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○「承認申請時等の電子データ提出に関する取扱いについて」の一部改正について

(令和6年4月8日)

(医薬薬審発0408第3号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬局医薬品審査管理課長通知)

(公印省略)

医薬品の製造販売についての承認のための審査(以下「承認審査」という。)に関しては、「日本再興戦略―JAPAN is BACK―」(平成25年6月14日閣議決定)において独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)の体制強化の必要性が指摘され、さらに、「健康・医療戦略」(平成25年6月14日関係大臣申合せ)において、PMDA自らが臨床データ等を活用した解析や研究を進めることとされています。

医薬品の製造販売についての承認申請時等の電子データ提出に関する取扱い等については、「承認申請時等の電子データ提出に関する取扱いについて」(令和4年4月1日付け薬生薬審発0401第10号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知。以下「申請電子データ通知」という。)により示しています。

今般、承認申請時等の電子データの受付の実績等を踏まえ、申請電子データ通知を別紙新旧対照表のとおり改正することとしましたので、貴管下製造販売業者等の業務に活用するよう、周知をお願いします。

なお、改正後の申請電子データ通知を添付しますので、御参照ください。

(別紙)

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承認申請時等の電子データ提出に関する取扱いについて

1 電子データ提出を求める背景

医薬品の承認審査に関しては、「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)においてPMDAの強化の必要性が指摘され、さらに、「健康・医療戦略」(平成25年6月14日関係大臣申合せ)では、「PMDA自らが臨床データ等を活用した解析や研究を進め、審査・相談において、より合理的で効率的な評価・判断プロセスの構築を進める」こととされている。

PMDA自らがデータを活用した解析や研究を実施するためには、まず、PMDAに提出される臨床試験成績が電子データとして提出されることが重要となる。臨床試験成績を電子データとして収集することで、個々の品目の承認審査において様々な解析が可能となり、より客観的で科学的な意思決定につながり、承認審査の質の更なる向上に資するものと考えられる。また、様々な品目に関する試験データを同様に集積することで、品目横断的な検討が可能となるとともに、近年注目されているModeling & Simulation等の活用にもつながるものと考えられる。例えば、薬物動態と臨床効果との関連、臨床効果の用量反応性、疾患の経過や予後等について、より精度の高い予測が可能になると期待されている。特に、希少疾病用医薬品や小児用の医薬品の開発については、患者数が少なくデータ集積が困難であることや、適切な評価方法が未確立であることにより困難を伴う場合が多いが、集積した電子データを用いた研究を進めることで、その効率化に寄与すると考えられる。

一方、承認申請時等に電子データを提出することは、申請者側にも多くの利点があると考えられる。第一に、PMDAで実施した様々な解析の結果を承認審査、対面助言等に役立てることで、申請者における医薬品開発の効率化、開発成功率の向上等に寄与すると考えられる。第二に、承認申請時の申請者側の負担が軽減されると考えられる。例えば、従来の承認審査におけるPMDAからの照会事項では、申請者に臨床試験データに関する再解析を求める場合も多かったが、PMDAが自ら解析を実施することにより、照会事項の減少又はその内容の明確化につながることが期待される。さらに、国際的に広く使用されている電子フォーマットに基づく臨床試験データの収集が我が国で定着すれば、PMDA及び申請者の両者において、国際連携を視野に入れたより適切かつ最先端の解析・評価等を実施できるようになり、国際共同研究及び開発の推進にもつながるものと考えられる。

なお、臨床試験成績の電子データは、再審査及び条件付き承認された医薬品における承認後の品質、有効性及び安全性に関する調査(以下「中間評価」という。)の申請時、承認申請前に実質的な試験結果の評価が行われる品目等、承認申請時以外の時点でも提出されるが、本通知では全ての時点で提出される臨床試験成績の電子データについて、それらの総称として「申請電子データ」を用いる。

