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○医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の公布について
(令和7年5月21日)
(/医薬発0521第1号/産情発0521第4号/)
(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医薬局長、厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官通知)
(公印省略)
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和7年法律第37号。以下「改正法」という。)については、本日、別添のとおり公布され、順次施行することとされたところです。
改正法の主な内容については下記のとおりですので、御了知の上、貴管下市町村、関係団体、関係機関等へ周知徹底いただきますようお願いいたします。
記
第1 改正の趣旨
不正事案の発生等に伴う医薬品の供給不足や創薬環境の変化等の状況に対応し、引き続き品質の確保された医薬品等を国民に迅速かつ適正に提供していく観点から、医薬品等の品質及び安全性の確保の強化、医療用医薬品等の安定供給体制の強化等、より活発な創薬が行われる環境の整備、国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化等を図るため、医薬品品質保証責任者及び医薬品安全管理責任者の設置の義務付け、後発医薬品の安定的な供給の確保を支援するための基金の設置、特定医薬品供給体制管理責任者の設置の義務付け、革新的な医薬品等の実用化を支援するための基金の設置、条件付き承認制度の見直し、調剤業務の一部外部委託の制度化、医薬品の適正な販売方法への見直し等の措置を講ずること。
第2 改正の主な内容
Ⅰ 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)の一部改正
1 医薬品等の品質及び安全性の確保の強化に関する事項
(1) 医薬品等の製造管理又は品質管理の方法に関する調査に関する事項
ア 厚生労働大臣は、医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造販売の承認を受けた者が当該承認の取得後3年を下らない政令で定める期間を経過するごとに受けなければならないとされている調査について、その物の製造所における製造管理又は品質管理の方法が厚生労働省令で定める基準に適合していると認められないこととなるおそれが少ないと評価したときは、その回の調査を行わないものとするとともに、遅滞なく、当該調査を行わない旨を当該者に通知するものとすること。(第14条第7項関係)
イ 医薬品の製造業者は、医薬品の製造工程の区分が医薬品の製造管理又は品質管理に関し特に注意が必要なものとして厚生労働省令で定める区分に該当するときは、当該区分における医薬品の製造管理又は品質管理の方法についてその確認に特に専門的知識を必要とする事項について、厚生労働大臣に対し、当該事項に係る確認を求めた上で、基準確認証の交付を受けることができるものとすること。(第14条の2第3項及び第5項関係)
ウ 厚生労働大臣は、イの確認を求められたときは、実地の調査を行うものとすること。ただし、厚生労働大臣が、当該確認に係る過去の調査結果等を勘案してその必要がないと認める場合には、当該調査を行わないものとすること。(第14条の2第4項関係)
(2) 新医薬品等の再審査等を申請する者は、申請書に当該新医薬品等の品質、有効性及び安全性に関する資料として厚生労働省令で定める資料を添付しなければならないものとすること。(第14条の4第5項、第23条の2の9第4項及び第23条の29第4項関係)
(3) 医薬品品質保証責任者及び医薬品安全管理責任者の設置等に関する事項
ア 医薬品総括製造販売責任者は、イの医薬品品質保証責任者及び医薬品安全管理責任者を監督するとともに、これらの者のウ及びカに基づく意見を尊重しなければならないものとすること。(第17条第5項関係)
イ 医薬品の製造販売業者は、医薬品総括製造販売責任者の監督の下に、医薬品の品質保証の統括を行う者(以下この(3)において「医薬品品質保証責任者」という。)及び医薬品の製造販売後安全管理の統括を行う者(以下この(3)において「医薬品安全管理責任者」という。)を置かなければならないものとすること。(第17条第6項関係)
ウ 医薬品品質保証責任者は、医薬品の品質保証の統括の遂行のために必要があるときは、医薬品総括製造販売責任者に対し、意見を書面により述べなければならないものとすること。(第17条第7項関係)
エ 医薬品品質保証責任者が行う医薬品の品質保証の統括のために必要な業務及び医薬品品質保証責任者が遵守すべき事項については、厚生労働省令で定めるものとすること。(第17条第8項関係)
オ 医薬品品質保証責任者は、ウの義務及びエの業務を遂行し、並びにエの事項を遵守するために必要な能力及び経験を有する者でなければならないものとすること。(第17条第9項関係)
カ 医薬品安全管理責任者について、ウからオまでに準じた規定を設けるものとすること。(第17条第10項から第12項まで関係)
キ 厚生労働大臣は、医薬品品質保証責任者又は医薬品安全管理責任者について、その者に医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律その他薬事に関する法令で政令で定めるもの又はこれに基づく処分に違反する行為があったときは、その製造販売業者に対して、その変更を命ずることができるものとすること。(第73条関係)
(4) 医薬品製造管理者及び体外診断用医薬品製造管理者について、薬剤師を置くことが著しく困難であると認められる場合その他の厚生労働省令で定める場合は、薬剤師以外の技術者をもってこれに代えることができるものとすること。(第17条第5項及び第23条の2の14第10項関係)
(5) 医薬品の製造販売業者等の遵守事項等に関する事項
ア 医薬品の製造販売業者は、その製造販売をする医薬品の製造所その他厚生労働省令で定める製造に関連する業務を行う施設(イにおいて「製造所等」という。)における製造管理及び品質管理の業務が、厚生労働省令で定める基準その他の厚生労働省令で定める事項に基づき適正に遂行されていることを定期的に確認し、その結果を記録し、及びこれを適切に保存しなければならないものとすること。(第18条第3項関係)
