添付一覧
○労働安全衛生規則及び電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令等の施行等について
(令和7年10月29日)
(基発1029第1号)
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
(公印省略)
労働安全衛生規則及び電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令(令和7年厚生労働省令第108号。以下「改正省令」という。)及び透過写真撮影業務特別教育規程の一部を改正する件(令和7年厚生労働省告示第287号。以下「改正告示」という。)が、それぞれ令和7年10月29日に公布又は告示され、公布日である令和7年10月29日以降、順次施行又は適用されることとなったところである。
本改正は、令和3年に発生したエックス線装置(エックス線を発生させる装置で、労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「安衛令」という。)別表第2第2号の装置以外のものをいう。以下同じ。)の点検作業中の被ばく事故の発生原因として、法令上設置の義務はないものの現場に普及している自動警報装置やインターロックについて、自動警報装置による周知の措置が作業場所から認識しにくい場所に示されていたこと、インターロックは備え付けられていたが故障した際に無効化したまま長期間修理していなかったこと等が指摘されていることを踏まえ、同種災害の再発防止を図るため、安全装置の設置及び使用を義務づける等、所要の規定の整備を講じるものである。
改正省令及び改正告示の内容については、下記のとおりであるので、その施行及び適用に遺漏なきを期されたい。
記
第1 改正の要点
1 改正省令関係
(1) エックス線装置又はガンマ線照射装置に係る特別の教育(以下「特別教育」という。)の対象業務を拡大(一部除外)したこと。(改正省令による改正後の労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第36条及び改正省令による改正後の電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号。以下「電離則」という。)第52条の5関係)
(2) 医療用エックス線装置の範囲を明確化したこと。(安衛則様式第27号及び電離則第12条関係)
(3) 放射線装置に係る事業者の措置義務を拡大したこと。(電離則第17条関係)
(4) エックス線作業主任者及びガンマ線透過写真撮影作業主任者の職務を見直したこと。(電離則第47条及び第52条の3関係)
2 改正告示関係
(1) 特別教育の実施対象となる業務の拡大に伴う改正を行ったこと。(改正告示による改正後のエックス線装置及びガンマ線照射装置取扱業務特別教育規程(昭和50年労働大臣告示第50号。以下「特別教育規程」という。)関係)
第2 細部事項
1 安衛則第36条及び電離則第52条の5並びに改正告示関係(特別教育関係)
(1) 安衛則第36条第28号の「エックス線装置又はガンマ線照射装置を取り扱う業務」とは、エックス線装置又はガンマ線照射装置の設置、準備、使用、点検、修理等の全般的な業務であること。
これには、安衛令別表第2第1号の業務、同表第3号の業務のうちエックス線装置に組み込まれたエックス線管のガス抜き若しくは検査の業務及び同表第4号の業務のうちガンマ線照射装置の取扱いの業務その他これらの装置を取り扱う上でエックス線又はガンマ線による被ばくのおそれがある業務が含まれること。
「その他これら装置を取り扱う上でエックス線又はガンマ線による被ばくのおそれがある業務」には、例えば、作業時に照射する予定があるかどうかに関わらず、電離則第17条第3項の安全装置を無効化又は取り外した上で管理区域に身体の全部又は一部を入れて当該装置を点検、修理又は改修等する業務が含まれるものであること。
(2) 「装置の内部にのみ管理区域が存在し、かつ、エックス線又はガンマ線の照射中に労働者の身体の全部又は一部がその内部に入ることのないように遮へいされた構造を備えた装置」(以下「ボックス型装置等」という。)の例としては以下のものがあること。
ア 「労働安全衛生規則及び電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令の施行等について」(平成13年3月30日付け基発第253号。以下「253号通達」という。)第3の3(6)ア~ウに掲げる装置
イ 放射性同位元素等の規制に関する法律(昭和32年法律第167号。以下「RI法」という。)第12条の5第2項に規定する表示付認証機器及び同条第3項に規定する表示付特定認証機器(いずれもRI法第12条の6に規定する認証条件に従った使用、保管及び運搬をするものに限る。以下「表示付認証機器等」という。)
(3) ボックス型装置等(表示付認証機器等を除く。)については、当該装置の設置や改修等の際に、当該装置の内部にのみ管理区域が存在することを、253号通達の第3の3(6)及び同通達別添1「管理区域の設定等に当たっての留意事項」を参考に、装置ごとに測定により確認すること。
(4) 電離則第52条の5第1項第1号及び第2号に定める科目の教育については、実作業を見学させる等のOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)形式との併用が望ましいこと。
(5) 改正前に透過写真撮影業務に係る特別教育を受講した労働者が、改正後に透過写真撮影業務以外のエックス線装置又はガンマ線照射装置を取り扱う業務に従事する場合には、当該労働者が、必要な特別教育の科目のうち全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる場合に限り、安衛則第37条に基づき、重複する特別教育の科目の全部又は一部を省略して差し支えないこと。
この場合に省略可能な科目は、電離則第52条の5第1項に定める科目のうち、以下の範囲が該当するものであること。
ア 第1号に掲げる科目のうち、「作業の手順」以外の範囲
イ 第2号に掲げる科目のうち、「装置の操作及び点検」以外の範囲
ウ 第3号に掲げる科目の全部
エ 第4号に掲げる科目のうち、改正省令による改正以外の範囲
なお、従前から当該業務に熟達している等、十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、「作業の手順」及び「装置の操作及び点検」についても省略して差し支えないこと。
(6) ボックス型装置等を使用する業務に従事する労働者や、管理区域に一時的に立ち入ってもエックス線装置又はガンマ線照射装置を取り扱う業務には従事しない労働者等の、特別教育を要さない者に対しては、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第59条第1項又は第2項に基づき雇い入れ時等に行う安全衛生教育等において、放射線の人体への影響、エックス線装置又はガンマ線照射装置の危険性、被ばくを防止するための装置の安全な取扱い、及び安全装置の改造禁止等の禁止事項等について周知させること。
(7) 放射性同位元素等の規制に関する法律施行規則(昭和35総理府令第56号。以下「RI則」という。)、医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号。以下「医療則」という。)又は獣医療法施行規則(平成4年農林水産省令第44号。以下「獣医療則」という。)に基づく教育及び訓練を受けた者がエックス線装置又はガンマ線照射装置を取り扱う業務に従事する場合は、必要な特別教育の科目のうち全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者であるとして、安衛則第37条に基づき当該重複する特別教育の科目のうち全部又は一部を省略して差し支えないこと。
(8) 特別教育の科目の省略については、昭和48年3月19日付け基発第145号「労働安全衛生法関係の疑義解釈について」及び平成9年3月21日付け基発第180号「特別教育に係る科目の省略範囲の明確化について」の記の2において、省略できる範囲の明確化を行ってきたところである。
これらを踏まえ、次の表の左欄の資格等の取得者は、エックス線装置又はガンマ線照射装置を取り扱う業務(ただし、ボックス型装置等を使用する業務を除く。)の特別教育の科目として電離則第52条の5第1号から第4号に示す科目のうち、次の表の右欄の科目を省略しても差し支えないものであること。なお、下表に掲げる科目以外の省略についても、当該者が当該業務に関し十分な知識及び技能を有していると認められる場合には、個別の実態に応じて判断することを妨げるものではないこと。
資格 |
省略可能な科目 |
エックス線作業主任者 |
第1号から第4号 (ただし第1号及び第2号についてはエックス線装置の取扱業務に関する場合に限り省略可能) |
ガンマ線透過写真撮影作業主任者 |
第1号から第4号 (ただし第1号及び第2号についてはガンマ線照射装置の取扱業務に関する場合に限り省略可能) |
診療放射線技師 |
第1号から第4号 (ただし第1号及び第2号については医療用の装置を取り扱う業務に関する場合に限り省略可能) |
原子炉主任技術者 |
第1号から第4号 (ただし第1号及び第2号については原子炉の運転の業務に関して用いる装置を取り扱う場合に限り省略可能) |
第一種放射線取扱主任者 |
第1号から第4号 |
第二種放射線取扱主任者 |
第1号から第4号 (ただし第1号及び第2号についてはガンマ線照射装置による透過写真撮影業務に関する場合に限り省略可能) |
第一種作業環境測定士(放射性物質) |
第3号及び第4号 |
第一種作業環境測定士(放射性物質以外の区分) 第二種作業環境測定士 衛生工学衛生管理者 第一種衛生管理者 第二種衛生管理者 労働衛生コンサルタント |
第4号 |
医師 歯科医師 獣医師 がん放射線療法看護認定看護師 |
第1号から第3号 (ただし第1号及び第2号については医療用の装置を取り扱う業務に関する場合に限り省略可能) |
核燃料取扱主任者 第三種放射線取扱主任者 技術士(原子力・放射線部門) 技術士補(原子力・放射線部門) |
第3号 |
(9) 電離則第52条の5に基づく特別教育について、(7)の他法令に基づく教育・訓練と同時に実施した場合、その特別教育の受講者や科目等の情報が、他法令に基づいて作成された記録に含まれているときは、その記録を安衛則第38条に定める記録として取り扱って差し支えないものであること。
(10) 電離則第52条の5の特別教育は、法第22条及び法第59条第3項に規定される措置であるため、労働者がその事業における派遣就業のために派遣されている派遣先の事業に関しては、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第45条第3項の規定により、当該派遣先の事業を行う者を当該派遣中の労働者を使用する事業者と、当該派遣中の労働者は当該派遣先の事業を行う者に使用される労働者とみなして適用される。このため、従前どおり、派遣中の労働者に対して行う当該特別教育は、当該派遣先の事業を行う者が実施する必要があること。
2 安衛則様式第27号及び電離則第12条関係(「医療用」の明確化関係)
(1) 電離則第12条の改正は、医療用のエックス線装置の範囲を明確化するものであり、当該装置の範囲自体が従来から変更されたものではないこと。なお、「医療用」の解釈については、安衛令及び電離則に限られるものであること。
(2) 電離則第12条第1項第2号の「臨床研究、治験、医療従事者若しくは獣医療従事者の養成若しくは教育訓練又は死因究明等」とは、以下のものを含むものであること。
ア 臨床研究法(平成29年法律第16号)第2条第1項に規定する臨床研究
イ 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(令和3年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号)第2(1)に規定する人を対象とする生命科学・医学系研究
ウ 獣医療における疾病の予防方法、診断方法及び治療方法の改善、疾病原因及び病態の理解並びに動物の健康の維持を目的として実施される未承認動物用医薬品等を用いた疾病の診断、治療又は予防に関する獣医学系研究であって、動物を対象とするもの
エ 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条第17項に規定する治験
オ 医療従事者又は獣医療従事者の養成課程(資格取得前)における照射を伴う実習
カ 医療従事者又は獣医療従事者の配属後の教育や技量向上等のための訓練
キ 死因究明等推進基本法(令和元年法律第33号)第2条第1項に規定する死因究明(特に死亡時画像診断(オートプシー・イメージング))
ク 死亡動物に対して行う死因究明のための画像診断
なお、「等」とは、明示された用途以外であって、医療現場と同様に、医師、歯科医師、診療放射線技師又は獣医師が管理する装置を用いて、被写体である人、動物、それらの精巧な模型(以下「ファントム」という。)又は人若しくは動物の死体に対して照射中に、労働者がそれら被写体を固定する必要がある場合やそれら被写体に照射しながら照射域近傍で作業する必要がある場合等が生じうる用途を指すものであること。
(3) 改正省令による安衛則様式第27号の改正は、電離則第12条の改正により、医療用のエックス線装置の範囲を明確化したことに伴う改正その他の所要の改正であること。
(4) 安衛則様式第27号については、安衛則第100条(様式の任意性)が適用されることから、放射線装置の設置等にあたり、RI則又は医療則若しくは獣医療則その他の法令に基づき原子力規制委員会又は都道府県知事その他の行政機関に対して申請又は届出等を行うときに、当該申請又は届出等に添付する書類が、様式第27号に定める事項を網羅している場合には、法第88条に基づき所轄労働基準監督署長に届出を行う際に、当該書類を様式第27号として添付しても差し支えないものであること。
なお、他法令に基づく申請又は届出等に用いる書類を以て代用する場合には、様式第27号中に定める事項が、添付書類のどこに記載されているかを明確にした上で、届出を行うこと。
(5) 電離則第15条第1項の放射線装置(表示付認証機器等を除く。)であって、6月未満の期間で廃止するものについては、安衛則第85条第1号の規定に基づき、法第88条に基づく計画の届出を要さないものであることに留意すること。
(6) 安衛則様式第27号備考2の「工業用等のエックス線装置」の用途について、電離則様式第2号(裏面)別表コード13と同様の用途として「分析用」を追加したものであること。
(7) 安衛則様式第27号備考4の「安全装置」には、電離則第17条第7項に規定するインターロックの他、電離則第17条第3項に規定する安全装置が該当すること。
3 電離則第17条関係(自動警報装置・安全装置等関係)
(1) 第1項の「関係者」には、被ばくのおそれがある全ての者が含まれるものであること。例えば、装置の設置等にあたり照射を伴う検査等を行う場合に、放射線装置室の天井裏で配線等の作業に従事している者も「関係者」に当たるものであること。
(2) 第1項の「関係者が確実に認識できる方法」とは、作業場の環境や労働者の認知能力等を踏まえた効果的な方法を指し、総合的に判断する必要があること。周知の際は、複数の手段を用いることがより望ましいこと。なお、表示灯の表示内容や警報の音量等については特に指定はないため、他法令で要求される事項があれば、それらを踏まえて措置すればよいこと。
「効果的な方法」の例としては、次のアからウに掲げるものがあること。
ア 放射線装置室の通常出入りする出入口等の関係者が見やすい場所に表示灯や警報ランプ等の視覚的な警報装置を設けること
イ 関係者が十分に聞き取ることができる音量でブザー音やメロディを鳴らし続ける警報装置を設けること
ウ 必ず関係者の目に入る場所に周知の看板を目立つように置くこと
一方で、効果的な方法と見なされない例には次のエからクに掲げるものがあり、何らかの周知の措置がされていたとしても、被ばくのおそれがあることを十分に認識できない関係者がいる場合は、効果的な方法とはみなされないことに留意すること。
エ 光が遮られた警報ランプや、光が弱い表示灯
オ 環境音に対して不十分な音量の警報
カ 目立たないように置かれた看板
キ 日本語を十分に理解できない労働者に対して日本語の表示灯の意味を教育していない状況
ク 放射線装置室内に関係者がいても照射が可能な場合に、室外にしか表示灯がなく、室内の関係者へ周知の措置がされていない状況
また、エックス線装置の場合は、当該装置の制御装置に電力が供給されていることに加えて、エックス線を照射中であることを周知することが望ましいこと。
(3) 第2項について、表示灯やブザー等複数の方法を組み合わせて周知する場合は、これら全ての周知方法を自動警報装置により措置することが望ましいこと。
(4) 第2項柱書は、自動警報装置による周知が必要な場合を、放射線装置室内で放射線装置を使用する場合に限定するものであり、従前と取り扱いが変わるものではないこと。