2 申請電子データの提出対象となる品目と資料の範囲について

申請電子データの提出対象は、以下のとおりである。なお、臨床試験以外の試験(非臨床試験等)等に関する電子的なデータの活用についても並行して検討を進めており、将来的には、申請電子データの提出を求める資料の範囲が変更となる可能性があることに留意すること。

(1) 承認申請時の申請電子データの提出について

ア 対象となる品目

原則として、「医薬品の承認申請について」(平成26年11月21日付け薬食発1121第2号厚生労働省医薬食品局長通知)の別表2―(1)に掲げる(1)から(7)まで、(9)及び(9の2)の医療用医薬品とする。なお、保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために緊急に使用されることが必要な医薬品については、上記に該当する医療用医薬品であっても申請電子データの提出を求めないことがある。

イ 対象となる資料の範囲

承認申請時に申請電子データの提出を求める資料は、有効性、安全性及び用法・用量の主要な根拠となると考えられる評価資料に加え、用法・用量の設定の一部と考えられ、有効性、安全性又は薬物動態の評価が重要となる試験又は解析に関する資料も含まれる。

原則として、承認申請時に、申請者が添付資料として提出する資料のうち次に掲げる資料について、被験者ごとの電子データの提出を求めることとする。ただし、過去に実施した試験等でデータが電子的に保存されていない等、申請電子データを準備することが困難な特段の状況がある試験については、申請電子データの提出を不要とする場合がある。

また、承認事項一部変更承認申請等において、過去の承認取得時に既に申請電子データを提出済みの臨床試験等について改めて提出する必要はない。ただし、承認事項一部変更承認申請等に関連して当該臨床試験成績が統合解析の一部とされている場合や、新たな解析が追加で実施されている場合には、対応する申請電子データの提出を求める場合がある。

(ア) 一般的に、評価資料として提出される有効性、安全性及び用法・用量の主要な根拠となると考えられる全ての第Ⅱ相試験及び第Ⅲ相試験(長期投与試験を含む)の成績に関する資料

(イ) 第Ⅰ相試験及び臨床薬理試験のうち、次に掲げる試験の成績に関する資料

・抗悪性腫瘍剤での第Ⅰ相試験

・日本人と外国人の双方に対して実施された第Ⅰ相試験(国際共同治験やブリッジング試験の場合など)

・ICH E14ガイドラインに基づくQT/QTc試験

抗悪性腫瘍剤での第Ⅰ相試験について、一般的に、第Ⅲ相試験の用法・用量の設定根拠となる第Ⅰ相試験が該当する。日本人と外国人の双方に対して実施された第Ⅰ相試験については、当該試験が国際共同治験として実施されたか、又は各地域で個々に実施されたかに関わらず、電子データを提出すること。なお、ICH E14ガイドラインに基づくQT/QTc試験に関連して、QT/QTc試験の代替として実施した臨床薬理領域の解析(薬物濃度―反応解析等)については、下記(ウ)その他の資料として、申請電子データの提出を求める。

(ウ) その他の資料

・その他の第Ⅰ相試験及び臨床薬理試験並びに参考資料等

その他の第Ⅰ相試験及び臨床薬理試験、母集団解析、生理学的薬物速度論モデル解析等に関しては、用法・用量の設定の一部と考えられ、有効性、安全性又は薬物動態の評価が重要となる試験又は解析に関する資料については、申請電子データを提出する必要がある。その他の試験又は解析に関する申請電子データについては、一律に提出を求めるものではないが、用法・用量の主要な根拠となると考えられる参考資料等、PMDAが必要と判断したものについては提出を求めることがある。

・有効性又は安全性に関する統合解析(Integrated Summary of Safety(ISS)/Integrated Summary of Effectiveness(ISE))

有効性又は安全性について複数の試験結果を統合した解析について、特別な集団の評価やまれな有害事象の特徴の把握といった特定の有効性、安全性の評価のために、複数の臨床試験の統合解析が実施され、その結果が申請品目の有効性、安全性及び用法・用量の評価にあたり重要な根拠となる場合に、申請電子データを提出する必要がある。

