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○令和6年度以降の新型コロナワクチンの接種による健康被害に係る救済措置の取扱いについて〔独立行政法人医薬品医療機器総合機構法〕

(令和6年3月11日)

(事務連絡)

(各都道府県・各市町村・各特別区衛生主管部(局)あて厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部予防接種課、厚生労働省医薬局総務課医薬品副作用被害対策室通知)

予防接種行政につきましては、日頃より御理解と御協力を賜り厚く御礼申し上げます。

さて、新型コロナワクチンの接種については、「令和6年度以降の新型コロナワクチンの接種について」(令和5年11月22日付け厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部予防接種課事務連絡)等によりお知らせしているとおり、特例臨時接種を令和5年度末で終了します。令和6年度以降は、個人の重症化予防により重症者を減らすことを目的として、新型コロナウイルス感染症を予防接種法のB類疾病に位置付けた上で、定期接種の対象者を定め、同法に基づく定期接種として実施することとなる一方で、定期接種の対象者以外については、任意接種として接種の機会を得ることが可能となる予定です。

これに伴い、新型コロナワクチンの接種による健康被害が生じた場合の救済措置について、当該接種が行われた接種日や定期接種か否か等により、対象となる救済制度が異なることとなるため、今般、その取扱いについてとりまとめました。

つきましては、各都道府県及び市町村(特別区を含む。以下同じ。)におかれては、救済を受けようとする方が、混乱なく円滑かつ適切に手続を行うことができるよう、本事務連絡の内容を十分にご了知の上、管内住民及び新型コロナワクチン接種を実施する医療機関等に対して周知徹底を図るよう、ご協力をお願いいたします。また、周知に当たっては、幅広く周知がなされるよう、新型コロナワクチン接種担当課に加え、通常の予防接種担当課や薬務主管課と適宜連携してご対応いただければ幸いです。

1.令和6年度以降における新型コロナワクチン接種の主な変更点

(1) 令和5年度末までの取扱い

・ 新型コロナワクチン接種は、全て予防接種法(昭和23年法律第68号)上の「特例臨時接種」として実施されている。

・ 新型コロナワクチン接種の副反応による健康被害が生じた場合には、年齢等にかかわらず、予防接種法に基づく「予防接種健康被害救済制度」による救済の請求を行うこととなる。

(2) 令和6年度以降の取扱い

・ 令和5年度末で「特例臨時接種」が終了し、令和6年度以降は、個人の重症化予防により重症者を減らすことを目的とし、新型コロナウイルス感染症を予防接種法のB類疾病に位置付けた上で、毎年秋冬に1回、その年のウイルス株に対応するワクチンの接種を、以下の者に対して、予防接種法に基づく「定期接種」として実施する。

① 65歳以上の高齢者

② 60歳から64歳までの者であって、心臓、腎臓又は呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害を有する者及びヒト免疫不全ウイルスにより免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害を有する者(季節性インフルエンザワクチン等における接種の対象者と同様)

・ また、令和6年度以降は、新型コロナワクチンは他のワクチンと同様に一般流通が行われる見込みであり、上記の定期接種の対象者以外であっても、予防接種法に基づかない「任意接種」として接種の機会を得ることができる。

・ 「任意接種」で新型コロナワクチン接種を行い、副作用による健康被害が生じた場合には、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成14年法律第192号。以下「PMDA法」という。)に基づく「医薬品副作用被害救済制度」による救済の請求を行うこととなる。

2.令和6年度以降における各救済制度の対象者について(別添1参照)

令和6年度以降の新型コロナワクチン接種に係る救済制度の取扱いについては、被接種者からの救済の「請求日」、被接種者の「接種日」、接種が「定期接種か否か」によって、対象となる救済制度が異なることから、住民から相談があった場合には、下記(1)から(3)までの必要事項を、下記の順に従って聞き取り、適切な請求方法や請求先等を案内する必要がある。

なお、4.及び5.で後述するとおり、対象となる救済制度によって、請求先や請求書類が異なるため、住民から相談があった場合には、対象となる救済制度を適切に教示すること。

