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○テクリスタマブ(遺伝子組換え)製剤の使用にあたっての留意事項について

(令和6年12月27日)

(/医薬薬審発1227第5号/医薬安発1227第3号/)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬局医薬品審査管理課長・厚生労働省医薬局医薬安全対策課長通知)

(公印省略)

テクリスタマブ(遺伝子組換え)製剤(販売名:テクベイリ皮下注153mg、同皮下注30mg、以下「本剤」という。)については、本日、「再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」を「効能又は効果」として、承認されたところです。

本剤は重度のサイトカイン放出症候群及び神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)があらわれることがあることから、その使用にあたっては、特に下記の点について留意されるよう、貴管下の医療機関に対する周知をお願いします。

なお、本通知の写しについて、別記の関係団体宛てに連絡するので、念のため申し添えます。

1.本剤の適正使用について

(1) 本剤については、承認に際し、以下の条件が付されている。

【承認条件】(電子化された添付文書抜粋)

1.医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

2.緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍に関する十分な知識・経験を持つ医師のもとで、サイトカイン放出症候群の管理等の適切な対応がなされる体制下で本剤が投与されるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。

(2) サイトカイン放出症候群及び神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)に関する「警告」、「効能又は効果」、「効能又は効果に関連する注意」、「用法及び用量」、「用法及び用量に関連する注意」、「重要な基本的注意」は以下のとおりであるので、特段の留意をお願いしたい。なお、その他の使用上の注意については、電子化された添付文書を参照されたい。

【警告】(電子化された添付文書抜粋)

・本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。

・重度のサイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、特に治療初期は入院管理等の適切な体制下で本剤の投与を行うこと。また、サイトカイン放出症候群に対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うとともに、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。

・重度の神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されている。観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供する免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。

【効能又は効果】(電子化された添付文書抜粋)

・再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)

【効能又は効果に関連する注意】(電子化された添付文書抜粋)

・本剤による治療は、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む少なくとも3つの標準的な治療が無効又は治療後に再発した患者を対象とすること。

・臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。

【用法及び用量】(電子化された添付文書抜粋)

・通常、成人にはテクリスタマブ(遺伝子組換え)として、漸増期は、1日目に0.06mg/kg、その後は2~4日の間隔で0.3mg/kg、1.5mg/kgの順に皮下投与する。その後の継続投与期は、1.5mg/kgを1週間間隔で皮下投与する。なお、継続投与期において、部分奏効以上の奏効が24週間以上持続している場合には、投与間隔を2週間間隔とすることができる。

【用法及び用量に関連する注意】(電子化された添付文書抜粋)

・他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。

・継続投与期は、最低5日を空けて本剤を投与すること。

・本剤投与によるサイトカイン放出症候群を軽減させるため、漸増期の投与については、本剤投与開始1~3時間前に副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤及び解熱鎮痛剤を投与すること。

・本剤投与により副作用が発現した場合には、次の基準を参考に本剤を休薬又は中止すること。

副作用発現時の本剤の休薬又は中止基準

副作用

重症度注)

処置

サイトカイン放出症候群

Grade 1又は2

回復するまで本剤を休薬する。

Grade 3(初発)

回復するまで本剤を休薬する。48時間以上持続する場合は本剤の投与を中止する。

Grade 3(再発)又はGrade 4

本剤の投与を中止する。

免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群

Grade 1、2又は3(初発)

回復するまで本剤を休薬する。

Grade 3(再発)又はGrade 4

本剤の投与を中止する。

血液学的毒性

好中球数が500/μL未満

好中球数が500/μL以上になるまで本剤を休薬する。

発熱性好中球減少症

好中球数が1,000/μL以上になり、解熱するまで本剤を休薬する。

ヘモグロビンが8g/dL未満

ヘモグロビンが8g/dL以上になるまで本剤を休薬する。

血小板数が25,000/μL未満

血小板数が25,000/μL以上50,000/μL以下、かつ出血を伴う

血小板数が25,000/μL以上になり、出血が治まるまで、本剤を休薬する。

感染症

漸増期

全Grade

活動性感染症の場合、回復するまで本剤を休薬する。

継続投与期

Grade 3又は4

Grade 1以下に改善するまで本剤を休薬する。

その他の非血液学的毒性

Grade 3又は4

Grade 2以下に改善するまで本剤を休薬する。

注) サイトカイン放出症候群及び免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群のGradeはASTCT2019に準じ、感染症及びその他の非血液学的毒性のGradeはNCI―CTCAE Version 5.0に準じる。