(2) 再審査又は中間評価の申請時の申請電子データの提出について

再審査又は中間評価の申請に際して提出される製造販売後臨床試験の成績についても、申請時に申請電子データの提出を求める場合がある。令和2年4月1日以降に申請電子データを添付して承認申請された品目であって、その審査の過程で実施することを求められた製造販売後臨床試験の場合は、承認条件との関連に関わらず、原則として、再審査又は中間評価申請時に申請電子データの提出を求めることとする。なお、当該製造販売後臨床試験の結果に基づき、再審査又は中間評価申請前に医薬品添付文書改訂相談、承認条件解除の要望等を行う場合は、可能な限り、当該時点で申請電子データを提出することが望ましい。

なお、当面の間、製造販売後調査のデータについては申請電子データの提出対象としない。

(3) 承認申請前に実質的な試験結果の評価が行われる品目の申請電子データの提出について

承認申請より前に実質的な試験結果の評価が行われる品目(先駆的医薬品指定制度対象品目、HIV感染症治療薬等)については、可能な限り、実質的な試験結果の評価を行う時点で申請電子データを提出することが望ましい。

3 申請電子データ等の提出方法等について

(1) 申請電子データ等の提出方法について

申請電子データを提出する場合、「ゲートウェイシステムを利用した新医薬品の承認申請等について」(令和4年4月1日付け薬生薬審発0401第7号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)に基づき、ゲートウェイシステムにより提出すること。

申請時に提出を求める申請電子データについては、添付資料の一部として提出すること。

(2) 申請電子データの受け入れ可否に係るバリデーションについて

ア バリデーションルールの基本的考え方

PMDAは提出された全ての申請電子データのうち、Clinical Data Interchange Standards Consortiumの規格(以下「CDISC標準」という。)に準拠したデータに対してバリデーションを実施する。

バリデーションにおいて、標準のルールに対してPMDAが提出データの受け入れ可否にかかわると考える重大な違反が認められた場合には、PMDAは速やかにその旨を申請者に指摘する。指摘を受けた場合は、申請者はデータを修正して再度提出すること。また、指摘した違反が是正されるまでは審査は開始されず、2(1)に示す承認申請時に申請電子データを提出する場合、「新医薬品の承認の予見性向上等に向けた承認申請の取扱い及び総審査期間の考え方について」(平成26年10月6日付け薬食審査発1006第1号、薬食監麻発1006第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課長、監視指導・麻薬対策課長連名通知)において定めるとおり、違反が是正されるまでの期間は総審査期間に含めないこととするので留意すること。なお、PMDAが使用するバリデーションツール、PMDAによる違反の重大性の考え方、バリデーションの実施環境の詳細及び使用する個々のルールについては、技術的ガイド等を参照すること。

イ 申請者による事前の適合性確認方法

CDISC標準に準拠したデータに関する適合性については、公開されているPMDAの用いるバリデーションルール及びPMDAにおけるバリデーションの実施環境等の情報を参考に、事前に申請者が確認すること。その結果、技術的ガイドに示すPMDAが重大と考えるルールへの違反が認められた場合はデータを修正し、説明が必要なルールへの違反が認められたが修正が不可能な場合には、その内容及び理由についてデータガイド(Study Data Reviewer's Guide及びAnalysis Data Reviewer's Guide)(4(2)イ(エ)参照)等で説明すること。

(3) 申請後に追加で申請電子データの提出が必要となる場合の対応について

申請時に提出を求める申請電子データについては、対面助言を活用するなどして、PMDAと事前に合意し、必要な全ての資料を申請時に提出すること。ただし、長期投与試験の実施中に申請される場合、中間解析結果に基づき申請される場合等には、申請後に提出される当該臨床試験のデータは、既に提出されたデータに追加分のデータを含む形で提出すること。