イ 医薬品の製造販売業者は、その製造販売をする医薬品の製造所等(当該製造販売業者が製造その他厚生労働省令で定める製造に関連する業務を委託した場合における当該業務を行うものに限る。以下このイにおいて同じ。)における当該医薬品の製造管理及び品質管理の実施状況に係る記録その他の当該製造所等における製造管理及び品質管理に係る情報を収集するよう努めなければならないものとすること。(第18条第4項関係)
ウ 医薬品の製造業者は、その製造する医薬品が政令で定めるものであるときは、厚生労働省令で定める基準に基づき、当該医薬品の製造所における製造管理及び品質管理を行わなければならないものとすること。(第18条第7項関係)
(6) 体外診断用医薬品の製造販売の承認を受けている者は、厚生労働大臣が薬事審議会の意見を聴いて体外診断用医薬品の範囲を指定して性能等再評価(体外診断用医薬品について、製造販売の承認の取得後に当該承認に係る性能その他の厚生労働省令で定める事項を再評価することをいう。以下この(6)において同じ。)を受けるべき旨を公示したときは、その指定に係る体外診断用医薬品について、厚生労働大臣の性能等再評価を受けなければならないものとすること。(第23条の2の10の2第1項関係)
(7) 登録認証制度に関する事項
ア 厚生労働大臣は、指定高度管理医療機器等の製造販売の認証を受けようとする者等に対する登録認証機関の書面による調査又は実地の調査に立ち会うことができるものとするとともに、必要があるときは、登録認証機関に助言を行うことができるものとすること。(第23条の2の23第9項関係)
イ 登録認証機関がその登録に係る事業の全部を譲渡し、又は登録認証機関について相続、合併若しくは分割があったときは、その事業の全部を譲り受けた者又は相続人、合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人若しくは分割によりその事業の全部を承継した法人は、その登録認証機関の地位を承継するものとするとともに、登録認証機関の地位を承継した者は、遅滞なく、その事実を証する書面を添えて、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならないものとすること。(第23条の8の2関係)
(8) 厚生労働大臣の指定する医薬品、医療機器又は再生医療等製品は、厚生労働大臣の指定する者の検査を受け、かつ、これに合格したものでなければ、販売、授与等をしてはならないものとすること。(第43条関係)
(9) 医薬品の安全性及び有効性に係る情報収集等に関する計画の作成等に関する事項
ア 医薬品の製造販売業者は、厚生労働大臣が指定する医薬品の製造販売をする場合であって、当該医薬品の安全性及び有効性を確保するため必要があると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、製造販売後安全管理のうち医薬品の安全性及び有効性に係る情報収集、調査、試験その他医薬品を使用することに伴う副作用の発生等の最小化を図るための対策の実施(以下このアにおいて「医薬品の安全性及び有効性に係る情報収集等」という。)に関する計画を作成し、これを厚生労働大臣に報告しなければならないものとするとともに、当該計画で定めるところにより、医薬品の安全性及び有効性に係る情報収集等をするとともに、その結果並びにこれに基づく評価及び必要な措置の実施について、厚生労働大臣に報告しなければならないものとすること。(第68条の2第1項、第2項及び第4項関係)
イ 厚生労働大臣は、アの報告を受けたときは、医薬品の製造販売業者に対し、アの厚生労働大臣が指定する医薬品を使用することに伴う副作用の発生等の最小化を図るために必要な指導及び助言をすることができるものとすること。(第68条の2第5項関係)
(10) 再生医療等製品又は生物由来製品の製造販売業者等は、その製造販売をし、又は製造販売の承認を受けた再生医療等製品若しくは生物由来製品又はこれらの原料若しくは材料による感染症に関する最新の論文その他により得られた知見に基づき当該再生医療等製品又は生物由来製品を評価し、その成果を厚生労働大臣に報告しなければならないものとすること。(第68条の14第1項及び第68条の24第1項関係)
(11) 厚生労働大臣は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の製造販売業者又は製造業者について、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律その他薬事に関する法令で政令で定めるもの又はこれに基づく処分に違反する行為があった場合等において、その薬事に関する業務に責任を有する役員を変更しなければ、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するために必要な業務の運営の改善が見込まれないと認めるときは、その製造販売業者又は製造業者に対して、その薬事に関する業務に責任を有する役員の変更を命ずることができるものとすること。(第72条の8関係)
2 特定医薬品の安定供給体制の強化等に関する事項
(1) 特定医薬品の安定供給体制の強化に関する事項
ア 医薬品のうち、次の医薬品以外の医薬品(専ら動物のために使用されることが目的とされているものを除く。)を「特定医薬品」とすること。(第2条第17項関係)
(ア) 要指導医薬品
(イ) 一般用医薬品
(ウ) 薬局開設者が当該薬局における設備及び器具をもって製造し、当該薬局において直接需要者に販売し、又は授与する医薬品(体外診断用医薬品を除き、厚生労働大臣の指定する有効成分以外の有効成分を含有しない医薬品に限る。)
(エ) その他製造販売又は販売の状況を把握する必要がないものとして厚生労働省令で定める医薬品
イ 特定医薬品供給体制管理責任者の設置、遵守事項等に関する事項
(ア) 特定医薬品の製造販売業者は、その製造販売をする特定医薬品に関する製造販売の計画の策定、当該特定医薬品の供給状況の調査並びに製造業者及び卸売販売業者その他の当該特定医薬品の供給に係る関係者との連絡体制の整備その他の当該特定医薬品の供給体制の管理(以下この(1)において「供給体制の管理」という。)の統括を行わせるために、特定医薬品供給体制管理責任者を置かなければならないものとすること。(第18条の2の2第1項関係)
(イ) 特定医薬品供給体制管理責任者は、特定医薬品の供給体制の管理の統括を公正かつ適正に行うために必要があるときは、製造販売業者に対し、意見を書面により述べなければならないものとすること。(第18条の2の2第2項関係)
(ウ) 特定医薬品供給体制管理責任者について、1の(3)のエ、オ及びキに準じた規定を設けるものとすること。(第18条の2の2第3項及び第4項並びに第73条関係)
ウ 特定医薬品の製造販売業者の遵守事項等に関する事項
