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○「医薬品の品質に係る承認事項の変更に係る取扱い等について」の一部改正について

(令和7年4月9日)

(/医薬薬審発0409第1号/医薬監麻発0409第1号/)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬局医薬品審査管理課長、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長通知)

(公印省略)

「医薬品の品質に係る承認事項の変更に係る取扱い等について」(平成30年3月9日付け薬生薬審発0309第1号、薬生監麻発0309第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長、監視指導・麻薬対策課長連名通知。以下、「3月9日通知」という。)で示した申請書の規格及び試験方法の欄の記載の合理化について、「バイオ医薬品の規格及び試験方法欄の記載の合理化について」(令和元年9月12日付け厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課事務連絡)、「医療用医薬品の承認申請書の規格及び試験方法欄にかかる記載の合理化について」(令和4年1月28日付け厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課事務連絡)及び「バイオ医薬品の規格及び試験方法欄の記載の合理化について」(令和7年4月9日付け厚生労働省医薬局医薬品審査管理課事務連絡)で合理化した記載例を示しているところです。

これらの取扱いを開始してから一定期間が経過したことから、今般、合理化記載に先立っての医薬品医療機器総合機構における医薬品手続相談は不要とすることといたしました。つきましては、3月9日通知の一部を別紙のとおり改正しましたので、貴管下関係業者に対し周知願います。なお、改正後の3月9日通知は別添のとおりです。

また、本通知の写しについて、別記の関係団体の長、独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長及び各地方厚生局長宛てに発出するので、念のため申し添えます。

(別紙)

(別記)

日本製薬団体連合会 会長

日本製薬工業協会 会長

日本一般用医薬品連合会 会長

日本OTC医薬品協会 会長

欧州製薬団体連合会在日執行委員会 会長

米国研究製薬工業協会在日執行委員会 委員長

一般社団法人日本医療機器産業連合会 会長

一般社団法人日本臨床検査薬協会 会長

欧州ビジネス協会医療機器・IVD委員会 委員長

米国医療機器・IVD工業会 会長

日本化粧品工業会 会長

日本石鹸洗剤工業会 会長

日本ヘアカラー工業会 会長

日本パーマネントウェーブ液工業組合 理事長

日本歯磨工業会 会長

日本家庭用殺虫剤工業会 会長

日本防疫殺虫剤協会 会長

一般社団法人日本衛生材料工業連合会 会長

日本浴用剤工業会 会長

欧州ビジネス協会化粧品・医薬部外品委員会 委員長

在日米国商工会議所 トイレタリー・化粧品・フレグランス委員会 委員長

日本輸入化粧品協会 理事長

独立行政法人医薬品医療機器総合機構 理事長

各地方厚生局長

[別添]

○医薬品の品質に係る承認事項の変更に係る取扱い等について

(平成30年3月9日)

(/薬生薬審発0309第1号/薬生監麻発0309第1号/)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知)

改正 令和7年4月9日

(公印省略)

「医薬品の製造販売承認書と製造実態の整合性に係る点検の実施について」(平成28年1月19日付け薬生審査発0119第1号厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長通知)により実施された点検結果を踏まえ、「医薬品の製造販売承認書に則した製造等の徹底について」(平成28年6月1日付け薬生審査発0601第3号、薬生監麻発0601第2号厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長、監視指導・麻薬対策課長連名通知。以下「徹底通知」という。)において、製造販売業者等に対して、承認書と製造実態との照合の徹底、変更管理の適切な実施体制の確保、再発防止の徹底について周知徹底するよう依頼したところです。

今般、医薬品の製造方法等の変更に伴う承認事項の適切な変更を徹底するとともに、製造方法等の円滑な変更を推進すること等を目的として、下記の取扱いを定めたので、貴管下関係業者に対して周知願います。

また、この通知において、次に掲げる用語の定義は、それぞれ次のとおりとします。

法:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)

令:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令(昭和38年政令第11号)

規則:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号)

承認申請:法第14条第1項又は第19条の2第1項の規定に基づく医薬品の製造販売承認申請

一変申請:法第14条第9項(法第19条の2第5項において準用する場合を含む。)の規定に基づく医薬品の製造販売承認事項一部変更承認申請

医薬品軽変届出:法第14条第10項(法第19条の2第5項において準用する場合を含む。)の規定に基づく医薬品の製造販売承認事項軽微変更届出

承認事項:法第14条第1項又は第19条の2第1項の規定に基づく承認を受けた申請に係る申請書に記載された事項(その一部について登録事項を引用している場合は引用されている登録事項を含み、一変申請が承認された場合及び医薬品軽変届出をした場合は当該承認及び当該届出による変更後の事項とする。)

品質に係る承認事項:承認事項のうち、申請書又は届書において、「成分及び分量又は本質」(成分の規格(別紙規格を含む。)に係るものに限る。)、「製造方法」、「貯蔵方法及び有効期間」、「規格及び試験方法」、「製造販売する品目の製造所」及び「原薬の製造所」の欄に記載された事項

GMP適合性調査:法第14条第9項(法第19条の2第5項において準用する場合を含む。)において準用する第6項の規定に基づく調査

MF:原薬等登録原簿

MF登録申請:法第80条の6第1項の規定に基づくMFの登録申請

MF変更登録申請:法第80条の8第1項の規定に基づくMFの登録事項変更申請

MF軽変届出:法第80条の8第2項の規定に基づくMFの登録事項軽微変更届出

登録事項:法第80条の6第1項の規定に基づくMFの登録を受けた申請に係る申請書に記載された事項(MF変更登録申請が登録された場合及びMF軽変届出をした場合は当該登録及び当該届出による変更後の事項とする)

ICH:医薬品規制調和国際会議

Q2通知:「分析法バリデーションに関するテキスト(実施項目)について」(平成7年7月20日付け薬審第755号厚生省薬務局審査課長通知)

「分析法バリデーションに関するテキスト(実施方法)について」(平成9年10月28日付け医薬審第338号厚生省医薬安全局審査管理課長通知)

