添付一覧
○美容医療に関する取扱いについて
(令和7年8月15日)
(医政発0815第21号)
(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医政局長通知)
(公印省略)
今般、自由診療で行われる美容医療について、不適切な事例に対する対応や、質の高い医療機関が患者に選ばれるための取組等について、厚生労働省の「美容医療の適切な実施に関する検討会」(以下「本検討会」という。)において検討が行われてきたところである。本検討会がとりまとめた報告書「美容医療の適切な実施に関する検討会 報告書」(令和6年11月22日とりまとめ。以下「本報告書」という。)においては、患者がいわゆるカウンセラーのみと相談し決定した治療内容をそのまま医師が実施している事例などが指摘されている。
また、問題事例について、医師法等に違反する行為か否かの判断基準や、どのような場合に保健所が立入検査できるのか明確ではないことから、効果的な指導や取締りが困難な事例があることなども指摘されている。
そこで、美容医療に係る違法事例等に適切に対処するべく、下記のとおり法令上の解釈を整理したので、御了知の上、貴管内の市町村、関係機関及び関係団体等に周知方願いたい。
なお、本通知については、警察庁及び消費者庁と協議を行い、内容について承知された上でお示ししているものであること、犯罪の成否は捜査機関によって収集された証拠に基づいて、裁判所が最終的に判断するものであることを申し添える。
目次
第1 医師法等の関係法令の解釈について
1.いわゆるカウンセラー等の無資格者による診断等
2.看護師等のみによる治療行為等
3.メール・チャットのみによる診断・処方等
4.診療録の作成・保存義務違反
5.病院等の管理者の一般的な管理義務違反(長期間にわたる不在を含む)
6.医療の安全確保に関する違反
7.医療広告規制に関する違反
第2 病院等に対する対応について
1.保健所等による立入検査等
2.都道府県知事による是正命令等
3.警察等捜査機関への相談告発
第3 病院等以外の場所で医業が実施される場合の対応について
1.無資格者が実施している場合
2.臨床研修等修了医師等が実施している場合
第4 関係機関との連携
記
第1 医師法等の関係法令の解釈について
1.いわゆるカウンセラー等の無資格者による診断等
(1) 基本的な考え方
美容医療を提供する病院や診療所(以下「病院等」という。)において、医師(歯科の場合は歯科医師。以下同じ。)並びに保健師、助産師、看護師及び准看護師(以下総称して「看護師等」という。)の免許を有しない者(以下「無資格者」という。)が「カウンセラー」等と称して、患者に対して、医療行為や診療に関連するカウンセリングを行う事例が報告されているが、無資格者による行為である以上は、医師法(昭和23年法律第201号)第17条に規定する「医業」(歯科の場合は歯科医師法(昭和23年法律第202号)第17条に規定する「歯科医業」。以下同じ。)に該当しない範囲で実施されなければならない。
なお、本通知における記載は、本項も含め、歯科口腔領域の範囲で提供される医療についても適用されるものである。
(2) 医師法第17条等との関係
無資格者による医業は、医師法第17条及び保健師助産師看護師法(昭和23年第203号。以下「保助看法」という。)第31条その他の関係法規によって禁止されている。ここにいう「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うことである。
また、診察等により得られた患者の様々な情報から、治療方針等について、主体的に判断を行い、これを伝達する行為は診断であり、このように医学的判断を伴う行為は医行為に該当するため、無資格者が業として(反復継続する意思を持って)行えば医師法第17条違反となる。
(3) 違法な例
以下に示す各行為は、無資格者が業として行えば医師法第17条に違反する。
