添付一覧
○消費生活協同組合における共済計理人の確認の基準
(平成二十一年十月十五日)
(厚生労働省告示第四百四十五号)
消費生活協同組合法施行規則(昭和二十三年大蔵省令、法務庁令、厚生省令、農林省令第一号)第百九十四条の規定に基づき、消費生活協同組合における共済計理人の確認の基準を次のように定め、平成二十一年四月一日以後に開始する事業年度に係る事項に関する共済計理人の職務について適用する。
消費生活協同組合における共済計理人の確認の基準
(定義)
第一条 この告示において「確認業務」とは、共済計理人が消費生活協同組合法施行規則(以下「規則」という。)第百九十四条の規定により確認を行うことをいう。
2 この告示において「基礎率」とは、共済事故の発生率その他の確認業務において将来の収支を推計するに当たって前提として用いる係数をいう。
3 この告示において「基準時点」とは、意見書(消費生活協同組合法(昭和二十三年法律第二百号。以下「法」という。)第五十条の十二第一項に規定する意見書をいう。以下同じ。)の対象となる事業年度の末日をいう。
4 この告示において「シナリオ」とは、将来に向けての基礎率の推移を推計したものをいう。
5 この告示において「無リスク利回り」とは、元本及び利息が保証された金融商品の利回りをいう。
6 この告示において「基準時点の利付国庫債券(十年)応募者利回り」とは、基準時点前の直近に発行された利付国庫債券(十年)をその発行時から償還時まで保有した場合において得られる利回りをいう。
7 この告示において「基準時点の利付国庫債券(二十年)応募者利回り」とは、基準時点前の直近に発行された利付国庫債券(二十年)をその発行時から償還時まで保有した場合において得られる利回りをいう。
8 この告示において「直近年度」とは、意見書の対象となる事業年度をいう。
9 この告示において「第三分野共済の共済契約」とは、傷害共済契約(規則第十四条第一項第七号に規定する傷害共済契約をいう。以下同じ。)又は損害共済契約(規則第十四条第一項第六号に規定する損害共済契約をいう。)のうち傷害共済契約に係る再共済契約であつて、元受共済契約(共済契約のうち再共済契約以外のものをいう。)に係る全ての共済責任が移転され、かつ、当該共済責任の全部に相当する責任準備金(規則第百七十九条第一項の規定に基づき積み立てられた責任準備金をいう。以下同じ。)が積み立てられるものをいう。
10 この告示において「負債十分性テスト」とは、別表に掲げる基準により、将来の収支を想定し、責任準備金の積立てを将来にわたって維持できるかを確認することをいう。
(平二八厚労告八二・平三〇厚労告一六四・平三〇厚労告三七二・一部改正)
(確認業務)
第二条 共済計理人は、次の各号に掲げるところにより確認業務を実施するものとする。
一 監事(会計監査人監査組合(規則第七十二条第一項に規定する会計監査人監査組合をいう。)にあっては、監事及び会計監査人)と協力し、双方の職務の遂行のために必要な情報の交換に努めること。
二 確認業務の前提としている仮定が著しく変化した場合は、記載内容について責任を負えない旨を意見書に記載すること。
三 データの不足等により十分な分析ができなかった場合は、一定の制約の下で意見を作成した旨を意見書に記載すること。
四 その他分析の方法、結果又はその評価に関し重要な内容がある場合は、意見書又は附属報告書(規則第百九十六条第二項に規定する附属報告書をいう。以下同じ。)にその内容を記載すること。
五 その他実務として適切と認められる共済の数理の方法を用いること。
(責任準備金の積立ての確認)
第三条 共済計理人は、法第五十条の十二第一項第一号に掲げる事項についての将来収支分析(以下「一号収支分析」という。)を行うことにより、将来の共済事故の発生率、資産の状況等を考慮して責任準備金の積立水準が十分であることを確認しなければならない。
2 共済計理人は、前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる共済契約の責任準備金については一号収支分析を行わないことができる。
一 共済掛金積立金(規則第百七十九条第一項第一号の共済掛金積立金をいう。)を積み立てることを要しない共済契約
二 共済事業規約(法第二十六条の三第一項の規約をいう。以下同じ。)において、組合が責任準備金及び共済掛金の計算の基礎となる予定利率を変更できる旨を約してある共済契約
3 共済計理人は、共済契約の内容、資産の状況その他の共済事業の特性及び社会経済情勢の動向を勘案し、必要があると認められるときは、一号収支分析に代えて、共済の数理に照らして合理的な別の方法により、責任準備金の積立水準が十分であることを確認することができる。この場合において、共済計理人は、その旨を意見書に記載するとともに、一号収支分析に代えて別の方法により確認することが適切であることの根拠を附属報告書に記載しなければならない。
(平三〇厚労告三七二・一部改正)
(一号収支分析の実施)
第四条 一号収支分析は毎事業年度行うものとし、一号収支分析が対象とする期間(第六条及び第七条において「一号分析期間」という。)は、基準時点から少なくとも十年間及び基準時点から全ての共済契約が消滅するまでの期間(以下「全期間」という。)の二種類とする。
