算出するものとする。ただし、プロテクションの提供対象となり得る複数のエクスポージャーのうち、当該クレジット・デリバティブの想定元本額を限度としてプロテクション提供者のリスク・ウェイトを適用したときに、信用リスク・アセットの額の削減効果において、最も小さい一のエクスポージャーから数えて当該特定順位参照型クレジット・デリバティブにおけるあらかじめ特定された順位から一を減じて得られる順位までのエクスポージャーについて削減される信用リスク・アセットの額の合計額を控除することができる」とあるのは「控除し、かつ、プロテクションの提供対象となり得る複数のエクスポージャーのうち、当該クレジット・デリバティブのEADを限度としてプロテクション提供者の所要自己資本率を適用したときに、信用リスク・アセットの額の削減効果において、最も小さい一のエクスポージャーから数えて当該特定順位参照型クレジット・デリバティブにおけるあらかじめ特定された順位から一を減じて得られる順位までのエクスポージャーについて削減される信用リスク・アセットの額の合計額を控除することができる」と読み替えるものとする。
10 内部格付手法採用金庫は、BA―CVA又はSA―CVAを用いてCVAリスク相当額を計測するネッティング・セットに含まれるエクスポージャーに対し、第一項第二号に定める所要自己資本率(K)の算式を適用する場合にあっては、当該算式における{1-1.5×b}-1×{1+(M-2.5)×b}の部分について一を上限とすることができる。
(平一九金庁厚労告二・平二五金庁厚労告一・令六金庁厚労告一・一部改正)
(事業法人等向けエクスポージャーに保証又はクレジット・デリバティブが付された場合の取扱い)
第百二十八条 前条の規定にかかわらず、内部格付手法採用金庫は、事業法人等向けエクスポージャーに保証又はクレジット・デリバティブが付されている場合には、被保証債権の被保証部分又は原債権のプロテクションが提供されている部分に保証又はクレジット・デリバティブに対応する信用リスク・アセットの額の算式、PD及びLGDを適用することができる。ただし、保証人又はプロテクション提供者に対する直接のエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算出において適用する方法が標準的手法である場合は、被保証債権の被保証部分又は原債権のプロテクションが提供されている部分について、当該保証人又はプロテクション提供者に対する直接のエクスポージャーとみなすことができる。
2 先進的内部格付手法採用金庫は、第百二十一条第二項各号に掲げるエクスポージャーに該当しない事業法人等向けエクスポージャー(以下「先進的内部格付手法を適用できる事業法人等向けエクスポージャー」という。)に保証又はクレジット・デリバティブが付されている場合には、次の各号に掲げる保証人又はプロテクション提供者に対する直接のエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算出において適用される手法の区分に応じ、当該各号に定める方法により保証又はクレジット・デリバティブの信用リスク削減効果を勘案することができる。
一 先進的内部格付手法 被保証債権の被保証部分又は原債権のプロテクションが提供されている部分に保証又はクレジット・デリバティブを勘案したPD又はLGDのいずれかを適用する方法
二 基礎的内部格付手法 被保証債権の被保証部分又は原債権のプロテクションが提供されている部分に保証又はクレジット・デリバティブに対応する信用リスク・アセットの額の算式、PD及びLGDを適用する方法
三 標準的手法 被保証債権の被保証部分又は原債権のプロテクションが提供されている部分について、当該保証人又はプロテクション提供者に対する直接のエクスポージャーとみなす方法
3 先進的内部格付手法採用金庫は、自金庫推計LGDを適用する先進的内部格付手法を適用できる事業法人等向けエクスポージャーに対して、ファースト・トゥ・デフォルト型クレジット・デリバティブの信用リスク削減効果を勘案することができる。
4 第五十八条、第九十三条から第九十六条まで、第九十九条から第百六条まで、第百九条及び第百十一条の規定は、内部格付手法採用金庫が第一項(ただし書を除く。)の規定を適用する場合について準用する。この場合において、これらの規定中「標準的手法採用金庫」とあるのは、「内部格付手法採用金庫」と読み替えるものとする。
5 第五十八条、第九十三条から第九十七条まで、第九十九条から第百六条まで、第百九条及び第百十一条の規定は、内部格付手法採用金庫が第一項ただし書又は第二項(第三号に係る部分に限る。)の規定を適用する場合について準用する。この場合において、これらの規定中「標準的手法採用金庫」とあるのは、「内部格付手法採用金庫」と読み替えるものとする。
(平一九金庁厚労告二・平二五金庁厚労告一・令六金庁厚労告一・一部改正)
第百二十九条 削除
(令六金庁厚労告一)
(事業法人等向けエクスポージャーのPD)
第百三十条 事業法人等向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いるPDは、当該事業法人等向けエクスポージャーに付与された債務者格付に係る一年間のPDの推計値とする。
2 前項の規定にかかわらず、事業法人向けエクスポージャー及び金融機関等向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いるPDは、〇・〇五パーセントを下回らないものとする。
3 デフォルトに相当する格付を付与された事業法人等向けエクスポージャーのPDは、百パーセントとする。
(令六金庁厚労告一・一部改正)
(事業法人等向けエクスポージャーのLGD)
第百三十一条 先進的内部格付手法採用金庫が先進的内部格付手法を適用できる事業法人等向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いるLGDは、当該先進的内部格付手法を適用できる事業法人等向けエクスポージャーについてデフォルト時に生ずる経済的損失額のEADに対する割合を百分率で表した推計値とする。
2 基礎的内部格付手法採用金庫が事業法人等向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いるLGDは、次の各号に掲げるエクスポージャーの区分に応じ、当該各号に定める値とする。ただし、劣後債権の場合は、七十五パーセントとする。
一 ソブリン向けエクスポージャー 四十五パーセント
二 規制金融機関及び非規制金融機関等に対するエクスポージャー 四十五パーセント
三 事業法人向けエクスポージャー(規制金融機関及び非規制金融機関等に対するエクスポージャーを除く。) 四十パーセント
3 前項の規定にかかわらず、事業法人等向けエクスポージャー(劣後債権を除く。)に適格債権担保、適格不動産担保若しくは適格その他資産担保(以下「適格資産担保」という。)又は適格金融資産担保が設定されている場合には、基礎的内部格付手法採用金庫は、次の算式により信用リスク削減手法の効果を勘案することができる。ただし、当該事業法人等向けエクスポージャーがレポ形式の取引又は信用取引その他これに類する海外の取引であって、適格金融資産担保の信用リスク削減効果を勘案する場合は、次条第二項の規定によりEADを算出するものとし、LGDには前項第一号又は第二号に定める値を用いるものとする。
LGD*は、信用リスク削減手法の効果を勘案したLGDをいう。
LGDUは、前項各号に掲げるエクスポージャーの区分に応じて設定される値をいう。第六項において同じ。
LGDSは、次項の表に掲げる担保資産の区分に応じ、同表において設定される値をいう。
Eは、エクスポージャーの額をいう。第六項及び第八項並びに第百三十九条第三項において同じ。
ESは、C・(1-HC-Hfx)により計算される値をいう(この場合において、ESの上限をE・(1+HE)とする。)。第六項及び第八項並びに第百三十九条第三項において同じ。
Cは、受入担保の現在価値をいう。第六項において同じ。
HCは、次項の表に掲げる担保資産の区分に応じ、同表において設定されるボラティリティ調整率をいう。第六項において同じ。
Hfxは、エクスポージャーと適格資産担保の通貨が異なる場合において、前章第六節第三款の規定により適用するボラティリティ調整率をいう。第六項において同じ。