Q3通知:「新有効成分含有医薬品のうち原薬の不純物に関するガイドラインの改定について」(平成14年12月16日付け医薬審発第1216001号厚生労働省医薬局審査管理課長通知)

「新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドラインの改定について」(平成15年6月24日付け医薬審発第0624001号厚生労働省医薬局審査管理課長通知)

「医薬品の残留溶媒ガイドラインについて」(平成10年3月30日付け医薬審第307号厚生省医薬安全局審査管理課長通知)

「医薬品の元素不純物ガイドラインについて」(平成27年9月30日付け薬食審査発0930第4号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)

Q6通知:「新医薬品の規格及び試験方法の設定について」(平成13年5月1日付け医薬審発第568号厚生労働省医薬局審査管理課長通知)

「生物薬品(バイオテクノロジー応用医薬品/生物起源由来医薬品)の規格及び試験方法の設定について」(平成13年5月1日付け医薬審発第571号厚生労働省医薬局審査管理課長通知)

Q10通知:「医薬品品質システムに関するガイドラインについて」(平成22年2月19日付け薬食審査発0219第1号・薬食監麻発0219第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課長及び監視指導・麻薬対策課長連名通知)

CTD:「新医薬品の製造販売の承認申請に際して承認申請書に添付すべき資料の作成要領について」(平成13年6月21日医薬審発第899号厚生労働省医薬局審査管理課長通知)の例によるコモン・テクニカル・ドキュメント(国際共通化資料)

PMDA:独立行政法人医薬品医療機器総合機構

AMED:国立研究開発法人日本医療研究開発機構

製造販売業者等:医薬品製造販売業者又は外国製造医薬品等特例承認取得者

第1 承認後変更管理実施計画書を用いた承認事項の変更制度の試行について

1.承認後変更管理実施計画書を用いた承認事項の変更制度の趣旨について

承認後変更管理実施計画書(Post‐Approval Change Management Protocol。以下「PACMP」という。)は、ICHで合意されたガイドライン案である「ICH Q12医薬品のライフサイクルマネジメント(案)」において示された考え方です。PACMPを用いた承認事項の変更制度とは、製造販売業者等とPMDAとがあらかじめ、製造方法等の変更内容、変更内容に対する評価方法及び判定基準、品質に係る承認事項の変更案、変更手続の区分、GMP適合性調査の要否等について合意しておき、その後、合意された評価方法に従って検討を行い、予定された結果が得られた場合は、品質に係る承認事項を予定していた案へ迅速に変更できる制度です。

医薬品の製造販売承認後の品質に係る承認事項の変更に係る予測性及び透明性の向上に資するよう、本制度を試行することとしました。

2.PACMPを用いた承認事項の変更制度の具体的な手続について

(1) PACMPの策定

製造販売業者等がPACMPを用いた承認事項の変更制度を活用する際には、PMDAが実施する「医薬品におけるPACMPを用いた承認事項の変更制度に係る相談」(以下「PACMP相談」という。)を利用して、あらかじめPACMPを策定する必要があります。PMDAと合意できない場合、製造販売業者等はPACMPを策定することはできず、本制度を利用して品質に係る承認事項の変更を行うことはできません。

(2) 承認事項の変更手続

本制度を利用した承認事項の変更手続は以下のとおりとします。

① 製造販売業者等は、PACMPに基づき製造方法等の変更に係る試験及び検討を行う。

② 当該試験及び検討の結果が、PACMPに記された判定基準を満たした場合は、PACMPに記された変更手続の区分により、PACMPに記された変更案のとおりに承認事項を変更することができる。

③ 一変申請又は医薬品軽変届出には、PACMP相談においてPMDAが作成した記録(PACMPを含む)及びPACMPから逸脱のない申請又は届出である旨の陳述書又は宣誓書を付し、申請書又は届書の備考の欄にPACMPを用いた承認事項の変更制度に基づく申請又は届出である旨を記載し、備考2の優先審査の欄に「19112」と記載すること。

④ PACMP相談の結果、PMDAが、PACMPにより変更しようとする承認事項の変更内容が規則第47条第1項各号に掲げる変更以外のものであると判断した場合、製造販売業者等は、当該変更を医薬品軽変届出により行うことができ、それ以外の場合は一変申請により行う。

⑤ 本制度においては、一変申請による承認事項の変更の場合で、法第42条(法第68条の19において準用する場合を含む。)の基準を変更する必要があるとき又はPMDAが審査等に際し必要と認めて追加資料の提出を求めたときを除き、厚生労働省及びPMDAは、当該一変申請から承認までの総審査期間の中央値を3か月とするよう努める。

3.適用対象

当面の間は、以下の全てに該当する承認事項の変更を適用対象とします。

(1) 医療用医薬品(体外診断用医薬品を除く。以下同じ。)の品質に係る承認事項(登録事項を引用している場合は、引用されている登録事項を除く。)の変更であること。

(2) PACMP相談申込みの直前の承認申請又は一変申請に際し添付すべき資料をCTDとして提出している医薬品の変更であること。

(3) 当該変更に際しGMP適合性調査が必要とされた場合は、当該PACMPを利用した変更に係るGMP適合性調査の調査実施者がPMDAのみであること。

(4) 当該変更に係る製造所が、Q10通知の内容に沿った医薬品品質システムを適切に運用し、当該変更に係る医薬品の製造管理及び品質管理を行っていること。また、医薬品品質システムの運用実態について、製造販売業者等による確認の結果をPMDAに提出できること。

(5) 「医薬品の製造販売承認書と製造実態の整合性に係る点検後の手続きについて」(平成28年2月12日付け薬生審査発0212第4号厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長通知。以下「手続通知」という。)に基づき記載整備届出書が提出されている医薬品の場合、提出後の一変申請によりPMDAによる当該記載整備届出事項の確認が終了したことにより、手続通知の記4(2)及び5(2)に基づく承認事項の下線が削除されている医薬品の変更であること。

