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○イプタコパン塩酸塩水和物製剤の使用にあたっての留意事項について

(令和6年6月24日)

(医薬薬審発0624第4号)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬局医薬品審査管理課長通知)

(公印省略)

イプタコパン塩酸塩水和物製剤(販売名:ファビハルタカプセル200mg、以下「本剤」という。)については、本日、「発作性夜間ヘモグロビン尿症」を「効能又は効果」として承認されたところです。

本剤は、髄膜炎菌、肺炎球菌及びインフルエンザ菌等による感染症の発症のリスクが高まることが懸念されること等から、その使用にあたっては、特に下記の点について留意されるよう、貴管下の医療機関に対する周知をお願いします。

なお、本通知の写しについて、別記の関係団体宛てに連絡するので、念のため申し添えます。

1.本剤の適正使用について

(1) 本剤については、承認に際し、製造販売業者による全症例を対象とした使用成績調査、適切な流通管理の実施等をその条件として付されている。

【承認条件】(電子化された添付文書抜粋)

1.医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

2.日本人での投与経験が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

3.本剤の投与が、発作性夜間ヘモグロビン尿症の診断、治療に精通し、本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関のもとで、髄膜炎菌感染症の診断、治療に精通した医師との連携を取った上でのみ行われるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。

(2) 本剤の「警告」及び「効能又は効果に関連する注意」の記載は以下のとおりであり、髄膜炎菌、肺炎球菌及びインフルエンザ菌等による感染症の発症のリスクには特段の留意をお願いしたい。なお、その他の使用上の注意についても、電子化された添付文書を参照されたい。

【警告】(電子化された添付文書抜粋)

・本剤は補体経路を阻害するため、髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌等の莢膜形成細菌による重篤な感染症を発症することがあり、特に髄膜炎菌感染症は急激に重症化し、死亡に至るおそれもあるため、以下の点に十分注意すること。

・本剤の投与に際しては、髄膜炎菌等による感染症の初期徴候(発熱、頭痛、項部硬直等)に注意して観察を十分に行い、髄膜炎菌等の重篤な感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと。

・髄膜炎菌、肺炎球菌及びインフルエンザ菌b型に対するワクチンの接種歴を確認し、未接種の場合又は追加接種が必要な場合は、原則、本剤投与前にワクチンを接種すること。必要に応じて、本剤投与中のワクチンの追加接種を考慮すること。

・髄膜炎菌感染症は致命的な経過をたどることがあるので、緊急時に十分に措置できる医療施設及び医師のもとで、あるいは髄膜炎菌感染症の診断及び治療が可能な医療施設との連携下で本剤を投与すること。

・髄膜炎菌等の莢膜形成細菌による感染症のリスクについて患者に説明し、当該感染症の初期徴候を確実に理解させ、感染症に関連する症状が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること。

・発作性夜間ヘモグロビン尿症に十分な知識を持つ医師のもとで、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤投与開始に先立ち、本剤は疾病を完治させる薬剤ではないことを含め、本剤の有効性及び危険性を患者又はその家族に十分説明し、同意を得てから投与すること。

【効能又は効果に関連する注意】(電子化された添付文書抜粋)

・補体(C5)阻害剤による適切な治療を行っても、十分な効果が得られない場合に投与すること。

・本剤は、補体B因子に結合して第二経路を阻害するため、髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌等の莢膜形成細菌による感染症を発症しやすくなる可能性があることから、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤投与の是非を慎重に検討し、適切な対象患者に使用すること。また、本剤投与に際しては、髄膜炎菌、肺炎球菌及びインフルエンザ菌b型に対するワクチンの接種歴を確認し、未接種の場合又は追加接種が必要な場合は、原則、本剤投与開始の少なくとも2週間前までにそれらのワクチンを接種すること。必要に応じて、本剤投与中のワクチンの追加接種を考慮すること。

2.医療機関における適正使用に関する周知事項について

本剤については、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第79条に基づき、承認取得者である製造販売業者に対し、「製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施する」よう義務付けたので、その調査の実施にご協力願いたい。

別記

公益社団法人 日本医師会

一般社団法人 日本血液学会

ノバルティスファーマ株式会社

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

各地方厚生局