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○「電子処方箋管理サービスの運用について」の改正について

(令和6年12月18日)

(/医薬発1218第1号/医政発1218第1号/保発1218第1号/)

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長・各地方厚生(支)局長あて厚生労働省医薬局長・厚生労働省医政局長・厚生労働省保険局長通知)

(公印省略)

地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(平成元年法律第64号)に基づく電子処方箋の仕組み(以下「電子処方箋管理サービス」という。)の運用については、「電子処方箋管理サービスの運用について」(令和4年10月28日付け薬生発1028第1号医政発1028第1号保発1028第1号厚生労働省医薬・生活衛生局長・医政局長・保険局長通知。令和5年12月28日最終改正。)においてとりまとめているところです。

令和7年1月以降における電子処方箋管理サービスの機能追加(院内処方情報登録機能)に向け、令和6年12月10日に医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第159号)が公布・施行されており、今般、合わせて別添のとおり当該機能追加等の内容を改正しましたので、貴管下の医療機関、薬局等に周知していただくようお願いします。

以上

[別添]

電子処方箋管理サービスの運用について

1 本施策の趣旨

処方箋は、医師・歯科医師から薬剤師への処方内容の伝達だけでなく、医師・歯科医師から患者に交付され、患者自らが処方内容を知ることができる、患者にとって最も身近な医療情報の一つといえる。

このため、処方箋の電子化は、医療機関と薬局の連携や服薬管理の効率化等に資するだけでなく、電子版お薬手帳等との連携等により、患者自らが服薬等の医療情報の履歴を電子的に管理し、健康増進への活用(ポータルサービス)の第一歩になるなど、多くのメリットがあるため、運用ルールや医療情報等を連携するためのネットワークの整備・普及等を進め、できるだけ早く国民がそのメリットを享受できるようにする必要がある。

他方、我が国の医療システムは、医師・歯科医師が患者に処方箋を交付し、患者自らが選択した薬局に処方箋を持ち込み、調剤を受ける仕組み(フリーアクセス)としている。また、処方箋には、患者が自身の服用する薬剤について知ることができるようにするという役割がある。

以上の点を踏まえ、フリーアクセスを確保し、患者が自身の服用する薬剤について知ることを担保した上で、令和5年1月に地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(平成元年法律第64号。以下「総合確保法」という。)が改正され、全国的な電子処方箋の仕組みが整備された。運用開始後、院外処方を中心とした機能の追加改修を行うとともに、令和6年12月に地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第159号)が公布・施行され、令和7年1月より院内処方の機能が追加され、オンライン資格確認等システムを導入する全ての医療機関・薬局で利活用できる環境となった。

本通知では、社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)及び公益社団法人国民健康保険中央会(以下「国保中央会」という。)が実施機関となる電子処方箋に係る仕組み(以下「電子処方箋管理サービス」という。)の運用を整理し、医療機関・薬局等の関係者に示すものである。

本通知に基づき、全国的な電子処方箋の仕組みの整備や情報連携ネットワークとの連携等が進められ、患者自身が服薬等の医療情報の履歴の管理や電子化のメリットを享受し、患者と医療従事者との信頼がより進み、医療への理解や納得が深まることで、国民一人ひとりの健康増進の取組や医療サービスの効率的な提供等につながることが期待される。

2 処方箋の電子化等による処方・調剤情報の共有のメリット

処方箋の電子化等による処方・調剤情報の共有は、地域の医療機関・薬局間における情報共有をさらに促進させることにより、患者に最適な薬物療法を提供することに加え、患者自らが服薬等の医療情報を電子的に管理し、健康増進への活用にもつながるなど、多くのメリットが期待される。具体的には、以下のとおり。

(1) 医療機関、薬局における主なメリット

① 医療機関からの電子的な処方情報をもとに、薬局で処方内容の照会や後発医薬品への変更などを含む調剤業務が行われ、その結果を医療機関に戻し、次の処方情報の作成の参考にするという情報の有効利用が可能となる。

② 医療機関・薬局間での情報の共有が進むことで、医薬品の相互作用やアレルギー情報の管理に資することが可能となり、国民の医薬品使用の安全性の確保など公衆衛生の向上にも資する。

③ 医療機関では、紙の処方箋の印刷に要するコストが削減される。紙の処方箋の偽造や再利用を防止できる。

④ 薬局から医療機関への処方内容の照会の結果等の伝達や、先発品から後発品に調剤を変更した際の伝達がより容易になり、医療機関でも患者情報のシステムへの反映が容易になる。後発品の使用促進により、一般名処方や後発品への変更調剤が増加していることに鑑み、処方した医師・歯科医師への調剤結果(患者に交付された薬剤の種類、用法・用量等)の伝達が容易になることは、重要である。

⑤ 薬局でオンライン服薬指導を実施する際、紙の処方箋の原本を医療機関から薬局に郵送する代わりに、薬局が電子的に取得可能となる。

⑥ 調剤に関する入力等の労務が軽減され、誤入力が防止される。電子処方箋の普及により、調剤済みの紙の処方箋の保管スペース等を削減できる。

⑦ 電子版お薬手帳等との連携等により、医療機関・薬局の連携や処方内容・服薬状況の一元的・継続的把握の効率化等に資する。

⑧ 医療機関・薬局では、重複投薬等チェック機能を活用することにより、患者に対する不必要な処方・調剤や併用禁忌による有害事象を事前に避けることができる。

⑨ 一元的に処方内容・服薬状況を把握することによって、多剤投与の適正化による有害事象のリスク低減や、患者背景の推察、他施設の受診状況の把握による最適な治療の提供等を図ることができる。