(6) 当該変更の影響を評価するために、医薬品の薬物動態、薬力学、有効性又は安全性に係る臨床試験又は非臨床試験の情報が必要とされないこと。

第2 規格及び試験方法の欄の記載の合理化について

1.申請書の規格及び試験方法の欄の記載の合理化

(1) AMED研究費平成28年度医薬品等規制調和・評価研究事業「医薬品の新規開発と製造変更における品質管理手法に関する研究」分担研究開発課題「原薬のライフサイクルにわたる品質保証に関する研究」による報告書を踏まえて作成した別添の「製造販売承認申請書における規格及び試験方法欄の記載の合理化に関する報告書」(以下単に「報告書」という。)を参考に、承認申請、一変申請、MF登録申請又はMF変更登録申請に係る申請書(以下第2及び第3において単に「申請書」という。)の規格及び試験方法の欄(成分及び分量又は本質の欄において、成分の規格として別紙規格がある場合は、当該別紙規格中の規格及び試験方法の欄を含む。第2において同じ。)について、試験の規格値又は判定基準を百分率で記載すること、調製溶液等を最終濃度で記載すること、分析方法を箇条書きで記載すること等の合理化を行って差し支えありません。

なお、製造販売業者等は、合理化された記載が、製造所における品質管理の実態を反映した記載となっていることを十分に確認する必要があります。

(2) 申請書に添付するCTDの第2部及び第3部には、試験実施手順の概要等、規格及び試験方法の適切性を判断するために必要な程度の詳細な記載が必要です。

2.承認事項の記載の合理化について

1の取扱いを参考に、承認事項の規格及び試験方法の欄の記載を合理化しようとする場合は、一変申請又はMF変更登録申請による必要があります。

3.適用対象

規格及び試験方法に対する理解が十分な製造販売業者等が承認を受けた、以下の全てに該当する医療用医薬品を適用対象とします。

(1) Q2通知に準じて、規格及び試験方法における分析方法が検証されており、適切な標準作業手順書が整備されている医薬品であること。

(2) Q6通知に準じて、規格及び試験方法が設定されている医薬品であること。

(3) 純度試験で、標準溶液と試料溶液のピーク面積を直接比較する限度試験を、百分率表記の規格値又は判定基準に変更する場合においても、Q3通知に準じて判定基準が設定され、適切な標準作業手順書が整備されている医薬品であること。

(4) 承認申請、一変申請、MF登録申請又はMF変更登録申請に際し添付すべき資料をCTDとして提出できる医薬品であること。

4.規格及び試験方法の欄の記載の合理化後に規格及び試験方法を変更する場合の留意事項

規格及び試験方法の欄の記載を合理化後に規格及び試験方法を変更する場合に、合理化前であれば承認事項の変更手続が必要であった程度の変更についても承認事項の変更手続が不要となるときがありますが、引き続き、これまでと同様の適切な変更管理を行う必要があります。

第3 承認事項と製造実態の整合性に係る点検後の手続について

承認事項と製造実態の整合性については、一時的な点検に終わるものではなく、定期的な確認が必要です。今後、医療用医薬品について、徹底通知に基づく点検等に際して承認事項と製造実態の相違その他これに類する不備(以下単に「不備」という。)が判明した場合は、以下のとおり対応することとします。

1.製品の品質、有効性及び安全性に影響を与えるおそれのないものに関する手続

(1) 不備のうち、申請書の誤記載に由来する等の不備であって、承認事項と製造実態との定期的な照合、変更管理の適切な実施体制の確保がなされており、製品の品質、有効性及び安全性に影響を与えるおそれがないと製造販売業者等が判断するものについては、PMDAが実施する医薬品変更届出事前確認簡易相談又は後発医薬品変更届出事前確認簡易相談において、品質、有効性及び安全性に影響を与えるおそれがないこと、並びに発生の経緯から変更管理の実施体制に支障がないことの確認を受けた後、速やかに医薬品軽変届出又はMF軽変届出を行うこと。

届出に当たっては、PMDAから受領した回答を添付し、届書の備考の欄に医薬品変更届出事前確認簡易相談又は後発医薬品変更届出事前確認簡易相談による確認を受けている旨を記載すること。

(2) 医薬品軽変届出の場合、医薬品製造販売承認事項軽微変更届書の備考2の優先審査の欄に「19113」と記載すること。

(3) MF軽変届出の場合、当該MF軽変届出を行った者は、引用されている医薬品の製造販売業者等に対して、その旨連絡すること。

(4) PMDAへの相談の結果、不備の内容が上記の対象ではないとされた場合は、速やかに2の手続を行うこと。

2.1以外のものの手続

(1) 判明した不備が1の対象に該当しないと判断した場合には、申出に至った経緯、不備の内容、想定される品質、有効性及び安全性への影響並びにこれを踏まえた対応案をまとめた資料を用意のうえ、直ちに医薬品審査管理課に申し出ること。

(2) 併せて回収、医療機関等への情報提供その他の必要な措置について所要の対応を直ちに行うこと。

第4 フレキシブルディスク申請等の記載について

フレキシブルディスク申請等の記載については、その取扱いを「フレキシブルディスク申請等の取扱い等について」(平成26年10月27日付け薬食審査発1027第3号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知。以下「FD通知」という。)により示しているところです。重複等する記載を不要とするため、FD通知別添中、次に掲げる項目を記載しなくとも差し支えないこととします。

41 医薬品/医薬部外品 外国製造業者認定申請書

(2) cふりがな(b名称がひらがな又はカタカナで記載されている場合に限る。)