HEは、エクスポージャーが第四十九条第一項の表の第七号に該当する場合において、取引の相手方に引き渡した資産の種類に応じて前章第六節第三款の規定により適用するボラティリティ調整率をいう。第六項及び第八項並びに第百三十九条第三項において同じ。
4 前項の算式を用いる場合において、基礎的内部格付手法採用金庫は、次の表に掲げる担保資産の区分に応じ、同表に定めるLGDS及びボラティリティ調整率を用いるものとする。
担保資産の区分 |
LGDS (パーセント) |
ボラティリティ調整率 (パーセント) |
適格金融資産担保 |
零 |
担保の種類に応じて第六十九条第一項に定めるボラティリティ調整率を第七十五条の規定により調整した値 |
適格債権担保 |
二十 |
四十 |
適格不動産担保 |
二十 |
四十 |
適格その他資産担保 |
二十五 |
四十 |
5 基礎的内部格付手法採用金庫は、第三項の規定により信用リスク削減手法の効果を勘案するためには、事業法人等向けエクスポージャー(劣後債権を除く。)を被担保債権とする適格資産担保又は適格金融資産担保について、その担保の種類に応じて次に掲げる運用要件を満たすものとする。
一 適格債権担保の目的たる債権(以下この号において「適格債権」という。)の運用要件は、次に掲げる要件をいう。
イ 担保が提供される法的仕組みは強固なものであって、かつ、当該適格債権又はその売却代金に関する債権者の権利が確保されていること。
ロ 担保権の実行のために必要な措置が全て講じられていること。
ハ 担保の設定に関する契約が、その諸条項に従って当該担保に関連のある法域において強制執行を行うことを可能ならしめるものであって、適法かつ有効に契約当事者を拘束するものであること。
ニ ハに掲げる結論が、十分な法的調査及び法的論拠に基づいて導かれており、かつ、強制執行可能性が継続的に維持されていることを適時に確認していること。
ホ 担保権の設定が、適切に書類に記載されており、当該適格債権又はその代り金を適時に回収するための明確で強固な手続が設けられていること。
ヘ 担保の目的たる債権の信用リスクを判断するための堅固な手続が設けられていること。
ト 当該適格債権の債務者(以下この号において「第三債務者」という。)の信用リスクの判断を被担保債権の債務者に依存して行われている場合は、第三債務者の健全性及び信用度を確かめるに当たり、被担保債権の債務者の信用供与に関する方針の検証が行われていること。
チ 被担保債権の額と当該適格債権の額との差額には、回収費用、当該適格債権のプールにおける一の第三債務者の集中度合い、金庫のエクスポージャー全体の中の集中リスクその他の勘案すべき要素が全て織り込まれていること。
リ 被担保債権について、適切かつ継続的に監視を行っていること。
二 適格不動産担保の目的たる不動産(以下この号において「適格不動産」という。)の運用要件は、次に掲げるものをいう。
イ 担保権が、関連のある法域において適法かつ有効に成立し、当該担保の設定に関する契約の諸条項に従った強制執行が可能なものであって、適時かつ適切に登記されるものであること。
ロ 内部格付手法採用金庫が合理的な期間内に担保価値を実現し得るような担保の設定に関する契約及び当該契約を実行するための法的手続が設けられていること。
ハ 適格不動産の評価額が、評価日の公正な時価を上回るものではないこと。
ニ 年一回以上の頻度で適格不動産の担保価値が評価されており、かつ、適格不動産担保の担保価値が著しく低下したことを示す情報がある場合又はデフォルトその他の信用事由が発生した場合は、不動産鑑定士又は担保評価額の評価の精度が高いと認めるに足りる者により当該不動産が評価されること。
ホ 適格不動産の種別及び適格不動産を担保とする信用供与の方針(金利等の条件への勘案を含むが、これに限らない。)を明らかにした書類が整備されていること。
ヘ 適格不動産を損害や劣化から適切に保全するための措置が設けられていること。
ト 適格不動産について、内部格付手法採用金庫よりも優先される法的に有効な請求権(先順位の担保権を含む。)の設定額及びその内容が継続的に監視されていること。
チ 適格不動産に起因する環境保全に関する債務が発生するリスクを適切に監視していること。
リ イに掲げる要件を満たす劣後する担保権が設定されている場合は、ボラティリティ調整率を考慮した担保価値から全ての先順位の担保権を保有する者のエクスポージャーの額を控除した額(以下このリにおいて「先順位の担保権考慮後の担保価値」という。)を適格不動産の担保価値とすること。この場合において、同順位の担保権を保有する者がいるときは、先順位の担保権考慮後の担保価値を当該同順位の担保権を保有する者の担保権の設定額に応じて按分して得た額を適格不動産の担保価値とするものとする。
三 適格その他資産担保の目的たる資産(以下この号において「適格その他資産」という。)の運用要件は次に掲げる要件をいう。
イ 前号イからチまでに掲げる要件を満たすこと。この場合において、これらの規定中「適格不動産担保」とあるのは「適格その他資産担保」と、「不動産」とあるのは「資産」と、「適格不動産」とあるのは「適格その他資産」と、「登記」とあるのは「対抗要件が具備」と、「不動産鑑定士又は担保評価額の評価の精度が高いと認めるに足りる者により当該不動産」とあるのは「担保評価額の評価の精度が高いと認めるに足りる者により当該資産」と、「優先される法的に有効な請求権(先順位の担保権を含む。)」とあるのは「優先される法的に有効な請求権」と読み替えるものとする。
ロ 担保権の順位が第一順位であること。
ハ 適格その他資産担保の設定に関する契約において、担保の詳細、調査権及び内部格付手法採用金庫の求めに応じて担保価値が再評価されることについて記載されていること。
ニ 信用リスク管理指針において、内部格付手法採用金庫が評価の対象とする担保の種類並びにエクスポージャーの額に応じた適切な担保の額を定める方針及びその運用方法が記載されており、内部監査又は外部監査に利用できるように整備されていること。
ホ 適格その他資産を担保とする信用供与の方針が設けられており、かつ、当該方針において、エクスポージャーの額に応じて確保すべき担保の額、当該内部格付手法採用金庫が当該担保を迅速に処分する能力、処分可能価格又は市場価格を客観的に設定する能力、専門家による評価又は鑑定その他の評価額を速やかに入手できる頻度及び担保の評価額が変動する幅が考慮されていること。
ヘ 定期的な評価手続において、流行に左右されやすい特性を有する資産については、物理的な耐用年数の低下又は劣化のみならず、流行の変化又は旧式化に伴う資産価値の低下を考慮した下方修正が行われるように、特に注意が払われていること。
ト 原材料、仕掛品、完成品、自動車ディーラーの在庫品その他の在庫品又は機械設備を担保とする場合は、定期的な評価手続において、担保の実地調査が行われていること。
四 適格金融資産担保の目的たる資産の運用要件は、第五十八条、第六十一条から第六十三条まで、第六十五条及び第百四条から第百六条までに規定するものをいう。
6 第二項及び第三項の規定にかかわらず、担保資産の区分に応じて前項各号に規定する運用要件を満たす複数の担保が事業法人等向けエクスポージャーに設定されている場合は、次の算式により信用リスク削減手法の効果を勘案することができる。
LGD**は、複数の担保の信用リスク削減手法の効果を勘案したLGDをいう。
iは、設定された担保の担保資産の区分をいい、適格金融資産担保、適格債権担保、適格不動産担保又は適格その他資産担保をいう。
LGDSiは、設定された担保の担保資産の区分に応じ、第四項の規定により設定されるLGDSをいう。
ESiは、設定された担保の担保資産の区分に応じ、C・(1-HC-Hfx)により計算される値をいう。ただし、ΣiESiがE・(1+HE)を上回る場合にあっては、ΣiESiがE・(1+HE)と等しくなるよう、当該担保の担保資産の区分に応じて算出されるC・(1-HC-Hfx)を上限として値を調整するものとする。
7 第一項の規定にかかわらず、先進的内部格付手法を適用できる事業法人等向けエクスポージャーに該当する事業法人向けエクスポージャー(以下この条及び次条において「先進的内部格付手法を適用できる事業法人向けエクスポージャー」という。)の信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いる自金庫推計したLGDは、二十五パーセントを下回らないものとする。
