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○バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針に関する質疑応答集(Q&A)について

(令和6年1月25日)

(事務連絡)

(各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて厚生労働省医薬局医薬品審査管理課通知)

バイオ後続品の品質等の確保に関しては、「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」(令和2年2月4日付け薬生薬審発第0204第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)において取扱いを示すとともに、当該指針に関する質疑応答集(Q&A)を「バイオ後続品の品質・安全性有効性確保のための指針に関する質疑応答集(Q&A)について」(令和2年2月4日付け厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課事務連絡)において示してきたところです。

今般、現時点における科学的知見に基づき、下記の新旧対照表のとおり、質疑応答集(Q&A)の一部を改訂することとしましたので、貴管内関係事業者に対し周知願います。改訂後の質疑応答集(Q&A)は別添のとおりです。

なお、本事務連絡の発出に伴い、「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針に関する質疑応答集(Q&A)について」(平成21年7月21日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡)、「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針に関する質疑応答集(Q&A)について」(平成22年3月31日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡)、「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針に関する質疑応答集(Q&A)について」(平成27年12月15日付け厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課事務連絡)及び「バイオ後続品の品質・安全性有効性確保のための指針に関する質疑応答集(Q&A)について」(令和2年2月4日付け厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課事務連絡)を廃止します。

本事務連絡(新)

令和2年2月4日事務連絡(旧)

No.9

Q.バイオ後続品の初回治験届出時に添付する資料において提示すべき品質に関する情報としては何が必要か。

No.9

Q.バイオ後続品の初回治験届出時に添付する資料において提示すべき品質に関する情報としては何が必要か。

A.「薬物に係る治験の計画の届出及び治験の実施等に関する質疑応答(Q&A)の改正について」(令和4年8月31日付け厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課事務連絡)のQ27の回答で示された資料のほか、治験で用いる対照薬との品質特性の比較試験結果の概要を参考資料として添付すること。なお、初回治験届出前に、品質の同等性/同質性評価に関して機構の相談を利用することを勧める。

A.「薬物に係る治験の計画の届出及び治験の実施等に関する質疑応答集(Q&A)についての改訂について」(平成27年12月14日付け事務連絡)のQ11の回答で示された資料のほか、治験で用いる対照薬との品質特性の比較試験結果の概要を参考資料として添付すること。なお、初回治験届出前に、品質の同等性/同質性評価に関して機構の相談を利用することを勧める。

No.10

Q.外国人で実施された先行バイオ医薬品とのPKの同等性を検証する臨床試験及び有効性(PDの場合を含む。)の同等性を検証する臨床試験データを使用することができるか。

No.10

Q.日本人データの取得について基本的な考え方があれば示されたい。

A.先行バイオ医薬品とのPKの同等性を検証する臨床試験及び有効性(PDの場合を含む。)の同等性を検証する臨床試験は、先行バイオ医薬品との同等性を検証することを目的とした試験であることを踏まえると、被験者の民族的要因が試験結果に影響しないと考えられる場合には、海外で外国人を対象に実施された臨床試験データを使用することができ、日本人を組み入れた臨床試験を実施しないことで差し支えない。なお、被験者の民族的要因が試験結果に影響すると考えられる場合に、日本人を組み入れた国際共同治験として実施する際は、日本人症例数について、「国際共同治験に関する基本的考え方について」(平成19年9月28日付け薬食審査発第0928010号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)に示されている方法1及び方法2を直接適用することはできないが、日本人集団の結果と全体集団の結果に矛盾がないことを説明できるような計画とすることが必要である。

A.先行バイオ医薬品とのPKの同等性を検証する臨床試験又は有効性(PDの場合を含む。)の同等性を検証する臨床試験の少なくともいずれか一方を、日本人を組み入れた臨床試験とする必要がある。なお、日本人を組み入れた国際共同治験として実施する場合の日本人症例数について、「国際共同治験に関する基本的考え方について」(平成19年9月28日付け薬食審査発第0928010号)に示されている方法1及び方法2を直接適用することはできないが、日本人集団の結果と全体集団の結果に矛盾がないことを説明できるような計画とすることが必要である。

No.11

Q.「被験者の民族的要因が試験結果に影響しないと考えられる場合」とあるが、どのように評価すればよいのか。

A.例えば、先行バイオ医薬品における民族的要因及びその影響を確認することや、先行バイオ医薬品の臨床試験のサブグループ解析により確認することが考えられる。また、バイオ後続品と先行バイオ医薬品の品質特性に差が認められた場合には、当該差異に着目して、民族的要因及びその影響を評価することが重要である。

(新設)

No.12~No.37

No.11~No.36

(別添)

バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針に関する質疑応答集(Q&A)

No.