63.医薬品/医薬部外品/化粧品 製造販売承認申請書

(4) e別紙規格

81 医薬品/医薬部外品/化粧品 製造販売承認承継届書

(1) f製造所

第5 他の理由による変更の際に変更すればよい承認事項について

次に掲げる承認事項、法第14条の9第1項に基づき届け出た届書に記載された事項(法第14条の9第2項に基づく届出をした場合は当該届出による変更後の事項とする。)又は令第74条第1項の規定に基づき届け出た届書に記載された事項(規則第265条第3項に基づく届出をした場合は当該届出による変更後の事項とする。)の変更については、既に行政機関が保有している情報であること又は製造方法等の実態に変更がないことから、他の理由による変更を行う機会があるときに併せて変更することで差し支えないこととします。

なお、「原薬等登録原簿に関する質疑応答集(Q&A)について(その4)」(平成25年10月29日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡)別添中、問2及びその答えを削ることとします。

(1) 製造所の名称又は所在地の表記が変更になった場合(製造業許可番号又は外国製造業者認定番号に変更がない場合に限る。)

(2) 規則第12条第1項に規定する試験検査機関の名称又は所在地の表記が変更になった場合(法人番号に変更がない場合に限る。)

(3) MFの変更登録年月日が変更になった場合(登録事項を引用している場合であって、引用しているMF中、引用していない登録事項のみの変更に伴う場合に限る。)

(4) 製造方法、規格及び試験方法等の実態は変更せずに、日本薬局方規格と称することとする場合

(5) 日本薬局方改正に伴い、日本薬局方によることとされている試薬、標準品、成分名、試験方法等の名称が変更され、改正後の日本薬局方の名称のとおりに変更する場合

(6) 製造方法、規格及び試験方法等の実態は変更せずに、同一の原薬、原薬中間体、製剤中間体を用いた医薬品の最新の承認事項の記載に合わせて、承認事項の記載を整備する場合(製造販売業者等が同一の医薬品間の記載の統一に限る。)

(7) 同一の単位系において表記方法を変更する場合

第6 生物学的製剤等の有効期間の延長手続について

「改正薬事法に基づく医薬品等の製造販売承認申請書記載事項に関する指針について」(平成17年2月10日付け薬食審査発第0210001号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)の記第2の2.(9)のとおり、生物学的製剤等を除く医薬品等については、承認審査時点で提出されたコミットメントに従い、承認後に継続する安定性試験の結果に基づき医薬品軽変届出によりその有効期間を延長することができるものとしています。近年の遺伝子組換え技術、細胞培養技術その他の科学技術の発展並びに生物学的製剤等の品質、安全性及び有効性に関する知見の蓄積を踏まえ、生物学的製剤等についても他の医薬品等と同様に取り扱うこととします。

第7 適用期日

この通知は、平成30年4月1日から適用します。

別添

製造販売承認申請書における規格及び試験方法欄の記載の合理化に関する報告書

目次

1.はじめに

2.承認申請書/承認書における規格及び試験方法欄の記載の合理化に関する考慮事項

2.―1 規格及び試験方法欄の記載の現状

2.―2 規格及び試験方法欄の記載の合理化のための検討要素

3.結論

付録―1 記載例

記載例作成の考え方

1) 化学合成医薬品原薬の純度試験(試料溶液を希釈し標準溶液とする場合)の記載例

2) 化学合成医薬品原薬の純度試験(類縁物質の標準物質より標準溶液を作成する場合)の記載例

3) 化学合成医薬品製剤の定量法の記載例

付録―2 現行の承認書の内容を変更する際に考慮すべき事項

注:

1.はじめに

産業界、国立医薬品食品衛生研究所及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の担当者間で製造販売承認申請書(以下「承認申請書」という)/製造販売承認書(以下「承認書」という)における規格及び試験方法欄(以降、全て別紙規格欄を含む)の記載を合理化する方法に関して、試験方法の品質を保証しつつ薬事手続きの負担を軽減する観点から検討した。

承認申請書における規格及び試験方法欄の記載は、「新医薬品の規格及び試験方法の設定について(医薬審発第568号、平成13年5月1日付け、ICH Q6A)」の記の第2.1.(1)項に、「規格及び試験方法の設定に際しては,日本薬局方の通則,製剤総則,一般試験法,標準品及び試薬・試液等を準用することを原則とするが,日本薬局方以外の試験方法等を採用することは,それらが米国薬局方及び欧州薬局方等に収載されている場合には差し支えない。」とされている。また、新医薬品以外の医薬品については、医薬品製造販売指針2016注1の第Ⅱ部、第4章、2.の(2)の8)のd)項に「記載方法は,日本薬局方等の記載法に準じて整備すること。」と記載されている。これらの記載から、わが国では、新医薬品及び新医薬品以外の医薬品のどちらも、日本薬局方の記載方法に準じて整備することが実質的に求められてきた。

一方、ICHの新たなトピックであるICH Q12「医薬品のライフサイクルマネジメントガイドライン(仮題)」において、規格及び試験方法のEstablished Conditionsに関する検討が行われており、承認後にどの内容を変更したときに、承認後の薬事手続きが必要となるかについて議論が行われている。この議論を促進させるため、わが国の規格及び試験方法欄の記載について、日本薬局方に準じた記載よりも合理化できる方法について検討を行った。この検討の一部は第19回医薬品品質フォーラム(東京、2017年2月)で公表され、議論に供された注2

以下に例として、日本薬局方「液体クロマトグラフィーによる分析」等の記載に準拠した承認申請書/承認書の記載の合理化に関して検討した結果を記す。また、付録―1に新医薬品の承認申請時に提出すべき承認申請書の記載に関する合理化案を、付録―2に既承認品目の承認書をこの考え方に従って変更する際の留意事項を記載した。本報告書は承認事項に関して新たな概念を創出することを目的とするものではない。

ただし、「コモン・テクニカル・ドキュメント(医薬品の承認申請のための国際共通化資料、CTD)」第2部~第3部には、審査担当者が試験実施手順の概要等、試験方法の適切性を判断するために必要な程度の詳細さで試験方法が記述されることを前提とする。

