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○医療用医薬品の供給停止及び薬価削除について

(令和6年8月7日)

(/医政産情企発0807第1号/保医発0807第2号/)

(医療用医薬品製造販売業者代表者あて厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課長、厚生労働省保険局医療課長通知)

(公印省略)

平素より、厚生労働行政につきまして格別のご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。

標記の件については、「医療用医薬品の供給について」(昭和51年4月1日付薬発第328号厚生省薬務局長通知)及び「医療用医薬品の供給に関する報告について」(昭和51年4月1日付薬経第26号厚生省薬務局経済課長通知)(以下「昭和51年通知」という。)において、製造販売業者が医療用医薬品の供給を停止しようとする場合に、あらかじめ当該業者から厚生省(当時)宛に医療用医薬品供給停止品目の事前報告書(以下「供給停止事前報告書」という。)を提出することを示しており、また「医療用医薬品の供給停止について」(平成10年10月7日付経第56号厚生省健康政策局経済課長通知)において、昭和51年通知の周知徹底を行うとともに、医療用医薬品の供給の停止(以下「供給停止」という。)を計画していることに関して医療機関等への説明が概ね終了したと製造販売業者が判断した段階において、薬価基準収載品目削除願(以下「薬価削除願」という。)を厚生省(当時)宛に提出することを示しているところです。

さらに、「「医療用医薬品の供給停止について」の一部改正について」(令和2年9月30日付医政経発0930第2号厚生労働省医政局経済課長通知)において、供給停止事前報告書及び薬価削除願の様式の見直しを行うとともに、「薬価基準既収載品の承継等に関する薬価基準上の事務手続きの見直しについて」(令和2年9月30日付厚生労働省医政局経済課事務連絡)において、供給停止事前報告書及び薬価削除願の提出に関する手続きを示したところです。

今般、「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」において、後発医薬品産業全体の構造的な問題として、「比較的中小規模の企業が多く生産能力や生産数量が限定的な中で、比較的収益性の高い新規製品の薬価収載を繰り返し、容易に市場から撤退することができないという医薬品特有の事情もあいまって、少量多品目生産が広がっていること、そのことが生産の非効率等の問題を招いている」という課題が指摘されました。これを受け、「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」における議論を踏まえ、少量多品目生産の適正化の観点から、薬価基準に収載された医療用医薬品について、供給停止及び薬価基準からの削除(以下「薬価削除」という。)を製造販売業者が希望する場合の手続きの明確化を図るとともに、一定の条件の下でその手続きを簡素化することとなり、下記のとおり医療用医薬品の供給停止及び薬価削除に係る手続きを定めました。

なお、本通知は令和6年9月中旬以降に厚生労働省に対し供給停止事前報告書が提出される医療用医薬品に対し適用されます。ただし、下記のうち「4.承継品目について」及び「5.代替新規について」については、令和6年12月以降に厚生労働省に対し薬価削除願が提出される医療用医薬品に対し、「6.G1品目について」については、2025年度以降に薬価削除願が提出される医療用医薬品に対し、また、「7.経過措置期間の延長について」については、2025年度以降に経過措置期間の延長願が提出される医療用医薬品に対し、それぞれ適用されます。

1.本通知の対象範囲

医療用医薬品の製造販売業者は、薬価基準に収載された全ての医薬品について、供給停止及び薬価削除を希望する場合、本通知に従い手続きを進めること。

また、これまで医療需要に応えてきた医薬品が製造販売業者の経営事情等により製造又は輸入が行われず突然供給停止されることは国民医療に重大な支障をきたすことから、厚生労働省が薬価削除に係る経過措置への移行(以下「経過措置移行」という。)のための手続きを行うまでは、製造販売業者は供給継続をできる体制を維持することとし、これを前提にスケジュール上の余裕をもって本手続きを進めること。加えて、供給停止事前報告書を提出する時点において、実質的に医薬品を供給停止している又は医薬品の供給停止について製造販売業者として方針を変更できないという状況を招くことは厳に慎むとともに、このような状況となるおそれが生じた時点で厚生労働省に相談すること。

