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○元素不純物の取扱いに関する質疑応答集(Q&A)について

(令和6年6月25日)

(事務連絡)

(各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて厚生労働省医薬局医薬品審査管理課通知)

元素不純物の取扱いについては、令和2年12月28日付け薬生薬審発1228第7号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知「医療用医薬品に係る元素不純物の取扱いについて」及び令和4年12月12日付け薬生薬審発1212第5号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知「要指導・一般用医薬品に係る元素不純物の取扱いについて」により示しているところです。

今般、医薬部外品にかかる考え方等を新たに追加するとともに、令和6年7月1日以降、元素不純物管理の適用製剤については、元素不純物管理が求められることから、表記について別添のとおりとりまとめましたので、御了知の上、貴管下関係業者に周知をよろしく御配慮願います。

なお、本事務連絡の発出に伴い、令和2年12月28日付け厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課事務連絡「医療用医薬品に係る元素不純物の取扱いに関する質疑応答集(Q&A)について」及び令和4年12月12日付け厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課事務連絡「要指導・一般用医薬品に係る元素不純物の取扱いに関する質疑応答集(Q&A)について」は廃止します。

(別添)

1.適用範囲等

Q1:

どのような製剤が元素不純物による管理を求められるか。

A1:

平成27年9月30日付け薬食審査発0930第4号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知「医薬品の元素不純物ガイドラインについて」(以下「ガイドライン通知」という。)の別添の2.ガイドラインの適用範囲や日本薬局方(以下「日局」という。)の一般試験法〈2.66〉元素不純物2.適用の記載範囲の医薬品製剤が対象となる。具体的には、精製されたタンパク質及びペプチド(遺伝子組換え又は非組換え細胞培養発現系により製造されるタンパク質やペプチドを含む)、それらの誘導体及びそれらが構成成分である製品(例、コンジュゲートなど)を含有する製剤、合成されたペプチド、ポリヌクレオチド及びオリゴ糖類を含有する製剤も同様に適用範囲となる。

一方、生薬、放射性医薬品、ワクチン、細胞の代謝産物、DNAを構成成分とする医薬品、アレルゲン抽出物、細胞、全血、細胞性血液成分、血漿、血漿分画製剤、血液製剤、体循環に移行しない透析液、遺伝子(遺伝子治療)、細胞(細胞療法)及び組織(組織工学)に基づいた製品には適用されない。また、薬理作用を目的として製剤に添加された元素には適用されない。

Q2:

日局の一般試験法〈2.66〉元素不純物の適用対象となる製剤として、「精製されたタンパク質及びペプチド(遺伝子組換え又は非遺伝子組換え細胞培養発現系により製造されるタンパク質及びペプチドを含む)」を含有する製剤や、「合成されたペプチド、ポリヌクレオチド及びオリゴ糖類」を含有する製剤が挙げられているが、クラシカル発酵やバイオテクノロジーにより製造されるタンパク質及びペプチド以外の精製された高分子化合物(例:ヒアルロン酸)を含有する製剤についても適用対象となるという理解でよいか。

A2:

よい。

Q3:

日局の通則4にあたる製剤は対象外と考えてよいか。

A3:

よい。また、生薬を有効成分又は添加剤として配合した製剤(カンゾウエキスやカンゾウ末を甘味剤や矯味剤として使用する場合など)も対象外と考えて差し支えない。

Q4:

ガイドライン通知又は日局の一般試験法〈2.66〉元素不純物に基づく管理を重金属試験やヒ素などの試験に置き換えることは可能か。

A4:

認められない。適用対象となる製剤はガイドライン通知又は日局の一般試験法〈2.66〉元素不純物に基づく管理が求められる。

2.承認申請

① 申請書類関係

Q5:

承認申請時の添付資料に関する要求事項や留意事項を確認したい。

A5:

リスクアセスメントの結果、元素不純物を制御するための工程設計、操作及び管理項目に関する説明を承認申請時の添付資料に含める必要がある。

② 規格及び試験方法関係

Q6:

元素不純物の規格試験について、ICH Q6Aに記載されている原則に従って、定期的試験を適用してよいか。

A6:

よい。リスクアセスメントに基づいて企図した管理戦略を踏まえて試験頻度を検討し、定期的試験として設定することの妥当性を説明する必要がある。なお、定期的試験とする場合は承認申請書に実施頻度を記載すること。

Q7:

リスクアセスメントにより、一貫して管理閾値以下で製造可能と判断できた場合、原薬、添加剤、容器施栓系等の供給業者又はそれら業者での製造方法に変更がないかぎり、更なる管理は不要と考えてよいか。

A7:

一般的には、製造設備の経年劣化等も含めて妥当性が説明できる場合、規格及び試験方法又は工程内試験の設定といった日常的な分析管理、定期的な分析又はリスクの再評価は要しない。なお、原薬、添加剤等、その製造方法、設備・器具、容器施栓系又は施設の変更等が生じた際には、適切にリスクアセスメントを行い、リスクアセスメントの結果に基づき管理の要否を検討し、必要に応じて管理戦略を見直す必要がある。

③ 承認申請書及び原薬等登録原簿(以下「MF」という。)の記載

Q8:

元素不純物の管理において、日局の一般試験法〈2.66〉元素不純物の分析方法を規格及び試験方法として準用する場合、承認申請書又はMFの規格及び試験方法欄には、「日本薬局方○○○による」という簡略記載のみでよいか。

A8:

「日本薬局方○○○による」という簡略記載のみは認められない。日局の一般試験法〈2.66〉元素不純物の分析方法を規格及び試験方法として準用する場合は、承認申請書又はMFに、「日本薬局方○○○による」と明記するとともに、試料調製方法並びに分析に関する手順、条件及び規格値を記載すること。記載例としては、令和5年4月18日付け薬機審マ発第11号独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査マネジメント部長通知「第十九改正日本薬局方原案作成要領(一部改正)について」別添の「5.1 ICP発光分光分析法」や「5.2 ICP質量分析法」の2)純度試験を参考とすることができる。

④ 変更手続き

Q9:

製造所又は製造方法の変更・追加に伴って元素不純物の管理を変更又は新たに設定する場合の薬事手続きは、製造方法等の変更手続きに係る一部変更申請に含めてよいか。

A9:

よい。ただし、元素不純物の管理戦略を変更又は新たに管理を設定する場合、平成19年6月20日付け薬食審査発第0620001号及び薬食監麻発第0620009号厚生労働省医薬食品局審査管理課長及び監視指導・麻薬対策課長通知「一般用医薬品の製造所の変更又は追加に係る手続の迅速化について」に基づく製造所変更迅速審査の対象とならない点に留意すること。

3.リスクアセスメント

① 大枠

Q10:

医薬品の安全性確保と医療への円滑な医薬品供給に資するため、元素不純物のリスクアセスメントにおいて、医薬品製造販売業者(以下「製販業者」という。)と医薬品(製剤)の製造業者、並びに原薬、添加剤及び容器施栓等の供給業者(以下「製販以外の業者」という。)それぞれに望まれることは何か。

A10:

製販業者と製販以外の業者が歩み寄ることによって元素不純物を管理する上で必要な情報が相互に得やすくなり、その質及び実効性が高まることが望まれる。

例えば、製販業者が所有する最終製品の使用用途や投与量等の情報は、製販以外の業者の最終製品への正しい理解につながることから、製販業者には、製販以外の業者に対してこれらの情報を提供することが望まれる。一方、製販以外の業者により入手又は実施された供給製品の元素不純物のリスクアセスメント概要や結果等は、製販業者による最終製品のリスクアセスメントを適切に実施する上で必要となることから、製販以外の業者には、製販業者にこれらの情報を提供することが望まれる。

上記のような医薬品における元素不純物の管理に関する両者の協力関係により、医薬品の安全性確保と医療への円滑な医薬品供給を適切に両立することが期待される。

Q11:

製剤の製造に使用される原薬、添加剤及び容器施栓系等の製造過程で触媒のように意図的に添加され、結果的に元素不純物として原薬、添加剤及び容器施栓系等に残留する場合、これらを供給する業者に対して日常的な管理が期待される場合はあるか。

A11:

原薬、添加剤及び容器施栓等の製造・供給業者において、それら製品の出荷規格や工程管理に設定する等、品質リスクマネジメントに基づく適切な管理を考慮する必要がある。ただし、当該管理の妥当性は、製剤に対する元素不純物の管理戦略とも密接に関連し、製販業者との情報共有や相互理解の程度に依存するため、上記のQA10の内容に留意し、種々の管理戦略を企図されたい。例えば、該当製剤についてオプション1にて管理することとする。リスクアセスメントの結果等の情報が、両業者間で適切に共有され、恒常的に該当元素が許容濃度の30%を超えないように恒常的に管理可能と判断できるのであれば、それら製品の製造過程又は製品試験において、該当の元素に対する日常的な管理を不要とする検討は可能である。

Q12:

元素不純物の管理値を評価するための基準は、オプション1に限定されるのか。

A12:

オプション1に限定されるものではない。元素不純物の評価は製剤の投与量に依存することから、製剤の構成成分からのアプローチとするか最終製品でのアプローチとするかは製販業者にて適切に判断し、オプションを選択すること。ただし、いずれのオプションであっても容器施栓系からの浸出等により製剤中の元素不純物量の経時的な増加が見込まれる場合、有効期間内を通じて元素不純物量が管理閾値を超えないよう管理すること。

Q13:

製販以外の業者が、供給する原薬、添加剤及び容器施栓系等の元素不純物プロファイルを十分に理解した上で、リスクアセスメントを実施し、そのリスクアセスメント結果を製販業者に適切に情報提供し、日局の通則34を踏まえた適切な管理を行う場合、医薬品各条で規定された重金属、ヒ素などの元素不純物の試験を省略してもよいか。

A13:

上記のQA10の内容に留意した上で省略可能である。

Q14:

製剤の規格及び試験方法又は工程内試験により各元素不純物の濃度を測定する場合には、価数ごとの分析は不要という理解でよいか。

A14:

PDE値よりも高くなる可能性がある場合を除いて、価数まで分析する必要はない。

Q15:

注射剤には、他剤の希釈に用いられるなど、投与量が定まらないものがある。このようなケースでは、ガイドライン通知や日局の一般試験法〈2.66〉元素不純物の趣旨を踏まえて申請者がアセスメント方法を設定してもよいか。

A15:

投与量の想定が妥当であれば、許容可能と考える。

Q16:

製造用に、日局規格に適合する精製水及び注射用水を用いる場合は、元素不純物の測定は不要と考えてよいか。

A16:

よい。なお、これらの容器入り製品については、臨床で使用される医薬品として流通することから、日局の一般試験法〈2.66〉元素不純物に基づく管理が必要であることに留意すること。

② 規格等を設定しない妥当性に関すること

Q17:

ガイドライン通知に「元素不純物の総量が一貫して設定PDE値の30%を超えないと予想される場合において、データを適切に評価し,元素不純物の適切な管理を実証したときには、更なる管理を必要としない」とあるが、ある程度ばらつきの見られる製品でも実生産ロットで3ロットを確認すればよいか。

A17:

管理戦略及びリスクを考慮して考えるべきであり、例えば実生産3ロットから恒常的にPDE値の30%を超えないと判断できない場合には、必要に応じて管理戦略を見直すとともに、追加のロットを検証する必要がある。

Q18:

日局の一般試験法〈2.66〉元素不純物のⅠ.製剤中の元素不純物の管理の4.5.リスクアセスメントプロセスの概要における「固有のばらつきがある構成成分(例えば、鉱物由来の添加剤)に関しては、管理閾値を適用するために更なるデータが必要とされることがある。」について、更なるデータが必要とは具体的にどのようなデータのことか。

A18:

ばらつきの要因として、例えば以下のものが含まれる。

・分析法に係るばらつき

・特定の起源中の元素不純物量のばらつき

・製剤中の元素不純物量のばらつき

これらについては、ほかに妥当性を示す方法がない場合には、構成成分又は製剤の実生産スケールの代表的な3ロット又はパイロットスケールの代表的な6ロットから得られたデータをもって元素不純物量及びそのばらつきとすることができる。しかしながら、鉱物由来の添加剤などの固有のばらつきがある構成成分については、採掘場所等も考慮した更なるデータが必要となることがある。

③ リスクアセスメントの対象範囲

Q19:

医薬品に混入する元素不純物は複数の起源に由来する。申請者が製剤の製造に使われる原材料についてどこまで遡って、意図的に添加した元素不純物を管理するべきか。

A19:

製剤への混入リスクの大きさに応じて、リスクアセスメントを要する範囲を検討する必要がある。

Q20:

製造工程で使用される溶媒について、リスクアセスメントの対象とする必要があるか。

A20:

溶媒も含め、元素不純物が混入する可能性のあるものはリスクアセスメントが必要となる。

Q21:

医薬品に用途を限定しない広範囲の産業用に使用される試薬などは、リスクアセスメントの対象となるか。

A21:

対象となる。ガイドライン通知や日局の一般試験法〈2.66〉元素不純物は製剤中における元素不純物のPDE値を設定したものであり、産業用に使用される試薬が医薬品の製造に使用される場合においても、それに由来する元素不純物が製剤に混入するリスクを評価する必要がある。

Q22:

製剤中の配合割合が0.1%以下となる添加剤についても、リスクアセスメントの対象とする必要があるか。

A22:

原則として、製剤の構成成分のリスクアセスメントは必要だが、その実施を不要と判断した理由を例えば含有量から説明することは可能と考える。

Q23:

原薬の製造所を変更した場合、再度製造工程で使用する設備や市水からの元素不純物混入リスクの再評価のために、再度実測値が必要になるか。

A23:

実測値の要否は、変更が与える影響の大きさに基づいて判断する必要がある。上記のQA10の内容に留意し、リスクアセスメントを適切に実施する上で必要な情報を考慮すること。

Q24:

日局の一般試験法〈2.66〉元素不純物のⅠ.製剤中の元素不純物の管理4.3.潜在的な元素不純物の特定における「固形製剤では元素が溶出する確率が非常に低いため、更なるアセスメントの実施は不要である」との記載について、固形製剤の場合は、液剤や半固形製剤と異なり、容器施栓系を構成する資材類の評価において特段の懸念が認められない場合、容器から製剤への元素不純物の移行を実測値で評価する必要はないという理解でよいか。

A24:

通常、必要とされない。ただし、固形製剤の成分や容器施栓系を構成する資材類の特性によっては、それら資材類の評価だけでは十分ではない場合もあることに留意すること。

Q25:

ガイドライン通知又は日局の一般試験法〈2.66〉元素不純物に基づく管理を適用する場合、「〈7.01〉注射剤用ガラス容器試験法」に規定される鉄溶出試験、「〈7.02〉プラスチック製医薬品容器試験法」又は「〈7.03〉輸液用ゴム栓試験法」の重金属、鉛、カドミウム等に関する試験を実施しなくてもよいか。

A25:

容器施栓系に対する適切な抽出条件を設定した上で、日局の一般試験法〈2.66〉元素不純物の分析方法の準用により「〈7.01〉注射剤用ガラス容器試験法」に規定される鉄溶出試験、「〈7.02〉プラスチック製医薬品容器試験法」又は「〈7.03〉輸液用ゴム栓試験法」の重金属、鉛、カドミウム等に関する試験を置き換えることは可能である。