本報告書では、一部変更承認申請及び軽微変更届出の対象事項に関して言及しない。また、日本薬局方における各条の記載や局方試験方法の記載方法に関する日本薬局方、欧州薬局方(Ph. Eur.)及び米国薬局方(USP)との調和についてここで論じる意図はない。

2.承認申請書/承認書における規格及び試験方法欄の記載の合理化に関する考慮事項

2.―1 規格及び試験方法欄の記載の現状

わが国では承認申請書における規格及び試験方法欄に試験方法を記載する際、日本薬局方の記載に準じて記載することが推奨されてきた。その理由として、日本薬局方に準拠することにより、規格及び試験方法作成者の意思が誤りなく伝えられ、少なくとも薬学の知識を有する者には、一見して直ちに規格及び試験方法の作成者の意図する通りに試験し適否を判定することを容易にするためであることが挙げられる。

日本薬局方の規格及び試験方法(液体クロマトグラフィーによる分析)の記載の特徴としては以下の様な事項が考えられる。

・ 試薬、試液、移動相の調製方法は秤取量の記載を含め具体的な記載。

・ 限度試験においては、標準溶液と試料溶液のピーク面積を直接比較し、限度値を決定。

・ 箇条書きあるいは表形式の記載とはせずに、局方通則で定義される「精密」及び「正確」の用語を使用し、文章として表現。

・ 国内における試験実施の実現性を考慮(ピペット、メスフラスコの存在の有無など)。

その結果として、局方として実施手順が明確に定められ、化学系大学卒業程度の知識があれば、精度・真度が保証された試験方法をわが国において再現することが可能であり、判定基準が明瞭であるという利点が存在する。

一方、日本薬局方準拠の記載方法を採用している現行の承認書も同様の利点を有するが、国際的な視点から見ると以下の様な違いが指摘できる。

・ 諸外国ではUSPに準じ、試薬、試液、移動相及び希釈液は濃度表記が多い。

・ 純度試験の規格値・判定基準は%表記されるケースが多い。

・ 諸外国ではCTD第3部の記載内容がレギュラトリーコミットメント(承認事項)であると理解されている。

その結果として、現行の承認申請書を市販後に管理・運用するには次のような困難な点が存在している。即ち、

・ わが国の薬事制度では、試薬等の調製方法の変更は承認事項の変更とみなされ、膨大な薬事手続きが発生。

・ 外国に事業展開している事業所にとっては、外国と文書形式が異なることによる事務作業が発生。

・ 特に外国製造所で実施される試験に関しては、外国では薬事手続きが不要な変更でわが国では薬事手続きが必要な変更があるため、外国製造所から国内製造販売業者への情報伝達遅延の原因となっている。

・ 外国製造所では日本薬局方通則が浸透しておらず、実務者が試験方法の意図を理解していない。

2.―2 規格及び試験方法欄の記載の合理化のための検討要素

上記の承認申請書記載の現状を踏まえ、承認書の管理・運用上の手続きを軽減するために、記載の合理化を目的として、純度試験における規格値/判定基準の%表記、使用する調製溶液等(例えば、標準溶液や試料溶液等)の濃度表記及び箇条書き形式、表形式等の表記についての規格及び試験方法欄への導入に関して、以下のように検討した。

・ 出荷試験に用いられる分析に関しては、現在では開発段階で分析法バリデーションに関するガイドライン(ICH Q2(R1))に従い評価されており、適切な標準作業手順書(Standard Operating Procedures、以下「SOP」という)の整備と適切な技術移転手続きが実施されることにより、承認書に試薬等の調製法を詳細に記載しなくとも、製造所における分析の真度・精度及び特異性は保証可能と考えられる。

・ 純度試験における規格値/判定基準の%表記(ICH Q3A(R2))に関しては、個別規格を設定しない他のあらゆる不純物は、1日最大投与量が2g以下の場合に0.10%又は1日摂取量1.0mg(どちらか低い方)とされており、%に換算して不純物が管理されることが通例である。

・ 判定基準の明瞭性に関しては、有効数字を適切に使用すること及び必要であれば計算式や算出方法を適宜記述することにより、確保可能と考えられる。

・ 調製溶液等の濃度表記及び箇条書き形式による表記に関しては、幅広い関係者を対象とする日本薬局方収載医薬品に適用される試験方法とは異なり、試験実施者が限定されることから、開発データに基づきSOPが適切に整備され、教育訓練や技術伝達されることにより、箇条書き形式等の合理化された記載でも混乱は生じないと考えられる。

3.結論

以上の検討から、承認申請書/承認書における規格及び試験方法欄の記載に関しては、以下に示す記載方法に変更したとしても、試験方法の品質を保証するうえで実質的な問題はないと結論した。

・ 液体クロマトグラフィー(HPLC)等を用いた純度試験における規格値/判定基準の%表記。

・ HPLC等を用いた純度試験及び定量法における調製溶液等の濃度表記。

・ HPLC等を用いた純度試験及び定量法における分析方法の箇条書き形式。

ただし、地方衛生研究所及び国立医薬品食品衛生研究所では、公的試験検査機関(Official Medicines Control Laboratories、以下「OMCL」という)として、医薬品の品質確保の一環である収去試験を実施している。したがって、当該医薬品の製造販売業者は、試験実施所において適切なSOPを整備し、収去試験実施にあたって、必要時には速やかにOMCLにSOP等を提供する必要があることを付記する。

付録―1 記載例

記載例作成の考え方

承認申請書/承認書記載を合理化した場合の記載に関して、日本薬局方各条医薬品のHPLCによる試験等に記載されている要素を上記方針で記載方法を検討し、記載例を作成した。ICH Q6A及びQ6Bの対象となる医薬品を想定して記載例は検討されているが、両ガイドラインの対象とならない医薬品に関しても適宜参照可能と考える。

