添付一覧
○治験及び製造販売後臨床試験における情報通信機器等により電磁的記録として収集された情報を用いた有効性及び安全性の評価に関する留意点について
(令和6年9月20日)
(/医薬薬審発0920第1号/医薬機審発0920第1号/)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬局医薬品審査管理課長・厚生労働省医薬局医療機器審査管理課長通知)
(公印省略)
医薬品、医療機器及び再生医療等製品(別添において「医薬品等」という。)の治験並びに製造販売後臨床試験の実施に当たっては、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)、医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成17年厚生労働省令第36号)及び再生医療等製品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成26年厚生労働省令第89号)(別添において「GCP省令」という。)に基づき、実施することとされています。
今般、近年の情報通信技術の進展及び当該技術を活用した治験の分散化・効率化の観点を踏まえ、電磁的方法を用いた有効性及び安全性の評価に関する留意点を、別添のとおりとりまとめましたので、御了知の上、貴管下関係事業者、医療機関等に周知いただきますようお願いします。
なお、本通知の写しについて、別記の関係団体、独立行政法人医薬品医療機器総合機構及び各地方厚生局宛てに発出しますので、念のため申し添えます。
別記
日本製薬団体連合会
日本製薬工業協会
米国研究製薬工業協会在日執行委員会
一般社団法人欧州製薬団体連合会
公益社団法人日本医師会
公益社団法人日本歯科医師会
公益社団法人日本薬剤師会
一般社団法人日本病院薬剤師会
公益社団法人日本看護協会
一般社団法人日本CRO協会
日本SMO協会
一般社団法人日本医療機器産業連合会
一般社団法人再生医療イノベーションフォーラム
一般社団法人米国医療機器・IVD工業会
欧州ビジネス協会医療機器・IVD委員会
医薬品医療機器等法登録認証機関協議会
公益社団法人全国自治体病院協議会
一般社団法人日本病院会
公益社団法人全日本病院協会
一般社団法人日本医療法人協会
公益社団法人日本精神科病院協会
総務省自治行政局公務員部福利課
文部科学省高等教育局医学教育課
防衛省人事教育局衛生官付
日本郵政株式会社事業部門病院管理部
健康保険組合連合会
国家公務員共済組合連合会
一般財団法人船員保険会
公益社団法人全国国民健康保険診療施設協議会
全国厚生農業協同組合連合会
日本赤十字社
独立行政法人労働者健康安全機構
独立行政法人国立病院機構
独立行政法人地域医療機能推進機構
(別添)
治験及び製造販売後臨床試験における情報通信機器等により電磁的記録として収集された情報を用いた有効性及び安全性の評価に関する留意点
※本文書中、医師主導治験においては、「治験依頼者」を「自ら治験を実施する者」、製造販売後臨床試験においては、「治験」を「製造販売後臨床試験」とそれぞれ読み替えるものとする。
1 本ガイダンスの位置づけ
治験において、情報通信機器等を用いて、被験者からデータを収集し、有効性及び安全性の評価を行うことが可能となっている。本ガイダンスは、それらを行う場合の留意点をとりまとめたものである。本ガイダンスは現時点における考え方を示すものであり、技術の進展等を踏まえて見直しが必要になることもある。
なお、治験の実施に当たっては、本ガイダンスのほか、関連の通知、ガイドライン等を適宜参照するほか、個別の事例における取扱いについて不明な点等がある場合には、必要に応じて、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に相談されたい。
2 本ガイダンスに用いられる用語の定義
情報通信機器等
被験者に関するデータを電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)として収集し、電気通信回線を通じて情報を送信することが可能な機器。専ら通信を行う機器と通信機能を備えた機器があり、ビデオ通話システム、モバイルデバイス、ウェアラブルデバイス等が該当する。
ビデオ通話システム
映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることを可能とするシステム。
情報通信機器等により電磁的記録として収集された情報を用いた有効性及び安全性の評価