また、ガイドライン通知又は日局の一般試験法〈2.66〉元素不純物に基づく容器施栓系のリスクアセスメントを適切に実施し、ガイドライン通知又は日局の一般試験法〈2.66〉元素不純物に基づく元素不純物の管理が可能であることに加え、「〈7.01〉注射剤用ガラス容器試験法」に規定される鉄溶出試験、「〈7.02〉プラスチック製医薬品容器試験法」又は「〈7.03〉輸液用ゴム栓試験法」の重金属、鉛、カドミウム等に関する規定にも恒常的に適合可能と判断でき、リスクアセスメントの結果、元素不純物を制御するための工程設計、操作及び管理項目に関する説明を審査時に求めに応じて提出できる場合であれば、「〈7.01〉注射剤用ガラス容器試験法」に規定される鉄溶出試験、「〈7.02〉プラスチック製医薬品容器試験法」又は「〈7.03〉輸液用ゴム栓試験法」の重金属、鉛、カドミウム等に関する試験を日常的に実施しないことは可能である。この場合、容器施栓系の原料、その製造方法、設備・器具、容器施栓系又は施設の変更等が生じた際には、適切にリスクアセスメントを行い、リスクアセスメントの結果に基づき管理の要否を検討し、必要に応じて管理戦略を見直す必要がある。

なお、変更手続きについては、評価した上で個別に相談すること。

Q26:

植物由来の添加剤はガイドライン通知や日局の一般試験法〈2.66〉元素不純物に基づく対応は不要と考えてよいか。

A26:

リスクアセスメントに含めた上で対応する必要がある。

④ 企業間の情報共有に用いられる文書等

Q27:

製販以外の業者が発行する元素不純物管理に関する文書の記載内容の要件としてはどのようなものがあるか。

A27:

例えば、製造工程における金属触媒等による元素不純物の意図的な添加があるか、天然鉱物由来原料が使用されているか、原材料、容器施栓系、製造設備・器具、ユーティリティーから元素不純物の混入リスクが評価されているか等の情報が含まれる。また、これらの要因を踏まえた上でリスクアセスメントを行った結果の情報もあることが望ましい。

Q28:

元素不純物の管理を検討する上で、医薬品(成分)中の元素不純物の情報について、該当する情報の文書等が製販以外の業者により発行されている場合、その情報を利用することは可能か。

A28:

上記のQA27の内容も踏まえた上で、該当する情報の文書等が信頼できるものであることを、その情報を利用する者に求められる管理の一環として、継続的に(あるいは適切な頻度にて定期的に)確認する必要があることを前提としていれば、利用可能である。

⑤ データの活用

Q29:

国内外の添加剤コンソーシアムのデータをリスクアセスメントに使用してよいか。

A29:

そのデータが妥当であれば、使用することは可能である。その他に有用な情報としては、ガイドライン通知別添の5.5や日局の一般試験法〈2.66〉元素不純物Ⅰ.製剤中の元素不純物の管理の4.に挙げられているが、これらに限定されるものではない。なお、これらの情報を使用する妥当性の説明が求められることを前提に利用することが必要であることに留意すること。

4.その他

① 元素不純物管理の対応が完了しない品目

Q30:

令和4年12月12日付け薬生薬審発1212第5号医薬品審査課長通知「要指導・一般用医薬品に係る元素不純物の取扱いについて」別添1(1)①で示す日局品製剤のうち別添2による対応が令和6年6月30日までに完了しない品目の対応はどのようにすればよいか。

A30:

日局の通則33に基づく管理が必要である。

日局の通則33に係る規定に基づき、日局の医薬品各条で規定する重金属の規格(以下「重金属規格」という。)やヒ素等の個別金属規格(以下「個別金属規格」という。)に従い管理することとし、令和6年6月30日までに【規格及び試験方法】欄の備考欄に「第十八改正日本薬局方の医薬品各条に基づく重金属規格及び個別金属規格試験を実施する」旨を記載する軽微変更届出を行うこと。なお、その場合も、引き続き別添2による対応の検討を行うこと。対応の検討の結果、期限後に元素不純物管理を行うこととした場合、検討結果に基づき別添2(1)又は(2)の対応を行うこと。

② 元素不純物管理が求められない製剤

Q31:

元素不純物による管理が求められない製剤で、医薬品各条の原薬及び添加剤を使用する場合は、製剤製造所で当該原薬や添加剤に対する重金属試験や個別金属不純物試験を実施する必要はあるか。

