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○「医療法の一部を改正する法律の一部の施行について」の一部改正について

(令和7年2月7日)

(医政発0207第1号)

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医政局長通知)

(公印省略)

「医療法の一部を改正する法律の一部の施行について」(平成5年2月15日付け健政発第98号厚生省健康政策局長通知。以下「局長通知」という。)において、医療機器等の滅菌消毒の業務を委託できる医療機器又は繊維製品の範囲は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)第6条第2項から第7項までに規定する感染症の病原体により汚染された医療機器又は繊維製品(汚染されたおそれのある医療機器又は繊維製品を含む。)であって、医療機関において、感染症法第29条の規定に基づいて定められた方法による消毒が行われていないもの等以外としているところです。

今般、関係学会への照会結果を踏まえ、感染症法第6条第6項に規定する感染症(五類感染症)の病原体により汚染された医療機器又は繊維製品(汚染されたおそれのある医療機器又は繊維製品を含む。)の滅菌消毒の業務の委託については、運搬体制及び防護服の着用等による作業体制が確立されている場合は、医療機関内で消毒を行うことなく医療機関外へ運搬することが可能となるよう、局長通知を別添1のとおり改正し、本日から適用するとともに、併せて「病院、診療所等の業務委託について」(平成5年2月15日付け指第14号厚生省健康政策局指導課長通知)を改正することとしました。なお、改正内容に基づき、汚染された医療機器又は繊維製品を医療機関内で消毒を行うことなく医療機関外へ運搬する場合には、委託者である医療機関及び受託者双方は、医療機関内で運搬を行う場合以上に情報共有を図り、事故を未然に防ぐよう努めることが重要であることにご留意ください。

また、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和6年法律第53号)による栄養士法(昭和22年法律第245号)の改正により、管理栄養士養成施設の卒業者は、栄養士でなくとも、管理栄養士国家試験を受けることができることとされました。これを踏まえ、これまで病院の調理業務を受託する者は、栄養士を受託業務を行う場所に置くもの等とされていましたが、栄養士の資格を有しない管理栄養士を置くことも可能となるよう、今般、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令(令和6年厚生労働省令第164号)により、医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第9条の10第3号が改正され、令和7年4月1日より施行されることとなりました。これに伴い、局長通知を別添2のとおり改正し、同日から適用することとしました。

貴職におかれては、これらを御承知の上、貴管下の医療機関等に対し、本通知の周知をお願いします。

[別添1]

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[別添2]

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○医療法の一部を改正する法律の一部の施行について

(平成5年2月15日)

(健政発第98号)

(各都道府県知事あて厚生省健康政策局長通知)

平成4年7月1日付けで公布された医療法の一部を改正する法律(平成4年法律第89号。以下「改正法」という。)のうち、(中略)病院、診療所等の業務委託に関する規定(中略)については、本年1月22日付けで公布された医療法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(平成5年政令第6号。別添1参照(別添略)。)により、本年4月1日から施行されることとなった。これに伴い、医療法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(平成5年政令第7号。以下「改正政令」という。別添2参照(別添略)。)が本年1月22日付けで、医療法施行規則等の一部を改正する省令(平成5年厚生省令第3号。以下「改正省令」という。別添3参照(別添略)。)が本年2月3日付けで、それぞれ公布され(中略)たところである。

これらの施行に当たっては、特に左記の事項に留意の上、その運用に遺憾なきを期されたい。(なお書き略)

第一~第二 (略)

第三 業務委託に関する事項

1 業務委託全般について

(1) 趣旨

病院、診療所又は助産所の管理者は、医療法等の一部を改正する法律(平成29年法律第57号。以下「平成29年改正法」という。)による改正後の医療法第15条の3第1項及び新政令第4条の7各号に掲げる業務を委託する場合には、業務の種類に応じ、それぞれ医療法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の一部を改正する省令(平成30年厚生労働省令第93号。以下「平成30年改正省令」という。)による改正後の医療法施行規則第9条の8及び第9条の9から第9条の15までに規定する基準に適合する者に委託しなければならないものであること。

(2) 受託者の選定

病院、診療所又は助産所の管理者は、平成29年改正法による改正後の医療法第15条の3第1項及び新政令第4条の7各号に掲げる業務を委託しようとする場合には、受託者の有する標準作業書、業務案内書等により、当該受託者が、業務の種類に応じ、それぞれ平成30年改正省令による改正後の医療法施行規則第9条の8及び第9条の9から第9条の15までに規定する基準に適合する者であることを確認した上で、受託者を選定すること。

(3) 標準作業書及び業務案内書

標準作業書は、受託業務の適正化及び標準化を図るためのものであり、業務案内書は、受託する業務の内容、方法等を明確にするためのものであること。また、受託者は、医療機関から標準作業書又は業務案内書の開示の求めがあった場合には、速やかに提示することができるよう、標準作業書及び業務案内書を整備しておくものであること。

(4) 労働者派遣契約との関係

平成29年改正法による改正後の医療法第15条の3第1項及び新政令第4条の7各号に掲げる業務の委託は、請負契約に基づく業務委託であって、労働者派遣契約とは異なるものであるので、病院、診療所又は助産所の管理者は、業務委託に際し、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年4月労働省告示第37号)」に留意されたいこと。

2 検体検査の業務(新省令第9条の8関係)

(1) 人員に関する事項

ア 受託業務の責任者(以下「受託責任者」という。)について

新省令第9条の8第1項第1号に規定する相当の経験とは、原則として3年以上の検査業務についての実務経験をいうものであること。

イ 受託業務を指導監督するための医師(以下「指導監督医」という。)について

新省令第9条の8第1項第1号に規定する指導監督医は、検査業務について3年以上の実務経験を有する者であること。

なお、受託責任者として、受託業務を行う場所に医師が配置されている場合には、指導監督医が選任されていることは要しないこと。

ウ 従事者について

新省令第9条の8第1項第2号に規定する必要な数とは、受託する検査の種類、数等の実情に応じた必要数をいうものであること。

エ 専ら精度管理を職務とする者(以下「精度管理責任者」という。)について

(ア) 新省令第9条の8第1項第3号に規定する検査業務に関する相当の経験とは、検査業務(受託業務の全てを含むことが望ましいこと。)についての6年以上の実務経験(次の精度管理についての実務経験を含むこと。)をいうものであること。

