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○「生体試料中薬物濃度分析法バリデーション及び実試料分析に関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)について

(令和6年12月4日)

(事務連絡)

(各都道府県衛生主管部(局)あて厚生労働省医薬局医薬品審査管理課通知)

医薬品開発における生体試料中薬物濃度分析法のバリデーション及びその分析法を用いた実試料分析に関して推奨される指針については、医薬品規制調和国際会議(以下「ICH」という。)M10ガイドライン「生体試料中薬物濃度分析法バリデーション及び実試料分析に関するガイドラインについて」(令和6年12月4日付け医薬薬審発1204第1号厚生労働省医薬局医薬品審査管理課長通知)により各都道府県衛生主管部(局)長宛てに通知したところです。

今般、ICHにおいて、標記質疑応答集(Q&A)が別添のとおり合意されましたので、貴管下関係業者等に周知方御配慮願います。また、本事務連絡の写しについて、別記の関係団体等宛てに発出するので、念のため申し添えます。

なお、本事務連絡の発出に伴い、「「医薬品開発における生体試料中薬物濃度分析法のバリデーションに関するガイドライン質疑応答集(Q&A)」について」(平成25年7月11日付け事務連絡)及び「「医薬品開発における生体試料中薬物濃度分析法(リガンド結合法)のバリデーションに関するガイドライン質疑応答集(Q&A)」について」(平成26年4月1日付け事務連絡)は廃止します。

(別記)

日本製薬団体連合会

日本製薬工業協会

米国研究製薬工業協会在日執行委員会

一般社団法人欧州製薬団体連合会

独立行政法人医薬品医療機器総合機構

(別添)

Q1(2項)

マトリックスを入手できないか困難な場合(例えば、供給不足や3Rsの原則―動物使用数の削減、苦痛の軽減、代替法の活用の観点で)、類似の代替マトリックス(例えば、ヒト血漿)を試料の希釈に使用することは可能か。

A1

代替マトリックスの使用が、真度及び精度、妨害物質の影響がないこと等、ガイドラインの推奨事項を満たしており、希釈Quality Control(QC)試料が他の試料と同様に処理されるのであれば、代替マトリックスを試料の希釈に使用することは可能である。このアプローチは疑問を示される可能性があることから、十分に妥当性を示す必要がある。

Q2(2、3及び4項)

クロマトグラフィー又はリガンド結合法(LBA)を用いた実試料分析において、検量線範囲を変えることなく、新たなQC試料濃度を追加する場合、その新たなQC試料濃度の妥当性検証のためのパーシャルバリデーションが必要か。

A2

実試料分析で新たなQC試料濃度を使用する前に、その真度及び精度を示すべきである。この検討についてはパーシャルバリデーションとして文書化すること、又は実試料分析の報告書に記載することができる。

Q3(3項)

内標準物質(IS)そのものや不純物、同位体の安定性に起因する分析上の妨害がないことを、ゼロ試料の分析結果を用いて示すことは許容されるか。

A3

分析法バリデーション及び実試料分析の両方において許容される。

Q4(3項)

長期保存安定性の評価において、基準を満たさない時点が生じた場合、それ以降の時点は評価を中止すべきか。

A4

追加の時点を評価することができる。長期保存安定性が基準を満たさない事例については、その根本原因や安定性評価における影響を明らかにするために調査を実施すべきである。

Q5(3項)

質量分析による分析時に、類縁物質が分析対象物質と共溶出しないことや分析対象物質の測定を妨害しないことの妥当性を、類縁物質の物理化学的特性に基づいて説明することは可能か。

A5

可能である。ただし、分析対象物質と類縁物質との共溶出が否定できない場合(例えば、異性体)、追加の検討を実施してクロマトグラム上の分離を示す必要がある。分析対象物質と類縁物質が共溶出する場合、マトリックス効果(イオン化抑制/増強)と逆変換について評価すべきである。

Q6(3項)

標準原液が正確に調製されていることはどのように検証するのか。

A6

別々に調製された標準原液を比較して、分析時のレスポンスの乖離度が5%以内であることを示す。

Q7(4項)

分析対象物質が免疫グロブリンであり、分析対象物質に特異的な試薬(例えば、捕捉試薬及び/又は検出試薬として用いられる抗イディオタイプ抗体)を含む分析法の場合、分析法バリデーションにおいて、分析対象物質と関連のない免疫グロブリンを用いて特異性の評価を実施する必要はあるか。

A7

試薬の特性評価時に、それらの試薬の特異性が評価されている場合には、分析法バリデーションにおいて、分析対象物質に関連のない免疫グロブリンを用いた特異性の評価を実施する必要はない。

Q8(5項)

Incurred sample reanalysis(ISR)において、判定基準を満たさない場合や懸念すべき傾向が認められた際に、どのような調査を実施すべきか。

A8

調査は、SOPに基づいて実施し、試料の取り扱いや前処理、分析を含む実試料分析のプロセス全体を考慮しなければならない。これには、分析への妨害や安定性の懸念等、生体試料中薬物濃度分析法に影響を及ぼす問題があるかどうかの科学的な評価を含む必要がある。

Q9(6項)

ガイドライン本文では、同一動物種の異なるマトリックス間、又は、異なる動物種の同一マトリックス間についてはパーシャルバリデーションで評価することを許容しているが、非臨床試験で使用するクロマトグラフィーを用いた分析法においてN―in―1 approach(複数の動物種又はマトリックスを一つのバリデーションで評価すること)は許容されるか。

A9

このアプローチを用いることができるかもしれないが、使用には注意が必要である。このアプローチは疑問を示される可能性があることから、十分に妥当性を示す必要がある。