添付一覧
○「手すり先行工法等に関するガイドライン」について
(令和5年12月26日)
(基発1226第2号)
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
(公印省略)
建設業における足場からの墜落・転落災害を防止するためには、足場上での通常の作業に加え、足場の組立・解体作業において適切な対策を講じることも重要であり、足場の作業床となる箇所に適切な手すりを先行して設置する手すり先行工法が有効であることから、「手すり先行工法に関するガイドラインの策定について」(平成21年4月24日付け基発第0424001号)の別紙「手すり先行工法等に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)により、手すり先行工法の普及を図ってきたところである。
ガイドラインについては、「建設業における墜落・転落災害防止対策の充実強化に関する実務者会合」の報告書(令和4年10月)において内容の充実が提言されており、また、「建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する基本的な計画」(令和5年6月13日閣議決定。以下「基本計画」という。)において、「足場の組立・解体中の墜落・転落防止対策の充実強化を図る」こととされたことを踏まえ、最新の足場機材や安全基準、労働安全衛生規則の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第22号。以下「改正省令」という。)等の内容を盛り込み、今般、ガイドラインを別紙のとおり改正したところである(以下「改正ガイドライン」という。)。
また、基本計画では、足場の組立・解体中の墜落・転落防止対策について、「その周知とフォローを行う」こととされており、改正ガイドラインの一層の周知とその定着を図る取組を促進する必要がある。
ついては、関係事業者に対し、改正ガイドラインの周知を行うとともに、その普及・定着の促進が図られるよう指導等を行い、建設業における足場からの墜落等に係る労働災害防止対策の一層の推進を図られたい。
なお、別紙中の第5の1(1)については、改正省令により令和6年4月1日から施行されることに留意すること。
また、別添のとおり関係団体に対し、その周知・普及について、協力を要請しているので了知されたい。
(別紙)
別表1 手すりわくの性能
1 手すりわくは、次の表の左欄に掲げる試験方法による試験を行った場合に、同表の右欄に掲げる強度等を有するものであること。
試験方法 |
強度等 |
(水平移動量及び強度試験) |
|
次の図に示すように、わく組足場用手すりわくを、試験用ジグに取り付け、手すり材の中央部に重りをつり下げることにより水平力を加え、重り30kgのときにおける水平移動量を測定し、重り100kgのときにおけるわく組足場用手すりわくの強度を確認する。 水平移動量及び強度試験の例 |
1 水平移動量が100mm以下であること。 2 強度:水平移動量が45cm以下で、かつ、重りを30秒間保持できること。 |
(落下阻止性能試験) |
|
(1) 前踏み側への落下試験 次の図に示すように、試験用ジグ(注1)にわく組足場用手すりわくを取り付け、そのわく組足場用手すりわくの手すり材の所定の位置(注2)にフルハーネス型墜落制止用器具のランヤードジグ(注3)のフックを掛け、ランヤードジグの他端に取り付けた100kgの重すい(注4)を建地(試験用ジグの支柱)の中心から80cmの位置に所定の高さ(注5)から落下させ、落下阻止の有無等を調べる。 注1:試験用ジグの作業床に相当する部分の幅は、50cmとする。なお、作業床は、手すり側の建地に寄せて設置する。 注2:所定の位置とは、中央部及び端部(支柱材の中心から20cmの位置)とする。なお、端部の試験は、わく組足場用手すりわくが左右非対称の構造のものにあっては、左右2ヶ所(端部1及び端部2)についてそれぞれ実施するものとする。 注3:ランヤードジグは、第1種のショックアブソーバを用いた長さ1.7mの100kg用のものを使用する。 注4:100kgの重すいとは、質量が100±1kgの円筒形(直径30cm、全長70cm)の鋼製の重すいとする。 注5:所定の高さとは、ランヤードジグ(1.7±0.03m)の重すいへの取付点の位置が作業床の上面から145cm上方とする。 落下阻止性能試験の例 |