また、新省令第9条の8第1項第3号に規定する精度管理に関する相当の知識及び経験とは、検査業務の全ての作業工程における精度管理に精通していること及び精度管理についての3年以上の実務経験をいうものであること。

なお、精度管理責任者は、検査業務に関して学会誌に論文を発表した実績があることが望ましいこと。

(イ) 精度管理は日々適正に行われる必要があることから、精度管理責任者は、受託業務を行う場所に常勤する者(他の医療機関、衛生検査所等に就業していないこと)であることが望ましいこと。

なお、受託する検査の種類や数等の実情に応じて、精度管理責任者を非常勤の者とすることも可能とするが、この場合にあっても、精度管理が日々適正に行われる体制を確保するとともに、少なくとも週に1日(血清分離のみを請負う場合にあっては少なくとも月に1日)は受託業務を行う場所に赴き、精度管理の業務に携わること。

(ウ) 精度管理責任者は、新省令第9条の8第1項第3号に規定するとおり、専ら精度管理を職務とする者であって、受託業務の各作業工程に従事するものではないこと。

ただし、精度管理責任者が常勤の者であるときは、精度管理の業務に支障がない場合に限り、受託業務の各作業工程に従事することができるものとすること。

オ 遺伝子関連検査・染色体検査の精度の確保に係る責任者について

(ア) 遺伝子関連・染色体検査を行う場合の精度の確保に係る責任者については、医師又は臨床検査技師(歯科医療機関においては歯科医師又は臨床検査技師)のほか、遺伝子関連・染色体検査の専門知識及び経験を有する他の職種を認めるものとする。なお、遺伝子関連・染色体検査以外の検体検査の精度の確保に係る責任者との兼任は妨げない。

(イ) 遺伝子関連・染色体検査の専門知識及び経験を有する他の職種の例としては、以下の者のうち、検体検査の業務について3年以上の実務経験及び精度管理についての3年以上の実務経験を有する者が考えられる。

・大学院、大学、短期大学、専門学校又は高等専門学校において分子生物学関連科目(分子生物学、遺伝子検査学、細胞遺伝学、人類遺伝学、微生物学、生化学、免疫学、血液学、生理学、病理学、解剖学、動物細胞工学、生物科学等をいう。)を履修した者

(ウ) 医師又は臨床検査技師を遺伝子関連・染色体検査を行う場合の精度の確保に係る責任者とする場合、上述(イ)を参考にするなど適切に判断すること。

(2) 構造・設備に関する事項

ア 血清分離のみを請負う受託者にあっては、電気冷蔵庫、電気冷凍庫及び遠心器を有すれば足りるものであること。

なお、施設の賃貸借については、検体検査業務を委託する病院又は診療所の開設者と受託者の契約により明確にするものとし、当該病院又は診療所の検査用機械器具を使用する場合には、当該機械器具の賃貸借についても、契約により明確にすること。

イ 遺伝子関連・染色体検査のうち、病原体核酸検査は、当該検査の前処理の工程まで専用の検査室で行うことが望ましいこと。

(3) 運営に関する事項

ア 標準作業書、日誌及び台帳

平成30年改正省令による改正後の医療法施行規則第9条の8第1項第6号に規定する標準作業書、同項第8号に規定する作業日誌及び同項第9号に規定する台帳に記載すべき事項及び留意点は、「医療法等の一部を改正する法律の一部の施行等に伴う関係通知の整理等について(平成30年10月30日付け医政発1030第3号厚生労働省医政局長通知)」別添1の衛生検査所指導要領(以下「衛生検査所指導要領」という。)に準じて取り扱うこと。

イ 業務案内書

平成30年改正省令による改正後の医療法施行規則第9条の8第1項第7号に規定する業務案内書に記載すべき事項の留意点については、衛生検査所指導要領の検査案内書に準じて取り扱うこと。

なお、血清分離のみを請負う場合にあっては、その旨を業務案内書の表紙に明記すれば足りるものであること。

(4) 従事者の研修に関する事項

平成30年改正省令による改正後の医療法施行規則第9条の8第1項第10号に規定する研修は、検査業務を適切に行うために必要な知識及び技能を修得することを目的とし、次に掲げる事項を含む研修であること。

① 各標準作業書の記載事項

② 患者の秘密の保持

③ 受託責任者にあっては、医療法、医師法、臨床検査技師等に関する法律等の医療関係法規及び労働関係法規

3 医療機器等の滅菌消毒の業務(新省令第9条の9関係)

(1) 業務の範囲等に関する事項

ア 業務の範囲

「医療機器」とは、鉗子、ピンセット、注射筒等の医療機器をいい、「医学的処置若しくは手術の用に供する衣類その他の繊維製品」とは、医学的処置又は手術の際に医師、看護師等が用いる手術衣、手術の清潔を確保するために用いる布等の繊維製品をいうものであること。

イ 委託できる医療機器又は繊維製品の範囲

病院、診療所若しくは助産所が滅菌消毒業務を委託することができる医療機器又は繊維製品は、次に掲げるもの以外のものとすること。

① 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条第2項から第5項まで又は第7項までに規定する感染症の病原体により汚染された医療機器又は繊維製品(汚染されたおそれのある医療機器又は繊維製品を含む。)であって、医療機関において、同法第29条の規定に基づいて定められた方法による消毒が行われていないもの。

ただし、医療機関において滅菌消毒業務を行う場合であって、運搬専用の密閉性、防水性及び耐貫通性の容器による運搬体制及び防護服の着用等による作業体制が確立されている場合は、同条の規定に基づく消毒が行われていないものを委託することができるものであること。

② 診療用放射性同位元素により汚染されている医療機器又は繊維製品(汚染されているおそれのある医療機器又は繊維製品を含む。)

ウ 繊維製品の消毒のみを委託する場合の基準

繊維製品の洗濯の前処理としての消毒のみを委託する場合の受託者の基準は、クリーニング業法(昭和25年法律第207号)第5条第1項の規定に基づき、都道府県知事にクリーニング所の開設の届出を行っている者であること。

