○旅館業法施行令等の一部を改正する政令等の公布等について
(令和5年11月15日)
(/健生発1115第4号/医政発1115第19号/感発1115第3号/)
(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省健康・生活衛生局長、厚生労働省医政局長、厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長通知)
(公印省略)
今般、旅館業法施行令等の一部を改正する政令(令和5年政令第330号。以下「改正政令」といいます。)、生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和5年政令第329号。以下「施行期日令」といいます。)及び旅館業法施行規則及び厚生労働省関係国家戦略特別区域法施行規則の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第140号。以下「改正省令」といいます。)が、本日別添1から3までのとおり公布されました。
改正政令及び改正省令の趣旨及び内容は、それぞれ下記第1から第3までのとおりであるほか、生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律(令和5年法律第52号。以下「改正法」といいます。)による改正後の旅館業法(昭和23年法律第138号。以下「法」といいます。)、改正政令による改正後の旅館業法施行令(昭和32年政令第152号。以下「令」といいます。)及び改正省令による改正後の旅館業法施行規則(昭和23年厚生省令第28号。以下「規則」といいます。)の運用上の留意事項等は下記第4のとおりですので、これらについて十分御了知の上、適切な対応をお願いいたします。
また、本日、別添4のとおり、法第4条の2及び第5条に定める事項に関し営業者が適切に対処するために必要な指針として、旅館業の施設において特定感染症の感染防止に必要な協力の求めを行う場合の留意事項並びに宿泊拒否制限及び差別防止に関する指針(令和5年11月15日厚生労働大臣決定)を策定しました。
併せて、旅館業法担当部局におかれては、改正法の円滑な施行に向けて、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」といいます。)の担当部局や障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「障害者差別解消法」といいます。)の担当部局等、関係部局へも本通知を共有いただく等により関係部局間の連携を図り、適切に対応いただきますようお願いいたします。
なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に基づく技術的な助言であることを申し添えます。
記
第1 改正政令及び改正省令の趣旨
改正政令及び改正省令は、改正法により、法第4条の2(感染防止対策への協力の求めに関する規定)の新設、第5条(宿泊拒否制限に関する規定)の規定を改める等の改正が行われることに伴い、令及び規則に関し、所要の規定の整備を行うものである。
第2 改正政令の内容
(1) 令の一部改正関係(改正政令第1条関係)
① 法第4条の2第1項第1号の政令で定める者に関する事項(令第4条関係)
法第4条の2第1項第1号の特定感染症の症状を呈している者その他の政令で定める者は、(i)特定感染症の症状を呈している者及び(ii)特定感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者とする。
② 法第4条の2第1項第1号ロの協力に関する事項(令第5条関係)
法第4条の2第1項第1号ロの旅館業の施設における当該特定感染症の感染の防止に必要な協力として政令で定めるものは、(i)旅館業の施設においてみだりに客室その他の営業者(旅館業法第3条の2第1項に規定する営業者をいう。以下同じ。)の指定する場所から出ないこと、(ii)体温その他の健康状態その他厚生労働省令で定める事項の確認の求めに応じること、並びに(iii)(i)及び(ii)のほか、感染症法第16条第1項その他の感染症法の規定に基づいて厚生労働大臣が特定感染症の予防若しくはそのまん延の防止に必要なものとして公表した内容又は特定感染症に係る新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号。以下「特措法」という。)第18条第1項に規定する基本的対処方針において特措法第2条第1号に規定する新型インフルエンザ等のまん延の防止に関する措置として定められた内容(以下「特定感染症に係る公表又は基本的対処方針の内容」という。)に即して、法第4条の2第1項第1号ロの協力として法第5条の2第1項に規定する指針で定めるものとする。
③ 法第4条の2第1項第3号の協力に関する事項(令第6条関係)
法第4条の2第1項第3号の政令で定める協力は、(i)体温その他の健康状態その他法第4条の2第1項第3号の厚生労働省令で定める事項の確認の求めに応じること、及び(ii)(i)のほか、特定感染症に係る公表又は基本的対処方針の内容に即して、法第4条の2第1項第3号の協力として法第5条の2第1項に規定する指針で定めるものとする。
④ 法第四条の二第二項の政令で定める感染症及びその特定感染症国内発生期間に関する事項(令第7条関係)
法第4条の2第2項の国内に常在すると認められる特定感染症を結核とし、その特定感染症国内発生期間は、厚生労働大臣が、感染症法第16条第1項の規定により公表した結核の発生の状況、動向及び原因に関する情報並びに結核の予防に必要な情報を踏まえ、営業者が宿泊しようとする者に対して法第4条の2第1項の規定に基づく協力を求めなければ旅館業の施設における結核のまん延のおそれがあると認め、その旨を告示した日から、厚生労働大臣が、そのようなおそれがなくなったと認めその旨を告示した日までとする。
(2) 国家戦略特別区域法施行令(平成26年政令第99号)の一部改正関係(改正政令第2条関係)
国家戦略特別区域法(平成25年法律第107号)第13条に基づく事業に係る政令で定める要件のうち、滞在者名簿の記載事項から職業を削除し、連絡先を追加するものとする。