本文該当箇所

質問(Q)

回答(A)

1.はじめに

1

バイオ後続品とは、国内で既に新有効成分含有医薬品として承認されたバイオテクノロジー応用医薬品(以下「先行バイオ医薬品」という。)と同等/同質の品質、安全性、有効性を有する医薬品として、異なる製造販売業者により開発される医薬品である。

先行バイオ医薬品は、新有効成分含有医薬品として承認されたもの以外は認められないのか。例えば、将来、新有効成分含有医薬品が承認整理された場合等に、十分な臨床使用実績のあるバイオ後続品を先行バイオ医薬品として用いることが認められる可能性はないのか。

新有効成分含有医薬品として承認されたバイオ医薬品が存在する限りは、その中から先行バイオ医薬品を選ぶことになるが、将来的には、新有効成分含有医薬品として承認されたバイオ医薬品が承認整理されて市場からなくなることもあり得る。そのような場合、市販後に十分な臨床使用実績のあるバイオ後続品を先行バイオ医薬品とする可能性はある。今後の検討課題としたい。

2

バイオ後続品は、一般的にバイオシミラーといわれており、品質、安全性及び有効性について、先行バイオ医薬品との比較から得られた同等性/同質性を示すデータ等に基づき開発できる。

データ等と「等」が記載されているのは公知の情報等も比較評価において使用可能と考えてよいか。

データ等とは、公知の情報も含む。ただし、公知の情報は、一般的に、審査の際の参考として用いる。なお、一次構造などは比較試験の必要は無いが、不均一性などに関しては、情報との比較は一般的に困難であり、比較試験の実施が有用と考えられる。

3

バイオ後続品は、一般的にバイオシミラーといわれており、品質、安全性及び有効性について、先行バイオ医薬品との比較から得られた同等性/同質性を示すデータ等に基づき開発できる。

バイオ後続品と先行バイオ医薬品の同等性/同質性評価は、製法変更前後での同等性/同質性評価と同じことを指しているか。また、同等性/同質性は、biosimilarityと同義であるか。

同等性/同質性は、バイオ医薬品の製法変更に係るICHQ5E通知において、comparabilityの日本語訳として用いられた用語である。先行バイオ医薬品とバイオ後続品の品質・有効性・安全性の比較評価には、製法変更前後の製品の品質・有効性・安全性の比較評価と同様の考え方を適用可能であることから、バイオ後続品においても、同じ言葉が用いられている。ただし、製法変更前後の同等性/同質性評価では、変更前後の製法及びそれにより製造された製品の規格及び試験方法等に関する情報が全て明らかな状況で比較を行うのに対して、先行バイオ医薬品とバイオ後続品の比較では、先行バイオ医薬品の製法に関する情報がなく、その品質に関する情報も限られているため、必要とされる比較試験の内容や程度は異なる。なお、欧米では、バイオ後続品と先行バイオ医薬品の同等性/同質性に関して、biosimilarityという言葉が用いられることがある。

4

バイオ後続品の申請は、先行バイオ医薬品の再審査期間の満了等をもって可能となる。

バイオ後続品の承認申請時点で、再審査期間が満了となっておらず申請対象とならなかった効能について、再審査期間満了後、効能追加申請をする場合、申請区分は、「1―(4)新効能医薬品」となるのか。

効能追加申請をする場合、申請区分は「1―(7)バイオ後続品」となる。

5

その間に、先行バイオ医薬品の製法や、関連する製造技術、評価技術は急速に進歩し、改良されていると考えられることから、バイオ後続品の開発に当たっては、その間の情報の蓄積や最新の科学技術を十分取り入れ、安全性に関する最新の情報についても十分に考慮することが必要となる。