なお、審査の過程で新たに、これまで申請電子データが提出されていない臨床試験の申請電子データや、既に申請電子データが提出されている臨床試験に関する追加のデータセットやプログラムの提出が必要となる場合も例外的にありえるが、その場合であっても、データセットについては基本的にCDISC標準に準拠したデータの提出を求める。提出する申請電子データ、提出時期等については、PMDAと相談して決定すること。

審査の過程で新たに提出されることとなった臨床試験の申請電子データに関しても、当該試験で事前に計画された解析等、有効性及び安全性の評価に必要な解析については申請者が実施し、その結果を提出する必要がある。

(4) eCTDと申請電子データとの関連について

ア 申請電子データ提出に伴う承認申請添付資料

申請電子データは、承認申請書に添付すべき資料の一部であることから、原則eCTDに含めること。

イ eCTDと申請電子データの提出に関する留意点

提出する申請電子データがどの試験報告書に関連するものであるか等の情報を付して提出すること。付す情報の種類や具体的な方法については、技術的ガイド等を参照すること。

ウ eCTD改訂時に申請電子データを追加、置換又は削除する場合の対応

審査中の照会等での指示により、eCTD改訂時に申請電子データを追加、置換又は削除する場合は、eCTDにおけるその他の文書と同様に、変更対象及び意図を付して提出し、eCTDを改訂すること。付す情報の種類や具体的な方法については、技術的ガイド等を参照すること。なお、添付資料一覧に申請電子データの各ファイルの名称を記載する必要はないが、関連する申請電子データの提出の有無を報告書ごとに記載すること。

4 提出すべき申請電子データの標準及びその詳細事項について

(1) 提出時のデータ標準について

対象となる臨床試験のデータについては、CDISC標準に準拠した形式で提出すること。

ただし、希少疾病用医薬品等について、令和2年4月1日より前に開始した試験については、その限りではない。

また、2(1)イ(イ)及び(ウ)の資料のうち、抗悪性腫瘍剤での第Ⅰ相試験以外の資料について、令和2年4月1日より前に開始した試験に限り、CDISC標準以外の形式のデータを提出することでも差し支えない。

さらに、2(1)イ(ウ)の資料において、臨床薬理領域の解析に関するデータセット等については、申請者の解析データ作成における実態を踏まえ、CDISC標準以外の規格に基づく提出も可能な場合がある。

(2) CDISC標準に準拠した申請電子データ等の詳細事項について

ア 提出すべき申請電子データの種類

個別の試験データについては、Study Data Tabulation Model(SDTM)を用い、変数等の定義ファイル(Define.XML)、注釈付き症例報告書(以下「Annotated CRF」という。)及びデータガイドとともに提出すること。また、解析データセットとしてAnalysis Data Model(ADaM)に基づくデータセット及びその定義ファイル(Define.XML)、ADaMデータセット作成用のプログラム、解析用プログラム及びデータガイドを提出すること。

統合解析(ISS/ISE)に関する申請電子データについては、原則としてADaMに基づくデータセット、定義ファイル(Define.XML等)、ADaM作成用のプログラム、解析用プログラム及びデータガイドを提出すること。

なお、解析データセットがADaM以外の他の形式で作成されているデータでも例外的に提出を受け入れる場合があるが、提出内容(定義ファイルや解析データセット作成用プログラムを含む)について、提出前に個別にPMDAに確認すること。

イ 提出を求めるデータセット及び定義書

(ア) SDTM及びADaMデータセットの提出の必要性について

SDTMデータセットには原則として、CRF等により収集されたデータを、対応するSDTM及びSDTMの実装ガイド(Implementation Guide:IG)において指定された変数により、各ドメインに可能な限り格納して提出すること。また、SDTM中の、実施された臨床試験の計画に関する情報を格納するドメイン(Trial Design Model)のデータセットも含めること。解析データセットは個々の解析の特徴に応じて様々な変数の構成を取り得るが、ADaM及びADaM IGに従い構成されたデータセットを提出すること。

