添付一覧
○旅館業法等における事業譲渡に係る規定の運用上の疑義について(通知)〔食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律〕
(令和5年11月29日)
(/健生衛発1129第3号/健生食監発1129第1号/)
(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省健康・生活衛生局生活衛生課長、厚生労働省健康・生活衛生局食品監視安全課長通知)
(公印省略)
生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律(令和5年法律第52号。以下「改正法」という。)による改正後の旅館業法(昭和23年法律第138号)、食品衛生法(昭和22年法律第233号)、理容師法(昭和22年法律第234号)、興行場法(昭和23年法律第137号)、公衆浴場法(昭和23年法律第139号)、クリーニング業法(昭和25年法律第207号)、美容師法(昭和32年法律第163号)及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(平成2年法律第70号)並びに改正法における事業譲渡に係る規定に関する運用上の留意事項等については、「旅館業法施行規則等の一部を改正する省令の公布等について」(令和5年8月3日付け生食発0803第1号厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官通知)において示していますが、当該各法における事業譲渡に係る規定の運用上の疑義について、別紙のとおり、取りまとめましたので、これらについて十分御了知の上、適切な対応をお願いいたします。
なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に基づく技術的な助言であることを申し添えます。
(別紙)
旅館業法等における事業譲渡に係る規定の運用上の疑義に関するFAQ
<共通事項>
問1 「旅館業法施行規則等の一部を改正する省令の公布等について」(令和5年8月3日付け生食発0803第1号厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官通知。以下「留意事項通知」という。)第3(1)③の「調査」は、各法の規定に基づく立入調査権限の範囲で行うことを予定しているか。当該調査の法的根拠は何か。 |
(答)
立入調査は各業法の規定が法的根拠であり、権限も各業法に規定された範囲内と解する。報告徴収は、改正法附則の規定を根拠に行うものと解するが、理容師法、美容師法及びクリーニング業法を除き、各業法に規定されている報告徴収と重複する範囲で、各業法に規定されている報告徴収の規定も根拠に行うことが想定される。
問2 改正法附則で規定されている譲渡による承継後の調査は、「地位が承継された日」から起算して6月を経過するまでの間において行われなければならないとされているが、当該「地位が承継された日」とは、「承継の届出日(例:理容師法第11条の3第2項)」を指すものではなく、「譲渡した日(例:改正法附則第5条第2項で引用する新理容師法第11条の3第1項)」を指すということか。 |
(答)
旅館業以外は貴見のとおり。旅館業については、承認され、譲渡の効力が発生した日を指す。
問3 留意事項通知第3(1)③ア)に記載されている「事業譲渡に際し、衛生等に係る情報提供等がある場合」は、誰から誰に対する情報提供か。 |
(答)
近隣住民や利用者等から行政への情報提供等が想定される。
問4 改正法附則に規定された6月以内の調査について、法人成り等緊急性がない事例も想定されるため、一律に速やかな調査を要することとはせず、都道府県知事等が事例により判断する余地を設けるべきではないか。 |
(答)
法人成りであったとしても、地位承継により営業者が変更になることに変わりなく、速やかな調査を行う必要があると考える。
問5 改正法附則における譲渡による承継後の調査は、「当分の間」とされているが、具体的にはいつまでか。 |
(答)
具体的な期限は、定められていない。