A31:

日局の通則33に基づく管理が必要である。

原薬、添加剤の製造業者が、改正前の日局の医薬品各条で規定されていた純度試験を実施する場合や、一般試験法〈2.66〉元素不純物に従い、元素不純物プロファイルを十分に理解した上で、リスクアセスメントを実施し、そのリスクアセスメント結果を製販業者に適切に情報提供する場合等であって、製販業者が原薬や添加剤に対して通則33の規定を満たすことを保証できるのであれば、追加で重金属試験及び個別金属不純物試験を実施する必要はなく、薬事手続きも不要である。なお、通則33の規定を満たすことの確認結果については文書化し、その管理状況について説明できることが求められる。

一方、通則33の規定を満たすことが確認できない場合であって、製剤製造所において重金属試験及び個別金属不純物試験を行うこととした場合は、【規格及び試験方法】欄の備考欄に「第十八改正日本薬局方の医薬品各条に基づく重金属規格及び個別金属規格試験を実施する」旨を記載し新規申請する、又は遅滞なく軽微変更届出を行うこと。また、当該備考欄以外に変更が生じない範囲での原料の変更等により、当該記載を削除する場合は、遅滞なく軽微変更届出を行うこと。

Q32:

医薬部外品で、医薬品各条の原薬及び添加剤を使用する場合は、その原薬及び添加剤について通則33に基づく管理(日局の医薬品各条に基づく重金属規格及び個別金属規格試験の実施)は不要と考えてよいか。

A32:

日局の通則33に基づく管理が必要である。

上記のQA31のとおり、元素不純物管理が求められない製剤と同様に対応すること。なお、本事務連絡発出時点で、既に、通則33の規定を満たすことを確認するために、製剤製造所において重金属試験及び個別金属不純物試験を行うこととしている場合は、速やかに軽微変更届を行うこと。

③ その他

Q33:

令和4年12月12日付け薬生薬審発1212第5号医薬品審査課長通知「要指導・一般用医薬品に係る元素不純物の取扱いについて」別添1(1)②について、元素不純物管理を適用する場合、申請書にはどのように記載して申請すればよいのか。

A33:

製造方法や規格及び試験方法を医療用医薬品製剤と同一の記載とし(MFに関する記載を除く。)、【製造方法】欄、【規格及び試験方法】欄のそれぞれの備考欄に「本品は、医療用医薬品である「販売名」(承認番号)と同一の製剤であり、令和4年12月12日付け薬生薬審発1212第5号により、元素不純物管理を適用する」旨を記載し軽微変更届出を行うこと。

Q34:

令和2年12月28日付け薬生薬審発1228第7号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知「医療用医薬品に係る元素不純物の取扱いについて」及び令和4年12月12日付け薬生薬審発1212第5号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知「要指導・一般用医薬品に係る元素不純物の取扱いについて」において、「判断に迷う場合は審査当局に相談の上で対応すること。」とあるが、相談を希望する場合、どの相談区分で申し込むことが可能か。

A34:

要指導・一般用医薬品については、相談内容によるため、まずは機構に事前面談を申し込むこと。なお、医療用医薬品については、簡易相談等の適切な相談区分に申し込むこと。

Q35:

令和2年12月28日薬生薬審発1228第7号「医療用医薬品に係る元素不純物の取扱いについて」の1(5)に記載されていない規格集(医薬部外品原料規格等)であっても、同様に1(3)及び(4)の取扱いを適用することは可能か。

A35:

製剤として元素不純物管理が適切に行われ、その結果、各成分で日常的な重金属試験等の実施を要しないと判断された場合、同様の取扱いを適用することは可能である。

なお、元素不純物管理が適用される要指導医薬品及び一般用医薬品において、同様の取扱いを適用することは可能である。

また、薬事手続きについては、令和6年6月25日付け事務連絡「第十八改正第一追補日本薬局方の制定に伴う医薬品等の承認申請に関する質疑応答集(Q&A)について」のQA9に準じて対応すること。

以上