重すいの落下を阻止でき、かつ、重すいの下端の作業床からの垂下量が3.75m以下であること。 |
(2) つま側への落下試験 |
|
次の図に示すように、試験用ジグにわく組足場用手すりわくを取り付け、そのわく組足場用手すりわくの手すり材の端部(支柱材の中心から20cmの位置)にフルハーネス型墜落制止用器具のランヤードジグ((1)の注3と同じ。)のフックを掛け、ランヤードジグの他端に取り付けた100kgの重すい((1)の注4と同じ。)を建地(試験用ジグの支柱)の中心から30cmの位置に所定の高さ((1)の注5と同じ。)から落下させ、落下阻止の有無等を調べる。なお、つま側への落下試験は、わく組足場用手すりわくが左右非対称の構造のものにあっては、左右2ヶ所(つま側1及びつま側2)についてそれぞれ実施するものとする。 落下阻止性能試験の例 |
重すいの落下を阻止でき、かつ、重すいの下端の作業床からの垂下量が3.75m以下であること。 |
2 交さ筋かいを取り外して使用する手すりわくは、次の左欄に掲げる試験方法による試験を行った場合に、同表の右欄に掲げる強度を有するものであること。
試験方法 |
強度 |
(組立時の荷重試験) |
|
わく組足場用手すりわく、建わく、交さ筋かい、床付き布わくを用いて5層1スパンに組み、ヘッドフレームを介して圧縮荷重を掛け、荷重の最大値を測定する。この場合において、試験に使用する建わくの幅は900mmあるいは914mmのもの、高さは脚柱ジョイントを含め1800mm以下のものとし、かつ、5層に組んだ建わくの上下の脚柱端部に、それぞれ使用高さを200mmとしたジャッキ型ベース金具を取り付けるものとする。 |
荷重の最大値が138kN以上であること。 |
3 水平部を有する幅木部を具備する手すりわくのうち、水平部の幅が110mm以上のものについては、1及び2の規定によるほか、次の表の左欄に掲げる試験方法による試験を行った場合に、同表の右欄に掲げる強度を有するものであること。
試験方法 |
強度 |
|||
(水平部のたわみ試験) |
||||
次の図に示すように、水平部を試験用ジグに1cm重ねた状態で試験機に取り付け、加圧材Aを重なりを除く水平部の中心に置き、鉛直荷重を掛け、荷重が次表に掲げる数値[W]のときにおける水平部のみの鉛直たわみ量を測定する。 なお、鉛直たわみ量は初期荷重0.05kNを掛けた状態から測定するものとする。 |
鉛直たわみ量が10mm以下であること。 |
|||
水平部の幅 |
W |
|||
150mm未満 |
0.6kN |
|||
150mm以上 |
0.8kN |
|||
別表2 くさび緊結式足場用先行手すりの性能
1 くさび緊結式足場用先行手すりは、それぞれ次の表の左欄に掲げる試験方法による試験を行った場合に、それぞれ同表の右欄に掲げる強度等を有するものとすること。
試験方法 |
強度等 |
(水平移動量及び強度試験) |
|
次の図に示すように、先行手すりを試験用ジグに取り付け、手すり材の中央部に重りをつり下げることにより水平力を加え、重り30kgのときにおける水平移動量を測定し、重り100kgのときにおける先行手すりの強度を確認する。 水平移動量及び強度試験の例 |
1 水平移動量が100mm以下であること。 2 強度:水平移動量が45cm以下で、かつ、重りを30秒間保持できること。 |
(落下阻止性能試験) |
|
