添付一覧
○大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律の施行等について
(令和6年12月12日)
(医薬発1212第1号)
(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医薬局長通知)
(公印省略)
大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律(令和5年法律第84号。以下「改正法」という。)については、令和5年12月13日に公布されたところです。
その後、大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和6年政令第281号)、大麻草の栽培の規制に関する法律第十三条第四項の規定により納付すべき手数料の額を定める政令(令和6年政令第282号。以下「手数料令」という。)及び大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(令和6年政令第283号。以下「第1段整備政令」という。)が令和6年9月11日に、大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(令和6年政令第288号。以下「第2段整備政令」という。)が令和6年9月20日に、大麻取締法施行規則の全部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第140号)及び大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令の整備に関する省令(令和6年厚生労働省令第141号。以下「第1段整備省令」という。)が令和6年10月16日に、大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係省令の整備に関する省令(令和6年厚生労働省令第148号。以下「第2段整備省令」という。)が令和6年10月31日に、それぞれ公布されたところです。
これらの改正の趣旨、内容等は下記のとおりですので、御了知の上、貴管下市町村、関係団体、関係機関等へ周知徹底いただきますようお願いします。
記
第1 改正の趣旨
医療及び産業の分野における大麻草の適正な利用を図るとともに、その濫用による保健衛生上の危害の発生を防止するため、大麻草から製造された医薬品の施用を可能とするための規定の整備、大麻等の施用罪の適用等に係る規定の整備、大麻草の栽培に関する規制の見直しに係る規定の整備等の措置を講ずる。
第2 改正法の主な内容
1 大麻取締法(昭和23年法律第124号)の一部改正
(1) 題名を「大麻草の栽培の規制に関する法律」に改めること。(題名関係)
(2) 総則
ア 改正法第1条の規定による改正後の大麻草の栽培の規制に関する法律(以下この1において「法」という。)は、大麻草の栽培の適正を図るために必要な規制を行うことにより、麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)と相まって、大麻の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もって公共の福祉に寄与することを目的とすること。(法第1条関係)
イ 「大麻草」とは、カンナビス・サティバ・リンネをいうものとすること。(法第2条第1項関係)
ウ 「大麻」とは、大麻草(その種子及び成熟した茎を除く。)及びその製品(大麻草としての形状を有しないものを除く。)をいうものとすること。(法第2条第2項関係)
エ 「大麻草採取栽培者」とは、(3)のアの都道府県知事の免許を受けて、種子又は繊維を採取する目的で、大麻草を栽培する者をいうものとすること。(法第2条第4項関係)
オ 「大麻草研究栽培者」とは、(4)のアの厚生労働大臣の免許を受けて、大麻草を研究する目的で、大麻草を栽培する者をいうものとすること。(法第2条第5項関係)
カ 「大麻草栽培者」とは、大麻草採取栽培者及び大麻草研究栽培者をいい、大麻草栽培者でなければ大麻草を栽培してはならないものとすること。(法第2条第3項及び第3条関係)
