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○中等度変更事項に係る変更手続の導入の試行について
(令和6年9月27日)
(医薬薬審発0927第4号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬局医薬品審査管理課長通知)
(公印省略)
医薬品の製造方法等の変更については、従来、承認事項の一部変更に係る申請(以下「一部変更申請」という。)又は軽微な変更に係る届出(以下「軽微変更届出」という。)のいずれかの手続により行ってきましたが、今般、国際整合等の観点から、中等度のリスクの変更については、迅速に審査を行う変更手続を試行的に導入することといたしました。その具体的な手続等について下記のとおり定めましたので、御了知の上、貴管内関係事業者に対して周知方御協力よろしくお願いいたします。また、本通知の写しについて、別記の関係団体等宛てに発出するので、念のため申し添えます。
なお、本制度の利用は任意であり、本制度の利用を希望しない場合、承認申請書の記載については従前のとおりとすることで差し支えありません。
記
1 概要
既承認の医療用医薬品の一部変更申請等に係る手続について、品質に及ぼす影響が中等度リスクの変更事項(以下「中等度変更事項」という。)のみを変更する場合については、以下に示す条件の下で、申請から承認までの期間を40営業日とする迅速な手続(以下「中等度変更迅速審査」という。)を設ける。
2 中等度変更迅速審査の適用対象
本通知は、医療用医薬品の製造方法並びに規格及び試験方法(原薬、添加剤等の別紙規格を含む。)並びに貯蔵方法及び有効期間(以下「製造方法等」という。)に係る変更を対象とする。
具体的には、現時点では、従前よりGMP適合性調査の実施及び生物学的製剤基準等の基準改正を必要としない別添に示す内容を中等度変更事項の対象としているが、運用状況を踏まえ、今後これ以外のものについても、特に米国のCBE30やEUのType IBの手続により認められている変更については、新たに対象とする場合がある。なお、その場合であっても、本試行においては、原則として、GMP適合性調査の実施、生物学的製剤基準等の基準改正を必要とする変更事項は対象としない予定であるが、対象の拡大に関するGMP適合性調査の実施の取扱いについては、改めて検討する。また、本試行においては、承認後変更管理計画(Post‐Approval Change Management Protocol:PACMP)については、対象としない。
3 中等度変更迅速審査による変更手続
(1) 変更対象の特定
中等度変更迅速審査を利用しようとする場合、次のいずれかの方法により変更対象を特定しておく必要がある。
① 中等度変更事項の承認書上での特定
承認申請書の製造方法等の記載において、あらかじめ、中等度変更事項に該当する変更事項を具体的に特定する。パラメータごとに中等度変更事項を特定しようとする場合は、目標値/設定値として管理される事項は{ }、目標値/設定値ではない事項は# #内に記載すること。パラメータごとには設定せず、変更の内容に応じて変更カテゴリを特定しようとする場合は、適宜その要件を記載すること。この記載の追加は、通常の承認申請又は一部変更申請において行うこと。
② 相談により中等度変更事項への該当性を確認
①のとおりあらかじめ中等度変更事項として特定されていない事項について中等度変更事項として申請しようとする場合、当該変更が中等度変更迅速審査の対象となるかについて、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)が実施する医薬品手続相談において確認を受けること。
(2) 審査
① 承認申請
中等度変更迅速審査に係る申請は、それに対応する現行の一部変更申請の区分により申請すること。また、「電磁的記録媒体を利用した申請等の取扱い等の詳細について(通知)」(令和5年12月26日付け医薬薬審発1226第1号、医薬機審発1226第3号厚生労働省医薬局医薬品審査管理課長、医療機器審査管理課長連名通知)別添の電磁的記録媒体記録要領(以下「記録要領」という。)63の(13)備考2のbに規定する優先審査欄に優先審査コード「19125」を記載すること。
(1)②による申請の場合、記録要領63の(13)備考2のhに規定する治験相談欄に、実施した医薬品手続相談の治験相談番号を記録すること。
② 受付の可否
一部変更申請としての受理の後、PMDAは、申請(一部変更申請としての受理をした時点をいう。以下同じ。)から10営業日以内に中等度変更事項としての受付の可否を確認し、結果を承認申請者に伝達する。中等度変更事項に該当しないと判断された場合や、申請資料に重大な不備があり、追加資料提出等による対応が資料提出等指示から30営業日以内には困難と考えられる場合には、承認申請者に伝達の上、通常の一部変更申請に切り替える。
③ 審査