被験者に関するデータを、情報通信機器等を用いて電磁的記録として収集し、収集したデータをもとに当該治験における有効性及び安全性の評価を行うこと。例えば、次のような場合が考えられる。ただし、これらに限定されるものではない。
① 治験責任医師等が情報通信機器等を使って被験者の問診、診察を行う。この際、被験者が自ら情報通信機器等を使用して、症状等を申告することもある。
② 被験者が自らウェアラブルデバイス等の情報通信機器等を使用して、そのデータを治験責任医師等に送信する。なお、ウェアラブルデバイス等については、薬事承認が得られている範囲内で利用するものと薬事承認が得られておらず適切な品質保証や精度管理を実施して使用するものがある。
適合性調査
医薬品等の承認申請資料の適合性書面調査及びGCP実地調査等
3 基本的な考え方
(1) 情報通信機器等により電磁的記録として収集された情報を用いた有効性及び安全性の評価については、治験開始前に実施の妥当性を検討すること。実施の妥当性の検討に当たっては、対象被験者及び試験デザインのほか、臨床評価に伴うリスク、個人情報の取扱いに関するリスク等(以下「情報通信機器等を用いた評価に伴うリスク」という。)を考慮する必要があり、必要に応じて、各領域の有識者や規制当局に意見を求めること。実施が妥当であると判断された場合、治験実施計画書に規定した上で、情報通信機器等により電磁的記録として収集された情報を用いた有効性及び安全性の評価を実施して差し支えない。
なお、情報通信機器等を用いた評価に伴うリスクの例として、次に掲げるものが考えられる。ただし、これらに限定されるものではない。
ア 臨床評価に伴うリスク
・ 情報通信機器等のトラブル、通信障害等による測定値への影響(機械的要因)
・ 不適切な使用方法や不適切な測定タイミング等による測定値への影響(人的要因)
・ 情報通信機器等の性能の差異、通信環境や測定環境の差異、被験者ごとの機器の操作法の違いや情報通信機器等へのリテラシーの差異等による測定値のばらつき・バイアス、有害事象の申告の多寡、データ取得のタイミングのずれなど
・ 被験者等本人ではない者があたかも被験者等本人であるかのように不正に入力・修正等を行うなりすまし行為
・ 機械的要因又は人的要因による記録の保存不備、記録の誤消去
・ 薬事承認が得られていないウェアラブルデバイス等を利用しデータを収集する場合の適切な品質や精度
イ 個人情報の取扱いに関するリスク
・ 情報通信機器等のセキュリティ
・ 評価実施時の被験者のプライバシー確保(被験者の所在等)
(2) 「治験の依頼をしようとする者による薬物に係る治験の計画の届出等に関する取扱いについて」(令和2年8月31日付け薬生薬審発0831第10号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)等(以下「治験届通知等」という。)に記載の通り、情報通信機器等が「治験使用機器相当」に該当する場合、国内外の承認の有無を問わず、以下を実施の上で情報通信機器等を治験にて使用すること。
① 治験使用機器相当として使用する場合には、治験届通知等に則り治験届に記載すること。
② 治験使用機器相当の情報通信機器等の不具合が生じた場合には、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号)第274条の2に則り、期間内にその旨を厚生労働大臣に報告すること。
(3) 情報通信機器等により情報収集する場合においても、来院を基本とした治験と同様に適切に安全性を確保する必要があり、特に治験実施医療機関から遠隔地にいる被験者について必要に応じて検討すること。
(4) 情報通信機器等が医療機関内の医療情報システムと通信などを行う場合や、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版」(令和5年5月厚生労働省)(以下「医療情報システムガイドライン」という。)、「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン 第1.1版」(令和2年8月策定令和5年7月改訂総務省、経済産業省)で対象とする医療情報システム及び医療情報を取り扱う情報システムに該当する場合、これらのガイドラインを遵守すること。
4 留意事項等
(1) ビデオ通話システムを介した有効性及び安全性の評価
ア 妥当性・同等性
① 治験依頼者は、ビデオ通話システムを介した評価と対面での評価が同等であること等、ビデオ通話システムを介した有効性及び安全性の評価を実施することの妥当性について説明できるようにしておくこと。