2.具体的な手続き

(1) 製造販売業者は、供給停止及び薬価削除を希望する品目について、その代替品(必ずしも同一成分の品目に限らず、臨床上の位置付けが同じものも含む。また、普通錠及び口腔崩壊錠(OD錠)は互いに代替品として扱うこととする。以下同じ。)を有する製造販売業者(以下「代替供給企業」という。)に対し説明を行い、代替供給企業がそのシェア(同一成分、剤形、含量及び効能内のシェアをいう。)に相当する数量を代替供給することについて、代替供給企業から文書(以下「代替供給了承文書」という。)による了承を得る。なお、以下の点に留意すること。

(留意事項)

○ 代替供給了承文書については、代替供給企業に対し、別添参考様式1を参考に作成を依頼すること。代替供給企業が自社である場合も同様とする。

○ 供給停止及び薬価削除を希望する医療用医薬品が先発品であり、その代替品がその後発品となる場合には、当該先発品の製造販売業者及び当該後発品の製造販売業者は、当該先発品の製造販売業者が有する社内資料の引継ぎ等に係る協議を行うこと。

(2) 製造販売業者は、供給停止及び薬価削除を希望する品目について、そのシェア及び代替品について学会に対し説明を行い、当該品目の供給停止に向けた手続きを行うことを、学会から文書(以下「学会了承文書」という。)による了承を得る。なお、次に掲げるア)からウ)までのうち、該当する全ての学会から当該了承を得ること。

ア) 次に掲げる学会のうち、対象品目の使用が想定される学会

日本内科学会/日本小児科学会/日本感染症学会/日本消化器病学会/日本循環器学会/日本精神神経学会/日本外科学会/日本整形外科学会/日本産科婦人科学会/日本眼科学会/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会/日本皮膚科学会/日本泌尿器科学会/日本腎臓学会/日本医学放射線学会/日本化学療法学会/日本麻酔科学会/日本脳神経外科学会/日本形成外科学会/日本臨床検査医学会/日本消化器内視鏡学会/日本胸部外科学会

イ) 小児領域など、対象品目が臨床現場において保険適用外で使用されていることを製造販売業者が把握している場合、その使用が想定される学会

ウ) ア)及びイ)のほか、製造販売業者が把握している、対象品目の使用が想定される学会

また、以下の点に留意すること。

(留意事項)

○ 学会了承文書については、学会に対し、別添参考様式2を参考に作成を依頼すること。

○ 学会における標準検討期間は3ヵ月とし、それを前提に余裕をもって必要な対応ができる十分な期間を設けて学会に対し検討依頼を行うこと。

ただし、供給停止を希望する品目が、代替品が存在し、かつ過去5年間の平均シェアが3%以下の品目(以下「被代替可能シェア寡少品目」という。)に該当すると製造販売業者が判断する場合は、学会に対する当該品目の供給停止に関する検討依頼及び学会からの学会了承文書の受領を行わなくてもよい。

(3) 代替供給企業及び学会からの了承が得られた品目について、製造販売業者は、厚生労働省に対して供給停止事前報告書、代替供給了承文書及び学会了承文書を、以下の提出先へメールで提出する。ただし、供給停止を希望する品目が被代替可能シェア寡少品目に該当すると製造販売業者が判断する場合は、学会了承文書の提出を要しない。提出された資料については厚生労働省が確認し、内容に不備があるものについては受理しない。その場合、厚生労働省から連絡を行うので、それに従うこと。なお、以下の点に留意すること。

(提出先)yakka-sakujyo@mhlw.go.jp

(提出資料)

・ 供給停止事前報告書(別添様式1)

・ 代替供給了承文書

・ 学会了承文書(被代替可能シェア寡少品目に該当すると製造販売業者が判断する場合は不要)

(留意事項)

○ 供給停止事前報告書を提出する場合は、有効成分及び剤形ごとにファイルを作成すること。

○ メールの件名及びファイル名については、「企業名【正本】供給停止事前報告書(品目名)」とすること。ただし、複数品目について一度に提出する場合は、メールの件名中「(品目名)」の部分については、代表品目名1つ及び「他●品目」とすること。

