添付一覧
○「感染症の予防を目的とした組換えウイルスワクチンの開発に関するガイドライン」に係る質疑応答集(Q&A)について
(令和6年3月27日)
(事務連絡)
(各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて厚生労働省医薬局医薬品審査管理課通知)
感染症の予防を目的とした組換えウイルスワクチンの品質、有効性及び安全性の考え方・留意点に関しては、「「感染症の予防を目的とした組換えウイルスワクチンの開発に関するガイドライン」について」(令和6年3月27日付け医薬薬審発0327第7号厚生労働省医薬局医薬品審査管理課長通知)において、その考え方を示しているところですが、今般、当該ガイドラインに係る質疑応答集(Q&A)を別添のとおりとりまとめましたので、貴管内関係業者に対し周知方ご配慮願います。
(別添)
「感染症の予防を目的とした組換えウイルスワクチンの開発に関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)
【第1章の3.適用範囲】
(Q1) 本ガイドラインの適用範囲に含まれる組換えウイルスとして具体的にどのような組換えウイルスを想定しているか例示されたい。 |
A1
例えば、異なるウイルスのゲノムの一部を挿入して非増殖型ウイルスとしたアデノウイルスや、増殖能を維持したまま遺伝子を改変して増殖型ウイルスとした水疱性口内炎ウイルス、その他、同種のウイルスであっても、異なる血清型に由来するゲノムが挿入されたデングウイルス等の組換えウイルスを想定している。
(Q2) 「遺伝子組換え工程を経て作製されたウイルスが自然界に存在するウイルスと同等の特性及び遺伝子構成とみなせるもの(ナチュラルオカレンス)を有効成分とするものには適用されない」について、具体的にどのようなウイルスは適用されないか例示されたい。 |
A2
遺伝子組換え工程を経て製造されたウイルスであっても、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97号)(いわゆるカルタヘナ法)の適用対象に該当しないものと判断されたものを想定している。ナチュラルオカレンス(※)への該当性を確認したい場合は、カルタヘナ法関連事項相談を活用されたい。
※「ナチュラルオカレンス」とは、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律施行規則」(平成15年財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省令第1号)第2条第2号に掲げる技術の利用により得られた核酸又はその複製物を有する生物をいう。
【第2章 組換えウイルスワクチンの概要及び開発の経緯等】
(Q3) 「本邦で臨床試験を開始する前に、治験薬概要書等の臨床試験に関する各種文書において、対象とする感染症における現行の予防法又は治療法の概要、開発しようとする組換えウイルスワクチンの特徴から期待される有用性及び予測されるリスクの概要を説明すること。組換えウイルスワクチンの特徴については、以下の「1.組換えウイルスの作製の経緯」及び「2.組換えウイルスの性質」を踏まえて説明すること。」とされているが、治験薬概要書等にどのような記載が求められるか例示されたい。 |
A3
治験の依頼をしようとする者又は自ら治験を実施しようとする者は、治験を適正に行うための情報を治験責任医師等へ提供する必要がある。治験薬概要書における品質又はその他の被験薬に関する事項、治験実施計画書における被験薬の取扱い等に関する事項、当該治験の依頼を科学的に正当と判断した理由を記した文書等において、ワクチンの有効性及び安全性に関連する組換えウイルスの基礎的な情報、偶発的な漏出時等において求める対応の根拠となる情報等を適切に提供されたい。当該情報の根拠については、「1.組換えウイルスの作製の経緯」及び「2.組換えウイルスの性質」に係る試験成績の概要を説明すること又は文献を引用することで説明されたい。
【第2章の2.組換えウイルスの性質】
(Q4) 「(2) 組換えウイルスの物理化学的性質」、「1) 偶発的な漏出等を想定した安定性」について、具体的にどのような評価を行えばよいか例示されたい。 |
A4
組換えウイルスワクチンのバイアルの破損、使用時のワクチン液の漏出等、輸送時や使用時に想定される環境における偶発的な漏出時の対応を検討するため、例えばプラスチック、綿布、金属等の接触面に付着した場合を想定した組換えウイルスの感染性、増殖性等を指標とした安定性に関する試験等が想定される。当該試験から得られる情報は、意図しないヒト等への伝播リスクを評価する際に有用と考えられる。
【第2章の2.組換えウイルスの性質、(3) 組換えウイルスの生物学的性質、6) 変異ウイルス出現の可能性】