以下の点を考慮し記載例を作成した。

・ 変更管理の薬事上の手続きの軽減に資すること。

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 調製溶液等については濃度表記を可能とすること。

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 誤解を招く表現を避け、簡潔に記載すること。

・ 分析化学的に見て間違いのないこと。

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 分析操作中に精密や正確に量る手順が存在する場合には、「実施上の注意」に必要に応じて精密及び正確に操作する旨記載すること。

・ 出荷の可否が一義的に決定できること。

・ 現行の判定基準を実質的に変更しないこと。

・ 新たな規制を作らないこと。

・ 日本薬局方の通則・製剤総則・一般試験法を適宜準用した記載であること。

・ 審査及び査察のリソース及びスキームに大きな変動を強いないこと。

・ 規格及び試験方法の記載要素を明確にすること。

その上で、

・ 国際的に整合性があること。

・ 新医薬品のみならず後発医薬品の承認申請書にも適用可能であること。

また、記載例では規格及び試験方法の記載要素を明確にするため、ICH Q6A、Q6B及び日本薬局方に使用されている用語を可能な限り用いて、以下の見出しを設定した。

・ 試験方法

・ 規格値/判定基準

・ 分析方法

・ 試験条件

・ システム適合性

・ 実施上の注意

サンプリング及び前処理に関しては、試験の種類及び分析対象の特性に応じて記載すべきである。錠剤の定量試験であれば、サンプリング個数や前処理(粉末後、秤量溶解するのかなど)の記載が必要となる。

溶液調製に際しては、一定量の水(あるいは溶媒)を加えて溶液を調製する場合と全容が一定となるようにフィルアップして溶液を調製(フィルアップ法)する2つのケースが考えられる。○○g/L(mol/L)の様に濃度表記を行う場合、通例フィルアップ法で調製されることを意味するが、承認書の記載では両者を区別しないことを可能とした。具体的な溶液の調製法はSOPに記載することとする。なお、溶液の調製方法の違いが分析結果に影響を与える場合には、承認申請書においても操作方法が特定可能な適切な記載とすることが必要である。

また、日本薬局方と異なる記載方法については、記載例の注釈として記載している。

なお、本記載例は全てのケースをカバーするものではないが、本記載例で示された考え方は試薬・試液欄を含め、他のケースでも適用可能である。承認申請書/承認書の作成にあたっては、当該試験方法の品質を保証するため、ケースバイケースで科学的な判断が必要であることは言うまでもない。

1) 化学合成医薬品原薬の純度試験(試料溶液を希釈し標準溶液とする場合)の記載例

オフロキサシンをモデル化合物として作成した記載例を以下に示す。

合理化記載例

(2) 類縁物質

試験方法:液体クロマトグラフィー,紫外吸光光度計,ピーク面積

規格値/判定基準:個々の類縁物質0.20%以下,総類縁物質0.50%以下

個々の類縁物質(%)=0.5×試料溶液の個々の類縁物質/標準溶液のオフロキサシン

総類縁物質(%)=0.5×試料溶液の類縁物質合計/標準溶液のオフロキサシン

分析方法

試料溶液:本品を希釈液にて溶解(0.2mg/mL)

標準溶液:試料溶液を希釈液にて200倍に希釈

希釈液:水/アセトニトリル混液(6:1)

注入量:10μL

試験条件

測定波長:294nm

カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル(5μm),内径4.6mm,長さ25cm

カラム温度:45℃付近

移動相:リン酸でpH2.2に調整した過塩素酸ナトリウム(5.4g/L)及び酢酸アンモニウム(3.1g/L)溶液/アセトニトリル混液(65:12)

流量:オフロキサシンの保持時間約20分

面積測定範囲:溶媒ピークの後からオフロキサシンの保持時間の約1.8倍

システム適合性

検出の確認:標準溶液を希釈液にて20倍希釈した液のオフロキサシンが標準溶液のオフロキサシンの4~6%

システムの性能:オフロキサシン(1μg/mL)及びオフロキサシン脱メチル体(0.5μg/mL)の希釈液溶液で,オフロキサシン脱メチル体,オフロキサシンの順に溶出し,分離度2.5以上

システムの再現性:標準溶液のオフロキサシンの相対標準偏差(繰返し6回)2.0%以下

実施上の注意:光を避けて操作し,必要に応じて精密及び正確に操作する.

注釈

・ 規格値/判定基準は、算出方法が把握できるように記載する。

・ 試験方法でピーク面積と記載している場合、その他の記載でピーク面積であることが明らかな箇所は、記載を省略しても良い。

・ 試料溶液の濃度は中央値で記載されている。特に調製する溶液の濃度範囲が重要である場合には、「実施上の注意」に調製すべき溶液の濃度範囲を指定すべきである。

・ 「リン酸でpH2.2に調整した過塩素酸ナトリウム(5.4g/L)及び酢酸アンモニウム(3.1g/L)溶液/アセトニトリル混液(65:12)」は、「塩に一定量の水を加え、pH調整した溶液全量を溶媒と混ぜて調製するケース(A)」と「最終的にフィルアップして調製した溶液を溶媒と混ぜて調製するケース(B)」があるが、実際の濃度、pH及び混合比率の差異が丸めの範囲に収まると推定されることから、両者を包含する合理化記載として受け入れられる。ただし、実際にどの方法で調製するかの詳細はSOPに記載されている必要がある。また、詳細な操作や厳密な濃度、pH及び混合比率が、分析性能の確保のために求められる場合は、承認申請書の記載は従前のまま(以下のA又はB)とすることが必要である。

A:過塩素酸ナトリウム7.0g及び酢酸アンモニウム4.0gを水1300mLに溶かし,リン酸を加えてpH2.2に調整し,アセトニトリル240mLを加える.(日局オフロキサシンの場合)

B:過塩素酸ナトリウム7.0g及び酢酸アンモニウム4.0gを水○○mLに溶かし,リン酸を加えてpH2.2に調整した後,水を加えて1300mLとし,アセトニトリル240mLを加える.