○ 提出する電子媒体は、Wordファイル形式とすること。

○ 供給停止を希望する品目が被代替可能シェア寡少品目に該当すると製造販売業者が判断する場合、供給停止事前報告書にその旨明示すること。

その場合、必要に応じて厚生労働省は各種統計情報等を活用してシェアの確認を行うが、その結果当該品目が被代替可能シェア寡少品目に該当しないと判断した場合、当該供給停止事前報告書を内容に不備があるものとして取り扱う。

(4) 製造販売業者から供給停止事前報告書が提出された品目について厚生労働省が関係学会に対し供給停止の意見聴取をした際、厚生労働省は製造販売業者に対し、その旨を知らせるメールを送付する。当該意見聴取は、(2)ア)に掲げる学会に対し、年4回(4、7、10、1月頃)、2~3ヵ月程度の期間をかけて行う。なお、以下の点に留意すること。

(留意事項)

○ 当該意見聴取において、供給停止事前報告書の内容に疑義が生じた場合には、個別に照会を行う可能性があるので、製造販売業者は適切に対応すること。

(5) 関係学会への意見聴取が完了した品目について、厚生労働省は製造販売業者に対し、医療機関及び薬局に対して当該品目の販売中止に係る情報提供を行うことを了承する旨のメールを送付する。一方で、関係学会から供給継続要望が提出された品目については、要望内容等について厚生労働省から連絡するので、製造販売業者において今後の対応について検討を行うこと。製造販売業者による検討の結果供給を継続することとした場合又は当該学会からの供給継続要望が取り下げられた場合には、その旨を厚生労働省に連絡すること。

(6) 医療機関及び薬局に対して販売中止に係る情報提供を行うことが了承された品目について、製造販売業者は、医療機関及び薬局に対し、当該品目の販売中止に係る情報提供を行う。当該情報提供が終了したと製造販売業者が判断した段階において、製造販売業者は、厚生労働省に対して薬価削除願及び販売中止について医療機関及び薬局へ情報提供した案内文書等を、以下の提出先へメールで提出する。提出された資料については厚生労働省が確認し、内容に不備があるものについては受理しない。その場合、厚生労働省から連絡を行うので、それに従うこと。なお、以下の点に留意すること。

(提出先)yakka-sakujyo@mhlw.go.jp

(提出資料)

・ 薬価削除願(別添様式2)

・ 販売中止に関する案内文書等

(留意事項)

○ メールの件名及びファイル名については、「企業名【正本】薬価削除願(品目名)」とすること。ただし、複数品目について一度に提出する場合は、メールの件名中「(品目名)」の部分については、代表品目名1つ及び「他●品目」とすること。

○ 提出する薬価削除願は、Wordファイル形式とすること。

○ 医療機関及び薬局における対象品目の在庫状況、使用期限等を考慮し、医療機関及び薬局が余裕をもって必要な対応ができる十分な期間を設けて周知を行った上で、薬価削除願を提出すること。

○ 被代替可能シェア寡少品目に該当する品目については、薬価削除願にその旨明示すること。

(7) 製造販売業者から薬価削除願が提出された品目について厚生労働省が関係学会に対し経過措置移行の意見聴取をした際、厚生労働省は製造販売業者に対し、その旨を知らせるメールを送付する。当該意見聴取は、(2)ア)に掲げる学会に対して、年2回(9、12月頃)、1~2ヵ月程度の期間をかけて行う。ただし、被代替可能シェア寡少品目については、関係学会への経過措置移行の意見聴取は行わない。

(8) 関係学会への意見聴取が完了した品目及び被代替可能シェア寡少品目について、厚生労働省は、中央社会保険医療協議会(以下「中医協」という。)へ報告を行い、製造販売業者に対しその旨を知らせるメールを送付する。

(9) 中医協への報告が完了した品目について、厚生労働省は経過措置移行のための手続きを開始する。なお、以下の点に留意すること。

(留意事項)