(3) 大麻草採取栽培者
ア 大麻草採取栽培者になろうとする者は、大麻取締法施行規則の全部を改正する省令による改正後の大麻草の栽培の規制に関する法律施行規則(以下この1において「省令」という。)で定めるところにより、栽培地の属する都道府県の知事(以下「都道府県知事」という。)の免許(以下この(3)において「免許」という。)を受けなければならないものとすること。(法第5条第1項関係)
当該免許の申請は、省令別記第1号様式による申請書に、栽培地の区域を示す図面、事業計画書等の書類を添えて行うこととすること。(省令第1条関係)
イ 次のいずれかに該当する者には、免許を与えないものとすること。(法第5条第2項及び省令第2条関係)
(ア) サにより免許を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者
(イ) 麻薬中毒者
(ウ) 禁錮以上の刑に処せられた者
(エ) 未成年者
(オ) 精神の機能の障害により大麻草採取栽培者の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
(カ) 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者((ク)及び3の(2)のアにおいて「暴力団員等」という。)
(キ) 法人又は団体であって、その業務を行う役員のうちに(ア)から(カ)までのいずれかに該当する者があるもの
(ク) 暴力団員等がその事業活動を支配する者
ウ 大麻草採取栽培者は、大麻草採取栽培者名簿の登録事項に変更を生じたときは、15日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならないものとすること。(法第6条第3項関係)
大麻草採取栽培者名簿に登録すべき事項は、栽培地の数、位置及び面積、栽培目的等とすること(省令第3条関係)。
エ 免許を受けた者は、当該免許の有効期間が満了したとき、又はサにより当該免許が取り消されたときは、15日以内に、免許証を都道府県知事に返納しなければならないものとすること。(法第7条第5項関係)
オ 免許の有効期間は、当該免許の日からその日の属する年の翌々年の12月31日までとすること。(法第8条関係)
カ 大麻草採取栽培者(免許の有効期間が満了した者を含む。)は、省令別記第2号様式により、その免許の有効期間における各年について、その翌年の1月31日までに、次に掲げる事項を都道府県知事に報告しなければならないものとすること。(法第9条及び省令第4条関係)
(ア) 大麻草の作付面積
(イ) 当該年中に採取した大麻草の繊維の数量
(ウ) 当該年の初めに所持した大麻の品名及び数量
(エ) 当該年中に採取し、又は譲り受けた大麻の品名及び数量
(オ) 当該年の末日に所持した大麻の品名及び数量
キ 大麻草採取栽培者は、その事務所に帳簿を備え、これに次に掲げる事項を記載するとともに、当該帳簿を、最終の記載の日から2年間、保存しなければならないものとすること。(法第10条及び省令第5条関係)
(ア) 採取し、譲り渡し、譲り受け、又は廃棄した大麻の品名及び数量並びにその年月日
(イ) 譲渡し又は譲受けの相手方の氏名又は名称及び住所
(ウ) コの(ア)により届け出た大麻の品名及び数量
(エ) 大麻草採取栽培者が採取した大麻草の繊維の数量
ク 都道府県知事の許可を受けたとき、又はケの(イ)の届出をしたときを除き、大麻草採取栽培者は、その所有する大麻をその栽培地外へ持ち出してはならないものとすること。(法第11条関係)
ケ 大麻の廃棄に関する事項
(ア) 大麻草採取栽培者は、その栽培地において、その所有する大麻を廃棄しようとするときは、廃棄する大麻の品名及び数量について都道府県知事に届け出て、焼却、埋却その他の大麻を回収することが困難な方法により当該大麻を廃棄しなければならないものとすること。(法第12条第1項及び省令第6条関係)
(イ) 大麻草採取栽培者は、その栽培地外において、その所有する大麻を廃棄しようとするときは、廃棄する大麻の品名及び数量並びに廃棄の方法について都道府県知事に届け出て、当該職員の立会いの下に当該大麻を廃棄しなければならないものとすること。(法第12条第2項関係)