(1) 救済の「請求日」

・ 救済を受けようとする被接種者からの救済の「請求日」が令和6年3月31日以前である場合には、全て予防接種法上の特例臨時接種として実施された接種に伴う健康被害に係る請求であることから、同法による予防接種健康被害救済制度の対象となる。給付の範囲は、予防接種法第16条第1項(A類疾病に係る定期の予防接種等。「定期の予防接種等」とは、定期の予防接種または臨時の予防接種をいう(同法第2条第6項)。)に規定する給付となる。

・ 「請求日」が令和6年4月1日以降である場合は、請求日のみでは対象となる救済制度が特定できないため、(2)以降の事項を確認する。

(2) 被接種者の「接種日」

・ ここでいう被接種者の「接種日」とは、被接種者が救済を求める原因となった接種の接種日である。このため、例えば、同一人が複数回の接種を経験している場合は、必ずしも直近の接種日が基準となるとは限らず、被接種者が救済を求める健康被害が生じたと主張する接種の接種日で判断する必要があることに留意すること。

・ 被接種者の「接種日」が令和6年3月31日以前である場合には、(1)で確認した救済の「請求日」が令和6年4月1日以降であったとしても、全て予防接種法上の特例臨時接種として実施された接種に伴う健康被害に係る請求であることから、同法による予防接種健康被害救済制度の対象となる。給付の範囲は、同法第16条第1項に規定する給付となる。

・ 被接種者の「接種日」が令和6年4月1日以降である場合は、接種日のみでは対象となる救済制度が特定できないため、(3)の事項を確認する。

(3) 接種が「定期接種か否か」

・ 1(2)に記載した定期接種の対象者であっても、例えば、秋冬以外の時期に自ら希望して任意接種を行う可能性などもあることから、定期接種か否かを確認する場合は、対象者の属性のみで判断せず、必ず救済を求める原因となった接種が、実際にどの類型による接種として実施されたかを確認する必要があることに留意すること。

・ 救済を求める原因となった接種が「定期接種」として行われたものである場合は、予防接種法による予防接種健康被害救済制度の対象となる。給付の範囲は、同法第16条第2項(B類疾病に係る定期の予防接種)に規定する給付となる。

・ 救済を求める原因となった接種が「任意接種」として行われたものである場合は、予防接種法に基づかない接種であることから、PMDA法に基づく医薬品副作用被害救済制度の対象となる。給付の範囲は、PMDA法第16条第1項(副作用救済給付)に規定する給付となる。

3.各救済制度において請求できる給付と給付単価

各救済制度において請求できる給付区分(医療費・医療手当や障害年金など)と給付単価については、別添2を参照すること。

対象となる救済制度の区分により、給付単価、給付の範囲などが異なるため、請求しようとする者から相談があった場合には、2.に従って確認したことを元に、適切な給付内容を案内すること。

なお、給付単価については、令和5年4月時点のものを掲載しており、令和6年4月以降の給付単価については、消費者物価指数の動向等により、改定が行われる可能性があることに留意されたい。

4.各救済制度における支給・不支給決定までの流れ

各救済制度において、請求が行われてから支給・不支給決定がなされるまでの流れと、各手続の実施主体が異なる。各救済制度における流れは以下のとおり。

(1) 予防接種健康被害救済制度に係る救済請求の場合

① 請求者が、救済を求める原因となった接種が行われたときに、被接種者が居住していた市町村長に対して請求

② 各市町村に設置された予防接種健康被害調査委員会等において、当該事例を調査し必要な請求書類を整備

③ 各市町村長が、都道府県を経由して厚生労働大臣(送り先は健康・生活衛生局感染症対策部予防接種課)に対し、請求書類を進達

④ 厚生労働大臣が疾病・障害認定審査会に意見聴取を行い、疾病、障害又は死亡が当該定期の予防接種等を受けたことによるものであるか否かについて、医学的知見等を踏まえた専門的観点から調査審議