○ 経過措置期間は通常最大1年間(10月頃に中医協への報告を行った場合、当該年度の3月末まで、2月頃に中医協への報告を行った場合、翌年度の3月末まで。)であるが、製造販売業者は、経過措置期間の延長申請の活用も含め、使用期限の残存する医薬品が薬価削除されることにより医薬品流通当事者が被り得る不利益等に対して、適切に対応すること。

3.安定供給確保のための少量多品目生産の適正化ついて

薬価削除を希望する品目について、代替供給企業の合意のもと、後発品の安定供給確保のための少量多品目生産の適正化を目指したものと考える場合は、代替供給了承文書において、その旨を明記すること。

4.承継品目について

承継に伴い薬価削除が必要な品目(以下「承継に伴う薬価削除品目」という。)については、「薬価基準既収載品の承継等に関する薬価基準上の事務手続きの見直しについて」(令和2年9月30日付厚生労働省医政局経済課事務連絡)に基づき、手続きを行うこと。なお、当該事務連絡に基づき薬価削除願が提出された承継に伴う薬価削除品目(ただし、統一名収載医薬品の承継に伴い薬価削除が必要な品目を除く。)について、厚生労働省は、当該薬価削除願が12月からその翌年の2月末までに提出された場合、3月頃の中医協へ報告した後、4月頃に経過措置移行の手続きを、当該薬価削除願が3月から5月末までに提出された場合、6月頃の中医協へ報告した後、7月頃に経過措置移行の手続きを、当該薬価削除願が6月から8月末までに提出された場合、9月頃の中医協へ報告した後、10月頃に経過措置移行の手続きを、当該薬価削除願が9月から11月末までに提出された場合、12月頃の中医協へ報告した後、その翌年の3月頃に経過措置移行の手続きを、それぞれ行う。また、承継に伴う薬価削除品目については、本通知2.に定める手続きを要しない。

5.代替新規について

代替新規品目の薬価収載に伴い薬価削除が必要な品目(以下「代替新規に伴う薬価削除品目」という。)について、厚生労働省は、当該薬価削除願が12月からその翌年の5月末までに提出された場合、6月頃の中医協へ報告した後、7月頃に経過措置移行の手続きを、当該薬価削除願が6月から11月末までに提出された場合、12月頃の中医協へ報告した後、その翌年の3月頃に経過措置移行の手続きを、それぞれ行う。また、代替新規に伴う薬価削除品目については、本通知2.に定める手続きを要しない。

6.G1品目について

G1品目(「薬価算定の基準について」(令和6年2月14日中央社会保険医療協議会了解)第3章第3節に規定する品目をいう。)については、原則として「後発医薬品への置換えが進んでいる長期収載品(G1品目)の供給停止等に係る手続について」(平成31年3月29日付厚生労働省医政局経済課事務連絡)に従うこと。なお、当該事務連絡に基づき提出される薬価削除願については、2年に1回(偶数年度)の11月頃のみ提出を認める。ただし、当該事務連絡に基づき早期撤退が認められた品目については、奇数年度の11月頃に薬価削除願を提出することを認める。当該薬価削除願が提出された場合、厚生労働省は、関係学会への報告及びその翌年の2月頃の中医協への報告を行った後、3月頃に経過措置移行の手続きを行う。

7.経過措置期間の延長について

「2.具体的な手続き」、「4.承継品目について」、「5.代替新規について」又は「6.G1品目について」に基づき経過措置移行の手続きが行われた品目において、その経過措置期間の延長を希望する場合は、12月頃に発出される「薬価基準経過措置期間の延長願の提出について」(厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課事務連絡)に基づき、経過措置期間の延長願を提出すること。その場合、厚生労働省は、当該品目の経過措置期間の延長について、その翌年の2月頃の中医協への報告を行った後、3月頃に、さらにその翌年度の3月末までの経過措置期間の延長の手続きを行う。

(参考様式1)

(参考様式2)

(様式1)

(様式2)

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