8 前項の規定にかかわらず、先進的内部格付手法を適用できる事業法人向けエクスポージャーに適格金融資産担保又は適格資産担保が設定されている場合において、先進的内部格付手法採用金庫は、当該エクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いる自金庫推計したLGDの下限を、次の算式により算出した信用リスク削減手法の効果を勘案した値とすることができる。
LGDfloorは、信用リスク削減手法の効果を勘案したLGDの自金庫推計値の下限をいう。
LGDU floorは、二十五パーセント
LGDS floorは、次項の表に掲げる担保資産の区分に応じ、同表において設定される値をいう。
9 前項の算式を用いる場合において、先進的内部格付手法採用金庫は、次の表に掲げる担保資産の区分に応じ、同表の下欄に定める値をLGDS floorとして用いるものとする。
担保資産の区分 |
LGDS floor (パーセント) |
金融資産担保 |
零 |
債権担保 |
十 |
不動産担保 |
十 |
その他資産担保 |
十五 |
10 第五項の規定は、第八項の規定によりLGDの下限に信用リスク削減手法の効果を勘案する場合について準用する。この場合において、第五項中「基礎的内部格付手法採用金庫」とあるのは「先進的内部格付手法採用金庫」と、「事業法人等向けエクスポージャー(劣後債権を除く。)」とあるのは「先進的内部格付手法を適用できる事業法人向けエクスポージャー」と読み替えるものとする。
11 先進的内部格付手法を適用できる事業法人等向けエクスポージャーがレポ形式の取引又は信用取引その他これに類する海外の取引であって、適格金融資産担保の信用リスク削減効果を勘案する場合は、次条第二項の規定によりEADを算出するものとし、担保による信用リスク削減効果を勘案しないLGDを用いるものとする。
12 第二項から第五項までの規定は、先進的内部格付手法採用金庫が先進的内部格付手法を適用できる事業法人等向けエクスポージャーに該当しない事業法人等向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いるLGDを設定する場合について準用する。この場合において、これらの規定中「基礎的内部格付手法採用金庫」とあるのは「先進的内部格付手法採用金庫」と、「事業法人等向けエクスポージャー」とあるのは「事業法人等向けエクスポージャー(先進的内部格付手法を適用できる事業法人等向けエクスポージャーを除く。)」と、読み替えるものとする。
13 第二項から第五項までの規定は、先進的内部格付手法を適用できる事業法人等向けエクスポージャーのうち一部の事業単位又は資産区分において、LGDの推計に係る次節に定める最低要件を充足しない場合において、当該事業単位又は資産区分に含まれるエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いるLGDを設定する場合について準用する。この場合において、これらの規定中「基礎的内部格付手法採用金庫」とあるのは、「先進的内部格付手法採用金庫」と読み替えるものとする。
14 先進的内部格付手法採用金庫が、先進的内部格付手法を適用できる事業法人等向けエクスポージャーのうち、担保が設定されていないエクスポージャー(一部が担保により保全されているエクスポージャーのうち、担保により保全されていない部分を含む。)に適用するLGDの推計についてのみ、当該推計に係る次節に定める最低要件を充足する場合は、当該担保が設定されていないエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出において自金庫推計したLGDを用いることができる。この場合において、LGDの推計には担保の効果を勘案してはならず、先進的内部格付手法を適用できる事業法人向けエクスポージャーのLGDは二十五パーセントを下回らないものとする。
15 第三項から第五項までの規定は、前項の場合において先進的内部格付手法採用金庫が適格金融資産担保又は適格資産担保が設定されている先進的内部格付手法を適用できる事業法人等向けエクスポージャーのLGDを推計する場合について準用する。この場合において、これらの規定中「基礎的内部格付手法採用金庫」とあるのは「先進的内部格付手法採用金庫」と、第三項中「前項各号に掲げるエクスポージャーの区分に応じて設定される値をいう。第六項において同じ。」とあるのは「担保が設定されていないエクスポージャー(一部が担保により保全されているエクスポージャーのうち、担保により保全されていない部分を含む。)に適用する自金庫推計したLGD」と読み替えるものとする。
16 内部格付手法採用金庫は、前章第六節第四款に規定する簡便手法を用いて信用リスク削減効果を勘案しないものとする。
(平一九金庁厚労告二・令六金庁厚労告一・令七金庁厚労告二・一部改正)
(事業法人等向けエクスポージャーのEAD)
第百三十二条 事業法人等向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いるオン・バランス資産項目のEADは、当該エクスポージャーを全額償却した場合に減少する自己資本の額並びに個別貸倒引当金、部分直接償却額及びデフォルトした購入債権をディスカウントで購入した場合の当該ディスカウントの額(返金を要しないものに限る。)の合計額を下回らない額とする。
2 前項の規定にかかわらず、内部格付手法採用金庫は、第五十八条、第六十三条、第六十六条から第八十三条まで、第九十二条、第百二条及び第百四条から第百六条までの規定を準用し、次の各号に定める信用リスク削減手法の効果をEADで勘案することができる。この場合において、これらの規定中「標準的手法採用金庫」とあるのは、「内部格付手法採用金庫」と読み替えるものとする。
一 適格金融資産担保(レポ形式の取引及び信用取引その他これに類する海外の取引に限る。)
二 貸出金と自金庫預金の相殺
3 先進的内部格付手法採用金庫が先進的内部格付手法を適用できる事業法人等向けエクスポージャーのうち、リボルビング型エクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いるオフ・バランス資産項目のEADは、信用供与枠の未引出額に掛目の自金庫推計値を乗じた額又は信用供与枠から直接的に推計される額とする。ただし、基礎的内部格付手法採用金庫において百パーセントの掛目が適用される場合にあっては掛目として百パーセントを乗じた額とし、リボルビング型エクスポージャーに該当しない場合にあっては第五項に規定する方法により算出した額とする。
4 第一項及び前項の規定にかかわらず、先進的内部格付手法を適用できる事業法人向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いるオン・バランス資産項目及びオフ・バランス資産項目のEADの合計額は、オン・バランス資産項目のEADの合計額及び第四十九条に規定するオフ・バランス取引の与信相当額に五十パーセントを乗じて得た額の合計額を下限とする。
5 基礎的内部格付手法採用金庫が事業法人等向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いるオフ・バランス資産項目のEADは、信用供与枠の未引出額又は債務者の報告するキャッシュ・フローに応じた信用供与可能額の上限の存在その他の利用制限を勘案した額のいずれか低い方に第四十九条第一項の表の上欄に掲げる掛目を乗じて得た額をいう。ただし、信用供与枠を提供する約束がある場合には、内部格付手法採用金庫は、適用可能な掛目のうち低い方を適用するものとする。
6 事業法人等向けのリボルビング型エクスポージャーのオフ・バランス資産項目のうち、実行済みの信用供与のみが証券化取引の原資産として譲渡された場合には、内部格付手法採用金庫は、譲渡された当該実行済みの信用供与に対応する未実行部分の全てについて追加引出額の可能性を考慮してEADを推計し、当該EADを用いて信用リスク・アセットの額を算出するものとする。