(1) 前踏み側への落下試験 次の図に示すように、試験用ジグ(注1)に先行手すりを取り付け、その先行手すりの手すり材の所定の位置(注2)にフルハーネス型墜落制止用器具のランヤードジグ(注3)のフックを掛け、ランヤードジグの他端に取り付けた100kgの重すい(注4)を建地(試験用ジグの支柱)の中心から80cmの位置に所定の高さ(注5)から落下させ、落下阻止の有無等を調べる。 注1:試験用ジグの作業床に相当する部分の幅は、50cmとする。ただし、緊結部付床付き布わくが専用部材となる場合はこの限りではない。なお、作業床は手すり側に寄せて設置し、衝撃等による横ずれを防止する措置を施す。 注2:所定の位置とは、中央部及び端部(支柱材の中心から20cmの位置)とする。なお、端部の試験は、先行手すりが左右非対称の構造のものにあっては、左右2ヶ所(端部1及び端部2)についてそれぞれ実施するものとする。 注3:ランヤードジグは、第1種のショックアブソーバを用いた長さ1.7mの100kg用のものを使用する。 注4:100kgの重すいとは、質量が100±1kgの円筒形(直径30cm、全長70cm)の鋼製の重すいとする。 注5:所定の高さとは、ランヤードジグ(1.7±0.03m)の重すいへの取付点の位置が作業床の上面から145cm上方とする。 落下阻止性能試験の例 |
重すいの落下を阻止でき、かつ、重すいの下端の作業床からの垂下量が3.75m以下であること。 |
(2) つま側への落下試験 |
|
次の図に示すように、試験用ジグに先行手すりを取り付け、その先行手すりの手すり材の端部(支柱材の中心から20cmの位置)にフルハーネス型墜落制止用器具のランヤードジグ((1)の注3と同じ。)のフックを掛け、ランヤードジグの他端に取り付けた100kgの重すい((1)の注4と同じ。)を建地(試験用ジグの支柱)の中心から30cmの位置に所定の高さ((1)の注5と同じ。)から落下させ、落下阻止の有無等を調べる。なお、つま側への落下試験は、先行手すりが左右非対称の構造のものにあっては、左右2ヶ所(つま側1及びつま側2)についてそれぞれ実施するものとする。 落下阻止性能試験の例 |
重すいの落下を阻止でき、かつ、重すいの下端の作業床からの垂下量が3.75m以下であること。 |
(水平抵抗力試験) |
|
緊結部付支柱、緊結部付布材及び先行手すりを用いて次の図に示すように組立て、試験機に取り付け、中央部に鉛直荷重を掛け荷重の最大値を測定する。 なお、1層分の鉛直たわみ量が以下の計算式で算出した値に達した場合、その荷重を破壊荷重とする。 1層分の高さ(mm)×0.05 |
荷重の最大値が12.0kN以上、平均値が13.0kN以上であること。 |
2 水平部を有する幅木を備えるもののうち、水平部の幅が110mm以上のものについては前項の規定によるほか、次の表の左欄に掲げる試験方法による試験を行った場合に、同表の右欄に掲げる強度を有するものであること。
試験方法 |
強度 |
|||
(水平部のたわみ試験) |
||||
次の図に示すように、水平部を試験ジグに1cm重ねた状態で試験機に取り付け、加圧材Aを重なりを除く水平部の中心に置き、鉛直荷重を掛け、荷重が次表に掲げる数値[W]のときにおける水平部のみの鉛直たわみ量を測定する。 なお、鉛直たわみ量は初期荷重0.05kNを掛けた状態から測定するものとする。 |
鉛直たわみ量が10mm以下であること。 |
|||
水平部の幅 |
W |
|||
150mm未満 |
0.6kN |
|||
150mm以上 |
0.8kN |
|||
別表3 手すりわくの使用方法
わく組足場において、わく組足場用手すりわくを使用する場合は、労働安全衛生規則等に定める足場に関する規定によるほか、次に定めるところによること。
1 共通事項
(1) わく組足場用手すりわくを用いて足場を組み立てる場合は、床付き布わくを各層各スパンに用いること。
(2) わく組足場用手すりわくを親綱、控え、壁つなぎ、足場板等の支持点又は資材等の荷上げ等のつり元としないこと。
(3) わく組足場用手すりわくには材料等を立てかけないこと。
(4) わく組足場用手すりわくには乗らないこと。
(5) わく組足場用手すりわくの各部は、著しい損傷、変形又は腐食のないものとすること。
(6) 足場の組立て及び解体時において、最上段に設置されたわく組足場用手すりわくは、荷取り作業等においても取り外さないこと。
2 交さ筋かいを取り外して使用するタイプのわく組足場用手すりわくを用いる場合
(1) 足場の片構面には必ず交さ筋かいを取り付けること。
(2) 組み立てたときの足場の高さは、45m以下とすること。
(3) 建わく(標準わく及び簡易わく)の許容荷重は、34.3kNとすること。