バイオ医薬品に関する科学技術の目覚ましい進歩を踏まえると、バイオ後続品の特性解析や先行バイオ医薬品との比較試験を行う際には、先行品が開発された時期には実施されていなかった方法も含め、最新の分析技術等を取りいれることが妥当ではないか。

また、例えば品質特性において、先行バイオ医薬品と差が生じる可能性があったとしても、無血清化等のより安全と考えられる製法を採用することが妥当な場合もありえるのではないか。

科学進歩の取り込みは、先行バイオ医薬品にも求められる事項である。先行バイオ医薬品の再評価や局方への収載においても、承認時の要件だけでなく最新の分析技術等を考慮するように求めている。バイオ後続品の開発においても同様の対応が求められる。バイオ後続品開発に際しても、より安全性が高いと考えられる製法を選択することが望まれる。ただし、新たな製法の導入により、製品の有効性・安全性に悪影響が生じないことを十分に確認する必要がある。

2.適用範囲(対象)

6

適用範囲

組換えDNA技術を用いて製造されている既承認バイオ医薬品と同一有効成分を、化学合成により製造して製品開発を行う場合に、バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針の考え方を参考にすることは可能か。

製品の特性に応じて、ケースバイケースで判断すべきであると考えるが、一般に、本指針は参考となるものと考える。

3.バイオ後続品開発における一般原則

3.1 先行バイオ医薬品との同等性/同質性評価

7

バイオ後続品の開発では、品質、非臨床及び臨床での先行バイオ医薬品との比較等を通じて、先行バイオ医薬品との同等性/同質性を示すことが求められる。

先行バイオ医薬品との品質の比較データをCTDのどこに記載するのか示してほしい。

品質に関する比較試験結果は、CTD2.3.R(各極の要求資料)に記載することが望ましい。

8

バイオ後続品の開発では、品質、非臨床及び臨床での先行バイオ医薬品との比較等を通じて、先行バイオ医薬品との同等性/同質性を示すことが求められる。

バイオ後続品の同等性/同質性評価に関して詳細な基準あるいは許容域があるのであれば、ご教示いただきたい。また、許容域の設定について、当局と議論/合意するのに適切な時期があれば、示されたい。

バイオ後続品の同等性/同質性評価に関して、その基準あるいは許容域については製品や試験の特性等によって異なることから、一律に定めることは適切ではないと考える。許容域の妥当性等については、対面助言等を通じ、個別に相談いただきたい。

9

臨床試験の実施に際しては、バイオ後続品の品質特性、並びに先行バイオ医薬品とバイオ後続品との品質特性及び非臨床試験結果の比較に基づく同等性/同質性評価結果を考慮するべきである。

バイオ後続品の初回治験届出時に添付する資料において提示すべき品質に関する情報としては何が必要か。

「薬物に係る治験の計画の届出及び治験の実施等に関する質疑応答(Q&A)の改正について」(令和4年8月31日付け厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課事務連絡)のQ27の回答で示された資料のほか、治験で用いる対照薬との品質特性の比較試験結果の概要を参考資料として添付すること。なお、初回治験届出前に、品質の同等性/同質性評価に関して機構の相談を利用することを勧める。

10

臨床試験の実施に際しては、バイオ後続品の品質特性、並びに先行バイオ医薬品とバイオ後続品との品質特性及び非臨床試験結果の比較に基づく同等性/同質性評価結果を考慮するべきである。

外国人で実施された先行バイオ医薬品とのPKの同等性を検証する臨床試験及び有効性(PDの場合を含む。)の同等性を検証する臨床試験データを使用することができるか。

先行バイオ医薬品とのPKの同等性を検証する臨床試験及び有効性(PDの場合を含む。)の同等性を検証する臨床試験は、先行バイオ医薬品との同等性を検証することを目的とした試験であることを踏まえると、被験者の民族的要因が試験結果に影響しないと考えられる場合には、海外で外国人を対象に実施された臨床試験データを使用することができ、日本人を組み入れた臨床試験を実施しないことで差し支えない。なお、被験者の民族的要因が試験結果に影響すると考えられる場合に、日本人を組み入れた国際共同治験として実施する際は、日本人症例数について、「国際共同治験に関する基本的考え方について」(平成19年9月28日付け薬食審査発第0928010号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)に示されている方法1及び方法2を直接適用することはできないが、日本人集団の結果と全体集団の結果に矛盾がないことを説明できるような計画とすることが必要である。

