添付一覧
○医薬品の条件付承認の取扱いについて
(令和8年2月27日)
(医薬薬審発0227第6号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬局医薬品審査管理課長通知)
(公印省略)
医薬品の条件付承認制度については、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の一部を改正する法律(令和元年法律第63号)により、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年8月10日法第145号。以下「法」という。)に位置づけられ、「医薬品の条件付き承認の取扱いについて」(令和2年8月31日付け薬生薬審発0831第2号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)(以下「令和2年課長通知」という。)等に基づき運用されてきました。
今般、運用実態等を踏まえて、医薬品の有効性及び安全性を確保しつつ、重篤かつ代替の治療法がない疾患等に対して必要性が高い医薬品を迅速に提供可能とするため、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和7年法律第37号。以下「改正法」という。)において関係規定の見直しが行われました。これを踏まえ、条件付承認制度について、下記のとおり取り扱うこととしましたので、御了知の上、貴管内関係団体、関係機関等に周知いただきますよう御配慮願います。
なお、「医薬品の条件付き早期承認制度の実施について」(平成29年10月20日付け薬生薬審発1020第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)及び令和2年課長通知は廃止します。
また、本通知の写しを別記の団体等に宛てて連絡するので、念のため申し添えます。
記
1.対象品目
以下の①及び②のいずれにも該当する医薬品とする。
① 法第14条の2の2第1項第1号への該当性について
申請に係る医薬品が希少疾病用医薬品、先駆的医薬品又は特定用途医薬品その他の医療上特にその必要性が高いと認められるものであること。医療上特にその必要性が高いと認められるものとは、以下のア及びイに分類して総合的に評価し、いずれにも該当性が認められる医薬品とする。
ア 以下の観点から評価した結果、適応疾患が重篤であると認められること
1) 生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)であること
2) 病気の進行が不可逆的等で、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患であること
イ 以下の観点から評価した結果、医療上の有用性があると認められること
1) 既存の治療法、予防法又は診断法がないこと
2) 有効性、安全性、肉体的・精神的な患者負担の観点から、医療上の有用性が既存の治療法、予防法又は診断法より優れていること、又は、新たな治療機会を提供するものとして必要不可欠であることが合理的に説明可能なものであること
なお、日本人を対象とした追加データが必要となる場合に、致死的な疾患や、急速かつ不可逆的に進行する疾患等において、日本人における有効性及び安全性が検証されていない不確実性を考慮してもなお臨床試験の実施により医薬品の承認に相当な時間を要することの患者への不利益の程度が大きい場合も医療上特にその必要性が高いとみなされる。
予防薬について本制度の対象としようとするときは、特に慎重な検討を要するものであること。
② 法第14条の2の2第1項第2号及び第3号への該当性について
検証的臨床試験以外の臨床試験の試験成績その他の情報(以下「検証的臨床試験以外の臨床試験の試験成績等」という。)により、一定の安全性が示され、かつ、代替エンドポイント等のデータに基づき申請に係る効能又は効果を有すると合理的に予測できるものであること。
2.本制度の適用に係る相談
1) 申請者は、本制度の適用を考える場合、検証的臨床試験以外の臨床試験の開始前に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)の相談制度を活用し、本制度適用の該当性や承認申請に必要な申請データ・パッケージ、想定される承認時の法第14条の2の2第1項の規定に基づく条件(以下「条件付承認に係る条件」という。)の概要等(以下「本制度適用の該当性等」という。)について相談を行うことが望ましい。
2) 承認申請に必要な治験の終了後に速やかに申請できるようにすることを考慮し、検証的臨床試験以外の臨床試験の試験成績等により一定の安全性が示され、申請に係る効能又は効果を有すると合理的に予測できると判断された段階で、承認申請前にPMDAの相談制度を活用し、本制度適用の該当性等について確認すること。
3) PMDAは、検証的臨床試験以外の臨床試験の開始前の相談結果を考慮しつつ、検証的臨床試験以外の臨床試験の試験成績等を踏まえ、本制度適用の該当性について判断し、対面助言結果を通知する。
3.PMDAとの相談の取扱いについて
本制度の目的は、医療上特にその必要性が高い医薬品を早期に実用化することであるため、承認申請前に行うPMDAと本制度適用の該当性等を確認する相談については、優先対面助言の対象とする。ただし、対象とする疾病の性質や実施された臨床試験の結果等により本制度適用の要件を満たさないと判断される場合は、その限りではない。
4.本制度の適用に係る手順