・ 検出の確認における「標準溶液を希釈液にて20倍希釈した液のオフロキサシンが標準溶液のオフロキサシンの4~6%」とは、「標準溶液1mLを正確に量り,希釈液を加えて正確に20mLとし,この液から得たオフロキサシンのピーク面積が,標準溶液のオフロキサシンのピーク面積の4~6%になることを確認する」という操作を合理化記載した場合の一例である。

参考:日局記載例(日局オフロキサシン純度試験抜粋)

(2) 類縁物質 本操作は光を避けて行う.本品10mgを水/アセトニトリル混液(6:1)50mLに溶かし,試料溶液とする.この液1mLを正確に量り,水/アセトニトリル混液(6:1)を加えて正確に20mLとする.更にこの液1mLを正確に量り,水/アセトニトリル混液(6:1)を加えて正確に10mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー<2.01>により試験を行い,それぞれの液の各々のピーク面積を自動積分法により測定するとき,試料溶液のオフロキサシン以外のピークの各々のピーク面積は,標準溶液のオフロキサシンのピーク面積の2/5倍より大きくない.また,それらのピークの合計面積は,標準溶液のピーク面積より大きくない.

試験条件

検出器:紫外吸光光度計(測定波長:294nm)

カラム:内径4.6mm,長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.

カラム温度:45℃付近の一定温度

移動相:過塩素酸ナトリウム7.0g及び酢酸アンモニウム4.0gを水1300mLに溶かし,リン酸を加えてpH2.2に調整し,アセトニトリル240mLを加える.

流量:オフロキサシンの保持時間が約20分になるように調整する.

面積測定範囲:溶媒のピークの後からオフロキサシンの保持時間の約1.8倍の範囲

システム適合性

検出の確認:標準溶液1mLを正確に量り,水/アセトニトリル混液(6:1)溶液を加えて正確に20mLとする.この液10μLから得たオフロキサシンのピーク面積が,標準溶液のオフロキサシンのピーク面積の4~6%になることを確認する.

システムの性能:試料溶液0.5mLをとり,オフロキサシン脱メチル体の水/アセトニトリル混液(6:1)溶液(1→20000)1mLを加え,更に水/アセトニトリル混液(6:1)を加え,100mLとする.この液10μLにつき,上記の条件で操作するとき,オフロキサシン脱メチル体,オフロキサシンの順に溶出し,その分離度は2.5以上である.

システムの再現性:標準溶液10μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,オフロキサシンのピーク面積の相対標準偏差は2.0%以下である.

2) 化学合成医薬品原薬の純度試験(類縁物質の標準物質より標準溶液を作成する場合)の記載例

アムホテリシンBをモデル化合物として作成した記載例を以下に示す。

合理化記載例

純度試験 アムホテリシンA

試験方法:紫外可視吸光度測定法,吸光度

規格値/判定基準:アムホテリシンA,5%以下(注射剤原料),15%以下(注射剤以外原料)

アムホテリシンA(%)=[MS×{(ASa1×AT2)-(ASa2×AT1)}×25]/[MT×{(ASa1×ASb2)-(ASa2×ASb1)}]

MS:ナイスタチン標準品秤取量(mg)

MT:本品秤取量(mg)

ASa1:標準溶液(1),282nm ASb1:標準溶液(2),282nm ASa2:標準溶液(1),304nm

ASb2:標準溶液(2),304nm AT1:試料溶液,282nm AT2:試料溶液,304nm

分析方法

試料溶液:アムホテリシンBをジメチルスルホキシドにて溶解(約5mg/mL)し,メタノールにて希釈(約80μg/mL)

標準溶液(1):アムホテリシンB標準品をジメチルスルホキシドにて溶解(約5mg/mL)し,メタノールにて希釈(約80μg/mL)

標準溶液(2):ナイスタチン標準品を試料溶液調製の4倍量のジメチルスルホキシドにて溶解(約0.5mg/mL)し,メタノールにて希釈(約8μg/mL)

空試験液:試料溶液と同様操作

試験条件

測定波長:282nm,304nm 対照:空試験液

実施上の注意:必要に応じて精密及び正確に操作する.

注釈

・ 類縁物質の分子式・構造式を記載する場合は、試験方法の最後に記載する。

・ 「アムホテリシンB標準品をジメチルスルホキシドにて溶解(約5mg/mL)し」の場合も、「アムホテリシンB標準品に一定量のジメチルスルホキシドを加えて溶かすケース(A)」と「アムホテリシンB標準品にジメチルスルホキシドを加えて溶かし一定量にフィルアップするケース(B)」があるが、両者を区別していない。なお、具体的な溶液の調製法はSOPに記載し、溶液の調製方法の違いが分析結果に影響を与える場合には、操作方法が特定可能な適切な記載とする必要がある。

・ 計算式は日局アムホテリシンB 純度試験から変更していない。しかし試料溶液、標準溶液を濃度表記としたことから、以下に例示するように計算式を変更することが可能である。その場合、標準溶液(2)におけるナイスタチン標準品の溶解に使用するジメチルスルホキシドは試料溶液調製の4倍量である必要はない。

アムホテリシンA(%)={(ASa1×AT2)-(ASa2×AT1)}/{(ASa1×ASb2)-(ASa2×ASb1)}×CS/CT×100

ASa1:標準溶液(1),282nm ASb1:標準溶液(2),282nm ASa2:標準溶液(1),304nm ASb2:標準溶液(2),304nm AT1:試料溶液,282nm AT2:試料溶液,304nm CS:標準溶液(2)中のナイスタチン濃度(μg/mL) CT:試料溶液中のアムホテリシンB濃度(μg/mL)

参考:日局記載例(日局アムホテリシンB 純度試験抜粋)

純度試験 アムホテリシンA 本品及びアムホテリシンB標準品約50mgずつを精密に量り,それぞれジメチルスルホキシド10mLを正確に加えて溶かし,メタノールを加えて正確に50mLとする.この液4mLずつを正確に量り,メタノールを加えて正確に50mLとし,試料溶液及び標準溶液(1)とする.別にナイスタチン標準品約20mgを精密に量り,ジメチルスルホキシド40mLを正確に加えて溶かし,メタノールを加えて正確に200mLとする.この液4mLを正確に量り,メタノールを加えて正確に50mLとし,標準溶液(2)とする.これらの液につき,試料溶液と同様に操作して得た空試験液を対照とし,紫外可視吸光度測定法<2.24>により試験を行う.波長282nm及び304nmにおけるそれぞれの吸光度を測定し,次式によりアムホテリシンAの量を求めるとき5%以下である.ただし,注射剤以外の製剤に供する場合のアムホテリシンAの量は15%以下である.