11

臨床試験の実施に際しては、バイオ後続品の品質特性、並びに先行バイオ医薬品とバイオ後続品との品質特性及び非臨床試験結果の比較に基づく同等性/同質性評価結果を考慮するべきである。

「被験者の民族的要因が試験結果に影響しないと考えられる場合」とあるが、どのように評価すればよいのか。

例えば、先行バイオ医薬品における民族的要因及びその影響を確認することや、先行バイオ医薬品の臨床試験のサブグループ解析により確認することが考えられる。また、バイオ後続品と先行バイオ医薬品の品質特性に差が認められた場合には、当該差異に着目して、民族的要因及びその影響を評価することが重要である。

3.2 先行バイオ医薬品

12

海外で承認されている製品(以下「海外承認品」という。)を対照薬として用いた試験成績を、本邦でのバイオ後続品の承認申請に利用する場合には、国内承認品と海外承認品が同一とみなせることを、両者の品質比較試験結果等に基づき説明する必要がある。

「同一の製品」の定義とは、何を指すのか。

例えば、バイオ後続品開発期間中に先行バイオ医薬品の製法、処方等に変更があった場合でも原則として同一の一般名称であれば「同一の製品」とみなしてもよいか。

一般的名称が同一でも販売名が異なる承認品もある。

すなわちここでいう同一の製品とは同一の承認を得ている製品を指す。ただし、同一製品を複数の社が別の販売名で市販していることもあるが、この場合にはどちらの製品を用いてもよい可能性がある。

国内承認品と海外承認品の同一性については、各製品の製造所情報等に関する公開情報が参考になる場合もあるので、情報を収集しておくことが望ましい。

バイオ後続品と先行バイオ医薬品の同等性/同質性評価にあたっては、比較する先行バイオ医薬品の品質特性の変動に留意する必要がある。開発途中で先行バイオ医薬品の製法が変更されることもあるが、製法の変更前のものを先行バイオ医薬品として、バイオ後続品を開発、承認申請することは可能である。

3.3 バイオ後続品の製法開発及び品質管理戦略構築にあたっての留意事項

3.3 ①宿主細胞株

13

先行バイオ医薬品の宿主細胞が明らかにされている場合は、同一宿主細胞を用いた開発を進めることが望ましいが、安全性等の観点から、異なる宿主細胞(由来する生物種も含む起源の異なる細胞)が用いられる場合もある。

指針では、「・・・、先行バイオ医薬品の宿主細胞が明らかにされている場合は同一宿主細胞を用いた開発を進めることが望ましい。」とあるが、「同一宿主細胞」とは、例えば、どの程度の同一性が考えられるのか。また、「望ましい」とした趣旨は何か。

「同一宿主細胞」とは、例えば、先行バイオ医薬品がCHO細胞で製造されている場合、CHO細胞のことを指すが、CHO細胞の中の亜種まで一致させることができなくてもやむを得ないと考えられる。一方で、先行バイオ医薬品がある細胞を用いていることが明らかな場合でも、免疫原性等の観点から別の細胞へと変更することも想定される。しかし、翻訳後修飾等が大きく変わる可能性があり、これらの点も踏まえてその妥当性を判断することが求められる。従って望ましいという表現になっている。

14

先行バイオ医薬品の宿主細胞が明らかにされている場合は、同一宿主細胞を用いた開発を進めることが望ましいが、安全性等の観点から、異なる宿主細胞(由来する生物種も含む起源の異なる細胞)を用いられる場合もある。

「異なる種類の宿主細胞を用いた開発を行う場合には、その妥当性を説明し、宿主細胞由来不純物を含む製造工程由来不純物のプロファイルの違いに着目した品質や安全性に関する検討を同一宿主細胞の場合よりも十分に行い、データを提出することが求められる。」の記載の中にある「異なる種類の宿主細胞」とは、例えば、どのようなことを指すのか。