(ア) 厚生労働大臣は、厚生労働省令で、特定医薬品の供給体制の管理の実施方法、特定医薬品供給体制管理責任者の義務の遂行のための配慮事項その他特定医薬品の製造販売業者が供給体制の管理に関する業務に関し遵守すべき事項を定めることができるものとすること。(第18条の2の3第1項関係)
(イ) 特定医薬品の製造販売業者は、イの(イ)により述べられた特定医薬品供給体制管理責任者の意見を尊重するとともに、法令遵守のために措置を講ずる必要があるときは、当該措置を講じ、かつ、講じた措置の内容(措置を講じない場合にあっては、その旨及びその理由)を記録し、これを適切に保存しなければならないものとすること。(第18条の2の3第2項関係)
エ 特定医薬品の製造販売業者は、特定医薬品の供給体制の管理に関する業務を適正に遂行することにより、薬事に関する法令の規定の遵守を確保するために、次の措置を講じなければならないものとすること。(第18条の2の4関係)
(ア) 特定医薬品の供給体制の管理に関する業務について、特定医薬品供給体制管理責任者が有する権限を明らかにすること。
(イ) 特定医薬品の供給体制の管理に関する業務の遂行が法令に適合することを確保するための体制、当該製造販売業者の薬事に関する業務に責任を有する役員及び従業者の業務の監督に係る体制その他の製造販売業者の供給体制の管理に関する業務の適正を確保するために必要なものとして厚生労働省令で定める体制を整備すること。
(ウ) 特定医薬品供給体制管理責任者その他の厚生労働省令で定める者に特定医薬品の供給体制の管理を行わせるために必要な権限の付与及びこれらの者が行う業務の監督その他の措置
(エ) (ア)から(ウ)までのほか、特定医薬品の製造販売業者の従業者に対して法令遵守のための指針を示すことその他の製造販売業者の供給体制の管理に関する業務の適正な遂行に必要なものとして厚生労働省令で定める措置
オ 特定医薬品の製造販売業者は、その製造販売をする特定医薬品について、6月以内にその出荷の停止若しくは制限をすることとしたとき、又は6月以内にその出荷の停止若しくは制限をするおそれがあると認めるときは、直ちに、厚生労働大臣にその旨を報告しなければならないものとすること。(第18条の3第1項関係)
カ 特定医薬品の製造販売業者は、その製造販売をする特定医薬品について、その出荷の停止又は制限をしたときは、直ちに、厚生労働大臣にその旨を届け出なければならないものとするとともに、厚生労働大臣は、当該届出を受けた場合には、当該届出に係る情報を公表するものとすること。(第18条の4第1項及び第3項関係)
キ 厚生労働大臣は、特定医薬品について、オの報告があった場合又はカの届出があった場合その他の保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するために当該特定医薬品又は代替薬の製造販売又は販売の状況を把握する必要があると認める場合には、製造販売業者、卸売販売業者その他の関係者に対し、当該特定医薬品又は代替薬の製造、輸入、販売又は授与の状況その他必要な事項について報告を求めることができるものとすること。(第18条の5関係)
(2) 外国において本邦に輸出される医薬品、医薬部外品、化粧品又は再生医療等製品を製造しようとする者は、厚生労働大臣の登録を受けることができるものとすること。(第13条の3第1項及び第23条の24第1項関係)
(3) 厚生労働大臣は、製造販売の承認の申請に係る医薬品、医療機器、再生医療等製品等が、次のいずれにも該当するものである場合には、当該医薬品、医療機器、再生医療等製品等についての審査又は調査を、特に迅速に処理するために、他の医薬品、医療機器、再生医療等製品等の審査又は調査に優先して行うことができるものとし、優先して審査又は調査を行い、製造販売の承認を与えたときは、その旨を公示するとともに、当該医薬品、医療機器、再生医療等製品等の直接の容器等における外国語の記載等について、必要な特例を定めることができるものとすること。(第14条第9項及び第10項、第23条の2の5第9項及び第10項、第23条の25第9項及び第10項並びに第80条第8項関係)
ア 既承認の医薬品、医療機器、再生医療等製品等と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が同一性を有すると認められる医薬品、医療機器、再生医療等製品等であって、その用途に関し、外国において、販売、授与等をすることが認められている医薬品、医療機器、再生医療等製品等であること。
イ 既承認の医薬品、医療機器、再生医療等製品等に対する需要が著しく充足されていないと認められ、かつ、その使用以外に医療上適当な方法がないこと。
(4) 製造販売の承認事項の一部変更に関する事項
ア 特に適切な製造管理若しくは品質管理を要するものとして厚生労働省令で定める医薬品、医薬部外品若しくは化粧品又は再生医療等製品について製造販売の承認を受けた者が、当該承認を受けた品目の製造方法その他の厚生労働省令で定める事項の一部の変更について厚生労働大臣の承認を受けようとする場合は、厚生労働大臣は、当該承認の申請を受理した日から起算して3月以内の厚生労働省令で定める期間内に、その承認をするかどうかを判断するものとすること。(第14条第15項及び第23条の25第14項関係)
イ 医薬品、医薬部外品、化粧品又は再生医療等製品の製造販売の承認を受けた者は、その行おうとする軽微な変更が品質に与える影響が小さいものとして厚生労働省令で定めるもの(以下このイにおいて「特定軽微変更」という。)に該当するときは、届出に代えて、年度ごとに、当該変更について厚生労働大臣に報告し、これが特定軽微変更である旨の確認を受けることができるものとすること。(第14条第20項及び第23条の25第19項関係)
(5) 日本薬局方に収められている医薬品であって、その性状又は品質が日本薬局方で定める基準に適合せず、かつ、次のいずれにも該当しないものは、販売、授与等をしてはならないものとすること。(第56条第1号関係)
ア その性状及び品質が適正なものとして製造販売の承認を受けたもの
イ その性状及び品質が適正なものとして製造販売の承認を受けたものの製造の用に供するもの
3 より活発な創薬が行われる環境の整備に関する事項
(1) 医薬品、医療機器、再生医療等製品等の製造販売の承認を受けようとする者は、申請書に当該申請に係る医薬品、医療機器、再生医療等製品等の品質、有効性及び安全性に関する資料として厚生労働省令で定める資料を添付して申請しなければならないものとすること。(第14条第3項、第23条の2の5第3項及び第23条の25第3項関係)
(2) 医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器等に係る条件付承認に関する事項