7 第五十条(第二項及び第三項を除く。)から第五十二条の六までの規定は、事業法人等向けエクスポージャーのEADについて準用する。この場合において、これらの規定中「標準的手法採用金庫」とあるのは「内部格付手法採用金庫」と、第五十条第四項中「前三項」とあるのは「第一項」と読み替えるものとする。
8 第五項の規定は、先進的内部格付手法採用金庫が先進的内部格付手法を適用できる事業法人等向けエクスポージャーに該当しない事業法人等向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いるオフ・バランス資産項目のEADを推計する場合について準用する。この場合において、同項中「基礎的内部格付手法採用金庫」とあるのは「先進的内部格付手法採用金庫」と、「事業法人等向けエクスポージャー」とあるのは「事業法人等向けエクスポージャー(先進的内部格付手法を適用できる事業法人等向けエクスポージャーを除く。)」と読み替えるものとする。
9 第五項の規定は、先進的内部格付手法を適用できる事業法人等向けエクスポージャーのうち一部の事業単位又は資産区分がEADの推計に係る次節に定める最低要件を充足しない場合において、当該事業単位又は資産区分に含まれるエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いるEADを設定するときについて準用する。この場合において、同項中「基礎的内部格付手法採用金庫」とあるのは、「先進的内部格付手法採用金庫」と読み替えるものとする。
(平一九金庁厚労告二・平二二金庁厚労告四・平二五金庁厚労告一・平三〇金庁厚労告一・平三一金庁厚労告二・令六金庁厚労告一・一部改正)
(有価証券担保等のリスク・アセットの算出範囲)
第百三十二条の二 第六十条の二の規定は、内部格付手法採用金庫が有価証券の貸付又は有価証券による担保を提供する場合について準用する。この場合において、同条中「標準的手法採用金庫」とあるのは、「内部格付手法採用金庫」と読み替えるものとする。
(令六金庁厚労告一・追加)
(マチュリティ)
第百三十三条 事業法人等向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式に用いるマチュリティは、次に掲げる算式により算出された実効マチュリティとする。ただし、一年に満たない場合は一年とし、五年を超える場合は五年とする。
実効マチュリティ(M)=画像49 (1KB)
CFtは、期間tにおいて債務者が債権者に契約上支払いうるキャッシュ・フロー
2 内部格付手法採用金庫は、契約上の支払債務の実効マチュリティを算出することができない場合は、前項の算式に代えて、契約上定められた当該エクスポージャーの残存期間その他の保守的な値を用いることができる。
3 第一項ただし書の規定にかかわらず、次の各号に該当する短期のエクスポージャーのうち契約当初の満期が一年未満のものについては、一年の下限を適用しない。この場合において、マチュリティは、一日以上の実効マチュリティを用いるものとする。
一 レポ形式の取引(同種の取引のために一般に用いられている約定形態を満たすものに限る。)、コール取引その他の短期金融市場取引によるエクスポージャー
二 次に掲げる要件の全てを満たすその他資本市場取引によるエクスポージャー
イ 担保による十分な保全が継続されること。
ロ 毎営業日に時価評価を行うとともに担保額調整に服していることが、契約上定められていること。
ハ 相手方の期限の利益喪失時又は担保額調整に係る義務が履行されない場合に担保の速やかな処分又は相殺が可能であることが、契約上定められていること。
三 短期かつ流動性の高い貿易取引及び貿易関連の信用状取引その他これに類するもの
四 前号に含まれない短期かつ流動性の高い貿易関連偶発債務その他これに類するもの
五 有価証券等又は資金を決済するための取引(派生商品取引を除く。)によるエクスポージャー
4 前三項の規定にかかわらず、リボルビング型エクスポージャーに係る実効マチュリティは取引の契約が終了する日までの期間その他の保守的な値を用いるものとする。
5 派生商品取引又は第三項に規定する取引であって、法的に有効な相対ネッティング契約の適用を受けるものについては、第一項に定める実効マチュリティの算出に当たって、当該取引に係る想定元本額その他の名目額で加重平均したマチュリティを用いるものとする。
6 前項の規定にかかわらず、第三項に該当する取引のうち法的に有効な相対ネッティング契約の適用を受けるもののマチュリティは、第七十五条第二項第一号に規定する最低保有期間(当該相対ネッティング契約の適用対象に同号イからハまでに該当する個別取引のうち複数の最低保有期間に該当するものを含む場合にあっては、それらの個別取引の最低保有期間のうち最も長いものとする。)を下限とする。ただし、同号に定めのない場合には五日を下限とする。
7 内部格付手法採用金庫の事業法人等向けエクスポージャーのEADについて第五十二条から第五十二条の六までの規定を準用する場合には、事業法人等向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式に用いるマチュリティは、第一号に掲げる算式により算出された実効マチュリティとし、同号に掲げる実効EEtkは第二号に掲げる算式により算出された額とする。ただし、実効マチュリティが一年に満たない場合には一年とし、五年を超える場合には五年とする。
一 実効マチュリティ(M)=(画像51 (1KB)
実効EEtk×Δtk×dfk+画像52 (2KB)
EEtk×Δtk×dfk)/(画像53 (1KB)
実効EEtk×Δtk×dfk)
Δtkは、tk-tk-1
dfkは、将来の期間tkにわたるリスクフリー・レートによる割引率
EEtkは、将来の時点tkにおける期待エクスポージャー(ただし、EEt0はカレント・エクスポージャーとする。)
mは、エクスポージャーの額を計測する将来の時点tkのうち、一年を超えない最後の時点をtmとしたときのm
nは、エクスポージャーの額を計測する将来の時点tkのうち、満期の時点を超えない最後の時点をtnとしたときのn
二 実効EEtk=max(実効EEtk-1,EEtk)
実効EEt0は、カレント・エクスポージャー
8 前項の規定にかかわらず、ネッティング・セットを構成する全ての取引における最も長い満期が一年未満であり、かつ、全ての取引が第三項各号に掲げるものに係る取引である場合には、当該ネッティング・セットを一のエクスポージャーとみなして、第一項から第六項までの規定を適用する。
(平一九金庁厚労告二・平二二金庁厚労告四・平三〇金庁厚労告一・平三一金庁厚労告二・令六金庁厚労告一・一部改正)
第三款 リテール向けエクスポージャー
(居住用不動産向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額)
第百三十四条 居住用不動産向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額は、第百三十八条から第百四十条までに定めるPD、LGD及びEADを用いて、第一号に掲げる算式により、同号に掲げる算式に要する所要自己資本率(K)は、第二号に掲げる算式により算出する。
一 信用リスク・アセットの額=K×12.5×EAD
二 所要自己資本率(K)=[LGD×N{(1-R)-0.5×G(PD)+(R/(1-R))0.5×G(0.999)}-EL]
(相関係数(R)=0.15)
(適格リボルビング型リテール向けエクスポージャー)
第百三十五条 適格リボルビング型リテール向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額は、第百三十八条から第百四十条までに定めるPD、LGD及びEADを用いて、第一号に掲げる算式により、同号に掲げる算式に要する所要自己資本率(K)は、第二号に掲げる算式により算出する。
一 信用リスク・アセットの額=K×12.5×EAD
二 所要自己資本率(K)=[LGD×N{(1-R)-0.5×G(PD)+(R/(1-R))0.5×G(0.999)}-EL]
(相関係数(R)=0.04)
(その他リテール向けエクスポージャー)