「異なる種類の宿主細胞」とは、例えば、NS0細胞で先行バイオ医薬品が製造されている場合に、CHO細胞でバイオ後続品を製造する、というように、起源の異なる細胞株を指す。

3.3 ②製剤設計

15

バイオ後続品は、先行バイオ医薬品と投与経路が同一である必要がある。

バイオ後続品の規格の取り揃えに関してどのように考えれば良いか。

「後発医薬品の必要な規格を揃えること等について」(平成18年3月10日付け医政発第0310001号厚生労働省医政局長通知)や関連するQ&Aを参考に対応されたい。

16

剤形については、妥当性があれば、先行バイオ医薬品とは異なる剤形とすることも可能であり、例えば、先行バイオ医薬品が凍結乾燥製剤であるのに対してバイオ後続品は液剤とすることが認められる場合もある。

バイオ後続品では先行バイオ医薬品と異なるデバイス、例えば先行バイオ医薬品は自己投与可能なシリンジ製剤のみ製造販売しているが、バイオ後続品ではシリンジ製剤に加えてペンタイプの製剤を開発する場合等で留意点はあるか。

先行バイオ医薬品と異なるタイプのデバイスを開発する場合には、医療上の必要性及び安全性等について確認が必要となる場合があるため、対面助言等を通じ、規制当局に相談することが望ましい。

3.3 ③規格及び試験方法

17

規格及び試験方法は、バイオ後続品の品質特性のうち、有効成分の確認に必要な項目や、保存中に変化する可能性の高い項目、製造工程中での評価が困難な項目等、製造工程での関連する工程パラメータの管理に加えて、原薬あるいは製剤での試験が必要と考えられる項目について設定する。

先行バイオ医薬品を開発品の標準物質として用いることは可能か。

開発初期には先行バイオ医薬品を標準物質とすることがやむを得ない場合もあると考える。しかし、先行バイオ医薬品の品質に関する情報を全て入手することは一般的に困難であり、標準物質と位置づけたとしてもその品質を自ら管理することには限界があるため、自家の標準物質を可能な限り早期に確立する必要がある。

18

規格及び試験方法は、バイオ後続品の品質特性のうち、有効成分の確認に必要な項目や、保存中に変化する可能性の高い項目、製造工程中での評価が困難な項目等、製造工程での関連する工程パラメータの管理に加えて、原薬又は製剤での試験が必要と考えられる項目について設定する。

先行バイオ医薬品で用いられていた生物試験について、より精度の高い試験法への代替は認められるのか。

既存の生物試験と原理の異同や相関性を考慮し、試験法の妥当性が確認されるならば代替は認められる。

4.品質特性に関する比較試験

19

先行バイオ医薬品によっては、公的な標準品が入手可能な場合があるが、標準品は、特定の用途に適用することを目的に設定されているものであり、先行バイオ医薬品に替わるものではないため、比較試験の対照とはなりえない。

標準品を生物活性の較正に用いる以外にも、構造比較の参考データとすることも考えられるのではないか。

指針の用語集にもあるように、各標準品について定められた用途以外で標準品を使用することは適切ではない。力価の標準品として頒布されている標準品を対照として構造や物理的化学的性質の比較試験を行っても、得られるデータに意味はない。

4.1 構造・物理的化学的性質に関する比較

20

目的物質について先行バイオ医薬品と一次構造上の違いがある場合には、バイオ後続品とは判断されない。

モノクローナル抗体のバイオ後続品の開発において、重鎖C末端のリシン残基が完全に欠損しているが、先行バイオ医薬品はリシン残基が付加した成分が含まれている。そのため、一次配列上の構造が異なっているが、許容されるか。

モノクローナル抗体の重鎖C末端リシン残基の付加数の違いによる構造の多様性は翻訳後修飾により通常認められるものである。生体内でもこの構造上の違いが安全性や有効性に影響を及ぼさないと合理的に判断されれば、一次配列上構造が異なっていてもバイオ後続品として許容され得る。