エ 受託業務を行う場所

受託業務を行う場所とは、医療機関以外の滅菌消毒施設を使用して滅菌消毒業務を行う場合にあっては、当該滅菌消毒施設のことであり、医療機関において滅菌消毒業務を行う場合にあっては、当該医療機関のことであること。また、受託業務の内容によっては、業務を行う場所が複数箇所の場合もあり得ること。なお、医療機関において滅菌消毒業務を行う場合であって、受託場所が複数箇所の場合には、主たる業務を行う場所に受託責任者を配置すること。

(2) 人員に関する事項

ア 受託責任者について

① 新省令第9条の9第1号に規定する相当の経験とは、原則として3年以上の滅菌消毒業務についての実務経験をいうものであること

② 医療機関において滅菌消毒業務を行う場合の相当の知識とは、滅菌消毒の方法、滅菌機器の保守管理、感染防止及び従事者の健康管理等に関する知識をいい、相当の経験とは原則として3年以上の滅菌消毒業務についての実務経験をいうものであること

イ 受託業務の指導及び助言を行う者(以下「指導助言者」という。)について

新省令第9条の9第2号に規定する相当の知識とは、滅菌消毒の方法、滅菌消毒の処理に使用する機器の管理方法、滅菌消毒済の医療機器及び繊維製品の取扱い等に関する知識をいい、相当の経験とは、原則として3年以上の滅菌消毒業務についての実務経験をいうものであること。

ウ 従事者について

新省令第9条の9第3号に規定する機器の取扱いに関する必要な知識及び技能とは、機器の操作、機器の保守点検、故障時の対応方法等に関する知識及び技能をいい、その他受託業務を行うために必要な知識及び技能とは、滅菌消毒の意義と効果、感染の予防と主な感染症、医療機器の名称と機能、滅菌消毒機器の名称と使用目的等に関する知識及び技能をいうものであること。

(3) 構造・設備に関する事項

ア エチレンオキシドガスボンベを有する場合にあっては、当該ボンベは、滅菌消毒作業室の外であって、エチレンオキシドガス滅菌器に近接した場所に配置されていること。

イ 新省令第9条の9第10号イ、ロ及びニに掲げる滅菌の処理に使用する機器及び装置は、滅菌処理が行われる医療機器等を搬入する扉と滅菌処理が行われた医療機器等を搬出する扉を有する両扉方式であることが望ましいこと。

(4) 標準作業書に関する事項

ア 運搬

運搬に関する標準作業書には、医療機器等を医療機関から受け取る際の確認事項、感染症患者に使用された医療機器等の取扱い、運搬容器の取扱い、運搬方法及び滅菌消毒済の医療機器等を医療機関に引き渡す際の確認事項が記載されていること。

なお、運搬とは、医療機関において滅菌消毒業務を行う場合にあっては、使用済の医療機器等の回収及び滅菌消毒済の医療機器等の納品に係る運搬を、医療機関以外の滅菌消毒施設を使用して当該業務を行う場合にあっては、委託した医療機関と当該滅菌消毒施設の間の医療機器等の運搬をいうものであること。

また、医療機関において滅菌消毒業務を行う場合にあっては、使用済及び滅菌消毒済の医療機器等について、運搬方法、緊急時の運搬体制などが記載されていること。

イ 滅菌消毒の処理の方法

滅菌消毒の処理の方法に関する標準作業書には、取り扱う医療機器等の品目ごとに、消毒、洗浄、包装、滅菌及び保管の各業務に係る作業手順が、図式化するなど、わかりやすく記載されていること。

ウ 滅菌消毒の処理に使用する機器の保守点検

滅菌消毒の処理に使用する機器の保守点検に関する標準作業書には、各滅菌又は消毒機器について、自ら行う保守点検の方法、保守点検業者等に委託する内容と計画、故障時の対応等が記載されていること。

エ 滅菌消毒の処理に係る瑕疵があった場合の責任の所在に関する事項

滅菌消毒の処理に係る瑕疵があった場合の責任の所在に関する事項に関する標準作業書には、滅菌消毒の処理を行った医療機器等について、適切な処理がされていなかった場合の対応方法等が記載されていること。

(5) 従事者の研修に関する事項

新省令第9条の9第16号に規定する研修は、滅菌消毒業務を適切に行うために必要な知識及び技能を修得することを目的とし、次に掲げる事項を含む研修であること。

① 標準作業書の記載事項

② 受託責任者にあっては、医療法、医師法等の医療関係法規及び労働関係法規

4 患者等の食事の提供の業務(新省令第9条の10関係)

(1) 患者等の食事の提供の業務の範囲及び委託方法に関する事項

ア 業務の範囲

(ア) 患者等給食業務の範囲医療法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整理に関する政令(平成30年政令第230号。以下「平成30年政令」という。)による改正後の医療法施行令第4条の7第2号に規定する食事の提供(以下「患者等給食」という。)の業務は、食材の調達、調理、盛付け、配膳、下膳及び食器の洗浄並びにこれらの業務を行うために必要な構造設備の管理に加えて、食器の手配、食事の運搬等をいうものであること。

(イ) 病院が自ら実施しなければならない業務の範囲

患者等給食業務のうち、病院が自ら行わなければならない業務は、別表のとおりとすること。なお、献立表の作成については、病院が定めた作成基準に基づき、病院又は患者等給食業者のいずれが作成しても差し支えないが、実際に調理作業に従事する者の意見を十分に聴取し、調理作業に無理や支障を来さないよう配慮する必要があること。

イ 委託の方法等

(ア) 院外調理

これまでは病院内の給食施設を使用して調理を行う、いわゆる代行委託のみが認められていたが、今後は病院外の調理加工施設を使用して調理を行う、いわゆる院外調理も認められるものであること。ただし、喫食直前の再加熱については、病院内の給食施設において行うべきものであること。

(イ) 複数業者への委託

患者等給食業務を病院が直接複数の業者に委託することも差し支えないものであること。また、業者は受託した業務のうち、食事の運搬、食器の洗浄等の一部の業務については、新省令第9条の10で定める基準を満たす者に再委託することも差し支えないものであること。

