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○管理医療機器の認証基準に関する取扱いについて(その7)

(令和6年3月25日)

(医薬発0325第2号)

(各都道府県知事あて厚生労働省医薬局長通知)

(公印省略)

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第23条の2の23第1項の規定により厚生労働大臣が基準を定めて指定する医療機器(平成17年厚生労働省告示第112号。以下「基準告示」という。)第2条の規定に基づき、基準告示に指定する管理医療機器の基準の適合に関し必要な事項については「管理医療機器の認証基準に関する取扱いについて」(平成27年9月30日薬食発0930第6号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知。以下「局長通知」という。)により示しているところです。

今般、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第23条の2の23第1項の規定により厚生労働大臣が基準を定めて指定する医療機器の一部を改正する件」(令和6年厚生労働省告示第110号)が本日から適用されることに伴い、下記のとおり局長通知の別添を改正することとしましたので、貴管内関係団体、関係事業者等への周知をお願いいたします。

なお、本通知の写しを独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長、一般社団法人日本医療機器産業連合会会長、一般社団法人米国医療機器・IVD工業会会長、欧州ビジネス協会医療機器・IVD委員会委員長及び医薬品医療機器等法登録認証機関協議会代表幹事宛て送付することとしていることを申し添えます。

本通知の別添を局長通知の別添8として追加する。

別添

汎用針付注射筒に関する取扱い

(1) 適用範囲

告示別表第2の8に規定する「汎用針付注射筒」は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第5項から第7項までの規定により厚生労働大臣が指定する高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器(平成16年厚生労働省告示第298号)別表第2第640号に規定する汎用針付注射筒とする。

上記「汎用針付注射筒」は、針管を注射筒へ接合したものも含まれる。

上記「汎用針付注射筒」に含まれる針は、公称外径0.18mm~1.2mmの注射針に限り、歯科用針及びペン形針は除く。

なお、上記「汎用針付注射筒」に含まれる注射筒は、針付き又は針無しの、プラスチック又はその他の材料で作られた滅菌済み注射筒に限る。充填後すぐに使用することを意図しており、長期間にわたって薬剤を収容するものは除く。インスリン皮下投与用注射筒、ガラス製単回使用注射筒、シリンジポンプ用注射筒、あらかじめ薬剤が充填された注射筒、及び充填後保管することを意図した注射筒は、認証基準の適用範囲外とする。

(2) 既存品目との同等性を評価すべき主要評価項目とその基準

以下に示す内容を踏まえ、既存品との同等性評価を行うこと。その際には、既存品に適用される規格等((3)基本要件基準を満たすために引用可能な規格等一覧を参照)を用いること。