統合解析(ISS/ISE)の申請電子データを提出する場合には、原則としてADaMによる解析データセットを提出すること。ただし、SDTMデータセットを解析に用いている場合にはその提出で差し支えない。必ずしも個々の試験のSDTMデータセットを提出する必要はないが、統合解析に関するSDTMデータセットが存在する場合には、提出を求める場合がある。

(イ) データセットの定義書の提出について

SDTM及びADaMデータセットに関する変数等の定義(以下「メタデータ」という。)はそれぞれ、CDISCで定めるDefine―XML形式によりまとめた上で、スタイルシートとともに提出すること。メタデータとして必要な内容については、技術的ガイド等を参照すること。

(ウ) データセット及び定義書のファイル形式について

CDISC標準に準拠したデータセット及び定義書のファイル形式については、技術的ガイド等を参照すること。なお、データセット内で英語を用いる場合はASCIIで規定されている文字セット(character set)を使用すること。英語以外の言語(日本語を含む。)を用いる場合は、使用した文字セット及び符号化方式についてデータガイドで説明すること。

(エ) データセットに付随して提出すべき文書について

データセットの定義書に加え、CRFにより収集されたデータの各項目とデータセットに含まれる変数との関係を示すAnnotated CRF及びデータガイドを提出すること。

データガイドの内容としては、CDISC標準への準拠程度(バリデーション結果)等の説明、特に、データの受け入れ自体は許容されるもののデータ利用時に問題となり得る点等、審査にあたり明確にすべきと考えられる点に関する説明を含めること。データガイドについては、日本語による記載であっても差し支えない。

なお、データセットに付随して提出すべきこれら文書の詳細及びファイル形式については、技術的ガイド等を参照すること。

(オ) データ間のトレーサビリティについて

CRF等により臨床試験において収集されたデータから評価される試験成績までのトレーサビリティを確保するため、CRF等により収集されたデータをSDTM形式のデータセットにまとめ、それを元にADaM形式の解析データセットを作成することが推奨される。

SDTM以外の形式でまとめられたデータベースから、SDTM及びADaMデータセットをそれぞれ作成している場合等、ADaMデータセットがSDTMデータセットから作成されていない場合には、提出されるデータ間のトレーサビリティに関する事項(両データセットの作成手順、作成に用いたデータベースとSDTM及びADaMデータセットとの変数間の関係、ADaMデータセット作成時に利用したSDTMデータセットに含まれていない情報の有無等)をデータガイド等で説明すること。

なお、当面の間は、既にSDTM以外の形式でまとめられている臨床試験データを、申請時提出用にSDTM形式に変換することが想定されるが、この場合、変換されたデータである旨をデータガイドに記載すること。また、可能な限りSDTMで規定されている標準に従う形に変換する必要があるが、例えばデータ取得時の設定により推奨されるControlled Terminology(以下「統制用語」という。)に合わせて変換できないデータがあるなど、部分的に困難な箇所がある場合には、対面助言を利用して事前にPMDAに相談した上で、データガイド等で説明すること。

(カ) 日本語データの取扱いについて

PMDAにおいて申請電子データを取扱うシステムは、基本的に英語で記載されたデータを取扱うことを前提としている。よって、申請電子データの内容はCDISC標準において推奨される統制用語及び辞書に従って記載することとし、これらの設定がない場合であっても可能な限り英語で記載されたデータが提出されることが望ましい。

日本語によりデータが収集されている場合には、適切な英語に変換したデータセットを提出するが、英語に変換した場合に一定の情報が損なわれる恐れのある変数については、日本語によりデータを提出することが可能である。この場合、同一データセットについて英数字のみで構成されたデータセット及び日本語を用いた変数を含むデータセットの2種類を提出すること。日本語によりデータを提出することが可能となる変数及び各データセットの内容については、技術的ガイド等を参照すること。