2 共済計理人が合理的であると判断する場合は、前項の規定にかかわらず、全期間ではない期間を一号分析期間とすることができる。この場合において、共済計理人は、全期間に代えて、全期間ではない期間を一号分析期間とする旨及びそれが適切であることの根拠を附属報告書に記載しなければならない。
3 前項の規定により全期間ではない期間を一号分析期間とする場合における第六条第六項、第七条第一項第三号及び同条第七項の規定の適用については、これらの規定中「全期間」とあるのは、「第四条第二項において規定する一号分析期間」とする。
4 一号収支分析は、共済事業の種類ごとに行うものとする。
5 共済計理人が特に必要と判断する場合は、前項の規定にかかわらず、更に細分化した共済契約の群団ごとに一号収支分析を行うことができる。この場合において、共済計理人は、更に細分化した共済契約の群団ごとに一号収支分析を行う旨及びそれが適切であることの根拠を附属報告書に記載しなければならない。
6 共済計理人が合理的であると判断する場合は、第三項の規定にかかわらず、複数の共済事業の種類をまとめて一号収支分析を行うことができる。この場合において、共済計理人は、複数の共済事業の種類をまとめて一号収支分析を行う旨及びそれが適切であることの根拠を附属報告書に記載しなければならない。
(平三〇厚労告一六四・一部改正)
(一号収支分析の方法)
第五条 一号収支分析は、次の各号のいずれかの方法により行うものとする。
一 経済環境、事業環境及び共済契約の推進、資産運用等の事業の運営方針並びにそれらの相関関係を考慮し、確率論的な手法により作成したシナリオのもとに将来の収支を予測することによって、組合が将来の共済金等の支払能力を維持し得るかどうかを判断する方法
二 確率論的な手法以外の手法により作成した複数のシナリオのもとに将来の収支を予測することによって、組合が将来の共済金等の支払能力を維持し得るかどうかを判断する方法
(一号収支分析の前提)
第六条 前条第一号の方法による分析(以下「確率論的一号収支分析」という。)の前提は、次の各号に規定するところにより設定しなければならない。
一 利回りに関するシナリオは、責任準備金として積み立てるべき合理的な水準を判断するために、将来の利回りを予測する適切な方法に基づいて、十分な数を作成すること。
二 新契約(組合が一号分析期間の期初以降に新たに締結する契約をいう。以下この条において同じ。)に係る契約高、共済契約の継続率、共済事故の発生率、事業経費、外貨建資産(責任準備金の通貨と異なる通貨建の資産をいう。以下同じ。)の資産運用収益、資産配分等資産運用の状況、割戻金の状況並びに価格変動準備金(法第五十条の九第一項に規定する価格変動準備金をいう。以下同じ。)及び異常危険準備金(規則第百七十九条第一項第三号に規定する異常危険準備金をいう。以下同じ。)の繰入れに関するシナリオは、過去の実績値及び将来の変化を勘案した合理的なものであること。ただし、新契約の締結を見込まないことが適切と判断される場合は、新契約に係る契約高及び新契約の締結に係る事業経費を見込まないことができる。
三 将来の株式及び不動産の価格、為替の換算率等の資産の時価の変動による損益の発生については、考慮しないこと。
2 前条第二号の方法による分析(以下「決定論的一号収支分析」という。)のうち一号分析期間が基準時点から少なくとも十年間の分析(以下「決定論的一号収支分析(十年間)」という。)の前提は、次に規定するところにより設定しなければならない。
一 無リスク利回りに関するシナリオは、次のイ又はロに掲げる場合に応じ、当該イ又はロに定めるシナリオを含み、かつ、過去の実績等から合理的に予測される利回りの変動を反映したものであること。
イ 基準時点の利付国庫債券(十年)応募者利回りが一号分析期間の期初における標準利率(次項に規定する一号分析期間の期初における標準利率をいう。以下同じ。)を上回る場合 次の(1)及び(2)に掲げるシナリオ
(1) 無リスク利回りが、一号分析期間の期初以降五年間にわたり毎年均等な低下幅をもって、基準時点の利付国庫債券(十年)応募者利回りから一号分析期間の期初における標準利率にまで低下し、その後は一定で推移するシナリオ
(2) 無リスク利回りが、一号分析期間の期初に、基準時点の利付国庫債券(十年)応募者利回りから基準時点の利付国庫債券(十年)応募者利回りと一号分析期間の期初における標準利率の平均値にまで低下し、その後は一定で推移するシナリオ
ロ 基準時点の利付国庫債券(十年)応募者利回りが一号分析期間の期初における標準利率以下である場合 無リスク利回りが、一号分析期間の期初以降、基準時点の利付国庫債券(十年)応募者利回りのまま推移するシナリオ
二 新契約に係る契約高、共済契約の継続率、共済事故の発生率、事業経費、外貨建資産の資産運用収益、資産配分等資産運用の状況、割戻金の状況並びに価格変動準備金及び異常危険準備金の繰入れに関するシナリオは、直近年度の実績値又は直近年度を含む過去三年間以上の平均値に基づいた合理的なものであること。ただし、新契約の締結を見込まないことが適切と判断される場合は、新契約に係る契約高及び新契約の締結に係る事業経費を見込まないことができる。