アムホテリシンAの量(%)=[MS×{(ASa1×AT2)-(ASa2×AT1)}×25]/[MT×{(ASa1×ASb2)-(ASa2×ASb1)}]

MS:ナイスタチン標準品の秤取量(mg)

MT:本品の秤取量(mg)

ASa1:標準溶液(1)の282nmにおける吸光度

ASb1:標準溶液(2)の282nmにおける吸光度

ASa2:標準溶液(1)の304nmにおける吸光度

ASb2:標準溶液(2)の304nmにおける吸光度

AT1:試料溶液の282nmにおける吸光度

AT2:試料溶液の304nmにおける吸光度

3) 化学合成医薬品製剤の定量法の記載例

エストリオール錠をモデル化合物として作成した記載例を以下に示す。

合理化記載例

定量法

試験方法:液体クロマトグラフィー,紫外吸光光度計,ピーク面積

エストリオール(mg)=MS×QT/QS×1/25

MS:エストリオール標準品秤取量(mg)

QT:内標準物質に対する試料溶液のエストリオールの比

QS:内標準物質に対する標準溶液のエストリオールの比

分析方法

試料溶液:本品20個以上を粉末とする.粉末に水を加えて分散(エストリオール理論濃度として約0.2mg/mL)させ,5倍量のメタノールを用いる固液分離を3回行い,上澄み液をとる.内標準溶液を加え,メタノールにて希釈(エストリオール約10μg/mL)

標準溶液:エストリオール標準品をメタノールにて溶解させ,内標準溶液を加え,メタノールにて希釈して試料溶液の25倍量とする(エストリオール約10μg/mL).

なお,内標準溶液は,試料溶液におけるエストリオール理論量に対する内標準物質の量と同一になるように添加する.

内標準溶液:エストリオール試験用安息香酸メチルをメタノールに溶解(0.2mg/mL)

注入量:20μL

試験条件:「エストリオール」定量法準用

システム適合性:「エストリオール」定量法準用

実施上の注意

必要に応じて精密及び正確に操作する.

エストリオール標準品:105℃,3時間乾燥

注釈

・ 規格値/判定基準において、換算して判定する場合は、「X.X~X.X%(脱水物換算)」や「X.X以上(乾燥物換算)」等と記載する。

・ 「標準物質の乾燥条件」は、「実施上の注意」に記載する。

・ 標準溶液において「・・の25倍量とする」とは、日局エストリオール錠 定量法の「この液4mLを正確に量り,・・・メタノールを加えて100mLとし,標準溶液とする」などの希釈操作による計算上の25倍量調製を含む記載である。

・ 計算式は日局エストリオール錠 定量法から変更していない。しかし試料溶液、標準溶液を濃度表記としたことから、以下に例示するように計算式を変更することが可能である。その場合、標準溶液は試料溶液の25倍量である必要はない。

エストリオールの表示量に対する含量(%)=QT/QS×CS/CT×100

QT:内標準物質に対する試料溶液のエストリオールの比

QS:内標準物質に対する標準溶液のエストリオールの比

CT:試料溶液中のエストリオールの理論濃度(μg/mL)

CS:標準溶液中のエストリオール濃度(μg/mL)

参考:日局記載例(日局エストリオール錠 定量法抜粋)

定量法 本品20個以上をとり,その質量を精密に量り,粉末とする.エストリオール(C18H24O3)約1mgに対応する量を精密に量り,水5mLを正確に加え,超音波を用いて粒子を小さく分散させた後,メタノール25mLを加えて10分間振り混ぜた後,遠心分離し,上澄液をとる.更にメタノール25mLを加え,同様の操作を2回繰り返し,上澄液を合わせ,内標準溶液5mLを正確に加えた後,メタノールを加えて100mLとし,試料溶液とする.別にエストリオール標準品を105℃で3時間乾燥し,その約25mgを精密に量り,メタノールに溶かし,正確に100mLとする.この液4mLを正確に量り,内標準溶液5mLを正確に加えた後,メタノールを加えて100mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液20μLにつき,以下「エストリオール」の定量法を準用する.

エストリオール(C18H24O3)の量(mg)=MS×QT/QS×1/25

MS:エストリオール標準品の秤取量(mg)

内標準溶液 エストリオール試験用安息香酸メチルのメタノール溶液(1→5000)

付録―2 現行の承認書の内容を変更する際に考慮すべき事項

・ 現行の承認書の記載内容を、薬事手続きを経て合理的な記載に変更する際にも付録―1に示した記載例と同様な記載が可能と考える。ただし、純度試験における限度試験の場合(分析法バリデーションにおいて限度試験で必要とされる分析能パラメータのみで評価を行っている場合)は、規格値/判定基準を%表記に変更することは適切でないと考えられる(限度試験の場合の記載例「個々の類縁物質:2/5より大きくない,試料溶液の個々の類縁物質/標準溶液のオフロキサシン」)。

注:

注1 医薬品製造販売指針2016 一般財団法人レギュラトリーサイエンス学会監修、(株)じほう、平成28年10月

注2 永井祐子「規格及び試験方法の合理化(2)~化成品の観点からの考察~」(本参考資料は本報告書の内容1―15枚目に加えて、現在ICH Q12で議論されているライフサイクルマネジメントに関連した内容16―25枚目を含む)。