ア 厚生労働大臣は、製造販売の承認の申請に係る医薬品、医療機器等が、医療上特にその必要性が高いと認められる場合であって、申請に係る効能、効果等を有すると合理的に予測できるものである等のときは、薬事審議会の意見を聴いて、当該医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性に関する調査の実施を条件とするほか、適正な使用の確保のために必要な措置の実施その他の必要な条件を付してその品目に係る承認を与えることができるものとすること。(第14条の2の2第1項及び第23条の2の6の2第1項関係)
イ 厚生労働大臣は、アにより条件を付した製造販売の承認を与えた医薬品、医療機器等が申請に係る効能、効果等を有すると合理的に予測できなくなった等のときは、薬事審議会の意見を聴いて、その承認を取り消さなければならないものとすること。(第74条の2第1項関係)
(3) 厚生労働大臣は、新医薬品の再審査を適正に行うため特に必要があると認めるときは、薬事審議会の意見を聴いて、調査期間を、その承認のあった日後12年を超えない範囲内において延長することができるものとすること。(第14条の4第3項関係)
(4) 薬局医薬品の製造販売業者は、小児用の薬局医薬品の開発を促進するために必要な小児の疾病の診断、治療又は予防に使用する医薬品の品質、有効性及び安全性に関する資料の収集に関する計画を作成するとともに、当該計画に基づき、遅滞なく、必要な資料の収集を行うよう努めなければならないものとすること。(第14条の8の2関係)
(5) 再生医療等製品の販売、製造等の禁止の対象から、製造販売の承認を受けた再生医療等製品であって、その性状、品質又は性能がその承認の内容と異なるもののうち、疾病の治療に使用するために必要な再生医療等製品として厚生労働省令で定めるものに該当するものを除くものとすること。(第65条の5第1項第2号関係)
4 国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能等の強化に関する事項
(1) 薬局開設者は、関係行政機関との連携等により、医療を受ける者に必要な薬剤及び医薬品の安定的な供給を図るとともに、当該薬局において薬剤師による情報の提供が円滑になされるよう配慮しなければならないものとすること。(第1条の5第3項関係)
(2) 薬局開設者による薬局に関する情報の提供等に関する事項
ア 薬局開設者による、医療を受ける者が薬局の選択を適切に行うために必要な情報の報告先を、当該薬局の所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長とすること。(第4条第1項関係)
イ 都道府県知事(薬局の所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長。ウにおいて同じ。)は、薬局開設者から、医療を受ける者が薬局の選択を適切に行うために必要な情報の報告を受けたときは、その報告の内容を厚生労働大臣(薬局の所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、厚生労働大臣及び都道府県知事。ウにおいて同じ。)に報告するとともに、公表しなければならないものとすること。(第8条の2第5項関係)
ウ 厚生労働大臣は、イの報告を受けたときは、都道府県の区域を超えた広域的な見地から必要とされる情報の提供のため、都道府県知事によるイの公表に関し必要な助言、勧告その他の措置を行うものとすること。(第8条の2第7項関係)
(3) 要指導医薬品に係る規制に関する事項
ア 要指導医薬品について、その適正な使用のために薬剤師が行う情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の方法を、薬剤師の対面又は映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることが可能な方法その他の方法により薬剤若しくは医薬品の適正な使用を確保することが可能であると認められる方法として厚生労働省令で定めるもの(イ及び(8)のウにおいて「対面等」という。)とすること。(第4条第5項第3号関係)
イ 厚生労働大臣は、次の医薬品の区分に応じ、それぞれ次に定める場合に該当すると認めるときは、当該医薬品を薬事審議会の意見を聴いて要指導医薬品として指定することができるものとすること。(第4条第6項関係)
(ア) その製造販売の承認の申請に際して既に製造販売の承認を与えられている医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が明らかに異なるとされた医薬品又はその製造販売の承認の申請に際して当該医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が同一性を有すると認められた医薬品 医薬品の特性その他を勘案して、その適正な使用のために薬剤師の対面等による情報の提供及び薬学的知見に基づく指導が行われる必要がある場合
(イ) 一般用医薬品 医薬品の特性及び使用の実態その他を勘案して、その適正な使用のために薬剤師の対面等による情報の提供及び薬学的知見に基づく指導が行われる必要がある場合
ウ 薬局開設の許可等に関する事項
(ア) 薬局開設の許可を受けようとする者は、その薬局においてその薬局以外の場所にいる者に対して要指導医薬品(その適正な使用のために薬剤師の対面による販売又は授与が行われることが特に必要な要指導医薬品として、厚生労働大臣が薬事審議会の意見を聴いて指定する要指導医薬品(以下このウ及びエにおいて「特定要指導医薬品」という。)を除く。)を販売し、又は授与する場合にあっては、その者との間の通信手段等を記載した書類等を添付して、申請しなければならないものとすること。(第4条第3項関係)
(イ) 厚生労働大臣は、厚生労働省令で、薬局においてその薬局以外の場所にいる者に対して要指導医薬品(特定要指導医薬品を除く。)を販売し、又は授与する場合におけるその者との間の通信手段に応じた販売又は授与の実施方法に関する事項等の薬局開設者が遵守すべき事項を定めることができるものとすること。(第9条第1項関係)
(ウ) 店舗販売業者について、(ア)及び(イ)に準じた規定を設けるものとすること。(第26条第3項及び第29条の2第1項関係)
エ 薬局開設者又は店舗販売業者は、特定要指導医薬品につき、薬剤師に、対面により、販売させ、又は授与させなければならないものとすること。(第36条の5第3項関係)
(4) 健康増進支援薬局の認定に関する事項
ア 利用者の薬剤及び医薬品の使用に関する情報を把握し、当該利用者の求めに応じて当該利用者における健康の保持増進に必要な情報の提供及び薬学的知見に基づく指導を実施するために必要な機能を有する薬局は、都道府県知事の認定を受けて健康増進支援薬局と称することができるものとすること。(第6条の4第1項関係)