② 治験依頼者は、ビデオ通話システムを介した評価と対面での評価を組み合わせた治験実施計画とする場合、両者の有効性評価に関する同等性について事前に検討すること。なお、安全性評価に関する同等性については、情報通信機器等を用いた評価に伴うリスクに基づき、ビデオ通話システムでは、対面と比較して得られる情報が限定される可能性があることから、対面での評価とビデオ通話システムを介した評価が、同等である必要があるのか若しくは同等でなくても適切に評価可能かどうかについても検討すること。
③ ビデオ通話システムを介した評価の方法や基準等が治験中にやむを得ない理由で変更となる場合には、治験依頼者はその妥当性について説明できるようにしておくこと。
イ 実施可能性
① 治験依頼者は、必要に応じて、ビデオ通話システムを治験実施計画書で定める通りに使用することが可能であるかについて確認する(例えば、治験対象群と類似した集団に対して試験を実施する等)こと。必要に応じて有識者や規制当局等を交えて検討、協議すること。
② 治験責任医師は、計画されたビデオ通話システムを介した有効性及び安全性の評価が受け入れ可能であるかを事前に確認すること。受け入れに課題がある場合には、その解決策について治験依頼者と検討すること。
ウ データの信頼性担保
① ビデオ通話システムを介した評価を実施する治験の場合、治験責任医師等は、評価実施日時及び評価者に加え、対面での評価かビデオ通話システムを介した評価かを記録しておくこと。
② 治験依頼者は、生じ得る情報通信機器等を用いた評価に伴うリスクを考慮した上で、治験責任医師が規定したビデオ通話システムを介した有効性及び安全性の評価における被験者の本人確認の方法を予め確認すること。また、治験責任医師等は、規定に従って本人確認の記録を残すこと。本人確認の方法については「治験及び製造販売後臨床試験における電磁的方法を用いた説明及び同意に関する留意点について」(令和5年3月30日付け薬生薬審発0330第6号・薬生機審発0330第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長及び医療機器審査管理課長連名通知)(以下「「電磁的方法を用いた説明及び同意」に関するガイダンス」という。)を参照すること。
③ 治験責任医師等や治験協力者は、治験中に被験者等に対して利用方法等の遵守状況を確認するとともに、被験者等に対し治験手順を遵守させるよう努めること。
(2) モバイルデバイスやウェアラブルデバイス等を用いたデータの収集並びに有効性及び安全性の評価
ア 妥当性
治験依頼者は、情報通信機器等を用いた評価に伴うリスクを考慮し、モバイルデバイスやウェアラブルデバイス等を使用することの妥当性について説明できるようにしておくこと。
イ 実施可能性
治験依頼者は、必要に応じて、被験者等や治験責任医師等、モバイルデバイスやウェアラブルデバイス等を利用する者が、治験実施計画書で定める通りに使用することができるかについて確認する(例えば、治験対象群と類似した集団で確認する等)こと。必要に応じて有識者や規制当局等を交えて検討、協議すること。
ウ データの信頼性担保
① モバイルデバイスやウェアラブルデバイス等を用いる場合、治験依頼者は、生じ得る情報通信機器等を用いた評価に伴うリスクを考慮した上で、モバイルデバイスやウェアラブルデバイス等の利用者が、利用者本人であることの確認方法を規定すること。治験責任医師等や治験協力者は、治験中に被験者等に対して利用方法等の遵守状況を確認するとともに、被験者等に対し治験手順を順守させるよう努めること。
② モバイルデバイスやウェアラブルデバイス等から得られるデータは、GCP省令の記録の保存に係る規定(医薬品GCPの場合、第26条及び第41条)を遵守し適切に保存すること。
③ 市販されたモバイルデバイスやウェアラブルデバイス等を使用する場合、メーカーによるソフトウェアやオペレーティングシステム、データ処理を行うアルゴリズムの更新がデータ収集に影響を及ぼす可能性がある。更新を行う場合、治験依頼者は、当該情報通信機器等に適用される更新内容に対するリスクを評価し、評価結果やその内容に応じて適切な対策を講ずること。また、事後に更新が行われたことが判明した場合においても、更新内容によるリスクを評価し、評価結果やその内容に応じて適切な対策を講ずること。
④ 治験依頼者は、適切な品質保証や精度管理を実施することで、正確なデータが取得できることを保証すること。また、必要に応じて、それらの記録を適合性調査時に提示できるようにすること。