ウ プログラムについて

臨床試験に関連するデータセットに加え、データセットの作成及び解析の過程を把握するため、ADaMデータセット作成用プログラム及び解析用プログラムを提出すること。

解析用プログラムについては、原則として、ADaMデータセットを基データとする解析用プログラムを提出すること。ただし、各プログラムの主な利用目的を踏まえ、必ずしもPMDAにおいてそのまま実行することが可能な形式及び内容として提出する必要はない。また、特定のソフトウエアやバージョンに限定するものではないが、プログラムを作成及び実行した環境(使用したオペレーションシステム、ソフトウエア及びそのバージョン)に関する情報をデータガイド等において併せて記載すること。マクロを利用したプログラムを使用している場合、マクロプログラムも併せて提出することが望ましいが、マクロプログラムの提出が困難な場合や、データセットやプログラムの作成を外部機関に委託しておりプログラム自体の提出が困難な場合等には、解析アルゴリズムの分かる仕様書等を提出することで差し支えない。

例外的に、解析データセットがADaMと異なる形式で作成されている場合には、解析データセット及び解析用プログラムの提出について、提出前に個別にPMDAに確認すること。

また、申請者による解析時に使用された解析システムの性質等から、PMDAの環境において当該解析用プログラムの利用が困難な場合又は解析結果が再現できない場合には、解析内容等の説明を別途個別に求める場合がある。

エ 推奨される統制用語、辞書及び単位について

申請電子データを作成する際、CDISCにおいて推奨される統制用語、事象についてはMedDRA、薬剤についてはWHODrug Globalを使用してコード化が可能なデータについては、コード化された情報も含めること。また、単位についてはSI単位を使用することを原則とする。

使用可能なコードのリストについては、PMDAのウェブサイト(https://www.pmda.go.jp/)を参照すること。

基本的には、推奨される標準のコードが存在する場合には、独自に定義したコードを用いるべきではない。ただし、やむを得ない事情により臨床試験のデータ収集時に、推奨されるコード以外のコードを使用していた場合や、推奨される統制用語が存在しない場合には、申請者により定義された慣例用語を使用してデータセットを構成しても差し支えない。その場合、原則として同様の変数については、同一申請内で一貫したコードを使用すること。また、独自に定義したコードや標準のコードからの拡張を行った場合は、データセットの定義書及び/又はデータガイドにその旨を説明すること。

単位について、各種疾患の診断、治療、薬効評価等のガイドラインで用いられる、慣例的に使用されている単位によりデータが取得されている場合には、SI単位への変換が可能なものは、SDTMデータセット内に標準単位による値としてSI単位に変換後の値を別途格納して提出すること。なお、申請資料の作成においては、慣例的に使用されている単位の結果を用いて差し支えない。ADaMデータセットには申請資料の作成において用いた単位を含めること。

オ CDISC標準等のバージョンについて

申請電子データの作成にあたって使用するCDISC標準等のバージョンについて、受け入れ可能なバージョンはリストとしてPMDAのウェブサイトで公開される「申請電子データ提出に際して利用可能な規格一覧」を参照すること。受け入れ可能なバージョンは、各種標準の改訂を踏まえて更新される可能性があることから、データ作成時において可能な限り新しいバージョンを使用することが望ましい。

なお、申請時に受け入れ可能とされているバージョン以外で作成されたデータセットについては、受け入れ可能なバージョンへの変換が必要となるので留意すること。

用いるCDISC標準のバージョンについて、同一申請内で臨床試験ごとにバージョンが異なることは差し支えないが、同一臨床試験内及び同一解析内では統一したバージョンを用いること。同一臨床試験内又は同一解析内において他のバージョンを用いている部分がある場合には、データガイドにおいて、その使用の理由等とともに説明すること。

(3) 臨床薬理領域の解析に関する申請電子データ等の詳細事項について

臨床薬理領域の解析を含む試験又は解析の申請電子データを提出する場合は、提出するデータの形式に関わらず、臨床薬理領域の申請電子データに関する全てのファイルに関する情報を付して提出すること。提出する情報の詳細については、技術的ガイド等を参照すること。

