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○旅館業法施行規則等の一部を改正する省令の公布等について〔クリーニング業法〕

(令和5年8月3日)

(生食発0803第1号)

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官通知)

(公印省略)

旅館業法施行規則等の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第101号。以下「改正省令」という。)が本日別添のとおり公布されました。

改正省令の内容等は下記第1及び第2のとおりであるほか、生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律(令和5年法律第52号。以下「一部改正法」という。)における事業譲渡に係る規定に関する運用上の留意事項等は下記第3のとおりですので、これらについて十分御了知の上、適切な対応をお願いいたします。

なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に基づく技術的な助言であることを申し添えます。

第1 改正省令の趣旨

一部改正法により、旅館業法(昭和23年法律第138号)第3条の2の規定を新設する等の改正が行われ、事業譲渡による事業承継の手続が整備されることに伴い、旅館業法施行規則(昭和23年厚生省令第28号)等において、事業譲渡により旅館業の営業者の地位を承継する者が提出すべき申請書の記載事項等について定めるものであること。

また、一部改正法により旅館業法第6条が改正され、宿泊者名簿の記載事項が変更されることに伴い、所要の規定の整理を行うものであること。

第2 改正省令の内容

(1) 旅館業法施行規則

① 一部改正法による改正後の旅館業法(以下「新旅館業法」という。)第3条の2第1項の規定により事業譲渡について都道府県知事等(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長。以下同じ。)の承認を受けようとする者がその営業施設所在地を管轄する都道府県知事等に提出しなければならない申請書の記載事項及び添付書類について定めるものであること。(旅館業法施行規則第1条の3関係)

② 旅館業法第3条第1項の規定による許可を受けようとする者が都道府県知事等に提出しなければならない書類の記載事項及び添付書類について、当該者が事業譲渡により旅館業を譲り受けた者である場合の規定を削除するものであること。(旅館業法施行規則第1条関係)

③ 新旅館業法第6条第1項において、旅館業の営業者が備えなければならない宿泊者名簿の記載事項について、「職業」が「連絡先」に改められたことから、所要の規定の整理を行うものであること。(旅館業法施行規則第4条の2関係)

④ その他所要の改正を行うものであること。(旅館業法施行規則第2条、第3条、第4条関係)

(2) 食品衛生法施行規則

① 一部改正法による改正後の食品衛生法(昭和22年法律第233号)第56条第1項の規定により営業の譲渡により営業者の地位を承継し、同条第2項の規定によりその旨を届け出ようとする者がその施設の所在地を管轄する都道府県知事等に提出しなければならない届出書の記載事項及び添付書類について定めるものであること。(食品衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号)第67条の2関係)

② 食品衛生法第55条第1項の規定による許可を受けようとする者が都道府県知事等に提出しなければならない書類の記載事項について、当該者が事業譲渡により営業を譲り受けた者である場合の規定を削除するものであること。(食品衛生法施行規則第67条関係)

③ 地位の承継等に関する規定を届出営業者等について準用することを明確化するものであること。(食品衛生法施行規則第70条の2、第71条関係)

④ 承継時の届出に関する事項について「許可の番号」に記載を統一する等その他所要の改正を行うものであること。(食品衛生法施行規則第68条、第69条関係)

(3) 公衆浴場法施行規則

① 一部改正法による改正後の公衆浴場法(昭和23年法律第139号)第2条の2第1項の規定により浴場業の譲渡により営業者の地位を承継し、同条第2項の規定によりその旨を届け出ようとする者がその施設の所在地を管轄する都道府県知事等に提出しなければならない届書の記載事項及び添付書類について定めるものであること。(公衆浴場法施行規則(昭和23年厚生省令第27号)第1条の2関係)

② 公衆浴場法第2条第1項の規定による許可を受けようとする者が都道府県知事等に提出しなければならない書類の記載事項について、当該者が事業譲渡により浴場業を譲り受けた者である場合の規定を削除するものであること。(公衆浴場法施行規則第1条関係)

③ その他所要の改正を行うものであること。(公衆浴場法施行規則第4条関係)