(3) 生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令(令和5年政令第247号)の一部改正関係(改正政令第3条関係)
改正法の施行の日前に特定感染症が発生した場合における特定感染症国内発生期間の始期に関する経過措置を定めるほか、所要の改正を行う。
第3 改正省令の内容
① 法第4条の2第1項第1号イの厚生労働省令で定めるものに関する事項(規則第5条の2関係)
法第4条の2第1項第1号イの厚生労働省令で定めるものとして、(i)医師の診断の結果及び(ii)特定感染症の症状を呈している者にあっては、当該症状が特定感染症以外によるものであることの根拠となる事項とするとともに、その報告の方法として、書面又は電子情報処理組織を使用する方法によることとする。ただし、やむを得ない事情があると認められる場合は、口頭でこれをすることができることとする。
② 令第5条第2号の厚生労働省令で定める事項(規則第5条の3関係)
令第5条第2号の厚生労働省令で定めるものは、(i)当該特定感染症が現に発生している外国の地域における滞在の有無、(ii)当該特定感染症のうち感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令(平成10年政令第420号。以下「感染症法施行令」という。)第5条各号に掲げる感染症にあっては、当該各号に定める動物との接触の有無及び(iii)法第4条の2第1項第2号に規定する特定感染症の患者等との接触の有無並びに(iv)特定感染症の症状を呈している者にあっては、当該者が特定感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に該当するかどうかとする。
③ 法第4条の2第1項第2号の厚生労働省令で定める者に関する事項(規則第5条の4関係)
法第4条の2第1項第2号の厚生労働省令で定める者は、特定感染症を人に感染させるおそれがほとんどないと医師が診断した者とする。
④ 法第4条の2第1項第3号の厚生労働省令で定める事項(規則第5条の5関係)
法第4条の2第1項第3号の厚生労働省令で定める事項は、当該者が令第4条第2号に掲げる者に該当するかどうかとする。
⑤ 法第5条第1項第3号の厚生労働省令で定めるものに関する事項(規則第5条の6関係)法第5条第1項第3号の厚生労働省令で定めるものは、以下のいずれかに該当するものであって、他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのあるものとする。
ア 宿泊料の減額その他のその内容の実現が容易でない事項の要求(宿泊に関して障害者差別解消法第2条第2号の社会的障壁の除去を求める場合を除く。)
イ 粗野又は乱暴な言動その他の従業者の心身に負担を与える言動(営業者が宿泊しようとする者に対して障害者差別解消法第8条第1項の不当な差別的取扱いを行ったことに起因するものその他これに準じる合理的な理由があるものを除く。)を交えた要求であって、当該要求をした者の接遇に通常必要とされる以上の労力を要することとなるもの
⑥ 厚生労働省関係国家戦略特別区域法施行規則(平成26年厚生労働省令第33号)の一部改正関係(改正省令第2条関係)
国家戦略特別区域法施行令第13条の厚生労働省令で定める事項について、所要の改正を行うこととする。
⑦ 宿泊を拒んだときの理由等の記録及び保存の方法(改正省令附則第2項関係)
改正法附則第3条第2項の方法は、法第5条第1項第1号又は第3号に掲げる場合ごとに、宿泊を拒んだ理由等に関する記録を書面、当該営業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものに係る記録媒体をいう。)をもって調製するファイルにより作成し、その作成の日から三年間保存するものとする。
第4 運用上の留意事項
(1) 特定感染症に係る医療提供体制及び関係者間の連携について
改正法の附帯決議においては、「宿泊しようとする特定感染症の症状を呈している者が診察等に容易に応じることができるよう、地域における旅館業の施設と医療機関との連携を確保すること」とされている。
また同附帯決議においては、「旅館業の営業者が適切に対処するために必要な指針の策定に当たっては、宿泊しようとする者が特定感染症の患者等に該当した場合であっても医療機関等が逼迫しており入院調整等に時間を要するときは宿泊拒否ではなく感染防止対策への協力を求め個室等で待機させることが望ましいこと(中略)を明確にすること」とされている。
一方、その前提として、新たに特定感染症が発生した際に地域の医療提供体制や検査体制が逼迫することがないよう、これまで通知しているとおり、都道府県等(都道府県、保健所を設置する市及び特別区をいう。以下同じ。)のうち、感染症法所管部局及び地域医療担当部局においては、引き続き、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第96号)の施行に向けた準備に尽力されたい。
また、都道府県等のうち旅館業法所管部局においては、特定感染症国内発生期間に宿泊者から特定感染症の患者等が発生した場合等であっても、地域の旅館業の営業者や医療機関、宿泊療養施設等が適切に対応することができるよう、地域における営業者その他の関係者に対し、
・ 特定感染症国内発生期間に、営業者が相談できる都道府県等の窓口
・ 特定感染症国内発生期間に、宿泊しようとする者が特定感染症の患者等に該当した場合に連絡できる保健所の連絡先
等を、平時から周知・確認しておくべきであるほか、特定感染症国内発生期間であって、全ての特定感染症の患者等を医療機関や宿泊療養施設等で即座に対応することが難しい例外的な状況下にある場合には、そうした状況下にあることについて、管下の旅館業の施設に対して情報共有すべきであり、関係者間の連携を図られたい。
(2) 条例に関する留意事項
改正法による改正後においても、都道府県等が、法第5条第1項第4号に基づき、地域の実情に応じた宿泊拒否の事由を定めることができることに変わりはないが、改正法との関係性において留意すべき事項は以下のとおりである。
① 法第5条第1項第1号との関係
条例において法に定める特定感染症以外の感染症の患者に該当する場合も宿泊拒否を行うことができることとすることは、