⑩ 患者が医療機関から他の医療機関に転院した際にも、転院先の医療機関にも転院元の医療機関でどのような薬物治療が行われたか等が速やかに共有され、適切に治療を継続することができる。

⑪ 救急医療及び災害時において患者の処方・調剤情報を参照できる仕組みを構築することにより、医療関係者は患者が服用している薬剤を知ることが可能となる。

(2) 患者や家族における主なメリット

① オンライン診療の際、医療機関が発行した処方箋の原本を電子処方箋管理サービスに登録することで、処方情報が電子的に保存され、患者は処方情報をマイナポータルを通じて閲覧することが可能となる。また、患者は、薬局での受付前に処方情報をより簡便に薬局に伝達することができるようになり、薬局での待ち時間の短縮が期待される。

② オンライン服薬指導の際、患者は薬局へ電子処方箋管理サービス内にある処方情報を電子的に伝達することが可能となるほか、薬局での調剤情報が電子的に保存・蓄積されることで、患者自らが実際に調剤された情報をマイナポータル等を通じて閲覧できる。

③ 電子版お薬手帳等との連携等によって、患者等が自ら保存・蓄積した調剤の情報を、他の医療機関等に自らの意思で提示することが、紙媒体よりも容易になる。生活習慣病など比較的長期にわたって治療が必要な疾病では、生活環境の変化などにより医療機関・薬局を変更した場合でも、診療の継続性の確保が容易になる。

④ 医療機関・薬局において、重複投薬等チェック機能を活用することにより、患者に対する不必要な処方・調剤や併用禁忌による有害事象を事前に避けることができる。

⑤ 医療機関・薬局が一元的に処方内容・服薬状況を把握することにより、多剤投与の適正化による有害事象のリスク低減や、患者背景の推察、他施設の受診状況の把握による最適な治療を受けることができる。

⑥ 医療機関から他の医療機関に転院した際にも、転院先の医療機関にも転院元の医療機関でどのような薬物治療が行われたか等が速やかに共有され、適切に治療を継続することができる。

⑦ 救急医療及び災害時において患者の処方・調剤情報を参照できる仕組みを構築することにより、医療関係者が患者の服用している薬剤を知ることが可能となる。

3 電子処方箋管理サービスの運用の基本的な考え方

電子処方箋管理サービスの運用の基本的な考え方は、以下のとおりである。

(1) 電子処方箋管理サービスの運用の仕組み

電子処方箋の運用は、以下の理由により、電子処方箋管理サービスを用い、医療機関が電子処方箋を登録し、薬局が取得する方法を用いるとともに、調剤後の薬局からの調剤結果情報の登録や、医療機関からの院内処方に関する情報の登録を可能とする。基盤となるシステム構成は、拡張性やコスト面を考慮し、クラウドサービスを活用した構成とする。電子処方箋管理サービスで取り扱う情報は、医療保険適用の医薬品に関するものとする。

・ 薬局での医療機関からの指示伝達事項の確認や、薬局から医療機関への調剤情報の提供など、薬局と医療機関との間で情報をやりとりする際に、安全かつ効率的にやりとりができる。

・ 処方情報や調剤情報の提供方式が定まるため、医療機関・薬局のシステムと連携させることで、医療機関・薬局における業務の効率化を図ることができる。

・ 医療機関と薬局が情報ネットワークを用いるため、電子化された調剤情報を患者の電子版お薬手帳等に提供するなど、ICTを活用した医療情報の連携や活用が容易であり、発展性がある。

・ 電子化した書類は大量の複製や加工が容易になるため、電子処方箋の不正な複製や改ざんを防止する必要があるが、オンライン請求やオンライン資格確認で既に利用されているセキュリティ対策が施されたネットワークを活用することで安全性を確保できる。

なお、電子メールやSNSによる処方箋の送受信は、以下のとおり、システム的に解決できない問題があり、医療情報の安全なやりとりを完全には確保できない。

― 医療情報の電子データのやりとりでは、正しい相手との間で、内容を改ざんや覗き見されない方法により、やりとりする必要がある(厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(以下「安全管理ガイドライン」という。))。しかし、暗号化が施されていないメール等では、中継する複数のサーバを指定できず、メールサーバ間の通信品質やセキュリティレベルにばらつきがあり、送信元や送信先を偽装する「なりすまし」や、送信データの「盗聴」や「改ざん」、通信経路への「侵入」や「妨害」等の脅威から保護することが困難である。

― メール等の発信者である医療機関や医師・歯科医師が、患者のメールアドレス等を管理する必要があり、管理の業務負担やメール等の誤送信による医療情報の漏えい事故を防ぐことが困難である(誤送信は、ヒューマンエラーであるのでシステムによる完全な回避が困難)。