1) 本制度の適用を希望する場合、申請者は、当該医薬品の承認申請書の備考欄に「条件付承認制度の適用を希望する」旨を記載した上で、申請する。その際、原則として、上記2.3)のPMDAの判断を記載した対面助言結果通知書を添付すること。
2) 厚生労働省は、上記の対面助言結果通知書をもとに、当該承認申請について優先審査の対象品目として取り扱うものとする。
3) 厚生労働省は、条件付承認制度を適用する場合には、当該医薬品の承認時にその旨を明らかにするものとする。
4) なお、上記1)の申請がない場合であっても、承認審査の過程において、条件付承認制度に基づく承認が適切であると判断された場合には、本制度での承認を行う場合がある。その場合も、上記3)と同様の取扱いとする。
5.条件付承認に係る条件
本制度が適用される医薬品の承認の際には、製造販売後に当該医薬品の有効性、安全性をより確かなものとするために必要な試験・調査等(以下、「条件とされた試験等」)の実施を条件として付すこととする。なお、製造販売後に検証的臨床試験を実施する場合、対象患者については、必ずしも条件付き承認を受けた範囲と完全に一致する必要はなく、臨床試験の実施可能性を踏まえつつ、異なる治療ラインや、異なる疾患の進行段階等であっても認められる場合がある。また、必ずしも日本人が含まれる必要はなく、海外で実施中又は計画されている検証的臨床試験が認められる場合がある。
また、条件付承認に係る条件については、科学的な観点及び実施可能性の観点等を踏まえ検討する必要があり、情報収集の目的に見合うものであれば、製造販売後調査等の実施、MID―NET等の医療情報データベースや患者レジストリ等を活用した調査についても、活用することができる。また、医薬品の適正使用を確保する観点から、施設等の要件を定めることが適当な場合は、当該要件の確保に必要な措置等の実施についても、必要に応じて条件付き承認に係る条件とすることとする。
なお、申請前に申請者及びPMDAとの間で合意された、想定される条件付承認に係る条件の概要については、申請時に提出される資料等から審査過程において変更される場合がある。
6.条件付承認された医薬品の製造販売時の留意事項
① 条件付承認であることの周知
条件付承認を受けた医薬品の製造販売業者は、添付文書、医薬品リスク管理計画及びそれに基づく追加のリスク最小化活動として作成する資材等により、条件付承認がなされた医薬品である旨及び条件付承認に係る条件の概要を患者及び医療現場に周知すること。
② 条件とされた試験等の実施
条件とされた試験等の実施期限については、当該承認時に付される再審査期間を超えない範囲であって、可能な限り早期に設定されるものであること。条件付承認を受けた医薬品の製造販売業者は、条件とされた試験等を速やかに実施する必要があること。実施完了予定時期を含めて条件とされた試験等の実施計画について、医薬品リスク管理計画において明らかにするものとし、実施状況及び得られた結果についての評価及びPMDAへの報告を、その節目となる時期に適切に行うこと。PMDAへの報告時に、PMDAから指導があった場合には適切に従うこと。
7.条件とされた試験等の成績に関する評価
条件付承認を受けた医薬品の製造販売業者は、条件とされた試験等の成績を提出し、法第14条の2の2第2項の規定による調査を受けることとする。当該調査に際し、製造販売業者は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する施行規則(昭和36年厚生省令第1号。以下「規則」という。)に規定する様式第27の2に添えて必要な資料をPMDAに提出すること。調査申請資料の取扱いについては、「条件付承認された医薬品における承認後の品質、有効性及び安全性に関する調査に際し添付すべき資料について」(令和8年2月27日付け医薬薬審発0227第7号厚生労働省医薬局医薬品審査管理課長通知)を参照すること。なお、当該資料の提出は、製造販売承認事項一部変更承認申請に伴って行うことも可能であるが、その可否については、事前にPMDAに相談すること。
調査は、法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当しないことを確認することにより行うものであり、薬事審議会において取り扱われるものであること。
なお、条件付承認を受けた医薬品の製造販売業者は、条件とされた試験等の成績について、その承認状況、その試験等の完遂の如何を問わず公表すること。
8.条件付承認に係る承認の取消、条件等の変更
厚生労働省は、調査の結果を踏まえ、法第14条第2項第3号イからハまでのいずれかに該当するときは法第74条の2の規定により薬事審議会の意見を聴いて承認を取り消し、また、必要に応じて、薬事審議会の意見を聴いて、条件付き承認に付した条件、承認内容等について必要な変更等を行う。
9.その他
検証的臨床試験を実施しなくとも、申請に係る有効性及び安全性を有することが確認でき、検証的臨床試験の実施が不要であると判断される場合、検証的臨床試験の試験成績については、規則第40条第2項における資料の添付を必要としない合理的理由がある場合に該当すると考えられるため、本制度の適用によらず、検証的臨床試験の試験成績を添付することは要しない。
10.適用日
本通知は改正法の施行日(令和8年5月1日)から適用する。ただし、改正法の施行の日時点で既に改正法による改正前の法に基づく条件付き承認を受けている医薬品及び承認申請され条件付承認をするかどうかの判断が行われていない医薬品については、なお従前の例によるものとする。
(別記)
日本製薬団体連合会
日本製薬工業協会
米国研究製薬工業協会在日執行委員会
一般社団法人欧州製薬団体連合会
独立行政法人医薬品医療機器総合機構