・ 入院等の措置が適用されない感染症であっても宿泊拒否できることとするものであり、感染症法や特措法といった他の法令と比較して過度な行動制限となりうるほか、
・ 感染状況等の一定の基準に基づく合理的な運用が全国的になされないことが懸念され、
・ 更に、改正法における法第5条第1項第1号の改正趣旨が感染症に係る差別防止等の観点から改正前の同号の規定範囲を限定・明確化するものであることから、
法第5条第1項第1号の趣旨に沿わないと考えられる。
② 法第5条第1項第3号との関係
条例においていわゆる迷惑客等に関する宿泊を拒むことができる事由が定められている場合は、法第5条第1項第3号の事由に加えて、条例で定める事由も宿泊を拒むことができる事由となり、条例を改正する必要性は必ずしもないと考えられるが、法第5条第1項第3号と規定内容として重複がないように調整することが望ましい。
③ 感染防止対策への協力の求めに正当な理由なく応じない場合との関係
条例において感染防止対策への協力の求めに正当な理由なく応じない場合を宿泊拒否事由として規定することについては、法第5条第1項において、宿泊を拒むことができる事由を限定的に規定している中で、不当な宿泊拒否が生じるおそれ等の懸念を踏まえて、衆議院の修正により、宿泊拒否事由から、感染防止対策への協力の求めを受けた者が正当な理由なく応じない場合が削除された経緯を踏まえると、法第5条の趣旨に沿わないと考えられる。
④ 法第5条第2項との関係
改正法により新設された法第5条第2項の規定を踏まえ、既に条例で宿泊拒否事由を規定している都道府県等においては、当該宿泊拒否事由に関し、営業者が適切に対処するために必要な事項を整理して公表することや、必要に応じて条例の改正の要否を検討することが望ましい。
(3) 差別防止の徹底等について
法第3条の5第2項において、営業者の従業者に対する研修の機会を付与する努力義務が設けられた。都道府県等においては、
・ 営業の許可や変更等、営業者と接点を持つ際に、厚生労働省で研修ツールを用意している旨周知し、活用するよう促すこと
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188046_00006.html
・ 従業者のみならず、営業者も研修内容を理解することが重要であること
についても、管下の旅館業の施設の営業者に対し、指導いただきたい。
また、都道府県等においては、管下の旅館業の施設の営業者に対し、法第3条の5第2項の研修内容の理解を促す講習会等を行うことが望ましい。
(4) 相談窓口の明確化について
都道府県等においては、利用者側が営業者から不適切な感染防止対策への協力の求めや宿泊拒否がなされた場合や、営業者側が協力の求めや宿泊拒否に関して悩んだ場合の相談に対応する窓口を明確にした上で、利用者や営業者に対して当該相談窓口の役割と連絡先について、周知・広報を行われたい。
また、宿泊しようとする者から不適切な感染防止対策への協力の求めや宿泊拒否がなされたとの申出があった場合は、必要に応じて、法第7条の規定に基づき、報告の徴収等を行うとともに、営業者側から協力要請や宿泊拒否に関して相談があった場合は、適切に助言することが求められる。
さらに、当該相談窓口において障害者差別解消法にも関わる相談を受けた場合は、都道府県等における同法の担当部署と適切に連携することが求められる。一方で、障害者差別解消法に関わる相談については、障害者差別解消法の担当部署のみに相談が来る場合も想定されることから、旅館業法担当部局は、障害者差別解消法の担当部署宛てに、障害者の宿泊拒否に関する相談が来た場合には、情報を共有し連携して対応するよう依頼する等、障害者差別解消法の担当部署との間で連携体制を構築されたい。
加えて、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(令和4年法律第50号)を踏まえ、電話やFAXだけでなく電話リレーサービスやメール等でも問い合わせを行うことができるように整備されたい。併せて、SNSでも問い合わせを行うことができるようにすることが望ましい。
都道府県等が相談窓口を周知する際は、以下の組織が設ける消費者向けの相談窓口等を併せて周知することも検討されたい。なお、以下の組織に対しては、本件について、相談されることがあり得ることや都道府県等に紹介することについて、了承を得ていることを申し添える。
・営業者向け相談窓口:
団体名 |
連絡先 |
対応日時等 |
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連) |
http://www.yadonet.ne.jp/info/eigyousya_soudan.html |
|
日本司法支援センター(法テラス) |
TEL:0570―078374(おなやみなし) メールでのお問合せも受け付けています。 https://www.houterasu.or.jp/index.html |
平日 9:00~21:00 土曜日 9:00~17:00 (日曜日・祝日は除く。) |
人権相談は、こちら
連絡先 |
対応日時等 |
|
法務局 |
TEL:0570―003―110(みんなの人権110番) その他の人権相談の方法はこちら https://www.moj.go.jp/JINKEN/index_soudan.html(法務省HP(人権相談)) |
平日 8:30~17:15 |
・利用者向け:
契約トラブルについては、こちら
団体名 |
連絡先 |
対応日時等 |
消費生活センター 等 |
TEL:188 消費者ホットライン188:消費生活センターや消費生活相談窓口が案内されます。 |
各相談窓口による |
日本司法支援センター(法テラス) |
TEL:0570―078374(おなやみなし) メールでのお問合せも受け付けています。 https://www.houterasu.or.jp/index.html |
平日 9:00~21:00 土曜日 9:00~17:00 (日曜日・祝日は除く。) |
公益社団法人全国消費生活相談員協会(週末電話相談室) |
TEL:03―5614―0189(東京) |
土曜日・日曜日 10:00~12:00 13:00~16:00 (年末年始を除く。) |
TEL:06―6203―7650(大阪) |
日曜日 10:00~12:00 13:00~16:00 (年末年始を除く。) |
