添付一覧
○希少疾病用医薬品の指定に関する取扱いについての質疑応答集(Q&A)について
(令和6年1月16日)
(事務連絡)
(各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて厚生労働省医薬局医薬品審査管理課通知)
希少疾病用医薬品の指定に関する取扱いについては、「希少疾病用医薬品等の指定に関する取扱いについて」(令和2年8月31日薬生薬審発0831第7号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長、薬生機審発0831第7号医療機器審査管理課長連名通知。以下「課長通知」という。)等において、その取扱いを示しているところです。
今般、希少疾病用医薬品の指定に関する取扱いについて、「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」における検討の結果、「「希少疾病用医薬品等の指定に関する取扱いについて」の一部改正について」(令和6年1月16日医薬薬審発0116第1号厚生労働省医薬局医薬品審査管理課長、医薬機審発0116第1号医療機器審査管理課長連名通知)を発出したところですが、課長通知について、別添のとおり質疑応答集(Q&A)を取りまとめましたので、御了知の上、貴管内関係事業者に対し周知方御協力お願いいたします。
(別添)
希少疾病用医薬品の指定に関する取扱いについての質疑応答集(Q&A)
(対象者数関係)
Q1 処置、手術等に伴い使用する医薬品や、術後の合併症に用いられる医薬品など、短期間での使用が見込まれる医薬品の用途に係る対象者の数は、1年間に使用が想定される対象者の数としてよいか。 |
A1
よい。
Q2 一次治療として標準的な治療方法が確立している疾患であって、一次治療の効果が不十分である患者に対する標準的な治療方法が確立していない疾患について、当該患者を対象とすることが、医学薬学上の明確な理由に該当し、「輪切り」にはならない場合があると考えてよいか。 |
A2
よい。
Q3 作用機序や既存治療法の充足性といった医学薬学上の観点からは、治療段階に関わらず使用できることが期待されるが、医薬品の有効性の評価を明確に行うこと等を目的として、他の治療法が効果不十分等である患者から段階的に臨床開発を行う場合であって、当該開発対象において特に高いアンメットニーズがある場合は、そのような対象を予定効能・効果として指定申請することは「輪切り」に該当しないと考えてよいか。 |
A3
よい。
Q4 対象疾患全体では5万人を超える場合であっても、候補薬による治療が必要な患者はその一部に限定される場合(軽症な患者では治療が不要となる場合、CDx等により特定の遺伝子に対して陽性の患者のみに使用される場合等)、当該治療が必要な患者に限定して対象者数を計算することは「輪切り」に該当しないと考えてよいか。 |
A4
よい。
Q5 対象疾患全体では5万人を超える場合であっても、抗悪性腫瘍薬におけるバイオマーカー等で候補薬による治療が限定される場合(対象とするタンパクの発現レベルや、遺伝子異常の生物学的な意義などの科学的な妥当性が認められる場合に限る。)は、「輪切り」に該当しないと考えてよいか。 |
A5
よい。
Q6 「年齢層(小児を含む)」について、年齢層を区切って指定申請をする場合、「輪切り」に該当するか否かをどのように考えればよいか。 |
A6
例えば、以下の場合は「輪切り」には該当しないと考えられるが、これらに限るものではない。
・乳幼児期に発生する疾患に対する治療薬等であって、成人でも発生するものの非常に稀な疾患について、年齢層を小児に区切る場合
・疾患概念や治療体系(治療ライン、リスク分類等)から小児あるいは高齢者等に区切って開発することが医学薬学上、適切と判断される場合
・成人と小児で忍容性や有効性が異なり、改めて小児に対する用法・用量設定試験等を行う必要があると承認時に判断された医薬品について、指定申請をする場合
Q7 「治療体系」に関連して対象疾患を限定するのはどのような場合を想定しているか。 |
A7
例えば、悪性腫瘍において、切除可能か否かにより治療体系が異なっている場合に、切除の可否に基づき限定する場合が想定されるが、これに限るものではない。
(医療上の必要性関係)
Q8 「重篤な疾病とは、致死的であることのほか、著しく生活の質を落とす状態が長期的に継続する場合などが該当する。」の著しく生活の質を落とすはどういったものを想定しているのか。 |
A8
日常生活に著しい支障をきたす機能不全が生じている状態を指し、例えば、視覚障害や肢体不自由などが想定されるが、これに限るものではない。
Q9 対象疾患全体では5万人に満たない場合であって、医療上の必要性については当該対象疾患の一部(例えば、特定の遺伝子変異を有する場合、インヒビターを保有する場合等)についてのみ認められ、それ以外では既存の治療法が充足しているなど医療上の必要性が必ずしも高くない場合に、対象疾患全体での承認申請を予定している場合であっても、当該一部の疾患を対象に希少疾病用医薬品の指定を受けることは可能か。 |
A9
可能である。対象疾患全体で承認申請する場合(希少疾病用医薬品の指定を受けた範囲のみの試験成績では臨床データパッケージが組めない場合に限る。)、優先審査の対象にはなる(当該希少疾病用医薬品の申請が優先審査の対象とされた場合に限る。)が、申請手数料は通常の取扱いとなる。なお、その際には、医療上の必要性のある集団に対する有効性の評価が適切に行われるよう、臨床試験計画を立案しておく必要がある。