コ 大麻の滅失等事故の届出義務に関する事項
(ア) 大麻草採取栽培者は、その所有する大麻につき、滅失、盗取、所在不明その他の事故が生じたときは、速やかに、当該大麻の品名及び数量、栽培地及び業務上大麻を取り扱う事務所の位置、事故発生の状況等を都道府県知事に届け出なければならないものとすること。(法第12条の2第1項及び省令7条関係)
(イ) 都道府県知事は、(ア)の届出を受けたときは、速やかに、(ア)の事項を厚生労働大臣に報告しなければならないものとすること。(第12条の2第2項関係)
サ 都道府県知事は、大麻草採取栽培者が、法の規定等に違反したとき、その業務に関し犯罪若しくは不正の行為をしたとき、又はイの(イ)から(ク)までのいずれかに該当するに至ったときは、免許を取り消し、又は期間を定めて、大麻草の栽培の中止を命ずることができるものとすること。(法第12条の3第1項関係)
シ 免許の取消しを受ける場合等における届出義務に関する事項
(ア) 大麻草採取栽培者は、免許の取消しを受けようとするときは、省令別記第3号様式により、免許証を添えて、現在の大麻草の作付面積、現に所有する大麻の品名、免許の取消しを受けようとする理由及びその年月日等を都道府県知事に届け出なければならないものとすること。(法第12条の4第1項並びに省令第8条第1項及び第2項関係)
(イ) (ア)の届出を受けた都道府県知事は、当該届出に係る免許を取り消すものとすること。(法第12条の4第2項関係)
(ウ) 大麻草採取栽培者が死亡し、又は解散したときは、相続人若しくは相続人に代わって相続財産を管理する者又は清算人、破産管財人若しくは合併後存続し、若しくは合併により設立された法人の代表者は、省令別記第4号様式により、30日以内に、当該大麻草採取栽培者の免許証を添えて、その旨、現在の大麻草の作付面積、現に管理する大麻の品名及び数量、栽培地の所在地及び面積等を都道府県知事に届け出なければならないものとすること。当該相続人等が当該大麻草を栽培し、又は当該大麻を所持しようとするときは、大麻草採取栽培者又は大麻草研究栽培者の免許を受けなければならないこととすること。(法第12条の4第3項及び省令第8条第3項から第5項まで関係)
ス 免許期間満了者等が大麻を譲り渡した場合における届出義務に関する事項
(ア) 免許の有効期間が満了した者(引き続き免許を受けている者を除く。)、サ又はシの(イ)による免許の取消しを受けた者及びシの(ウ)により届け出なければならない者(以下このスにおいて「免許期間満了者等」という。)については、免許期間満了者等がこれらの事由の生じた日から50日以内に、その所有し、又は管理する大麻を大麻草栽培者又は麻薬研究施設の設置者に譲り渡す場合に限り、その譲渡し及び譲受けについては、又は免許期間満了者等の当該大麻の所持については、同期間に限り、麻薬及び向精神薬取締法の禁止規定を適用しないものとすること。(法第12条の5第1項関係)
(イ) 免許期間満了者等が(ア)により大麻を譲り渡したときは、15日以内に、当該大麻の品名及び数量、譲渡しの年月日並びに譲受人の氏名又は名称及び住所を都道府県知事に届け出なければならないものとすること。(法第12条の5第2項関係)
(4) 大麻草研究栽培者
ア 大麻草研究栽培者になろうとする者は、省令で定めるところにより、厚生労働大臣の免許(以下この(4)において「免許」という。)を受けなければならないものとすること。(法第13条第1項関係)
当該免許の申請は、大麻法施行規則別記第1号様式による申請書に、栽培地の区域を示す図面、研究計画書等の書類を添えて行わなければならないこととすること。(省令第9条第1項関係)
イ 免許を申請する者又は免許証の再交付を申請する者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納めなければならないものとすること。(法第13条第4項関係)
当該手数料の額は、大麻草研究栽培者の免許を申請する者にあっては1万2900円、大麻草研究栽培者の免許証の再交付を申請する者にあっては5500円とすること。(手数料令本則関係)
