添付一覧
○第十八改正日本薬局方第一追補の制定に伴う医薬品等の承認申請等に関する質疑応答集(Q&A)について
(令和6年6月25日)
(事務連絡)
(各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて厚生労働省医薬局医薬品審査管理課通知)
標記について別添のとおりとりまとめたので、貴管下関係業者に周知方よろしく御配慮願います。
(別添)
Q1 第十八改正日本薬局方第一追補(以下「第一追補」という。)において、医薬品各条(化学薬品等)の純度試験中の重金属試験やヒ素試験等の個別金属不純物試験が削除となったが、通則34に従って適切な元素不純物管理を行うまでは重金属試験やヒ素試験等の個別金属不純物試験等の実施は必要か。 |
A1
通則34に従った適切な管理を行うまでは第一追補で医薬品各条から削除された全ての重金属試験やヒ素試験等の個別金属不純物試験を引き続き実施する必要がある。
なお、通則34の適用対象外となる製剤及びその構成成分については、引き続き通則33に基づき適切な重金属試験やヒ素試験等の個別金属不純物試験を行う必要がある。以下の事務連絡も合わせて参照すること。
・元素不純物の取扱いに関する質疑応答集(Q&A)について(令和6年6月25日付け厚生労働省医薬局医薬品審査管理課事務連絡)QA30~QA32
Q2 第一追補において、医薬品各条より重金属試験及び個別金属不純物試験が削除されたが、その代わりにロット毎又は定期の元素不純物に関する分析が必要となるのか。 |
A2
元素不純物に関する分析の頻度について、リスクアセスメントにより製造設備の経年劣化等も含めて妥当性を説明でき、一貫して管理閾値以下で製造可能と判断できる場合、規格及び試験法又は工程内試験の設定といった日常的な分析管理、定期的な分析又はリスクの再評価は要しない。なお、原薬、添加剤等、その製造方法、設備・器具、容器施栓系又は施設の変更等が生じた際には、適切にリスクアセスメントを行い、リスクアセスメントの結果に基づき管理の要否を検討し、必要に応じて管理戦略を見直す必要がある。
Q3 通則34に基づき、原薬製造所において元素不純物管理を行った場合には、製剤製造所における受入試験から医薬品各条で規定された重金属試験やヒ素試験等を削除してもよいか。 |
A3
通則34は、原薬の他、添加剤等の構成成分を含む製剤の規定である。製剤製造所において、通則34に従い、他の構成成分を含めて適切に元素不純物管理できる場合は、第一追補に合わせて受入試験から重金属試験やヒ素試験を削除することは差し支えない。なお、原薬、添加剤等、その製造方法、設備・器具、容器施栓系又は施設の変更等が生じた際には、適切にリスクアセスメントを行い、リスクアセスメントの結果に基づき管理の要否を検討し、必要に応じて管理戦略を見直す必要がある。
なお、製造販売業者以外の業者のリスクアセスメント結果の使用については、以下の事務連絡も合わせて参照すること。
・元素不純物の取扱いに関する質疑応答集(Q&A)について(令和6年6月25日付け厚生労働省医薬局医薬品審査管理課事務連絡)QA13
Q4 「規格及び試験方法」欄の標準物質として、一般試験法9.41 試薬・試液に収載された日局各条の原薬(例:日局●●(原薬名)に適合するもの.)が設定される場合、標準物質に関しても同様に重金属試験やヒ素試験等を行わずに、標準物質として用いることでよいか。 |
A4
日本薬局方(日局)に収載の医薬品各条を引用する日局収載試薬については、日局医薬品各条の改正に基づき重金属試験やヒ素試験等を行うことは必ずしも要しない。試験の目的に応じて適切な規格を設定すること。
Q5 第一追補において、通則34による元素不純物管理の適用対象となる製剤で使用される原薬や添加剤の医薬品各条でも、重金属試験やヒ素試験等の個別金属不純物試験が規定されているものがある。一般試験法2.66 元素不純物に基づく管理を適切に実施できる場合は、第一追補の通則34の規定に従い、これらの試験の実施は要さないという理解でよいか。 |
A5