(4) わく組足場の一部にはりわくを用いる場合にあっては、はりわくの上部(はりわくの端の上部を含む。)には、片構面(後踏み側)にわく組足場用手すりわくを取り付け、同時に次表に従ってはりわく直上及びはりわくの両端の両構面に交さ筋かいを取り付けること。
(4) はりわく上の総数が9層以上の場合の例図
(5) わく組式型枠支保工には使用しないこと。ただし、交さ筋かいを足場の両構面に全層全スパンに取り付けた上、さらにわく組足場用手すりわくを使用する場合はこの限りではない。
3 交さ筋かいを必要とするタイプのわく組足場用手すりわくを用いる場合は、足場の両構面には必ず交さ筋かいを取り付けること。
4 わく組足場用手すりわくを要求性能墜落制止用器具の取付設備として使用する場合は以下によること。
(1) わく組足場用手すりわく1わくにつき1人の使用とすること。
(2) 要求性能墜落制止用器具のランヤードのフックは、わく組足場用手すりわくの手すり材に掛けること。
(3) 作業床から衝突のおそれのある床面又は機械設備等までの垂直距離を原則5m以上とすること。また、わく組足場用手すりわくを設置した作業床と衝突のおそれのある床面又は機械設備等との垂直距離が5m未満の場合は、要求性能墜落制止用器具を必要としない措置を講ずるか、要求性能墜落制止用器具の性能等を考慮し、落下阻止時の床面等との衝突について安全性を確認した上で、要求性能墜落制止用器具の取付設備として使用すること。
5 幅木部を有するわく組足場用手すりわくを用いる場合は以下による。
(1) わく組足場用手すりわくの取付時の各部の隙間は下表に示すとおりとする。
水平部の有無 |
水平方向の隙間 |
垂直方向の隙間 |
脚柱と幅木部の本体との隙間 |
無 |
1cm以下(床面と幅木部の本体との隙間) |
1cm以下(床面と幅木部の本体との隙間) |
3cm以下 |
有 |
― |
1cm以下(床面と水平部との隙間) |
(2) 足場の組立状態により生じた規定寸法を超える幅木部の隙間は、塞ぐ措置を講ずること。
(3) 幅木部に乗らないこと。
(4) 水平部を有する幅木部を用いる場合は水平部を床材等に必ず乗せて使用し、かつ、水平部と床材等との重なり寸法を1cm以上保持すること。
別表4 くさび緊結式足場用先行手すりの使用方法
1 足場の組立て等の作業時において、足場最上層に設置されたくさび緊結式足場用先行手すりは、荷取り作業等においても取り外さないこと。
2 足場の組立て等の作業が行われている足場最上層においては、くさび緊結式足場用先行手すりに要求性能墜落制止用器具を取り付けて作業すること。
3 くさび緊結式足場用先行手すりを要求性能墜落制止用器具の取付設備として使用する場合は以下によること。
(1) くさび緊結式足場用先行手すり1わくにつき1人の使用とすること。
(2) 要求性能墜落制止用器具のランヤードのフックは、先行手すりの手すり材に掛けること。
(3) 作業床から衝突のおそれのある床面又は機械設備等までの垂直距離を原則5m以上とすること。また、くさび緊結式足場用先行手すり設置した作業床と衝突のおそれのある床面又は機械設備等との垂直距離が5m未満の場合は、要求性能墜落制止用器具を必要としない措置を講ずるか、要求性能墜落制止用器具の性能等を考慮し、落下阻止時の床面等との衝突について安全性を確認した上で要求性能墜落制止用器具の取付設備として使用すること。
別表5 親綱機材の性能
1 親綱支柱
親綱支柱(以下「支柱」という。)は、次の表の左欄に掲げる試験方法による試験を行った場合に、同表の右欄に掲げる強度等を有するものであること。
試験方法 |
強度等 |
(落下阻止性能試験―直交型・平行型) |
|