4.2 生物学的性質に関する比較

21

可能な限り複数の方法を用いて、先行バイオ医薬品とバイオ後続品との生物活性を比較する。例えば、細胞の増殖や分化、受容体結合活性、酵素活性等の臨床的有効性と密接に関連するin vitroでの生物活性について比較試験を行うことが有用である。

モノクローナル抗体のバイオ後続品の開発において、先行バイオ医薬品との生物活性の比較検討に関して共通の留意事項があれば、示されたい。

先行バイオ医薬品がFc領域の機能特性を有しない場合であっても、高次構造の類似性に関する有用な情報となると考えられるため、Fc領域の機能特性について先行バイオ医薬品と比較評価することが推奨される。

22

例えば、細胞の増殖や分化、受容体結合活性、酵素活性等の臨床的有効性と密接に関連するin vitroでの生物活性について比較試験を行うことが有用である。

特性解析における生物活性試験と薬理試験とが重複するのではないか。

生物活性の比較は同等性/同質性試験として重要である。また、糖鎖や不均一性の影響評価も含めて比較を実施する必要がある。したがって、薬理試験のデータと重複するとしても、品質特性の比較の項にもデータを記載することが望ましい。

4.3 不純物に関する比較

23

先行バイオ医薬品には含まれない不純物が、バイオ後続品に含まれる場合もあるため、適切な分析及び評価が必要である。

バイオ後続品に含まれるすべての不純物について、安全性評価が必要か。

すべての不純物について安全性試験を実施することを求めるものではなく、製品の特性解析の一環として不純物の評価を行い、不純物に関するこれまでの経験や情報(例えば、同一の宿主や培養工程を用いた製品の製造経験及びその工程由来不純物の安全性に係るデータ等)も考慮して、安全性の観点から許容できる範囲内にあることを担保する必要がある。

5.非臨床試験

5.1 非臨床薬理試験

24

ある種の糖タンパク質のようにin vitroの活性が臨床効果と相関しない場合には、in vivo薬理試験による比較を行う。

In vivo薬理試験の必要なケースを例示してほしい。

例えば、エポエチン等では、シアル酸の量が多いほど血中半減期が長くin vivo薬理活性が高くなるが、in vitro試験で評価される受容体結合能は逆に低下することが知られている。このようなケースでは、in vivo薬理試験による同等性/同質性評価が必要と考えられる。

6.臨床試験

25

後述する臨床薬物動態(PK)試験又は薬力学(PD)試験により目的とする臨床エンドポイントにおける同等性/同質性を保証できる十分なデータが得られた場合には、有効性に関する臨床試験を省略できる場合がある。

「PK試験又はPD試験により目的とする臨床エンドポイントにおける同等性/同質性を保証できる十分なデータが得られた場合には有効性に関する臨床試験を省略できる場合があるとする」のは、安全性の試験も省略できる場合があると理解しても良いか。

指針に記載のあるとおり、有効性について同等/同質と推定される可能性を示しているのであって、安全性については言及しているわけではない。安全性に関しては、別途考える必要がある。

6.2 臨床的有効性の比較

26

有効性の比較を目的とした臨床試験の実施に際しては、バイオ後続品と先行バイオ医薬品の同等性を確認するために、適切な比較試験をデザインし、その妥当性を説明する必要がある。

同等性評価にあたり留意すべき事項があれば示されたい。

同等性許容域は、統計学的な観点だけではなく、臨床的な意義との関連付けも重要であり、先行バイオ医薬品の情報等が参考になると考える。同等性の評価にあたっては、「「臨床試験のための統計的原則」について」(平成10年11月30日付け医薬審第1047号)を踏まえ、原則、95%信頼区間を用いる必要がある。同等性の評価における仮説検定の有意水準は、片側2.5%又は両側5%とすることを原則とする。