(5) 第2項第2号は、改正省令による改正前の電離則(以下「旧電離則」という。)第17条第1項柱書後段において自動警報装置の設置が必要とされていた装置のうち、特定エックス線装置に含まれない工業用等のエックス線装置について規定したものであること。
(6) 第2項第3号から第5号の装置又は機器については、旧電離則第17条第1項柱書後段に規定するエックス線装置以外の装置又は機器と同じものを指すこと。
(7) 第2項各号の放射線装置について、自動警報装置そのものの修理又は改修等に伴う当該自動警報装置の検査等のため、やむを得ず自動警報装置が無効とされたまま第1項各号の場合が生じるときは、警報機能を有する放射線測定器(以下「APD」という。)の装着等、偶発的な被ばくを防止するための適切な措置を講ずること。
医療用の特定エックス線装置の設置、保守、点検又は修理等の作業においても、同様であること。
(8) 第3項の「インターロックその他の偶発的な被ばくを防止するための安全装置」とは、作業に従事する関係者が偶発的な被ばくをすることを防ぐためのフールプルーフの機構を主に指すこと。その例としては、以下のものがあること。なお、いずれも電子式、電気式、磁力式、機械式、光学式など方式は問わないものであること。
ア 照射中に放射線装置室の出入口を閉鎖するインターロック
イ セーフティキー又はセーフティスイッチにより装置の照射を止めなければ管理区域に入れないように制御する機構
ウ 放射線装置室の出入口ドアに設置したリミットスイッチによりドア開放に連動して照射を停止させ又は遮断させるような機構
また、この条文における「安全装置」の有効保持や無効化の際の手順等については安衛則第28条及び第29条の適用を受けるものであること。
なお、防護ガラスや遮へい板、安全柵等は、それらのみでは安全装置には該当しないこと。
(9) 第4項は、放射線の照射を伴う光軸合わせ等の点検や非常に小さな試料にエックス線を照射する際の照射条件の調整など、安全装置の機能を無効にしなければ実施できない作業において、安衛則第29条第1項第2号に基づき、一時的にやむを得ず安全装置を無効化又は取り外す場合等における必要な措置を定めたものであること。
(10) 第4項の「偶発的な被ばくを防止する措置」として、作業従事者のAPD装着は必須であること。ただし、身体の一部のみを管理区域に入れる場合はこの限りでないこと。加えて、以下に例示する措置その他偶発的な被ばくを防止する措置を複数組み合わせて行うこと。
ア 照射中であることを知らせる表示灯やブザー等の設置
イ 警報装置と連動した空間線量計の設置
ウ フットペダル式スイッチ等の被ばくのおそれがある作業の従事者が容易に作動させられる緊急停止装置の設置
エ 警報装置に連動した侵入検知センサーの設置
オ 照射される放射線を遮るために十分な厚さと材質を備えた遮へい板やシャッターの設置
カ 手などの身体の一部を照射域に入れる場合に被ばくのおそれのある身体の一部を全て覆う保護手袋等の保護具の着用
キ 命札(操作禁止札)の設置による誤操作の防止措置
APD又は空間線量計等の放射線測定器については、適切に点検及び校正され有効に機能するものでなければならないこと。またAPD又は空間線量計に連動する警報については、過剰な被ばくを防ぐために、警報が鳴る線量をあらかじめ適切に設定したものでなければならないこと。
(11) 第5項は、医療施設等において人(その死体やファントム含む)に対して照射する医療用のエックス線装置等については、医療則第30条の4第2号に規定される基準を満たさなければならないとしたものであること。この場合の「医師、歯科医師又は診療放射線技師が管理する装置」については、医療法(昭和23年法律第205号)第1条の5第1項に規定する「病院」又は同条第2項に規定する「診療所」(以下「病院等」という。)に設置された診療の用に供するエックス線の発生装置(波高値による定格管電圧が10キロボルト以上であり、かつ、その有するエネルギーが1メガ電子ボルト未満のものに限る。)その他の医療用の特定エックス線装置のほか、病院等以外の施設において医師、歯科医師又は診療放射線技師(以下「医師等」という。)が管理する医療用の特定エックス線装置等が該当すること。
医療則第30条の4第2号に規定される基準の解釈については、「病院又は診療所における診療用放射線の取扱いについて」(平成31年3月15日付け医政発0315第4号厚生労働省医政局長通知。以下「診療用放射線取扱通知」という。)の第3の1を参考にすること。
また、医療則第30条の4第2号ただし書のうち、「近接透視撮影を行うとき、若しくは乳房撮影を行う等の場合」とは、電離則第17条第5項においては、診療用放射線取扱通知の第3の1の(3)のアからオに掲げる場合の他、臨床研究、治験、医療従事者の養成若しくは教育訓練又は死因究明等の用(以下「医療に類似する用」という。)であって、エックス線装置を診療用放射線取扱通知の第3の1の(3)のアからオに掲げる場合と同様に使用する場合が含まれるものであること。
なお、病院等以外の施設において、医師等ではなく、エックス線作業主任者が管理する装置については、医療に類似する用であっても、工業用等のエックス線装置としての措置が適用されるものであること。
(12) 第6項は、獣医療の診療施設等において動物(その死体やファントム含む)に対して照射する医療用のエックス線装置等については、獣医療則第16条第1項第1号から第3号に規定される措置のいずれか並びに同項第4号及び第5号に規定される措置を行わなければならないとしたものであること。この場合の「獣医師が管理する装置」については、獣医療法(平成4年法律第46号)第2条に規定する「診療施設」に設置された診療の用に供するエックス線の発生装置(波高値による定格管電圧が10キロボルト以上であり、かつ、その有するエネルギーが1メガ電子ボルト未満のものに限る。)その他の医療用の特定エックス線装置のほか、診療施設以外の施設において獣医師が管理する医療用の特定エックス線装置等が該当すること。
獣医療則第16条第1項(第6号から第8号を除く。)に規定される措置の解釈については、「獣医療法施行規則の一部を改正する省令及び関連告示の施行に伴う診療用放射線の防護等について」(平成21年2月20日付け20消安第11529号農林水産省消費・安全局長通知)の第3の11の(1)並びに(2)のア及びイを参考にすること。
獣医療則第16条第1項第1号から第3号に掲げる措置を実施する際の優先順位は、第1号(遮へい)、第2号(距離)、第3号(時間)の順で検討することが望ましいこと。いずれの措置においても、事業者は電離則第1条の理念に基づき、労働者の被ばくが極力少なくなるよう努めるべきであること。
なお、診療施設以外の施設において、獣医師ではなく、エックス線作業主任者が管理する装置については、臨床研究、治験、獣医療従事者の養成若しくは教育訓練又は死因究明等の用であっても、工業用等のエックス線装置としての措置が適用されるものであること。
(13) リニアック、サイバーナイフ等の医療用高エネルギー放射線発生装置等のように、荷電粒子を加速する装置により発生するエックス線を利用する場合は、当該装置について電離則上は「荷電粒子を加速する装置」として扱うため、電離則第10条の括弧書きのとおり、当該装置は電離則上の「エックス線装置」には含まれないこと。
(14) 放射線装置室以外の場所で使用するエックス線装置であって、1週間につき外部線量で1ミリシーベルトを超えて被ばくするおそれのあるものについても、自動警報装置や安全装置を備えることが望ましいこと。
4 電離則第47条関係(エックス線作業主任者の職務関係)
(1) 第1号は管理区域、立入禁止区域についての標識が適正に設けられているか否かを点検し、電離則第3条第1項又は第18条第2項に適合するように措置しなければならないことを規定していること。
これらの区域が適正に設けられているか否かについては、当該区域の放射線の測定を行うことによって判断する必要があること。なお、管理区域の設定に当たっては、253号通達別添1「管理区域の設定等に当たっての留意事項」を参考にすること。
(2) 第2号は、照射筒若しくはしぼり又はろ過板の使用に関する規定であり、これに該当するか否かを判断し、適正な能力のものを選定するなど必要な措置を講ずるべきであること。
(3) 第3号に規定する間接撮影時の措置、透視時の措置又は放射線装置室以外の場所で使用する際の措置のうち、自動開放装置のない場合の取り付けなどエックス線作業主任者が自ら行うには困難な場合は、事業者に対して必要な機器の購入を申し出ること。
また、既に取り付けられたこれらの装置については、作業中に異常が生じないようにその機能を点検し、異常を発見したならば直ちに事業者に報告し、改善されるまでその装置の使用を差し控えさせるなどの措置を行わせること。
(4) 第4号の「照射条件等を調整」とは、被照射体の性質、形状等に応じ、照射方向、照射野の広さ、被照射体との距離、管電圧、管電流、照射時間等の条件を決定することであること。
(5) 第5号の「第17条第1項の措置」には、改正省令附則第2条による自動警報装置の代替措置が含まれること。
同号の「点検」とは、自動警報装置の場合はその機能が作業に当たって有効に保持されていること、また自動警報装置によらない周知の措置の場合は関係者に対する周知が作業に当たって確実に認識できる方法により行われていることを確認することであること。
(6) 令和8年4月1日に施行される第6号の「第17条第1項の措置」の解釈は(5)と同様であること。
同号の「必要な措置」とは、専ら労働者の健康障害の予防に必要な措置を指すものであり、前号の点検により異常を発見した場合に直ちに事業者に報告し、改善されるまでその装置の使用を差し控えさせる等の措置を行わせることであること。なお、異常を解消しないまま取り繕ってエックス線装置を稼働させ続けるなど、単に業務の継続等を目的とした措置は、「必要な措置」には当たらないこと。
(7) 令和9年10月1日に施行される第7号の「点検」とは、エックス線装置の使用にあたり安全装置の機能が作業中有効に保持されていることを確認することであること。
(8) 令和9年10月1日に施行される第8号の「必要な措置」の解釈は(6)と同様であること。
(9) 令和9年10月1日に施行される第9号は、安全装置をやむを得ず無効化等した場合の大量被ばく事故を防止するため、代替措置が当該作業中に確実に講じられていることの確認を徹底することとしたものであること。
(10) 第10号(令和8年3月31日までは第6号、令和8年4月1日から令和9年9月30日までは第7号)は、被照射体のかげなどに人が居るのを十分に確認しないことによる大量被ばく事故を防止するため、照射を行う前に確実に立入禁止区域に人が居ないことを確認させることとしたものであること。
(11) 第11号(令和8年3月31日までは第7号、令和8年4月1日から令和9年9月30日までは第8号)は、エックス線装置を取り扱う作業中に適切な放射線測定器が適切な箇所に、適切な数、装着されているかを確認させることとしたものであること。
(12) 第12号(令和8年4月1日から令和9年9月30日までは第9号)の「作業の方法」とは、専ら労働者の健康障害の予防に必要な事項に限るものであり、以下に掲げるものを含むこと。なお、作業主任者の職務の中で、作業計画の策定等、現場以外の場所で実施できるものについては、作業主任者がこのような職務についてまで現場で実施する必要はないものであること。また、「放射線業務従事者の指揮」とは法第14条の「労働者の指揮」と同じ趣旨であるが、このたび電離則においても明示したものであること。
ア 作業の段取り
イ 関係装置の起動、停止、監視、調整等の要領
ウ 外部放射線の監視の方法
エ 遮へい板等による放射線防護の方法
オ 保護具の使用
カ 立入禁止区域の設定
キ 事故発生の場合の労働者の退避等の措置
ク 作業相互間の連絡、合図の方法
(13) エックス線作業主任者の職務が追加されることに伴う免許試験の科目等の変更はなく、引き続き、施行前に取得した免許を所持する者をエックス線作業主任者に選任可能であること。ただし、事業者は、法第19条の2第1項に基づき、能力向上教育の実施に努めるべきであること。
5 電離則第52条の3関係(ガンマ線透過写真撮影作業主任者の職務関係)
(1) 第8号の「照射条件等を調整」とは、被照射体の性質、形状等に応じ、照射方向、照射野の広さ、被照射体との距離、照射時間等の条件の決定であること。
(2) 第14号の「作業の方法」とは、専ら労働者の健康障害の予防に必要な事項に限るものであり、以下に掲げるものを含むこと。なお、作業主任者の職務の中で、作業計画の策定等、現場以外の場所で実施できるものについては、作業主任者がこのような職務についてまで現場で実施する必要はないものであること。また、「放射線業務従事者の指揮」とは法第14条の「労働者の指揮」と同じ趣旨であるが、このたび電離則においても明示したものであること。
ア 作業の段取り
イ 関係装置の起動、停止、監視、調整等の要領
ウ 装備している放射性物質の取り扱い方法
エ 外部放射線の監視の方法
オ 遮へい板等による放射線防護の方法
カ 保護具の使用
キ 立入禁止区域の設定
ク 事故発生の場合の労働者の退避等の措置
ケ 作業相互間の連絡、合図の方法
(3) ガンマ線透過写真撮影作業主任者の職務が追加されることに伴う免許試験の科目等に変更はなく、引き続き、施行前に取得した免許を所持する者をガンマ線透過写真撮影作業主任者に選任可能であること。ただし、事業者は、法第19条の2第1項に基づき、能力向上教育の実施に努めるべきであること。
6 改正省令附則第2条関係
(1) 「改修等により自動警報装置を設置することにつき著しく困難な事情があるとき」とは、次に掲げる場合であって、装置を改修することが困難な場合に限られること。
ア 製造者が現存していない場合
イ 装置の設計書等の改修に必要な図書等が滅失し再入手が困難な場合や改修に必要な部品等の入手が困難な場合
ウ 改修することにより著しく使用の目的を妨げ又は作業の性質上困難な場合
(2) 「自動警報装置の設置に代わる措置」については、APDを労働者に装着させること等の過剰な被ばくを防ぐための措置が挙げられること。3(10)に示す細部事項についても参考にすること。
(3) なお、改正省令附則第2条の措置は、電離則第17条第1項に規定する措置に含まれるものであること。
7 改正省令附則第3条関係
(1) 「改修等により安全装置を設置することにつき著しく困難な事情があるとき」は、6(1)アからウに掲げる場合であって、装置を改修することが困難な場合に限られること。
(2) 「安全装置の設置に代わる措置」については、APDを労働者に装着させること等の偶発的な被ばくを防止する措置が挙げられること。3(10)に示す細部事項についても参考にすること。
第3 関係通達の改正
改正省令及び改正告示の施行若しくは適用並びに令和6年8月30日「エックス線装置に係る放射線障害防止対策に関する検討会報告書」の3の(4)のii)において253号通達の情報のアップデートを行うべきであるとされたことに伴い、関係する通達の改正を行うこととしたものであること。
1 改正対象及び改正内容
昭和64年1月1日付け基発第1号「電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令の施行について」(以下「第1号通達」という。)、第253号通達及び平成17年6月1日付け基発第0601005号「電離放射線障害防止規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について」(以下「第0601005号通達」という。)をそれぞれ別紙1のとおり改正すること。
2 適用期日
別紙1の改正の適用期日は、それぞれ以下の通り。
(1) 発出日適用
・第1号通達 第二のⅣの44関係
・第253号通達 第2の2の(13)のうち安衛則様式第28号関係、第3の21の(2)関係、第5の2関係、別添1関係、別添2関係
・第0601005号通達 第1の1の(2)関係、第2の1の(2)関係、第3の2の(2)のうち旧「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」関係、別図関係
(2) 令和8年4月1日適用
・第1号通達 第二のⅣの37及び38関係
(3) 令和9年10月1日適用
・第1号通達 第二のⅣの10関係
・第253号通達 第2の2の(13)のうち電離則第17条関係
・第0601005号通達 第2の1の(3)関係、第3の2の(2)のうち電離則第17条関係
[別紙1]
[参考1]
○電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令の施行について
(昭和64年1月1日)
(基発第1号)
(都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通知)
改正 平成 6年 6月21日基発370号
同 13年 3月30日同 253号
令和 7年10月29日基発1029第1号