(2) 地域医療情報連携ネットワークとの連携

電子処方箋の導入は、単に電子化を可能とするだけのものではなく、医師・歯科医師から薬剤師への調剤に必要な情報の提供(検査値、アレルギー情報、処方内容の照会への対応等)や、薬剤師から医師・歯科医師への調剤結果の提供(処方内容の照会を踏まえた薬剤の変更や後発品への変更等)を促進するものである。また、現在、取り組まれている地域医療情報連携(専門職間の連携)やPHR(Personal Health Record)の活用等の促進にもつながるものである。

例えば、地域医療情報連携ネットワークでは、既に患者情報の電子的な連携が行われているため、電子処方箋管理サービスと連携することにより、医療機関と薬局との情報連携や患者自らによる服薬情報の履歴の管理が一層進んでいくことが期待される。

(3) 電子署名の活用

医師・歯科医師は、患者に交付する処方箋に、患者の氏名、年齢、薬名、分量、用法、用量、発行年月日、使用期間、病院・診療所の名称・所在地又は医師・歯科医師の住所を記載し、記名押印又は署名しなければならない(医師法施行規則(昭和23年厚生省令第47号)第21条、歯科医師法施行規則(昭和23年厚生省令第48号)第20条)。

また、薬剤師は、調剤したときは、処方箋に、調剤済みの旨(当該処方箋が調剤済みとならなかったときは調剤量)、調剤年月日等を記入し、記名押印又は署名しなければならない(薬剤師法(昭和35年法律第146号)第26条)。

この記名押印又は署名は、①処方箋は、患者を診療した医師・歯科医師のみが交付し(違反への罰則あり)、②薬剤師は、処方箋によらなければ販売・授与の目的で調剤してはならず、医師・歯科医師の同意がなければ変更して調剤してはならない(違反への罰則あり)等とされていることから、処方箋を発行した医師・歯科医師と調剤した薬剤師の責任を明確にするためのものであり、処方箋が電子化されても、引き続き、必要である。

そのため、医師等の国家資格の確認が電子的に検証できる電子署名又は電子署名とその電子署名に紐づく医師等の国家資格確認(検証時に確認できるもの)との組み合わせを用いることが必要である。これを満たすために、電子処方箋に付与する電子署名は、安全管理ガイドライン企画管理編の14に規定される電子署名とする(※1)。

また、安全管理ガイドラインに基づき、電子処方箋への電子署名には、タイムスタンプを付与する仕組みとする(※2)。

なお、医療機関から登録される院内処方に関する情報については、それ自体は処方箋ではないことから、電子署名を行う必要はない。

(※1) 電磁的記録は、その記録された情報について本人による電子署名が行われているときは、真正に成立したものと推定するとされている(電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号))。電子処方箋への電子署名についても、医師、歯科医師、薬剤師自らが行う必要がある。

(※2) 安全管理ガイドラインでは、電子署名には、タイムスタンプを付与するとしている。これは、タイムスタンプは、第三者による検証が可能であり、タイムスタンプ時刻に署名したことを証明可能であることや、タイムスタンプ時刻の以後に電子署名を含め文書の改変がないことを証明可能であるためである。

(4) 電子版お薬手帳等との連携等の確保

処方箋の電子化等による処方・調剤情報の共有は、医療機関・薬局の連携や処方内容・服薬状況の一元的・継続的把握の効率化等に資するが、患者が電子化された処方・調剤情報等を把握し、活用するためには、マイナポータルや電子版お薬手帳等との連携等による情報の可視化が不可欠である。このため、電子処方箋の仕組みにより得られる処方・調剤情報はリアルタイムでマイナポータルにおいて閲覧できる仕組みとし、当該情報をAPI(Application Programming Interface)連携により電子版お薬手帳にダウンロードできる仕様とする。(※)

お薬手帳は、患者本人のものであり、患者や医療関係者がいつでもその情報を容易に確認することができ、以下の意義や役割がある。医療機関・薬局は、電子処方箋管理サービスに送付しない患者個人の健康情報や要指導・一般用医薬品の服薬情報などについては、自ら患者に情報を提供することや、患者からの登録の依頼に基づき電子版お薬手帳等と連携するなどにより、情報の電子化のメリットを患者が享受できるようにすることが重要である。

(お薬手帳の意義と役割)

① 患者自身が、自分の服用している薬剤について把握するとともに正しく理解し、服用したときに気づいた副作用や薬剤の効果等の体の変化や服用したかどうか等を記録することで、自らの薬物療法に対する意識を高める。

② 複数の医療機関を受診する際や薬局で調剤を受ける際に、患者がそれぞれの医療機関の医師・歯科医師及び薬局の薬剤師等にお薬手帳を提示することにより、要指導・一般用医薬品も含めて相互作用や重複投薬を防ぎ、医薬品のより安全で有効な薬物療法につなげる。

(※) 「電子版お薬手帳ガイドラインについて」(令和5年3月31日付け薬生総発0331第1号厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長通知)で示されているので、マイナポータルと連携等する電子版お薬手帳の運営主体においては、参照されたい。