イ アの認定を受けた薬局でないものは、健康増進支援薬局又はこれに紛らわしい名称を用いてはならないものとすること。(第6条の4第3項関係)
(5) 薬局開設者は、薬剤及び医薬品の適正な使用に必要な情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の質の向上を図るために調剤の業務の効率化を行う必要がある場合は、調剤の業務のうち当該業務に著しい影響を与えない定型的な業務として政令で定める業務について、厚生労働省令で定める要件を備えている薬局の薬局開設者に委託することができるものとすること。(第9条の5関係)
(6) 一般用医薬品の受渡しに関する事項
ア 薬局開設者又は店舗販売業者以外の者であって、業として店舗において受渡し(薬局開設者又は店舗販売業者が一般用医薬品を販売し、又は授与する場合において、委託を受けて、その販売し、又は授与しようとする者に対して、当該薬局開設者又は店舗販売業者に代わって当該一般用医薬品の引渡しを行うことをいう。以下このア、イ及びエにおいて同じ。)を行おうとする者は、当該受渡しを行おうとする店舗であって厚生労働省令で定める要件を備えているものにおける受渡しについて、その店舗の所在地の都道府県知事の登録を受けなければならないものとすること。(第29条の5第1項及び第9項関係)
イ アの登録を受けた者(ウ及びエにおいて「登録受渡業者」という。)に受渡しを委託する薬局開設者又は店舗販売業者は、その薬局又は店舗においてその指定する者に受渡しを管理させなければならないものとするとともに、当該指定により受渡しを管理する者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その受渡しを管理するために必要な構造設備及び体制並びに当該受渡しに係る業務につき、必要な注意をしなければならないものとすること。(第29条の6第1項及び第29条の7第1項関係)
ウ 登録受渡業者は、アの登録を受けた店舗(以下このウ及びエにおいて「登録受渡店舗」という。)の管理を行わせるために、登録受渡店舗責任者を置かなければならないものとするとともに、登録受渡店舗責任者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その登録受渡店舗に勤務する従業者を監督し、その登録受渡店舗の構造設備及び医薬品その他の物品を管理し、その他その登録受渡店舗の業務につき、必要な注意をしなければならないものとすること。(第29条の8第1項及び第29条の9第1項関係)
エ 厚生労働大臣は、厚生労働省令で、次の事項その他登録受渡店舗の業務に関し登録受渡業者が遵守すべき事項を定めることができるものとすること。(第29条の10第1項関係)
(ア) 登録受渡店舗における一般用医薬品の管理の実施方法に関する事項
(イ) 登録受渡店舗における受渡しの実施方法に関する事項
(7) 薬局医薬品の販売に従事する者等に関する事項
ア 薬局開設者は、医師、歯科医師又は獣医師から処方箋の交付を受けた者以外の者に対して、正当な理由なく、薬局医薬品のうち、処方箋の交付を受けて使用すべきものとして厚生労働大臣が指定する医薬品を販売し、又は授与してはならないものとすること。ただし、次のいずれかの場合において、販売し、又は授与するときは、この限りでないものとすること。(第36条の3第2項関係)
(ア) 薬剤師等に販売し、又は授与する場合
(イ) 医師、歯科医師又は獣医師から処方箋の交付を受けた者以外の者に対して販売し、又は授与することがやむを得ない場合として厚生労働省令で定める場合
イ 薬局開設者は、薬局医薬品(アの厚生労働大臣が指定する医薬品を除く。)を使用しようとする者以外の者に対して、正当な理由なく、薬局医薬品を販売し、又は授与してはならないものとすること。ただし、薬剤師等に販売し、又は授与するときは、この限りでないものとすること。(第36条の3第3項関係)
(8) 指定濫用防止医薬品に関する情報提供等に関する事項
ア 薬局開設者、店舗販売業者又は配置販売業者は、次の医薬品(専ら動物のために使用されることが目的とされているものを除く。)であって、その濫用をした場合に中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚を生ずるおそれがあり、その防止を図る必要がある医薬品として厚生労働大臣が薬事審議会の意見を聴いて指定する医薬品(以下この(8)において「指定濫用防止医薬品」という。)の適正な使用のため、指定濫用防止医薬品を販売し、若しくは授与し、又は配置する場合には、その薬局若しくは店舗又はその業務に係る都道府県の区域において医薬品の販売若しくは授与又は配置販売に従事する薬剤師又は登録販売者に、厚生労働省令で定める事項を記載した書面を用いて必要な情報を提供させなければならないものとすること。ただし、薬局開設者又は店舗販売業者にあっては、薬剤師等に販売し、又は授与するときは、この限りでないものとすること。(第36条の11第1項関係)
(ア) 薬局開設者が当該薬局における設備及び器具をもって製造し、当該薬局において直接需要者に販売し、又は授与する医薬品(体外診断用医薬品を除き、厚生労働大臣の指定する有効成分以外の有効成分を含有しない医薬品に限る。)
(イ) 要指導医薬品
(ウ) 一般用医薬品
イ 薬局開設者、店舗販売業者又は配置販売業者は、アの情報の提供を行わせるに当たっては、当該薬剤師又は登録販売者に、あらかじめ、指定濫用防止医薬品を使用しようとする者の他の薬剤又は医薬品の使用の状況その他の厚生労働省令で定める事項を確認させなければならないものとすること。(第36条の11第2項関係)
ウ 薬局開設者、店舗販売業者又は配置販売業者は、指定濫用防止医薬品ごとに厚生労働省令で定める数量を超えて指定濫用防止医薬品を販売し、若しくは授与し、又は厚生労働省令で定める年齢に満たない者に指定濫用防止医薬品を販売し、若しくは授与してはならないものとすること。ただし、次のいずれかに掲げるとき(配置販売業者にあっては、(イ)に掲げるとき)は、この限りでないものとすること。(第36条の11第3項関係)
(ア) 薬剤師等に販売し、又は授与するとき。
(イ) その薬局若しくは店舗において又は配置販売によって指定濫用防止医薬品を購入し、又は譲り受けようとする者が厚生労働省令で定める年齢以上の者その他厚生労働省令で定める者である場合において、その薬局若しくは店舗又はその業務に係る都道府県の区域において医薬品の販売若しくは授与又は配置販売に従事する薬剤師又は登録販売者に、対面等により、アの情報の提供を行わせるとき。