ウ 免許の有効期間は、当該免許の日からその年の12月31日までとすること。(法第14条関係)
エ 大麻草研究栽培者は、その所有する大麻(栽培地において現に生育するものを除く。)を、当該者が当該大麻を業務上取り扱う事務所内の鍵をかけた設備内に収めて保管しなければならないものとすること。(法第16条関係)
オ 免許について、大麻草採取栽培者の免許の規制に準じた措置を講ずるものとすること。(法第13条第2項、第15条第1項及び第17条第1項並びに省令第9条第2項及び第10条関係)
(5) 都道府県は、法に基づき都道府県知事が行う免許その他大麻草の栽培の規制に必要な費用を支弁しなければならないものとすること。(法第22条関係)
(6) 罰則等
ア 大麻から製造された医薬品の施用・受施用等を禁止する規制及び当該規制に関する罰則の規定を削除するものとすること。(改正法第1条の規定による改正前の大麻取締法第3条、第4条第1項、第24条、第24条の2、第24条の3第1項第1号及び第2号、第2項並びに第3項並びに第24条の7関係)
イ 大麻草の栽培の規制に関する罰則の規定の整備を行うこと。(法第24条及び第24条の3から第28条まで関係)
(7) その他所要の改正を行うこと。
2 大麻草の栽培の規制に関する法律の一部改正
(1) 総則
ア 「第一種大麻草採取栽培者」とは、1の(3)のアの都道府県知事の免許を受けて、大麻草から製造される製品(大麻草としての形状を有しないものを含み、飲食料品、化粧品、建築用資材その他の資材、嗜好品、飼料、肥料及び燃料(麻薬(麻薬及び向精神薬取締法第2条第1項第1号に規定する麻薬をいう。)に該当しないもの又は指定薬物(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条第15項に規定する指定薬物をいう。)を含有しないものに限る。)の原材料を採取する目的で、大麻草を栽培する者をいうものとすること。(改正法第2条の規定による改正後の大麻草の栽培の規制に関する法律(以下この2において「法」という。)第2条第4項及び第2段整備省令第1条の規定による改正後の大麻草の栽培の規制に関する法律施行規則(以下この2において「省令」という。)第1条関係)
イ 「第二種大麻草採取栽培者」とは、1の(4)のアの厚生労働大臣の免許を受けて、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第1項に規定する医薬品の原料を採取する目的で、大麻草を栽培する者をいうものとすること。(法第2条第5項関係)
(2) 第一種大麻草採取栽培者
ア 第一種大麻草採取栽培者について、大麻草採取栽培者として、1の(3)の規定を適用するものとすること。(法第5条から第7条まで、第9条から第12条まで、第12条の6第1項及び第2項、第12条の7第1項、第3項及び第4項並びに第12条の8第1項並びに省令第1条の2から第5条まで及び第6条から第8条まで関係)
イ 第一種大麻草採取栽培者が、その免許の有効期間における各年について都道府県知事に報告しなければならない事項として、(4)のアの方法による処理をしていない大麻草の種子(以下この2において「発芽不能未処理種子」という。)の品名及び数量並びに当該年中に譲り渡し、又は廃棄した大麻及び発芽不能未処理種子の品名及び数量を追加するものとすること。(法第9条第3号から第5号まで及び省令第4条第2項関係)
ウ 第一種大麻草採取栽培者が、その事務所に備えた帳簿に記載しなければならない事項として、発芽不能未処理種子、麻薬(キの大麻草の加工の過程において製造された物に限る。以下この2において同じ。)及び播種した発芽不能未処理種子の品名及び数量、法第12条の4第1項の許可を受けて加工をした大麻草の品名及び数量並びにその年月日等を追加するものとすること。(法第10条第1項第1号、第3号及び第4号並びに省令第5条関係)
エ 第一種大麻草採取栽培者が、その所有する大麻等につき、滅失、盗取、所在不明その他の事故が生じたときに都道府県知事に届け出なければならない事項として、発芽不能未処理種子及び麻薬の品名及び数量、栽培地並びに業務上大麻、発芽不能未処理種子及び麻薬を取り扱う事務所の位置等を追加するものとすること。(法第12条の2第1項及び省令第7条関係)