電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令(昭和63年労働省令第32号)が、昭和63年10月1日公布され、昭和64年4月1日から施行されることとなった。
ついては、下記に示す今回の改正の趣旨を十分に理解し、関係者への周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。
なお、昭和39年2月19日付け基発第184号「電離放射線障害防止規則の施行について」、昭和39年12月22日付け基発第1419号「管理区域設定のための放射線測定について」、昭和40年12月23日付け基収第6437号の2「管理区域に関しての疑義」、昭和47年9月18日付け基発第593号「電離放射線障害防止規則の施行について」、昭和48年3月12日付け基発第121号「電離放射線による障害の防止対策の徹底について」、昭和49年2月13日付け基発第73号「ハイジャック防止用手荷物検査装置に関する電離放射線障害防止規則の適用について」、昭和50年8月6日付け基発第463号「電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令の施行について」、昭和52年9月22日付け基発第538号「電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令の施行について」、昭和53年1月26日付け基収第633号「電離放射線障害防止規則第56条の疑義について」及び昭和56年12月15日付け基発第770号「電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令の施行について」は、昭和64年3月31日をもって廃止する。
記
第1 改正の要点
1 放射能の量、線量当量等に関する単位について、従来用いてきた単位を国際単位系に従った単位に改正したこと。
2 管理区域に立ち入る労働者について、従来の「放射線業務従事者」、「管理区域随時立入者」及び「管理区域に一時的に立ち入る労働者」の3区分を廃止し、新たに「放射線業務従事者」及び「管理区域に一時的に立ち入る労働者」の2区分としたこと。(第4条、第8条関係)
3 放射線業務従事者の被ばく限度については、従来、年齢区分ごとの集積線量の限度及び3月3レムの被ばく限度により規制していたものを、「実効線量当量」及び「組織線量当量」に係る年限度の方法を導入することにより、被ばく管理をより適切に行うこととしたこと。(第4条、第5条関係)
4 緊急作業時において、第4条に規定する限度を超えて被ばくすることができる者を従来の「男子」の放射線業務従事者から、「男子及び妊娠不能である女子の放射線業務従事者に改めた」こと。また、緊急作業時における被ばく限度を、従来の線量当量の12レムから、実効線量当量の100ミリシーベルト(10レム)に改正したこと。(第7条関係)
5 管理区域に立ち入る労働者の外部被ばくによる線量当量の測定方法、被ばく線量測定用具の装着部位等に関する規定を整備するとともに、当該線量当量の算定方法は労働大臣が定める方法によることとしたこと。(第8条、第9条関係)
6 管理区域に立ち入る労働者の内部被ばくによる線量当量については、測定の義務の規定を設けるとともに、当該線量当量の測定方法及び算定方法は、労働大臣が定める方法によることとしたこと。(第8条、第9条関係)
7 健康診断について、最近の医学的知見をもとに当該健康診断の項目の整備を図るとともに、労働者の受けた線量当量等に応じて、当該健康診断の項目を医師の判断により省略できることとしたこと。(第56条関係)
第2 細部事項
Ⅰ 削除
Ⅱ 削除
Ⅲ 新設・改正した規定について
1~6 削除
7 第41条の2関係
(1) 本条は、放射性物質を吸入摂取、経口摂取するおそれのある作業場で労働者が喫煙、飲食することに伴い、放射性物質を吸入摂取し又は経口摂取することを防止するために設けたものであること。
(2) 「放射性物質を吸入摂取し、又は経口摂取するおそれのある作業場」には、第22条で規定する放射性物質取扱作業室、核原料物質の掘採現場及び原子炉の定期検査時における放射性物質により汚染されている作業場等があること。
8~11 削除
12 その他の改正事項
(1) 第2条、第14条、第17条及び第54条関係
放射能の量について「キュリー」から「ベクレル」に単位の改正を行ったものであること。
(2) 第12条及び第13条関係
照射線量について「レントゲン」から「クーロン毎キログラム」に単位の改正を行ったものであること。
(3) 第15条、第18条、第37条及び第45条関係
外部放射線による場の線量当量が「1センチメートル線量当量」により評価されることとなったことに伴い、「線量率」を「1センチメートル線量当量率」に改めたものであること。
(4) 第3条、第24条、第25条及び第38条関係
空気中の放射性物質の濃度限度は、従来、別表第1に規定されていたところであるが、昭和63年労働省告示第93号の第1条に規定されたことに伴い、所要の整備を行ったものであること。
(5) 第28条、第29条、第30条、第31条、第32条、第33条、第39条、第41条及び第44条関係
別表第2を別表に改めたことに伴い、所要の整備を行ったものであること。
Ⅳ 既存の規定関係
1・2 削除
3 第10条関係
(1) 第1項の「放射角」とは、エックス線装置の照射口より放射される利用線錐の立体角をいうこと。
(2) 第1項の「照射筒」は、照射野の広がりを実質的に制限しうるものであれば足りるものであり、コリメーター(スリット(スリットカバーを取り付けた場合はこれを含む。)及びピンホール)は、照射筒とみなして差し支えないものであること。
(3) 第1項の「使用の目的が妨げられる場合」とは、被照射体の形態、特定エックス線装置の使用場所等の条件のため、照射筒又はしぼりを用いると特定エックス線装置が使用できなくなる場合をいうこと。したがって、エックス線厚さ計のように一定の微小な放射角の利用線錐のみを放射し、利用する構造となっている特定エックス線装置については、本条の照射筒又はしぼりを用いる必要はないこと。
4 第11条関係
蛍光分析エックス線装置は、軟線を利用するものであるから、本条ただし書の「作業の性質上軟線を利用しなければならない場合」に該当するものであること。
5・6 削除
7 第14条関係
本条の掲示事項は、放射線源を交換したとき等に書換えを必要とするものについても、当該機器の表面、これに取り付けた銘板等に明確に、かつ、容易に消滅しないように表示すること。
8 第15条関係
(1) 第1項の「放射線装置室」は、放射線装置1基につき1室を設ける必要はなく、2基以上を設置する場合であっても1室を設けることとして差し支えないこと。
(2) 第1項の「20マイクロシーベルト毎時を超えないように遮へいされた構造」とは、利用線錐方向をも含み放射線装置の外側におけるどの部分においても20マイクロシーベルト毎時を超えないように遮へいされた構造をいうこと。
(3) 第1項の「著しく、使用の目的を妨げ、若しくは作業の性質上困難である場合」とは、船舶、屋外構築物等の溶接部の非破壊検査を行うためにエックス線装置を使用する場合、ガンマ線を利用した液面計を使用する場合等をいうこと。
9 削除
10 第17条関係
(1) 第2項の「自動警報装置」とは、放射線装置が第1号から第3号までの各号の状態にある場合において、これと電気的又は機械的に連動して警報が行われる装置をいうこと。
(2) 第1項で定める周知の方法として、第2項の「自動警報装置」のほかに、手動によるブザー、表示灯等があること。
(3) 第7項の「インターロック」とは、荷電粒子加速装置が稼働している間や放射性物質が安全な場所に格納されていない間は、自動的に出入口が閉鎖され内部へ立ち入ることができないようにする機構をいうこと。
11 削除
12 第18条の2関係
(1) 「労働者が立ち入らない方向に照射」とは、放射線を照射する方向に労働者を立ち入らせてはならないことをいうこと。なお、本条は、放射線を有効に遮へいする建築物等がある場合に、当該建築物等の後方で放射線が遮へいされている部分に労働者を立ち入らせることを棄止したものではないこと。
(2) 「しゃへいする措置」については、特定エックス線装置等を使用して行う作業の内容、遮へい物の遮へい能力等を勘案して講ずべきものであるが、事業者において標準的な遮へい方法を定め、これによることが望ましいこと。
13 第18条の3関係
(1) 本条は、放射線源を伝送管の先端から外に送り出すことを認める趣旨ではないこと。
(2) 第1項の「透過写真撮影用ガンマ線照射装置を使用するとき」とは、当該装置を使用して透過写真を撮影するときをいい、放射線源の入替えのために当該装置の線源容器から放射線源を取り出すときは含まれないこと。なお、放射線源の入替えの作業は、労働者の被ばくを防止するため、遠隔操作により行うべきことは当然であること。
(3) 放射線源の送出し装置を有する透過写真撮影用ガンマ線照射装置の構造は、次の図のとおりであること。
14 第18条の4関係
(1) 第2号の「コリメーター」とは、伝送管の先端に取り付けて使用する器具で、放射線源送出し装置により線源容器から取り出された放射線源をその内部に収納することにより、利用線錐の大きさを制限し、及び利用線錐以外のガンマ線の照射線量率を減少させるものをいい、その機能は、特定エックス線装置に取り付けて使用する照射筒又はしぼりと同様であること。
コリメーターは、通常、鉛等を材料としており、次の図のようなものがあること。
(2) 第2号の「コリメーター等」の「等」には、鉛等の遮へいブロックが含まれること。
15 第18条の5関係
(1) 本条の自主検査は、透過写真撮影用ガンマ線照射装置について外観検査、作動試験等により行えば足りるものであり、線源容器を分解することまでを必要とするものではないこと。
(2) 本条の自主検査は、労働者の被ばくをできるだけ避けるため、第1項第4号に掲げる事項については放射線源を取り出すことなく行い、その他の事項については必要に応じ適切な遮へい等の措置を講じて行うこと。
(3) 自動警報装置等を有する透過写真撮影用ガンマ線照射装置については、本条の自主検査を行う際に、併せて当該自動警報装置等の異常の有無の点検を行うことが望ましいこと。
16 第18条の7関係
(1) 第2号の「検査の方法」には、自主検査に用いた放射線測定器の種類及び型式も記載すること。
(2) 本条による記録は、個々の透過写真撮影用ガンマ線装置ごとに作成し、当該装置の種類及び型式、管理責任者の氏名、放射線源の交換年月日、第18条の8の規定により行われた点検の結果、第18条の9の補修その他の措置も併せて記載することが望ましいこと。
17 第18条の8関係
自動警報装置を有する透過写真撮影用ガンマ線照射装置については、本条の点検を行う際に、併せて当該自動警報装置の異常の有無の点検を行うことが望ましいこと。
18 第18条の10関係
(1) 「放射線源を線源容器その他の容器に収納する作業」は、できるだけ短い時間で行うべきものであること。このため、事業者は当該作業に必要な訓練を労働者に対して行うことが望ましいこと。
(2) 「鉗子等」は、放射線源の形状、放射線の強さ等に応じたものを用いるようにすること。
19 第22条関係
(1) 第2項かっこ内の規定は、放射性物質を取り扱う二以上の室が並んでいたり、向かいあったりしており、それらの間が放射線業務従事者専用の廊下によって連絡されている場合には、これら二以上の室及び廊下を合わせて一の放射性物質取扱作業室とする趣旨であること。
(2) 放射性物質を処理するセル等が設けられている室(セル操作室等)は、放射性物質取扱作業室に該当するものであること。
20 第23条関係
(1) 一般に、鉛、ステンレス、合成樹脂等は第1号の規定に適合するものであるが、木材、しっくい、むきだしのコンクリートモルタル等は適合しないものであること。
(2) 水のたまるような部分やタイルの目地の不良な部分のあるものは第3号の規定に適合しないものであること。
21 削除
22 第26条関係
ただし書の「その設備を設けることが作業の性質上著しく困難な場合」には、第22条第1項ただし書に規定する場合、金属ウランの圧延の場合等があること。
23 第27条関係
(1) 第1項の「その旨を表示」とは、必ずしも用途を明記しなくても、特定のマークをつけることで差し支えないこと。
(2) 第2項の「汚染を容易に除去することができる構造及び材料」については、第23条の規定に準ずるものであること。
24 削除
25 第29条関係
第2項の「じんあいの飛散しない方法」とは、湿らせた布によるふき取り等をいうものであること。
26 第30条関係
第1項の「その限度以下になるまで」とは、積極的に汚染を除去することのほか、一定期間保管し放射能の減衰を待つことを含むものであること。
27 第31条関係
(1) 第1項の「出口に汚染検査場所を設け」とは、放射性物質取扱作業室の内側であって出口に近いところに汚染検査場所を設けることであること。
(2) 第2項第1号の「洗身等」によってもなお、別表に掲げる限度の10分の1以下にすることができない場合には、第44条第4号の規定により医師の診察を受けさせなければならないので、医師による診察を受けさせるため当該労働者を放射性物質取扱作業室から退去させて差し支えないこと。
28 第33条関係
第1項の「貯蔵施設」には、貯蔵室の他、壁にはめこまれた貯蔵庫等があること。
29 第34条関係
本条は、放射性物質取扱作業室からの排気又は排液であっても、放射性物質により汚染されないものの排出系統に関する構造についてまで規制するものではないこと。
30 第36条関係
第1項の「保管廃棄」とは、廃棄の目的をもって一定の場所に保管することをいうこと。
31 第37条関係
(1) 第1項ただし書の「容器に入れることが著しく困難なもの」には、大型の機械設備等があること。
(2) 第1項ただし書の「汚染のひろがりを防止するための有効な措置」には、ビニールシートによるこん包等の措置があること。
32 第38条関係
第1項の「汚染の程度に応じて」とは、粉じんの場合には防じんマスクを、有毒ガス又は蒸気の場合にはその種類に応じて防毒マスクを、さらにこれら放射性物質による汚染の程度が高い場合にはホースマスク又は酸素呼吸器をというように、適切に使い分けることをいうこと。
33 第39条関係
第1項の「保護衣類」には、帽子、フード等が含まれること。
34 第39条第1項の規定により労働者には汚染防止用の保護衣類を使用させる場合には、それぞれ本条の「作業衣」とみなして差し支えないこと。
35 第42条関係
事故が発生した場合、退避に先立ってグローブボックスの扉を閉ざすこと、倒れた容器を起こすこと等の措置を迅速に行うことが事故発生時の影響の拡大を防ぐために役立つものであり、本条はそのような応急の措置を退避の前にとらせることを禁止するものではないこと。しかしながら、このような措置を行う場合には、これを行う労働者が多量の放射線を受けるおそれがあるので日常このような事故における応急措置及び退避について労働者を教育・訓練しておくことが必要であること。ただし、事業者がこのような応急の措置を労働者に強制的に義務づけることは適当でないこと。
36~40 削除
41 第59条関係
(1) 「障害が生じており」、「その疑いがあり」及び「障害が生ずるおそれがある」の判断は、健康診断を行った医師が行うものであること。
(2) 「その疑いがあり」とは、現在異常所見が認められるが、それが放射線業務に従事した結果生じたものであるかどうか判断することが困難な場合等をいうこと。
(3) 「障害が生ずるおそれがある」とは、現在異常所見は認められないが、その労働者が受けた線量当量から考えて障害が生ずる可能性があるとか、現在の健康状態から考えて、新たに又は今後、引き続き放射線業務に従事することによって障害が生ずる可能性がある等の場合をいうこと。
42 第60条関係
「必要のつど容易に測定器を利用できるように措置」には、その事業場に地理的に近い所に備えられている測定器を必要のつど借用しうるように契約を行うこと等があること。
43 第61条の2関係
(1) 本条の届出は、専ら移動して使用する透過写真撮影用ガンマ線照射装置を用いて、いわゆる出張作業を行う場合に行うものであり、放射線装置を設置し、又は移転する場合に第61条の規定により行う届出とは異なるものであること。
(2) 本条の届出は、自己の事業場以外の場所で作業を行う場合に、当該作業場ごとに行うべきものであるが、一連の作業で場所的に近接した数ケ所の作業場所で作業を行うことが予定されている場合には、あらかじめそれらの作業場について一括して届出をして差し支えないこと。
44 第62条関係
「放射線業務を行う事業場内において放射線業務以外の業務を行う事業」とは、放射線業務を行う事業場内において、建設、塗装、配管、配線、清掃等の業務を行う下請業者等の事業をいうこと。
第3 その他(労働安全衛生法施行令の規定について)
1 別表第2第5号関係
「放射性物質の取扱い」とは、放射性物質の使用だけでなく、その運送、保管等の業務をも含むこと。
2 別表第2第6号関係
「原子炉の運転」とは、原子炉の操作取扱い、研究及び利用のために管理区域に立ち入って行う業務をいうこと。