エ 薬局開設者、店舗販売業者又は配置販売業者は、アの情報の提供ができない場合その他指定濫用防止医薬品を使用しようとする者の適正な使用を確保することができないと認められる場合には、指定濫用防止医薬品を販売し、又は授与してはならないものとすること。(第36条の11第4項関係)
オ 指定濫用防止医薬品は、その直接の容器又は直接の被包に、厚生労働省令で定める事項が記載されていなければならないものとすること。(第50条第9号関係)
カ 薬局開設者又は店舗販売業者は、指定濫用防止医薬品を陳列する場合には、指定濫用防止医薬品の適正な使用を確保するよう、陳列しなければならないものとすること。(第57条の2第4項関係)
5 その他所要の改正を行うこと。
Ⅱ 医療法(昭和23年法律第205号)の一部改正
1 供給不足時等の協力要請に関する事項
(1) 厚生労働大臣は、特定医薬品(Ⅰの2の(1)のアの特定医薬品をいう。以下同じ。)について、その供給が不足し、又はその特定医薬品の需給の状況その他の状況から合理的に判断して、その供給が不足する蓋然性があると認められるため、適切な医療の提供が困難になることにより、国民の生命及び健康に影響を与えるおそれがあると認める場合は、製造販売業者、製造業者、卸売販売業者その他の関係者に対し、当該特定医薬品又は代替薬の増産、販売の調整その他の必要な協力を求めることができるものとすること。(第36条第1項関係)
(2) 厚生労働大臣は、(1)の場合には、薬局開設者又は病院若しくは診療所の開設者その他の関係者に対し、調剤又は処方に関する配慮その他の必要な協力を求めることができるものとすること。(第36条第2項関係)
2 特定医薬品であって、次の事項を勘案し、その安定的な供給の確保を図る必要性が高いものとして、厚生労働大臣が厚生科学審議会の意見を聴いて指定するものを「供給確保医薬品」とすること。(第37条第4項関係)
(1) その用途に係る疾病にかかった場合の病状の程度
(2) 当該特定医薬品と代替性のある特定医薬品又は治療方法の有無
(3) その製造に要する特別の技術の有無、原料又は材料の供給事情その他の製造又は供給に関して留意すべき事項
(4) その他厚生労働省令で定める事項
3 安定的な供給の確保に関する指針の策定に関する事項
(1) 厚生労働大臣は、供給確保医薬品及びその製造に必要不可欠であると認められる原料又は材料(以下「供給確保医薬品等」という。)の安定的な供給の確保を図るための指針(以下「安定供給確保指針」という。)を定めるものとすること。(第37条第1項関係)
(2) 安定供給確保指針においては、次の事項を定めるものとすること。(第37条第2項関係)
ア 供給確保医薬品等の安定的な供給の確保に関する基本的な方向
イ 供給確保医薬品等の供給不足の発生を未然に防止するための施策に関する事項
ウ 供給確保医薬品等の供給不足が発生した場合における製造又は輸入に関する事項
エ その他供給確保医薬品等の安定的な供給の確保に関する重要事項
4 供給不足の防止に関する指示等に関する事項
(1) 厚生労働大臣は、重要供給確保医薬品(供給確保医薬品のうち、2の(1)から(4)までの事項を勘案し、その安定的な供給の確保を図ることが特に重要なものとして、厚生労働大臣が厚生科学審議会の意見を聴いて指定するものをいう。)及びその製造に必要不可欠であると認められる原料又は材料(以下この4及び5において「重要供給確保医薬品等」という。)について、製造の状況その他の状況から合理的に判断して、その供給が不足する蓋然性があり、かつ、その供給が不足した場合には、適切な医療の提供が困難になることにより、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、製造販売業者又は製造業者に対し、安定供給確保指針に即して、当該重要供給確保医薬品等の供給不足の発生を未然に防止するために必要な措置に関する計画(以下この4において「供給不足防止措置計画」という。)を作成し、届け出るべきことを指示することができるものとすること。(第38条第1項関係)
(2) 厚生労働大臣は、特に必要があると認めるときは、(1)の指示に従って届出をした製造販売業者又は製造業者に対し、安定供給確保指針に即して、供給不足防止措置計画を変更し、届け出るべきことを指示することができるものとすること。(第38条第2項関係)
(3) (1)又は(2)の指示に従って届出をした製造販売業者又は製造業者は、供給不足防止措置計画を変更したときは、変更した事項を届け出なければならないものとすること。(第38条第3項関係)
(4) (1)又は(2)の指示に従って届出をした製造販売業者又は製造業者は、供給不足防止措置計画に沿って重要供給確保医薬品等の供給不足の発生を未然に防止するために必要な措置を行わなければならないものとすること。(第38条第4項関係)
(5) 厚生労働大臣は、製造販売業者若しくは製造業者が正当な理由がなく(2)の指示に従わなかったとき、又は製造販売業者若しくは製造業者が正当な理由がなく供給不足防止措置計画に沿って重要供給確保医薬品等の供給不足の発生を未然に防止するために必要な措置を行っていないと認めるときは、その旨を公表することができるものとすること。(第38条第5項関係)
(6) 国は、(1)又は(2)の指示に従って重要供給確保医薬品等の供給不足の発生を未然に防止するために必要な措置を行う製造販売業者又は製造業者に対し、必要な財政上の措置その他の措置を講ずることができるものとすること。(第38条の3関係)
5 増産等に関する指示等に関する事項
(1) 厚生労働大臣は、重要供給確保医薬品等について、需要の増加又は製造数量の減少その他の事情により、現にその供給が不足し、又は重要供給確保医薬品等の需給の状況その他の状況から合理的に判断して、その供給が不足する蓋然性が特に高く、かつ、その供給の不足により、適切な医療の提供が困難になり、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、製造販売業者又は製造業者に対し、安定供給確保指針に即して、当該重要供給確保医薬品等の製造又は輸入に関する計画(以下この5において「製造等計画」という。)を作成し、届け出るべきことを指示することができるものとすること。(第38条の2第1項関係)
(2) 厚生労働大臣は、特に必要があると認めるときは、(1)の指示に従って届出をした製造販売業者又は製造業者に対し、安定供給確保指針に即して、製造等計画を変更し、届け出るべきことを指示することができるものとすること。(第38条の2第2項関係)
(3) (1)又は(2)の指示に従って届出をした製造販売業者又は製造業者は、製造等計画を変更したときは、変更した事項を届け出なければならないものとすること。(第38条の2第3項関係)