4 電子処方箋の運用に当たって

電子処方箋の運用に当たっての留意点は、以下(1)~(5)のとおりとする。

また、フリーアクセス確保のため、患者が電子処方箋に対応していない薬局で調剤を受けることを希望する場合や電子処方箋を望まない場合には、紙の処方箋を交付する。

(1) 院外処方(電子処方箋)の場合の対応

電子処方箋の運用(電子処方箋の発行・電子処方箋に基づく調剤)に関わる一連の流れは、以下のとおりである。

【医療機関プロセス】

① 医療機関は、オンライン資格確認の際に、顔認証付きカードリーダ等において患者が電子処方箋の交付を希望していることを確認する。あわせて、同端末において、処方・調剤情報の参照に関する閲覧同意を取得する。処方箋の発行形態(電子処方箋又は紙の処方箋)の確認については顔認証付きカードリーダで行うことを主たるケースとして想定としているが、診察時など上記に限らず行うことができることとする。

患者がマイナンバーカードの健康保険証利用をしていない場合や、汎用カードリーダを用いてマイナンバーカードで資格確認をする場合は上記の対応ができないことから、口頭等で電子処方箋の交付希望について確認する。その際、処方・調剤情報の参照に関する個人同意は顔認証付きカードリーダにおいて取得できる運用を基本としており、口頭等で同意を取得したからといって同様に情報を参照できることにはならないことに留意する必要がある(汎用カードリーダを用いてマイナンバーカードで資格確認をする場合は、書面で個人同意を取得することも可能)。

なお、当該患者が調剤を受けようとしている薬局が電子処方箋に対応しているか否かについては、厚生労働省ホームページにおいて公表されている対応薬局リストや、厚生労働省から配布されたポスター等を活用し、待合室等で患者が当該情報を確認できる環境を整えておく必要がある。その際、フリーアクセス確保の観点から、特定の薬局に誘導してはならない。

② 医師・歯科医師は、患者の診察を行い、電子カルテ等で処方内容を入力する。

③ 医師・歯科医師は、処方内容が適切であるか確認するために、処方・調剤情報の参照(同意が得られている場合)及び重複投薬又は併用禁忌の有無の確認(同意の有無にかかわらず可能)を実施する。なお、処方・調剤情報の参照の同意が得られていない場合は、重複投薬又は併用禁忌の有無については、該当する医薬品の重複・禁忌という事象のみを表示するに留め、重複等の対象となった薬剤名称や医療機関・薬局の名称等は表示しない。ただし、重複投薬等チェック機能により、重複投薬又は併用禁忌が確認された場合であって、口頭等で同意を取得した場合には、重複投薬又は併用禁忌の要因となった薬剤に係る一部の情報を参照することができる。なお、その場合には、口頭等で同意を取得した旨について、電子カルテ等に記録すること。

(※1) 重複投薬や併用禁忌の確認範囲については、調剤日(調剤結果の登録がない場合は処方日)を起算日とし、服用期間の算定が可能な医薬品(例えば14日分処方された内服薬)については当該期間を、服用期間の算定が不可能な医薬品(例えば外用や頓服)については一律14日間を服用期間とし、服用期間内に重複投薬や併用禁忌に該当する医薬品が処方又は調剤されそうになった際に注意喚起が出る仕組みとする。

(※2) 重複投薬は、同一成分同一投与経路に該当するか否かで判断し、併用禁忌は添付文書の相互作用欄で「併用禁忌」と定義されているもののみを該当とする。

(※3) 同一医療機関内の処方を重複とするか否かについては、医療機関・薬局の判断に依ることとするため、システム事業者と相談すること。

④ 医師・歯科医師は、③の情報を踏まえ、処方内容を確定させ、電子処方箋を作成し、電子署名を付与し、電子処方箋管理サービスに登録する。

(※1) 処方箋を作成した医師・歯科医師は、安全管理ガイドラインに基づき、電子的に作成した処方箋情報に電子署名を行う。タイムスタンプについては電子処方箋管理サービスにおいて付与するものとする。

(※2) 電子処方箋に限らず処方箋の使用期間は、原則として交付の日を含めて4日以内であるが、長期の旅行等特殊の事情があると認められる場合は、延長も可能である。

(※3) 医療機関は、自施設で登録(発行)した処方箋に限り、現在どの薬局で受付中の状態にあるか確認することができる。

⑤ 医療機関は、電子処方箋管理サービスから、処方内容(控え)の電子ファイル(PDF)の提供を受ける。当該控えに「引換番号」が記載されている。

⑥ 医療機関は、患者に処方内容(控え)を提供する。当該控えの手交方法は紙を想定しているが、患者が迅速にかつ簡便に確認できる方法であれば、具体的な手法は問わない。オンライン診療等により紙による手交が困難なときは、オンライン診療アプリケーション等を活用し、当該控えを画面上に表示させる等の対応を行う。

なお、「引換番号」は、薬局における処理の利便性を考慮し、二次元コードによる表示も行われる。

電子処方箋管理サービスでは、登録された電子処方箋の情報について、患者が電子的方法でも確認できるよう、マイナポータルへの連携が行える仕組みとしている。

(※1) 処方内容(控え)については、患者においてマイナポータルで自身の処方内容を閲覧することが一定程度定着するまでの過渡的な措置として交付するものである。マイナポータルで処方内容を閲覧することができるなどの理由により、患者が処方内容(控え)を不要とする場合は、手交を要しない。

(※2) 何らかの理由により画面に引換番号を表示することができない場合については、患者の同意が得られれば口頭等で処方内容を伝達し、あわせて口頭等で引換番号を伝達する方法によることも可能とする。