三 将来の株式及び不動産の価格、為替の換算率等の資産の時価の変動による損益の発生については、考慮しないこと。
四 一号分析期間の期初において、既に実施している事業の運営方針の変更又は関係法令の改正がある場合は、これを反映すること。
3 一号分析期間の期初における標準利率は、次の各号に掲げる共済契約の区分(以下「共済契約区分」という。)に応じ、当該各号に定めるものとする。
一 第一号保険契約(平成八年大蔵省告示第四十八号(保険業法第百十六条第二項の規定に基づく長期の保険契約で内閣府令で定めるものについての責任準備金の積立方式及び予定死亡率その他の責任準備金の計算の基礎となるべき係数の水準。以下「大蔵省告示」という。)第五項に規定する第一号保険契約をいう。以下同じ。)に準ずる共済契約 同項の規定により一号分析期間の期初において締結する第一号保険契約に適用される予定利率
二 第二号保険契約(大蔵省告示第五項に規定する第二号保険契約をいう。以下同じ。)に準ずる共済契約 同項の規定により一号分析期間の期初において締結する第二号保険契約に適用される予定利率
三 第一号及び第二号に規定する共済契約以外の共済契約 大蔵省告示第七項の規定により一号分析期間の期初において締結する保険契約に適用される予定利率
4 次の各号に掲げる共済契約に係る一号分析期間の期初における標準利率については、前項の規定にかかわらず、当該各号に定めるものとすることができる。この場合において、共済計理人は、第一号又は第二号に掲げる共済契約にあっては当該共済契約に該当すると判断できる根拠を、第三号に掲げる共済契約にあっては当該共済契約に該当する旨を、附属報告書に記載しなければならない。
一 前項第二号に掲げる共済契約であって、大蔵省告示第六項に規定する保険契約に準ずるもののうち、前項第一号に定める予定利率とすることが合理的であると認められるもの 同号に定める予定利率
二 複数の共済契約区分に属する共済契約からなる共済事業の種類において、一の共済契約区分に属する共済契約の契約量が少ない等、一号収支分析の結果に及ぼす影響が少ないと認められる場合における当該共済契約 当該共済契約区分以外の共済契約区分に属する共済契約に係る一号分析期間の期初における標準利率
三 複数の共済契約区分に属する共済契約からなる共済事業の種類(前号に掲げるものを除く。)における共済契約 当該共済契約区分に属する共済契約に係る一号分析期間の期初における標準利率のうち最も低いもの
5 第三項第一号又は前項第一号の規定により一号分析期間の期初における標準利率を第三項第一号に定めるものとする場合には、第二項第一号の基準時点の利付国庫債券(十年)応募者利回りは、基準時点の利付国庫債券(十年)応募者利回り及び基準時点の利付国庫債券(二十年)応募者利回りの平均とみなすものとする。
6 決定論的一号収支分析のうち一号分析期間が全期間の分析の前提は、次に規定するところにより設定しなければならない。
一 無リスク利回りに関するシナリオは、次に掲げるものであること。
イ 基準時点の国債の金利から見込まれる将来の金利で推移するシナリオ
ロ 基準時点の国債の金利が一定で推移するシナリオ
ハ イのシナリオに八十パーセント又は百二十パーセントを乗じるシナリオ
ニ ロのシナリオに八十パーセント又は百二十パーセントを乗じるシナリオ
二 基準時点の翌年度以降の新契約に係る契約高を見込まないこと。
三 共済契約の継続率、共済事故の発生率、事業経費、外貨建資産の資産運用収益、資産配分等資産運用の状況、割戻金の状況並びに価格変動準備金及び異常危険準備金の繰入れに関するシナリオは、第二項第二号の規定に準ずるものであること。
四 将来の株式及び不動産の価格、為替の換算率等の資産の時価の変動による損益の発生については、第二項第三号の規定に準ずること。
五 一号分析期間の期初において、既に実施している事業の運営方針の変更又は関係法令の改正がある場合は第二項第四号の規定に準ずること。
7 共済計理人は、共済契約の内容、資産の状況その他の共済事業の特性及び社会経済情勢の動向を勘案し、必要があると認められるときは、第二項又は第六項の規定により設定する決定論的一号収支分析の前提に代えて、共済の数理に照らして合理的な別の前提を設定することができる。この場合において、共済計理人は、その旨を意見書に記載するとともに、第二項又は第六項の規定により設定する決定論的一号収支分析の前提に代えて別の前提を設定することが適切であることの根拠を附属報告書に記載しなければならない。
(平二七厚労告一四五・平二八厚労告八二・平三〇厚労告一六四・一部改正)
(一号収支分析に関する確認の基準)
第七条 共済計理人は、次の各号に掲げる場合に応じ、当該各号に定める条件が満たされることを確認しなければならない。
一 確率論的一号収支分析のうち一号分析期間が基準時点から少なくとも十年間であるもの(以下「確率論的一号収支分析(十年間)」という。)を行った場合 作成した全てのシナリオのうち百分の九十以上のものにおいて、一号分析期間の期初以降の五年間の全ての事業年度末における責任準備金の積立てが可能であること。