Q10 ②の「当該既承認薬等のみでは治療法・予防法として十分ではなく複数の選択肢が臨床的に必要とされていること」には、どのような場合が該当するか。 |
A10
対象疾患ごとに個別に判断することとなる。
複数の治療薬等が承認されている場合であっても、対象となる疾患に対する治療法として十分でなければ該当する場合もあり、逆に、単一の治療薬等のみが承認されている場合であっても、十分な治療効果が認められ、治療法として一定程度充足していると判断できる場合には、該当しない場合もあると考えられる。
Q11 標的分子が異なる医薬品であれば新規作用機序に該当するか。 |
A11
例えば、受容体に作用する医薬品と、当該受容体に対するリガンドに作用する医薬品など、直接の標的は異なるものの、同一のシグナル伝達を阻害することにより効果を示す医薬品のうち、既存薬に抵抗性の患者等に対する効果が期待できる、既存薬に比べ安全性に優れている等の臨床上の効果の差異が説明できない場合は、新規作用機序には該当しない。
Q12 「添付文書上の注意喚起の程度が明らかに異なる(例えば、既承認の適応での警告欄における記載が異なる)場合など、安全性プロファイルが明らかに異なり、安全性において優れている蓋然性が高いこと」には、どのような場合が該当するか。 |
A12
安全性上の問題から、既承認薬の投与が困難である一定数の患者がおり、指定申請する医薬品ではそれが治療可能になることが期待される場合を想定している。添付文書上の注意喚起の程度が明らかに異なるとは、例えば、以下の場合が該当すると考えられるが、これらに限るものではない。
・既承認薬では、添付文書「禁忌」等の項に安全性に関わる内容が記載されているが、指定申請する医薬品における既存の適応では、当該内容が「禁忌」等に記載されていないなど明らかに注意喚起の程度が異なり、かつ、予定される効能・効果においても安全性プロファイルが既存の適応と異なることが想定されるものではない場合
・既承認薬では、特定の副作用を予防又は軽減するため、添付文書「警告」の項等で、検査の実施や観察、前治療薬やレスキュー薬の投与を必須としているが、指定申請する医薬品では必須ではないと想定される場合
(開発の可能性関係)
Q13 医療上の有用性を臨床データに基づいて示す場合は、日本人のデータが必要か。 |
A13
医療上の有用性を判断するに当たり、国内外差に係る精緻な検討を行う必要はなく、外国人のデータに基づいて医療上の有用性が認められるものであれば、原則として要件を満たす。ただし、日本人のデータに基づくと医療上の有用性が認められない蓋然性が高いと想定される積極的な根拠がある場合には、その限りではないため、医薬品審査管理課から照会をする可能性がある。
Q14 開発計画としては、希少疾病用医薬品として指定を受けようとする効能・効果以外の効能・効果についても示す必要があるのか。 |
A14
必要ない。
Q15 「承認申請に至るまでに実施する予定の臨床試験の概観が明らかになっていること」は、なにをもって、明らかというのか。希少疾病用医薬品の指定の指定時に臨床試験の治験実施計画書を提出する必要があるか。 |
A15
必ずしも、臨床試験の詳細な計画を提出する必要はなく、上市までのプロセスがわかるようなガントチャートを提出することで差し支えない。
Q16 「少なくとも初めて人に投与する臨床試験を実施するために必要な非臨床試験については概ね完了していること」としては、例えば実施に高額な費用を要する特定の非臨床試験のみ未実施であるが、それ以外の必要な非臨床試験については全て完了している場合であって、希少疾病用医薬品の指定を受けた後に当該未実施の非臨床試験を実施した上で第1相試験を実施する計画である場合、要件を満たすと考えてよいか。 |
A16
そのとおり。
Q17 希少疾病用医薬品の指定は投与経路別に行うのか。 |
A17
希少疾病用医薬品の指定は、効能ごとに投与経路によらず、成分に対して行う。
このため、患者数の推計は原則として投与経路によって限定せずに行うこと。
(指定の取消関係)
Q18 承認申請を行った後、指定要件を欠くと認められるとき、指定は取り消されるか。 |
A18
原則として、承認申請後(医薬品審査予定事前面談以降を含む。)であれば、指定は取り消されない。
なお、承認申請の前に同種同効薬が承認された場合など、指定要件に係る評価が指定時と変わり得る場合は、医薬品審査管理課に相談すること。
Q19 指定後、指定の要件や優先審査の要件に該当しないと考えられる場合は、どのようにすればよいか。 |
A19
該当しない事由が生じた場合は速やかに厚生労働省に対して申し出て、指定の継続や優先審査の該当の継続の可否について確認を受けること。なお、指定の要件や優先審査の要件を満たす状況に変わりがないと考える場合は、厚生労働省に対して確認を求める必要はない。ただし、厚生労働省が、要件を満たさない可能性があると考えた場合には、指定を受けた者に対して照会等を行う場合がある。
(優先審査及び優先相談の取扱い関係)
Q20 優先審査には非該当のものとして開発早期に希少疾病用医薬品の指定を受けた品目が、開発後期となり、その時点のデータをもって優先審査を希望する場合は、どのような手続きにより優先審査の対象となるのか。 |
A20
承認申請の40勤務日前までに、追加データとともに仮称・医薬品優先審査品目該当性相談(オーファン)又は仮称・医薬品優先審査品目該当性相談(医薬品申請前相談あり)(オーファン)を申し込むこと。なお、医薬品申請前相談を申し込む場合は、医薬品申請前相談と同時期に仮称・医薬品優先審査品目該当性相談(医薬品申請前相談あり)(オーファン)を申し込むこと。