【薬局プロセス】

⑦ 患者は、薬局でオンライン資格確認を行い、顔認証付きカードリーダ等において、処方・調剤情報の参照に関する個人同意を行う。薬局は、オンライン資格確認により確認した個人ごとの被保険者番号・記号等をキーとして、電子処方箋管理サービスに当該患者に係る電子処方箋を要求する。なお、複数の処方箋が交付されている場合、当該薬局で調剤を希望する処方箋の選択については、患者が顔認証付きカードリーダ等において選択したもの又は処方内容(控え)等で引換番号を伝達したものしか、薬局は要求できない仕組みとなっている。

患者がマイナンバーカードの健康保険証利用をしていない場合は上記の対応が原則としてできないことから、個人ごとの被保険者記号・番号等及び引換番号により当該患者に係る電子処方箋を要求する。処方箋情報ごとに引換番号が付与されているため、処方箋ごとに要求操作を行う必要がある。その際、処方・調剤情報の参照に関する個人同意は顔認証付きカードリーダ等を用いて取得できる運用としており、口頭等で同意取得したからといって参照できることにはならないことに留意する必要がある。

⑧ 電子処方箋管理サービスは、電子処方箋を薬局に送信する。

⑨ 薬局の薬剤師は、処方内容が適切であるか確認するために、処方・調剤情報の参照(同意が得られている場合)及び重複投薬又は併用禁忌の有無の確認(同意の有無にかかわらず可能)を実施する。処方・調剤情報の参照の同意が得られていない場合は、重複投薬又は併用禁忌の有無については、該当する医薬品の重複・禁忌という事象のみを表示するに留め、重複投薬等の対象となった薬剤名称や医療機関・薬局の名称等は表示しない。ただし、重複投薬等チェック機能により、重複投薬又は併用禁忌が確認された場合であって、口頭等で同意を取得した場合には、重複投薬又は併用禁忌の要因となった薬剤に係る一部の情報を参照することができる。なお、その場合には、口頭等で同意を取得した旨について、電子薬歴等に記録すること。

(※1) 重複投薬又は併用禁忌の確認範囲については、服用期間の算定が可能な医薬品(例えば14日分処方された内服薬)については当該期間を、服用期間の算定が不可能な医薬品(例えば外用や頓服)については一律14日間を服用期間とし、服用期間内に重複投薬又は併用禁忌に該当する医薬品が処方又は調剤されそうになった際に注意喚起が出る仕組みとする。

(※2) 重複投薬は、同一成分同一投与経路に該当するか否かで判断し、併用禁忌は添付文書の相互作用欄で「併用禁忌」と定義されているもののみを該当とする。

⑩ 薬局の薬剤師は、受信した電子処方箋について、必要に応じて医師・歯科医師に対して処方内容に対する照会を行った上で、調剤し、患者に服薬指導の上、薬剤の交付を行う。

⑪ 薬局の薬剤師は、医師・歯科医師に確認した内容等の必要事項を含め、調剤結果を作成する。その際、調剤結果に医師に必ず伝えるべき情報が含まれているときは、当該情報に重要情報である旨のフラグを立てることができる。

⑫ 前述の調剤結果には、参照した電子処方箋や参照した処方箋データを含めること。

(※) 電子処方箋管理サービスは、参照した電子処方箋が含まれる調剤結果を受信することで、当該処方箋が調剤済みになったと判断する。このため電子処方箋に基づき調剤する場合は、調剤結果を作成した薬剤師は、安全管理ガイドラインに基づき、電子署名を行い、電子処方箋管理サービスに送付する。電子処方箋管理サービスはタイムスタンプを付与した上で調剤結果を薬局に返却する。薬局では、当該調剤結果(参照した電子処方箋が含まれ、かつ、薬剤師が電子署名を行い、タイムスタンプが付与された調剤結果)を「調剤済み電子処方箋」として取り扱うこと。

⑬ 薬局は、安全管理ガイドラインに基づき、調剤済み電子処方箋を、適切に管理・保存する。

(※) なお、「電子処方箋保存サービスの利用について」(令和6年6月6日付け医薬発0606第1号厚生労働省医薬局長通知)において示したとおり、令和6年6月より、電子処方箋管理サービスにおいて「調剤済み電子処方箋」を管理・保存するサービスの利用申請を開始している。

⑭ 医療機関は、薬局が電子処方箋管理サービスに登録した調剤結果を取得し、電子カルテ等に取り込んだ上で、次回の診察時等に参照することができる。

(2) 院外処方(紙の処方箋)の場合の対応

患者の処方・調剤情報はできる限り完全なものとすることが望ましく、また、重複投薬又は併用禁忌の確認に当たっても、登録されていない処方・調剤結果があれば効果は減少してしまうことから、紙の処方箋で対応する場合であっても、処方・調剤結果を電子処方箋管理サービスに登録することが重要である。

(3) 院内処方の場合の対応

(ア) 外来患者に対する院内処方

外来患者に対して院内処方を行う場合においても、上記(1)の【医療機関プロセス】①~③は同様である。ただし、院外処方(電子処方箋)の場合と異なり、医療機関内で患者へ投薬までを行った場合も院内処方に関する情報の登録が可能である。なお、④に該当する電子処方箋管理サービスへの院内処方に関する情報の登録の際には、電子署名は要しない。