(ウ) 受託業務を行う場所

受託業務を行う場所とは、病院内の給食施設を使用して調理を行う場合にあっては、当該病院の給食施設のことであり、病院外の調理加工施設を使用して調理を行う場合にあっては、当該調理加工施設のことであること。

また、受託業務の内容によっては、業務を行う場所が複数箇所の場合もあり得ること。なお、業務を行う場所が複数箇所の場合には、主たる業務を行う場所に受託責任者を配置すること。

ウ 食品衛生法との関係

「食品衛生法等の一部を改正する法律」(平成30年法律第46号。)の施行により、営業以外の場合で病院において継続的に不特定又は多数の者に食品を提供する集団給食施設の設置者又は管理者は、都道府県知事等に営業届出を行うこととされたこと。ただし、1回の提供食数が20食程度未満の、少数特定の者に食品を供与する営業以外の給食施設については届出を不要とすること。

また、営業届出の対象となる集団給食施設の設置者又は管理者は、食品衛生責任者を設置するとともに、食品衛生施行規則(昭和23年厚生省令第23号)に規定された基準に従い、公衆衛生上必要な措置を定め、これを遵守することとされたこと。公衆衛生上の措置には、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理も含まれるが、従来示されている「大量調理施設衛生管理マニュアル」(平成9年3月24日付け衛食第85号生活衛生局長通知)はHACCPの概念に基づき作成されており、引き続き当該マニュアルの活用等により対応が可能であること。

なお、食品衛生法の改正に伴う営業許可制度の見直しにより、病院が外部事業者に調理業務を委託している場合、院内調理であっても、当該受託事業者は通常の営業者と同様に飲食店営業の許可を受けなければならないと整理されたこと。

エ 調理方式

病院外の調理加工施設を使用して調理を行う場合には、患者等給食の特殊性に鑑み、その調理加工方式として、クックチル、クックフリーズ、クックサーブ及び真空調理(真空パック)の四方式があるが、これらの調理方法には食味の面からそれぞれに適した食品があり、いずれか1つの調理方式に限定することは好ましいものではないこと。したがって、これらの調理方式を適切に組み合わせて、患者等給食業務を行うことが望ましいこと。

ただし、いずれの調理方式であっても、HACCPの考え方を取り入れた適切な衛生管理が行われている必要があること。

オ 食事の運搬方法

病院外の調理加工施設から病院へ食事を運搬する場合には、患者等給食の特殊性に鑑み、原則として、冷蔵(3℃以下)若しくは冷凍(マイナス18℃以下)状態を保って運搬すること。

ただし、調理・加工後の食品を、2時間以内に喫食する場合にあっては、65℃以上を保って運搬しても差し支えないものであること。この場合であっても、食中毒の発生等がないよう、衛生管理に十分配慮を行うこと。

なお、缶詰め等常温での保存が可能な食品については、この限りではないこと。

カ 労働関係法令の遵守

患者等給食業務の委託に際しては、病院、患者等給食業者双方とも、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)、職業安定法(昭和22年法律第141号)、労働基準法(昭和22年法律第49号)、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)等労働関係法令を遵守すること。特に、複数業者への委託や受託した業務の一部を再委託する場合には十分留意すること。

キ 食材

患者等給食において使用される食材については、栄養面及び衛生面に留意して選択されたものであることが当然の前提であるが、食味についての配慮もなされたものであること。

(2) 人員に関する事項

ア 受託責任者

(ア) 受託責任者について

新省令第9条の10第1号に規定する相当の知識とは、次に掲げる事項に関する知識をいうものであること。

① 病院の社会的役割、病院の組織、医療従事者の資格と業務

② 病院の栄養部門の現状と病院内のその他の組織との連携

③ 疾病の診療と患者等の食事の提供の役割及び治療食の必要性

④ 栄養指導の重要性

⑤ 病院における患者等に対するサービスの意義と食事の提供サービスの課題

⑥ 栄養管理と食事の提供の評価

⑦ 食品衛生と労働安全衛生

⑧ HACCPに関する専門的知識

また、相当の経験とは、次に掲げるものをいうものであること。

① 栄養士又は管理栄養士の資格を有する者にあっては、患者等給食業務に従事した経験

② 調理師の資格を有する者にあっては、患者等給食業務に通算2年以上従事した経験

③ 学校教育法に基づく高等学校卒業以上の学歴を有する者にあっては、患者等給食業務に通算3年以上従事した経験

④ 前各号と同等以上の技能及び学歴を有すると認められること

(イ) 受託責任者の業務

受託責任者は、従事者の人事・労務管理、研修・訓練及び健康管理、業務の遂行管理、施設設備の衛生管理等の業務に責任を負う者であること。また、病院の管理者、担当者等と患者等給食業務の円滑な運営のために随時協議するとともに、必要な帳票を業務を行う場所に備え、開示できるように整えておくこと。

(ウ) 食品衛生責任者との関係

受託責任者は、食品衛生責任者を兼務しているか、あるいは食品衛生責任者と密接に連携することができる者であること。

(エ) 複数の病院における患者等給食業務の兼務

病院外の調理加工施設を使用して調理を行い、複数の病院から業務を受託する場合にあっては、受託責任者を調理加工施設に設置し、同一人が兼務することも差し支えないこと。

イ 指導助言者

「医療法施行規則の一部を改正する省令」(平成8年厚生省令第13号)による改正後の医療法施行規則(以下「改正後の省令」という。)第9条の10第2号に規定する指導助言者が日常的に指導及び助言を行うことができる体制を整備しておくこと。特に、委託者である病院から食事の内容に関して必要な改善措置を求められた場合に対応することができる体制を整備しておくこと。

ウ 栄養士又は管理栄養士

受託業務の責任者が栄養士又は管理栄養士である場合には、改正後の省令第9条の10第3号の規定を満たすものであること。

エ 従事者

改正後の省令第9条の10第4号に規定する必要な知識及び技能とは、食中毒の予防等受託業務の衛生水準を確保するために必要な知識及び技能をいい、調理業務に従事する者は、常勤の調理師であることが望ましいこと。