よい。潜在的に管理が必要と考えられる鉱物由来の重金属等については、引き続き医薬品各条に重金属試験及び個別金属不純物試験等として規定しているが、通則34を適用し、製剤で適切に元素不純物管理を行う場合は、各条に規定された重金属試験等の実施は要さないと判断して差し支えない。なお、原薬、添加剤等、その製造方法、設備・器具、容器施栓系又は施設の変更等が生じた際には、適切にリスクアセスメントを行い、リスクアセスメントの結果に基づき管理の要否を検討し、必要に応じて管理戦略を見直す必要がある。
薬事手続きについては、QA9を参照すること。
Q6 第一追補において、重金属試験や個別金属不純物試験が削除されなかった医薬品各条について、今後削除される可能性はあるのか。 |
A6
削除を見送った重金属試験及び個別金属不純物試験については、適切な検証データと共に改正要望が提出されれば、適宜削除が検討される予定である。
Q7 「第十八改正日本薬局方の制定に伴う医薬品等の承認申請等に関する質疑応答集(Q&A)」のQA1において、生薬を有効成分または添加物として配合した製剤(カンゾウエキスやカンゾウ末を甘味剤や矯味剤として使用する場合など)は適用対象外とあるが、ここでいう有効成分または添加物として配合する生薬は生薬総則及び生薬試験法が適用される各条を指しているという理解で差し支えないか。 |
A7
差し支えない。一般試験法2.66 元素不純物は、製剤に適用される要件であり、適用範囲は製剤の特性に応じて規定される。一方、生薬総則及び生薬試験法が適用されるような各条は、一般試験法2.66 元素不純物に基づく管理が困難であることから、生薬総則1に記載される生薬を成分とする製剤は適用対象外としたところである。例えば、生薬総則及び生薬試験法が適用されない植物油等を成分として含む製剤には、「元素不純物の取扱いに関する質疑応答集(Q&A)について」(令和6年6月25日付け厚生労働省局医薬品審査管理課事務連絡)のQA26の通り、一般試験法2.66 元素不純物は適用される。
Q8 生薬を構成成分とする医薬品について、一般試験法2.66 元素不純物に従い、生薬の構成成分の元素不純物管理を行うことは困難と考えられるが、製剤の構成成分のうち生薬以外の構成成分についてはどのような管理が求められるのか。例えば、生薬以外の構成成分を一般試験法2.66 元素不純物におけるオプション1の許容濃度の30%未満で元素不純物管理を行っている場合でも、医薬品各条に規定された又は削除された重金属試験やヒ素試験等の個別金属不純物試験の実施は必要となるのか。 |
A8
通則34及び一般試験法2.66 元素不純物の適用対象外となる構成成分がある場合は、通則34における「医薬品各条などで規定された重金属,ヒ素などの元素不純物の管理は要しない.」を適用できないことから、生薬以外の構成成分については医薬品各条に規定の規格に加えて通則33の規定に従い重金属試験や個別金属不純物試験を含めて適切な純度試験を設定する必要がある。その場合、改正前の日本薬局方の医薬品各条に規定の重金属試験や個別金属不純物試験の規格を適用することは可能である。
Q9 製剤の製造販売業者が一般試験法2.66 元素不純物に従って元素不純物管理を行い、一貫して管理閾値を超えず、更なる管理は必要ないと判断でき、その原薬及び医薬品添加物の各公定書及び規格集に規定される重金属試験やヒ素等の個別金属不純物試験を省略する場合に、当該製剤の原薬や医薬品添加物が日局品であって承認書上の変更が生じない場合は、薬事手続きは不要と考えて良いか。 |
A9
提示された事例において、原薬や医薬品添加物が日局品であって、医薬品各条の規定から変更する必要がなく承認書上の変更が生じない場合は、薬事手続きは不要である。ただし、令和2年12月28日付け薬生薬審発1228第7号「医療用医薬品に係る元素不純物に取扱いについて」及び令和4年12月12日付け薬生薬審発1212第5号「要指導・一般用医薬品に係る元素不純物の取扱いについて」に従って対応すること。
Q10 承認申請書又はMFにおける「2.00 クロマトグラフィー総論」を適用する試験法の記載については、平成30年3月9日付け薬生薬審発0309第1号「医薬品の品質に係る承認事項の変更に係る取扱い等について」で示されている合理化記載の方針でよいか。 |