ア 脱毛行為等(「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」(平成13年11月8日医政医発第105号厚生労働省医政局医事課長通知)において示した行為)、いわゆるアートメイク(「医師免許を有しない者によるいわゆるアートメイクの取扱いについて」(令和5年7月3日医政医発0703第5号厚生労働省医政局医事課長通知)において示した行為)、HIFU(高密度焦点式超音波。以下同じ。)施術(「医師免許を有しない者が行った高密度焦点式超音波を用いた施術について」(令和6年6月7日医政医発0607第1号厚生労働省医政局医事課長通知において示した行為))等の医行為。
なお、いわゆるアートメイクに関して、針先に色素を付けながら、皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為のうち、施術箇所に本来存在しうる人体の構造物(眉毛、毛髪、乳輪・乳頭等)を描く行為及び化粧に代替しうる装飾(アイライン、チーク、リップ等)を描く行為は、医行為に該当するものである。そのため、例えば、「○○メイク」「○○タトゥー」といった「アートメイク」以外の名称で提供されていたとしても、かかる行為に該当するものは医行為に該当する。
イ 患者の主訴(例:一重まぶたを二重まぶたにしたいといった要望)や希望する処置(例:二重整形について埋没法ではなく切開法がよいとの希望、ダウンタイムの少ない処置がよいとの希望)を聞き取った上で、具体的な治療方法を選択して患者に対して提案し、又は決定するなど、患者の個別の状況に応じて医学的な判断を行い、これを伝達する行為。
なお、これは形式的には各治療行為に係る料金設定の説明という体裁を取っていたとしても、実質的に患者の個別の状況に応じて医学的な判断を行い、これを伝達する行為は、医行為に該当する。
ウ 侵襲を伴う検体の採取をする行為。
エ 情報通信機器を用いて、ビデオ通話、電話、メール、チャット等により、患者の個別の状況に応じて医学的な判断を行い、これを伝達等する行為。例えば、医学的判断を伴う行為である診察を行ったり、診断や薬剤の処方をする等の行為。
2.看護師等のみによる治療行為等
(1) 基本的な考え方
美容医療を提供する病院等において、医師の指示がない状況下で、看護師等のみによって医行為を実施している事例が報告されているが、医師免許を有しない者は医師法第17条に基づき医業を行うことはできず、また、看護師等は、保助看法第37条に基づき、医師の指示の下で、医行為に該当する診療の補助を行うことができる。
(2) 医師法第17条、保助看法第37条との関係
看護師等が、診察等を行い、これにより得られた患者の様々な情報から、治療方針等について、主体的に判断を行い、これを伝達したり、医師の指示なく診療の補助や治療行為を行った場合には、医師法第17条や保助看法第37条に違反する可能性がある。
また、医師においても、所属医療機関の看護師等が上記の違反行為を行うような状況を作出することはあってはならない。
(3) 違法な例
以下に示すものは、医師法第17条や保助看法第37条に違反する。
ア 看護師等が、医師の指示なく、脱毛行為等、いわゆるアートメイク、HIFU施術等の医行為を行うこと。
イ 看護師等が、医学的判断を伴う行為である診察を行うこと。
ウ 看護師等が、具体的な治療方法を選択して患者に対して提案し、又は決定するなど、患者の個別の状況に応じて医学的な判断を行い、これを伝達すること。
3.メール・チャットのみによる診断・処方等
(1) 基本的な考え方
「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(平成30年3月(令和5年3月一部改訂)厚生労働省。以下「オンライン診療指針」という。)を遵守せず、メール・チャットのみにより診療を行う事例等が報告されているが、医師は、医師法第20条に基づき、無診察で治療等を行うことを禁止されている。
(2) 医師法第20条との関係
医師法第20条は、無診察で治療等を行うことを禁止しているが、ここでいう「診察」とは、問診、視診、触診、聴診その他手段の如何を問わないが、現代医学から見て、疾病に対して一応の診断を下し得る程度のものをいう。
また、医師法第20条との関係で、オンライン診療指針が策定されており、
・ オンライン診療では、可能な限り多くの診療情報を得るために、リアルタイムの視覚及び聴覚の情報を含む情報通信手段を採用すること
・ オンライン診療は、文字、写真及び録画動画のみのやりとりで完結してはならないこと
とされている。
(3) 違法な例