二 決定論的一号収支分析(十年間)を行った場合 作成した全てのシナリオにおいて、一号分析期間の期初以降の五年間の全ての事業年度末における責任準備金の積立てが可能であること。
三 一号収支分析のうち一号分析期間が全期間であるもの(以下「一号収支分析(全期間)」という。)を行った場合 全期間にわたり共済金等の支払能力を維持し得ること。
2 共済計理人は、前項第一号及び第二号に定める条件が満たされない場合は、共済事業規約のうち共済掛金及び責任準備金の額の算出方法に関する事項を変更することにより、責任準備金の不足額(以下「責任準備金不足相当額」という。)の解消に必要な額を追加的な責任準備金として積み立てる必要がある旨を意見書に記載しなければならない。
3 前項の責任準備金不足相当額は、次の各号に掲げる場合に応じ、当該各号に定める額とする。
一 確率論的一号収支分析(十年間)を行った場合 全てのシナリオについて、一号分析期間の期初以降の五年間の各事業年度末において資産が責任準備金を下回る額の現在価値の最大値を計算した全ての値のうち上位百分の十を除いた残りの値において最大となる値
二 決定論的一号収支分析(十年間)を行った場合 全てのシナリオについて、一号分析期間の期初以降の五年間の各事業年度末において資産が責任準備金を下回る額の現在価値の最大値を計算した値の最大値
4 第二項の場合において、共済計理人は、組合が次の各号に掲げる事業の運営方針の変更のうち一部又は全部を直ちに行うのであれば責任準備金不足相当額の一部又は全部を積み立てなくてもよい旨を意見書に記載することができる。
一 共済事業の種類のうち一部又は全部における割戻率の引下げ
二 実現可能と判断できる事業経費の抑制
三 資産運用の方針の見直し
四 共済事業の種類のうち一部又は全部における共済契約の募集の抑制
五 今後締結する共済契約における共済掛金の引上げ
5 共済計理人は、前項の規定により責任準備金不足相当額の一部又は全部を積み立てなくてもよい旨を意見書に記載する場合は、具体的な事業の運営方針の変更の内容を記載するとともに、附属報告書に、その事業の運営方針の変更を実現することにより責任準備金不足相当額を解消できる旨を記載しなければならない。
6 前項の場合において、共済計理人は、翌事業年度末に係る意見書に、次の各号に掲げる内容を記載しなければならない。
一 事業の運営方針の変更の状況
二 事業の運営方針の変更が実現されなかった場合は、その原因及び対応方針
7 共済計理人は、一号収支分析(全期間)を行った場合において、一号分析期間の期末における資産の額から責任準備金の額を控除した額の現在価値(以下「収支相当額」という。)及び収支相当額を無リスク利回りに関するシナリオごとに合計した額を附属報告書に記載しなければならない。
(平三〇厚労告一六四・一部改正)
(第三分野共済の共済契約の責任準備金の健全性の確認)
第七条の二 第三分野共済の共済契約について、法第五十条の十二第一項第一号に掲げる事項の確認をする場合は、別表に定めるところにより選出された契約区分に関して負債十分性テストを実施した上で、第三条の規定による確認を行うものとする。
(平三〇厚労告三七二・追加)
(負債十分性テストにより追加的な責任準備金の積立てが必要となった場合の確認)
第七条の三 負債十分性テストにより追加的な責任準備金を積み立てる必要があると認められた契約区分(過去において追加的な責任準備金を積み立てた契約区分を含む。以下「追加責任準備金契約区分」という。)がある場合の第三条の規定による確認においては、負債十分性テストの実施期間における当該追加責任準備金契約区分の共済事故の発生率として、別表に定める危険発生率を使用するものとする。
2 前項の確認においては、第四条第四項から第六項までの規定にかかわらず、追加責任準備金契約区分の責任準備金及び当該追加責任準備金契約区分の一部又は全部が属する共済事業の種類についての当該追加責任準備金契約区分以外の責任準備金それぞれについて、一号収支分析を行うものとする。
3 共済計理人は、前項の規定にかかわらず、当該追加責任準備金契約区分の責任準備金に対応した資産の額から当該責任準備金の額を控除した額が、追加責任準備金契約区分以外の責任準備金の積立財源として充てられないことを確認できる場合には、合理的な別の方法を用いることができる。この場合において、共済計理人は、その旨を意見書に記載するとともに、追加責任準備金契約区分の責任準備金に対応した資産の額から当該責任準備金の額を控除した額が追加責任準備金契約区分以外の責任準備金の積立財源として充てられない根拠を附属報告書に記載しなければならない。
(平三〇厚労告三七二・追加)
(契約者割戻しの確認の基準)
第八条 共済計理人は、法第五十条の十二第一項第二号に掲げる事項について、次の各号に掲げる要件が満たされることを確認しなければならない。
一 割戻所要額(契約者割戻し(法第五十条の十第一項に規定する契約者割戻しをいう。以下同じ。)に必要と見込まれる額をいう。以下同じ。)が、責任準備金が適正に積み立てられ、かつ、組合の経営の健全性を維持するための必要額が準備されている状況において決定されていること。
二 契約者割戻しの割当及び分配が、個別契約の貢献に応じて行われていること。