(Q5) 「6) 変異ウイルス出現の可能性」、「起源ウイルスが、他のウイルスとの間で相同組換え又は遺伝子再集合(以下「相同組換え等」という。)を起こす可能性がないか文献等を用いて説明すること。増殖型組換えウイルス及び非増殖型組換えウイルスが、想定される臨床での使用方法において、他のウイルスとの間で相同組換え等により変異する可能性について評価すること。評価には、組換えウイルスと他のウイルスとの遺伝子配列の相同性、組換えウイルスと他のウイルスの生体内分布の関係等が参考となる。」について、具体的にどのような評価を行えばよいか例示されたい。 |
A5
起源ウイルスが同種ウイルスとの間で相同組換え等を起こす事象が報告されている場合、文献等を用いてそれらを説明すること。
組換えウイルスが野生型ウイルスと相同組換え等を起こす可能性の有無について、以下の点を踏まえて説明すること。
・組換えウイルスゲノムの特性(相同組換え等を起こしやすい配列、分節ゲノム等)。相同組換え等のリスクの低減のためのウイルスゲノムの改変が行われていれば、遺伝子配列の改変によるゲノム設計上のリスク低減措置。
・組換えウイルスの生体内分布データと想定される野生型ウイルスの感染部位との関係
・組換えウイルスワクチンの用法・用量
なお、相同組換え等のリスクが無視できない場合は、組換えウイルスと野生型ウイルスが相同組換え等を起こした時のリスクを説明すること。
【第4章の2.薬理試験(効力を裏付けるための試験】
(Q6) 「免疫原性については、目的としている免疫反応だけではなく、組換えウイルスに含まれる他のウイルスタンパク質に対して体内で惹起される免疫反応についての評価が有用な場合がある。」について、どのような情報について取得すればよいか例示されたい。 |
A6
増殖性や組織指向性等を改変する目的で特定の遺伝子を挿入している場合、その遺伝子から発現するタンパク質に対する免疫反応の影響を評価する。また、ウイルスベクターの構造タンパク質、目的の抗原タンパク質以外のウイルスタンパク質等への意図しない免疫反応の影響を評価することが有用な場合がある。
(Q7) 「組換えウイルスワクチンと既承認ワクチンの免疫原性が互いに影響することが想定される場合は、その影響評価について検討すること。」とは、どのような場合に評価が必要か例示されたい。 |
A7
例えば、麻しんワクチン、水痘ワクチン、痘そうワクチン等の既承認ワクチンの有効成分と、開発中の組換えウイルスワクチンの起源ウイルス、目的遺伝子の由来ウイルスが同種の場合、先に接種したワクチンによって獲得した免疫の影響により、後に接種するワクチンによる免疫が得られない、又はブースター効果が現れる可能性がある。そのような可能性が想定される場合は、その影響を非臨床試験又は臨床試験において評価することが必要となる場合がある。
【第4章の3.非臨床安全性試験】
(Q8) 開発中の組換えウイルスワクチンについて「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成9年厚生労働省令第21号)に基づく基準(以下「GLP」という。)に従うことが難しい場合、どのように対応すればよいか。 |
A8
非臨床安全性試験を実施する際には、原則として「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令(Good Laboratory Practice:GLP)」に準じて実施することが求められる。組換え生物を用いる施設要件等からGLP下で実施できない場合には、GLP下で実施できない部分を明確にし、安全性評価に与える影響について説明すること。
【第4章の4.生体内分布試験】
(Q9) 生体内分布試験はGLP適用試験として実施する必要があるか。 |
A9
生体内分布試験に関する資料はGLP適用の対象ではないが、信頼性を確保できるように収集、かつ、作成されたい。
(Q10) 生体内分布試験において評価する臓器等を具体的に例示されたい。 |
A10
生体内分布試験において、一般的には、血液、注射部位、流入領域リンパ節、生殖腺、副腎、脳、脊髄(頸部、胸部、腰部)、肝臓、腎臓、肺、心臓、及び脾臓の評価を検討されたい。また、組換えウイルスの細胞・組織指向性、発現タンパク質の作用、組換えウイルスワクチンの特性、投与経路等を踏まえ、評価する臓器等の追加の要否を検討されたい。
【第4章、その他】
(Q11) 開発品目と同様の技術で製造された他品目の開発において既に取得した試験成績等に基づいて、開発品目に係る組換えウイルスの性質、薬物動態、非臨床安全性等を説明できる場合、開発品目を用いた非臨床試験を省略することは可能か。 |
A11
個別の組換えウイルスの特性を踏まえて判断が必要となることから、他の品目で得られている試験成績及び開発品目の非臨床試験を省略することの妥当性の説明を含めて具体的な開発計画を独立行政法人医薬品医療機器総合機構と相談されたい。
以上