|
TEL:011―612―7518(北海道) |
土曜日 13:00~16:00 (年末年始を除く。) |
|
公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(ウィークエンド・テレホン) |
TEL:03―6450―6631(東京) |
日曜日 11:00~16:00 (年末年始を除く。) |
TEL:06―4790―8110(大阪) |
土曜日 10:00~12:00 13:00~16:00 (年末年始を除く。) |
人権相談は、こちら
連絡先 |
対応日時等 |
|
法務局 |
TEL:0570―003―110(みんなの人権110番) その他の人権相談の方法はこちら https://www.moj.go.jp/JINKEN/index_soudan.html(法務省HP(人権相談)) |
平日 8:30~17:15 |
・訪日外国人観光客向け:
契約トラブルについては、こちら
団体名 |
連絡先 |
対応日時等 |
訪日観光客消費者ホットライン |
TEL:03―5449―0906 ※対応言語: 英語、中国語、韓国語、タイ語、ベトナム語、フランス語、日本語 |
平日 10:00~16:00 (土日祝・12/29~1/3は除く。) |
(5) 法施行状況に関する報告の徴収等について
都道府県等は、営業者が不適切な感染防止対策への協力の求めや宿泊拒否を行っていることを把握した場合は、営業者に対して、法第7条の規定に基づき、報告の徴収等を行い、状況の把握に努めること。報告の徴収等を行った結果、必要な場合は、法第8条の規定による営業の許可の取消しや営業の停止を行うことも含めて検討されたい。
また、都道府県等は、営業者による研修の実施の有無・内容等についても少なくとも3年に1度は確認されたい。
(6) 施行状況等の把握
法の施行状況等について把握するため、今後、その施行状況、効果、事例等についてフォローアップを行う予定であることに留意されたい。
以上
[別添1]
[別添2]
[別添3]
[別添4]
旅館業の施設において特定感染症の感染防止に必要な協力の求めを行う場合の留意事項並びに宿泊拒否制限及び差別防止に関する指針
目次
1.はじめに
2.特定感染症の感染防止に必要な協力の求め等
(1) 特定感染症の定義と趣旨(法第2条第6項関係)
(2) 感染防止対策への協力の求め(法第4条の2関係)
①協力の求めの対象者
②協力の求めの内容
③協力の求めができる期間(特定感染症国内発生期間)
④協力の求めに応じない正当な理由等
3.宿泊拒否制限
(1) 特定感染症の患者等であるとき(法第5条第1項第1号関係)
(2) 実施に伴う負担が過重であって他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求として厚生労働省令で定めるものを繰り返したとき(法第5条第1項第3号関係)
①規定趣旨等
②特定要求行為の具体例
③特定要求行為に該当しないものの例
(3) 宿泊拒否に関するその他の留意事項
①みだりな宿泊拒否の禁止等(法第5条第2項関係)
②宿泊拒否の理由等の記録(改正法附則第3条第2項関係)
③法第5条に関する基本的事項等
4.差別防止の更なる徹底等
(1) 従業者への研修機会の付与に関する努力義務(法第3条の5第2項関係)
(2) 従業者に研修機会を付与するに当たっての留意点
①旅館業の施設における特定感染症のまん延の防止に必要な対策
②宿泊者の特性に応じた適切な宿泊に関するサービスの提供
(3) その他
①障害者差別解消法との関係での留意点
②施設面等の環境整備等
5.その他
(1) 報告徴収等(法第7条第1項等関係)
(2) 法以外の事項
(3) 相談窓口等
※ 特定感染症は感染症ごとに症状や症例定義、対策等が異なるため、特定感染症の国内発生時(又はその可能性が相当程度高まった時点)に、発生した特定感染症やそのフェーズに応じて、具体的な基準等を速やかに示すこととし、本指針においては、特定感染症に共通する内容を記載している。ただし、この内容についても、発生した特定感染症の状況に応じて変更があり得ることに留意されたい。
1.はじめに
○ 旅館業法(昭和23年法律第138号。以下「法」という。)は、その第1条に規定しているとおり、旅館業(旅館・ホテル営業、簡易宿所営業及び下宿営業をいう。以下同じ。)の業務の適正な運営を確保すること等により、旅館業の健全な発達を図るとともに、旅館業の分野における利用者の需要の高度化及び多様化に対応したサービスの提供を促進し、もって公衆衛生及び国民生活の向上に寄与することを目的としている。
○ 旅館業の営業者(以下「営業者」という。)と宿泊者は、民対民の関係であり、本来、営業者には営業の自由があり、契約自由の原則が適用されるが、法においては、公衆衛生と、旅行者等の利便性といった国民生活の向上等の観点から、一定の規制を設けている。
具体的には、法第5条では、営業者は、伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるとき等の宿泊拒否事由に該当する場合を除き、宿泊しようとする者の宿泊を拒んではならないとしてきた。
○ こうした中、新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和2年1月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る。以下同じ。)の流行期に、宿泊者に対して感染防止対策への実効的な協力の求めを行うことができず、旅館業の施設の適切な運営に支障が生じることがあったほか、いわゆる迷惑客について、営業者が無制限に対応を強いられた場合には、感染防止対策をはじめ、旅館業の施設において本来提供すべきサービスが提供できず、法律上求められる業務の遂行に支障を来すおそれがあった等の意見が寄せられた。
※ 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会が令和4年8月に調査した結果によれば、
・ 宿泊者が感染拡大防止の協力の求めに応じずに対応に苦慮した事例や改正前の法の下で感染症に関連して宿泊を拒否するか対応に苦慮した事例があったと回答した施設が23.4%であった。