問6 譲渡後、諸事情によりやむなく6ヶ月以上経過した後に承継届が提出された場合には、改正法附則で規定する6ヶ月調査についてはどのように対応すればよいか。 |
(答)
届出後速やかに調査されたい。
問7 留意事項通知第3(2)①地位の承継において、「営業の許可又は届出がされている事業の一部を譲渡する場合には、今回の改正により措置した事業譲渡に係る規定の対象外であること。」と記載があるが、許可区域が変更となるような構造設備の変更(例:建物を残したまま2棟を1棟へ規模を縮小)を行っている場合において、事業譲渡に係る規定の対象外に該当するとして、変更届の提出がなされるまで承継承認申請書(承継届)の受理を差し控えるべきであるか。 |
(答)
申請(届出)の形式要件を具備していれば受け付ける必要がある。ただし、衛生上の懸念があれば、速やかに調査されたい。
なお、事業を譲り渡す者が、事業譲渡以前に構造設備の増設・縮小等を行ったが変更届を怠っていたことが承継承認申請書(承継届)が提出された時点で判明した場合等の対応については、問10を参照されたい。
問8 留意事項通知第3(2)②において、「営業の譲渡が行われたことを証する書類」等について、譲渡契約書等の写し等が想定されると記載されているが、他にどのような書類が想定されるか。 |
(答)
例えば、次のように、当事者による譲渡の意思と譲渡の事実等、譲り渡す者と譲り受ける者の間で譲渡が行われたことが分かる記載(旅館業にあっては、譲り渡す者と譲り受ける者の間で譲渡が行われることが分かる記載)のある、両名による覚書等が想定される。
・譲渡人氏名、住所(法人にあっては名称、代表者名、主たる事務所の所在地)
・譲受人氏名、住所(法人にあっては名称、代表者名、主たる事務所の所在地)
・営業施設の名称、所在地
・当該営業許可又は届出に係る事業を譲渡した旨(旅館業にあっては、当該営業許可に係る事業を譲渡する旨)
・譲渡の事実があった日(旅館業にあっては、譲渡の効力発生日)
問9 個人事業主が法人成りをした場合、元の個人事業主が事業譲渡後の法人の代表者や役員であることを法人の登記事項証明書等で確認できれば、当該登記事項証明書等を営業の譲渡が行われたことを証する書類とみなしてよいか。 |
(答)
営業許可を受けていた個人事業主が法人成りした場合も、法人の登記事項証明書等に個人事業主の名前が代表取締役として記載されていたとしても、許可を受けた営業を法人が譲り受けたかどうかは明らかにはならない。このため、当該登記事項証明書等のみでは足りず、他に営業の譲渡を証する書類の提出が必要である。
問10 留意事項通知第3(2)②イ)に関連し、事業譲渡前に、「前営業者」が施設の増設等を行い、変更届を怠っていた場合は、どのように対応・指導すれば良いか。さらに「前営業者」が、同一性がない程度(同一営業許可の範疇に留まらない程度)の増改築を行っており、届出後に新規許可又は届出が必要と判明した場合、どのように対応・指導すれば良いか。 |
(答)
「前営業者」が施設の増設等を行い、変更届を怠っていた場合は、譲り受けた者が変更届等を提出する必要がある。「前営業者」が、同一性がない程度の増改築を行っており、届出後に新規許可又は届出が必要と判明した場合、新規許可又は届出を取るよう、指導されたい。
なお、旅館業法の場合、事業譲渡の申請後承認前に新規許可が必要であると判断した場合には、承認を行わず、新規許可を求めることとなる。
また、「前営業者」において行っていた変更の内容が同一性がない程度の増改築であって、各法令に基づき新規許可又は届出が必要であったのに新規許可又は届出を受けずに営業していた場合には、無許可又は無届の営業であり、譲受人は無許可又は無届の営業をそのまま承継したことになる可能性がある。
問11 留意事項通知第3(2)②オ)に「事業譲渡に伴う申請等に係る手数料については、減免・引き下げについて積極的に検討すること。」とある。このことについて、事業譲渡については手数料を徴収することが前提であるということか。また、徴収しない場合は減免の手続が必須となるのか。経過措置として行われる調査の手数料という名目で、自治体が手数料を徴収することはあり得るか。 |
(答)
手数料については、合併・分割・相続に伴う申請等に係る手数料との平仄を踏まえつつ、地方自治法第227条の規定に基づき、各自治体のご判断で適切に対処いただきたい。