三 割戻所要額の計算並びに契約者割戻しの割当及び分配が、法令及び共済事業規約に従って行われ、かつ、適正な共済の数理及び一般に公正妥当と認められる企業会計の基準等に基づいていること。
四 契約者割戻しの割当及び分配が、責任準備金の適正な積立て及び組合の経営の健全性維持のための必要額の準備が行われた上で、共済事故の発生率、資産運用の状況等から共済契約者が合理的に期待するところを考慮して行われていること。
(事業継続基準の確認)
第九条 共済計理人は、法第五十条の十二第一項第三号に掲げる事項(規則第百九十三条第二号に掲げる事項を除く。)についての将来収支分析(以下「三号収支分析」という。)を行うことにより、将来の収支を共済の数理に基づき合理的に予測した結果に照らし、共済事業の継続が困難であるかどうかを確認しなければならない。
2 前項の確認は、三号収支分析を行った結果、将来の時点における資産の額として合理的な予測に基づき算出される額が、当該将来の時点における負債の額として合理的な予測に基づき算定される額を下回るかどうかを確認することにより行うものとする。
3 前項の将来の時点における資産の額として合理的な予測に基づき算出される額は、三号収支分析を行った場合における時価評価した資産の額から共済リスクに相当する額及び資産運用リスクに相当する額として、次の算式により計算した額を控除した額とする。ただし、評価差額金(規則第八十四条第七項第一号に規定するその他有価証券評価差額金をいう。以下同じ。)が負の場合は、さらに当該評価差額金に係る繰延税金資産(規則第八十一条第三項第四号ヘに規定する繰延税金資産をいう。)の額を控除するものとする。
[(R1+R6)2+(R4)2]1/2+R2
備考 この算式中次に掲げる記号の意義は、それぞれ次に定めるとおりとする。
R1 一般共済リスク相当額(消費生活協同組合法施行規程(平成二十年厚生労働省告示第百三十九号。以下「規程」という。)第四条の五第一項第一号に掲げる額をいう。)
R2 巨大災害リスク相当額(規程第四条の五第一項第二号に掲げる額をいう。)
R4 資産運用リスク相当額(規則第百六十六条の三第三号に掲げる額をいう。)
R6 第三分野共済の共済契約に係る共済リスク相当額(規程第四条の五第二項に掲げる額をいう。)
4 第二項の将来の時点における負債の額として合理的な予測に基づき算定される額は、三号収支分析を行った場合における次に掲げる額の合計額とする。
一 次のイ又はロのいずれか大きい方の額の合計額(以下「事業継続基準に係る額」という。)
イ 共済契約の締結時の費用を共済掛金払込期間にわたり償却する方法その他これに類似する方法により計算した共済掛金積立金の額に未経過共済掛金を加えた額
ロ 保有する共済契約が共済事故未発生のまま消滅したとして計算した支払相当額
二 貸借対照表の負債の部に計上されるべき金額の合計額から次のイからニまでに掲げる額の合計額を控除した額
イ 責任準備金の額
ロ 価格変動準備金の額
ハ 契約者割戻準備金未割当部分(規程第四条の三第四項第二号に規定する契約者割戻準備金未割当部分をいう。以下同じ。)
ニ 評価差額金に係る繰延税金負債(税効果会計(規則第八十一条第三項第四号ヘに規定する税効果会計をいう。)の適用により負債として計上される金額をいう。)に相当する額
5 共済計理人は、共済契約の内容、資産の状況その他の共済事業の特性及び社会経済情勢の動向を勘案し、必要があると認められるときは、三号収支分析に代えて、共済の数理に照らして合理的な別の方法により、将来の収支を共済の数理に基づき合理的に予測した結果に照らし、共済事業の継続が困難であるかどうかを確認することができる。この場合において、共済計理人は、その旨を意見書に記載するとともに、三号収支分析に代えて別の方法により確認することが適切であることの根拠を附属報告書に記載しなければならない。
(平二五厚労告一〇九・平二七厚労告一四五・平三〇厚労告三七二・一部改正)
(三号収支分析の実施)
第十条 三号収支分析は毎事業年度行うものとし、三号収支分析の対象とする期間(以下「三号分析期間」という。)は、基準時点から少なくとも十年間とする。
(三号収支分析の前提)
第十一条 三号収支分析の前提は、次に規定するところにより設定しなければならない。
一 無リスク利回りは、三号分析期間の期初以降、基準時点の利付国庫債券(十年)応募者利回りのまま推移するものとすること。
二 将来の株式及び不動産の価格、為替の換算率等の資産の時価は変動しないものとすること。
三 新契約(組合が三号分析期間の期初以降に新たに締結する契約をいう。以下この条において同じ。)に係る契約高、共済契約の継続率、共済事故の発生率、事業経費、外貨建資産の資産運用収益、資産配分等資産運用の状況、割戻金の状況並びに価格変動準備金及び異常危険準備金の繰入れに関するシナリオは、直近年度の実績値又は直近年度を含む過去三年間以上の平均値に基づいた合理的なものであること。ただし、新契約の締結を見込まないことが適切と判断される場合は、新契約に係る契約高及び新契約の締結に係る事業経費を見込まないことができる。