27

評価に用いるエンドポイントは、必ずしも真のエンドポイントである必要はなく、先行バイオ医薬品とバイオ後続品の差異を検出するために適切なものを選択する。

臨床有効性の比較試験における代替エンドポイントについてどのようなものが想定されるのか例示してほしい。

例えば、一部の抗悪性腫瘍薬では奏効率を指標とすることが想定される。

6.3 臨床的安全性の確認

28

必要に応じて安全性に関する臨床試験の実施(免疫原性の評価を含む)を検討する。

臨床的安全性の確認において、「免疫原性の検討を含む」と、免疫原性試験を特記している理由は何か。

免疫原性については、経験的にバイオ医薬品で懸念される場合があることから、特に検討の必要性が高いものとして例示している。したがって、治験段階から、免疫原性についての情報を収集し、適切なリスク管理を行う必要がある。

29

抗薬物抗体の評価に用いる試験法は、適切にバリデートされた分析法を用いる必要がある。

同一の臨床試験内で先行バイオ医薬品とバイオ後続品の免疫原性を比較する場合、抗薬物抗体を同一の測定方法で評価してよいか。

また、抗薬物抗体の測定方法の構築に際し留意事項があれば示してほしい。

測定系の妥当性が示される場合には、同一の測定系又は異なる測定系いずれで評価を行うことも可能である。いずれの場合も、バイオ後続品と先行バイオ医薬品で得られた結果を比較評価に用いることが可能であることを示す必要がある。

抗薬物抗体評価に用いる分析法は、陽性検体の検出に用いるカットポイントの設定や、試料中の残存薬物に対する耐性の評価が適切になされており、必要に応じて共存薬物の影響を回避するための前処理工程を加える等、偽陰性を回避できる手法であることが示されている必要がある。

30

抗薬物抗体の評価に用いる試験法は、適切にバリデートされた分析法を用いる必要がある。

抗薬物抗体の測定結果の評価に際して留意すべき点があれば示してほしい。

抗体の出現が認められた場合には出現した抗体について解析し、中和抗体であるか評価する必要があり、抗体のクラス及び特異性についても解析することが望ましい。また、抗体の出現による有効性の低下や安全性への影響を確認することも考慮すべきである。さらに、バイオ後続品の免疫原性が先行バイオ医薬品とは異なる傾向を示す場合などにおいては、不純物に対する抗体産生や特定の糖鎖抗原に対する反応性についても十分考慮すべきである。

6.4 効能・効果の付与

31

対照薬として用いた先行バイオ医薬品が複数の効能・効果を有する場合、臨床試験を実施していない効能・効果においても、薬理学的に先行バイオ医薬品と同様の作用が期待でき、安全性プロファイルにも問題がないことが説明できるのであれば、それぞれの効能・効果での用法・用量や投与期間の異同に関わらず、それらの効能・効果をバイオ後続品に付与することが可能となる(外挿)。

モノクローナル抗体医薬品では、いずれの効能・効果においても抗原との結合という作用機序は共通しているため、ある効能・効果において先行バイオ医薬品と有効性が同等であれば、効能・効果毎に臨床試験を実施せずに、全ての効能・効果を外挿することは可能と考えて良いか。

モノクローナル抗体医薬品は、抗原に対する中和活性のほか、ADCC活性、CDC活性、アポトーシス誘導活性等、様々な作用を有しており、当該モノクローナル抗体医薬品の各効能・効果において、どの作用が各効能・効果に対する有効性に寄与しているのかを整理しておく必要がある。その上で、品質及び非臨床試験において構造、物理的化学的性質、生物学的性質に関する広範な検討を実施した結果、先行バイオ医薬品との高い類似性が確認され、かつ、先行バイオ医薬品の情報や実施された臨床試験成績等から臨床試験を実施しなかった効能・効果においても同等の有効性及び同様の安全性が期待できることを説明できる場合には、必ずしも効能・効果毎に臨床試験を実施しなくても、その他の効能・効果を取得できる場合もある。

32

対照薬として用いた先行バイオ医薬品が複数の効能・効果を有する場合、臨床試験を実施していない効能・効果においても、薬理学的に先行バイオ医薬品と同様の作用が期待でき、安全性プロファイルにも問題がないことが説明できるのであれば、それぞれの効能・効果での用法・用量や投与期間の異同に関わらず、それらの効能・効果をバイオ後続品に付与することが可能となる(外挿)。