オ 第一種大麻草採取栽培者は、3の(1)のエに定める物の含有量が政令で定める基準を超えない大麻草の種子及び枝葉その他の大麻草の部位を使用して大麻草を栽培しなければならないものとすること。(法第12条の3第1項及び省令第7条の2関係)
当該政令で定める基準は、大麻草の乾燥重量に占める当該大麻草に含まれている麻薬及び向精神薬取締法別表第1第42号に掲げる物の重量の割合が、0.3パーセントであることとすること。(第2段整備政令第1条の規定による改正後の大麻草の栽培の規制に関する法律施行令(以下この2において「政令」という。)第1条関係)
カ 第一種大麻草採取栽培者は、オの含有量が基準を超える大麻草を栽培するに至ったときは、速やかに当該大麻草の栽培を中止しなければならないものとすること。(法第12条の3第2項関係)
キ 第一種大麻草採取栽培者は、大麻草の種子又は成熟した茎の加工をする場合であって大麻草の種子又は成熟した茎の形状を有する製品を製造するときを除き、大麻草の加工(大麻草の成分の抽出、大麻草の圧縮及び大麻草の冷凍を含む。以下このキ及びケにおいて同じ。)をしようとするときは、1月から6月まで及び7月から12月までの期間(ケにおいて「半期」という。)ごとに、加工のために使用する大麻草の品名及び数量並びに加工をする品目、大麻草の加工の方法及び加工の過程、大麻草を加工する施設の所在地等について、厚生労働大臣の許可を受けなければならないものとすること。(第12条の4第1項及び省令第7条の3第1項から第3項まで関係)
ク キの許可を受けようとする者は、省令別記第3号様式による申請書に大麻草を加工する施設の位置及び構造を示す図面及び写真を添えて、キの事項を記載した申請書を厚生労働大臣に提出しなければならないものとすること。(法第12条の4第2項及び省令第7条の3第4項関係)
ケ キの許可を受けた第一種大麻草採取栽培者は、当該許可を受けた半期の期間経過後30日以内に、加工のために使用した大麻草の品名及び数量並びに加工をした品目、加工をした品目の納入先及び大麻草の加工の過程において製造された麻薬であって、廃棄されたものの数量を厚生労働大臣に報告しなければならないものとすること。(法第12条の4第3項及び省令第7条の3第5項関係)
コ 厚生労働大臣は、キの許可を与えたとき、又はケの報告を受けたときは、速やかに、その旨及びその内容を都道府県知事に通知するものとすること。(法第12条の4第4項関係)
サ 第一種大麻草採取栽培者は、その所有する麻薬を、当該者が当該麻薬を業務上取り扱う事務所内の鍵をかけた堅固な設備内に収めて保管するとともに、その所有する大麻(栽培地において現に生育するものを除く。)を、当該者が当該大麻を業務上取り扱う事務所内の鍵をかけた設備内に収めて保管しなければならないものとすること。(法第12条の5関係)
シ 厚生労働大臣は、第一種大麻草採取栽培者が、法の規定等に違反したとき、又はその業務に関し犯罪若しくは不正の行為をしたときは、キの許可を取り消し、又は期間を定めて、キの大麻草の加工の中止を命ずることができるものとすること。(法第12条の6第3項関係)
(3) 第二種大麻草採取栽培者
ア 第二種大麻草採取栽培者について、1の(4)の大麻草研究栽培者に関する規定の対象に追加するものとすること。(法第13条第1項及び第2項並びに第15条第1項関係並びに省令第9条及び第10条)
イ 第二種大麻草採取栽培者について、第一種大麻草採取栽培者に関する規制に準じた措置を講ずるものとすること。(法第16条第1項及び第17条第1項関係並びに省令第9条及び第10条)
ウ 法第13条第4項の政令で定める手数料の額は、第二種大麻草採取栽培者の免許を申請する者にあっては18万600円、第二種大麻草採取栽培者の免許証の再交付を申請する者にあっては1万2300円とすること。(政令第2条関係)
(4) 大麻草の種子の取扱い
ア 大麻草栽培者は、大麻草の種子を譲り渡す場合には、他の大麻草栽培者に譲り渡す場合、法第18条に規定する方法による処理を行う者に大麻草の種子を譲り渡す場合等を除き、熱処理及び燻蒸により当該種子が発芽しないように処理しなければならないものとすること。(法第18条並びに省令第10条の2及び第10条の3関係)