四 契約者割戻準備金(規則第百八十九条第一項の契約者割戻準備金をいう。以下同じ。)に繰り入れられる額のうち据置割戻し(規則第百八十九条第三項第一号に規定する据置割戻しをいう。以下同じ。)等の契約者割戻準備金として留保されるもの以外は、契約者に支払われることとし、その額を資産から減少させるものとすること。
五 契約者割戻準備金の残高は、前事業年度決算において繰り入れた額のうち据置割戻し等の契約者割戻準備金として留保されるもの、据置割戻しに付される利息及び据置割戻しから引き出される額(共済契約の消滅によるものを含む。)を考慮して計算するものとすること。なお、据置割戻しから引き出される額は、資産から減少させるものとすること。
六 責任準備金、価格変動準備金及び契約者割戻準備金を除く負債については、著しい変動の予想されるものを除き、基準時点の残高がそのまま推移するものとすること。
七 劣後性債務については、その約定に従って利息を支払うものとすること。
八 三号分析期間の期初において、既に実施している事業の運営方針の変更又は関係法令の改正がある場合は、これを反映すること。
2 共済計理人は、共済契約の内容、資産の状況その他の共済事業の特性及び社会経済情勢の動向を勘案し、必要があると認められるときは、前項の規定により設定する三号収支分析の前提に代えて、共済の数理に照らして合理的な別の前提を設定することができる。この場合において、共済計理人は、その旨を意見書に記載するとともに、前項の規定により設定する三号収支分析の前提に代えて別の前提を設定することが適切であることの根拠を附属報告書に記載しなければならない。
(平二七厚労告一四五・平三〇厚労告一六四・平三〇厚労告三七二・一部改正)
(三号収支分析に関する確認の基準)
第十二条 共済計理人は、三号分析期間の期初以降の五年間のいずれかの事業年度末において、第一号に掲げる額が第二号に掲げる額を下回るかどうかを確認しなければならない。
一 第九条第二項の将来の時点における資産の額として合理的な予測に基づき算出される額
二 第九条第二項の将来の時点における負債の額として合理的な予測に基づき算定される額
2 共済計理人は、三号収支分析を行った結果、三号分析期間の期初以降の五年間のいずれかの事業年度末において前項第一号に掲げる額が前項第二号に掲げる額を下回る場合は、その旨を意見書に記載しなければならない。この場合において、共済計理人は、満期保有目的の債券(規則第八十一条第三項第四号ロに規定する満期保有目的の債券をいう。)及び責任準備金対応債券(満期保有目的の債券以外の債券であって、利回りの変動に対する時価の変動の程度を債券と責任準備金とでおおむね一致させることを目的として保有し、時価評価されない債券をいう。)の含み損(有価証券の時価が帳簿価格を下回る場合における当該下回る額をいう。)を算入しなければ事業継続基準不足相当額(三号分析期間の期初以降の五年間の各事業年度末において前項第二号の額が前項第一号の額を上回る場合における当該上回る額の現在価値の最大値をいう。以下同じ。)が解消されるときは、三号分析期間を通じて流動性のある資産を十分に確保することを条件に共済事業の継続が困難とはならない旨を併せて意見書に記載することができる。
3 前項の場合において、共済計理人は、組合が次の各号に掲げる事業運営の方針の変更のうち一部又は全部を直ちに行うのであれば事業継続基準不足相当額を解消することができる旨を意見書に記載することができる。
一 共済事業の種類のうち一部又は全部における割戻率の引下げ
二 実現可能と判断できる事業経費の抑制
三 資産運用の方針の見直し
四 共済事業の種類のうち一部又は全部における共済契約の募集の抑制
五 今後締結する共済契約における共済掛金の引上げ
六 共済契約において引き受けるリスクの保有及び出再に係る方針の見直し(実現可能と判断できるものに限る。)
4 共済計理人は、前項の規定により事業継続基準不足相当額を解消できる旨を意見書に記載する場合は、具体的な事業の運営方針の変更の内容を記載するとともに、附属報告書に、その事業の運営方針の変更を実現することにより事業継続基準不足相当額を解消できる旨を記載しなければならない。
5 前項の場合において、共済計理人は、翌事業年度末に係る意見書に、次の各号に掲げる内容を記載しなければならない。
一 事業の運営方針の変更の状況
二 事業の運営方針の変更が実現されなかった場合は、その原因及び対応方針
(平二五厚労告一〇九・一部改正)
(支払余力比率の確認)
第十三条 共済計理人は、法第五十条の十二第一項第三号に掲げる事項(規則第百九十三条第一号に掲げる事項を除く。)について、次の各号に従い、規程第四条の二に定める算式により得られる比率(以下「支払余力比率」という。)が、二百パーセント以上かどうかを確認しなければならない。
一 法第五十条の五第一号に掲げる額が規則第百六十六条の二及び規程第四条の三の規定に照らして適正であること。
二 法第五十条の五第二号に掲げる額が規則第百六十六条の三並びに規程第四条の四及び第四条の五の規定に照らして適正であること。
2 共済計理人は、前項の確認の結果、支払余力比率が二百パーセント未満である場合には、その旨を意見書に記載しなければならない。
(平二七厚労告一四五・追加)
(共済掛金積立金等余剰部分控除額)