(4) (1)又は(2)の指示に従って届出をした製造販売業者又は製造業者は、製造等計画に沿って重要供給確保医薬品等の製造又は輸入を行わなければならないものとすること。(第38条の2第4項関係)
(5) 厚生労働大臣は、製造販売業者若しくは製造業者が正当な理由がなく(2)の指示に従わなかったとき、又は製造販売業者若しくは製造業者が正当な理由がなく製造等計画に沿って重要供給確保医薬品等の製造若しくは輸入を行っていないと認めるときは、その旨を公表することができるものとすること。(第38条の2第5項関係)
(6) 国は、(1)又は(2)の指示に従って重要供給確保医薬品等の製造又は輸入を行う製造販売業者又は製造業者に対し、必要な財政上の措置その他の措置を講ずることができるものとすること。(第38条の3関係)
6 供給確保医薬品等の製造販売業者、製造業者又は卸売販売業者その他厚生労働省令で定める者は、安定供給確保指針に即して、供給確保医薬品等の製造、輸入、販売又は授与の状況その他必要な事項を厚生労働大臣に報告しなければならないものとすること。(第38条の4関係)
7 厚生労働大臣は、供給確保医薬品等について、製造販売業者又は製造業者その他厚生労働省令で定める者に対し、安定供給確保指針に即して、当該供給確保医薬品等の供給不足の発生を未然に防止するために必要な協力を求めることができるものとすること。(第38条の5関係)
8 厚生労働大臣は、特定医薬品の需給状況を把握するため、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律第12条の2第3項の情報その他厚生労働省令で定める情報について調査及び分析を行うことができるものとするとともに、社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会は、厚生労働大臣に対し、それぞれが保有する情報を、提供しなければならないものとすること。(第38条の7関係)
9 その他所要の改正を行うこと。
Ⅲ 麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)の一部改正
1 麻薬の譲渡しの禁止の例外として、次の場合を追加するものとすること。
(1) 麻薬診療施設の開設者が、麻薬(その使用による保健衛生上の危害の発生を防止するために回収する必要があるものに限る。以下この1において「要回収麻薬」という。)を麻薬製造業者、麻薬製剤業者、麻薬元卸売業者又は麻薬卸売業者に譲り渡す場合その他厚生労働省令で定める場合(第24条第1項第2号関係)
(2) 麻薬研究施設の設置者が、要回収麻薬を麻薬製造業者、麻薬製剤業者、麻薬元卸売業者又は麻薬卸売業者に譲り渡す場合その他厚生労働省令で定める場合(第24条第1項第3号関係)
(3) 麻薬元卸売業者が、要回収麻薬を麻薬製造業者又は麻薬製剤業者に譲り渡す場合その他厚生労働省令で定める場合(第24条第8項関係)
(4) 麻薬卸売業者が、要回収麻薬を麻薬製造業者、麻薬製剤業者又は麻薬元卸売業者に譲り渡す場合その他厚生労働省令で定める場合(第24条第9項関係)
(5) 麻薬小売業者が、要回収麻薬を麻薬製造業者、麻薬製剤業者、麻薬元卸売業者又は麻薬卸売業者に譲り渡す場合その他厚生労働省令で定める場合(第24条第11項関係)
2 麻薬卸売業者は、麻薬製造業者又は麻薬製剤業者による麻薬の出荷の停止又は制限その他の事由が生じたことにより厚生労働大臣が保健衛生上の危害の発生を防止するための措置を講ずることとした場合その他の厚生労働省令で定める場合にあっては、1の(4)の場合を除き、当該免許に係る麻薬業務所の所在地の都道府県及びこれに隣接する都道府県の区域内にある麻薬卸売業者、麻薬小売業者、麻薬診療施設の開設者及び麻薬研究施設の設置者以外の者に麻薬を譲り渡してはならないものとすること。(第24条第9項関係)
3 その他所要の改正を行うこと。
Ⅳ 薬剤師法(昭和35年法律第146号)の一部改正
1 薬局開設者は、当該薬局で調剤済みとなった処方箋を、調剤済みとなった日から5年間、保存しなければならないものとすること。(第27条関係)
2 薬局開設者は、その薬局に備えられた調剤録を、最終の記入の日から5年間、保存しなければならないものとすること。(第28条第3項関係)
3 その他所要の改正を行うこと。
Ⅴ 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所法(平成16年法律第135号)の一部改正
1 研究所の業務の追加に関する事項
(1) 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(以下「研究所」という。)の業務に、令和18年3月31日までの間、次の業務を追加するものとすること。(附則第17条第1項関係)
ア 革新的な医薬品又は再生医療等製品(以下このア及び2の(2)において「革新的な医薬品等」という。)の実用化のための研究開発に必要な相当の規模の施設又は設備を整備し、革新的な医薬品等の実用化に取り組む者の共用に供すること等により革新的な医薬品等の実用化のための交流、連携等の機会を提供する事業その他革新的な医薬品等の実用化に取り組む者に対し当該実用化に必要な支援を行う事業として政令で定める事業を行う者(2の(1)において「革新的医薬品等実用化支援事業者」という。)に対し、当該事業に必要な資金の交付その他の支援を行うこと。
イ アの業務に附帯する業務を行うこと。
(2) 研究所の業務に、令和13年3月31日までの間、次の業務を追加するものとすること。(附則第17条第2項関係)
ア 後発医薬品の製造を行う者(以下このア及び4において「後発医薬品製造販売業者等」という。)であって、自らが製造を行う品目の製造の工程と他の後発医薬品製造販売業者等が製造を行う品目の製造の工程の統合その他の後発医薬品の安定的な供給の確保のための製造の基盤の整備に関する措置であって厚生労働省令で定めるもの(以下このア及び4において「製造基盤整備措置」という。)を行うものに対し、当該製造基盤整備措置に必要な資金の交付その他の支援を行うこと。
イ アの業務に附帯する業務を行うこと。
(3) (1)のア及び(2)のアの支援は、2の(1)又は4の(1)の認定を受けた者について行うものとすること。(附則第17条第3項関係)
2 事業の認定に関する事項
(1) 革新的医薬品等実用化支援事業者は、1の(1)のアの支援を受けて1の(1)のアの事業を行おうとする場合は、申請書を厚生労働大臣に提出し、当該事業について、1の(1)のアの業務の対象とすることが適当である旨の認定を受けることができるものとすること。(附則第18条第1項関係)