(3) 施設、設備及び食器に関する事項

ア 施設、設備及び食器の衛生管理

患者等給食に係る施設、設備及び食器については、病院内の給食施設及び病院外の調理加工施設いずれにおいても、HACCPの考え方を取り入れた適切な衛生管理が行われ、衛生状態が常に良好に保たれている必要があること。

イ 必要な給食施設

病院内の給食施設において調理のすべてを行う必要はないが、病院外の調理加工施設を使用して調理を行う場合であっても、加熱等の病院内での調理作業は残ると考えられるので、病院内の給食施設のすべてが不要となることはないと考えられること。

ウ 病院と介護保険施設等とを併設する場合又は再編対象病院同士を併設する場合における病院の給食施設

病院と介護保険施設等又は地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(平成元年法律第64号)第12条の7に規定する認定再編計画に基づく再編を行う病院同士を併設する場合(同一敷地内にある場合又は公道を挟んで隣接している場合をいう。)においては、「病院又は診療所と介護保険施設等とのを併設等について」(平成30年3月27日付け医政発0327第31号・老発0327第6号厚生労働省医政局長・老健局長連名通知)、「病院、診療所又は助産所と産後ケアセンターとの併設等について」(令和2年8月5日付け医政発0805第1号・子発0805第4号厚生労働省医政局長・子ども家庭局長連名通知)及び「病院の併設について」(令和5年5月31日付け医政発0331第10号厚生労働省医政局長通知)に基づき、併設する施設等の給食施設を病院の給食施設として共用することが認められること。

ただし、病院又は介護保険施設等のそれぞれの患者又は入所者等への食事の提供に支障を来すことがないよう十分に配慮されていなければならないこと。また、食事の運搬については、衛生管理に特段の留意が図られていること。

エ 食器の清潔保持

食事を盛り付ける食器は洗浄後に消毒されたものを用いること。また、食器は食事の提供に支障を生じることがないよう必要数を備えていること。なお、食器を運搬する場合には、食器が細菌等に汚染されることがないよう専用の保管庫又は保管容器を用いること。

(4) 運営に関する事項

ア 業務案内書

改正後の省令第9条の10第9号に規定する業務案内書には、次に掲げる事項が記載されていること。また、求めに応じて、常時開示することができるようにすること。

① 受託責任者、食品衛生責任者、栄養士又は管理栄養士、調理師の氏名、配置場所等

② 適切な時刻に適切な温度の食事を提供することの可否、患者がメニューを選択できる食事を提供することの可否並びにこれらが可能な場合にあっては、その具体的な内容及び方法

③ 衛生管理方法、従事者の研修、指導助言体制、緊急時の対処方法等の業務の管理体制

イ 患者等給食の継続的な提供

患者等給食については、その業務の特殊性にかんがみ、継続的な提供が特に重要であることから、病院及び患者等給食業者は患者等給食の継続的かつ安定的な提供に最大限の努力を行う必要があること。したがって、何らかの事由により患者等給食業者が当該業務を遂行することが困難となった場合に備えて、患者等給食が滞ることがないよう必要な措置を講じておくこと。なお、必要な措置としては、複数の調理加工施設を有する患者等給食業者と業務委託契約を結ぶこと、複数の患者等給食業者と業務委託契約を結ぶこと、あらかじめ代行業者を定めて代行契約を結ぶこと、病院が自ら調理を行うことができる施設及び人員を確保しておくこと等が考えられること。

また、患者等給食業務においては厳に衛生管理を徹底すべきであり、食中毒の発生により、患者等給食業務の遂行が困難になるということはあってはならないものであること。

(5) 従事者の健康管理及び研修に関する事項

ア 従事者の健康管理

改正後の省令第9条の10第12号に規定する健康管理とは、従事者に対する健康教育の実施によって、従事者の日常的な健康の自己管理を促し、食中毒の発生と感染症の流行を予防することをいうものであること。

イ 従事者の研修

改正後の省令第9条の10第13号に規定する研修は、患者等給食業務を適切に行うために必要な知識及び技能を修得することを目的としたものであり、次に掲げる事項を含むものであること。

① 標準作業書の記載事項

② 患者の秘密の保持

③ 食中毒と感染症の予防に関する基礎知識

④ 従事者の日常的な健康の自己管理

5 患者等の搬送の業務(新省令第9条の11関係)

(1) 業務の範囲に関する事項

平成30年政令により改正後の医療法施行令第4条の7第3号に掲げる業務は、患者、妊婦、産婦又はじょく婦の病院、診療所若しくは助産所相互間の搬送の業務及びその他の搬送の業務で重篤な患者について医師又は歯科医師を同乗させて行うものをいい、病院、診療所又は助産所内の患者等の移動は含まないこと。

(2) 人員に関する事項

ア 受託責任者について

新省令第9条の11第1号に規定する相当の知識とは、医師法、医療法等関係法規に関する知識をいい、相当の経験とは、原則として3年以上の患者等の搬送業務についての実務経験をいうものであること。

イ 従事者について

新省令第9条の11第2号に規定する必要な知識及び技能とは、次に掲げる知識及び技能をいうものであること。

① 用手法による気道確保、胸骨圧迫心マッサージ、呼気吹き込み法による人工呼吸、安静及び必要な体位の維持並びに保温等の応急手当

② 体温、脈拍、呼吸数、意識状態、顔色の観察等の観察要領

③ 主治医との連携

④ 搬送用自動車及び積載資器材の消毒の方法並びに保守管理の方法

(3) 運営に関する事項

ア 標準作業書

新省令第9条の11第5号に規定する標準作業書の具体的記載内容は、次のとおりであること。

① 搬送途上の患者の急変に対する応急手当の方法については、用手法による気道確保、胸骨圧迫心マッサージ、呼気吹き込み法による人工呼吸、安静及び必要な体位の維持、保温等の方法