A10
当該通知の別添「製造販売承認申請書における規格及び試験方法欄の記載の合理化に関する報告書」の内容を参考とすることは可能である。
Q11 「2.00 クロマトグラフィー総論」の表2.00―1に示されている注入回数及び最大許容相対標準偏差について、令和3年7月30日付け事務連絡「医薬品等の規格及び試験方法に係る変更等に関する質疑応答集(Q&A)(その2)について」のQ3(システム適合性)と同様の対応と理解してよいか。 |
A11
よい。
Q12 感度係数を適用する範囲について、感度係数が0.7~1.3を超える場合ではなく応答係数が0.8~1.2の範囲を超える場合とした理由を知りたい。 |
A12
日本薬局方ではこれまで日本薬局方原案作成要領において感度係数を用いて補正を行う範囲を示してきたが、第十八改正日本薬局方第一追補に収載された「2.00 クロマトグラフィー総論」では吸光度比そのものである応答係数を用いた範囲が示されている。応答係数0.8~1.2の範囲は、小数点以下第2位まで計算して四捨五入することを考慮すると、0.75~1.24の範囲の実測値となり、感度係数に換算すると0.81~1.33となる。従来どおりの感度係数0.7~1.3を用いる場合、0.65~1.34の範囲の実測値となり、「2.00 クロマトグラフィー総論」に規定の応答係数から換算した感度係数0.81~1.33より範囲が広くなることから適切ではない。仮に感度係数を0.8~1.2とした場合でも0.75~1.24の範囲の実測値となり「2.00 クロマトグラフィー総論」と齟齬が生じる。したがって補正を行う範囲を従来の感度係数ではなく応答係数で設定することとした。
Q13 「2.00 クロマトグラフィー総論」の定義では、SN比の計算式のノイズ幅「h」を得るために,標準溶液の調製に使用した溶媒を溶媒ブランクとして使用する必要があり、試料溶液は使用できないとの理解でよいか。 |
A13
よい。
Q14 「2.00 クロマトグラフィー総論」の「4.クロマトグラフィー条件の調整」において、医薬品各条で規定されるクロマトグラフィー条件について「示されている範囲外への変更には、分析法の再バリデーションが必要である.」との記載があるが、示されている範囲内の変更であれば、新たに分析法バリデーションは不要と理解してよいか。 |
A14
「2.00 クロマトグラフィー総論」に示されている範囲内の条件の調整においては、必ずしも参考情報「分析法バリデーション〈G1―1―130〉」にあるすべての分析能パラメーターの評価を求めるものではない。しかし、いかなる調整においても調整後の医薬品各条に規定する試験方法の適合性を検証するために、変更によって影響を受ける可能性のある関連する分析性能特性を評価する必要がある。特に、複数パラメーターの調整は分析システムに対して累積的な影響を及ぼしうるため、十分なリスクアセスメントを行い、その影響を適切に評価する必要がある。
Q15 「2.01 液体クロマトグラフィー」及び「2.02 ガスクロマトグラフィー」の「7.試験条件の変更に関する留意事項」において、医薬品各条に規定する試験条件のうち、カラム内径及び長さ等について、「適切に分析性能の検証を行った上で一部変更することができる」とされているが、この分析性能の検証とは、当該試験が適切に実施できることが確認できれば必ずしも分析法バリデーションの実施を求めるものではないことを確認したい。 |
A15
分析性能の検証とは、当該試験が適切に実施できることが確認できれば、必ずしも参考情報「分析法バリデーション〈G1―1―130〉」にあるすべての分析能パラメーターを用いた分析法バリデーションの実施を求めるものではない。しかし、変更の程度に応じて、その変更が試験結果に及ぼす影響を評価するための作業内容や作業量が異なることに留意し、適切に検証を行う必要がある。参考情報「クロマトグラフィーのライフサイクル各ステージにおける管理戦略と変更管理の考え方(クロマトグラフィーのライフサイクルにおける変更管理)<G1―5―181>」を参考にすること。