第百三十六条 その他リテール向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額は、第百三十八条から第百四十条までに定めるPD、LGD及びEADを用いて、第一号に掲げる算式により、同号に掲げる算式に要する所要自己資本率(K)は、第二号に掲げる算式により、同号に掲げる算式に要する相関係数(R)は、第三号に掲げる算式により算出する。
一 信用リスク・アセットの額=K×12.5×EAD
二 所要自己資本率(K)=[LGD×N{(1-R)-0.5×G(PD)+(R/(1-R))0.5×G(0.999)}-EL]
三 相関係数(R)=0.03×((1-EXP(-35×PD))/(1-EXP(-35)))+0.16×{1-((1-EXP(-35×PD))/(1-EXP(-35)))}
(リテール向けエクスポージャーに保証又はクレジット・デリバティブが付された場合の取扱い)
第百三十七条 内部格付手法採用金庫は、リテール向けエクスポージャーに保証又はクレジット・デリバティブが付されている場合で、債務者の信用リスクが保証人又はプロテクション提供者に完全に代替されるときは、前三条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる保証人又はプロテクション提供者に対する直接のエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算出において適用される手法の区分に応じ、当該各号に定める方法により保証又はクレジット・デリバティブの効果を勘案することができる。
一 内部格付手法 被保証債権の被保証部分又は原債権のプロテクションが提供されている部分について、保証又はクレジット・デリバティブを勘案したPD又はLGDのいずれかを適用する方法
二 標準的手法 被保証債権の被保証部分又は原債権のプロテクションが提供されている部分について、当該保証人又はプロテクション提供者に対する直接のエクスポージャーとみなす方法
2 第五十八条、第九十三条から第九十七条まで及び第百条から第百七条までの規定は、内部格付手法採用金庫が前項(第二号に係る部分に限る。)の規定を適用する場合について準用する。この場合において、これらの規定中「標準的手法採用金庫」とあるのは、「内部格付手法採用金庫」と読み替えるものとする。
(平一九金庁厚労告二・令六金庁厚労告一・一部改正)
(リテール向けエクスポージャーのPD)
第百三十八条 リテール向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いるPDは、当該リテール向けエクスポージャー又は当該リテール向けエクスポージャーの属するプールに対応する一年間のデフォルト確率を百分率で表した推計値とする。
2 前項のリテール向けエクスポージャーのPDは、次の各号に掲げるエクスポージャーの区分に応じ、当該各号に定める値を下回らないものとする。
一 トランザクターに対する適格リボルビング型リテール向けエクスポージャー以外の適格リボルビング型リテール向けエクスポージャー 〇・一パーセント
二 前号に掲げるエクスポージャー以外のリテール向けエクスポージャー 〇・〇五パーセント
(令六金庁厚労告一・一部改正)
(リテール向けエクスポージャーのLGD)
第百三十九条 リテール向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いるLGDは、当該リテール向けエクスポージャー又は当該リテール向けエクスポージャーの属するプールについて、デフォルト時に生ずる経済的損失額のEADに対する割合を百分率で表した推計値とする。
2 リテール向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いるLGDは、次の各号に掲げるエクスポージャーの区分に応じ、当該各号に定める値を下回らないものとする。
一 居住用不動産向けエクスポージャー 五パーセント
二 適格リボルビング型リテール向けエクスポージャー 五十パーセント
三 その他リテール向けエクスポージャー 三十パーセント
3 前項第三号の規定にかかわらず、その他リテール向けエクスポージャーに適格金融資産担保又は適格資産担保が設定されている場合において、内部格付手法採用金庫は、当該エクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いる自金庫推計したLGDの下限を、次の算式により算出した信用リスク削減手法の効果を勘案した値とすることができる。
LGDRfloorは、信用リスク削減手法の効果を勘案したその他リテール向けエクスポージャーに適用されるLGDの自金庫推計値の下限をいう。
LGDRU floorは、三十パーセント
LGDRS floorは、次項の表に掲げる担保資産の区分に応じ、同表において設定される値をいう。
4 前項の算式を用いる場合において、内部格付手法採用金庫は、次の表に掲げる担保資産の区分に応じ、同表の下欄に定める値をLGDRS floorとして用いるものとする。
担保資産の区分 |
LGDRS floor (パーセント) |
金融資産担保 |
零 |
債権担保 |
十 |
不動産担保 |
十 |
その他資産担保 |
十五 |
5 第百三十一条第五項の規定は、内部格付手法採用金庫が第三項の規定によりLGDの下限に担保の信用リスク削減手法の効果を勘案する場合について準用する。この場合において、同条第五項中「基礎的内部格付手法採用金庫」とあるのは「内部格付手法採用金庫」と、「第三項」とあるのは「第百三十九条第三項」と、「事業法人等向けエクスポージャー」とあるのは「その他リテール向けエクスポージャー」と読み替えるものとする。
(令六金庁厚労告一・一部改正)
(リテール向けエクスポージャーのEAD)
第百四十条 リテール向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いるオン・バランス資産項目のEADは、当該リテール向けエクスポージャーを全額償却した場合に減少する自己資本の額並びに個別貸倒引当金、部分直接償却額及びデフォルトした購入債権をディスカウントで購入した場合の当該ディスカウントの額(返金を要しないものに限る。)の合計額を下回らない額とする。
2 リテール向けエクスポージャーのうち、リボルビング型エクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いるオフ・バランス資産項目のEADは、信用供与枠の未引出額に掛目の自金庫推計値を乗じた額又は自金庫推計した追加的な引出が行われ得る額とする。ただし、第四十九条において百パーセントの掛目が適用されるオフ・バランス資産項目にあっては当該未引出額に掛目として百パーセントを乗じた額、リボルビング型エクスポージャーに該当しない場合にあっては当該未引出額に同条第一項の表の中欄に掲げるオフ・バランス取引の種類一から六までに応じた掛目を乗じた額とする。
3 前二項の規定にかかわらず、リテール向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額の算式及び期待損失の算出に用いるオン・バランス資産項目及びオフ・バランス資産項目のEADの合計額は、オン・バランス資産項目のEADの合計額及び第四十九条に規定するオフ・バランス取引の与信相当額の合計額に五十パーセントを乗じて得た額の合計額を下限とする。
4 リテール向けのリボルビング型エクスポージャーのオフ・バランス資産項目のうち、実行済みの信用供与のみが証券化取引の原資産として譲渡された場合には、内部格付手法採用金庫は、譲渡された当該実行済みの信用供与に対応する未実行部分の全てについて追加引出額の可能性を考慮してEADを推計し、当該EADを用いて信用リスク・アセットの額を算出するものとする。
5 第五十条(第二項及び第三項を除く。)から第五十二条の六までの規定は、リテール向けエクスポージャーのEADについて準用する。この場合において、これらの規定中「標準的手法採用金庫」とあるのは「内部格付手法採用金庫」と、第五十条第四項中「前三項」とあるのは「第一項」と読み替えるものとする。
6 内部格付手法採用金庫は、リテール向けエクスポージャーのEADの推計において貸出金と自金庫預金との相殺の効果を勘案することができる。