問12 留意事項通知別紙各様式1~5中の「許可番号」や「届出番号」について、当該事項は各法施行規則には規定されていないものの、届出等の際に記載させる必要がある又は記載させることが望ましいということか。 |
(答)
譲渡対象となるものがどの許可営業又は届出営業かを明確にする観点から記載が望ましい。
<旅館業法関係>
問1 留意事項通知第3(3)①において、「連名の申請書を提出することが想定される」とあるが、連名でない申請書も可能という余地があるということか。 |
(答)
通知に記載のとおり、旅館業法関係においては、譲渡する予定の者と譲り受ける者が連名の申請書を提出することが想定されるが、譲渡人単独名義の申請書と譲受人単独名義の申請書がそれぞれ提出される場合もありうるものと考えられる。
問2 改正法の施行日前に旅館業の事業譲渡の承認の申請がなされた場合であって、改正法の施行日直後に事業譲渡が予定されているときには、都道府県知事等としてはどういった対応をとるのか。 |
(答)
仮に譲渡の日が施行日当日であっても、営業者の地位の承継に関する申請・承認は、施行日当日までできない。もっとも、都道府県知事等において、申請者が今回の改正により措置した譲渡に係る規定により営業者の地位を承継することを期待していることを確認した場合は、申請者に対し、施行日以降に申請されたい旨を伝えるとともに、施行日前において事実上申請の内容を確認して検討し、施行日以降になされた申請を受理し速やかに承認を行うことは可能と考えられる。
問3 留意事項通知第3(3)③において『申請書に添付することとされる定款及び寄付行為の写しは、事業譲渡に伴い定款等の変更がある場合には、その一部変更等の手続を経た正式のものでなければならないこと。このため、譲渡について認可が必要な場合にあってはその認可後のものでなければならないこと。』とあるが、これは具体的にどのような事例か。 |
(答)
「認可が必要な場合」とは、例えば医療法人や社会福祉法人の場合等が想定される。
問4 留意事項通知第3(3)に関して、承認の際の条件について、旅館業の分割合併の場合と同様に、承認書として効力が発生する時期を明確に記す必要があるため、どのような条件を付すか例を示していただきたい。 |
(答)
「本承認の効力は、譲渡の効力発生を停止条件として生じる。」等の記載が考えられる。
問5 旅館業の承継においては、承継の申請と変更の届出を同時に行うことが可能と解してよいか。また、このとき承継に係る申請者は譲受人若しくは譲渡人(又は連名)であり、変更に係る届出者は譲渡人になると解してよいか。 |
(答)
改正法による改正後の旅館業法第3条の2第1項では、譲渡人及び譲受人が承認を受けることとされていることから、承認を受けるのは「譲受人若しくは譲渡人(又は連名)」ではなく「譲受人及び譲渡人(又は連名)」である。変更に係る届出者については、譲渡の効力発生前であれば譲渡人、譲渡の効力発生後であれば譲受人が届け出るべきである。
<旅館業法・公衆浴場法>
問1 旅館業・浴場業については、国の通知等により、建築確認・消防法適合通知に関する確認が求められている。第三者への事業譲渡の際に、それらは提出不要なのか。また、そもそも譲渡を受けた者は建築基準法、消防法上の対応は不要となるのか。 |
(答)
「食品衛生法施行規則等の一部を改正する省令の公布について」(令和2年7月14日付け生食発0714第4号厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官通知)第3(7)で示しているとおり、施設の構造設備について譲り受けたものから変更がない場合においては、検査済証や消防法令適合通知書についての提出は省略可能である。
なお、第三者への事業譲渡を行った場合における建築基準法及び消防法に基づく確認の要否については、建築・消防担当部署へ照会されたい。
<食品衛生法>
問1 例えば、飲食店営業と菓子製造業のどちらか一方の事業のみを譲渡する場合等は法に基づく許可営業者の地位の承継の対象となるか。 |
(答)
飲食店営業と菓子製造業の許可を得ている施設がそれぞれの許可に係る事業を譲渡し、地位承継をすることは可能である。