(4) クリーニング業法施行規則

① 一部改正法による改正後のクリーニング業法(昭和25年法律第207号)第5条の3第1項の規定によりクリーニング業の譲渡により営業者の地位を承継し、同条第2項の規定によりその旨を届け出ようとする者がその施設の所在地を管轄する都道府県知事等に提出しなければならない届出書の記載事項及び添付書類について定めるものであること。(クリーニング業法施行規則(昭和25年厚生省令第35号)第2条の2関係)

② クリーニング業法第5条第1項及び第2項の規定による届出をしようとする者が都道府県知事等に提出しなければならない書類の記載事項について、当該者が事業譲渡により営業を譲り受けた者である場合の規定を削除するものであること。(クリーニング業法施行規則第1条の3関係)

③ その他所要の改正を行うものであること。(クリーニング業法施行規則第2条の3、第2条の4、第2条の5関係)

(5) 理容師法施行規則

① 一部改正法による改正後の理容師法(昭和22年法律第234号)第11条の3第1項の規定により理容業の譲渡により開設者の地位を承継し、同条第2項の規定によりその旨を届け出ようとする者がその施設の所在地を管轄する都道府県知事等に提出しなければならない届出書の記載事項及び添付書類について定めるものであること。(理容師法施行規則(平成10年厚生省令第4号)第20条の2関係)

② 理容師法第11条第1項の規定による届出をしようとする者が都道府県知事等に提出しなければならない書類の記載事項について、当該者が事業譲渡により営業を譲り受けた者である場合の規定を削除するものであること。(理容師法施行規則第19条関係)

③ その他所要の改正を行うものであること。(理容師法施行規則第21条関係)

(6) 美容師法施行規則

① 一部改正法による改正後の美容師法(昭和32年法律第163号)第12条の2第1項の規定により美容業の譲渡により開設者の地位を承継し、同条第2項の規定によりその旨を届け出ようとする者がその施設の所在地を管轄する都道府県知事等に提出しなければならない届出書の記載事項及び添付書類について定めるものであること。(美容師法施行規則(平成10年厚生省令第7号)第20条の2関係)

② 美容師法第11条第1項の規定による届出をしようとする者が都道府県知事等に提出しなければならない書類の記載事項について、当該者が事業譲渡により営業を譲り受けた者である場合の規定を削除するものであること。(美容師法施行規則第19条関係)

③ その他所要の改正を行うものであること。(美容師法施行規則第21条関係)

(7) 施行期日等

この省令は、一部改正法の施行の日から施行すること。(改正省令附則第1条関係)

この省令の施行に関し必要な経過措置を定めること。(改正省令附則第2条から第8条まで関係)

第3 一部改正法における事業譲渡に係る規定に関する運用上の留意事項等

(1) 衛生水準の確保に係る留意事項

一部改正法における事業譲渡に係る規定(以下「本規定」という。)は、以下により、衛生水準の確保を図ることを前提として、譲受人に営業者の地位の承継を認めるものであり、事業譲渡により衛生管理の確保に支障が生じないよう十分に注意すること。

① 都道府県知事等への事前の相談

ア) 営業者に対し、事業譲渡の予定がある場合には、可能な限り、都道府県知事等に事前相談することを周知すること。

イ) 事前相談を受けた都道府県知事等は、営業者を通じて事業譲渡後の譲り受ける予定の者による衛生管理や事業の方針等を確認するとともに、事業譲渡の手続き、各業法による営業の規定、衛生管理等に関する助言を行うこと。

ウ) 都道府県知事等は、(1)①イ)とは別に、事業譲渡に際しては、事業の継続や従業員の雇用の維持等により衛生水準を確保することが重要であることを周知するとともに、生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(昭和32年法律第164号)に規定する都道府県生活衛生営業指導センターや各生活衛生同業組合、食品衛生協会等に関する情報提供を積極的に行うほか、これらの団体が実施する講習会・講演会等の紹介、生活衛生同業組合への加入の案内等を行うこと。

② 事業譲渡時の届出(旅館業にあっては承認申請)

ア) 営業者から事前の相談を受けていなかった場合には、都道府県知事等は、譲受人(旅館業にあっては譲り受ける予定の者)による衛生管理や事業の方針等を確認するとともに、各業法による営業の規定、衛生管理等に関する助言を行うこと。