[参考2]
○労働安全衛生規則及び電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令の施行等について
(平成13年3月30日)
(基発第253号)
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
改正 令和 2年10月27日基発1027第4号
同 7年10月29日基発1029第1号
(公印省略)
労働安全衛生規則及び電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令(平成13年厚生労働省令第42号。以下「改正省令」という。)が、平成13年3月27日に公布され、平成13年4月1日から施行されることとなったところである。
今回の改正は、放射線審議会の「ICRP1990年勧告(Pub.60)の国内制度等への取入れについて(意見具申)」及びその他の国際基準の取入れに対応するためのものである。
ついては、下記に示す今回の改正の趣旨を十分に理解し、関係者への周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏なきを期されたい。
なお、昭和64年1月1日付け基発第3号「電離放射線障害防止規則第56条に規定する健康診断の項目の省略の可否について」及び平成2年5月22日付け基発第300号「電離放射線障害防止規則第3条第1項の規定による管理区域の設定の基準について」は、平成13年3月31日をもって廃止する。
記
第1 改正の要点
1 「線量当量」を「線量」に改める等の用語についての改正を行ったこと。
2 管理区域等における基準を強化したこと。(改正省令による改正後の電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号。以下「電離則」という。)第3条、第3条の2関係)
3 放射線業務従事者の被ばく線量限度を引き下げたこと。(電離則第4条、第5条、第6条関係)
4 緊急作業時における被ばく線量限度として、実効線量以外に等価線量を定めたこと。(電離則第7条関係)
5 放射線業務従事者の線量の測定結果の記録の保存期間を30年に延長したこと。(電離則第9条関係)
6 特定エックス線装置を用いて間接撮影及び透視の作業を行う場合の受像器からの漏えい線量率等について改正したこと。(電離則第12条、第13条関係)
7 第42条第1項各号のいずれかに該当する事故が発生したときは、速やかに、その旨を所轄労働基準監督署長に報告しなければならないこととしたこと。(電離則第43条関係)
8 第44条第1項各号のいずれかに該当する労働者があるときは、速やかに、その旨を所轄労働基準監督署長に報告しなければならないこととしたこと。(電離則第44条関係)
9 放射線業務従事者の健康診断の検査項目の追加及びその省略方法等について改正したこと。(電離則第56条関係)
10 放射線業務従事者の健康診断結果の記録の保存期間を30年に延長したこと。(電離則第57条)
第2 用語の改正関係
1 改正の概要
従来用いられてきた線量等の用語について、次のとおり改正したこと。
改正前の用語 |
改正後の用語 |
組織線量当量率 |
等価線量 |
実効線量当量 |
実効線量 |
線量当量(率) |
線量(1センチメートル線量当量(率)又は70マイクロメートル線量当量(率)を限定的に表す場合を除く。) |
照射線量(率) |
自由空気中の空気カーマ(率) |
被ばく線量測定用具 |
放射線測定器 |
測定器 |
2 電離則等で使用されている用語について
(1) 等価線量(電離則第5条、第6条、第7条、第9条、第44条、第45条、様式第1号及び第2号関係)
「等価線量」とは、放射線が人体に与える影響のうち、確定的影響(注1)を評価するための量であり、人体の特定の組織・臓器が受けた吸収線量(組織・臓器1kg当たりに吸収されたエネルギー)に係数(放射線荷重係数)を乗じることにより求められる。単位は「ジュール毎キログラム」、その別称を「シーベルト」という。
なお、「等価線量」は、改正省令による改正前の電離則(以下「旧電離則」という。)における「組織線量当量」に当たる用語であるが、国際放射線防護委員会(以下「ICRP」という。)が、特定の組織・臓器における吸収線量及び放射線荷重係数の評価をより厳密に行い、より正確な用語である「等価線量」に改めることとしたことを受け、今回改めることとしたものである。
(注1)「確定的影響」とは、以前の「非確率的影響」に当たるもので、障害の発生と被ばく線量との間にしきい値が存在し、その障害の重篤度が被ばく線量に依存するような障害をもたらす放射線影響をいう。この影響には、白内障及び皮膚障害等がある。
(2) 実効線量(電離則第3条、第3条の2、第4条、第6条、第7条、第9条、第18条、第42条、第44条、第45条、第56条、様式第1号及び第2号関係)
「実効線量」とは、放射線が人体に与える影響のうち、確率的影響(注2)を評価するための量であり、人体の各組織・臓器が受けた等価線量に係数(組織荷重係数)を乗じたものを加算することにより求められ、電離則では、人体が受ける放射線の量を直接表す場合と作業環境中の放射線の量を表す場合の二通りに用いられている。単位は「ジュール毎キログラム」、その別称は「シーベルト」である。
なお、「実効線量」は、旧電離則における「実効線量当量」に当たる用語であるが、ICRPにおいて「組織線量当量」が「等価線量」に改められたこと、及び組織荷重係数も見直されて「実効線量」に改められたことを受け、今回改めることとしたものである。
(注2)「確率的影響」とは、障害の発生確率と被ばく線量との間にしきい値を持たない比例関係があり、その障害の重篤度が被ばく線量に依存しないような障害をもたらす放射線影響をいう。当該影響には、発がん及び遺伝的影響がある。
(3) 外部放射線による実効線量(電離則第3条、第3条の2、第18条関係)
「外部放射線による実効線量」は、電離則において、作業場所の空間に存在する放射線の量を、実効線量で評価する場合に用いている。
(4) 空気中の放射性物質による実効線量(電離則第3条、第3条の2関係)
「空気中の放射性物質による実効線量」は、電離則において、作業場所の空間に存在する放射性物質の量を、それを体内に取り込んだ場合に人体が受ける実効線量として評価する場合に用いている。
(5) 1センチメートル線量当量(率)(電離則第3条、第3条の2、第8条、第9条、第15条、第54条関係)
「1センチメートル線量当量」とは、外部被ばくによる実効線量の評価に用いられる測定に係る量で、放射線の種類及びエネルギーから一定の換算係数を用いて求められる。単位は「ジュール毎キログラム」、その別称は「シーベルト」である。実効線量は直接測定することができないので、このような量を近似値として使用する。
1センチメートル線量当量は、人体が受ける放射線の量を評価する場合と作業環境中の放射線の量を評価する場合とでは異なった値となり、人体が受ける放射線の量を評価する場合の「1センチメートル線量当量」は、国際放射線単位・測定委員会(以下「ICRU」という。)が導入した個人線量当量に相当し、人体の深さ1センチメートルにおける線量とみなされる量である。
一方、作業環境中の放射線の量を評価する場合の「1センチメートル線量当量」は、ICRUが導入した周辺線量当量に相当し、ICRU球(注3)の深さ1センチメートルの位置につくられる線量とみなされる量である。
なお、「1センチメートル線量当量率」とは、1時間当たりの1センチメートル線量当量であり、単位は「シーベルト毎時」である。
(注3)「ICRU球」とは、放射線を受けたときに人体の組織とほぼ等しい相互作用を示す物質からなる直径30センチメートルの均質な球をいう。
(6) 70マイクロメートル線量当量(率)(電離則第3条、第3条の2、第8条、第9条、第15条、第54条関係)
「70マイクロメートル線量当量」とは、外部被ばくによる皮膚の等価線量の評価に用いられる測定に係る量で、旅射線の種類及びエネルギーから一定の換算係数を用いて求められる。単位は「ジュール毎キログラム」、その別称は「シーベルト」である。等価線量も直接測定することはできないので、このような量を近似値として使用する。
70マイクロメートル線量当量も人体が受ける放射線の量を評価する場合と作業環境中の放射線の量を評価する場合とでは、異なった値となり、人体が受ける放射線の量を評価する場合の「70マイクロメートル線量当量」は、ICRUが導入した個人線量当量に相当し、人体の深さ70マイクロメートルにおける線量とみなされる量である。一方、作業環境中の放射線の量を評価する場合の「70マイクロメートル線量当量」は、ICRUが導入した方向性線量当量に相当し、ICRU球の深さ70マイクロメートルの位置につくられる線量とみなされる量である。
なお、「70マイクロメートル線量当量率」とは、1時間当たりの70マイクロメートル線量当量であり、単位は「シーベルト毎時」である。
(7) 3ミリメートル線量当量
「3ミリメートル線量当量」とは、外部被ばくによる眼の等価線量を評価するための測定に係る量であり、旧電離則で用いられていた量であるが、1センチメートル線量当量と70マイクロメートル線量当量の測定・評価により、眼の水晶体の等価線量が限度を超えないように管理することができることができることから、3ミリメートル線量当量の測定は、今回の改正で削除することとなった。
改正後は、1センチメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量のうちのどちらか適切な方をもって眼の水晶体の等価線量とみなすこととなる。
(8) 線量当量(率)(電離則第8条、第45条、第54条関係)
「線量当量(率)」とは、電離則では、1センチメートル線量当量(率)及び70マイクロメートル線量当量(率)を包括的に表す用語として用いている。
(9) 線量(電離則第3条の2、第8条、第9条、第47条、第52条の3、第56条関係)
「線量」とは、電離則では、「等価線量」、「実効線量」及び「線量当量」を包括的に表す用語として用いている。
(10) 外部被ばくによる線量(電離則第8条、第9条関係)
「外部被ばくによる線量」とは、体外から照射される放射線によって被ばくする場合の線量をいう。
(11) 内部被ばくによる線量(電離則第8条関係)
「内部被ばくによる線量」とは、放射性物質の粉じん、蒸気及びガス等を吸い込むこと(吸入摂取)並びに液体又は個体の放射性物質を飲み込むこと(経口摂取)等によって、体内の放射性物質から照射される放射線によって被ばくする場合の線量をいう。
本来、「内部被ばくによる実効線量」及び「外部被ばくによる等価線量」を包括的に表現し得るが、内部被ばくの場合、実効線量を限度を超えないように管理すれば、いかなる組織・臓器にも確定的影響が生じるおそれがないため、電離則では、「外部被ばくによる等価線量」に関する規定がなく、「内部被ばくによる実効線量」のみを表す用語として用いている。
(12) 自由空気中の空気カーマ(率)(電離則第12条、第13条、第18条の4関係)
「カーマ」(kerma:Kinetic Energy Released per unit MAss)とは、ある物質1kgに非荷電電離性粒子(エックス線、ガンマ線、中性子線)が照射されたときに、電離作用によって、その物質内に作られる荷電粒子(電子、プラスイオン)の運動エネルギーの合計であり、単位は「ジュール毎キログラム」、その別称は「グレイ」である。
非荷電電離性粒子が照射される物質が空気の場合のカーマを「空気カーマ」という。
なお、「自由空気」とは、壁等によって空気の運動が妨げられることのないような空間にある空気のことをいう。
今回の改正により「照射線量(率)(単位 クーロン毎キログラム)」を、国際的に用いられている「自由空気中の空気カーマ(率)」に改めることとなった。両者は、「1グレイ=2.97×10-2クーロン毎キログラム」で換算できる。
(13) 放射線測定器(労働安全衛生規則様式第27号、電離則第3条、第8条、第17条、第19条、第45条、第47条、第52条の3、第54条、第55条、第60条関係)
旧電離則では、個人の被ばく線量を測定する物を「被ばく線量測定用具」、作業環境中の放射線の量を測定する物を「測定器」として区別されていたが、現状において、機器の技術的進歩等に伴い、機器を測定用具と測定器とに明確に区別し難いことから、これらを包括的に表する用語として「放射線測定器」が用いられている。
ただし、個人の被ばく線量を測定するための放射線測定器と、作業環境中の線量を測定するための放射線測定器とでは、上記(8)等にあるとおり、測定データから1センチメートル線量当量に換算するための換算係数が異なっているので、測定の目的に応じて校正された放射線測定器を用い、又は換算を行う必要がある。
第3 細部事項
1 第1条関係
本条は、放射線により人体が受ける線量が電離則に定める限度以下であっても、確率的影響の可能性を否定できないので、電離則全般に通じる基本原則を訓示的に述べたものであること。
2 第2条関係
第2項ただし書の「密封されたもの」とは、放射性物質が浸透しない材料によって作られた容器に封入され、通常の取扱いによってその容器が破損したり、その容器から放射性物質がこぼれたりするおそれがない場合をいうものであって、金属性のカプセル入りの放射性物質、及び国際標準化機構(ISO)の規格に準拠したトリチウムを用いた夜光時計(分解する場合を除く。)等がこれに該当すること。
3 第3条関係
(1) 第1項の「標識によって明示」とは、区画物に標識を付したり、床上を白線、黄線、黄黒の縞模様等により明確に区画したりすることをいうが、移動用の放射線装置を用いて臨時に非破壊検査業務等を行う場合で、これらの方法によることが困難な場合は、要所要所にスタンド、旗等を設け、これらを結ぶ線によって囲まれる区域が管理区域として明らかにされるような措置を講ずることとしても差し支えないこと。
(2) 第1項第1号の「3月間につき1.3ミリシーベルト」とは、特殊な状況下での公衆の年実効線量限度である「5ミリシーベルト」を3月間に割り振ったものであること。3月間に割り振ったのは、放射線業務従事者の実効線量の集計が、特別な場合を除き、3月ごとであること(第9条)、施設、装置等の使用時間が短い期間では大きな幅があり、放射線防護の観点からは、短い期間での実効線量によって管理区域の設定の必要性を評価することが必ずしも適当でないこと等によるためであること。
ただし、管理区域の外側の同一労働者が常時滞在する場所において、1年間につき1ミリシーベルトを超えることが予想される区域が存在する場合は、立入りや滞在時間の管理、遮へいの増強等の措置を講じることにより、当該労働者の1年間の実効線量が、公衆の1年間の被ばく線量限度である「1ミリシーベルト」を超えないようにすることが望ましいこと。
(3) 第1項第2号の区域については、設備等に付着した放射性物質を経口摂取することによる内部被ばくが一定量以上となるおそれがあるものとして、加えることとしたこと。
(4) 第3項において、管理区域の設定のために測定を行う場合の1週間の労働時間については、管理区域内の施設、装置等の使用時間又は滞在時間が社内規定で明文化されている場合等であれば、1週間の当該使用時間又は滞在時間をもって、当該管理区域における1週間の労働時間として差し支えないものであること。
(5) 第3項の「厚生労働大臣が定める限度」とは、1年間(週40時間×年50週)その空気にさらされたときに、放射性物質を吸入摂取することによって50ミリシーベルトの実効線量(第4条第1項に規定する1年間の実効線量に相当する。)を受けることになるような空気中の放射性物質の濃度であり、「空気中濃度限度」ということ。
(6) 放射線の照射中に労働者の身体の全部又は一部がその内部に入ることのないように遮へいされた構造の放射線装置等を使用する場合であって、放射線装置等の外側のいずれの箇所においても、実効線量が3月間につき1.3ミリシーベルトを超えないものについては、当該装置の外側には管理区域が存在しないものとして取り扱って差し支えないこと。ただし、その場合であっても、装置の内部には管理区域が存在するので、第1項の「標識によって明示」することは必要であること。
この装置の例としては、次のものがあるが、これらの装置を使用する場合であっても、労働者に対しては、安全衛生教育等において、放射線の人体への影響、及び被ばくを防止するための装置の安全な取扱い等について周知させること。
ア エックス線照射ボックス付きエックス線装置であって、外側での実効線量が3月間につき1.3ミリシーベルトを超えないように遮へいされた照射ボックスの扉が閉じられた状態でなければエックス線が照射されないようなインターロックを有し、当該インターロックを労働者が容易に解除することができないような構造のもの
イ 空港の手荷物検査装置であって、手荷物の出入口は、労働者の手指等が装置内に入ることがないように2重の含鉛防護カーテンで仕切られ、当該装置の外側での実効線量が3月間につき1.3ミリシーベルトを超えないように遮へいされているもの