⑤ 調査審議結果を踏まえて厚生労働大臣が認定・否認を行い、都道府県を経由して各市町村長に審査結果を通知

⑥ 審査結果を踏まえ各市町村長が支給・不支給決定を行い、請求者に通知

(2) 医薬品副作用被害救済制度に係る救済請求の場合

① 請求者が、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)に対して請求

② PMDAにおいて、当該事例を調査し必要な請求書類を整備

③ PMDAが厚生労働大臣に対して判定の申出

④ 厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会副作用・感染等被害判定部会に意見聴取を行い、救済給付の請求のあった者に係る疾病、障害又は死亡が、副作用によるものであるかどうかその他医学的薬学的判定を要する事項について、医学・薬学的知見等を踏まえた専門的観点から調査審議

⑤ 調査審議結果を踏まえて厚生労働大臣が判定を行い、PMDAに判定結果を通知

⑥ 判定結果を踏まえPMDAが支給・不支給決定を行い、請求者に通知

5.各救済制度における給付の請求先

(1) 予防接種健康被害救済制度に係る救済請求の場合

救済を求める原因となった接種が行われたときに、被接種者が居住していた市町村長に対して行う。

(2) 医薬品副作用被害救済制度に係る救済請求の場合

被接種者の居住していた地域にかかわらず、請求を行おうとする者が、以下の請求先に対して、必要書類を提出して請求を行う。各都道府県及び市町村を経由する必要はない。

【送付先】

・ 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)

健康被害救済部給付課 副作用給付第一係

〒100―0013 東京都千代田区霞が関3―3―2 新霞が関ビル

※書類の受付窓口は設置していないため、必ず郵便等で送付する。

6.各救済制度における給付の請求書類

各救済制度において必要となる請求書類は、下記のとおり、揃えるべき書類の種類及び様式が異なる。また、請求しようとする給付の種類(医療費・医療手当、障害年金、障害児養育年金、死亡一時金、遺族年金・遺族一時金、葬祭料)によっても異なることから、対象となる救済制度の種類、請求しようとする給付の種類に合わせ、適切な請求書類を案内する必要がある。

(1) 予防接種健康被害救済制度に係る救済請求の場合

予防接種健康被害救済制度に係る救済請求を行う場合の請求書類については、下記の厚生労働省ホームページを参照すること。様式をダウンロードすることができる。

ただし、請求先の各市町村において、規程等により別途様式を定めている場合には、その様式によって請求を行うこと。

【厚生労働省ホームページ】

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_kenkouhigaikyuusai.html

(2) 医薬品副作用被害救済制度に係る救済請求の場合

医薬品副作用被害救済制度に係る救済請求を行う場合の請求書類については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)の救済相談窓口(以下「PMDA相談窓口」という。)又は下記のPMDAホームページを紹介すること。PMDA相談窓口では、請求内容をお聞きした上で必要な請求書類を送付している。また、PMDAホームページでは、様式をダウンロードできるほか、請求に当たっての詳細を記載した手引きや、質問項目に答えることで必要書類を確認することができるチェックフローチャートも活用することができる。

【PMDA相談窓口】

TEL 0120―149―931

(受付時間:午前9時~午後5時/月曜~金曜(祝日・年末年始を除く))

【PMDAのホームページ】

https://www.pmda.go.jp/relief-services/adr-sufferers/0004.html

7.各救済制度における支給・不支給決定の内容に不服がある場合

(1) 予防接種健康被害救済制度に係る救済請求の場合

予防接種健康被害救済制度において、支給・不支給決定(行政処分)を行うのは各市町村長(処分庁)であり、当該行政処分に係る事務は第一号法定受託事務である。このため、請求者が支給・不支給決定の内容に不服がある場合には、行政不服審査法(平成26年法律第68号)及び地方自治法(昭和22年法律第67号)第255条の2第1項に基づき、都道府県知事(審査庁)に対して審査請求を行うことができる。

(2) 医薬品副作用被害救済制度に係る救済請求の場合

医薬品副作用被害救済制度において、支給・不支給決定(行政処分)を行うのはPMDA(処分庁)である。請求者が支給・不支給決定の内容に不服がある場合には、PMDA法第35条第1項に基づき、厚生労働大臣(審査庁。審査申立書の送り先は医薬局総務課医薬品副作用被害対策室)に対して審査の申立てを行うことができる。