(イ) 入院患者に対する院内処方

入院患者に対する院内処方を行う場合にも、院内処方に関する情報の登録が可能である。大規模災害時等の観点では、他の医療機関・薬局が服薬状況をリアルタイムで参照できるよう、その都度データ登録をすることが重要である。ただし、投薬情報の管理については、医療機関ごとの運用に依ることから、会計時や退院時等の任意のタイミングでまとめてデータ登録をすることも可能である。

なお、入院中は患者の服薬状況を医療機関内で管理することとなるため、重複投薬等チェックの実施は任意であるが、持参薬とのチェック等として活用が可能である。

入院期間中における重複投薬等チェック時の口頭等での同意取得について、電子処方箋管理サービスにおける運用として、同一の入院期間に限って、その間、患者からの撤回等がない限りは、初回一度の口頭同意をもって、電子カルテ等に必ず記録を残した上で、重複投薬等チェックにおける薬剤に関する情報が閲覧できるものとする。ただし、本運用は、電子処方箋管理サービスにおける重複投薬等チェック時の対象薬剤に係る口頭同意等に関する同一の入院期間中に限った運用であり、オンライン資格確認等システムを利用した薬剤情報等閲覧の運用ではない点に留意すること。また、同一の入院期間中以外(院外処方箋の発行や外来の院内処方)では、上記(1)の【医療機関プロセス】③のとおり、都度、同意の取得が必要であること。

(ウ) 退院する患者に対する院内処方

退院する患者に対する院内処方については、退院後に患者が他の医療機関・薬局を利用することを踏まえ、速やかにデータ登録が行われることが望ましい。なお、入院中に患者の服薬状況を医療機関内で管理することとなるため、重複投薬等チェックの実施は任意であるが、持参薬とのチェック等として活用が可能である。

なお、退院するに当たり、院外処方(電子処方箋)による仕組みで、電子処方箋を発行することも可能である。

(4) 分割調剤への対応

薬局において、製剤の安定性の観点や後発品を試験的に調剤する観点などから、分割調剤が必要となるケースがある。このようなケースは、処方箋の交付後、薬局において判断されるものであるため、電子処方箋においてもこのようなケースに対応できるようにする必要がある。

その一連の流れは以下のとおりとするが、医薬品の継続的な管理の観点から、処方箋が調剤済みとなるまで、原則、同一の薬局において対応するものとする。

例えば、患者の引っ越し等のケースについてはオンライン服薬指導により同一薬局において対応することも可能である。

他方で、同一の薬局において対応することが患者の利便性の観点から困難な場合など、同一薬局において対応できない場合については、分割を指示した薬局に患者が連絡し、薬局側が保持している処方情報を電子処方箋管理サービスに戻し、他の薬局で継続調剤できるようにし、患者は引換番号等を用いて受付を行う。

① 薬局において当該患者に係る電子処方箋を要求し、電子処方箋管理サービスから電子処方箋を薬局で受信する。

② 薬局の薬剤師は、受信した電子処方箋について、分割調剤の必要性を判断する。

③ 必要に応じて医師・歯科医師に対して処方内容の照会を行う。

④ 患者に対して、分割調剤を行う旨を説明し、同意を得る。その際、同一薬局での対応となることを確認し、引っ越し等の予定がある場合にはその予定を踏まえた対応を検討する。

⑤ 調剤を行い、患者に服薬指導の上、薬剤の交付を行う。その際、次回の調剤の日時を案内し、電子処方箋の処方内容(控え)に手書きで次回日程を記載するなど備忘のための対応を行う。

⑥ 薬局の薬剤師は、調剤結果を作成し、電子処方箋管理サービスに送信する。電子処方箋が調剤済みとならなかった場合は、この調剤結果に参照した電子処方箋を含めてはいけない。なお、調剤結果については薬局において引き継げるよう、レセプトコンピュータや薬歴システム等に記録しておく。なお、電子処方箋は調剤済みにせず、引き続き薬局において保管する。

⑦ 2回目以降の分割調剤の際には、保管している電子処方箋に基づき調剤を行い、⑤及び⑥を繰り返す。調剤済みとなった際は、患者に対して調剤が完了した旨を伝えることに加え、薬局は調剤結果を電子処方箋管理サービスに送付する。

(※) 電子処方箋管理サービスは、参照した電子処方箋が含まれる調剤結果を受信することで、当該処方箋が調剤済みになったと判断する。このため、電子処方箋に基づき分割調剤を行った際は、調剤済みとならなかった場合は参照した電子処方箋を含めずに、調剤済みとなった場合は参照した電子処方箋を含めて、薬剤師は、安全管理ガイドラインに基づき、電子署名を行い、電子処方箋管理サービスに送付する。電子処方箋管理サービスはタイムスタンプを付与した上で調剤結果を薬局に返却する。薬局では、当該調剤結果(参照した電子処方箋が含まれ、かつ、薬剤師が電子署名を行い、タイムスタンプが付与された調剤結果)を「調剤済み電子処方箋」として取り扱うこと。