ウ 工場の製造工程で使用されている計測装置等で、製品等の出入口は、労働者の手指等が装置内に入ることがないように2重の含鉛防護カーテンで仕切られ、又は労働者の手指等が装置の内部に入った場合に放射線の照射が停止するインターロックを有し、かつ当該インターロックを労働者が容易に解除することができないような構造であり、装置の外側での実効線量が3月間につき1.3ミリシーベルトを超えないように遮へいされているもの
(7) 放射線装置を使用するに当たって、放射線装置の外に放射線を取り出すような場合は、通常は、その放射線が通過する空間の周囲に管理区域が存在するものであること。
(8) 3月間に放射線装置を放射線装置室以外の複数の異なった場所で使用する場合は、各場所ごとに管理区域を設定することになるが、同一労働者が当該3月間のうちに複数の異なった場所で作業を行うときであって、各場所ごとでは管理区域の外になるような区域での作業であっても、当該労働者にとっては管理区域内で作業を行っているのと同等の被ばくを受けるおそれがある場合は、管理区域内で作業を行う場合と同様の措置を講じるよう指導すること。
(9) 管理区域の設定に当たっては、別添1「管理区域の設定等に当たっての留意事項」を参考にすること。
(10) 第4項の「必要のある者」とは、業務上必要のある場合はもとより、下請事業者に雇用される労働者が塗装業務を行う場合等、その必要性が客観的に認められるような場合で管理区域に立ち入る者を含むものであること。
4 第3条の2関係
(1) 旧電離則第16条において、労働者が常時立ち入る場所における外部放射線による1センチメートル線量当量を1週間につき1ミリシーベルト(1年間につき50ミリシーベルト)以下にしなければならないこととされるとともに、旧電離則第24条第1項において、空気中の放射性物質の日平均濃度を厚生労働大臣が定める限度(1年間にっき50ミリシーベルト相当)以下にすることとされていたが、今回の改正により、これらの規定を合わせて、「外部放射線による実効線量」と「空気中の放射性物質による実効線量」との合計で、1週間につき1ミリシーベルト(1年間の実効線量限度)以下にしなければならないこととしたこと。
(2) 第1項の「労働者が常時立ち入る場所」とは、室、施設等の内外を問わず労働者が常時作業し、又は通行するすべての場所をいうものであること。
(3) 第3項における1週間の労働時間については、上記3の(4)の場合と同様に取扱うこと。
(4) 1週間の実効線量が1ミリシーベルト以下であることの確認に当たっては、別添1「管理区域の設定等に当たっての留意事項」を参考にすること。
5 第4条関係
(1) 第1項の「5年間」とは、事業者が事業場ごとに定める日を始期とする5年間として差し支えないこと。
(2) 第1項の「1年間」とは、「5年間」の始期の日を始期とする1年間とすること。例えば、「5年間」を「平成13年4月1日から平成18年3月31日まで」等のように定める場合、「1年間」は「平成13年4月1日から平成14年3月31日まで」、「平成14年4月1日から平成15年3月31日まで」等とすること。
(3) 事業者は、「5年間」の途中に新たに自らの事業場の管理区域に立ち入ることとなった労働者について、当該「5年間」の始期より当該管理区域に立ち入るまでの被ばく線量を当該労働者が前の事業場から交付された線量の記録(労働者がこれを有していない場合は前の事業場から再交付を受けさせること。)により確認すること。
(4) 第1項において、実効線量限度が5年間につき100ミリシーベルトとされたことから、年間20ミリシーベルトを超える労働者が存在する事業場については、作業環境、作業方法、及び作業時間等の改善により当該労働者の被ばくの低減を図るよう指導すること。
(5) 第2項については、妊娠に気付かない時期の胎児の被ばくを、特殊な状況下での公衆の被ばくと同等程度以下になるようにするため、「3月間につき5ミリシーベルト」としたこと。
なお、「3月間につき5ミリシーベルト」とは、「5年間につき100ミリシーベルト」を3月間に割り振ったものであること。
(6) 第2項の「3月間」の最初の「3月間」の始期は第1項の「1年間」の始期と同じ日にすること。例えば、「1年間」の始期を「4月1日」と定める場合、「3月間」の始期は「4月1日、7月1日、10月1日及び1月1日」となる。
(7) 上記(1)、(2)及び(5)の始期を放射線業務従事者に周知させること。
(8) 第2項の「妊娠する可能性がない」との医師の診断を受けた女性については、第1項の実効線量限度の適用を受けることになるが、これらの規定は、当該診断を受けた女性がその旨を事業者に申告することを義務付ける趣旨に解してはならないこと。
6 第5条関係
(1) 眼及び皮膚以外の組織・臓器については、第4条の実効線量限度を満たしていれば、確定的影響が生じるおそれがないことから、今回の改正では、等価線量限度を定めないこととしたこと。
(2) 削除
7 第6条関係
妊娠と診断された場合は、胎児の被ばくを公衆の被ばくと同等程度以下になるようにするため、より厳しい限度を適用することとしたこと。
8 第7条関係
(1) 第2項本文の「当該緊急作業に従事する間」とは、1つの事故に対する応急の作業に従事している期間をいい、1つの事故に対する応急作業に同一労働者が複数回従事する場合は、当該複数回従事している期間をいうこと。
(2) 第1項において、放射線業務従事者を緊急作業に従事させた場合は、当該緊急作業時における被ばく線量に応じて、当該緊急作業に従事した期間を含む「1年間」及び「5年間」における当該放射線業務従事者の被ばく線量の低減化を図るよう指導すること。
(3) 第2項において眼の水晶体及び皮膚の等価線量限度が設けられたのは、事故の場合であっても不均等被ばくが想定され、実効線量が100ミリシーベルトを超えなくとも眼の水晶体又は皮膚に確定的影響が生じるおそれがあるためであること。また、第2項各号の緊急作業時における被ばく限度は、第4条第1項及び第5条に定められている1年間の被ばく限度の2倍に相当する値として決められているものであること。
(4) 本条は、女性(妊娠する可能性がないと診断された者を除く。)の放射線業務従事者が緊急作業に従事することを妨げるものではないが、第2項の限度の適用はないので、第4条第2項又は第6条の限度が適用されること。
9 第8条関係
(1) 第1項の「管理区域に一時的に立ち入る労働者」とは、管理区域内で放射線業務を行わない労働者をいうこと。この例としては、放射線業務従事者との連絡、放射線業務の監督等のために業霧上管理区域に一時的に立ち入る必要がある労働者で管理区域内で放射線業務を行わない者があること。
(2) 第1項の「管理区域に一時的に立ち入る労働者」については、次のイ及びロのいずれにも該当する場合は、第1項に規定する線量の測定を行ったものとみなして取り扱って差し支えないこと。
ア 管理区域内における当該労働者の外部被ばくによる実効線量が計算により求められ、その値が0.1ミリシーベルトを超えないことが確認できる場合又は当該労働者が管理区域内において放射線業務従事者と行動をともにする場合であって、当該放射線業務従事者の過去の被ばく状況から当該立入の間の外部被ばくによる実効線量が明らかに0.1ミリシーベルトを超えないことが確認できるとき
イ 当該労働者の内部被ばくがない場合又は内部被ばくによる実効線量が空気中の放射性物質の濃度及び立入時間により算出でき、かつ、その値が0.1ミリシーベルトを超えないことが確認できる場合
(3) 第1項の「管理区域に一時的に立ち入る労働者」のうち、上記(2)により、線量の測定を行ったものとみなした労働者について、事業者は、当該労働者の管理区域への立入りの記録を次の事項について行い、これを少なくとも立入後1年間保存することが望ましいこと。
ア 管理区域に立ち入った年月日及び時刻並びに当該管理区域から退出した年月日及び時刻
イ 管理区域のうち立ち入った場所
ウ 管理区域に立ち入った目的及び作業内容
エ 管理区域内で当該労働者と行動をともにする放射線業務従事者等で線量の測定を行った者がいた場合は、当該者の氏名、所属及び職務内容
(4) 削除
(5) 削除
(6) 第3項第1号及び第2号に規定する部位に放射線測定器を装着するのは、当該部位にうけた1センチメートル線量当量、3ミリメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量のうち、実効線量及び等価線量の別に応じて、放射線の種類及びその有するエネルギーの値に基づき、当該外部被ばくによる線量を算定するために適切に認められるものから、実効線量、眼の水晶体の等価線量及び皮膚の等価線量を算定するためであること。
また、第3項第3号に規定する部位に放射線測定器を装着するのは、当該部位に受けた70マイクロメートル線量当量から、皮膚の等価線量を算定するためであること。
(7) 第3項ただし書の「これを測定することが著しく困難な場合」又は「これが著しく困難な場合」とは、その放射線に対する放射線測定器がまだ開発されていない場合等をいうこと。
(8) 第3項ただし書の「計算によって」とは、放射線又は放射性物質の種類及び数量、労働者の被ばくの状況等によって計算することをいうこと。
(9) 第4項の「管理区域のうち放射性物質を吸入摂取し、又は経口摂取するおそれのある場所」には、第22条に規定する放射性物質取扱作業室、核原料物質の掘採現場及び原子力施設における放射性物質により汚染されている区域等があること。
(10) 第4項において、3月以内ごとに1回の測定を行うのは、第4条第1項の1年間の実効線量を超えないように被ばく管理を適正に行うためであること。
(11) 女性(妊娠する可能性がないと診断されたものを除く。)について1月以内ごとに1回、それ以外の者は3月以内ごとに1回の測定を行うのは、それぞれの被ばく線量限度を適用する期間より短い期間で線量の算定、記録を行うことにより、当該被ばく線量限度を超えないように管理するためであること。ただし、1月間に1.7ミリシーベルトを超えるおそれのない女性については、3月で5ミリシーベルトを超えるおそれがないので、3月以内ごとに1回の測定を行えば足りること。
なお、「1月間に受ける実効線量が1.7ミリシーベルトを超えるおそれのある」ことの判断に当たっては、個人の被ばく歴並びに今後予定される業務内容、管理区域への立入りの程度及び作業環境測定の結果等から合理的に判断すれば足りるものであり、事故の想定等過大な安全率を見込むことを求める趣旨ではないこと。
10 第9条関係
(1) 第1項において、1日における、1センチメートル線量当量が1ミリシーベルトを超えるおそれのある労働者について、線量の測定の結果を毎日確認するのは、このような労働者の場合、3月ごと又は1月ごとの線量の確認では、その間に第4条、第5条及び第6条に規定する被ばく限度を超えて被ばくしてしまうおそれがあるためであること。
このような労働者については、警報装置付きの放射線測定器を装着させること等により、一定限度以上の被ばくを避けるように配慮すること。
(2) 第2項本文において、記録の保存年限を「5年」から「30年」年に延長したのは、放射線による確率的影響が晩発的影響であることから、特定化学物質等障害予防規則の特別管理物質に係る記録等の保存に倣ったものであること。なお、「厚生労働大臣が指定する機関」としては財団法人放射線影響協会とする予定であること。
(3) 第2項第1号及び第3号で3月ごとの合計を算定、記録し、第2号及び第4号で女性(妊娠する可能性がないと診断されたものを除く。)について1月ごとの合計を算定、記録するのは、それぞれの被ばく線量限度を適用する期間より短い期間で線量の算定、記録を行うことにより、当該被ばく線量限度を超えないように管理するためであること。
(4) 第2項第1号において、「5年間」のうちのどの「1年間」についても実効線量が20ミリシーベルトを超えない者については、当該「5年間」の合計線量の確認、記録を要しないこととするが、「5年間」のうちのある「1年間」で20ミリシーベルトを超えた者については、それ以降は、毎年、「5年間」の初めからの累積線量の確認、記録を併せて行うことが望ましいこと。
(5) 管理区域に一時的に立ち入る労働者の管理区域内における線量の測定又は計算の結果の記録の保存は、これまでと同様、5年間とすることが望ましいこと。
11 第12条関係
(1) 第1項本文の「間接撮影」とは、被照射体の画像を直接フィルムに記録する(直接撮影)のではなく、蛍光板で受けた画像を一端転送してフィルムに記録する撮影方法をいうこと。
間接撮影は、集団健診時のように非常に頻繁にエックス線の照射が行われるため、被照射体の姿勢矯正、フィルムの巻取り等の補助作業に従事する労働者が、その都度安全な場所に退避する時間的余裕がなく、多量のエックス線を受けるおそれがあるため、本条において必要な防護措置を定めるものであること。
なお、今回の改正は、ICRPの1982年勧告及び国際電気標準会議が1994年に制定した医療用のエックス線装置の基準を取り入れたものであること。
(2) 「間接撮影の作業に従事する労働者」とは、エックス線装置の操作者のみではなく、上記の被照射体の矯正、フィルムの巻取り等の補助作業に従事する労働者を含むものであること。
(3) 第1項ただし書の「エックス線の照射中に間接撮影の作業に従事する労働者の身体の全部又は一部がその内部に入ることがないように遮へいされた構造の特定エックス線装置」には、次のものがあること。
ア エックス線照射ボックス付きエックス線装置であって、照射ボックスの扉が閉じられた状態でなければエックス線が照射されないようなインターロックを有し、そのインターロックを労働者が容易に解除することができないような構造のもの
イ 工場の製造工程で使用されている各種計測装置で、製品等の出入口にはいずれも2重の含鉛防護カーテン等で仕切られ、このカーテン等によって労働者の手指等が装置の内部に入らないようになっているもの又は労働者の手指等が装置の内部に入った場合に放射線の照射が停止するインターロックを有し、かつ、そのインターロックを労働者が容易に解除することができないような構造のもの
(4) 第1項第1号は、必要以上のエックス線が照射されることによる無用の被ばくを防止するため、受像面(被照射体の画像を受ける蛍光板等の面)におけるエックス線照射野(利用線錐(エックス線装置から照射されるエックス線の束)の断面)が、受像面を越えて広がらないようにする趣旨であること。
(5) 第1項第2号は、受像器(被照射体の画像を受ける装置。蛍光板、蛍光増倍管等がある。)を通り抜けるエックス線の量を一定量以下に遮へいできるような1次防護遮へい体を、受像器に取り付ける趣旨であること。
なお、「装置の接触可能表面」の「装置」とは、受像器及びそれに付設されている装置等の全体をいうこと。
(6) 第1項第3号は、被照射体に反射したエックス線による被ばくを防止する趣旨であること。
(7) 第2項第1号については、放射線装置室の外に移動して使用するエックス線装置の場合、前項第2号及び第3号の措置を講ずることが困難であるため、当該措置を講ずることを要しないこととし、第18条及び第18条の2の措置によりエックス線による被ばくを防止する趣旨であること。
(8) 第2項第2号については、「実効線量が1週間につき1ミリシーベルト以下となる場所」に容易に退避できる場合は、被照射体からの散乱エックス線による被ばくのおそれがないため、前項第3号の措置を講ずることを要しないこととしていること。
12 第13条関係
(1) 第1項本文の「透視」とは、エックス線を連続的又は周期的に照射して、被照射体の画像を観察することをいい、蛍光板上の画像を直接観察する「直接透視」と、画像を画面に転送して画面上の画像を観察する「間接透視」があるが、最近では「直接透視」は行われていない。
なお、今回の改正は、ICRPの1982年勧告及び国際電気標準会議が1994年に制定した医療用のエックス線装置の基準を取り入れたものであること。
(2) 「透視の作業に従事する労働者」とは、エックス線装置の操作者のみではなく、被照射体の矯正等の補助作業に従事する労働者、医療機関において患部を透視しながら施術を行う医師を含むものであること。
(3) 第1項ただし書の「エックス線の照射中に間接撮影の作業に従事する労働者の身体の全部又は一部がその内部に入ることがないように遮へいされた構造の特定エックス線装置」については、上記11の(3)の場合と同様に取り扱うこと。
(4) 第1項第1号については、透視の作業に従事する労働者が、透視時以外にエックス線を無用に受けることを防ぐための措置であり、透視作業位置において、しぼりの全閉等ができるような設備を設ける趣旨であること。
なお、医療機関において診療放射線技師が室外でエックス線装置を操作して患部を透視しながら、室内で医師が施術を行うような場合は、室内にも本号の設備を設ける必要があること。
(5) 第1項第2号は、過電流のインターロックについて規定したものであること。
本号の「管電流」とは、エックス線管を流れる電子がつくる電流をいい、それは照射されるエックス線の量に比例することから、本号の措置は、必要以上のエックス線が照射されることによる無用の被ばくを防止するため、必要以上に管電流が流れることを防止する趣旨であること。
