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○食品、添加物等の規格基準の一部改正について

(令和5年11月30日)

(健生発1130第4号)

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省健康・生活衛生局長通知)

(公印省略)

食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(令和5年厚生労働省告示第324号)が本日告示され、これにより食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号。以下「規格基準告示」という。)の一部が改正されたところです。

改正の概要等は下記のとおりですので、その運用に遺漏がないようお願いします。また、当該改正の概要等について、関係者への周知方よろしくお願いします。

第1 趣旨

食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)第18条第3項の規定に基づき政令で定める材質(合成樹脂をいう。以下同じ。)の原材料であって、これに含まれる物質(その物質が化学的に変化して生成した物質を除く。)ごとに定められた器具若しくは容器包装に含有されることが許容される量又は器具若しくは容器包装から溶出し、若しくは浸出して食品に混和することが許容される量については、同条第1項の規格に定められたものでなければならないとされている。その規格を食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(令和2年厚生労働省告示第196号。以下「令和2年告示」という。)により規格基準告示の別表第1(以下「ポジティブリスト」という。)に規定し、食品衛生法等の一部を改正する法律(平成30年法律第46号)の施行の日である令和2年6月1日(以下「平成30年改正施行日」という。)から適用している。ただし、令和2年告示においては、平成30年改正施行日より前に販売され、販売の用に供するために製造され、若しくは輸入され、又は営業上使用されている器具又は容器包装と同様のものが同日から起算して5年を経過する日(令和7年5月31日)までの間に販売の用に供するために製造され、若しくは輸入される場合、それに使用される原材料であって合成樹脂のものについては、ポジティブリストに掲げられているものとみなすことができるとする経過措置が設けられている。

この経過措置が終了するまでの間に、平成30年改正施行日前に器具・容器包装の原材料として使用実態があった物質について規格基準告示中のポジティブリストの最終化を行うこととしていたところ、今般、当該リストが取りまとめられたため、規格基準告示の改正を行うものである。

第2 主な内容

規格基準告示第3 器具及び容器包装の部A 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料一般の規格の8(ポジティブリストを含む。)の対象範囲を次のように整理したこと。

(1) 別表第1第1表は合成樹脂中の重合体であり分子量が1000以上のもの、かつ、常温常圧で固形状のもの(以下「基材」という。)としたこと。また、使用可能食品区分、使用温度、特記事項の削除を行ったこと。

(2) 別表第1第2表は原則として分子量が1000未満であり基材の物理的又は化学的性質を変化させ、最終製品中に化学反応せず残存することを意図して用いられる有機低分子物質(以下「添加剤」という。)を規定したこと。ただし、分子量が1000以上のものであっても、常温常圧で液状のもの又は特殊な官能基を有しその官能基が基材に対して特有の効果を発揮するものについては添加剤として第2表に収載したこと。

(3) 合成樹脂のポジティブリストの管理の対象範囲を整理したことによる消除、物質名の統合、制限の変更等を含む所要の改正を行ったこと。

なお、官報掲載を省略した改正後のポジティブリストについては、令和5年11月30日から令和6年3月31日までの間は厚生労働省のホームページに、令和6年4月1日以降は生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律(令和5年法律第36号)の施行により食品衛生基準行政が消費者庁に移管することに伴い、消費者庁のホームページに掲載する。

第3 運用上留意すべき事項

1 規格基準告示(第3 器具及び容器包装の部A 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料一般の規格の項)関係

イ ポジティブリストの対象範囲等について

(1) 複数の層で構成される器具又は容器包装に使用される合成樹脂の原材料に含まれる物質については、ポジティブリストの対象範囲を以下のとおりとすること。

i 全ての層が合成樹脂で構成された層(以下「合成樹脂の層」という。)である場合、法第18条第3項ただし書の規定により、食品に接触しない層については、人の健康を損なうおそれのない量として厚生労働大臣が定める量(以下「おそれのない量」という。)を超えて溶出し、又は浸出して食品に混和しないよう加工されている場合は、ポジティブリストの対象外であること。

ii 食品に接触する層が合成樹脂以外の材質で構成された層(以下「合成樹脂以外の層」という。)であり、当該層以外に合成樹脂の層がある場合は、当該合成樹脂の層はポジティブリストの対象外であること。

iii 食品に接触する層が合成樹脂の層であり、かつ食品に接触しない層に合成樹脂以外の層がある場合については、当該合成樹脂以外の層から食品接触面側の層のうち合成樹脂の層のみポジティブリストの対象であること。ただし、法第18条第3項ただし書の規定により、ポジティブリストの対象外となる場合があること。