⑧ 薬局は、⑦の(※)に示す調剤済み電子処方箋を、安全管理ガイドライン等に基づき、適切に管理・保管する。

なお、医師の判断による分割調剤については、多様なケースを設定することによる混乱を避けるため、紙の運用とし、電子処方箋による運用は行わないこととしている。

(5) リフィル処方箋への対応

リフィル処方箋は、症状が安定している患者に対して、医師の処方により医師及び薬剤師の適切な連携の下で、一定期間内に処方箋を反復利用できる仕組みである。医療機関でリフィル処方箋としての電子処方箋を発行する場合には、医療機関のシステムが対応している必要があるが、発行に係るプロセスはリフィル処方箋ではない電子処方箋と概ね同様である。総使用回数を適切に選択の上、発行すること。

薬局においても、リフィル処方箋としての電子処方箋を受け付ける場合には、薬局のシステムがこれに対応している必要がある。薬局でリフィル処方箋としての電子処方箋を受信し、調剤した際には、次回調剤予定日等(※)の必要な事項を記録の上、電子署名を付与した上で電子処方箋管理サービスに返送すること。ただし、総使用回数の最終調剤回においては、安全管理ガイドラインに基づき、調剤済み電子処方箋として保管すること。

(※) 疑義照会等を経て、処方内容とは異なる薬剤を調剤した場合には、当該変更内容及び変更の理由を合わせて記録すること。

なお、リフィル処方箋により調剤を行うに当たっては、紙の処方箋を前提とした規定を除き、診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項等を適宜参照すること。

(6) 患者への説明と理解を求める取組

医療機関・薬局では、患者に対して電子処方箋や処方・調剤情報の共有への理解を求めることが重要であり、電子処方箋管理サービスの運用に当たっては、患者に対し適切に電子処方箋の内容や利点等を説明できるよう、厚生労働省ホームページに掲載している説明用のリーフレット、国民・患者向けの動画等を適宜活用すること。また、医師、歯科医師や薬剤師等の医療従事者や医療機関・薬局の事務担当者は、厚生労働省が公表している医療機関・薬局向けの動画等を参照して電子処方箋の運用の理解を深めること。

患者が自由に調剤を受ける薬局を選択できるよう、厚生労働省において電子処方箋に対応した薬局をホームページに掲載しているため、適宜これを活用すること。また、厚生労働省から提供するポスターを待合室等に掲示するなどして、患者へのわかりやすい説明に努めること。

また、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「個人情報保護法」という。)との関係については、総合確保法第12条の2等に電子処方箋や処方・調剤情報の流れが規定されており、個人情報保護法第27条第1号の「法令に基づく場合」に該当するものとして個人データの第三者提供に際して本人の同意を得る必要は無い。

以上を踏まえ、患者の理解の程度に応じて、以下の点について、患者に補足的に説明する事が望ましい。

・ 電子処方箋の発行を選択した場合、電子処方箋対応の薬局に行く必要があること。

・ 紙の処方箋と同様、電子処方箋の使用期間以内に、薬局で調剤を受ける必要があること。

・ マイナンバーカードの健康保険証利用を行っていない患者については、薬局で調剤を受ける際、「引換番号」を伝達する必要があること。

・ 電子処方箋管理サービスに登録された電子処方箋自体には、その処方箋を発行した医師・歯科医師と調剤を行う薬局以外はアクセスができない。ただし、トラブル及び障害発生時等には、そのトラブル対応のため支払基金又は国保中央会の職員が処方情報を閲覧する場合もあること。

・ 機器やネットワークのトラブル等で電子処方箋管理サービスが正常に機能しない場合、紙の処方箋に切り替えるなどの対応が必要となる可能性があること。

・ 医療機関・薬局での対応が不可能な場合には、医療機関で紙の処方箋を発行する場合もあること。

(7) 電子処方箋管理サービスの実施機関の取組

電子処方箋管理サービスの運用は、何らかの不具合のために適切な調剤が実施できず、患者に必要な薬剤が交付されなければ、患者に不利益を及ぼす可能性もある。したがって、以下についての取組を適切に実施するとともに、これらの情報を開示することが必要である。

① システムの安全性の確保

支払基金及び国保中央会は、「オンライン資格確認等、レセプトのオンライン請求及び健康保険組合に対する社会保険手続きに係る電子申請システムに係るセキュリティに関するガイドライン」(厚生労働省)(以下「オンライン資格確認等セキュリティガイドライン」という。)を遵守して、システムの安全性を確保するための対応を行う。

② 相互運用性の確保

支払基金及び国保中央会は、患者の医療継続性の確保のために、電子処方箋管理サービスの導入促進に協力するとともに、医療機関・薬局・電子処方箋管理サービスの関係機関の相互運用性を確保しなければならない。

このため、電子処方箋管理サービスで取り扱うことのできる電子処方箋の形式について、記録条件仕様書において明らかにし、常にこれを公開するものとする。

③ 電子処方箋の運用に関する問合せ対応の実施

支払基金及び国保中央会は、医療機関・薬局等からの問合せの対応の窓口を設置する。ホームページ等により情報提供するだけでなく、いわゆるコールセンターの設置等により、問合せ対応を実施する。

