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○電気自動車の整備の業務等に係る特別教育に係る労働安全衛生規則等の改正について

(令和6年6月12日)

(基発0612第22号)

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

(公印省略)

労働安全衛生規則の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第95号。以下「改正省令」という。)及び安全衛生特別教育規程の一部を改正する件(令和6年厚生労働省告示第213号。以下「改正告示」という。)が令和6年6月3日にそれぞれ公布又は告示され、令和6年10月1日から施行又は適用することとされたところであるが、その趣旨、内容等は下記のとおりであるので、関係者に対する周知を図るとともに、その施行に遺漏なきを期されたい。

1 改正省令及び改正告示の趣旨

今回の改正は、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第36条第4号の2及び安全衛生特別教育規程(昭和47年労働省告示第92号。以下「規程」という。)第6条の2に基づく「電気自動車等の整備の業務に係る特別教育」について、昨今の電気自動車等(ハイブリッド車を含む駆動用の高電圧の蓄電池を搭載する自動車をいう。以下同じ。)を巡る状況を踏まえ、「電気自動車等の整備業務に必要な特別教育のあり方に関する検討会」報告書(令和6年3月25日公表)に基づき、当該特別教育の対象となる電気自動車等が内蔵する蓄電池の電圧に係る省令上の規定の改正を行い、またこれに伴う特別教育の内容の適正化等を図ることとしたものである。

2 改正の要点

(1) 労働安全衛生規則の一部改正

安衛則36条第4号の2において特別教育が必要とされている業務について、低圧の蓄電池を内蔵する自動車のみが対象となっていたところ、当該蓄電池の電圧に係る上限を廃止したこと。

(2) 安全衛生特別教育規程の一部改正

規程第6条の2第2項において規定する学科教育の科目及び範囲について、次のとおり改めたこと。

ア 学科教育の科目のうち、「低圧の電気に関する基礎知識」、「低圧の電気装置に関する基礎知識」及び「低圧用の安全作業用具に関する基礎知識」を、それぞれ「電気に関する基礎知識」、「電気装置に関する基礎知識」及び「安全作業用具に関する基礎知識」に改めたこと。

イ 学科教育の科目のうち、「電気に関する基礎知識」の教育範囲である「低圧の電気の危険性」を、「電気の危険性」に改めたこと。

ウ 学科教育の科目のうち、「安全作業用具に関する基礎知識」の教育範囲に、「絶縁用防具」も含めたこと。

エ 学科教育の科目のうち、「自動車の整備作業の方法」の教育範囲である「サービスプラグの取扱いの方法」を「停電の方法」に改めたこと。

3 細部事項

(1) 学科教育の科目「電気に関する基礎知識」の教育範囲「電気の危険性」については、労働者が高圧の蓄電池を内蔵する電気自動車等の整備を行うにあたり、適切な手順を踏まない場合に生じうる危険についての知識を持たせるため、低圧の電気の危険性に加えて高圧の電気の危険性に係る内容も含むものとすること。あわせて「電気絶縁」について、保護具等に使用される絶縁材料について、一般に高圧領域においては絶縁が破壊される可能性もあるという電気や材料の性質についても含まれる必要があること。

(2) 学科教育の科目「安全作業用具に関する基礎知識」の教育範囲「絶縁用保護具、絶縁用防具、絶縁工具及び絶縁テープ」のうち「絶縁用保護具」の内容については、電気自動車等の電路を停電させる操作等を行うにあたって適切な耐電圧性能を有するものを選択する必要があることが含まれること。また、今回の改正により追加された「絶縁用防具」には絶縁シートが含まれること。

(3) 学科教育の科目「自動車の整備作業の方法」の教育範囲「停電の方法」の内容については、高電圧の充電電路の停電のための操作として、電気自動車等の種類に応じてサービスプラグの操作以外の方法もあること及び適切な手順により停電させるべきことが含まれること。

4 経過措置等

(1) 改正省令の施行日以後に、次に掲げる労働者を引き続き対地電圧が50ボルトを超える低圧の蓄電池を内蔵する自動車の整備の業務に就かせる場合には、改正告示による改正後の特別教育を実施することを要しないこと。

ア 改正省令の施行日前に、改正告示による改正前の安全衛生特別教育規程(以下「旧規程」という。)第6条の2に規定する特別教育を実施した労働者

イ 労働安全衛生規則の一部を改正する省令(令和元年厚生労働省令第33号)附則第2条により、旧規程第6条の2に規定する特別教育を実施することを要しないこととされている労働者

ウ 労働安全衛生規則第37条の規定に基づき、旧規程第6条の2に規定する特別教育の科目の全部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者

(2) 改正省令の施行日以後に、(1)アからウまでに該当する労働者を対地電圧が50ボルトを超える高圧の蓄電池を内蔵する自動車の整備の業務に就かせる場合には、改正告示によって教育範囲に追加される事項について、追加的に教育が実施されている必要があること。

もとより、改正告示による改正後の安全衛生特別教育規程第6条の2に規定する特別教育の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると事業者が認める労働者については、労働安全衛生規則第37条の規定に基づき、当該科目についての特別教育を省略することができること。

5 関係通達の一部改正

本改正を踏まえた特別教育が引き続き適切に実施されるよう、「労働安全衛生規則の一部を改正する省令等の施行について」(令和元年8月8日付け基発0808第1号)の一部を別紙1のとおり改正する。なお改正後の当該通達は別紙2のとおりである。

6 添付資料

参考資料 官報公示文

(別紙1)「労働安全衛生規則の一部を改正する省令等の施行について」の一部改正(新旧対照表)

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(別紙2)

○労働安全衛生規則の一部を改正する省令等の施行について

(令和元年8月8日)

(基発0808第1号)