エ モバイルデバイスやウェアラブルデバイス等から得られるデータの取扱い
① 取得するデータに含まれる個人情報について、「個人情報の保護に関する法律」(平成15年法律第57号)を遵守し適切に利用・管理すること。
② 治験依頼者は、必要に応じて、データ収集の際に入手される可能性のある安全性情報の取扱い方法を予め定め、副作用またはモバイルデバイスやウェアラブルデバイス等が治験機器相当に該当する場合は、不具合報告を適切に行うことができるように準備すること。
オ 被験者対応
① 治験責任医師等は、当該治験の関係者及び被験者等に対して、情報通信機器等を用いた評価に伴うリスクや妥当性、モバイルデバイスやウェアラブルデバイス等の利用方法、及び故障した場合の対応方法について説明すること。
② 治験依頼者は、治験中の情報通信機器等を用いた評価に係る運用手順について予め規定し、手順書を作成すること。特に、治験中に生じたモバイルデバイス、ウェアラブルデバイスやネットワークのトラブルについて、対策やトラブル時のデータの取扱いを予め定めると共に、治験責任医師等を含む当該治験の関係者及び被験者等に周知すること。
(3) 被験者の安全確保
情報通信機器等を用いた試験をデザインすることにより、従来の試験と比べ来院頻度が減少し、被験者の安全性を確認する機会が減少する場合がある。治験依頼者は、実施する治験のリスクを考慮し、被験者の安全確保の方法を検討の上、被験者に対する緊急時の対応手順を予め定め、治験実施計画書等に反映し、適切な対策を講ずること。治験責任医師等は当該対策について、被験者等に説明すること。
(4) 情報通信機器等の信頼性保証
① 有効性及び安全性の情報収集に用いる情報通信機器等は、医療機器であるかによらず、原則として、「医薬品等の承認又は許可等に係る申請等における電磁的記録及び電子署名の利用について」(平成17年4月1日付け薬食発第0401022号厚生労働省医薬食品局長通知)の別添(以下「ER/ES指針」という。)を遵守し、コンピュータ化・システム・バリデーションが行われていること(例えば、音声・画像等が電磁的記録として保持されないビデオ通話システムは除く)。なお、データが治験依頼者又は実施医療機関に直接電磁的記録により提出又は保管される場合には、ER/ES指針を遵守し、データの信頼性を担保すること。
② 有効性及び安全性の情報収集に用いる情報通信機器等のみならず、情報通信機器等とデータを保存するサーバや、サーバから情報を受信する端末との通信、データ取得プロセスに対するリスクアセスメントも必要となるので留意すること。
③ 治験依頼者は、情報通信機器等により直接データを収集する場合には、監査証跡を含める等により信頼性を担保すること。なお、当該監査証跡は必要に応じ、適合性調査時に提示できるようにすること。
④ 情報通信機器等のバリデーションやベリフィケーションは、情報通信機器等を準備した治験依頼者または実施医療機関(以下「情報通信機器等を準備した者」という。)が妥当性を確認した上で、情報通信機器等の開発企業や第三者機関が実施した結果を利用することでも差し支えない。
⑤ 情報通信機器等が無線通信を利用する場合、原則として「端末機器の技術基準適合認定等に関する規則」(平成16年総務省令第15号)に従い、特定無線設備の技術基準適合証明等のマーク(技適マーク)を取得した無線モジュールを使用すること。
⑥ 情報通信機器等を海外から輸入する場合、関連する法規制を確認した上で、使用すること。
(5) セキュリティ対策
ア 治験責任医師は、治験責任医師等や治験協力者が、ビデオ通話システムを介した有効性及び安全性の評価を行う際、第三者が参加することを防ぐため、治験責任医師等や治験協力者から被験者等につなげる対応を講じること。対応の例として、以下が想定される。また、治験責任医師等や治験協力者は、他の患者に音声が漏れ聞こえないことを確認する等、被験者等のプライバシーに配慮すること。
・被験者等が指定されたドメインへアクセスし、治験責任医師等や治験協力者がシステム上でアクセス許可の操作を行う
・被験者等のみに対してアクセス可能な方法を通知する(登録された被験者のメールアドレスにURLを送付し、被験者等はそこからアクセスする等)
イ 情報通信機器等を準備した者は、情報通信機器等について、情報通信機器等の開発企業及び潜在的な他の当事者とのデータ共有を可能にするエンドユーザーライセンス契約またはサービス利用規約が含まれる場合、以下の対応について検討すること。