(8) ネットワーク回線のセキュリティ

電子処方箋の運用に当たっては、医師・歯科医師が作成した処方情報が、その情報を取得する薬局に、正しい内容で、覗き見されない方法で、提供される必要がある。このため、医療機関・薬局・電子処方箋管理サービス間のネットワーク回線のセキュリティは、オンライン資格確認等セキュリティガイドラインに従い、適切な対策を講じる必要がある。

(9) 電子処方箋管理サービスの実施機関による施設等の認証体制

支払基金及び国保中央会において、電子処方箋管理サービスにアクセスした施設が医療機関・薬局であるかどうかを適切に認証する仕組みを考慮する。電子処方箋では、オンライン資格確認等システムの基盤を活用しており、認証については、オンライン資格確認等システムにて行うこととしている。

5 電子処方箋管理サービス停止等への対応

電子処方箋管理サービスが、電子処方箋の発行や受理に関する機器の障害、電子署名システムの不具合、電子処方箋管理サービスに接続するためのネットワークの停止など、電子処方箋管理サービスが様々な原因により機能しなくなる場合や災害の影響を受ける場合がある。こうしたサービス停止等の事態に対して、事前の備えとしてとるべき対応と、事態が発生した場合にとるべき対応策は、以下のとおりである。

なお、不正利用を防止する観点から、電子処方箋管理サービスが停止した場合や災害が発生した場合であっても、電子処方箋の処方内容(控え)のみに基づいて調剤を行う運用とはしないことを基本としつつ、サービス停止等の状況や災害の規模等に鑑み、厚生労働省並びに支払基金及び国保中央会において対応を適宜検討する。

(1) 医療機関・薬局における事前の備え

医療機関では、電子処方箋の発行・受理等に用いる機器・システム等について、安全管理ガイドラインに準拠した仕組みを用意すること。

また、電子処方箋を発行できない場合に備えて、紙の処方箋に対応できる機能を残しておく必要がある。

なお、大規模災害時などの機器やネットワークの支障が発生した場合の運用方法については、「オンライン資格確認等システム運用マニュアル(病院・診療所向け)」、「オンライン資格確認等システム運用マニュアル(薬局向け)」、「オンライン資格確認等システム操作マニュアル 災害時医療情報閲覧編(医療機関等向け)」等に示されているとおりであり、医療機関・薬局において、あらかじめ対応手順等を確認しておく必要がある。

(2) 電子処方箋管理サービスが停止した場合の対応

電子処方箋管理サービスが停止した場合、医療機関では電子処方箋の発行が行えないため、紙の処方箋を発行する。

一般的には、薬局では、既に発行された電子処方箋を薬局で処理しようとしてもその取得ができなくなるため、医療機関において紙の処方箋を発行する。

なお、電子処方箋管理サービスの停止中に紙の処方箋を発行する場合、医療機関は、処方情報を電子処方箋管理サービスに登録する必要はない。

また、電子処方箋の発行後に電子処方箋管理サービスが停止した場合については、

・ 医療機関が近隣である場合には、患者に対し、医療機関に戻り紙の処方箋を再交付してもらうことを依頼

・ 医療機関が遠方である場合には、医療機関に薬局又は患者から連絡し、紙の処方箋を再交付してもらうとともに、それを薬局にメール、FAX等で送付してもらい、紙の処方箋原本は後日郵送で薬局に送付してもらう

のいずれかの方法により対応することとする。

いずれの場合についても、医療機関において、電子処方箋の取消を行い、同じ処方内容による調剤が重複して行われないように対応する必要がある。

(3) 大規模災害時等の対応

大規模災害が発生した場合、電子処方箋管理サービスが停止した場合の対応と同様に、紙の処方箋の発行により対応するものとする。

なお、電子処方箋の発行後に災害が発生した場合については、

・ 医療機関が近隣である場合には、患者に対し、医療機関に戻り紙の処方箋を再交付してもらうことを依頼

・ 医療機関が遠方である場合には、医療機関に薬局又は患者から連絡し、紙の処方箋を再交付してもらうとともに、それを薬局にメール、FAX等で送付してもらい、紙の処方箋原本は後日郵送で薬局に送付してもらう

のいずれかの方法により対応することとする。

いずれの場合についても、医療機関において、電子処方箋の取消を行い、同じ処方内容による調剤が重複して行われないように対応する必要がある。

また、災害時に、医療関係者が患者が服用している薬剤を知ることができるようにしておくことは重要であり、オンライン資格確認等システムにおける災害時医療情報閲覧の実施方法をあらかじめ確認しておくこと。

6 その他

本通知については、電子処方箋の運用を整理したものであり、詳細については、以下の文書等を適宜参照されたい。

・ 運用の手順の詳細については、「オンライン資格確認等システム運用マニュアル(病院・診療所向け)」及び「オンライン資格確認等システム運用マニュアル(薬局向け)」を参照すること。

・ 電子処方箋管理サービスが停止した場合の対応の詳細については、上記マニュアルのほか、「トラブルシューティング編」、「オンライン資格確認等システム操作マニュアル 災害時医療情報閲覧編(医療機関等向け)」を参照すること。

・ 電子処方箋管理サービスを利用した電子処方箋の情報通信の流れ、システム構成、処方情報、調剤結果情報等については「電子処方箋管理サービスの導入に関するシステムベンダ向け技術解説書【医療機関・薬局】」(厚生労働省医薬局)等を参照すること。

[別紙]

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