7 第五十八条、第九十二条及び第百四条から第百六条までの規定は、内部格付手法採用金庫が前項の規定により貸出金と自金庫預金の相殺の効果を勘案する場合について準用する。この場合において、これらの規定中「標準的手法採用金庫」とあるのは、「内部格付手法採用金庫」と読み替えるものとする。
(平二二金庁厚労告四・平二五金庁厚労告一・平三〇金庁厚労告一・平三一金庁厚労告二・令六金庁厚労告一・一部改正)
第四款 株式等エクスポージャー
(株式等エクスポージャーの信用リスク・アセットの額)
第百四十一条 第四十七条第一項及び第三項の規定は、内部格付手法採用金庫が株式等エクスポージャーの信用リスク・アセットの額を算出する場合について準用する。この場合において、同条第一項中「株式及び株式と同等の性質を有するものに対するエクスポージャー(第四十七条の五の規定によりリスク・ウェイトを判定するエクスポージャーを除く。)」とあるのは、「株式等エクスポージャー(第百四十二条の規定によりリスク・ウェイトを判定するエクスポージャーを除く。)」と読み替えるものとする。
(令六金庁厚労告一・全改)
第五款 信用リスク・アセットのみなし計算
(内部格付手法採用金庫における信用リスク・アセットのみなし計算)
第百四十二条 内部格付手法採用金庫は、保有エクスポージャーの信用リスク・アセットの額を直接に算出することができないときには、当該保有エクスポージャーの信用リスク・アセットの額をこの条に規定するところにより算出するものとする。
2 内部格付手法採用金庫は、保有エクスポージャーの裏付けとなる資産等のエクスポージャーに関する情報が、次に掲げる要件の全てを満たすときには、当該エクスポージャーの額に当該裏付けとなる資産等の信用リスク・アセットの総額を当該裏付けとなる資産等を実際に保有する事業体の総資産の額で除して得た割合を乗じて得た額を、当該保有エクスポージャーの信用リスク・アセットの額として用いるものとする。
一 当該内部格付手法採用金庫により十分かつ頻繁に取得されていること。
二 独立した第三者により検証されていること。
3 前項の場合において、内部格付手法採用金庫が保有エクスポージャーの裏付けとなる資産等の信用リスク・アセットの総額を算出するに当たっては、当該内部格付手法採用金庫を当該裏付けとなる資産等を直接保有する者とみなして、第百二十六条の規定を準用する。この場合において、同条中「掲げる額の合計額」とあるのは「掲げる額(第四号に掲げる額を除く。)の合計額」と、同条第一号中「信用リスク・アセットの額を含む」とあるのは「信用リスク・アセットの額を含むものとし、第二百四十六条の二第二項各号に掲げる者以外の者を取引相手方とする派生商品取引については、第百三十二条第七項又は第百四十条第五項の規定により算出されるEADに一・五を乗じて得た額を当該派生商品取引のEADとして算出した信用リスク・アセットの額とする」と、同条第二号中「と読み替える」とあるのは「と、同項第一号中「与信相当額」とあるのは「与信相当額(当該派生商品取引に第二百四十六条の二第二項各号に掲げる者以外の者を取引相手方とする派生商品取引が含まれている場合にあっては、オフ・バランス取引の与信相当額、当該派生商品取引の与信相当額に一・五を乗じて得た額及び当該派生商品取引以外の派生商品取引の与信相当額並びに長期決済期間取引の与信相当額)」と読み替える」と読み替えるものとする。
4 内部格付手法採用金庫が前項の規定により保有エクスポージャーの裏付けとなる資産等の信用リスク・アセットの総額を算出するに当たっては、当該保有エクスポージャーの裏付けとなる資産等に含まれる証券化エクスポージャーの信用リスク・アセットの額は次章第二節第二款第三目に規定する外部格付準拠方式により算出するものとする。
5 内部格付手法採用金庫は、第二項の場合において、保有エクスポージャーの裏付けとなる資産等の信用リスク・アセットの総額を算出しようとしたにもかかわらず、同項第一号に掲げる要件のみを満たすことができず、かつ、当該裏付けとなる資産等のエクスポージャーに関する情報が第三者により十分かつ頻繁に取得されているときには、当該第三者により判定されたリスク・ウェイトを当該エクスポージャーに適用して当該総額を算出することができる。
6 前項の規定により保有エクスポージャーの裏付けとなる資産等の信用リスク・アセットの総額を算出する場合にあっては、当該裏付けとなる資産等のエクスポージャーの信用リスク・アセットの額を、次の各号に掲げる当該エクスポージャーの区分に応じ、当該各号に定めるところにより算出するものとする。
一 株式等エクスポージャー 前項の第三者を当該株式等エクスポージャーを直接保有する内部格付手法採用金庫とみなして、第百二十六条の規定(第一号に係る部分に限る。)を準用する。この場合において、同条中「次に掲げる額の合計額」とあるのは、「第一号に掲げる額(当該額の算出に当たっては、個々の資産及び取引に適用するリスク・ウェイトに一・二を乗じる調整を行うものとする。)」と読み替えるものとする。
二 証券化エクスポージャー 前項の第三者を当該証券化エクスポージャーを直接保有する内部格付手法採用金庫とみなして、第百二十六条の規定(第三号に係る部分に限る。)を準用する。この場合において、同号中「信用リスク・アセットの額」とあるのは、「信用リスク・アセットの額(当該額の算出に当たっては、同章第二節第二款第三目に規定する外部格付準拠方式によりリスク・ウェイトを算出するものとし、当該リスク・ウェイトに一・二を乗じる調整を行うものとする。)」と読み替えるものとする。
三 前二号に掲げるエクスポージャー以外のエクスポージャー 前項の第三者を当該エクスポージャーを直接保有する標準的手法採用金庫とみなして、第十九条第一項の規定を準用する。この場合において、同項中「額の合計額をいう」とあるのは「額(第三号に掲げる額を除く。)の合計額とし、当該合計額の算出に当たっては、個々の資産及び取引に適用するリスク・ウェイトに一・二を乗じる調整を行うものとする」と、「同節」とあるのは「当該リスク・ウェイトに一・二を乗じて得た値をリスク・ウェイトとして用いた上で、同節」と、同項第一号中「与信相当額」とあるのは「与信相当額(当該派生商品取引に第二百四十六条の二第二項各号に掲げる者以外の者を取引相手方とする派生商品取引が含まれている場合にあっては、オフ・バランス取引の与信相当額、当該派生商品取引の与信相当額に一・五を乗じて得た額及び当該派生商品取引以外の派生商品取引の与信相当額並びに長期決済期間取引の与信相当額)」と読み替えるものとする。
7 内部格付手法採用金庫は、第二項各号に掲げる要件を満たすことができないときであって、資産運用基準が明示されているときには、保有エクスポージャーの額に、当該資産運用基準に基づき最大となるように算出した保有エクスポージャーの裏付けとなる資産等の信用リスク・アセットの総額を当該裏付けとなる資産等を実際に保有する事業体の総資産の額で除して得た割合を乗じて得た額を、当該保有エクスポージャーの信用リスク・アセットの額とすることができる。
8 前項の場合において、内部格付手法採用金庫が保有エクスポージャーの裏付けとなる資産等の信用リスク・アセットの総額を算出するに当たっては、同項の資産運用基準に基づき信用リスク・アセットの総額が最大となる裏付けとなる資産等の構成を想定するものとし、当該裏付けとなる資産等のエクスポージャーの信用リスク・アセットの額を、当該構成における次の各号に掲げる裏付けとなる資産等のエクスポージャーの区分に応じ、当該各号に定めるところにより算出するものとする。
一 株式等エクスポージャー 当該内部格付手法採用金庫を当該株式等エクスポージャーを直接保有する者とみなして、第百二十六条の規定(第一号に係る部分に限る。)を準用する。この場合において、同条中「次に掲げる額の合計額」とあるのは、「第一号に掲げる額」と読み替えるものとする。
二 証券化エクスポージャー 当該内部格付手法採用金庫を当該証券化エクスポージャーを直接保有する者とみなして、第百二十六条の規定(第三号に係る部分に限る。)を準用する。この場合において、同号中「信用リスク・アセットの額」とあるのは、「信用リスク・アセットの額(当該額の算出に当たっては、同章第二節第二款第三目に規定する外部格付準拠方式によりリスク・ウェイトを算出するものとする。)」と読み替えるものとする。