メールやチャットのみによる診察は、基本的にリアルタイム性の低い文字情報のやりとりによる問診しかなし得ず、得られる情報が極めて限定される。例えば、メールやチャットのみによるやりとりのみで、患者に関する必要な医学的情報の詳細、正確かつ適時な収集や、画像・動画による視覚情報の補完を行わず、対面診療と同程度の診察が行われているといえないにもかかわらず診断・処方等を行うなど、メールやチャットのみによる診療を行うことは、オンライン診療指針に違反しており、医師法第20条違反となるおそれのある行為である。
4.診療録の作成・保存義務違反
(1) 基本的な考え方
美容医療を提供する病院等において、都道府県、保健所を設置する市、特別区(以下「保健所等」という。)による立入検査が行われた際に、診療録が適切に作成・保存されていないことが確認された事例が報告されているが、診療録については、医師法が規定する診療録の作成・保存義務を遵守する必要があるとともに、その内容についても、医師法施行規則(昭和23年厚生省令第47号)第23条が規定する記載事項を満たすものでなければならない。
(2) 医師法第24条及び医師法施行規則第23条との関係
医師法第24条第1項において、「医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない」こととされており、同条第2項において、「前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、五年間これを保存しなければならない」こととされている。また、この医師法上の診療録関係の規定に違反した者は、同法の罰則規定に基づき、50万円以下の罰金が科されることとなる。
また、診療録の作成に当たっては、医師法施行規則第23条に規定する記載事項を満たす必要があり、仮にこの記載事項を満たしていない場合は、医師法第24条に規定する診療録の作成・保存義務を正当に果たしていないこととなり、医師法第24条違反となる。
(3) 病院又は診療所が廃止された場合の診療録の取扱いについて
病院又は診療所が廃止された場合の診療録の保存義務については、通常は病院又は診療所の廃止時点における管理者において保存するのが適当である。
(4) 診療録の開示にかかる手続について
患者等が診療録の開示を求めた場合には、病院又は診療所は、原則としてこれに応じる必要がある。診療録の開示に当たっては、「診療情報の提供等に関する指針」(平成15年9月12日医政発第0912001号厚生労働省医政局長通知別添。令和5年1月最終改訂。)、「診療情報の提供等に関する指針について(周知)」(平成30年7月20日医政医発0720第2号厚生労働省医政局医事課長通知)、「医療機関における開示手数料の算定に係る推奨手続について」(令和4年1月28日医政医発0128第6号厚生労働省医政局医事課長通知)等の記載に則って、適切に対応されたい。
(5) 違法な例
(2)で示したとおり、以下に該当するものは、医師法第24条に規定する診療録の作成・保存義務に違反する。
ア 患者に対する診療を行ったにもかかわらず、診療録を作成していない場合
イ 作成した診療録の内容が医師法施行規則第23条に規定する記載事項を満たしていない場合
5.病院等の管理者の一般的な管理義務違反(長期間にわたる不在を含む)
(1) 基本的な考え方
医療法(昭和23年法律第205号)第10条により、病院等の開設者は、その病院等が医業をなすものである場合は臨床研修等修了医師に、歯科医業をなすものである場合は臨床研修等修了歯科医師に管理させなければならない。当該管理者は、医療法第15条第1項に基づき、医療法に定める管理者の責務を果たせるよう、当該病院等に勤務する医師、歯科医師、薬剤師その他の従業者を監督し、その他当該病院等の管理及び運営につき、必要な注意をしなければならない。
(2) 医療法第10条及び第15条第1項との関係
昭和29年の通知において、病院等の管理者は、当該病院等における管理の法律上の責任者であるから、原則として診療時間中当該病院等に常勤すべきとされているところである(「管理者の常勤しない診療所の開設について」(昭和29年10月19日医収第403号厚生省医務局長通知))。