イ 発芽不能未処理種子は、次のいずれかに該当する場合であって、省令で定めるところにより、厚生労働大臣の許可を受けたときを除き、輸入してはならないものとすること。(法第19条第1項関係)
(ア) 大麻草栽培者が輸入する場合
(イ) 発芽不能未処理種子を輸入し、アの方法による処理をする場合
当該許可の申請は、省令別記第7号様式(大麻草栽培者以外の者にあっては、省令別記第8号様式)による申請書により行うものとすること。(省令第10条の4関係)
ウ イの(イ)に係る許可を受けた者は、発芽不能未処理種子を輸入した日から3月以内に、イの(イ)に定める方法による処理をしなければならないものとすること。(法第19条第2項関係)
エ アの方法による処理をした大麻草の種子は、省令で定めるところにより、厚生労働大臣から当該処理がされた大麻草の種子である旨の証明書の交付を受けた者でなければ、これを輸入してはならないものとすること。(法第20条関係)
当該証明書の交付の申請は、省令別記第9号様式による申請書に当該処理をした大麻草の種子であることを証する書類を添付して行うものとすること。(省令第10条の5関係)
オ 厚生労働大臣は、法令の規定により国庫に帰属した大麻草の種子について必要な処分をすることができるものとすること。(法第21条関係)
カ 厚生労働大臣は、法の規定にかかわらず、大麻草に関する犯罪鑑識の用に供する目的で大麻草の種子を輸入し、又は譲り受けることができるものとすること。(法第21条の2第1項関係)
キ 同一人が2以上の大麻草栽培者の免許を有する場合には、法中発芽不能未処理種子の譲渡し及び譲受けに関する規定の適用については、その資格ごとに、それぞれ別個の者とみなすものとすること。(法第21条の3関係)
(5) 厚生労働大臣又は都道府県知事は、法の施行のため特に必要があると認めるときは、大麻草栽培者その他の関係者から必要な報告を求め、又は麻薬取締官若しくは麻薬取締員その他の職員に、栽培地、倉庫、研究室その他大麻、大麻草の種子若しくは麻薬に関係ある場所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは試験のため必要な最小分量に限り大麻、大麻草の種子若しくは麻薬を無償で収去させることができるものとすること。(法第22条の3第1項関係)
(6) 大麻草の種子の取扱いの規制に関する罰則の規定の整備を行うこと。(法第24条の6第4号及び第5号並びに第26条第2号関係)
(7) その他所要の改正を行うこと。
3 麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)の一部改正
(1) 定義等
ア 「大麻」とは、1の(2)のウの大麻をいうものとすること。(改正法第3条の規定による改正後の麻薬及び向精神薬取締法(以下この(1)から(3)のアまでにおいて「麻向法」という。)第2条第1項第1号の2関係)
イ 「麻薬中毒」とは、麻薬又はあへんの慢性中毒をいうものとすること。(麻向法第2条第1項第24号関係)
ウ 化学的変化(代謝を除く。)により容易に麻向法別表第1に掲げる物を生成するものとして政令で定めるものについては、麻薬とみなして、麻向法の規定を適用するものとすること。(麻向法第2条第2項関係)
当該政令で定めるものは、6a・7・8・10a―テトラヒドロ―1―ヒドロキシ―6・6・9―トリメチル―3―ペンチル―6H―ジベンゾ[b・d]ピラン―2―カルボン酸及びその塩類並びに6a・7・10・10a―テトラヒドロ―1―ヒドロキシ―6・6・9―トリメチル―3―ペンチル―6H―ジベンゾ[b・d]ピラン―2―カルボン酸及びその塩類を指定すること。(第1段整備政令第2条の規定による改正後の麻薬、麻薬原料植物、向精神薬、麻薬向精神薬原料等を指定する政令(平成2年政令第238号。以下この3において「指定政令」という。)第6条関係)
エ 「六a・七・八・十a―テトラヒドロ―六・六・九―トリメチル―三―ペンチル―六H―ジベンゾ〔b・d〕ピラン―一―オール(別名デルタ九テトラヒドロカンナビノール)及びその塩類」を麻薬に追加するものとすること。(麻向法別表第1第42号関係)