三 前二号に掲げるエクスポージャー以外のエクスポージャー 当該内部格付手法採用金庫を当該エクスポージャーを直接保有する標準的手法採用金庫とみなして、第十九条第一項の規定を準用する。この場合において、同項中「額の合計額をいう」とあるのは「額(第三号に掲げる額を除く。)の合計額をいう」と、同項第一号中「与信相当額」とあるのは「与信相当額(当該派生商品取引に第二百四十六条の二第二項各号に掲げる者以外の者を取引相手方とする派生商品取引が含まれている場合にあっては、オフ・バランス取引の与信相当額、当該派生商品取引の与信相当額に一・五を乗じて得た額及び当該派生商品取引以外の派生商品取引の与信相当額並びに長期決済期間取引の与信相当額)」と読み替えるものとする。
9 内部格付手法採用金庫が、第二項又は第七項の規定により保有エクスポージャーの信用リスク・アセットの額を算出するときには、次の各号に掲げる割合に当該各号に定める値を乗じる調整を行った上で信用リスク・アセットの額を算出するものとする。ただし、当該調整の結果として得られる割合が千二百五十パーセントを超える場合には、当該割合は、千二百五十パーセントとする。
一 第二項の割合 事業体の総資産の額を純資産の額で除して得た値
二 第七項の割合 前号に定める値であって、資産運用基準において許容される最大のもの
10 内部格付手法採用金庫は、第二項各号に掲げる要件を満たすことができず、かつ、第七項の適用を受けることができないときであって、保有エクスポージャーのリスク・ウェイトについて、次の各号に掲げる比率である蓋然性が高いことを疎明したときには、当該各号に定めるリスク・ウェイトを当該保有エクスポージャーに用いて信用リスク・アセットの額を算出することができる。
一 二百五十パーセント以下 二百五十パーセント
二 二百五十パーセントを超え四百パーセント以下 四百パーセント
11 内部格付手法採用金庫は、第二項各号に掲げる要件を満たすことができず、かつ、第七項及び前項の適用を受けることができないときには、保有エクスポージャーに千二百五十パーセントのリスク・ウェイトを用いて信用リスク・アセットの額を算出するものとする。
(平三一金庁厚労告二・全改、令六金庁厚労告一・一部改正)
第六款 購入債権
(購入債権に関連する定義)
第百四十三条 この款において、ELとは、購入債権のプールに含まれるエクスポージャーの総額に対するデフォルト・リスク部分に相当する期待損失率をいう。
2 この款において、デフォルト・リスクとは、購入債権がデフォルトするリスクをいう。
(購入債権の信用リスク・アセットの額)
第百四十四条 購入債権の信用リスク・アセットの額は、第百二十七条から第百四十条までの規定にかかわらず、デフォルト・リスク相当部分の信用リスク・アセットの額と希薄化リスク相当部分の信用リスク・アセットの額の合計額とする。ただし、希薄化リスク相当部分が重要でない場合は、デフォルト・リスク相当部分の信用リスク・アセットの額とすることができる。
(適格購入事業法人等向けエクスポージャーのデフォルト・リスク相当部分の信用リスク・アセットの額)
第百四十五条 第百二十七条、第百三十条及び第百三十一条の規定は、購入事業法人等向けエクスポージャーのデフォルト・リスク相当部分の信用リスク・アセットの額の算出について準用する。この場合において、第百二十七条、第百三十条及び第百三十一条中「信用リスク・アセットの額」とあるのは「デフォルト・リスク相当部分の信用リスク・アセットの額」と読み替えるものとする。
2 基礎的内部格付手法採用金庫は、適格購入事業法人等向けエクスポージャーのPD推計が困難である場合で、かつ、当該エクスポージャーの属する適格購入事業法人等向けエクスポージャーのプールに劣後債権が含まれない場合には、当該適格購入事業法人等向けエクスポージャーのデフォルト・リスク相当部分の信用リスク・アセットの額を算出するに当たって、第百三十条に定めるPDに代えて、適格購入事業法人等向けエクスポージャープールに対応する一年間のデフォルト確率を百分率で表した推計値(ただし、〇・〇五パーセントを下回らないものとする。)又はELを四十パーセントで除した値をPDとし、LGDを四十パーセントとすることができる。
3 基礎的内部格付手法採用金庫は、適格購入事業法人等向けエクスポージャーのPD推計が困難である場合で、かつ、当該エクスポージャーの属するエクスポージャーのプールに劣後債権が含まれうる場合は、第百三十条の規定にかかわらず、当該適格購入事業法人等向けエクスポージャーのデフォルト・リスク相当部分の信用リスク・アセットの額を算出するに当たって、PDの自金庫推計値に代えてELをPDとし、LGDを百パーセントとすることができる。
4 先進的内部格付手法採用金庫は、第百三十一条の規定にかかわらず、適格購入事業法人等向けエクスポージャーのデフォルト・リスク相当部分の信用リスク・アセットの額を算出するに当たって、LGDの自金庫推計値に代えて適格購入事業法人等向けエクスポージャープールに対応する長期的な損失率(以下「長期的な損失率」という。)をPDで除した値を用いることができる。ただし、長期的な損失率をPDで除して得た値は、第百九十二条第一項に定める長期平均デフォルト時損失率を下回らないものとする。
5 先進的内部格付手法採用金庫は、第百三十条の規定にかかわらず、適格購入事業法人等向けエクスポージャーのデフォルト・リスク相当部分の信用リスク・アセットの額を算出するに当たって、PDの自金庫推計値に代えて長期的な損失率をLGDで除した値をPDとすることができる。
6 購入事業法人等向けエクスポージャーのデフォルト・リスクに係るEADは、第百三十二条に定める額(以下この節において「購入事業法人等向けエクスポージャーに係るEADdilution」という。)から希薄化リスク相当部分の信用リスク・アセットの額に八パーセントを乗じて得た額及び購入事業法人等向けエクスポージャーに係るEADdilutionにELdilutionを乗じた額の合計額(以下この条において「希薄化リスクに係る所要自己資本の額」という。)を除いた額とする。
7 リボルビング型購入債権に係る信用供与枠の未引出額に係るEADは、信用供与枠の未引出額に四十パーセントを乗じた額から希薄化リスクに係る所要自己資本の額を除いた額とする。ただし、零を下回る場合は零とする。
8 内部格付手法採用金庫が、トップ・ダウン・アプローチを用いて適格購入事業法人等向けエクスポージャーの信用リスク・アセットの額を算出する場合は、当該適格購入事業法人等向けエクスポージャーの実効マチュリティ(M*)は、当該適格購入事業法人等向けエクスポージャーの属する適格購入事業法人等向けエクスポージャープール内の個々の適格購入事業法人等向けエクスポージャーごとに第百三十三条に基づき算出された実効マチュリティ(M)を算出し、適格購入事業法人等向けエクスポージャーの残高で加重平均した期間とする。
9 前項及び第百三十三条の規定にかかわらず、リボルビング型購入債権に係る信用供与枠の未引出額に係る実効マチュリティは、コミットメントの残存期間にリボルビング型購入債権の売買契約において今後引き出され得る債権のうち譲り受け得る債権について考えられる最も長いマチュリティを有する債権のマチュリティと購入債権に係る信用供与枠のマチュリティを合計した期間とする。ただし、誓約条項、早期償還条項の設定、その他当該信用供与枠の設定期間にわたってリボルビング型購入債権の売買契約に基づき内部格付手法採用金庫が将来譲り受ける購入債権の質が重大に低下することを防止する措置が設けられている場合は、前項に規定する当該適格購入事業法人等向けエクスポージャーのマチュリティを当該信用供与枠の未引出額に係るマチュリティとすることができる。
(平一九金庁厚労告二・平三一金庁厚労告二・令六金庁厚労告一・一部改正)
(購入リテール向けエクスポージャーのデフォルト・リスク相当部分の信用リスク・アセットの額)
第百四十六条 第百三十四条から第百三十六条まで及び第百三十八条から第百四十条までの規定は、購入リテール向けエクスポージャーのデフォルト・リスク相当部分の信用リスク・アセットの額の算出について準用する。この場合において、第百三十四条から第百三十六条まで及び第百三十八条から第百四十条までの規定中「信用リスク・アセットの額」とあるのは「デフォルト・リスク相当部分の信用リスク・アセットの額」と読み替えるものとする。