そして、令和元年の通知において、診療所の管理者については、原則として勤務時間中常勤とされるが、へき地や医師少数区域等の診療所又は地域における専門的な医療ニーズに対応する役割を担う診療所において、常勤の医師を確保することが困難である場合や管理者となる医師の育児・介護等の家庭の事情により一定期間弾力的な勤務形態を認める必要性が高い場合等においては、例外的に常勤でなくとも管理者として認められ、この場合においては、常時連絡を取れる体制を確保する等、管理者の責務を確実に果たすことができるようにすることが必要であるとされているところである(「診療所の管理者の常勤について(通知)」(令和元年9月19日医政総発0919第3号・医政地発0919第1号厚生労働省医政局総務課長・地域医療計画課長連名通知))。
(3) 違法な例
以下に示すものは、医療法第15条に規定する管理者の義務に違反する。
ア 病院等の管理者が、長期間にわたり不在であって、管理者としての責務を果たすことができない場合
6.医療の安全確保に関する違反
(1) 基本的な考え方
病院等の管理者は、当該病院等における医療の安全を確保するため、医療法等の関係法令に基づき、各種の措置を講じなければならない。
(2) 医療法第6条の12、医療法施行規則第1条の11との関係
病院等の管理者は、医療の安全を確保するための措置を講じなければならないとされており、美容医療に関連するその主な内容は以下のとおりである。
ア 安全管理のための体制の確保
・ 医療に係る安全管理のための指針(※1)の整備
※1 従業者に対する研修、事故報告等の医療に係る安全の確保を目的とした改善のための方策、医療事故等発生時の対応、患者からの相談への対応に関する基本方針等を文書化したもの。
・ 医療に係る安全管理のための基本的な事項及び具体的な方策についての職員研修(※2)の実施
※2 当該病院等の具体的な事例等を取り上げ、職種横断的に行うものであることが望ましい。年2回程度定期的に開催するほか、必要に応じて開催し、研修の実施内容(開催又は受講日時、出席者、研修項目)について記録すること。
イ 医薬品に係る安全管理のための体制の確保
・ 医薬品安全管理責任者の配置
・ 従業者に対する医薬品の安全使用のための研修の実施(副作用等が発生した場合の対応(施設内での報告、行政機関への報告等)に関する事項を含む。)
※ その他医療機器に係る安全管理のための体制の確保等も必要。
(3) 違法な例
以下に示すものは、医療法第6条の12、医療法施行規則第1条の11に違反する。
ア 医療に係る安全管理のための指針を整備していない。
イ 医療安全管理のための職員研修を実施していない(定期的な実施が記録から確認できない)。
7.医療広告規制に関する違反
(1) 基本的な考え方
医療広告については、患者等が適切に病院等を選択するため、次のような考え方に基づき、限定的に認められた事項(広告可能事項)以外は、原則として広告が禁止されている。
① 医療は人の生命・身体に関わるサービスであり、不当な広告により受け手側が誘引され、不適当なサービスを受けた場合の被害は、他の分野に比べ著しいこと。
② 医療は極めて専門性の高いサービスであり、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難であること。
なお、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト等については、広告可能事項の限定解除要件を満たした場合には、広告禁止事項に反しない範囲で、広告可能事項以外の事項についても広告可能となる。
これらの基本的な考え方に関しては、「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」(平成30年5月8日医政発0508第1号厚生労働省医政局長通知の別紙3。令和6年9月13日最終改正。)や「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第5版)」(令和7年3月11日厚生労働省医政局総務課事務連絡の別紙)において詳述している。これらの文書については、以下の厚生労働省ホームページに掲載されているため、最新版を参照されたい。
【URL】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html