・ いわゆる迷惑客等、過重な負担であって対応困難なものを繰り返し求められて対応に苦慮した事例があったと回答した施設が46.4%であった。
このように、旅館業の施設における感染防止対策に係る課題が顕在化し、また、旅館業等の事業環境は厳しさを増した。こうした情勢の変化に対応して、旅館業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図ることが必要とされた。
このため、旅館業の施設において適時に有効な感染防止対策等を講ずることができるようにするとともに、旅館業等の営業者が必要に応じ円滑かつ簡便に事業譲渡を行えるようにすることを目的として、生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律(令和5年法律第52号。以下「改正法」という。)が、政府案を一部修正の上、令和5年6月7日に成立し、同月14日に公布されたところである。
○ 改正法の施行に当たっては、旅館業の施設において、改正法による改正後の法が適切に運用されることが極めて重要である。特に、過去のハンセン病元患者の宿泊拒否事案等を踏まえれば、改正法の施行後も、旅館業の施設において特定感染症の患者等や障害者に対する不当な差別的取扱いが行われないよう、営業者、国、都道府県等(都道府県、保健所を設置する市及び特別区をいう。以下同じ。)は十分に注意しなければならない。法の規定が遵守されることはもとより、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)制定までの歴史的経緯や社会的背景及び感染症法第4条、障害者基本法(昭和45年法律第84号)、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「障害者差別解消法」という。)等を踏まえ、患者等や障害者等に対する差別防止が徹底されることが必要である。
※ 感染症法
前文
(略)
一方、我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である。
(国民の責務)
第四条 国民は、感染症に関する正しい知識を持ち、その予防に必要な注意を払うよう努めるとともに、感染症の患者等の人権が損なわれることがないようにしなければならない。
※ 障害者基本法
(差別の禁止)
第四条 何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。
2 社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。
※ 障害者差別解消法
(事業者における障害を理由とする差別の禁止)
第八条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。
(注) 令和6年4月1日からは、「合理的な配慮をしなければならない。」となる。
○ また、法第4条の2及び第5条の規定は、宿泊しようとする者の人権に重大な関係を有するものであるから、営業者においては、宿泊しようとする者の自己決定権、プライバシー権、宿泊の自由、平等原則等の基本的人権を最大限尊重し、旅館業が国民生活において果たしている重要な役割に鑑みてこれらの規定を必要な最小限度においてのみ適用すべきであって、これを拡張して解釈するようなことがあってはならない。
○ このような前提の下、宿泊者や従業者の安全確保も含めて、適切な施設運営が行えるようにする観点から、法第3条の5第2項、第4条の2、第5条等に関して、令和5年7月から、「改正旅館業法の円滑な施行に向けた検討会」において、旅館業法施行令(昭和32年政令第152号。以下「令」という。)及び旅館業法施行規則(昭和23年厚生省令第28号。以下「則」という。)とともに、法第5条の2に規定する指針の策定に向けて、患者等団体、障害者団体及び高齢者等関係団体から意見をお伺いし、検討を重ねてきたところであり、今般、これらの議論を踏まえ、営業者が適切に対処するための指針(以下「本指針」という。)を策定するものである。
○ なお、旅館業の施設における感染症のまん延防止対策については、特定感染症(法第2条第6項に規定する「特定感染症」をいう。以下同じ。)は、感染症ごとに症状や症例定義、対策等が異なるため、特定感染症の国内発生時(又はその可能性が相当程度高まった時点)に、発生した特定感染症やそのフェーズに応じて、具体的な基準等を速やかに示すこととし、本指針においては、特定感染症に共通する内容を記載している。ただし、この内容についても、発生した特定感染症の状況に応じて変更があり得ることに留意されたい。
○ また、法においては、「宿泊しようとする者」は、
ア) これから1泊目の宿泊をしようとする者
イ) 既に1泊以上宿泊していて2泊目以降の宿泊をしようとする者
のいずれも含むものである。
○ 本指針において「障害者」とは、障害者差別解消法第2条第1号に規定する障害者、すなわち、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害及び高次脳機能障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病等に起因する障害を含む。)(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。これは、障害者基本法第2条第1号に規定する障害者の定義と同様であり、いわゆる「社会モデル」の考え方(障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとする考え方)を踏まえている。したがって、法が対象とする障害者の該当性は、当該者の状況等に応じて個別に判断されることとなり、いわゆる障害者手帳の所持者に限られない。
2.特定感染症の感染防止に必要な協力の求め等
(1) 特定感染症の定義と趣旨(法第2条第6項関係)