・ 原則として、情報通信機器等を準備した者と情報通信機器等の開発企業との契約において、当該治験から得られたデータの二次利用を禁止すること。禁止できない場合には、被験者等に対して、情報通信機器等の開発企業等に治験中のデータが情報通信機器等の改良等に二次利用される可能性があることを適切に説明し、二次利用の目的や提供範囲について同意を取得すること。また、被験者等自身の保有する情報通信機器等にアプリケーションをインストールして使用する場合も同様に対応すること。
ウ 情報通信機器等のセキュリティ対策については、「電磁的方法を用いた説明及び同意」に関するガイダンスを参照すること。
また、医療機器のサイバーセキュリティについては、「薬事法第41条第3項の規定により厚生労働大臣が定める医療機器の基準の一部を改正する件」(令和5年厚生労働省告示第67号)による改正後の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第41条第3項の規定により厚生労働大臣が定める医療機器の基準」(平成17年厚生労働省告示第122号。以下「基本要件基準」という。)に規定されている第12条第3項への適合が必要である。「医療機器の基本要件基準第12条第3項の適用について」(令和5年3月31日付け薬生機審発0331第8号厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長通知)及び「医療機器の基本要件基準第12条第3項の適合性の確認について」(令和5年5月23日付け薬生機審発0523第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長通知)を確認すること。
(6) 利用時の操作説明
ア 情報通信機器等を準備した者は、有効性及び安全性の情報収集に用いる情報通信機器等の利用方法について、情報通信機器等を利用する者に説明するための手順書および教育・訓練環境を整備すること。
① 情報通信機器等を準備した者は、情報通信機器等を利用する者に対する情報通信機器等の利用方法や情報漏洩・不正アクセス等のセキュリティリスクについての教育・訓練用の資料を作成する等、適切に対応できるように準備すること。
② 情報通信機器等を準備した者は、情報通信機器等の利用方法について明確化した、被験者等への説明資料を作成すること。治験責任医師等は、被験者等への情報通信機器の利用方法、および情報通信機器等を用いた評価に伴うリスクを予め被験者等に説明すること。
③ 情報通信機器等を準備した者が情報通信機器等の開発企業を通じて教育・訓練資料を作成する場合、教育・訓練資料に対して当該情報通信機器等を準備した者がその責任を持つこと。
④ 治験責任医師等、治験協力者及びその他の実施医療機関における治験関係者に対する情報通信機器等の利用方法の説明においては、必要に応じて当該情報通信機器等の開発企業等が介在することも差し支えない。ただし、GCP省令の説明文書に係る規定(医薬品GCPの場合、第50条)に定められた被験者等に対する説明については、当該開発企業等が行うことはできない。
イ 情報通信機器等を準備した者は、運用手順として、情報通信機器等に不慣れな者に配慮した対応を検討しておくこと。
① 情報通信機器等の操作やそれを用いたコミュニケーションに対する理解や慣れは個々人によって大きく異なることが想定されるため、情報通信機器等を利用する者が適切に操作を行えるよう、操作方法の事前説明、教育・訓練、通信トラブル等への対応を検討しておくこと。
② 必要に応じて、被験者等が行う情報通信機器等の操作を、治験責任医師等や治験協力者が同席して補助することも検討すること。ただし、被験者等が行うべき操作を治験責任医師等や治験協力者が行うことがないよう留意すること。
③ 被験者等が実施医療機関から情報通信機器等の利用方法について説明を受けた後に生じた情報通信機器等のトラブルに対処するため、情報通信機器等を準備した者は、適切に対応できる方策を講じておくこと。その場合、情報通信機器等を準備した者は、必要に応じて、被験者等からの問い合わせの対応に時差や言語等によって時間がかかることがないよう対策を検討すること。また、情報通信機器等を準備した者が治験依頼者の場合、実施医療機関と連携し、対応すること。
④ ヘルプデスクを設置する際には、問い合わせ内容と対応について、実施医療機関への共有方法について定めた上で設置すること。
ウ 実施医療機関は、必要に応じて、情報通信機器等の導入・利用において、治験依頼者(情報通信機器等を準備した場合)あるいは情報通信機器等の開発企業との窓口となる者を置くこと。