(2) 医療法第6条の5との関係
医療法第6条の5第1項の規定に基づき、何人も医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して、虚偽広告を行ってはならないこととされている。また、これらの医療に関する広告を行う場合において、比較優良広告、誇大広告、公序良俗に反する内容の広告、患者等の主観又は伝聞に基づく治療等の内容又は効果に関する体験談の広告、治療等の内容又は効果について患者等を誤認させるおそれのある治療等の前又は後の写真等の広告が禁止されている。
これらの違反に関しては、各病院等を所管する都道府県等が行う、医療広告規制に違反した病院等に対する報告命令又は立入検査の実施(医療法第6条の8第1項)又は行政処分(医療法第6条の8第2項、第28条及び第29条)の規定が適用され得る。これらの対応に当たっては、医療広告の違反状態の早期改善を図るため、対応期限を決めた対応がなされるべきであり、「医療広告ガイドラインに基づく標準的な対応期限も含めた指導・措置等の実施手順書のひな型について」(令和6年8月23日厚生労働省医政局総務課事務連絡)を参照すること。
【URL】
https://www.mhlw.go.jp/content/001294124.pdf
(3) 違法な例
以下に示すものは、医療法第6条の5、医療法施行規則第1条の9に違反する。
ア 虚偽広告
「絶対に安全」「必ず綺麗になる」といった医学上あり得ない表現や、加工・修正した術前術後の写真等を広告するなど、患者等に著しく事実に相違する情報を与え、適切な受診機会を喪失させ、不適切な医療を受けさせるおそれがある場合。
イ 比較優良広告
自らの病院等が他の病院等よりも優良である旨の広告の他、「日本一」「No.1」といった最上級の表現、更には著名人との関係性を強調する広告を行った場合。
ウ 誇大広告
科学的根拠が乏しい情報であるにも関わらず、特定の治療、処置に誘導を行うなど、必ずしも虚偽ではないが、事実を不当に誇張して表現したり、人を誤認させたりするおそれがある場合。
エ 公序良俗に反する内容の広告
わいせつ若しくは残虐な図画や映像又は差別を助長する表現等を使用した広告を行った場合。
オ 広告可能事項以外の事項の広告
HIFU施術や糸リフト、二重埋没術等を始め、自由診療で行う美容医療といった広告可能事項となっていない内容を広告した場合。
また、問い合わせ先を明示したウェブサイト等において広告する場合であっても、自由診療で行われる治療の内容、費用、リスク・副作用等に関する詳細な事項が情報提供されていない場合。
カ 患者等の主観又は伝聞に基づく治療等の内容又は効果に関する体験談の広告
患者自身の体験や家族等からの伝聞に基づく主観的な体験談を、当該医療機関への誘引を目的として紹介している場合。
キ 治療等の内容又は効果について患者等を誤認させるおそれのある治療等の前又は後の写真等の広告
治療の前又は後の写真や映像のみが提供され、治療の内容、費用、リスク・副作用等に関する詳細な事項が情報提供されていない場合。
また、これらの禁止される広告に関する具体的な事例については、「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」を参照すること。
なお、医業等に係る情報提供の適正化を推進することで、国民が適切に病院等及び提供される医療を選択することができるようにすることを目的に、「医業等に係るウェブサイトの調査・監視体制強化事業」を実施している。当該事業も活用いただき、保健所等においては病院等に対し、医療に関する広告の適正化に向けた必要な指導を実施されたい。
第2 病院等に対する対応について
1.保健所等による立入検査等
(1) 医師法や保助看法違反について
患者等からの情報提供に基づき、病院等において、第1の1から4までに記載した医師法違反や保助看法違反に該当する行為が行われ、病院等の管理者が医療法第15条に基づく監督義務を果たせていない疑いがあると認めるときは、保健所等は同法第25条第2項に基づき立入検査等を行うことが可能である。
なお、上記の医師法や保助看法違反の行為は刑事罰の対象となるが、立入検査等は医療法第25条第5項において準用する同法第6条の8第4項に基づき、犯罪捜査のために行うものではないことに留意が必要であり、必要に応じて下記3のとおり対応されたい。