オ 「六a・七・十・十a―テトラヒドロ―六・六・九―トリメチル―三―ペンチル―六H―ジベンゾ〔b・d〕ピラン―一―オール(別名デルタ八テトラヒドロカンナビノール)及びその塩類」を麻薬に追加するものとすること。(麻向法別表第1第43号関係)
カ その濫用による保健衛生上の危害が発生しない量として政令で定める量以下のエに定める物を含有する物であって、エに定める物以外の麻薬を含有しないものを、麻薬から除外するものとすること。(別表第1第78号ロ関係)
当該政令で定める量は、油脂(常温において液体であるものに限る。)及び粉末にあっては100万分中10分の量、水溶液にあっては1億分中10分の量、これら以外のものにあっては100万分中1分の量とすること。(指定政令第2条関係)
キ エ又はオに定める物を含有する大麻草の種子若しくは成熟した茎又はそれらの製品(大麻草の種子又は成熟した茎としての形状を有しないもの及び麻薬を人為的に含有させたものを除く。)を、麻薬から除外するものとすること。(麻向法別表第1第78号ハ関係)
(2) 免許に関する事項
ア 麻薬輸入業者等の免許について、暴力団員等及び暴力団員等がその事業活動を支配する者に該当する者には、当該免許を与えないことができるものとすること。(麻向法第3条第3項関係)
イ 向精神薬輸入業者等の免許について、アに準じた改正を行うものとすること。(麻向法第50条第2項第2号関係)
(3) 麻薬の譲渡し等に関する事項
ア 大麻草採取栽培者又は大麻草研究栽培者が、大麻を他の大麻草採取栽培者若しくは大麻草研究栽培者又は麻薬研究施設の設置者に譲り渡すことを可能にすること等、大麻草採取栽培者又は大麻草研究栽培者の所持する大麻に関する規制に関する規定の整備を行うこと。(麻向法第24条第1項第4号から第6号まで、第26条第1項及び第3項、第28条第1項第3号から第5号まで、第29条並びに第32条第1項関係)
イ 第一種大麻草採取栽培者及び第二種大麻草採取栽培者について、アに準じた措置を講ずるものとすること。(改正法第4条の規定による改正後の麻薬及び向精神薬取締法(以下このイ及び(4)において「麻向法」という。)第24条第1項第4号から第6号まで、第26条第1項及び第3項、第28条第1項第3号から第5号まで、第29条並びに第32条第1項関係)
(4) 第一種大麻草採取栽培者及び第二種大麻草採取栽培者が大麻草の加工の過程において麻薬を製造することを可能とするものとすること。(麻向法第20条第1項第2号関係)
(5) その他所要の改正を行うこと。
4 施行期日等
(1) 施行期日
この法律は、令和6年12月12日から施行すること。ただし、次に掲げる事項は、それぞれ次に定める日から施行すること。(改正法附則第1条関係)
ア (3)の一部 公布の日
イ 2、3の(3)のイ、(4)及び(5)の一部並びに(3)の一部 令和7年3月1日
(2) 検討
政府は、この法律の施行後5年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。(改正法附則第2条関係)
(3) 経過措置及び関係法令の整備
この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、関係法令について所要の改正を行うこと。(改正法附則第3条から第29条まで、第1段整備政令第3条から第12条まで及び附則第2条から第4条まで、第2段整備政令第2条から第5条まで、大麻取締法施行規則の全部を改正する省令附則第2条、第1段整備省令第2条から第5条まで及び附則第2条、第2段整備省令第3条から第6条まで及び附則第2条関係)
5 既存の通知等の取扱いについて
既存の通知等については、別途の通知等が発出されない限り、改正法等の内容に合わせて、「大麻取締法」を「大麻草の栽培の規制に関する法律」、「麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令」を「麻薬、麻薬原料植物、向精神薬、麻薬向精神薬原料等を指定する政令」等と読み替えるなど、必要な読替を行った上で、引き続き適用されるものであること。