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○希少疾病等に用いる医薬品について海外においてのみ検証的な臨床試験が実施されている場合における日本人データに係る基本的考え方について
(令和6年10月23日)
(医薬薬審発1023第3号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬局医薬品審査管理課長通知)
(公印省略)
近年、新薬の開発はグローバル化が進み、国際共同治験の実施により世界同時開発することが主流となっています。国際共同治験における日本人症例数については、「国際共同治験に関する基本的考え方について」(平成19年9月28日付け薬食審査発第0928010号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)等により示し、全体集団と日本人集団の一貫性・類似性を評価してきたところです。
また、日本が国際共同治験に参加できなかった場合には、通常、日本人での有効性・安全性を確認するために、国内での臨床試験を実施した上で承認申請されてきました。
一方で、例えば、患者数の極めて少ない疾患においては、国際共同治験や国内試験において組み入れられる日本人の症例数が極めて少なく、試験実施可能性の観点から国際共同治験での全体集団と日本人集団の一貫性や海外試験結果との類似性を評価するのが困難な場合もあります。これまでは、集団としての評価が難しい程度に日本人のデータが少ない場合、個々の被験者の詳細な医学的情報等から総合的に日本人に外国人のデータを当てはめることができるか検討されてきました。
今般、希少疾病等に用いる医薬品について海外においてのみ検証的な臨床試験が実施されている場合における日本人データに係る基本的考え方について、「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」における検討を踏まえ、下記のとおりとりまとめましたので、御了知の上、貴管内関係事業者に対し周知方御協力お願いいたします。また、本通知の写しについて、別記の関係団体等宛てに発出するので、念のため申し添えます。
記
1.はじめに
我が国での医薬品の承認審査においては、日本が参加した国際共同治験又は国内試験の結果に基づいて、日本の医療環境下の日本人での有効性及び安全性を評価することが基本である。
一方、海外で臨床開発が先行している医薬品については、日本で新たに治験を実施することにより、更に日本人患者の医薬品へのアクセスに時間を要する場合がある。また、規制当局から追加で日本人患者を対象とした臨床試験が求められることにより、日本での開発が断念されるケースもある。
本文書は、日本人での有効性・安全性を確保するとともに、治験の追加的な実施によって日本人患者の医薬品へのアクセスが遅れる又は喪失する不利益を最小化する観点から、日本人患者を対象とした臨床試験成績がなくとも承認申請を行うことが可能と考えられる場合を整理するものである。
なお、国際共同治験については、日本人の組み入れ例数が極めて少数であっても、臨床的観点も踏まえた総合的かつ多角的評価により、全体集団の成績とのある程度の比較検討は可能であり、また、医療現場への情報提供等の観点からも、日本が参加する意義は大きく、可能な限り日本も参加することが重要である。
2.日本人患者を対象とした臨床試験成績なしに承認申請を行うことが可能な場合について
(1) 次の①~③のいずれにも該当する場合、日本人患者を対象とした臨床試験成績がなくとも承認申請を行うことが可能である場合がある。ただし、必ずしもこれらに限られるものではない。
① 海外で既に主たる評価の対象となる臨床試験が適切に実施されている場合(中間解析において主たる評価が可能な場合は、当該中間解析が完了している場合を含む)
ただし、海外で臨床試験ではなく症例報告やリアルワールドエビデンス等に基づいて既に承認されている医薬品の場合は、海外で臨床試験が完了している必要はない。
② 極めて患者数が少ないこと等により、追加の臨床試験を新たに実施することが困難な場合
なお、臨床試験の実施の困難性は、必ずしも患者数のみによって判断されるものではなく、重篤性等の適応疾患の特性、アンメットメディカルニーズの高さ等に基づいて総合的に判断する。例えば、致死的な疾患や、急速かつ不可逆的な進行性の疾患等では、追加の臨床試験を実施しないことによる不確実性を考慮してもなお追加の臨床試験を実施することにより承認までに時間を要する場合の患者の不利益が大きいことから、必ずしも患者数によらず臨床試験の実施が困難と判断される場合がある。
③ 得られている有効性・安全性に係る情報等から、総合的に、日本人におけるベネフィットがリスクを上回ると見込まれる場合
(2) ただし、医薬品の特性、類薬の状況等から、外国人と日本人との間で臨床的に意義のある民族差があることが具体的に示唆され、安全性や用量の適切性について追加の情報が必要と判断される場合には、日本人における臨床試験(臨床薬理試験を含む)が必要と判断される場合がある。
3.その他
日本人患者を対象とした臨床試験の結果等の提出を承認後に求める場合には、条件付き承認制度の活用を検討することとする。
日本人患者を対象とした臨床試験成績がなく承認申請を行う場合であっても、患者への当該医薬品のアクセスをできるだけ確保し、日本の実臨床下での適正使用に向けた準備を進める等の観点も考慮し、承認申請と並行して治験(拡大治験を含む。)を実施し、日本人患者に投与した際の情報を可能な限り収集することを検討すること。実施された治験において収集されたデータのうち、審査中に提出が可能なものについては、提出すること。提出データについては、審査において確認を受け、必要に応じて添付文書等により医療現場へ情報提供すること。なお、必ずしも臨床試験を求めるものではなく、科学的な観点及び実施可能性の観点等を踏まえ検討する必要があり、情報収集の目的に見合うものであれば、製造販売後調査等の実施、MID―NET等の医療情報データベースや患者レジストリ等を活用した調査等により日本人患者に投与した際の情報を得ることで十分と判断される場合もある。
(別記)
日本製薬団体連合会
日本製薬工業協会
米国研究製薬工業協会在日執行委員会
一般社団法人欧州製薬団体連合会
独立行政法人医薬品医療機器総合機構