(6) 第1項第3号は、上記11の(4)の場合と同様の趣旨であること。
(7) 第1項第4号は、受像器を通り抜ける「利用線錐中のエックス線」の量を一定量以下に遮へいできるようにする趣旨であること。
なお、工業用等の特定エックス線装置の場合は、旧電離則の照射線量率を自由空気中の空気カーマ率に単純換算したものであること。
(8) 第1項第5号は、受像器を通り抜ける「利用線錐からはみ出た散乱エックス線」の量を一定量以下に遮へいできるようにする趣旨であること。
エックス線管の焦点から照射されたエックス線は、照射口に取り付けられたしぼりで調整しても、利用線錐からはみ出るエックス線が生じる。そのエックス線についても一定量以下に遮へいできるようにしなければならないが、そのエックス線は大きな拡がりを持つため、すべてを受像器等で遮へいすることはできない。そのため、受像面における最大のエックス線照射野の周囲3cmの部分までを通過するエックス線について、一定量以下に遮へいできるようにする趣旨であること。
(9) 第1項第6号は、被照射体に反射したエックス線による被ばくを防止する趣旨であること。
(10) 第2項第1号については、医療用の場合に、診断又は治療中に突然エックス線が途切れてしまうと患者に危険が生じるおそれがあるので、インターロックの代わりに透視時間を積算できるタイマーを設けることによって、労働者の被ばくの低減ができるようにするものであること。
(11) 第2項第2号については、放射線装置室の外に移動して使用するエックス線装置の場合、前項第4号から第6号までの措置を講ずることが困難であるため、当該措置を講ずることを要しないこととし、第18条及び第18条の2の措置によりエックス線による被ばくを防止する趣旨であること。
13 第18条関係
(1) 第1項については、エックス線装置等を放射線装置室以外の場所で使用する場合は、遮へい等の措置を十分に講じることができないため、装置から一定の距離離れることにより被ばくを低減しようとする趣旨であること。
(2) 第1項において、被照射体に反射したエックス線又はガンマ線による被ばくが無視できないため、「エックス線管の焦点又は放射線源」以外に、今回、「被照射体」から距離を取ることとしたこと。
(3) 第1項において、旧電離則では、「1センチメートル線量当量率が0.5ミリシーベルト毎時以下の場所」に立ち入ることが認められていたが、放射線装置室以外の場所で非破壊検査等を行う場合、事業場によって1週間の作業時間が区々であるため、線量当量率で規定すると、ある事業場にとっては1週間の作業時間が長くなることにより、1週間に1ミリシーベルト(1年間に50ミリシーベルト)を超える被ばくを受けるおそれも出てくる。このため、今回、立入りを認める場所を「外部放射線による実効線量が1週間につき1ミリシーベルト以下の場所」と定め、各事業場では、事業場ごとの1週間の作業時間の実態に応じて、立入が認められる場所を決定することができることとしたこと。
(4) 外部被ばくによる実効線量が1週間につき1ミリシーベルトを超える立入禁止場所の設定に当たっては、別添1「管理区域の設定等に当たっての留意事項」を参考にすること。
(5) 第1項ただし書の「線源容器内に放射線源が確実に収納され」とは、放射性物質を装備している機器のうち、線源容器内に迷路が設けられており、当該迷路内を移動させることにより放射線源を外部に取り出すものにあっては、放射線源が当該容器内の所定の位置に収納された状態をいうこと。
(6) 第1項ただし書の「その他必要な作業」には、シャッターの開閉の作業及び放射線源の位置の調整の作業は含まれないこと。
(7) 第2項について、旧電離則では、医療用のエックス線装置については、第1項で「間接撮影に使用するもの」に限ることとされていたが、今回、平成12年12月26日付け厚生省令第194号により医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)が改正され、移動型及び携帯型エックス線装置及び手術中に使用するエックス線装置について、エックス線管の焦点及び患者から2メートル以上離れた位置で操作できる構造のものとすることとされたことに伴い、「撮影に使用する医療用のエックス線装置」を放射線装置室以外の場所で使用する場合は、「2メートル以内(外部被ばくによる実効線量が1週間につき1ミリシーベルト以下の場所を除く。)」を立入禁止とすることとしたこと。
なお、医療用のエックス線装置について「2メートル以内」とするのは、一般家屋等狭い場所で使用する必要があるためであること。
(8) 第4項の「標識により明示」については、ロープを張るなどの具体的かつ有効な方法でなければならないこと。
なお、同項の立入禁止場所は、第3条第1項の管理区域とは別個に設けるべきものであること。
14 第24条関係
(1) 「日平均濃度」を「週平均濃度」に改めたのは、放射線審議会の「ICRP1990年勧告(Pub.60)の国内制度等への取入れについて(意見具申)」において、人が常時立ち入る場所における空気中の放射性物質の濃度を「1週間につき1ミリシーベルトの実効線量に相当する濃度」以下とすることとされたことによるものであること。
(2) 核原料物質を坑内で掘採する作業においては、発破時にラドンガスの発生量が多くなるなど、空気中濃度の変動が激しいため、3月間の平均をとるものであること。
15 第25条関係
非密封の放射性物質を取り扱う場所である放射性物質取扱作業室及び核原料物質を掘採する坑内における空気中の放射性物質の濃度は、第3条の2第1項及び第24条において、空気中濃度限度(年50ミリシーベルトの実効線量に相当する濃度)を超えてはならないこととされているが、それら以外の場所については、空気中濃度限度の1/10(年5ミリシーベルト相当)以下にする趣旨であること。
16 第28条関係
(1) 「汚染が広がらない措置」には、その放射性物質が液状である場合には吸取り紙で吸い取るなどの措置が、また粉末である場合には飛散しないように湿らせた布で拭き取る等の措置があること。
(2) 汚染された区域における汚染の測定については、汚染されている区域のうち汚染密度(ベクレル毎平方センチメートル)が最も大きいと予想される場所を含め、できる限り多くの場所の100平方センチメートル(10センチメートル×10センチメートル)の範囲について、スミヤろ紙で拭き取りサーベイメータで測定するなどの方法により、当該100平方センチメートルの範囲で平均した汚染密度(当該100平方センチメートルの範囲の放射能を測定し、その結果を100平方センチメートルで乗じて得た値)で評価すること。
また、第29条第1項、第30条第1項、第32条第1項及び第41条に規定する汚染の検査についても、同様に100平方センチメートルの範囲で平均した表面密度で評価すること。
なお、第31条に規定する労働者の汚染の検査については、手の場合は300平方センチメートルの範囲で平均した表面密度で、その他の皮膚の場合は100平方センチメートルの範囲で平均した表面密度で評価すること。
17 第43条関係
(1) 本条については、旧電離則では、第42条第1項の区域(事故によって受ける実効線量が15ミリシーベルトを超えるおそれのある区域)が生じたときに、事業者は、その旨報告しなければならないこととなっていたが、事故の早期把握と速やかな対応を図る観点から、今回の改正で、同項各号の事故が発生したときは、速やかにその旨を報告しなければならないこととしたこと。
(2) 本条の報告は、特に書面に限られるものではないが、原則として第45条第1項各号に規定する事項について報告すべきものであること。
18 第44条関係
(1) 第1項第2号については、放射線業務従事者に限らずすべての労働者について、「5年間に100ミリシーベルト」若しくは「1年間に50ミリシーベルト」を超える実効線量を受けた場合又は「眼の水晶体につき5年間に100ミリシーベルト及び1年間に50ミリシーベルト」若しくは「皮膚につき1年間に500ミリシーベルト」を超える等価線量を受けた場合が該当すること。
また、緊急作業に従事する労働者についても、上記線量を受けた場合は、第1項第2号に該当すること。
(2) 第2項については、旧電離則では、第1項の診察の結果、放射線による障害が生じており、若しくはその疑いがあり、又は放射線による障害が生ずるおそれがあると認められる者があるときに、事業者は、その旨報告しなければならないこととなっていたが、労働者の事故等の早期把握と速やかな対応を図る観点から、第1項各号に該当する労働者があるときは、速やかに、その旨を報告しなければならないこととしたこと。
19 第45条関係
(1) 第1項及び第2項で、「眼の水晶体及び皮膚の等価線量」の記録が追加されたのは、第7条第2項において、緊急作業に従事する労働者の等価線量限度が追加されたためであること。
(2) 第2項の「外部放射線による線量当量率」及び第3項の「線量当量率」とは、「1センチメートル線量当量率」及び「70マイクロメートル線量当量率」を指すこと。
20 第46条関係
上記3(6)のアからウまでに掲げる装置に該当するエックス線装置については、その外側に管理区域が存在しないので、当該3(6)のアからウに掲げる状態を保持した上で当該装置を使用する場合は、エックス線作業主任者の選任は要しないこと。ただし、事業者は、当該装置の適正な使用のため、必要な知識を有する者を当該装置の管理責任者として選任し、当該装置の安全装置等を有効に保持し、労働者の手指等が装置の中に入らないよう必要な措置を講じさせることが望ましいこと。
21 第54条関係
(1) 第1項の趣旨は、第53条第1項の管理区域において、外部放射線の量を測定することにより、当該管理区域において作業に従事する労働者が放射線にさらされている状況を知るためのものであること。測定の結果、放射線の量についてそれぞれの線量限度を上回るおそれがある場合は、施設の整備、作業方法の改善等の措置を講じることが重要であること。
(2) 第1項の「線量当量」とは、「1センチメートル線量当量」及び「70マイクロメートル線量当量」を指すこと。なお、今回、これらの規定が追加されたのは、第3条第1項において、管理区域の基準を3月間単位で規定することとなったことから、本項における測定においても、線量当量率を測定する放射線測定器のみならず、ガラス線量計、熱ルミネセンス線量計又は光刺激ルミネセンス線量計等積算型の放射線測定器での測定を行う場合が想定されるためであること。
(3) 第2項の「放射線測定器を用いて測定することが著しく困難なとき」には、放射線測定器を用いて測定することにより測定者に非常な危険を伴う場合が含まれること。
(4) 第3項ただし書については、皮膚の等価線量限度が実効線量限度の10倍であることから、70マイクロメートル線量当量(率)が1センチメートル線量当量(率)の10倍を超えるおそれのある場所では、実効線量が限度を超えるおそれよりも皮膚の等価線量が限度を超えるおそれの方が大きいので、当該場所では70マイクロメートル線量当量(率)を測定、確認していれば1センチメートル線量当量を測定、確認する必要はないという趣旨であること。
(5) 第4項の「見やすい場所に表示する等の方法」には、等線量当量(率)線の見取図の掲示又は管理区域の床上に等線量当量(率)線を引く等の方法があること。
22 第55条関係
本条の測定は、放射性物質取扱作業室内等の空気中の放射性物質の濃度を測定することにより、当該室内等において作業に従事する労働者が放射性物質にさらされている状況を知るためのものであること。測定の結果、その平均濃度が空気中濃度限度を上回るおそれがある場合は、施設の整備、作業方法の改善等の措置を講じることが重要であること。
23 第56条関係
(1) 本条に規定する健康診断は、放射線業務に従事する労働者の健康状態を継続的に把握することにより、当該労働者に対する労働衛生管理を進めるために行うものであること。
(2) 第1項において、旧電離則では、眼及び皮膚が局所的に被ばくする可能性が高いことから、定期の健康診断における白内障に関する眼の検査及び皮膚の検査について、3月以内ごとに1回行うこととしていたが、近年、放射線業務従事者の被ばく線量は大幅に減少してきており、眼及び皮膚に確定的影響が生じるおそれがある状況がきわめて少なくなってきたことから、今回の改正で6月以内ごとの検査としたこと。
(3) 第1項において、雇入れ又は放射線業務に配置替えの際に、放射線業務歴の有無にかかわらず原則として各号に掲げる検査を行わせることとされているのは、労働者が放射線業務に従事した後において、放射線による影響と同種の影響が生じた場合に、それが放射線業務に起因するものかどうかを判断する上で、また、当該労働者が放射線業務に従事した後において当該放射線業務に従事することによってどの程度の影響を受けたかを知る上で、必要とされることによるものであること。
(4) 第1項第1号については、放射線業務従事者の被ばく線量が大幅に減少してきていることを踏まえ、今回の改正で、第3項及び第4項において被ばく線量に応じて医師が必要でないと認めるときは、同項第2号から第5号までに規定する検査の一部又は全部を省略でき、又は行うことを要しないとされたところであるが、その省略等の可否を適切に判断できるように、放射線業務従事者の「自覚症状の有無」を新たに調査項目として加えることとしたこと。なお、「その評価」を加えたのは、本号の項目によって、同項第2号から第5号までに規定する検査の省略等の可否を判断するものであることを明確にしたものであること。
(5) 第2項において、雇入れ又は放射線業務に配置替えの際の健康診断において、使用する線源の種類等に応じて眼の検査を省略することができることとしたのは、白内障が生じるおそれがある線源の種類等が限定されているためであること。その線源の種類等には、中性子線源(中性子線が発生する装置を含む。)及び眼に大量のエックス線又はガンマ線を受けるおそれがある状況下でのこれら放射線の発生装置があること。それ以外の場合は、事故等による場合を除き、白内障が生じるおそれはほとんどなく、仮に事故等が起こっても、放射線による白内障が遅発性の障害であることにかんがみ、事故等が起こった時点で医師の診察を受ければ、その診察が上記(3)の役割を十分に果たすことができること。
なお、本項の眼の検査の省略の可否は線源の種類等で決定されることから、事業者が判断すれば足りるが、「被ばく歴の有無の調査及びその評価」の結果、医師が眼の検査の実施が必要と認めた場合には、実施すべきものであること。
(6) 第3項については、第1項の定期健康診断では管理区域内で常時放射線業務を行うすべての労働者に対して第1項第1号から第2号までの検査について原則実施する必要があるが、第1項第1号の検査の結果、第1項第2号から第5号までの検査の一部又は全部について医師が実施する必要がないと認めた労働者については、事業者は、当該検査を省略することができること。
(7) 第4項については、定期健康診断日の属する年の前年「1年間」(事業者が事業場ごとに定める日を始期とする1年間)に受けた実効線量が5ミリシーベルトを超えず、当該定期健康診断日の属する「1年間」に5ミリシーベルトを超えるおそれのない労働者に対しては、定期健康診断は原則第1項第1号のみを行えばよく、第1項第1号の検査の結果、第1項第2号から第5号までの検査の一部又は全部について医師が必要と認めるときに限り当該検査を実施すれば足りるものであること。なお、定期健康診断日の前年「1年間」が平成13年4月1日以前の時期を含む場合は、当該時期の実効線量当量については実効線量とみなして差し支えないこと。
(8) 第4項の「5ミリシーベルトを超えるおそれのない」ことの判断に当たっては、個人の被ばく歴及び今後予定される業務内容、管理区域への立入りの程度、作業環境測定の結果等から合理的に判断すれば足りるものであり、事故の想定等過大な安全率を見込むことを求める趣旨ではないこと。
(9) 第1項第1号の調査項目、第2項から第4号までの健康診断の省略等の可否の判断については、別途示す基準を参考にすること。
(10) 第5項の「前回の健康診断後に受けた線量」について、前回の健康診断が平成13年4月1日以前の時期に行われた場合は、当該時期から平成13年3月31日までに受けた実効線量当量又は組織線量当量は、それぞれ実効線量又は等価線量とみなして差し支えないこと。
(11) 第5項の「これを計算によっても算出することができない場合」とは、事故が発生し、第45条第2項の規定による線量の計算ができない場合等をいうこと。このような場合は、事故の状況、事故現場に労働者がとどまっていた時間等を医師に示す必要があること。
24 第57条関係
記録の保存期間の延長等については、10の(2)と同様であること。
25 様式第1号関係
(1) 今回の改正では、用語の変更のほか、眼及び皮膚について事故等による線量の記載欄を設け、「白血球百分率」として「異型リンパ球」の欄を設け、そして眼及び皮膚の定期健康診断が6月以内ごとに1回となったことを踏まえた欄の変更等を行ったこと。
(2) 「放射線業務の経歴(他の事業におけるものを含む。)」の欄については、過去の放射線業務の経歴について記載すること。