② 患者の観察要領については、体温、脈拍、呼吸数、意識状態、顔色の観察等の方法

③ 主治医との連携については、搬送に際して事前に医師に説明すべき事項及び搬送途上の患者の急変の際に医師に連絡すべき事項

④ 搬送用自動車及び積載する資器材の滅菌又は消毒及び保守管理

イ 業務案内書

医師の同乗を前提とした搬送を行わない場合には、この旨を業務案内書に明記すること。

(4) 従事者の研修に関する事項

新省令第9条の11第7号に規定する研修は、患者等の搬送の業務を適切に行うために必要な知識及び技能を修得することを目的とし、次に掲げる事項を含む研修であること。

① 標準作業書の記載事項

② 患者の秘密の保持

③ 受託責任者にあっては、医療法、医師法等の医療関係法規、道路運送法、道路交通法等運輸関係法規及び労働関係法規

6 医療機器の保守点検の業務(平成30年改正省令による改正後の医療法施行規則第9条の8の2及び第9条の12関係)

(1) 業務の範囲に関すること

ア 平成30年政令による改正後の医療法施行令第4条の7第4号に定める業務

平成30年政令による改正後の医療法施行令第4条の7第4号に定める業務は、平成30年改正省令による改正後の医療法施行規則第9条の8の2に定める医療機器の保守点検の業務をいうものであること。

なお、平成30年改正省令による改正後の医療法施行規則第9条の8の2に定める医療機器は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律第2条第8項の規定により厚生労働大臣が指定する特定保守管理医療機器」(平成16年厚生労働省告示第297号)とし、その詳細については、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第5項から第7項までの規定により厚生労働大臣が指定する高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器(告示)及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第8項の規定により厚生労働大臣が指定する特定保守管理医療機器(告示)の施行について(通知)」(平成16年7月20日付薬食発第0720022号厚生労働省医薬食品局長通知)の例によるものとすること。

イ 保守点検と修理

保守点検とは、清掃、校正(キャリブレーション)、消耗部品の交換等をいうものであり、故障等の有無にかかわらず、解体の上点検し、必要に応じて劣化部品の交換等を行うオーバーホールを含まないものであること。

また、修理とは、故障、破損、劣化等の箇所を本来の状態・機能に復帰させること(当該箇所の交換を含む。)をいうものであり、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器等法」という。)に基づく医療機器の製造業又は修理業の業許可を得た者でなければ、業として行ってはならないものであること。

ウ 保守点検の実施主体

医療機器の保守点検は、病院、診療所又は助産所(以下「医療機関」という。)の業務であり、医療機関が自ら適切に実施すべきものであるが、新省令第9条の12で定める基準に適合し、医療機器の保守点検を適正に行うことができる者と認められるものに委託して行うことも差し支えないものであること。

エ 患者の居宅等における業務

改正後の省令第9条の12に規定する基準は、病院、診療所、老人保健施設その他の医療を提供する施設における当該業務のみならず、医療を受ける者の居宅等(以下「患者の居宅等」という。)において、医療機関からの委託を受けて、当該業務を行う場合にも適用される基準であること。

また、患者の居宅等において、当該業務を行う場合には、次の業務も含まれるものであること。

① 医療機器の取扱方法についての患者、家族等への説明

② 医療機器の故障時等の対応と医療機関への連絡

オ 危険又は有害な物質を用いて診療を行うための医療機器

改正後の省令第9条の12第2項ロに掲げる「危険又は有害な物質」とは、爆発、燃焼等のおそれがあるもの又は身体若しくは生命に傷害を生じるおそれがあるものであること。また、「危険又は有害な物質を用いて診療を行うための医療機器」とは、具体的な例を挙げれば、次のとおりであること。

① 放射性同位元素(コバルト、セシウム、イリジウム、ラジウム、ストロンチウム)を用いる放射性同位元素治療器

② 支燃性麻酔ガス(笑気ガス)を使用する人工麻酔器

③ 引火性麻酔ガス(エーテル、シクロプロパン)を使用する人工麻酔器

④ 火薬を使用する結石破砕装置

⑤ 高圧ガス(酸素ガス)を使用する人工呼吸器又は酸素供給装置

(2) 医薬品医療機器等法との関係

ア 対象とする医療機器の範囲

(ア) 添付文書等への保守点検事項の記載

平成30年改正省令による改正後の医療法施行規則第9条の8の2に定める医療機器については、医薬品医療機器等法第63条の2、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号。以下「医薬品医療機器等法施行規則」という。)第226条により、保守点検に関する事項が添付文書又は医薬品のその容器若しくは被包に記載されていなければならないとされているものであること。

(イ) 医療機器の保守点検の適切な実施

平成30年改正省令による改正後の医療法施行規則第9条の8の2に定める医療機器については、医薬品医療機器等法第68条の2の6第3項により、病院若しくは診療所の開設者又は医師、歯科医師等は、医療機器の適正な使用を確保するため、医療機器の製造業者、輸入販売業者等が提供する情報を活用し、医療機器の保守点検を適切に実施するよう努めなければならないとされているものであること。

イ 修理業の業許可を有する者

医薬品医療機器等法第40条の2第1項に規定する医療機器の修理業の許可を受けた者については、当該医療機器の保守点検を医療機関内において行う場合に限り、改正後の省令第9条の12に定める医療機器の保守点検の業務を適正に行う能力のある者として取り扱って差し支えないこと。

(3) 保守点検を行う人員に関する事項

ア 受託責任者の業務

受託責任者は、当該業務の遂行に際して、第一義的な責任を負うべき者であり、他の従事者に対して保守点検に係る品質管理に関する教育訓練を実施するとともに、指導、監督する立場にあるものであること。

イ 受託責任者が有すべき知識

改正後の省令第9条の12第1号に規定する相当の知識とは、次に掲げる事項に関して、当該業務の責任者として有すべき相当程度の知識をいうものであること。

① 医療機関の社会的役割と組織

② 医療機器の保守点検に関する保健、医療、福祉及び保険の制度

③ 医療機器の原理、構造及び規格

④ 高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和32年法律第167号)等安全管理関係法規

また、患者の居宅等において、当該業務を行う場合には、次に掲げる事項に関する知識も含まれること。

① 在宅酸素療法等在宅医療に関する保健、医療、福祉及び保険の制度

② 患者、家族等との対応の方法

③ 在宅酸素療法等在宅療法の意義

ウ 受託責任者の配置

医療機器の保守点検業務を行う者が複数の事業所を有する場合には、保守点検業務を行う事業所ごとに受託責任者を配置するものとすること。

エ 修理業における責任技術者

医薬品医療機器等法施行規則第188条に定める医療機器の修理業の責任技術者の資格を有する者は、医療機関内において当該医療機器の保守点検を行う場合に限り、改正後の省令第9条の12第1号に定める保守点検の受託責任者としての知識及び経験を有している者として取り扱って差し支えないこと。