(2) ポジティブリストの対象範囲の整理により、以下のものはポジティブリストの対象外となること。なお、ポジティブリストの対象外の物質は、ポジティブリストへの収載がなくても引き続き使用可能であるが、事業者においては従前の管理を遵守し、自らの責任において安全性の確保を行う必要があること。また、これらに新たな知見として人への健康影響が明らかとなった場合、必要に応じて規格基準告示に別途規格等を定めることとしたこと。

i 合成樹脂以外の材質の原材料に該当する物質

(例)

・ 熱可塑性を持たない弾性体(ゴムの原材料に該当する物質)

・ 無機物質

・ 天然物(ロジン、ナフサ等の抽出物、蒸留物等を含む。ただし、特定の成分のみを精製して得られた物質および類縁物質群を除く。)

・ 天然物の化学反応物(化学修飾処理されたセルロースを除く。)

ii 器具・容器包装から放出され、食品に移行して作用することを目的とする物質

iii 帯電防止、防曇等を目的として、器具・容器包装の原材料等の表面に付着させる液体状または粉体状の物質

iv 原材料に含まれる物質が化学的に変化して生成した物質

v 最終製品に残存することを意図しない物質

ロ 第8号本文について

(1) 「着色料として使用される場合にあつてはこの限りでない。」は、添加剤のうち、着色の目的に限って使用される物質は、その使用される器具又は容器包装が規格基準告示第3 器具及び容器包装の部A 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料一般の規格の項第5号の規定を満たすことを前提として、別表第1第2表に該当しないこと。なお、着色の目的以外の目的で使用される場合は、別表第1第2表に該当すること。

ハ 第8号(1)について

(1) 別表第1第1表に規定する基材を構成するモノマー等については、「食品、添加物等の規格基準別表第1第1表に規定する基材を構成するモノマー等について」(令和5年11月30日付け健生食基発1130第1号厚生労働省健康・生活衛生局食品基準審査課長通知)を参照されたいこと。

(2) ブロック重合体の場合、構成する単位重合体の分子量が1000以上のものは、その単位重合体ごとに基材であるとみなすこと。また、グラフト重合体の場合、構成する幹ポリマー及び枝ポリマーのうち分子量が1000以上のものは、その構成ポリマーごとに基材であるとみなすこと。

ニ 第8号(2)について

(1) 基材は、その使用実態及び合成樹脂の特性を踏まえて別表第1第1表における材質区分(以下単に「区分」という。)を5つに区分したこと。

i 別表第1第1表の材質区分欄に「1」とあるのは、ガラス転移温度若しくはボールプレッシャー温度が150℃以上の重合体又は架橋構造を有し、融点が150℃以上の重合体その他これに類するもの(区分2及び4に該当するものを除く。)であることを示すこと。

ii 別表第1第1表の材質区分欄に「1又は3」とあるのは、ガラス転移温度又はボールプレッシャー温度が150℃以上の重合体その他これに類するもの(区分2及び4に該当するものを除く。)は区分1、ガラス転移温度及びボールプレッシャー温度が150℃未満の重合体その他これに類するもの(区分2及び4に該当するものを除く。)は区分3であることを示すこと。

iii 別表第1第1表の材質区分欄に「2」とあるのは、炭化水素を主なモノマーとする重合体(区分4に該当するものを除く。)であることを示すこと。

iv 別表第1第1表の材質区分欄に「2又は3」とあるのは、炭化水素を主なモノマーとする重合体(区分4に該当するものを除く。)であって、重合体を構成する成分に対して、アクリル酸、アクリロニトリル、N―フェニル―マレイミド、無水マレイン酸及びメタクリル酸の合計が10%以上のものは区分3、それ以外のものは区分2であることを示すこと。

v 別表第1第1表の材質区分欄に「3」とあるのは、ガラス転移温度及びボールプレッシャー温度が150℃未満の重合体その他これに類するもの(区分2及び4に該当するものを除く。)であることを示すこと。

vi 別表第1第1表の材質区分欄に「4」とあるのは、塩素置換エチレンを主なモノマーとする重合体であることを示すこと。

vii 別表第1第1表の材質区分欄に「4又は5」とあるのは、被膜形成時に化学反応を伴う塗膜用途の重合体であることを示し、重合体を構成する成分に対して、塩化ビニリデン及び塩化ビニルの合計が50%以上含むものは区分4、それ以外のものは区分5であることを示すこと。

(2) 別表第1第2表における材質区分別使用制限は、器具又は容器包装に使用される原材料(合成樹脂及び合成樹脂以外の材質を含む。)の全重量に対する添加剤の重量の許容される割合として適用すること。