イ) 都道府県知事等は、(1)②ア)とは別に、事業譲渡に際しては、事業の継続や従業員の雇用の維持等により衛生水準を確保することが重要であることを周知するとともに、都道府県生活衛生営業指導センターや各生活衛生同業組合、食品衛生協会等に関する情報提供を積極的に行うほか、それらが実施する講習会・講演会等の紹介、生活衛生同業組合への加入の案内等を行うこと。

③ 都道府県知事等が、当分の間、本改正により措置した規定により営業者の地位を承継した者(営業の譲渡により当該地位を承継したものに限る。)の業務の状況について、当該地位が承継された日から起算して6月を経過するまでの間において、少なくとも1回行わなければならないとされる調査(改正法附則第3条第1項、第4条第2項、第5条第2項、第6条第2項、第7条第2項、第8条第2項、第9条第2項及び第10条第2項関係)

ア) 承継後、都道府県知事等が調査の体制を整えた上で、可能な限り速やかに各業法に基づく実地検査を含めた必要な調査が行われるようにすること。以下のいずれかに該当する場合には、特に速やかに必要な調査が行われるようにすること。

・ 事業譲渡に際し、事業譲渡に併せて営業許可等の申請内容の変更届が提出される場合であって、衛生水準の継続的な確保に懸念があるとき

・ 事業譲渡に際し、衛生等に係る情報提供等がある場合であって、衛生水準の継続的な確保に懸念があるとき(例えば、衛生管理の方法が変わる場合、従業員が大幅に入れ替えられる場合等)

・ 事業譲渡に際し、施設の増設や変更が行われる場合

・ 食品衛生法における許可営業の譲渡が行われる場合

・ 食鳥処理の事業譲渡が行われる場合

イ) 本調査において調査する「業務の状況」については、営業の種別等に応じて、報告の徴収(各業法に基づかない任意の質問等を含む。以下同じ。)等を行うことにより、事業が継続されているか、資格者がいるか(業法において資格者が必要とされている場合に限る。)、各業法に基づく施設・設備の基準を満たしているか等、衛生管理が適切に行われているかを確認すること。その際、必要に応じて図面等を求めることも考えられる。当該確認結果に基づき、必要に応じて、各業法に基づく実地検査を行うこと。

ただし、(1)③ア)に掲げた場合に該当する場合など衛生水準の継続的な確保に懸念があるとき等には、必ずしも報告の徴収の過程を経る必要はなく、速やかに各業法に基づく実地検査を行うことにより、衛生管理が適切に行われているかを確認すること。

(2) その他の留意事項

① 地位の承継

「地位を承継する」とは、許可又は届出の基本となる法律に関して、許可を受けた者又は届出をした者と同一の権利義務関係に立つということであるから、原則として、承継の前後で許可又は届出の内容が変更されることはないこと。ただし、譲渡の申請又は届出の際に、変更の届出を行うことを妨げない。

こうしたことから、許可に際して付される条件は、当該許可の内容の一部となるものであるため、今回の改正により措置した譲渡に係る規定により営業者の地位を承継した場合には、許可の条件は承継されるのが原則であること。

また、営業の許可又は届出がされている事業の一部を譲渡する場合(例えば、1号棟及び2号棟を有し、両棟における旅館業を一体的に管理するものとして一つの許可を受けている旅館業の営業者が、どちらか一方の棟における事業のみを譲渡する場合等)には、今回の改正により措置した事業譲渡に係る規定の対象外であること。

② 手続関係

ア) 届出書等への添付書類として掲げる「営業の譲渡が行われたことを証する書類」等については、基本的には、譲渡契約書等の写し等が想定されること。当該書類においては、当事者による譲渡の意思と譲渡の事実が最低限確認できるものである必要がある。なお、個人事業主が法人に成り代わる(法人成り)場合は、当該個人事業主と法人成り後の法人との譲渡契約書等の写し等が想定されること。

イ) 仮に事業譲渡後に施設の増設等を行う場合は、営業者は、各業法に則り、事業譲渡の手続きとは別に、通常の施設の増設等に必要となる都道府県知事等への変更届の提出等を行う必要があること。なお、同一性が認められないような大幅な変更がある場合は、新規と同様の取扱いとする必要があること。