法第二条 (略) 2~5 (略) 6 この法律で「特定感染症」とは、次に掲げる感染症をいう。 一 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号。以下「感染症法」という。)第六条第二項に規定する一類感染症(第四条の二第一項第二号及び第二項第一号において単に「一類感染症」という。) 二 感染症法第六条第三項に規定する二類感染症(第四条の二第一項第二号及び第二項第一号において単に「二類感染症」という。) 三 感染症法第六条第七項に規定する新型インフルエンザ等感染症(第四条の二第一項第二号及び第二項第二号において単に「新型インフルエンザ等感染症」という。) 四 感染症法第六条第八項に規定する指定感染症であつて、感染症法第四十四条の九第一項の規定に基づく政令によつて感染症法第十九条若しくは第二十条又は第四十四条の三第二項の規定を準用するもの(第四条の二第一項第二号及び第二項第三号において単に「指定感染症」という。) 五 感染症法第六条第九項に規定する新感染症(第四条の二第一項第二号及び第二項第二号において単に「新感染症」という。) |
○ 営業者が感染防止対策の協力の求めや宿泊を拒むことができる事由の対象となる感染症については、特定感染症として定義を明確化し、感染症法における一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症、新感染症及び指定感染症(入院等の規定を準用するものに限る。)としている。
○ これらの感染症を法において特定感染症と位置づけている趣旨は、感染症法において特定感染症に当たるものの患者等は、感染力及び罹患した場合の重篤性等に鑑みて、入院、宿泊療養等の対象となり、原則、都道府県等の確保する医療機関や宿泊療養施設等において必要な治療を受け、又は療養すべきとされるものであり、
・ 旅館業の施設内で感染者が発生した場合に、不特定多数の者が長時間同一の空間を共有して宿泊する際に他の宿泊客や従業者に感染がまん延し、感染した場合の症状が重篤となるおそれがあること
・ 感染拡大防止のために必要な業務が、通常提供する宿泊に関するサービスの範囲を大きく超え、営業者や従業者に過大な負荷がかかると想定されること
を踏まえたものである。
○ これにより、改正法による改正前の法(以下「旧法」という。)第5条において、宿泊を拒むことができる事由のうち「伝染性の疾病にかかつていると明らかに認められるとき」の対象に含まれるかどうかが条文のみでは不明確だったハンセン病元患者、HIV/エイズ等の感染者や患者等が改正法による改正後の法においては法第5条第1項第1号の対象に含まれないことが明確化された。
(2) 感染防止対策への協力の求め(法第4条の2関係)
法第四条の二 営業者は、宿泊しようとする者に対し、旅館業の施設における特定感染症のまん延の防止に必要な限度において、特定感染症国内発生期間に限り、次の各号に掲げる者の区分に応じ、当該各号に定める協力を求めることができる。 一 特定感染症の症状を呈している者その他の政令で定める者 次に掲げる協力 イ 当該者が次条第一項第一号に該当するかどうかが明らかでない場合において、医師の診断の結果その他の当該者が同号に該当するかどうかを確認するために必要な事項として厚生労働省令で定めるものを厚生労働省令で定めるところにより営業者に報告すること。 ロ 当該旅館業の施設においてみだりに客室その他の当該営業者の指定する場所から出ないことその他の旅館業の施設における当該特定感染症の感染の防止に必要な協力として政令で定めるもの 二 特定感染症の患者等(特定感染症(新感染症を除く。)の患者、感染症法第八条(感染症法第四十四条の九第一項の規定に基づく政令によつて準用する場合を含む。)の規定により一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症又は指定感染症の患者とみなされる者及び新感染症の所見がある者をいい、宿泊することにより旅館業の施設において特定感染症をまん延させるおそれがほとんどないものとして厚生労働省令で定める者を除く。次条第一項第一号において同じ。) 前号ロに掲げる協力 三 前二号に掲げる者以外の者 当該者の体温その他の健康状態その他厚生労働省令で定める事項の確認の求めに応じることその他の旅館業の施設における当該特定感染症の感染の防止に必要な協力として政令で定めるもの 2 前項の特定感染症国内発生期間は、次の各号に掲げる特定感染症の区分に応じ、当該各号に定める期間(特定感染症のうち国内に常在すると認められる感染症として政令で定めるものにあつては、政令で定める期間)とする。 一 一類感染症及び二類感染症 感染症法第十六条第一項の規定により当該感染症が国内で発生した旨の公表が行われたときから、同項の規定により国内での発生がなくなつた旨の公表が行われるまでの間 二 新型インフルエンザ等感染症及び新感染症 感染症法第四十四条の二第一項又は第四十四条の十第一項の規定により当該感染症が国内で発生した旨の公表が行われたときから、感染症法第四十四条の二第三項の規定による公表又は感染症法第五十三条第一項の政令の廃止が行われるまでの間 三 指定感染症 感染症法第四十四条の七第一項の規定により当該感染症が国内で発生した旨の公表が行われ、かつ、当該感染症について感染症法第四十四条の九第一項の規定に基づく政令によつて感染症法第十九条若しくは第二十条又は第四十四条の三第二項の規定が準用されたときから、感染症法第四十四条の七第三項の規定による公表が行われ、又は当該感染症について感染症法第四十四条の九第一項の規定に基づく政令によつて感染症法第十九条及び第二十条並びに第四十四条の三第二項の規定が準用されなくなるときまでの間 3 厚生労働大臣は、第一項第一号ロ及び第三号の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者並びに旅館業の業務に関し専門的な知識及び経験を有する者の意見を聴かなければならない。 4 宿泊しようとする者は、営業者から第一項の規定による協力の求めがあつたときは、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならない。 (法第四条の二第一項第一号の政令で定める者) 令第四条 法第四条の二第一項第一号の政令で定める者は、次に掲げる者とする。 一 特定感染症の症状を呈している者 二 特定感染症にかかつていると疑うに足りる正当な理由のある者(前号に掲げる者を除く。) (法第四条の二第一項第一号ロの協力) 令第五条 法第四条の二第一項第一号ロの政令で定める協力は、次のとおりとする。 一 旅館業の施設においてみだりに客室その他の営業者の指定する場所から出ないこと。 