CDISC標準に準拠した申請電子データを提出する場合は、4(2)に従って必要な申請電子データを提出すること。なお、CDISC標準に準拠した申請電子データを提出する場合、標準的な薬物動態解析に関する解析用プログラムについては、4(3)ア(イ)と同様の対応で差し支えない。

4(1)のとおり、2(1)イ(ウ)の資料において、臨床薬理領域の解析に関するデータセット等については、CDISC標準以外の規格に基づく提出も可能な場合があるが、CDISC標準以外の形式で提出する場合について、解析ごとに、以下のア~ウに掲げる申請電子データを提出すること。

なお、臨床薬理領域の解析データセットについては、以下の点に留意すること。

・解析計画書に定めた除外理由以外の理由で解析から除外したデータ(例えば、解析時に外れ値であると判断して除外したデータ等)については、フラグにより特定できるようにする等、解析における取扱いが明確になるよう配慮すること。

・日本人と外国人の比較やアジア地域での民族間の比較等の解析目的を踏まえ、必要な場合は、人種や地域等を特定できるよう配慮すること。

ア 標準的な薬物動態解析の詳細事項について

(ア) 提出を求めるデータセット及び定義書

薬物動態又は薬物動態/薬力学に関する解析データセットは、ADaM形式で提出することが望ましいが、ADaM以外の形式で提出することでも差し支えない。ADaM以外の形式で提出する場合は、解析データセットとともにデータセット定義書を提出すること。

(イ) プログラムについて

標準的な薬物動態解析に関する解析用プログラムとして、ノンコンパートメント解析により薬物動態又は薬力学パラメータを算出する解析については解析用プログラムの提出は必須ではないが、薬物動態又は薬物動態/薬力学に関する解析仕様書等を提出すること。薬物動態又は薬力学パラメータの統計学的な検討に用いた解析は、解析用プログラムを提出すること。

イ 母集団解析(モデルに基づくシミュレーションを含む。)の詳細事項について

(ア) 提出を求めるデータセット及び定義書

解析データセット及びデータセット定義書を提出すること。データセット及びデータセット定義書は、CDISC標準以外の形式で提出することで差し支えない。

(イ) プログラムについて

原則として、モデル構築過程における主要なモデル(基本モデル、最終モデル等)のプログラム及び主要な結果が出力されたファイルを提出すること。モデルに基づくシミュレーションを実施している場合は、シミュレーションに用いたプログラムをプログラム手順書とともに提出することが望ましい。また、プログラム自体の提出が困難な場合等には、解析アルゴリズムの分かる仕様書等を提出することで差し支えない。

ウ 生理学的薬物速度論モデル解析(モデルに基づくシミュレーションを含む。)の詳細事項について

(ア) 提出を求めるデータセット及び定義書

解析に用いたモデルの構造、設定した薬物及び生理パラメータの値、解析手順や結果の感度分析等の情報が含まれるファイルを提出すること。また、必要に応じて、解析に使用した血中濃度データ等を含む臨床試験のデータセット及びデータセット定義書を提出すること。データセット及びデータセット定義書は、CDISC標準以外の形式で提出することで差し支えない。

(イ) プログラムについて

基本的にプログラムの提出は不要であるが、解析に用いたソフトウエアを明示すること。

5 申請電子データ提出と信頼性適合性調査との関連について

申請資料の信頼性適合性調査については、今後、電子症例報告書におけるデータの収集段階からCDASH(Clinical Data Acquisition Standards Harmonization)等のCDISC標準を利用し、その申請電子データに基づき治験総括報告書でのデータが作成されているような試験成績を対象とする場合の調査については、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」(平成24年3月30日付け文部科学省・厚生労働省)において、「IT技術の更なる活用等」としてCDISC標準等の導入を検討するとされていることを踏まえ、申請者等の負担軽減を考慮した、より効率的な実施方法を検討する。