2 購入リテール向けエクスポージャーのデフォルト・リスクに係るEADは、第百四十条に定める額(以下この節において「購入リテール向けエクスポージャーに係るEADdilution」という。)から希薄化リスク相当部分の信用リスク・アセットの額に八パーセントを乗じて得た額及び購入リテール向けエクスポージャーに係るEADdilutionにELdilutionを乗じて得た額の合計額を控除した額とする。
3 第一項において、購入リテール向けエクスポージャーのプールに複数の資産区分に該当する資産が含まれる場合、当該プールはデフォルト・リスク相当部分の信用リスク・アセットの額が最大となる資産区分(当該プールに含まれるものに限る。)のみで構成されているものとみなす。
(購入債権の希薄化リスク相当部分の信用リスク・アセットの額)
第百四十七条 第百二十七条第一項の規定は、購入債権に係る希薄化リスク相当部分の信用リスク・アセットの額の算出について準用する。この場合において、同項中「信用リスク・アセットの額」とあるのは「希薄化リスク相当部分の信用リスク・アセットの額」と読み替えるものとする。
2 前項の算出に用いるPDは、ELdilutionとする。
3 第一項の算出に用いるLGDは、百パーセントとする。
4 第一項の算出に用いるEADは、購入事業法人等向けエクスポージャーに係るEADdilution又は購入リテール向けエクスポージャーに係るEADdilutionとする。
5 第一項の算出に用いるマチュリティは、一年とする。
(購入債権における保証の取扱い)
第百四十八条 保証人が購入債権に係る希薄化リスク及びデフォルト・リスクの双方を全部又は一部保証している場合は、保証人に対する信用リスク・アセットを被保証部分に係る信用リスク・アセットとすることができる。
2 保証人が購入債権に係る希薄化リスク又はデフォルト・リスクのいずれか一方を全部又は一部保証している場合は、保証人に対するリスク・ウェイトを被保証部分に係るリスク・ウェイトとする。
3 第五十八条、第九十三条及び第九十四条の規定は、前二項の場合に準用する。この場合において、「標準的手法採用金庫」とあるのは「内部格付手法採用金庫」と読み替えるものとする。
4 購入債権の価額がディスカウントされている場合であって、次の各号に掲げる事由に該当するときは、当該各号に定める方法により信用リスク・アセットの額を算出することができる。
一 デフォルト・リスク又は希薄化リスクから生じる損失額について最劣後の信用補完を提供するために購入債権の価額がディスカウントされている場合で、ディスカウントされた額から当該損失額を差し引いた額(正の値をとる場合に限る。)を当該購入債権の譲渡人に対し返還することが約定されている 購入債権のディスカウント部分を証券化取引における最劣後部分として取り扱う方法
二 購入時点においてデフォルトしていた購入債権の価額がディスカウントされている場合で、ディスカウントされた額から当該債権から生じた損失額を差し引いた額(正の値をとる場合に限る。)を当該債権の譲渡人に対し返還することが約定されていないとき 当該債権の第百二十四条に定める期待損失額を超えない部分に限り、ディスカウント部分を適格引当金と認識する方法
5 購入債権のデフォルト・リスク又は希薄化リスクから生じる損失額について最劣後の信用補完を提供するために購入債権を被担保債権とする担保、部分的な保証その他の信用リスク削減手法が付されている場合には、内部格付手法採用金庫は、当該信用リスク削減手法が適用される資産の信用リスク・アセットの額を計算するに当たって、証券化取引が行われたものとみなし、最劣後部分に対して信用リスク削減手法が提供されたものとして取り扱うことができる。ただし、信用リスク削減手法がデフォルト・リスク及び希薄化リスクから生じる損失額について最劣後の信用補完を提供する場合で、証券化取引が行われたものとみなして信用リスク・アセットの額を算出する証券化エクスポージャーについて、次章第二節第二款第二目に規定する内部格付手法準拠方式を用いてリスク・ウェイトを算出するときは、第二百三十三条第五項の規定にかかわらず、裏付資産の加重平均LGD(LGD)は、次の算式により算出する値をいうものとする。
LGD=(デフォルト・リスクに係る所要自己資本の額/購入債権に係る所要自己資本の額)×(デフォルト・リスクに係る第二百三十三条第五項に定めるLGD)+(希薄化リスクに係る所要自己資本の額/購入債権に係る所要自己資本の額)×(百パーセント)
6 購入債権に係る取引が第四項第一号に掲げる事由に該当する場合であって、内部格付手法採用金庫が同号に規定する譲渡人であるときは、当該内部格付手法採用金庫は、譲渡した債権のディスカウント部分を証券化取引における最劣後部分として取り扱うものとする。
(平二五金庁厚労告一・平三一金庁厚労告二・令六金庁厚労告一・一部改正)
第七款 リース取引
(リース取引に関連する定義)
第百四十九条 この章において、リース取引とは、特定の物件(以下この款において「リース物件」という。)の所有者たる貸主(以下この款において「レッサー」という。)が当該リース物件の借主(以下この款において「レッシー」という。)に対し合意された期間(以下この款において「リース期間」という。)にわたりこれを使用収益する権利を与え、レッシーが合意された使用料(以下この款において「リース料」という。)をレッサーに支払う取引をいう。
2 この章において、残価リスクとは、リース期間の終了日におけるリース物件の公正な市場価額が見積残存価額を下回ることにより、レッサーがその差額を損失として被るリスクをいう。
3 この章において、見積残存価額とは、リース期間終了時におけるリース物件の額としてレッサーがリース期間の開始日に見積もった額をいう。
(リース料に係る信用リスク・アセットの額)
第百五十条 リース料に係る信用リスク・アセットの額は、第二款及び第三款の規定にかかわらず、リース料からレッサーがリース期間の開始日に利息相当額として合理的に見積った額を控除した額をEAD、リース期間をマチュリティ(M)とし、レッシーに対応するPD、LGD及び売上高(第一条第五十号ただし書に掲げる場合は総資産。)(S)を用いて算出する。ただし、マチュリティ(M)については、リース期間に代えて、リース料から利息相当額を控除した額について、第百三十三条第一項に基づいて計算を行うことを妨げない。
(残価リスクが無い場合の取扱い)
第百五十一条 内部格付手法採用金庫は、リース取引において残価リスクが無い場合は、次に掲げる要件を満たすときに限り、レッシー向けのエクスポージャーにリース物件が担保に付されているものとして扱うことができる。
一 リース物件の所在、用途、経過年数及び陳腐化への対応策についてレッサーが堅固なリスク管理を行っていること。
二 レッサーをリース物件の所有者とし、レッサーが所有者としての権利を適時に行使できるようにするような強固な法的枠組みがあること。
三 リース物件の減価償却による価値の減少率とリース料の元本相当部分のリース料支払による減少率の差違は、当該リース物件による信用リスク削減手法の効果を過大に勘案するほど大きなものでないこと。
四 適格その他資産担保の運用要件を満たしていること。
(見積残存価額部分に係る信用リスク・アセットの額)
第百五十二条 リース取引においては、見積残存価額に係る信用リスク・アセットの額は、当該見積残存価額に百パーセントを乗じた額とする。
2 第百二十八条第一項の規定は、見積残存価額に係る信用リスク・アセットについて準用する。この場合において、「事業法人等向けエクスポージャー」とあり、「被保証債権」とあり、及び「原債権」とあるのは「見積残存価額」と読み替えるものとする。
(平一九金庁厚労告二・平一九金庁厚労告一二・一部改正)
第八款 未決済取引
(未決済取引)
第百五十三条 内部格付手法採用金庫は、同時決済取引について経過営業日数が五日以上となった場合は、当該取引の再構築コストをEADとして次の第一号に掲げる算式により算出した額を当該取引の信用リスク・アセットの額として計上するものとする。この場合において、同号に掲げる算式の算出に要する所要自己資本率(K)は第二号による率とする。
一 信用リスク・アセットの額=K×12.5×EAD
二 所要自己資本率(K)は次の表の上欄に掲げる経過営業日数に応じ同表の下欄に定めるものとする。