オ 従事者の有すべき知識及び技能

改正後の省令第9条の12第2号に規定する受託業務を行うために必要な知識及び技能とは、次に掲げる事項に関して、業務の適正な遂行に必要不可欠な程度の知識及び技能をいうものであること。

① 医療機関の社会的役割と組織

② 医療機器の保守点検に関する保健、医療、福祉及び保険の制度

③ 医療機器の原理、構造及び規格

④ 高圧ガス保安法、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律等安全管理関係法規

⑤ 保守点検の方法

⑥ 緊急時の対応

また、患者の居宅等において、当該業務を行う場合には、次に掲げる事項についても業務の適正な遂行に必要不可欠な程度の知識及び技能を併せて有する者に従事させるべきであること。

① 在宅酸素療法等在宅医療に関する保健、医療、福祉及び保険の制度

② 患者、家族等との対応の方法

③ 在宅酸素療法等在宅療法の意義

(4) 標準作業書に関する事項

改正後の省令第9条の12第3号に規定する標準作業書は、保守点検の業務を行う者が作成し、必要に応じて医療機関に開示することができるよう整備されたものであること。

標準作業書の内容は、製造業者等が各医療機器に添付する文書に記載されている保守点検に関する事項と十分に整合性があるものであって、少なくとも医療機器の保守点検手順、保守点検後の医療機器の動作確認手順、警報装置の動作確認手順、保守点検を行った医療機器に関する苦情の処理方法等の事項が具体的に記載されているものであること。なお、保守点検の業務は、原則として標準作業書にのっとって行われるものであるから、その内容は従事者が実際に業務を遂行できる程度に具体的かつ詳細なものである必要があることに留意すること。

(5) 業務案内書に関する事項

改正後の省令第9条の12第4号に規定する業務案内書には、少なくとも左記の事項が具体的に記載されていること。

① 保守点検作業に関する標準作業方法の要点及び定期保守点検の標準作業方法の要点

② 医療機器の故障時及び事故時の連絡先及び対応方法

③ 業務の管理体制として規模及び配置人員

④ 保守点検に関する過去の苦情事例及びその原因と対処方法

7 医療用ガスの供給設備の保守点検の業務(新省令第9条の13関係)

(1) 業務の範囲等に関する事項

ア 医療用ガスの供給設備

平成30年政令による改正後の医療法施行令第4条の7第5号に規定する医療の用に供するガス(以下「医療用ガス」という。)の供給設備とは、アウトレット、ホースアセンブリー、遠隔警報板、供給源装置、供給源機器(吸引ポンプ、空気圧縮機)等をいうものであること。

イ 保守点検

平成30年政令による改正後の医療法施行令第4条の7第5号に規定する保守点検とは、正常な状態などを維持するための点検、予備の附属品の補充等をいい、補修等の工事は含まないものであること。

ウ 高圧ガス保安法の規定により医療機関が自ら行わなければならず、委託することができない業務

次の業務は、高圧ガス保安法の規定により、高圧ガスを製造又は消費する者として医療機関が自ら行わなければならず、委託することができないので、注意されたい。

① 高圧ガス保安法第5条第1項の規定に基づき、都道府県知事の許可を受けている者(第一種製造者)にあっては、同法第27条の2又は第27条の3の規定に基づき、高圧ガス製造保安統括者、高圧ガス製造保安技術管理者、高圧ガス製造保安係員、高圧ガス製造保安主任者又は高圧ガス製造保安企画推進員に行わせなければならない業務

② 高圧ガス保安法第24条の2第1項に規定する特定高圧ガスを消費する者(特定高圧ガス消費者)にあっては、高圧ガス保安法第28条第2項の規定に基づき、特定高圧ガス取扱主任者に行わせなければならない業務

(2) 人員に関する事項

ア 受託責任者について

新省令第9条の13第1号に規定する受託責任者とは、次に掲げる事項に関する高度な知識を有する者であることとし、受託者が複数の事業所を有する場合にあっては、各事業所ごとに1名置かれるものとすること。

① 医療用ガスの供給設備及びその保守点検の方法

② 医療法、医薬品医療機器等法及び高圧ガス保安法並びに消防法、建設業法等の関係法規

③ 医療用ガスの種類と性質

イ 従事者について

新省令第9条の13第2号に規定する必要な知識とは、次に掲げるものをいうものであること。

① 医療用ガスの供給設備及びその保守点検の方法

② 医療法、医薬品医療機器等法及び高圧ガス保安法

③ 医療用ガスの種類と性質

(3) 構造設備に関する事項

新省令第9条の13第3号に規定するその他医療の用に供するガスの供給設備の保守点検に必要な資器材とは、遠隔警報板及び供給源装置並びに供給源機器等の保守点検を行う場合にあっては、電流計、電圧計、絶縁抵抗計をいうものであること。

(4) 従事者の研修に関する事項

新省令第9条の13第6号に規定する研修は、医療用ガスの供給設備の保守点検の業務を適切に行うために必要な知識及び技能を修得することを目的とし、次に掲げる事項を含む研修であること。

① 標準作業書の記載事項

② 医療法、医薬品医療機器等法及び高圧ガス保安法

③ 医療用ガスの種類と性質

④ 受託責任者にあっては、消防法、建設業法等の関係法規

8 患者等の寝具類の洗濯の業務(新省令第9条の14関係)

(1) 業務の範囲等に関する事項

ア 業務の範囲等

平成30年政令による改正後の医療法施行令第4条の7第6号に掲げる業務は、患者、妊婦、産婦又はじょく婦の布団、シーツ、枕、包布等の寝具及びこれらの者に貸与する衣類の洗濯の業務をいうものであること。