① 材質並びに形状及び構造

(ア) 針管の材料

針管の材料は、JIS T 3209:2022「滅菌済み注射針」の「4.10.1 一般」を満たしていることを評価する。

(イ) 潤滑剤

注射針及び注射筒の潤滑剤は、厚生労働省が定めたシリコーン油基準又はこれと同等以上の基準(例えば、ヨーロッパ薬局方(EP))に適合するものでなければならない。

注射針の潤滑剤の量は、JIS T 3209:2022「滅菌済み注射針」の「4.10.4 潤滑剤」を満たしていることを評価する。

注射筒の潤滑剤の量は、JIS T 3210:2022「滅菌済み注射筒」の「7.2 潤滑剤の量」を満たしていることを評価する。

(ウ) 公称容量の許容差

公称容量の許容差は、JIS T 3210:2022「滅菌済み注射筒」の「8 公称容量の許容差」を満たしていることを評価する。

(エ) 外筒

外筒は、JIS T 3210:2022「滅菌済み注射筒」の「10 外筒」を満たしていることを評価する。

(オ) 押子

押子は、JIS T 3210:2022「滅菌済み注射筒」の「11 押子」を満たしていることを評価する。

(カ) 筒先のルアーテーパー

筒先のルアーテーパーは、ISO 80369―7に適合しなければならない。注射筒にロック機構がある場合は,ISO 80369―7に適合しなければならない。

なお、針管を注射筒へ接合している汎用針付注射筒の場合には、当該評価項目を適用しない。

(キ) 筒先位置

筒先位置は、JIS T 3210:2022「滅菌済み注射筒」の「12.2 外筒先端の筒先位置」を満たしていることを評価する。

(ク) 筒先の内腔

筒先の内腔は、JIS T 3210:2022「滅菌済み注射筒」の「12.3 内くう(腔)」を満たしていることを評価する。

なお、針管を注射筒へ接合している汎用針付注射筒の場合には、当該評価項目を適用しない。

(ケ) 目盛

目盛は、JIS T 3210:2022「滅菌済み注射筒」の「9 目盛」を満たしていることを評価する。

(コ) カラーコード

注射針の針基又は針キャップに着色する場合は、カラーコードは、JIS T 3209:2022「滅菌済み注射針」の「4.7 カラーコード」を満たしていることを評価する。

(サ) 針基

針基は、JIS T 3209:2022「滅菌済み注射針」の「4.8 針基」を満たしていることを評価する。

なお、針管を注射筒へ接合している汎用針付注射筒の場合には、当該評価項目を適用しない。

(シ) 針管の長さ

針管の長さは、JIS T 3209:2022「滅菌済み注射針」の「4.10.2 長さの許容差」を満たしていることを評価する。

(ス) 針先

針先は、JIS T 3209:2022「滅菌済み注射針」の「4.11 針先」を満たしていることを評価する。

(セ) デッドスペース

針管を注射筒へ接合している汎用針付注射筒のデッドスペースは、JIS T 3253:2024「インスリン皮下投与用注射筒」の「5.12.1 デッドスペース」を満たしていることを評価する。

それ以外の場合は、JIS T 3210:2022「滅菌済み注射筒」の「13.1 デッドスペース」を満たしていることを評価する。

② 物理的要求事項

(ア) 針基と針管との接合

針基と針管との接合は、JIS T 3209:2022「滅菌済み注射針」の「4.12 針基と針管との接合」を満たしていることを評価する。

(イ) 流路の開通性

流路の開通性は、JIS T 3209:2022「滅菌済み注射針」の「4.13 流路の開通性」を満たしていることを評価する。

(ウ) 針刺し防止機能

針刺し防止機能付きの注射針が構成品として含まれる場合、JIS T 3209:2022「滅菌済み注射針」の「4.14 針刺し防止機能」を満たしていることを評価する。

(エ) 針からの漏れ

針管を注射筒へ接合している汎用針付注射筒の場合、JIS T 3253:2024「インスリン皮下投与用注射筒」の「5.12.2 針からの漏れ」を満たしていることを評価する。

(オ) ガスケットからの空気及び液体の漏れ

針管を注射筒へ接合している汎用針付注射筒の場合、JIS T 3253:2024「インスリン皮下投与用注射筒」の「5.12.3 ガスケットを通した液及び空気の漏れ」を満たしていることを評価する。

それ以外の場合、JIS T 3210:2022「滅菌済み注射筒」の「13.2 ガスケットからの空気及び液体の漏れ」を満たしていることを評価する。

(カ) ピストンの摺動抵抗

ピストンの摺動抵抗は、JIS T 3210:2022「滅菌済み注射筒」の「13.3 ピストンの摺動抵抗」を満たしていることを評価する。

(キ) ガスケット・押子の嵌合

針管を注射筒へ接合している汎用針付注射筒の場合、JIS T 3253:2024「インスリン皮下投与用注射筒」の「5.7.2 外筒とガスケットとの密着」を満たしていることを評価する。