(3) 「前回の健康診断後に受けた線量」については、上記23の(10)と同様であること。
26 様式第2号関係
(1) 本様式(表面)において、用語の変更のほか、「実効線量による区分」を、第3条第1項の管理区域の設定基準及び第4条第1項の実効線量限度の改正を踏まえて見直したこと。
(2) 本様式(裏面)の備考12について、線量による区分が、今回の健康診断を行った日の属する年の前年1年間に受けた線量によって行うことになっていることに留意すること。
第4 経過措置
1 改正省令の施行の際、現に放射線業務を行っている事業者に対する電離則第3条及び第3条の2の規定の適用については、平成15年3月31日までの間は、なお従前の例によること。
2 改正省令の施行の際、現にエックス線装置に係る労働安全衛生法第88条第1項(第2項において準用する場合を含む。)の届出を行っている事業者に対する電離則第12条及び第13条の規定の適用については、なお従前の例によること。
3 改正省令の施行前から保存を開始し、改正省令の施行の際、現に保存されている電離則第9条第1項及び第57条の記録については、改正省令による改正後の第9条第1項及び第57条の規定を適用すること。この場合において、平成13年4月1日以降の残りの保存期間は、30年から、平成13年4月1日時点ですでに経過している期間を差し引いた期間となること。
第5 関係通達の一部改正について
1 昭和64年1月1日付け基発第1号「電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令の施行について」を、平成13年3月31日をもって次のとおり改正すること。
(1) 記の第2のⅠ、Ⅱ、Ⅲの1から6まで及び8から11まで、Ⅳの1、2、5、6、9、11、21、24、36、39及び40を削除すること。
(2) 記の第2のⅣの12の(2)中「しゃへい」を「遮へい」に改めること。
(3) 記の第2のⅣの14の(1)中「照射線量率」を「自由空気中の空気カーマ率」に改めること。
(4) 記の第2のⅣの21中「第2項は、」を削除すること。
(5) 記の第2のⅣの24の(2)中「測定器」を「放射線測定器」に改めること。
(6) 記の第2のⅣの41の(3)中「線量当量」を「線量」に改めること。
(7) 記の第2のⅣの42中「つど」を「都度」に、「測定器」を「放射線測定器」に改めること。
2 削除
別添1
管理区域の設定等に当たっての留意事項
1 外部放射線による実効線量
(1) 放射線測定器の選定
外部放射線を測定するための放射線測定器については、次の要件に留意の上、適切なものを選定すること。
ア 1センチメートル線量当量又は1センチメートル線量当量率(以下「1センチメートル線量当量等」という。)が測定できること。
イ 方向依存性(放射線の入射方向による感度が異なること)が少なく、エネルギー特性が1センチメートル線量当量等の換算係数に合致する性能を有していること。
ウ 放射線測定器の感度を最も高くした場合に測定し得る限度及び最小の一目盛又は指示値の大きさが、測定しようとする1センチメートル線量当量等が読みとれる性能を有していること。
エ 測定し得る状態において、放射線測定器の指針を零点に合わせて放置した場合に指針のずれ(零点移動)がないもの及び測定し得る範囲を切り替えた場合に零点移動が少ないものであること。
オ 測定中に指針の漂動(シフト)が少ないものであること。
カ 以上のほか日本産業規格(JIS)に適合しているもの又はこれと同等の性能を有しているものであること。
キ 放射線測定器は、国家標準とのトレーサビリティが明確になっている基準測定器又は数量が証明されている線源を用いて測定を実施する日の1年以内に校正されたものであること。または、放射性同位元素等の規制に関する法律施行規則(昭和35年総理府令第56号。以下「RI法施行規則」という。)第20条第1項第5号、第2項第4号又は第3項第4号の規定による「点検及び校正」を行ったものであること(※)。
※ RI法施行規則における「点検及び校正」については、平成29年12月13日付け原規放発第17121320号原子力規制委員会決定「放射線障害予防規程に定めるべき事項に関するガイド」の別紙「規則第20条に係る測定の信頼性確保について」において点検及び校正並びにこれらの適切な組合せの考え方が示されているため、参考にすること。
(2) 測定箇所
測定箇所については、次に掲げる点を考慮して選定すること。
ア 作業者が立ち入る区域で線源に最も近い箇所又は遮へいの薄い箇所等、1センチメートル線量当量等が最大になると予測される箇所を含むこと。
イ 作業者が常に作業している箇所を含むこと。
ウ 壁等の構造物によって区切られた境界の近辺の箇所を含むこと。
エ 1センチメートル線量当量等が位置によって変化が大きいと予測される場合は、測定点を密にとること。
オ 種類の異なる放射線が混在する場合は、それぞれの1センチメートル線量当量等を合算した値が最大となると予測される箇所を含むこと。
カ 空気中の放射性物質による実効線量と外部放射線による実効線量との合計が必要な場合は、1センチメートル線量当量等が低い箇所までできる限り測定すること。
キ 測定点の高さは、作業床面上約1メートルの位置とすること。
(3) 測定前の措置
ア 測定を効果的かつ安全に行うため、測定に先立ち、測定しようとする区域の1センチメートル線量当量等の分布状況を計算等によってあらかじめ確認しておくこと。
また、必要に応じて、同種同能力の他の放射線装置等についての測定結果を調査しておくこと。
イ 放射線測定器について、使用前に汚染されていないことを確認すること。
また、放射線測定器について、放射線の影響の少ない場所において、電池の消耗状況の点検、零点の調整、校正用線源等による作動状況の点検等を行い、正常に作動することを確認しておくこと。
ウ バックグラウンド値を調査しておくこと。また、測定結果はバックグラウンド値を差し引いた値とすること。
エ 測定は、1センチメートル線量当量等の測定について熟知している者が行い、エックス線作業主任者等放射線について専門知識を有する者がその測定方法及び結果について確認及び評価すること。
(4) 測定に当たっての留意事項
ア 測定は、あらかじめ計算により求めた1センチメートル線量当量等の低い箇所から逐次高い箇所へと行っていくこと。
イ 測定者は、測定中に必ず放射線測定器を装着し、かつ、保護衣等必要な保護具を使用すること。
ウ 種類の異なる放射線が混在する場合は、それぞれの放射線について下記(5)によって測定した1センチメートル線量当量等を、すべての放射線について合計した値をもって当該場所での1センチメートル線量当量等とすること。
(5) 測定方法及び3月間における実効線量の算定等
ア 1センチメートル線量当量等が労働時間中において一定の場合
(ア) サーベイメータ等の放射線測定器を用いて測定する場合は、労働時間中における任意の時点において1センチメートル線量当量率を測定し、これに、3月間において予想される時間(最大延べ労働時間については、就業規則や労働場所の入場制限や滞在時間管理等の状況を踏まえ、理論上最も長く滞在し得る者の労働時間を用いるものとする。なお、簡便な方法としては、週40時間に13週を乗じた520時間を最大延べ労働時間とすることができる。ただし簡便な方法で計算した場合の週当たりの労働時間について、放射線業務に従事する労働者のうち、最も労働時間が長い者の週当たりの労働時間が40時間超える若しくは40時間に満たないことが就業規則や労使協定等により明文化されているとき、又は放射性同位元素等の規制に関する法律(昭和32年法律第167号)第21条の規定に基づく放射線障害予防規程その他の社内規定において週当たりの装置の最大使用時間若しくは施設への滞在時間が明文化されているとき等にあっては、当該週当たりの労働時間又は最大使用時間若しくは滞在時間に13週を乗じた時間を最大延べ労働時間とすること。以下同様。)を乗じて3月間における1センチメートル線量当量を求め、これをもって3月間における外部放射線による実効線量とすること。
(イ) ガラス線量計、熱ルミネセンス線量計又は光刺激ルミネセンス線量計等の積算型放射線測定器を用いて測定する場合は、労働時間中の任意の時間について1センチメートル線量当量を測定し、これに、3月間において予想される最大延べ労働時間を当該測定時間で除して得た値を乗じて、3月間における1センチメートル線量当量を求め、これをもって3月間における外部放射線による実効線量とすること。
イ 1センチメートル線量当量等が時間帯により変動する場合
(ア) サーベイメータ等の放射線測定器を用いて測定する場合は、労働時間中において1センチメートル線量当量率が最大になると想定される時点を含めて複数回測定を行い、その平均を求めること。
これに、3月間において予想される最大延べ労働時間を乗じて3月間における1センチメートル線量当量を求め、これをもって3月間における外部放射線による実効線量とすること。
(イ) ガラス線量計、熱ルミネセンス線量計又は光刺激ルミネセンス線量計等の積算型放射線測定器を用いて測定する場合は、労働時間中において1センチメートル線量当量率が最大になると想定される時点を含めた任意の時間について1センチメートル線量当量を測定し、これに、3月間において予想される最大延べ労働時間を当該測定時間で除して得た値を乗じて、3月間における1センチメートル線量当量を求め、これをもって3月間における外部放射線による実効線量とすること。
ウ エックス線装置、ガンマ線照射装置等(以下「放射線装置」という。)を同一条件で短時間の照射を繰り返す方法で使用する装置の場合
(ア) サーベイメータ等の放射線測定器を用いて測定する場合は、次のいずれかの方法により測定・算定すること。
a 照射中に1センチメートル線量当量率を測定し、これに照射時間を乗じて1回当たりの1センチメートル線量当量を求め、これに1時間当たりの照射回数を乗じて1時間当たりの1センチメートル線量当量を求めること。
これに、3月間において予想される最大延べ労働時間を乗じて、3月間における1センチメートル線量当量を求め、これをもって3月間における外部放射線による実効線量とすること。
b 照射中に1センチメートル線量当量率を測定し、これに照射時間を乗じて1回当たりの1センチメートル線量当量を求め、これに、3月間において予想される労働時間中の最多延べ照射回数を乗じて、3月間における1センチメートル線量当量を求め、これをもって3月間における外部放射線による実効線量とすること。
(イ) ガラス線量計、熱ルミネセンス線量計又は光刺激ルミネセンス線量計等の積算型放射線測定器で測定する場合は、次のいずれかの方法により測定・算定すること。
a 照射を繰り返す一定の時間にわたって1センチメートル線量当量を測定し、これに、3月間において予想される最大延べ労働時間を当該測定時間で除して得た値を乗じて、3月間における1センチメートル線量当量を求め、これをもって3月間における外部放射線による実効線量とすること。
b 照射1回当たりの1センチメートル線量当量を測定し、これに3月間において予想される労働時間中の最多延べ照射回数を乗じて、3月間における1センチメートル線量当量を求め、これをもって3月間における外部放射線による実効線量とすること。
エ 放射線装置を使用する場合であって、一の作業中に、エックス線装置の焦点を移動させ、又はガンマ線照射装置の放射線源を移動させるなど1センチメートル線量当量等が変動する場合
(ア) サーベイメータ等の放射線測定器を用いて測定する場合は、次のいずれかの方法により測定・算定すること。
a 一の作業の各使用条件下において、照射中に1センチメートル線量当量率を測定し、これに照射時間を乗じて1回当たりの1センチメートル線量当量を求め、これに照射回数を乗じて各使用条件下における1センチメートル線量当量の合計を求めること。
さらに、これらをすべて合計して、一の作業全体における1センチメートル線量当量を求め、これを一の作業の総時間で除して1時間当たりの平均1センチメートル線量当量を求めること。
これに、3月間において予想される最大労働時間を乗じて、3月間における1センチメートル線量当量を求め、これをもって3月間における実効線量とすること。
b 一の作業の各使用条件下において、照射中に1センチメートル線量当量率を測定し、これに照射時間を乗じて1回当たりの1センチメートル線量当量を求め、それに照射回数を乗じて各使用条件下における1センチメートル線量当量の合計を求めること。
さらに、それらをすべて合計して、一の作業における1センチメートル線量当量の合計を求めること。
これに3月間において予想される最多延べ作業数を乗じて、3月間における1センチメートル線量当量とし、これをもって3月間における実効線量とすること。
(イ) ガラス線量計、熱ルミネセンス線量計又は光刺激ルミネセンス線量計等の積算型放射線測定器で測定する場合は、次のいずれかの方法により測定・算定すること。
a 一の作業にわたって1センチメートル線量当量を測定し、これを一の作業の総時間で除して1時間当たりの平均1センチメートル線量当量を求めること。
これに、3月間において予想される最大労働時間を乗じて、3月間における1センチメートル線量当量を求め、これをもって3月間における実効線量とすること。
b 一の作業にわたって1センチメートル線量当量を測定し、その1センチメートル線量当量に、3月間において予想される最多延べ作業数を乗じて、3月間における1センチメートル線最当量とし、これをもって3月間における外部放射線による実効線量とすること。
オ 放射線装置を放射線装置室以外の場所で使用する場合
(ア) 3月間における作業を同一場所で行う場合
上記ウ又はエと同様の測定を行い、3月間における外部放射線による実効線量を算定すること。
(イ) 3月間において複数の異なった場所で作業を行う場合
各作業場所において上記ウ又はエと同様の測定を行い(ウ又はエにおいて「3月間」を「各作業場所での3月間における総作業日数」に読み替えること)、各作業場所ごとの3月間における総作業日数における1センチメートル線量当量をもって、各作業場所での3月間における外部放射線による実効線量とすること。
カ 放射線測定器が周辺機器からのノイズの影響を受けたり、きわめて短時間の照射であることにより放射線測定器が応答できないなど、放射線測定器の性能上、正しい測定結果が得られないことが予想される場合は、計算によって3月間の1センチメートル線量当量を求めること。その場合、計算によって直接3月間の実効線量を求めて差し支えないこと。
(6) 記録の整備
測定を行ったときは、測定日時、測定方法、測定箇所、測定者氏名、放射線測定器の種類、型式及び性能(校正定数、校正日及びバックグラウンド値)、測定結果、測定時の状況(線源がエックス線装置にあっては定格出力等装置の種類、型式及び性能、ガンマ線照射装置にあっては装備されている放射性物質の核種及び数量等装置の種類、型式及び性能、放射性物質を取り扱う場合にあっては取り扱う放射性物質の核種ごとの数量等)について記録すること。
2 空気中の放射性物質による実効線量
管理区域を設定するための測定は、測定対象作業場が電離則第53条第2号に該当する場合にあっては、第一種作業環境測定士に行わせることが望ましいこと。
(1) 試料採取方法
空気中の放射性物質には、繊維系ろ紙で捕集される粒子状のもの、蒸気及び化学的に不活性な貴ガス等ガス状のものがある。
これらについては、放射性物質の状態に応じた試料採取方法を選択する必要があるが、その選択については、主な放射性核種及びその性状により、別表を参考にして決定すること。
(2) 採取時間及び箇所
ア 試料の採取は、通常の作業状態において、空気中の放射性物質の濃度が最も高くなると考えられる時間帯に行うこと。
イ 試料の採取は、労働者の作業中の行動範囲、放射性物質の分布の状況等に基づき、次の点に留意して行うこと。なお、この場合、空気中の放射性物質の濃度分布の把握と空気中の放射性物質の検出を正確に行うため、事前に作業室内の空気の流れを把握しておくこと。
(ア) 単位作業場所につき1箇所以上とすること。
(イ) 測定を行うべき場所が広い場合は、その広さに応じた採取箇所の数とすること。
(ウ) 空気中の放射性物質の濃度の状況を的確に検出し得るような箇所とし、例えば、空気中に放射性物質が飛散するおそれのある作業箇所の気流の風下とすること。
ウ 試料採取点の高さは、作業床面上0.5メートル以上、1.5メートル以下の範囲とする。
(3) 分析方法
採取試料の分析は、作業環境測定基準(昭和51年労働省告示第46号)第9条第1項第2号に掲げる分析方法により行うこと。
(4) 実効線量の算定
実効線量の算定は、試料採取及び分析の結果得られた値(単位ベクレル毎立方センチメートル)を用い、電離則第3条第3項の規定に基づき、次の式により行うこと。
① 「厚生労働大臣が定める限度」とは、年50ミリシーベルト(実効線量限度)に相当する放射性物質の空気中濃度、すなわち「空気中濃度限度」であること。
② 週平均濃度=1週間の労働時間中における空気中の放射性物質の濃度の平均(実測値)×1週間の労働時間/40時間
なお、「週平均濃度の3月平均」とは、週平均濃度を13回(3月間分)算定し、その平均をとったものであること。