次の図に示すように、2本の支柱を支柱固定ジグ(注1)に所定のスパン(注2)で取り付け、これに親綱ジグ(注3)を取り付けてこれを緊張し(注4)、親綱ジグのスパンの中点(注5)にフックを掛けた試験用ロープ(注6)を介して取り付けた100kgの重すい(注7)を、重すいの試験用ロープ取り付け点がH形鋼上面より高さ1.45mとなる位置から自由落下させ落下阻止の有無等を調べる。 なお、支柱を支柱固定ジグに取り付ける場合、取付金具がボルトの締付け力により固定される構造のものにあっては締付けトルクは、第1種にあっては表示された締付けトルクで、第2種にあっては3.5kN・cmとする。 また、第2種の試験では控綱を併用して行い、控綱の初期張力は0.3±0.05kNとする。ただし、支柱用親綱と控綱が同一のロープとなる方式の支柱の場合の初期張力は、0.5±0.05kNとする。 注1(支柱固定ジグ):第1種にあっては厚さ16mmの鋼板、第2種にあっては建わくとする。 注2(スパン):第1種にあっては10m、第2種にあっては9.145m《インチサイズ5スパン》とする。 注3(親綱ジグ):第1種及び第2種ともに直径9mm、6×24のJIS規格ワイヤロープとする。 注4(緊張力):親綱ジグを0.5±0.05kNで緊張する。 注5(スパンの中点):親綱保持金具の間隔の中心をいう。 注6(試験用ロープ):ショックアブソーバの無い長さ1.7±0.03mのナイロン製のもの。 注7(重すい):質量が100±1kgの円筒形(直径30cm、全長70cm)の鋼製の重すいとする。 落下阻止性能試験の例(直交型) 落下阻止性能試験の例(平行型) |
1 支柱が支柱固定ジグから脱落しないこと。 2 親綱保持金具から親綱ジグが脱落しないこと。 3 親綱ジグのフック取付点のH形鋼上面からの垂下量が2.1m以下であること。 4 支柱の変形角度が45度以下であること。 |
2 支柱用親綱は、次の表の左欄に掲げる試験方法による試験を行った場合に、同表の右欄に掲げる強度等を有するものであること。
試験方法 |
強度等 |
(支柱用親綱のフック及び親綱の引張強度試験) |
|
支柱用親綱のフックの鉤部に引張用金具を掛け、試験機に取り付けて、引張荷重を掛け、11.5kN時の異常の有無及び荷重の最大値を測定する。 支柱用親綱のフックの引張強度試験の例 |
1 金具等(フック)が荷重11.5kNまでに破断、又はその機能を失う程度に変形、損傷等がなく、かつ、外れ止めの機能を維持すること。 2 荷重の最大値が14.0kN以上であること。 |
(支柱用親綱の強度試験) |
|
支柱用親綱に引張荷重を掛け、切断荷重を測定する。 |
切断荷重が23.0kN以上であること。 |
(支柱用親綱の落下阻止性能試験) |
|
次の図に示すように、親綱固定ジグに支柱用親綱をスパン10mで掛け渡し、これを緊張器ジグを用いて緊張し(注1)、支柱用親綱のスパンの中点にフックを掛けたランヤードジグ(注2)を介して100kgの重すい(注3)を、重すいのランヤードジグ取り付け点が支柱用親綱より高さ0.55mとなる位置から自由落下させ重すい下端の垂下量を調べる。 注1(緊張力):0.3±0.05kNで緊張する。 注2(ランヤードジグ):第1種のショックアブソーバを用いた、長さ1.7mの100kg用のもの。 注3(重すい):質量が100±1kgの円筒形(直径30cm、全長70cm)の鋼製の重すいとする。 支柱用親綱の落下阻止性能試験の例 |
重すいの下端の垂下量が支柱用親綱の取付点から5.5m以下であること。 |
3 緊張器は、次の表の左欄に掲げる試験方法による試験を行った場合に、同表の右欄に掲げる強度等を有するものであること。
試験方法 |
強度等 |
(緊張器の性能試験) |
|
緊張器に支柱用親綱(ジグ)(注)を取り付けて、引張荷重を掛け、11.5kN時の異常の有無及び荷重の最大値を測定する。 注(支柱用親綱(ジグ)):径16mmのポリエステルロープ、3つ打ちとする。 緊張器の性能試験の例 |
1 緊張器が荷重11.5kNまで緊張機能を維持すること。 2 金具等(フック)を有するものにあっては、1に加え、金具等が荷重11.5kNまでに破断、又はその機能を失う程度に変形、損傷等がなく、かつ、外れ止めの機能を維持すること。 3 荷重の最大値が14.0kN以上であること。 |
別表6 親綱支柱・支柱用親綱・緊張器等の使用方法
親綱支柱・支柱用親綱・緊張器等を用いて構成する水平親綱支柱システムについては以下により使用すること。
1 設置
(1) 水平親綱支柱システム(以下「親綱支柱システム」という。)は使用に際し次の事項について点検し、異常のないことを確認すること。なお、異常を認めたときには使用しないこと。また、直ちに修理等の必要な措置を行うこと。
ア 親綱支柱システムの各部材の変形、磨耗等の有無