先行バイオ医薬品が有する複数の効能・効果及び用法・用量のうち、再審査期間や特許期間が切れた後も、バイオ後続品がそのうちのいくつかの効能・効果及び用法・用量を取得しないという状況は、許容されるか。

原則として、先行バイオ医薬品が有する複数の効能・効果及び用法・用量のうち、再審査期間が満了した全ての効能・効果及び用法・用量を取得すること。

33

対照薬として用いた先行バイオ医薬品が複数の効能・効果を有する場合、臨床試験を実施していない効能・効果においても、薬理学的に先行バイオ医薬品と同様の作用が期待でき、安全性プロファイルにも問題がないことが説明できるのであれば、それぞれの効能・効果での用法・用量や投与期間の異同に関わらず、それらの効能・効果をバイオ後続品に付与することが可能となる(外挿)。

先行バイオ医薬品の再審査期間が満了していない効能・効果及び用法・用量で有効性の同等性を検証した場合、当該臨床試験成績を以て、再審査期間が満了している効能・効果、用法・用量を対象とした承認申請を行うことは可能か。

当該臨床試験成績がバイオ後続品と先行バイオ医薬品の同等性検証に適した効能・効果及び用法・用量を対象としたものであって、それにより、承認申請を行う効能・効果及び用法・用量におけるバイオ後続品と先行バイオ医薬品の有効性が同等で安全性プロファイルが同様であると推察されることを説明できる場合には、当該臨床試験成績を以て、承認申請を行うことは可能である。ただし、初回承認時に、同等性の検証的試験が実施された効能・効果及び用法・用量を取得することはできないため、先行バイオ医薬品の再審査期間満了に伴い、改めて一部変更承認申請を行う必要があることに留意すること。

34

臨床試験を実施していない効能・効果の付与が可能となるのは、対照薬として用いた先行バイオ医薬品のもつ効能・効果に限られ、先行バイオ医薬品以外の同種・同効の他の既承認バイオ医薬品の効能・効果は含まれない。

先行バイオ医薬品で承認されていないが他の既承認バイオ医薬品で承認されている効能・効果あるいは、新規の効能・効果について、新たに臨床試験を行った場合には効能・追加の申請が可能か。

先行バイオ医薬品に含まれない効能について、別途臨床試験を実施すれば追加の申請を行うことは可能であると考える。

7.製造販売後におけるリスク管理

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その上で、追加の医薬品安全性監視活動を行う場合には、例えば、使用成績調査、製造販売後データベース調査、国際共同臨床試験を含む製造販売後臨床試験、その他医薬品安全性監視の方法としてICH E2Eガイドラインに示された方法等の様々な手法の中から、目的に応じて効率的かつ効果的な手法を選択すべきである。

医薬品リスク管理計画において、追加の医薬品安全性監視活動等が不要となるケースはあるか。

例えば、品質及び非臨床において先行バイオ医薬品との高い類似性が認められ、かつ十分な被験者数を対象とした臨床試験において開発製剤の有効性及び安全性に懸念がないことが示された効能・効果、用法・用量については、当該効能・効果、用法・用量に係る追加の安全性監視活動等が不要となる可能性がある。

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なお、追加の医薬品安全性監視活動を行う際には、適切に信頼性を担保する必要がある。

「適切に信頼性を担保する」には具体的にどのようにしたらよいか。

例えば、使用成績調査等を実施する場合には、GPSP省令を参考に信頼性を担保するよう適切に取り計らうこと。また、疾患レジストリを利用する場合には、「医療情報のデータベース等を用いた医薬品の安全性評価における薬剤疫学研究の実施に関するガイドライン」(平成26年3月31日付け独立行政法人医薬品医療機器総合機構)等を参考にすることが考えられる。

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また、結果の適切な公開の方法について、検討しておくことが望ましい。

「結果の適切な公開の方法」とは、具体的にはどのようなものか。

公平性を担保し、医療機関等において情報が活用される形で適切に公開すること。例えば投稿論文、学会発表等の手段が考えられる。なお、情報の公表及び提供の際には、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインについて」(平成30年9月25日付け薬生発0925第1号医薬・生活衛生局長通知)を参考にすること。