なお、当面の間は、申請時に試験データを電子的に提出した場合であっても、症例一覧表等の提出も含め、従前どおり「医薬品の承認申請資料に係る適合性書面調査及びGCP実地調査の実施手続き並びに医薬品の中間評価、再審査及び再評価申請資料の適合性書面調査及びGPSP実地調査の実施手続きについて」(令和2年8月31日付け薬機発第0831001号独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長通知)に基づき実施される。

6 申請電子データに関する相談プロセスについて

申請時等の申請電子データ提出に関しては、個々に判断すべき事項も多く、審査を円滑に進めるため、PMDAの対面助言を活用するなどして、申請予定の個別品目ごとに、提出前の段階で相談を行うことが望ましい。申請電子データの提出対象となる資料の範囲に関しては、PMDAにおける既存の治験相談枠を活用し確認すること。また、申請電子データの具体的な提出内容に関しては、「医薬品申請電子データ提出方法相談」等を活用すること。

7 申請電子データに関する情報管理について

申請電子データについては、添付資料の一部として提出を求めるものであり、その行政文書としての公開に関しては、これまでの申請資料と同様に、情報公開法上の考え方、手続に基づき対応することとなる。したがって、提出された申請電子データの内容が、開示が可能であることの確認を申請者にとることなく、第三者に閲覧されるようなことはない。ただし、秘密保持契約に基づき、海外の薬事規制当局との情報共有が行われる場合はある。

また、提出された被験者ごとの電子データに直接アクセスするのは、PMDA及び厚生労働省医薬・生活衛生局の関係者(PMDA及び厚生労働省医薬・生活衛生局の職員の他、秘密保持契約締結の下、PMDA内に常駐するシステム担当者等を含む。)に限定され、PMDA外への漏洩、紛失等がないよう適切に保管・管理される。

8 用語集

本通知に使用した用語の解説及び申請時の申請電子データ提出に関するさらなる詳細事項、注意事項等については、PMDAが技術的ガイド等において別途定めるので、それらについても併せてご留意願いたい。

・ Clinical Data Interchange Standards Consortium(CDISC)

臨床研究データ等の相互運用を促進するため、データの収集、交換、申請及び保存のための国際規格を開発している学際的な非営利団体。CDISCで開発された標準規格は、米国FDA等においても承認申請データの受入規格として採用されている。詳細は、CDISCのウェブサイト(https://www.cdisc.org/)を参照すること。

・ Study Data Tabulation Model(SDTM)

CDISCで開発された標準規格の一つで、治験における個々の患者データについて、薬事規制当局への電子データ申請を推進するために開発されたもの。

・ Analysis Data Model(ADaM)

CDISCで開発された標準規格の一つで、治験データに基づく統計解析を実施するために必要なデータセットに関し、薬事規制当局への電子データ申請を推進するために開発されたもの。

・ Clinical Data Acquisition Standards Harmonization(CDASH)

CDISCで開発された標準規格の一つで、治験実施医療機関で症例報告書におけるデータ項目を電子的に統一するために開発されたもの。

9 その他

関連の通知等を別紙のとおり改める。

別紙

関連通知の改正について

1.新医薬品の承認の予見性向上等に向けた承認申請の取扱い及び総審査期間の考え方について(平成26年10月6日付け薬食審査発1006第1号、薬食監麻発1006第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課長、監視指導・麻薬対策課長連名通知)

改正後

改正前

1 審査予定事前面談について

(前略)

特に、優先審査品目など総審査期間の目標値が短い申請や承認申請時に電子データを提出する場合については、具体的な審査スケジュールや電子データの提出範囲等について綿密な調整が必要であることに留意すること。

(後略)

1 審査予定事前面談について

(前略)

特に、優先審査品目など総審査期間の目標値が短い申請については、具体的な審査スケジュールについて綿密な調整が必要であることに留意すること。

(後略)

(下線部分を改正)