・副作用等の理由による休薬後に本剤を再開する場合は、下表を参考に投与すること。以降は、用法・用量の投与スケジュールに準じること。サイトカイン放出症候群発現による休薬の場合は、本剤投与開始1~3時間前に前投与(副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤及び解熱鎮痛剤)を行うこと。サイトカイン放出症候群発現以外による休薬の場合は、下表を参考に前投与を行うこと。

休薬後に再開する場合の用量

休薬直前の用量

休薬期間

再開時の用量

漸増用量1

(0.06mg/kg)

1週間(7日)以内の休薬

漸増用量2(0.3mg/kg)で投与する注)

1週間(7日)を超える休薬

漸増用量1(0.06mg/kg)で投与する注)

漸増用量2

(0.3mg/kg)

1週間(7日)以内の休薬

治療用量(1.5mg/kg)で投与する注)

1週間(7日)を超え、4週間(28日)以内の休薬

漸増用量2(0.3mg/kg)で投与する注)

4週間(28日)を超える休薬

漸増用量1(0.06mg/kg)で投与する注)

治療用量

(1.5mg/kg)

9週間(63日)未満の休薬

治療用量(1.5mg/kg)で投与する。

9週間(63日)以上、16週間(112日)未満の休薬

漸増用量2(0.3mg/kg)で投与する注)

16週間(112日)以上の休薬

漸増用量1(0.06mg/kg)で投与する注)

注) 本剤投与開始1~3時間前に前投与(副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤及び解熱鎮痛剤)を行うこと。

【重要な基本的注意】(電子化された添付文書抜粋)

・サイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、以下の事項に注意すること。

・サイトカイン放出症候群は投与初期に多く認められることから、少なくとも漸増期(初回(0.06mg/kg)、2回目(0.3mg/kg)及び3回目(1.5mg/kg)の投与時)の投与後48時間は必ず入院管理とし、漸増期の初回から3回目投与48時間経過後、及び継続投与期の4回目以降の投与後についても患者の状態に応じて入院管理を検討すること。

・サイトカイン放出症候群に対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うこと。

・本剤の投与中は、発熱、悪寒、低血圧、頻脈、低酸素症、頭痛、肝酵素上昇(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ及びアラニンアミノトランスフェラーゼ増加)等について、観察を十分に行うこと。

・サイトカイン放出症候群が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。

・緊急時に備えてトシリズマブ(遺伝子組換え)を速やかに使用できるように準備しておくこと。

・神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、以下の事項に注意すること。

・本剤の投与中は、失語症、意識レベルの変化、認知能力の障害、筋力低下、痙攣発作、脳浮腫等について、観察を十分に行うこと。

・免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。

・免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群があらわれた場合、次回以降の本剤投与時は患者の状態に応じて入院管理を検討すること。

・神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)として錯乱状態、意識レベルの低下、睡眠障害等があらわれるおそれがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

(3) 本剤については、サイトカイン放出症候群等が発生した際に緊急性のある状況に対応可能であり、自施設又は連携施設において入院管理が可能※1、かつ副作用の鑑別に必要な検査の結果が直ちに得られる体制が整っており、医師要件を満たす医師※2のいる施設に対して、製造販売業者から製品および安全対策の事前説明を行った上で納入すること。

※1 バイタルサインの24時間モニタリング設備、高流量の酸素投与が可能な呼吸管理設備及び脳波測定設備を有する

※2

・がん患者の薬物療法に関する十分な知識と経験があり,かつ使用予定の造血器悪性腫瘍の診断および治療に十分な知識と経験を有する医師

・製造販売業者の担当者が定期的に連絡を取ることが可能な医師

・製造販売業者が依頼する本剤の安全対策に協力が可能な医師

別記

公益社団法人 日本医師会

一般社団法人 日本癌治療学会

公益社団法人 日本臨床腫瘍学会

一般社団法人 日本血液学会

公益社団法人 日本薬剤師会

一般社団法人 日本病院薬剤師会

ヤンセンファーマ株式会社

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

各地方厚生局