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

改正 令和6年6月12日基発0612第22号

(公印省略)

労働安全衛生規則の一部を改正する省令(令和元年厚生労働省令第33号。以下「令和元年改正省令」という。)及び安全衛生特別教育規程の一部を改正する件(令和元年厚生労働省告示第83号。以下「令和元年改正告示」という。)が、令和元年8月8日にそれぞれ公布又は告示され、令和元年10月1日から施行又は適用されたところである。また、労働安全衛生規則の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第95号。以下「令和6年改正省令」という。)及び安全衛生特別教育規程の一部を改正する件(令和6年厚生労働省告示第213号。以下「令和6年改正告示」という。)が令和6年6月3日にそれぞれ公布又は告示され、令和6年10月1日から施行又は適用することとされたところである。

これらの改正省令及び改正告示の趣旨及び細部の取扱いについては下記のとおりであるので、関係事業者に対する周知を図るとともに、その施行に遺漏なきを期されたい。

1 趣旨

近年普及が進む対地電圧が50ボルトを超える蓄電池を内蔵する自動車(以下「電気自動車等」という。)の整備の業務に労働者を就かせる際に、電気による労働災害を防止するため、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第59条第3項の規定に基づく当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育(以下「特別教育」という。)を規定するものである。

2 細部事項

(1) 対象の自動車

対地電圧が50ボルトを超える蓄電池を内蔵する自動車には、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車(内燃機関を有さないもの)、燃料電池自動車、バッテリー式のフォークリフト等の車両系荷役運搬機械及びバッテリー式のドラグ・ショベル等の車両系建設機械が含まれること。

(2) 学科教育の科目の範囲

ア 「電気装置に関する基礎知識」の「配線」には、駆動用蓄電池(バッテリー)から駆動用原動機(モーター)、12ボルトバッテリー等からエアコン等への配線(サービスプラグ等を含む。)が含まれること。

イ 「電気装置に関する基礎知識」の「電気絶縁」には、絶縁が破壊される可能性もあるという電気や材料の性質が含まれること。

ウ 「電気装置に関する基礎知識」の「駆動用蓄電池及び充電器」には、蓄電池(バッテリー)内部の電解液等の化学物質の知識が含まれること。

エ 「安全作業用具に関する基礎知識」の「絶縁用保護具」には、絶縁手袋、絶縁用靴が含まれること。また、絶縁用保護具については、必要な知識として、電気自動車等の電路を停電させる操作等を行うにあたって適切な耐電圧性能を有するものを選択する必要があることが含まれること。

おって、「絶縁用防具」には絶縁シートが含まれること。

オ 「安全作業用具に関する基礎知識」の「検電器」には、サーキットテスター、絶縁抵抗計が含まれること。

カ 「安全作業用具に関する基礎知識」の「その他の安全作業用具」には、保護眼鏡が含まれること。

キ 「自動車の整備作業の方法」の「充電電路の保護」には、配線の絶縁処理が含まれること。

ク 「自動車の整備作業の方法」の「作業者の絶縁保護」には、絶縁用保護具、絶縁工具等の使用が含まれること。

ケ 「自動車の整備作業の方法」の「停電の方法」には、サービスプラグの取扱いの方法(サービスプラグの取外し、取付け、管理)のほか、車体の構造に応じたサービスプラグの取外し以外による高電圧の充電電路の停電のための操作が含まれること。

コ 「自動車の整備作業の方法」の「停電電路に対する措置」には、残留電荷の確実な放電が含まれること。

(3) 実技教育の科目の範囲

「安衛則第三十六条第四号の二の自動車の整備作業の方法」には、絶縁用保護具等の使用、停電のための操作等が含まれること。

(4) 科目の省略等

電気自動車等の整備業務に係る特別教育については、令和6年改正告示による改正後の安全衛生特別教育規程第6条の2に定める学科教育及び実技教育により行うこと。

安衛則第37条の規定により、特別教育の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該科目についての特別教育を省略することができること。特に、自動車整備士技能検定規則(昭和26年運輸省令第71号)に基づく次の技能検定に合格した者であって、業務に必要な教育又は研修の受講歴等から電気の危険性に関する基礎知識を有していると認められるものは、学科教育の科目のうち「電気に関する基礎知識」について十分な知識を有していると認められる者として取り扱うことができること。

① 一級大型自動車整備士

② 一級小型自動車整備士

③ 一級二輪自動車整備士

④ 二級ガソリン自動車整備士

⑤ 二級ジーゼル自動車整備士

⑥ 二級自動車シャシ整備士

⑦ 二級二輪自動車整備士

⑧ 三級自動車シャシ整備士

⑨ 三級自動車ガソリン・エンジン整備士

⑩ 三級自動車ジーゼル・エンジン整備士

⑪ 三級二輪自動車整備士

⑫ 自動車電気装置整備士

(5) 特別教育の講師

特別教育の講師についての資格要件は定めていないが、学科及び実技の科目について十分な知識、経験等を有する者でなければならないこと。

3 経過措置等

(1) 令和6年改正告示の施行日前に、令和6年改正告示による改正後の安全衛生特別教育規程第6条の2に規定する電気自動車等の整備業務に係る特別教育の全部又は一部の科目に相当する教育(安全衛生特別教育規程第5条及び第6条並びに令和6年改正告示による改正前の安全衛生特別教育規程第6条の2の規定による特別教育等)を受けた者については、安衛則第37条の規定に基づき、当該受講した科目を省略できること。

(2) 令和元年改正告示の施行日前に、令和元年改正告示による改正前の安全衛生特別教育規程第6条に規定する特別教育を受講した者については、令和元年改正省令附則第2条に基づき、令和元年改正告示による改正後の安全衛生特別教育規程第6条の2に規定する特別教育を受講することを要しないこととしていたこと。