イ 親綱支柱(以下「支柱」という。)の取付金具等の取付部の作動の異常の有無
ウ 緊張器の機能の異常の有無
(2) 支柱の取り付け等は、次に定めるところによること。
ア 第1種の支柱の取り付けは、鉄骨梁、H形鋼のフランジ等の支持物に取付金具等の取付部で固定ボルトを締め、固定すること。
イ 第2種の支柱は、わく組足場の脚柱、横架材等の支持物に確実にセットするものとする。また、控綱を必ず取り、下図のように支柱の取付位置部より外側に1スパン確保すること。
(3) 親綱支柱システムの支柱用親綱は、次に定めるところによること。
ア 次のいずれかに該当し強度等の確保が困難であるものは、支柱用親綱として使用しないこと。
(ア) ロープに切り傷等の損傷があるもの
(イ) 著しい磨耗又は溶断等の損傷があるもの
(ウ) 支柱用親綱として使用中、落下衝撃を受けたもの
イ 支柱用親綱又は合成繊維ロープの控綱の末端は、それぞれ専用の緊張器を用いること。
(4) 親綱支柱システムの緊張器等は、次に定めるところによること。
ア 緊張器の取り付けにシャックル等を使用する場合は、JIS適合品を使用すること。
イ 支柱用親綱を張るときに労働者が危険な位置とならないところ、また要求性能墜落制止用器具を使用するときに邪魔にならないところに取り付けること。
(5) 支柱のスパン等は、次に定めるところによること。
ア 支柱のスパン(支柱用親綱を固定する支柱の間隔)は、10m以下とすること。
イ 支柱のスパン(L)は、支柱を設置した作業床と、衝突のおそれのある床面又は機械設備等との垂直距離(H)に応じ次式により算出した値以下であること。
L=40(H-4)/11[m]
(6) 支柱用親綱は、緊張器等を用い支柱の所定の位置にたるまない程度に張ること。
(7) 控綱を使用する場合の控綱の末端の取り付けは、堅固なものに確実に行うこと。
2 使用方法等
(1) 墜落制止用器具は、安全性の確認されたものを用いて、墜落制止用器具のランヤードの長さを1.7m以内にして使用すること。
(2) 親綱支柱システムは、1スパン1人での使用とすること。
(3) 親綱支柱システムは、メーカー等により定められた方法に従い使用すること。
(4) 支柱に直接ランヤードのフックを掛けたり安全ブロックを取り付けての使用は安全性が確認されている場合を除き行わないこと。
(5) コーナーに使用する支柱には平行方向と直交方向の2本の支柱用親綱を同時に取り付けないこと。
3 管理
(1) 親綱支柱システムは、設置直後又は盛替え直後及び作業を開始する前に次の事項について点検を行い、異常を認めた場合は直ちに修正、補修又は取替えを行うものとする。
ア 支柱の支持物への取付部の異常の有無
イ 支柱用親綱の張り具合
ウ 親綱保持部及び控綱取付部の異常の有無
(2) 親綱支柱システムに使用する各構成部材は適正に経年管理を行うこと。
別表7 安全ネットの性能
1 引張試験を行う場合の試験室の状態は、20±2℃の温度及び65±0.5%の湿度とすること。
ただし、試験室が上記の状態に保たれない場合は、試験時の温度及び湿度を付記すること。
2 安全ネット、網糸、縁綱及び吊綱の強度は、次の表の左欄に掲げる試験方法による試験を行った場合に、それぞれ同表の右欄に掲げる強度を有するものであること。
試験方法 |
強度 |
||||||||
(網糸の引張試験) |
|||||||||
安全ネットの網糸の引張強度試験は、次によるものとし、引張速度は15cm/min~30cm/minとする。 (1) 試験用糸(片)によるもの以外の網糸の試験片は、ネットに使用されている網地から切り取る。 (2) 無結節ネットの網糸の引張強度試験にあっては、網糸の両端を網糸の径の5倍以上の外径のドラムに巻き付けて行うものとし、ドラムの中心間距離は20cmを標準とする。 (3) ラッセルネットの網糸の引張強度試験にあっては、次の図に示す1本2節の状態で行う。 (4) かえるまた結節ネットの網糸の引張強度試験にあっては、網糸のよりがほどけない状態で次の図に示す結び目(ループ結節)を試験片の中心に設けて行うものとし、試験片の有効長さは20cmを標準とする。 網糸の引張試験方法の図 |