(3) 基材を複数混合又は結合する場合、別表第1第2表に物質名に掲げる物質の材質区分別使用制限は、各区分の基材の重量比から算出した値を適用すること。ただし、いずれかの区分の基材(特定の区分に複数の基材を含む場合は、それらの重量を合算する。)の重量割合がすべての基材の重量に対して50%を超える場合は、当該材質区分の区分別使用制限を上限として適用することができる。なお、基材を複数混合又は結合する場合とは、ブロック重合体、グラフト重合体などがあること。

(4) 各区分毎の基材の重量比から算出した値を適用して使用制限を満たす合成樹脂及び特記事項の特段の定めを満たす合成樹脂のうち一又は複数を混合した場合、その混合物は別表第1に掲げる原材料に含まれる物質として使用制限を満たしていると見なすことができること。

(5) 別表第1第1表に掲げる「被膜形成時に化学反応を伴う塗膜用途の重合体」については、ガラス転移温度若しくはボールプレッシャー温度が150℃以上の重合体又は架橋構造を有し、融点が150℃以上の重合体であるか否かにより、別表第1第2表の物質名欄に掲げる物質に対する材質区分別使用制限が異なることに留意すること。

(6) 特記事項欄において特段の定めがある場合とは、使用温度、対象食品、材質の厚さ、食品への直接接触の有無、使用量の合計量に係る事項の記載がある場合であること。また、特段の定めがある場合の具体の内容その他特記事項に記載する内容については、「食品、添加物等の規格基準別表第1第2表の特記事項欄において特段の定めがある場合等について」(令和5年11月30日付け健生食基発1130第4号厚生労働省健康・生活衛生局食品基準審査課長通知)を参照されたいこと。

(7) 別表第1第2表の通し番号108(1)及び108(2)に規定する「第1表に該当する重合体」を構成するモノマー等については、「食品、添加物等の規格基準別表第1第1表に規定する基材を構成するモノマー等について」(令和5年11月30日付け健生食基発1130第1号厚生労働省健康・生活衛生局食品基準審査課長通知)を参照されたいこと。

第4 適用期日等

令和7年6月1日から適用されるものであること。ただし、平成30年改正施行日前に販売され、販売の用に供するために製造され、若しくは輸入され、又は営業上使用されている器具又は容器包装と同様のものがこの告示の適用の際現に販売され、販売の用に供するために製造され、若しくは輸入され、又は営業上使用されている場合、それに使用される合成樹脂の原材料であって、これに含まれる物質については、別表第1に掲げられているものとみなすことができる。本経過措置中の「同様のもの」とは、平成30年改正施行日より前に販売され、販売の用に供するために製造され、若しくは輸入され、又は営業上使用されている器具又は容器包装に使用されていた物質(合成樹脂の原材料に限る。)をその使用されていた範囲内で使用して製造又は輸入された器具又は容器包装をいうこと。したがって、これまで使用経験のない基材に対して添加剤を使用する場合、添加剤をこれまで使用経験のない量に増量して使用する場合等は本経過措置の対象とはならないため、製造記録や輸入実績等によりこれまで使用されていた範囲内であることが説明できる必要があること。

なお、令和7年5月31日までは、「食品衛生法等の一部を改正する法律による改正後の食品衛生法第18条第3項の施行に伴う関係告示の整備について」(令和2年5月1日付け生食発0501第6号厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官通知。最終改正:令和3年8月5日付け生食発0805第1号厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官通知。以下「令和2年5月1日通知」という。)による取扱いを行うこととする。

第5 関係通知の改正等

1 令和2年5月1日通知は、適用期日を以て別紙のとおり改正すること。具体的には、改正後の規格基準告示の適用に伴い、令和2年告示に関する事項を削除し、またその他所要の改正を行うものであること。

2 「食品衛生法等の一部を改正する法律による改正後の食品衛生法第18条第3項の施行に伴う関係告示の整備について」(令和2年4月28日付け生食発0428第4号厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全審議官通知)は、本通知を以て廃止すること。

第6 その他

1 ポジティブリストへの収載の有無に関わらず、法第16条により、有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着して人の健康を損なうおそれがある器具若しくは容器包装または食品に接触して有害な影響を与えることにより人の健康を損なうおそれがある器具若しくは容器包装を販売し、販売の用に供するために製造し、若しくは輸入し、又は営業上使用してはならないこととしていることに留意すること。

2 令和2年告示により定められた現行のポジティブリストに係る内容は、その関係書類を厚生労働省医薬・生活衛生局食品基準審査課に備え置いて縦覧に供するとともに、厚生労働省のホームページに掲載して公表しているが、令和6年4月1日以降は生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律の施行により食品衛生基準行政が消費者庁に移管することに伴い、消費者庁に備え置いて縦覧に供するとともに、消費者庁のホームページに掲載すること。

別紙

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