第十四条 共済計理人は、規程第四条の三第四項第一号ハに掲げる額(以下「共済掛金積立金等余剰部分控除額」という。)を定めるために、支払余力比率の確認に関する将来収支分析(以下「三号の二収支分析」という。)を行わなければならない。
2 共済計理人は、前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合には、三号の二収支分析を行わないことができる。ただし、第一号に掲げる場合においては、共済計理人は、同号に該当する旨を意見書に記載するとともに、同号に該当すると判断できる根拠を附属報告書に示さなければならない。
一 第十七条に定める共済掛金積立金等余剰部分控除額の下限が零であることが一号収支分析その他の結果から判断できる場合
二 規程第四条の三第四項第一号に定める共済掛金積立金等余剰部分を零とする場合
(平二七厚労告一四五・追加)
(三号の二収支分析の実施)
第十五条 三号の二収支分析は毎事業年度行うものとし、三号の二収支分析が対象とする期間(第十六条及び第十七条において「三号の二分析期間」という。)は、基準時点から五年間とする。
2 三号の二収支分析は、組合全体について行うものとする。
(平二七厚労告一四五・追加)
(三号の二収支分析の前提)
第十六条 三号の二収支分析の前提は、次に規定するところにより設定しなければならない。
一 無リスク利回りは、三号の二分析期間の期初以降、基準時点の利付国庫債券(十年)応募者利回りのまま推移するものとすること。
二 将来の株式及び不動産の価格、為替の換算率等の資産の時価は変動しないものとすること。
三 新契約(組合が三号の二分析期間の期初以降に新たに締結する契約をいう。以下この号において同じ。)に係る契約高、共済契約の継続率、共済事故の発生率、事業経費、外貨建資産の資産運用収益、資産配分等資産運用の状況、割戻金の状況は、直近年度の実績値又は直近年度を含む過去三年間以上の平均値に基づいた合理的なものであること。ただし、新契約の締結を見込まないことが適切と判断される場合は、新契約に係る契約高及び新契約の締結に係る事業経費を見込まないことができる。
四 評価差額金の取崩し及び含み益の実現による積立財源への充当は行わないものとすること。
五 価格変動準備金及び異常危険準備金等の繰入れは行わないものとすること。
六 劣後性債務については、その約定に従って利息を支払うものとすること。
七 三号の二分析期間の期初において、既に実施している事業の運営方針の変更又は関係法令の改正がある場合は、これを反映すること。
2 共済計理人は、規則第百七十九条第三項の規定に基づき積み立てた共済掛金積立金の額を積み立てていないものとして三号の二収支分析を行うものとする。
3 共済計理人は、共済契約の内容、資産の状況その他の共済事業の特性及び社会経済情勢の動向を勘案し、必要があると認められるときは、第一項の規定により設定する三号の二収支分析の前提に代えて、共済の数理に照らして合理的な別の前提を設定することができる。この場合において、共済計理人は、その旨を意見書に記載するとともに、第一項の規定により設定する三号の二収支分析の前提に代えて別の前提を設定することが適切であることの根拠を附属報告書に記載しなければならない。
(平二七厚労告一四五・追加、平三〇厚労告一六四・一部改正)
(共済掛金積立金等余剰部分控除額の下限)
第十七条 第十四条に規定する共済掛金積立金等余剰部分控除額の下限は、三号の二分析期間中の事業年度末における、事業継続基準に係る額の不足額(資産が事業継続基準に係る額を下回る額をいう。)の現在価値を計算した値の最大値とする。
2 共済計理人は、合理的と判断する場合には、前項の共済掛金積立金等余剰部分控除額の下限の算定において、事業継続基準に係る額に代えて、責任準備金を用いることができる。この場合において、その根拠を附属報告書に示さなければならない。
(平二七厚労告一四五・追加)
改正文 (平成二五年三月二九日厚生労働省告示第一〇九号) 抄
この告示による改正後の消費生活協同組合における共済計理人の確認の基準は平成二十五年三月三十一日以後に終了する事業年度に係る事項に関する共済計理人の職務について適用する。
改正文 (平成二七年三月二六日厚生労働省告示第一四五号) 抄
平成二十七年四月一日から適用する。
改正文 (平成二八年三月二四日厚生労働省告示第八二号) 抄
この告示による改正後の消費生活協同組合における共済計理人の確認の基準は平成二十八年三月三十一日以後に終了する事業年度に係る事項に関する共済計理人の職務について適用する。
改正文 (平成三〇年三月三〇日厚生労働省告示第一六四号) 抄
平成三十年四月一日から適用する。ただし、この告示による改正後の消費生活協同組合における共済計理人の確認の基準は、同年三月三十一日以後に終了する事業年度に係る事項に関する共済計理人の職務について適用する。
改正文 (平成三〇年一〇月二九日厚生労働省告示第三七二号) 抄
平成三十一年三月三十一日から適用する。
別表
(平三〇厚労告三七二・追加)