網糸の引張強度は、(別表)によること。 |
||||||||
(別表) 安全ネットの網糸の新品時における引張強度は、次の表の値とする。 新品時における網糸の引張強度 単位(kN) |
|||||||||
網目の大きさ(cm) |
無結節網地 |
ラッセル網地 |
かえるまた網地 |
||||||
平均値 |
最小値 |
平均値 |
最小値 |
平均値 |
最小値 |
||||
10 |
2.36以上 |
2.16以上 |
2.06以上 |
1.87以上 |
1.96以上 |
1.77以上 |
|||
5 |
― |
― |
1.13以上 |
1.03以上 |
1.08以上 |
0.98以上 |
|||
3.0 |
― |
― |
0.74以上 |
0.69以上 |
― |
― |
|||
1.5 |
― |
― |
0.40以上 |
0.35以上 |
― |
― |
|||
(注) 網目の大きさが5cmを超え10cm未満のもの、3cmを超え5cm未満のもの及び1.5cmを超え3cm未満のものにあっては、それぞれの値により求めた直線補間値以上とする。 |
|||||||||
(縁綱及び吊綱の引張強度試験) |
|||||||||
安全ネットの縁綱及び吊綱の引張強度試験は、引張速度を15cm/min~30cm/minで行うものとする。試験片は、ネットに使用されているロープから切り取るものとする。 |
引張強度の最大値が14.7kN以上であること。 |
3 安全ネットの落すいによる性能試験
安全ネットの落すいによる性能は、次の表の左欄に掲げる試験方法による試験を行った場合に、同表の右欄に掲げる強度を有するものであること。
試験方法 |
強度 |
(安全ネットの落すいによる性能試験) |
|
安全ネットの落すいによる性能試験の方法は、次によるものとする。 安全ネットを四隅及び各辺の中間部で支持する8点支持の状態で落すい試験設備のつり具に取り付け、安全ネットの中央部に重すい(注1)を所定の高さ(注2)から落下させること。 注1:落すい試験に用いる重すいは、90kgであって、かつ、形状が次の図に示すような円筒状のもので、その軸心上の重心付近に加速度計を取り付けること。 注2:所定の高さとは、安全ネットの支持点より上方0.75Lの位置とする。ただし、Lは安全ネットの短辺長(m)とする。 |
1 減速度が147m/s2以下であること。 2 網地に著しい損傷及び貫通がないこと。 |
別表8 メッシュシートの性能
1 構造
メッシュシートの構造は、次に定めるところによること。
(1) メッシュシートの網地は、切れ、ほつれ、ゆがみ、織りむら等の使用上有害な欠点があってはならないこと。
(2) メッシュシートの各辺の縁部は、はとめ等が容易に外れない構造のものであること。
(3) 装着部にはとめを有するメッシュシートは、次のいずれにも該当するものであること。
ア はとめの位置は、ピッチ35cm以下のものであること。
イ はとめの穴の大きさは、内径10mm以上のものであること。
ウ メッシュシートの端部からはとめの穴の中心部までの距離が1.7cm以上のものであること。
(4) 装着部がはとめ以外のメッシュシートは、次のいずれにも該当するものであること。
ア 鋼管等に取り付ける位置は、ピッチ35cm以下のものであること。
イ 取り付け使用中、装着部が鋼管等から容易に外れないものであること(図2参照)。
ウ 材質、形状、寸法、取付方法等が予め明確に定められているものであること。
エ (5)の接続具に接続する端部には縫込みロープを有し、縫込みロープを備えた端部の径が9mm以上のものであること。
(5) 図3に示すような接続具にあっては、難燃性又は防炎加工を施したものであること。
図1 メッシュシートの例図
図2 はとめ以外の装着部が容易に外れない構造の例
図3 接続具の例
2 強度等
(1) メッシュシートは、網地の引張試験、はとめ等の装着部の引張試験、接続具の引き抜き試験(図3に示す接続具の例の場合のみ)及び落下試験について、それぞれ次の表の左欄に掲げる試験方法による試験を行った場合に、それぞれ同表の右欄に掲げる強度等を有するものであること。ただし、合成樹脂製はとめの衝撃試験は、はとめが合成樹脂の場合に行うものとする。