(2) 医療法違反について
患者等からの情報提供に基づき、病院等において、第1の5から7までに記載した医療法違反の疑いがあると認めるときは、保健所等は、医療法第25条第2項に基づき立入検査等を行うことが可能である。
その際、医療法上の処分を行うに足りる事実を確認する場合など、この法律の施行に必要な限度において、立入検査等を行うことは可能であるが、犯罪捜査のために行うものではないことに留意が必要であり、必要に応じて下記3のとおり対応されたい。
(3) 立入検査等への不協力等について
医療法第25条第2項に基づく立入検査等に関し、報告若しくは物件の提出を怠り、若しくは虚偽の報告をし、又は職員の検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、医療法第89条第2号に基づき刑事罰の対象となることに留意し、必要な対応を図られたい。なお、病院等を廃止して、立入検査等を逃れ、その後しばらくして新規に病院等の開設許可の申請等を行うといった対応は望ましくなく、こうした病院等の廃止は、「検査を拒み、妨げ、若しくは忌避」することに該当する可能性がある。
2.都道府県知事による是正命令等
(1) 是正命令等について
上記1(1)及び(2)により保健所等が立入検査等を行った場合も含め、病院等の業務が法令又は法令に基づく処分に違反する場合等は、医療法第24条の2第1項に基づく改善命令も可能であるため、必要に応じて適切な対応を図られたいこと。
さらに、医療法第24条の2第1項に基づく改善命令に従わないときは、同条第2項に基づき、期限を定めて病院等の業務の全部又は一部の停止を命じ、その上で、当該命令に違反したとき等においては、同法第29条第1項第3号に基づき、病院等の開設許可の取消し又は期間を定めた閉鎖命令を行うことができる。
また、病院等の管理者が、第1の1から4までに記載した医師法違反や保助看法違反に該当する行為を指示して行わせている等、犯罪又は医事に関する不正行為等を行っている場合には、医療法第28条に基づき、当該病院等の開設者に対して、期限を定めてその変更を命じ、その上で、当該命令に違反したときは、上記と同様に病院等の開設許可の取消し又は期間を定めた閉鎖命令を行うことができる。
さらに、病院等の開設者が犯罪又は医事に関する不正行為等を行っている場合には、同法第29条第1項第4号に基づき、病院等の開設許可の取消し又は期間を定めた閉鎖命令を行うことができる。
(2) 変更命令等に違反した場合の刑事罰について
医療法第28条に基づく変更命令又は同法第29条第1項に基づく開設許可の取消し処分若しくは閉鎖命令に違反した者は、同法第87条第3号に基づき、6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金が科される。
3.警察等捜査機関への相談告発
上記1の立入検査等を行った場合も含め、上述の医師法や保助看法違反に該当する行為や、医療法上の刑事罰に該当する行為を確認し、犯罪があると思料するときは、刑事訴訟法第239条の規定等を踏まえ、当該事実について、警察等捜査機関に相談・告発することとされたい。
第3 病院等以外の場所で医業が実施される場合の対応について
1.無資格者が実施している場合
無資格者が医業を行うことは医師法第17条に違反し、刑罰の対象となるため、無資格による医業を確認した場合は、上述のとおり刑事訴訟法第239条の規定等を踏まえ、当該事実について、警察等捜査機関に相談・告発を行うといった適切な対応を図られたい。
2.臨床研修等修了医師等が実施している場合
医療法第8条に基づき、臨床研修等修了医師又は臨床研修等修了歯科医師(以下「臨床研修等修了医師等」という。)が診療所を開設したときは、開設後10日以内に所在地の都道府県に届け出なければならないとされているところ、届出がなされていない場所での臨床研修等修了医師等による医業が実施されている疑いがあると認められる場合は、医療法第25条第2項に基づく立入検査を行う等必要な措置を図られたい。
第4 関係機関との連携
上記について、保健所等においては、契約内容や解約条件など契約に関する相談については、各自治体の消費生活センターや消費生活相談窓口との適切な連携を図られたい。