(2) 厚生労働大臣は、(1)の認定の申請に係る事業が独立行政法人通則法第35条の4第1項に規定する中長期目標(以下この(2)及び4において単に「中長期目標」という。)において定める1の(1)のアの業務の対象となる事業の基準に適合しており、かつ、当該中長期目標において定める当該業務の実施に関し必要な事項その他の事項に照らしてこれらの事業に係る革新的な医薬品等の実用化のための支援を促進することが適切であると認めるときは、(1)の認定をするものとすること。(附則第18条第3項関係)
(3) 厚生労働大臣は、(1)の認定を受けた事業が(2)の基準に適合しなくなったと認めるとき又は正当な理由がないのに当該事業が適切に実施されていないと認めるときは、その認定を取り消すことができるものとすること。(附則第18条第4項関係)
(4) 厚生労働大臣は、(1)の認定又は(3)の認定の取消しをしようとするときは、財務大臣に協議しなければならないものとすること。(附則第19条関係)
3 革新的医薬品等実用化支援基金の設置等に関する事項
(1) 研究所は、1の(1)のアの業務(複数年度にわたるものであって、各年度の所要額をあらかじめ見込み難く、弾力的な支出が必要であることその他の特段の事情があり、あらかじめ当該複数年度にわたる財源を確保しておくことがその安定的かつ効率的な実施に必要であると認められるものに限る。)及び当該業務に附帯する業務に要する費用に充てるための基金(以下「革新的医薬品等実用化支援基金」という。)を設けることができるものとし、(2)により交付を受けた補助金及び革新的医薬品等実用化支援基金に充てることを条件として政府以外の者から出えんされた金額の合計額に相当する金額をもってこれに充てるものとすること。(附則第20条第1項関係)
(2) 政府は、予算の範囲内において、研究所に対し、革新的医薬品等実用化支援基金に充てる資金を補助することができるものとすること。(附則第20条第2項関係)
4 製造基盤整備措置の認定に関する事項
(1) 後発医薬品製造販売業者等は、1の(2)のアの支援を受けて製造基盤整備措置を行おうとする場合は、申請書を厚生労働大臣に提出し、当該製造基盤整備措置について、1の(2)のアの業務の対象とすることが適当である旨の認定を受けることができるものとすること。(附則第24条第1項関係)
(2) 厚生労働大臣は、(1)の認定の申請に係る製造基盤整備措置が中長期目標において定める1の(2)のアの業務の対象となる製造基盤整備措置の基準に適合しており、かつ、当該中長期目標において定める当該業務の実施に関し必要な事項その他の事項に照らして当該製造基盤整備措置に係る後発医薬品の安定的な供給の確保を促進することが適切であると認めるときは、(1)の認定をするものとすること。(附則第24条第3項関係)
(3) 厚生労働大臣は、(1)の認定を受けた製造基盤整備措置が(2)の基準に適合しなくなったと認めるとき又は正当な理由がないのに当該製造基盤整備措置が適切に実施されていないと認めるときは、その認定を取り消すことができるものとすること。(附則第24条第4項関係)
(4) 厚生労働大臣は、(1)の認定又は(3)の認定の取消しをしようとするときは、財務大臣に協議しなければならないものとすること。(附則第25条関係)
(5) 厚生労働大臣は、(1)の認定をしようとする場合において、当該認定に係る後発医薬品製造販売業者等が行おうとする製造基盤整備措置が、事業再編を伴うものであって、当該後発医薬品製造販売業者等と他の後発医薬品製造販売業者等との適正な競争を阻害するおそれがあるものとして政令で定めるものに該当するときは、あらかじめ、公正取引委員会に、当該認定に係る申請書の写しを送付し、協議するものとすること。(附則第26条第1項関係)
5 後発医薬品製造基盤整備基金の設置等に関する事項
(1) 研究所は、1の(2)のアの業務(複数年度にわたるものであって、各年度の所要額をあらかじめ見込み難く、弾力的な支出が必要であることその他の特段の事情があり、あらかじめ当該複数年度にわたる財源を確保しておくことがその安定的かつ効率的な実施に必要であると認められるものに限る。)及び当該業務に附帯する業務に要する費用に充てるための基金(以下「後発医薬品製造基盤整備基金」という。)を設けることができるものとし、(2)により交付を受けた補助金をもってこれに充てるものとすること。(附則第27条第1項関係)
(2) 政府は、予算の範囲内において、研究所に対し、後発医薬品製造基盤整備基金に充てる資金を補助することができるものとすること。(附則第27条第2項関係)
6 その他所要の改正を行うこと。
Ⅵ 施行期日等
1 施行期日
この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。ただし、次に掲げる事項は、それぞれ次に定める日から施行するものとすること。(附則第1条関係)
(1) 3の一部 公布の日
(2) Ⅰの1の(2)、(4)、(7)、(8)及び(10)、2の(3)及び(5)、3の(1)から(4)まで並びに4の(3)及び(8)並びに3の一部 公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日
(3) Ⅰの1の(1)、(3)、(5)、(6)、(9)及び(11)、2の(1)のイ、ウ及びエ、3の(5)並びに4の(1)及び(4)から(7)まで、Ⅲ、Ⅳ並びに3の一部 公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日
(4) Ⅰの2の(2)及び(4)並びに4の(2)並びに3の一部 公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日
2 検討
(1) 政府は、Ⅴの1の(1)及び(2)の業務の実施状況その他の状況を勘案し、健全な財政を確保しつつ、品質の確保された医薬品を国民に迅速かつ適正に提供する等の観点から、革新的医薬品等実用化支援基金及び後発医薬品製造基盤整備基金の在り方について、この法律の施行後3年を目途として検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。(附則第2条第1項関係)
(2) 政府は、(1)のほか、この法律の施行後5年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律による改正後のそれぞれの法律について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。(附則第2条第2項関係)
3 経過措置及び関係法律の整備
この法律の施行に関し、必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の改正を行うこと。(附則第3条から第32条まで関係)
[別添]