ウ) 今回の改正により措置した譲渡に係る規定により営業者の地位を承継した場合には、新規の許可又は届出、使用前検査及び譲渡人が営業を廃止した旨の届出を不要とするものであること。

エ) 申請等に係る適正な審査を行うために必要な書類について、申請者等に対して追加で提出を求める場合には、必要最低限に留めること。

オ) 上記(2)②ウ及びエを踏まえ、事業譲渡に伴う申請等に係る手数料については、合併・分割・相続に伴う申請等に係る手数料との平仄を踏まえつつ、従来の事業譲渡に伴う申請等に係る手数料と比較して減免・引き下げを行うことについて積極的に検討すること。

カ) 旅館業法施行規則、公衆浴場法施行規則、クリーニング業法施行規則、理容師法施行規則及び美容師法施行規則における営業の譲渡による地位の承継に関する申請等の様式は、別紙1から別紙5を参考にされたい。

(3) その他の留意事項(旅館業法関係)

① 旅館業の営業者が当該旅館業を譲渡する場合において、譲渡する予定の者及び譲り受ける予定の者がその譲渡及び譲受けについて、あらかじめ、改正後の旅館業法施行規則第1条の3に規定する申請書を都道府県知事等に提出して、その承認を受けなければならないこと。なお、その申請に際して、譲渡する予定の者又は譲り受ける予定の者のいずれか一方が、譲渡する予定の者と譲り受ける予定の者の連名の申請書を提出することが想定されるが、その場合には、都道府県知事等は、譲渡する予定の者と譲り受ける予定の者の双方を宛名とした承認書を提出者(申請書を提出した譲渡する予定の者又は譲り受ける予定の者)に交付することが考えられる。

都道府県知事等は、この承認に当たっては、

ア) 譲り受ける予定の者が旅館業法第3条第2項各号に該当するか

イ) 当該施設の設置が同条第3項の要件に抵触するか

を審査して、承認の可否を判断すること。その際、承認を与える場合には、同条第4項に規定する者の意見を求めなければならず、また、承認を与えない場合には、同条第5項に則り理由を通知しなければならないこと。

なお、この承認は、譲渡そのものを対象とするものではなく、譲受人が旅館業を営むことを対象としてなされるものである。

② 申請書への添付書類として掲げる「旅館業の譲渡を証する書類」については、譲渡が完了したことを証する書類ではなく、今後譲渡する旨を証する書類(基本的には、譲渡契約書等の写し等)であること。当該書類においては、当事者による譲渡の意思と譲渡の事実、譲渡の効力発生日が最低限確認できるものである必要がある。

③ 申請書に添付することとされる定款及び寄付行為の写しは、事業譲渡に伴い定款等の変更がある場合には、その一部変更等の手続を経た正式のものでなければならないこと。このため、譲渡について認可が必要な場合にあってはその認可後のものでなければならないこと。

④ 譲渡の効力が承認より前に発生する場合は、新規の許可を要することとなり、今回の改正により導入された承認制度は適用されないこと。

(4) その他の留意事項(食品衛生法関係)

食品衛生法施行規則における営業の譲渡による地位の承継に関する届出及び記載様式等については、食品衛生申請等システムの改修状況を踏まえ、別途通知する予定であること。

(5) その他の留意事項(興行場法関係)

一部改正法による改正後の興行場法(昭和23年法律第137号)第2条の2の規定に基づく興行場営業の譲渡の届出手続等についても、公衆浴場法施行規則等を参考にして、所要の規定の整備を図られたいこと。

(6) その他の留意事項(食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律関係)

一部改正法による改正後の食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(平成2年法律第70号)第7条第2項の規定に基づく食鳥処理業者の地位の承継の届出手続については、「食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律の施行について(平成3年3月29日衛乳第26号 厚生省生活衛生局通知)」の別紙様式第六号を別紙6に差し替えること。

(7) 施行状況等の把握

今回の改正による事業譲渡手続の整備状況等について把握するため、今後、その整備状況(処理期間、手数料等)、効果(業法別に今回の改正により措置した譲渡に係る規定により営業者の地位を承継した件数等)、活用事例及び都道府県等による譲渡後の調査状況等についてフォローアップを行う予定であること。

以上

[別紙1]

[別紙2]

[別紙3]

[別紙4]

[別紙5]

[別紙6]