二 体温その他の健康状態その他厚生労働省令で定める事項の確認の求めに応じること。 三 前二号に掲げるもののほか、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号。以下「感染症法」という。)第十六条第一項その他の感染症法の規定に基づいて厚生労働大臣が特定感染症の予防若しくはそのまん延の防止に必要なものとして公表した内容又は特定感染症に係る新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)第十八条第一項に規定する基本的対処方針において同法第二条第一号に規定する新型インフルエンザ等のまん延の防止に関する措置として定められた内容(次条第二号において「特定感染症に係る公表又は基本的対処方針の内容」という。)に即して、法第四条の二第一項第一号ロの協力として法第五条の二第一項に規定する指針で定めるもの (法第四条の二第一項第三号の協力) 令第六条 法第四条の二第一項第三号の政令で定める協力は、次のとおりとする。 一 体温その他の健康状態その他法第四条の二第一項第三号の厚生労働省令で定める事項の確認の求めに応じること。 二 前号に掲げるもののほか、特定感染症に係る公表又は基本的対処方針の内容に即して、法第四条の二第一項第三号の協力として法第五条の二第一項に規定する指針で定めるもの (法第四条の二第二項の政令で定める感染症及びその特定感染症国内発生期間) 令第七条 法第四条の二第二項の政令で定める感染症は、結核とし、その特定感染症国内発生期間は、第一号に掲げる日から第二号に掲げる日までの間とする。 一 厚生労働大臣が、感染症法第十六条第一項の規定により公表した結核の発生の状況、動向及び原因に関する情報並びに結核の予防に必要な情報を踏まえ、営業者が宿泊しようとする者に対して法第四条の二第一項の規定に基づく協力を求めなければ旅館業の施設における結核のまん延のおそれがあると認め、その旨を告示した日 二 厚生労働大臣が、前号に規定するおそれがなくなつたと認め、その旨を告示した日 則第五条の二 法第四条の二第一項第一号イの厚生労働省令で定めるものは、次の各号のいずれかに掲げるものとする。 一 医師の診断の結果 二 特定感染症の症状を呈している者にあつては、当該症状が特定感染症以外によるものであることの根拠となる事項 2 法第四条の二第一項第一号イの報告は、書面又は電子情報処理組織を使用する方法により行うものとする。ただし、やむを得ない事情があると認められる場合は、口頭でこれをすることができる。 則第五条の三 令第五条第二号の厚生労働省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 当該特定感染症が現に発生している外国の地域における滞在の有無 二 当該特定感染症のうち感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令(平成十年政令第四百二十号)第五条各号に掲げる感染症にあつては、当該各号に定める動物との接触の有無 三 法第四条の二第一項第二号に規定する特定感染症の患者等との接触の有無 四 特定感染症の症状を呈している者にあつては、当該者が特定感染症にかかつていると疑うに足りる正当な理由のある者に該当するかどうか 則第五条の四 法第四条の二第一項第二号の厚生労働省令で定める者は、同号に規定する特定感染症を人に感染させるおそれがほとんどないと医師が診断した者とする。 則第五条の五 法第四条の二第一項第三号の厚生労働省令で定める事項は、当該者が令第四条第二号に掲げる者に該当するかどうかとする。 |
○ 旧法においては、営業者が感染防止対策の協力を求める法律上の根拠がなかった。
○ このため、旅館業の現場から、新型コロナウイルス感染症の流行期には宿泊者に対して実効性を伴った協力の求めを行うことができず、宿泊者の安全確保も含めて旅館業の業務の適正な運営を確保することが困難であったとの声があった。
○ 改正後の法では、旅館業の施設における特定感染症のまん延を防止し、宿泊者や従業者の健康・安全を確保するため、当該施設において適時に有効な感染防止対策を講じられるよう、営業者は、宿泊者に対し、基本的人権を最大限尊重しつつ、特定感染症のまん延防止に必要な限度において、協力を求めることができることとしている。なお、新型コロナウイルス感染症は、令和5年5月8日をもって五類感染症に移行し、旅館業法における特定感染症には該当しないものとなった。
○ 以下①~④に記載する内容は、あくまで、特定感染症国内発生期間において、営業者が法第4条の2の規定に基づいて協力の求めを行う場合の留意点等を示したものである。この点を踏まえた上で、以下①~④の内容に共通して、
・ 特定感染症国内発生期間中であっても、営業者は、法第4条の2の規定に基づいて協力の求めを行うことも行わないこともできること
・ 営業者は、法第4条の2の規定に基づく協力の求めについては、宿泊しようとする者の置かれている状況等を十分に踏まえた上で、協力の必要性及び内容を判断する必要があること
・ 営業者は、医師の診断の結果の報告や客室等待機をはじめ、協力の求めについて、事実上の強制にわたるような求めや威圧的な求めをすべきではないこと
・ 協力の求めの趣旨等について理解を得られるように丁寧に説明をした上で、協力の求めに応じることについて同意を得ることが考えられること
について、十分な留意が必要である。
①協力の求めの対象者
○ 特定感染症国内発生期間においては、営業者は、必要な限度において、全ての宿泊しようとする者に感染防止対策への協力の求めを行うことができる。ただし、特定感染症の症状の有無等で次のとおり対象者を区分し、その区分ごとに営業者が求めることができる感染防止対策への協力の求めの内容が定められている(法第4条の2第1項、令第4条)。協力の求めの内容は②に後述する。
(A) 特定感染症の症状を呈している者(以下「(A)有症状者」という。)
(B) 特定感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者(以下「(B)特定接触者」という。)
(C) 特定感染症の患者等(以下「2.特定感染症の感染防止に必要な協力の求め等」において「(C)患者等」という。)
(D) その他の者