PMDA及び厚生労働省は、申請から40営業日以内に承認の可否を決定する。
ただし、追加の資料や説明が必要な場合、PMDAは、申請から40営業日以内に承認申請者に対して照会事項を送付する。承認申請者は、照会事項の送付日(午後5時以降の場合は、翌営業日とする。)から30営業日以内にPMDAに回答を提出しなければならない。30営業日以内に回答が提出されない場合には、通常の一部変更申請に切り替える。30営業日以内に回答が提出された場合、PMDA及び厚生労働省は、回答の提出日(午後5時以降の場合は、翌営業日とする。)から20営業日以内に承認の可否を決定する。回答の内容が十分ではない場合など、更に審査に時間を要する場合には、通常の一部変更申請に切り替える。
④ 適合性書面調査
適合性書面調査を必要とする申請の場合は、審査と並行して適合性書面調査を受けること。
新医薬品については、調査用資料は、①の承認申請時に提出すること。PMDAは、申請から15営業日以内に適合性書面調査の実施日等を通知する。
後発医薬品については、②の受付後、調査対象資料を決定し、提出すべき資料の範囲及びその提出方法(電子ファイルでの提出又は原本(生データ)での提出)を承認申請者に対し連絡する。承認申請者は当該連絡のあった日から5営業日以内に調査資料をPMDAに提出すること。
調査用資料の不足や説明が必要な点を認めた場合の手続は、③に準じる。
4 その他
(1) 本試行においては、中等度変更迅速審査に係る申請の受付件数については、PMDA全体で月15件程度、各審査部で月1~2件程度を目安として先着順とすることとし、これを超えた場合は中等度変更迅速審査を利用できない場合がある。
(2) 3.(1)①により特定した事項について、中等度変更迅速審査による申請を行う場合、可能であれば、申請予定日の1~2週間前を目安にPMDA担当審査部宛てに申請予定を架電等で連絡することが望ましい。
(3) 一部変更申請があった場合は、通常、申請前に提出されていた軽微変更届出の内容を一部変更申請の際に合わせて確認するが、中等度変更迅速審査に係る申請があった場合には、申請前に提出されていた軽微変更届出の内容については、確認しないこととする。なお、当該承認申請が通常の一部変更申請に切り替えられた場合は、申請前に提出されていた軽微変更届出(変更点となる大項目が重複するもの)の内容についても確認することとする。
[別添]
試行における中等度変更事項の対象
1 原薬、添加剤、製剤の規格及び試験方法
① 確認試験が複数設定されており、そのすべてを実施しなくとも構造確認が可能な場合の、確認試験の一部削除(例:IR法、UV法及びHPLC法が確認試験として設定されており、要件を満たす品目での、UV法の削除)
② 官能試験の削除(小児用製剤等、一定の風味を有することが重要な製剤を除く。)
③ 日本薬局方非収載品のうち、欧米英薬局方適合品について、海外薬局方の改正に伴う変更
(提出資料:分析法の妥当性確認結果、実測値及び海外薬局方の写し)
④ 別紙規格品から国内公定書適合品への変更(ヒトPKへの影響がないことを確認できている場合に限る。)
⑤ 試験原理は変更せず、試験条件、試料溶液等の調製法のみ変更する場合(分析性能及び規格値が同等以上の場合に限り、機器更新に伴う変更を含む。)
2 原薬及び製剤の貯蔵方法及び有効期間
① 承認書上コミットメントが設定されていない品目における実測値に基づく有効期間又はリテスト期間の延長(ただし、ICH Q1Eガイドラインによる外挿は不可。)
② 実測値に基づく保存条件の変更
③ 実測値に基づく有効期間からリテスト期間への変更
3 製造方法
① 変更に伴うリスクが中等度と判断できる工程管理の変更又は削除(一変対象事項として承認されたものに限る。)
② 軽微変更届出対象とされた工程管理項目又は工程パラメータの削除
③ 非無菌原薬・非無菌添加剤の粉砕工程のみを行う製造所の追加(当該製造所に係る利用可能なGMP適合性調査結果通知書又は当該製造所に対し交付された基準確認証の写しを提出可能な場合に限る。)
④ 非無菌原薬・非無菌製剤の一次包装工程以降を行う製造所の追加(当該製造所に係る利用可能なGMP適合性調査結果通知書又は当該製造所に対し交付された基準確認証の写しを提出可能な場合に限る。)
4 その他
① 品目Aに対し原薬又は製剤(原薬と製剤の両方の審査の場合を含む。)及びそれら中間体に係る審査が行われた後、変更点が共通する別品目Bにて同内容の変更を行うための軽微ではない変更(ただし、品目Aの承認後に品目Aに対する軽微変更届が提出され、審査時点から承認書記載内容が変更されている場合を除く。なお、品目Bの製造所として、品目Aを製造する製造所を追加する変更については、品目Aに係る利用可能なGMP適合性調査結果通知書又は基準確認証の写しを提出可能な場合に限る。)
(別記)
日本製薬団体連合会
日本製薬工業協会
米国研究製薬工業協会在日執行委員会
一般社団法人欧州製薬団体連合会
独立行政法人医薬品医療機器総合機構