8.一般向けの各救済制度に関する情報・相談窓口

(1) 予防接種健康被害救済制度に係る救済請求の場合

【厚生労働省ホームページ】

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_kenkouhigaikyuusai.html

※相談窓口については、予防接種時の住民票所在地の市町村の予防接種担当を案内すること。

(2) 医薬品副作用被害救済制度に係る救済請求の場合

【PMDAの特設サイト】

・ 「一般国民の皆さま」ページ

(制度の概要、制度の種類、制度の手続方法など)

https://www.pmda.go.jp/kenkouhigai_camp/index.html

・ 「医療関係者の皆さま」ページ

(制度の概要、給付の種類・請求方法、薬袋・ポスターのダウンロード、医薬品副作用被害救済制度についてのe―ラーニング講座など)

https://www.pmda.go.jp/kenkouhigai_camp/index_medical.html

【PMDA相談窓口】

TEL 0120―149―931

(受付時間:午前9時~午後5時/月曜~金曜(祝日・年末年始を除く))

※上記相談窓口において、制度概要、請求手続、必要な請求書類等をご案内している。請求書類については相談窓口からの送付も可能。ただし、個別の事案において、医学薬学的判断、救済給付の支給が認められるか否かについて回答することはできないことに留意。

9.周知徹底へのご協力のお願い

・ 上記のとおり、令和6年度以降は、対象となる救済制度の種類によって、請求先、請求書類、支給・不支給の決定の流れ等が異なることから、令和6年度以降の救済制度の取扱いについて、各都道府県及び市町村のホームページ等を活用した管内住民への周知や、新型コロナワクチン接種を実施する医療機関等に対する周知の徹底にご協力をお願いしたい。

・ また、PMDAが実施した「令和4年度医薬品副作用被害救済制度に関する認知度調査」では、制度の認知率について、医師が90.8%、薬剤師が96.8%、看護師が63.7%である一方、実際に請求手続に関わったことがある者は、医師が18.9%、薬剤師が16.6%、看護師が7.4%となっている。必ずしも医療機関等が救済制度の手続等を熟知しているとは限らないため、丁寧な周知をお願いしたい。

・ なお、医薬品副作用被害救済制度については、各都道府県及び市町村が実際に手続に関与することはないが、住民に身近な自治体として、各救済制度について十分に知らない管内住民や医療機関等から問い合わせ・相談がなされることが十分に想定される。このため、各都道府県及び市町村におかれても、各救済制度について内容をご了知いただき、適宜、制度やPMDAの相談窓口をご案内いただくなど、救済を受けようとする方が、混乱なく円滑かつ適切に手続を行うことができるよう、ご協力をお願いしたい。

・ 新型コロナワクチン接種の対応に当たっては、通常の予防接種担当課だけではなく、新型コロナワクチン専門の部署を設けて対応している自治体も多いと考えられる。このため、周知に当たっては、通常の予防接種担当課や薬務主管課とも十分に連携を取り、幅広く周知いただくとともに、いずれの窓口でも適切な案内を行うことができるよう、ご協力をお願いしたい。

【問い合わせ先】※行政機関からの問い合わせに限ります

◆予防接種健康被害救済制度について

電話番号:03―3595―3287 Eメール:yobouseshu@mhlw.go.jp

※可能な限りメールでお問い合わせください。

◆医薬品副作用被害救済制度の制度について

厚生労働省医薬局総務課医薬品副作用被害対策室

電話番号:03―2595―2400 Eメール:iyaku-fukutai@mhlw.go.jp

※可能な限りメールでお問い合わせください。

◆医薬品副作用被害救済制度の請求手続等の運用について

独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)

電話番号:0120―149―931 Eメール:kyufu@pmda.go.jp

受付時間:(月~金)9時~17時(祝日・年末年始を除く)

以上

[別添1]

[別添2]

[別添3]

[別添4]