それ以外の場合は、JIS T 3210:2022「滅菌済み注射筒」の「13.4 ガスケット・押子のかん(嵌)合」を満たしていることを評価する。

③ 化学的要求事項

(ア) 酸又はアルカリの制限

注射針の酸又はアルカリの制限は、JIS T 3209:2022「滅菌済み注射針」の「4.4 酸又はアルカリの制限」を満たしていることを評価する。

注射筒の酸又はアルカリの制限は、JIS T 3210:2022「滅菌済み注射筒」の「6.2 酸又はアルカリの制限」を満たしていることを評価する。

(イ) 溶出金属の制限

注射針の溶出金属の制限は、JIS T 3209:2022「滅菌済み注射針」の「4.5 溶出金属の制限」を満たしていることを評価する。

注射筒の溶出金属の制限は、JIS T 3210:2022「滅菌済み注射筒」の「6.3 溶出金属の制限」を満たしていることを評価する。

④ 無菌性の保証

無菌性の保証は、厚生労働省が定めた滅菌バリデーション基準又はこれと同等以上の基準に基づき、評価する。

⑤ 生物学的要求事項

(ア) 生物学的安全性

JIS T 0993―1:2020に基づく生物学的安全性を評価する。

(イ) エンドトキシン

①注射針(注射針が注射筒から取り外し可能な場合)

注射針10本をとり、硬質ガラスの容器に入れ、エンドトキシン試験用水30mLを加え、融封又は適切な栓で密封してよく振り混ぜた後,室温で1時間放置し、この液を試験液とし、日局の一般試験法のエンドトキシン試験法によって試験したとき、0.5EU/mL未満でなければならない。

②注射筒(注射針が注射筒から取り外し可能な場合)

注射筒10本をとり、公称容量目盛の位置までエンドトキシン試験用水を吸い入れ,各注射筒のそれぞれの筒口を密封してよく振り混ぜた後、室温で1時間放置し、この液を試験液とし、日局のエンドトキシン試験法によって試験したとき、エンドトキシンは0.5EU/mL未満でなければならない。

③針管を注射筒へ接合している汎用針付注射筒の場合

針付注射筒10本をとり、公称容量目盛の位置までエンドトキシン試験用水を吸い入れ、各注射筒のそれぞれの針先を密封してよく振り混ぜた後、室温で1時間放置し、この液を試験液とする。日局のエンドトキシン試験法によって試験したとき、エンドトキシン含量が0.5EU/mL未満でなければならない。

(3) 基本要件基準を満たすために引用可能な規格等一覧

認証基準への適合に関し、基本要件基準に適合することを説明するために引用可能な規格等は以下のとおりであり、基本要件基準への適合を示す際には、これらの規格の要求事項に適合することを示すこと。また、これらの規格等への適合が確認できない場合は、適合を確認するために使用する他の規格等の妥当性及び当該規格等への適合を示すことで、基本要件基準への適合を示すこともできる。

① 同等性評価の考え方

・JIS T 0993―1,医療機器の生物学的評価―第1部:リスクマネジメントプロセスにおける評価及び試験

・ISO 10993‐1, Biological evaluation of medical devices‐Part 1:Evaluation and testing within a risk management process

・JIS T 3209,滅菌済み注射針

・ISO 7864, Sterile hypodermic needles for single use‐Requirements and test methods

・JIS T 3210,滅菌済み注射筒

・ISO 7886‐1, Sterile hypodermic syringes for single use‐‐Part 1:Syringes for manual use

・JIS T 3253,インスリン皮下投与用注射筒

・ISO 8537, Sterile single‐use syringes, with or without needle, for insulin

・ISO 9626, Stainless steel needle tubing for the manufacture of medical devices‐Requirements and test methods

・ISO 80369‐7, Small‐bore connectors for liquids and gases in healthcare applications‐Part 7:Connectors for intravascular or hypodermic applications

② その他

・JIS Q 13485,医療機器―品質マネジメントシステム―規制目的のための要求事項

・ISO 13485, Medical devices‐Quality management systems‐Requirements for regulatory purposes

・JIS T 14971,医療機器―リスクマネジメントの医療機器への適用

・ISO 14971, Medical devices‐Application of risk management to medical devices

・JIS T 62366―1,医療機器―第1部:ユーザビリティエンジニアリングの医療機器への適用

・IEC 62366‐1, Medical devices‐Part 1:Application of usability engineering to medical devices