(5) 記録の整備
測定を行ったときは、測定日時、測定箇所、測定者氏名、測定時使用していた放射性物質の核種及び核種ごとの数量、試料採取の方法、分析の方法及びこれらに用いた装置、機器の型式、測定結果等について記録すること。
3 管理区域の設定
(1) 外部放射線による実効線量のみが考えられる作業場
上記1により算定した3月間における実効線量が、1.3ミリシーベルトを超えるおそれのある場所を管理区域とすること。
なお、次の点に留意すること。
ア 放射線装置について異なる使用方法を有する場合は、それぞれについて上記1により算定した値の合計が1.3ミリシーベルトを超えるおそれのある場所を管理区域とすること。
イ 二以上の放射線装置が近接して設置されている場合は、それぞれの装置等について上記1により算定した値の合計が1.3ミリシーベルトを超えるおそれのある場所を管理区域とすること。
ウ 管理区域の範囲については、屋内作業場であって構造的に区画された一の室等の内部に管理区域相当の境界が生じる場合は、当該境界を管理区域の境界として適切に管理できる場合を除き、当該室等の全域を管理区域とすること。
エ 3月間において放射線装置を放射線装置室以外の複数の異なった場所で使用する場合は、各場所ごとに管理区域を設定することになること。
(2) 空気中の放射性物質による実効線量のみが考えられる作業場
上記2により算定した実効線量が1.3ミリシーベルトを超えるおそれのある場所を管理区域とすること。
なお、空気中の放射性物質については、構造的に区画されていないかぎり汚染の広がるおそれがあることから、構造的に区画された一の室等の内部に管理区域相当の境界が生じる場合は、原則として、当該室等の全域を管理区域とすること。
(3) 上記1及び2の両方による実効線量が考えられる作業場
上記1及び2で得た値を合計し、その値が1.3ミリシーベルトを超えるおそれのある場所を管理区域とすること。
なお、次の点に留意すること。
ア 空気中の放射性物質による実効線量のみで、すでに1.3ミリシーベルトを超える場合は、原則として、構造的に区画された一の室等の内部の全域を管理区域とすること。
イ 空気中の放射性物質による実効線量のみでは1.3ミリシーベルトを超えず、外部放射線による実効線量との合計が1.3ミリシーベルトを超える区域の境界が、構造的に区画された一の室等の内部に生じる場合は、当該境界を管理区域の境界として適切に管理できる場合を除き、当該室等の全域を管理区域とすること。
4 電離則第3条の2第1項の労働者が常時立ち入る場所における実効線量が1週間につき1ミリシーベルト以下であることの確認
(1) 外部放射線による実効線量のみが考えられる作業場
上記1(「3月間」を「1週間」に、「1.3ミリシーベルト」を「1ミリシーベルト」に読み替えること。下記の5において同じ。)により1週間における外部放射線による実効線量を算定し、労働者が常時立ち入る場所における実効線量について1ミリシーベルト以下であることを確認すること。もし、1ミリシーベルトを超えている場所があるときは、遮へいを増強し、又はその場所を立入禁止とすること。
なお、次の点に留意すること。
ア 放射線装置について異なる使用方法を有する場合は、それぞれについて上記1により算定した値の合計が1ミリシーベルト以下であることを確認すること。もし、超えている場所があるときは、遮へいを増強し、又はその場所を立入禁止とすること。
イ 二以上の放射線装置が近接して設置されている場合は、それぞれの装置等について上記1により算定した値の合計が1ミリシーベルト以下であることを確認すること。もし、超えている場所があるときは、遮へいを増強し、又はその場所を立入禁止とすること。
(2) 空気中の放射性物質による実効線量のみが考えられる作業場
上記2(「管理区域を設定」を「電離則第3条の2第1項の労働者が常時立ち入る場所における実効線量が1週間につき1ミリシーベルト以下であることを確認」に読み替えること。)の(1)から(3)までに従って空気中の放射性物質について試料採取及び分析し、電離則第3条の2第3項の規定に基づき、次の式により空気中の放射性物質による実効線量を算定し、この値が1ミリシーベルト以下であることを確認すること。もし、1ミリシーベルトを超えている場所があるときは、局所排気装置若しくは発散源を密閉する設備を増強し、又はその場所を立入禁止とすること。
実効線量=1ミリシーベルト×週平均濃度/厚生労働大臣が定める限度
(3) 上記1及び2の両方による実効線量が考えられる作業場
上記1及び2で得た値を合計し、その値が1ミリシーベルト以下であることを超えるおそれのある場所を管理区域とすること。もし、1ミリシーベルトを超えている場所があるときは、遮へい若しくは局所排気装置又は発散源を密閉する設備を増強し、又はその場所を立入禁止とすること。
5 電離則第18条第1項の外部被ばくによる実効線量が1週間につき1ミリシーベルトを超える立入禁止場所の設定
上記1により1週間における外部放射線による実効線量を算定し、それが1ミリシーベルトを超える場所を立入禁止区域とすること。
なお、次の点に留意すること。
(1) 放射線装置について異なる使用方法を有する場合は、それぞれについて上記1により算定した値の合計が1ミリシーベルトを超える場所を立入禁止区域とすること。
(2) 二以上の放射線装置を近接して使用する場合は、それぞれの装置等について上記1により算定した値の合計が1ミリシーベルトを超える場所を立入禁止区域とすること。
別表
主な放射性核種及びその性状に応じた試料採取方法
主な放射性核種 |
放射性物質の性状 |
試料採取方法 |
捕集材、捕集器具 |
60Co,67Ga,99mTc,147Pm,201Tl,U,Pu |
粒子状 |
ろ過捕集方法 |
ろ紙 |
33P,35S,133I,123I,131I,203Hg |
気体状(揮発性物質) |
固体捕集方法 |
活性炭含浸ろ紙 |
133I,123I,131I,203Hg |
活性炭カートリッジ |
||
3H |
水蒸気 |
シリカゲル |
|
放射性貴ガス 3H,14C |
気体状 |
直接捕集方法 |
ガス捕集用電離箱 |
放射性貴ガス |
捕集用ガス容器 |
||
3H |
水蒸気 |
冷却凝集捕集方法 |
コールドトラップ |
3H 14C |
水蒸気 ミスト |
液体捕集方法 |
水バブラー |
別添2 削除
[参考3]
○電離放射線障害防止規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について
(平成17年6月1日)
(基発第0601005号)
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
改正 令和7年10月29日基発1029第1号
(公印省略)
電離放射線障害防止規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成17年厚生労働省令第98号。以下「改正省令」という。)が本日、公布され、施行されたところである。
今回の改正は、放射線審議会において示された「規制免除について(国際基本安全基準における規制免除レベルの国内法令への取り入れ検討結果)」等に対応するため、電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号)に規定する放射性物質の定義として国際原子力機関等の国際機関が提唱した放射性同位元素の種類ごとの数量及び濃度の数値基準(以下「国際免除レベル」という。)を採用する等所要の整備を行うものである。
ついては、下記に示す今回の改正の趣旨を十分に理解し、関係者への周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏なきを期されたい。
記
第1 改正の要点
1 電離放射線障害防止規則の一部改正関係
(1) 放射性物質の定義に国際免除レベルを採用することとしたこと。(第2条関係)
(2) 放射性同位元素等の規制に関する法律(昭和32年法律第167号。旧「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」。以下「RI法」という。)に規定する表示付認証機器又は表示付特定認証機器(以下「表示付認証機器等」という。)について、掲示しなければならない事項を「機器の種類並びに装備している放射性物質に含まれた放射性同位元素の種類及び数量(単位ベクレル)」に限ることとしたこと。(第14条関係)
(3) 自動警報装置及びインターロックの設置に係る基準を改めたこと。(第17条関係)
(4) 第二種放射線取扱主任者免状(一般)を第二種放射線取扱主任者免状に改めたこと。(第51条及び第52条の4関係)
2 労働安全衛生規則の一部改正関係
表示付認証機器等について、労働安全衛生法第88条第1項又は第2項の規定に基づく計画の届出の対象となる機械等から除外したこと。(別表第7の21の項関係)
第2 細部事項
1 電離放射線障害防止規則の一部改正関係
(1) 第2条関係
ア 電離放射線障害防止規則で規定する放射性物質(以下「放射性物質」という。)の定義として国際免除レベルを採用することとした放射性同位元素等を別表第1に掲げることとしたこと。また、トリウム、ウラン及びプルトニウムの定義については、国際免除レベルの採用について検討が進められている段階であることから、国際免除レベルを採用せず、従前通りの取扱いとすることとし、別表第2に掲げることとしたこと。
イ 第1項第1号は、別表第1に掲げる放射性同位元素が1種類の場合においては、その放射性同位元素が固体のものか密封されたものかどうかにかかわりなく、その種類に応じて、同表に掲げる数量及び濃度を超えるものに該当するときは放射性物質となることを明らかにするものであること。
ウ 第1項第2号は、別表第2に掲げる放射性同位元素が1種類の場合においては、その放射性同位元素が従前の定義に該当するときは、引き続き放射性物質となることを明らかにするものであること。
エ 第1項第3号は、別表第1に掲げる放射性同位元素のみが2種類以上ある集合体の場合においては、その放射性同位元素が固体のものか密封されたものかどうかにかかわりなく、その集合体の放射性同位元素のそれぞれの数量及び濃度の同表第2欄に掲げる数量及び第3欄に掲げる濃度に対する割合の和が1を超えるものに該当するときに放射性物質となることを明らかにするものであること。
オ 第1項第4号は、別表第2に掲げる放射性同位元素のみが2種類以上ある集合体の場合又は別表第1に掲げる放射性同位元素と別表第2に掲げる放射性同位元素が併せて2種類以上ある集合体の場合においては、従前通り、その集合体の放射性同位元素のそれぞれの数量の別表第1又は別表第2の第2欄に掲げる数量に対する割合の和が1を超えるものに該当するときに放射性物質となることを明らかにするものであること。
ただし、その濃度が74ベクレル毎グラム以下の固体のもの及び密封されたものでその数量が3.7メガベクレル以下のものは放射性物質には該当しないこと。
(2) 第14条関係
ア 放射性物質の定義として国際免除レベルを採用することとしたことにより、新たに放射性物質を装備している機器に該当することとなるものがあるが、これらの機器の中には、装備される放射性同位元素の数量等からみて放射線障害のおそれが極めて少ないと認められるものがある。表示付認証機器等はこのような機器に該当することから、現在の放射性物質を装備している機器に義務付けられている標識の掲示について、その掲示事項を「機器の種類並びに装備している放射性物質に含まれた放射性同位元素の種類及び数量(単位ベクレル)」のみに限ることとしたものであること。ただし、表示付認証機器等であっても、それに使用する放射線源を交換し、又は洗浄するものについては、放射線源の紛失等を防止する観点から、従前どおりの標識の掲示を行わなければならないこと。
イ 表示付認証機器等とは、RI法に基づき、原子力規制委員会又は登録認証機関が、機器の設計、使用条件及び品質管理の方法について審査し、通常の使用方法であれば、特別な管理を要することなく安全性を十分に担保できることを認証したものであることを表示している機器であること。また、当該機器には設計認証印又は特定設計認証印(別図参照)、「原子力規制委員会」の文字(登録認証機関が認証を行った場合は、当該登録認証機関の名称又は当該登録認証機関を特定できる文字若しくは記号)及び設計認証又は特定設計認証に係る認証番号が表示されるものであること。
なお、表示付認証機器としては、ガスクロマトグラフ等が、表示付特定認証機器としては煙感知器、レーダー受信部切替放電管等が想定されていること。
ウ 表中の「交換」には、機器を使用する都度行う当該機器への放射線源の着脱は含まないものであること。このような使用の都度放射線源の着脱を要する機器としては、液面レベル計があること。
また、「洗浄」には、ガスクロマトグラフに使用されるエレクトロン・キャップチャ・ディテクタ(Ni―63等を使用)の洗浄があること。
(3) 第17条関係
ア 第2項において、放射性物質を装備している機器を放射線装置室内で使用する場合であって自動警報装置の設置が義務付けられることのない機器となる基準について、その数量が370ギガベクレルを超えるから400ギガベクレル以上に改めたものであること。
イ 第7項は、放射性物質を装備している機器を使用する場合であってインターロックの設置が義務付けられることとなる機器の基準について、111テラベクレルを超えるから100テラベクレル以上に改めたものであること。
(4) 第51条及び第52条の4関係
ア 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律(平成16年法律第69号。以下「改正放射線障害防止法」という。)に基づき、第二種放射線取扱主任者免状(一般)が第二種放射線取扱主任者免状という名称に改められたことに伴い、規定を整備するものであること。
イ 改正放射線障害防止法附則第8条の規定により、第二種放射線取扱主任者免状(一般)は第二種放射線取扱主任者免状とみなされることから、第二種放射線取扱主任者免状(一般)については、第二種放射線取扱主任者免状として、従前通りの取扱いを行うこと。
(5) 別表第1関係
ア 第1欄の化学形等の欄中の「サマリウム中の147Smの天然の組成を人為的に変えていないもの」に該当するものとしては、サマリウム磁石及びサマリウムセラミックスがあること。
イ 第1欄の核種の欄中の「その他の放射性同位元素」とは、現段階では国際免除レベルが示されていないものであり、これについては、アルファ線を放出するもの又はアルファ線を放出しないものに分類し、それぞれ第2欄の数量及び第3欄の濃度を超えるものが放射性物質に該当することとなること。
ウ 備考の2の表の子孫核種の欄中に掲げられている括弧内の数値は、当該子孫核種に崩壊の経路が二以上ある場合における一の経路の崩壊の全体の崩壊に対する割合(分岐比)をいうものであること。
2 労働安全衛生規則の一部改正関係
表示付認証機器等について、労働安全衛生法第88条第1項又は第2項の規定に基づく計画の届出の対象となる機械等から除外することとしたものであること。
なお、この改正は、1の(2)のアと同趣旨であること。
第3 施行期日等
1 施行期日
改正省令は、平成17年6月1日から施行するものであること。
2 経過措置
(1) 改正省令により新たに放射性物質に該当するもののみを装備している機器又は新たに放射性物質と該当するもののみが密封されたもので、改正省令の施行日前に製造され、又は輸入されたもの及びこれらのものと同一の型式のものであって平成19年3月31日までに製造され、又は輸入されたものは、改正省令による改正後の電離放射線障害防止規則(以下「新電離則」という。)の規定は適用しないこと。
なお、新たに放射性物質に該当するものを装備している機器としては、煙感知器、レーダー受信部切換放電管があること。
(2) 改正省令の施行の際現に存する放射性物質を装備している機器を使用する放射線装置室の出入口で人が通常出入りするものに対する新電離則第17条第2項の規定の適用については、なお従前の例によること。
ただし、RI法第10条第2項の変更の許可の申請が行われるような変更(※)が放射性物質を装備する機器を使用する放射線装置室の出入口で人が通常出入りするものになされる場合には、インターロックを設置しなければならないものであること。
※ 下記の事項に係る変更をいうこと。
① 放射性同位元素の種類、密封の有無及び数量又は放射線発生装置の種類、台数及び性能
② 使用の目的及び方法
③ 使用の場所
④ 放射性同位元素又は放射線発生装置の使用をする施設の位置、構造及び設備
⑤ 放射性同位元素を貯蔵する施設の位置、構造、設備及び貯蔵能力
⑥ 放射性同位元素及び放射性同位元素によって汚染された物を廃棄する施設の位置、構造及び設備
別図
(放射性同位元素等の規制に関する法律施行規則(昭和35年総理府令第56号)別図と同じ)
注
1 三葉マークは、日本産業規格による放射能標識の形状とすること。
2 lは、0.2センチメートル以上とすること。
3 放射性同位元素装備機器に直接表示することが著しく困難な場合にあってはその容器の見やすい箇所に付すこと。