Ⅰ.定義 この表において、次に掲げる用語の意義は、それぞれに定めるところによる。 1.リスク 共済事故の発生率が悪化する不確実性をいう。 2.危険発生率 テスト実施期間の各事業年度において設定される通常の予測の範囲でリスクをカバーする共済事故の発生率をいう。 3.将来給付額 共済金の将来の支出額の累計額をいう。 4.算出方法書 規則第五十五条第一項第三号に規定する事項を記載した書類のことをいう。 5.予定発生率 算出方法書に記載された共済事故の発生率のことをいう。 Ⅱ.危険発生率の算出 危険発生率の算出に当たっては、次に掲げる基準を満たさなければならない。 1.危険発生率は、共済事故の発生率が変動することによる共済金の増加を一定の確率でカバーする共済事故の発生率とし、テスト実施期間(少なくとも十年間行うものとし、共済期間の残存期間が一年間を超え十年間未満の場合は当該残存期間)の各事業年度において、過去の共済事故の実績の推移等から適切な共済の数理の方法を用いて設定すること。この場合において、以下に留意することとする。 ① 前事業年度までの共済事故の発生の実績値を基礎として、共済契約を締結した事業年度別かつ共済契約の経過年数別に共済事故が発生した事業年度に対応する危険発生率を算出すること。 ② 原則として基礎率が同じ契約区分ごとに負債十分性テストを実施することとするが、給付事由、リスク特性等が同等である契約区分であれば、まとめて負債十分性テストを実施してよいこととする。なお、被共済者数が少なく統計的な見積りが困難な場合は、予定発生率の算出に用いたデータ等を活用するなど、共済の数理上適切な手法を用いて算出することができる。 ③ テスト実施期間の各事業年度の危険発生率は、前事業年度よりも小さい危険発生率としてはならない。 2.危険発生率は、1の一定の確率を九十七・七%として設定すること。 Ⅲ.負債十分性テストを行う共済契約の区分の選出 1.負債十分性テストを行う共済契約(6に掲げる共済契約等を除く。)の区分は、①が②を上回る契約区分(危険発生率の算出において複数の契約区分をまとめた場合は当該契約区分)とする。 ① 危険発生率を基に少なくとも十年間の将来給付額を算出したもの。 ② 予定発生率を基に少なくとも十年間の将来給付額を算出したもの。 2.将来給付額の算出に当たっては、危険発生率以外の計算基礎には算出方法書に記載された責任準備金の計算基礎を使用する。 3.将来給付額は、基礎率が同じ契約区分単位で算出する。 4.将来給付額は、予定発生率又は基準日までに観測されるデータを基に設定される危険発生率に、基準日における保有契約高を基に算出方法書に記載された計算基礎を用いて算出されるテスト実施期間の各事業年度の保有契約高を乗じて算出するものとする。 5.4の算出の際、基準時点前六箇月を超えない期間において仮基準時点を設け、当該仮基準時点までに観測されるデータを基に設定される危険発生率と当該仮基準時点における保有契約高を利用して4の算出を行ってよいものとする。この際、当該仮基準時点から基準時点までの間の保有契約高、保有契約高の構成等が変化している場合には、必要に応じて補正を行うものとする。 6.次に掲げる共済契約等は、負債十分性テストの対象外とする。 ① 共済期間が一年以下の共済契約(当該共済契約の更新時において共済掛金その他の契約内容の変更をしないことを約した共済契約を除く。) ② 規則第十四条第一項第十号に掲げる事由に関するものに係る傷害共済契約その他これに準ずる給付を行う共済契約 ③ 共済事故の発生率が十分小さく、特約又は主たる給付に付随する給付であって、債務の履行に支障を来たすおそれが極めて低い共済給付 Ⅳ.負債十分性テストの実施要領 負債十分性テストは、次に掲げる基準に基づき適切な共済の数理の方法を用いて実施するものとする。なお、実績値を用いることが適切でないことが明らかな場合は、必要な補正を行うものとする。 1.負債十分性テストを行う期間は、少なくとも十年間とする。 2.新契約高は、見込まないものとする。 3.事業経費は、新規契約締結に係る事業経費を控除した直近年度の事業経費を基に保有契約の状況を反映したものとする。 4.共済事故の発生率は、危険発生率とする。 5.死亡率は、直近年度の実績値又は直近年度を含む過去三年間の死亡率の平均値とする。ただし、実績データが少なく統計的な見積りが困難な場合は、予定死亡率の算出に用いたデータ等を共済契約の群団の特性や生存保障性を考慮した補正を行った上で、使用することができる。 6.金利は、少なくとも第六条第二項第一号に定めるシナリオを含まなければならないものとする。 7.共済契約の継続率は、直近年度の実績値又は直近年度を含む過去三年間の共済契約の継続率の平均値とする。 8.外貨建資産の資産運用収益及び資産配分等資産運用の状況は、直近年度の実績を基に合理的に設定したものとする。 9.将来の株式及び不動産の価格、為替の換算率等の資産の時価の変動による損益の発生については、考慮しないものとする。 10.割戻金の状況は、直近年度の割戻金の状況とする。 11.負債十分性テストを行った結果、当該テスト期間中の事業年度末に必要な責任準備金の額に対応した資産の額の不足額が生じた場合は、共済事業規約のうち共済掛金及び責任準備金の額の算出方法に関する事項を変更することにより、責任準備金不足相当額(当該不足額の割引現在価値が最大値となるもの)の解消に必要な額を追加的な責任準備金として積み立てる必要がある旨を意見書に記載しなければならない。 |