なお、新省令第9条の14に規定する基準は、病院以外の施設において、当該業務を行うことを前提とした基準であること。

イ 委託できる寝具類の範囲

病院が洗濯を委託することができる寝具類は、次に掲げるもの以外のものとすること。

① 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第6条第2項から第5項まで又は第7項に規定する感染症の病原体により汚染されているもの(汚染されているおそれのあるものを含む。)であって、病院において、同法第29条の規定に基づいて定められた方法による消毒が行われていないもの。

② 診療用放射性同位元素により汚染されているもの(汚染されているおそれのあるものを含む。)。

(2) 構造・設備に関する事項

新省令第9条の14第2号から第9号までの規定によるほか、次によるものとすること。

ア 洗濯施設は、原則として病院洗濯物のみを取り扱う専門施設とすること。

なお、他の洗濯物も併せて取り扱う場合にあっては、病院洗濯物に係る各施設(受取場、洗濯場(選別場、消毒場、洗い場、乾燥場等)、仕上場及び引渡場)が病院洗濯物専用のものであり、また、隔壁等により他の洗濯物に係る各施設と区分されていること。

イ 洗濯場の床及び腰張りは、コンクリート、タイル等の不浸透性材料を使用し、清掃が容易に行える構造であること。

ウ 水洗いによる洗濯物の処理を行う洗濯施設の床面は、容易に排水ができるよう適当なこう配を有し、排水口が設けられていること。

エ 有機溶剤を使用しての洗濯物の処理を行う洗濯施設には、局所排気装置等の換気設備を適正な位置に設けるなど有機溶剤使用に伴い生じる悪臭等による周辺への影響について十分配慮すること。

オ 寝具類を運搬する車には、未洗濯物と仕上げの終わった物を区分して入れるそれぞれ専用の容器等が備えられていること。

カ 洗濯施設には、汚染のおそれのない場所に仕上げの終わった寝具類の格納設備が設けられていること。

(3) 従事者の研修に関する事項

新省令第9条の14第13号に規定する研修は、患者等の寝具類の洗濯業務を適切に行うために必要な知識及び技能を修得することを目的とし、次に掲げる事項を含む研修であること。

① 施設、設備及び器具の衛生管理

② 洗濯物の適正な処理

③ 消毒剤、洗剤、有機溶剤等の適正な使用

9 施設の清掃の業務(新省令第9条の15関係)

(1) 業務の範囲等に関する事項

ア 施設の範囲

平成30年政令による改正後の医療法施行令第4条の7第7号に規定する施設は、診察室、手術室、処置室、臨床検査施設、調剤所、消毒施設、給食施設、洗濯施設、分娩室、新生児の入浴施設、病室等の医師若しくは歯科医師の診療若しくは助産師の業務の用又は患者の入院の用に供する施設をいい、給水施設、暖房施設、汚物処理施設、事務室等は含まないものであること。

イ 業務の範囲

平成30年政令による改正後の医療法施行令第4条の7第7号に規定する清掃とは、日常的に行われる清掃業務及びこれに付随して行われる消毒業務をいい、環境測定、ねずみ、こん虫等の防除等は含まないものであること。

ウ 労働者派遣事業により行われる清掃業務との関係

清掃業務については、請負契約によるものと労働者派遣契約によるものがあるが、平成30年政令による改正後の医療法施行令第4条の7第7号に掲げる業務の委託は、請負契約による業務委託であること。

(2) 人員に関する事項

ア 受託責任者について

新省令第9条の15第1号に規定する相当の知識とは、次に掲げる事項についての知識をいい、相当の経験とは、医療機関の清掃業務を含む清掃業務についての3年以上の実務経験をいうものであること。

① 作業計画の作成

② 作業の方法

③ 作業の点検及び業務の評価

④ 清潔区域等医療施設の特性に関する事項

⑤ 感染の予防

イ 従事者について

新省令第9条の15第2号に規定する必要な知識とは、次に掲げる事項についての知識をいうものであること。

① 要求される清潔さが異なる区域ごとの作業方法

② 清掃用具、消毒薬等の使用及び管理の方法

③ 感染の予防

(3) 構造・設備に関する事項

清潔区域の清掃業務を受託しない者については、高性能エアフィルター付き真空掃除機又はこれに代替する機能を有する機器を有することは要しないものであること。

(4) 業務案内書に関する事項

清潔区域の清掃業務を受託しない者については、その旨を業務案内書に明記すること。

(5) 従事者の研修に関する事項

新省令第9条の15第6号に規定する研修は、施設の清掃の業務を適切に行うために必要な知識及び技能を修得することを目的とし、次に掲げる事項を含む研修であること。

① 標準作業書の記載事項

② 患者の秘密の保持

③ 受託責任者にあっては、医療法、医師法等の医療関係法規及び労働関係法規

10 その他

(1) 「病院における患者給食業務の委託について」(平成2年8月22日付け健政発第511号厚生省健康政策局長通知)は、平成5年3月31日付けをもって廃止する。

(2) 「医療法施行規則の一部を改正する省令について」(平成13年3月13日付け医政発第227号厚生労働省医政局長通知)は、平成18年3月31日付けをもって廃止する。

第四~第六 (略)

別添1~5 (略)

別表

病院が自ら実施すべき業務

区分

業務内容

備考

栄養管理

病院給食運営の総括栄養管理委員会の開催、運営

受託責任者等の参加を求めること。

院内関係部門との連絡・調整献立表作成基準の作成

治療食等を含む。

献立表の確認

食数の注文・管理食事せんの管理

嗜好調査・喫食調査等の企画・実施

検食の実施・評価

関係官庁等に提出する給食関係の書類等の確認・提出・保管管理

受託責任者等の参加を求めること。

調理管理

作業仕様書の確認

作業実施状況の確認管理点検記録の確認

治療食の調理に対する指示を含む。

材料管理

食材の点検

食材の使用状況の確認

病院外の調理加工施設を用いて調理する場合を除く。

施設等管理

調理加工施設、主要な設備の設置・改修

使用食器の確認

病院内の施設、設備に限る。

業務管理

業務分担・従事者配置表の確認


衛生管理

衛生面の遵守事項の作成衛生管理簿の点検・確認

緊急対応を要する場合の指示


労働衛生管理

健康診断実施状況等の確認


(様式第1)~(様式第14) (略)