○ (B)特定接触者については、対象となる特定感染症の性質に照らし、都道府県等(主に保健所が想定される。)が「特定感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者」と判断した者(感染症法第15条や第44条の3第1項等の規定に基づく措置が必要であると判断した者をいう。)であり、(C)患者等の同行者又は同室者であること等をもって営業者が判断できるものではない。
※ 新型コロナウイルス感染症の流行期において「濃厚接触者」と称していたものは、(B)特定接触者に当たる。
○ (C)患者等とは、次のいずれかに該当する者をいい、医師が他人にその感染症を感染させるおそれがほとんどないと診断したもの(退院基準を満たした結核患者が現時点で想定される。)を除く(法第4条の2第1項第2号、則第5条の4)。
・ 特定感染症(新感染症を除く。)の患者
※ 特定感染症の患者は、医師の確定診断のあった者をいい、医師の診断の結果を申告すれば、診断書の提示までなくとも、特定感染症の患者とする。
・ 感染症法第8条(感染症法第44条の9第1項の規定に基づく政令によって準用する場合を含む。)の規定により一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症又は指定感染症(入院等の規定を準用するものに限る。)の患者とみなされる者
※ 感染症の患者とみなして、感染症法に基づく入院等の対象とされており、原則として、医療機関等において必要な治療を受けるべき者であり、具体的には、感染症法上の疑似症患者(感染症法第6条第10項)や無症状病原体保有者である。
感染症法においては、同法第12条の規定に基づいて医師が診断の上、都道府県知事等に患者の届出を行うことになっており、ある者を感染症法上の措置が必要な感染症の患者等かどうかを判断することができる者は医師となっていることから、法における(C)患者等に該当するかどうかについても、こうした感染症法における考え方に従って、原則として、医師の診断に基づいて判断されることとなる。
なお、こうした疑似症患者や無症状病原体保有者に当たるかどうかについては、感染症ごとに異なるものであり、科学的知見や専門家の意見等に基づいて判断されることとなる。
・ 新感染症の所見がある者
※ 感染症法における考え方に従って、原則として、医師の診断に基づいて判断されることとなる。
○ なお、営業者は、宿泊しようとする者が(A)有症状者、(B)特定接触者又は(C)患者等に該当すると明らかに認められる場合を除き、当該者を(D)その他の者に該当するものとして取り扱うものとし、特定感染症の症状を呈している者であっても、(C)患者等に該当すると明らかに認められる場合を除き、(A)有症状者に該当するものとして取り扱うこととする。
○ 特定感染症は感染症ごとに症状や症例定義、対策等が異なるため、特定感染症の国内発生時(又はその可能性が相当程度高まった時点)に、発生した特定感染症やフェーズに応じて、(A)有症状者、(B)特定接触者、(C)患者等について、具体的な基準等を速やかに示す。なお、当該基準等は諸般の状況を踏まえて変更し得る。
②協力の求めの内容
②―1 概要
○ 改正後の法第4条の2第1項の規定により、営業者は、特定感染症国内発生期間中に、施設における特定感染症のまん延の防止に必要な限度において、
・ (A)有症状者又は(B)特定接触者(以下「有症状者等」という。)に対して、以下i~ivの感染防止対策への協力の求めを行うことができる
・ (C)患者等に対して、以下ii~ivの感染防止対策への協力の求めを行うことができる
・ (D)その他の者に対して、以下iii及びivの感染防止対策への協力の求めを行うことができる
こととしている。i~ivの詳細は(②―2)に後述する。
○ 法第4条の2第1項の規定に基づいて次のi及びiiの協力を求めたときは、当該協力の求めを行った日時や対象者の氏名、求めた内容等を記録しておくことが考えられる。
i 報告(法第4条の2第1項第1号イ、則第5条の2)
宿泊しようとする者が(C)患者等であるかどうかが明らかでない場合において、当該者が(C)患者等であるかどうかを確認するため、次のいずれかを、原則として書面又は電子情報処理組織を使用する方法(タブレット型端末等にて報告に関する様式を示し、必要事項を記入させることをいう。以下「2.特定感染症の感染防止に必要な協力の求め等」において同じ。)によって報告すること。
一) 医師の診断の結果
二) 特定感染症の症状を呈している者にあっては、当該症状が特定感染症以外によるものであることの根拠となる事項
ii 客室等待機(法第4条の2第1項第1号ロ、同項第2号、令第5条第1号)
当該旅館業の施設においてみだりに客室その他の当該営業者の指定する場所から出ないこと。
iii 健康状態等の確認(法第4条の2第1項第1号ロ、同項第2号、同項第3号、令第5条第2号、令第6条第1号、則第5条の3、則第5条の5)
(A)有症状者、(B)特定接触者、又は(C)患者等の場合は、体温その他の健康状態、直近で滞在した国・地域(外国に限る。)、特定感染症の患者や媒介動物との接触歴、(A)有症状者にあっては(B)特定接触者に該当するかどうかに関する営業者からの確認の求めに応じること。(D)その他の者の場合は、体温その他の健康状態、(B)特定接触者に該当するかどうかに関する営業者からの確認の求めに応じること。
iv その他の感染防止対策(法第4条の2第1項第1号ロ、同項第2号、同項第3号、令第5条第3号、令第6条第2号)
宿泊しようとする者自らによる当該特定感染症の感染の防止に必要な措置であって、特定感染症国内発生期間において以下のいずれかに即するものとして本指針で定めるもの。
・ 厚生労働大臣が感染症法の規定に基づいて特定感染症の予防又はそのまん延の防止に必要なものとして公表している内容
・ 新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号。以下「特措法」という。)に基づく基本的対処方針において定められた内容(新型インフルエンザ等感染症、新感染症及び指定感染症の場合)
②―2 協力の求めの具体的な内容
②―2i 報告(法第4条の2第1項第1号イ、則第5条の2)
○ 営業者は、(A)有症状者又は(B)特定接触者が、(C)患者等であるかどうかが明らかでない場合において、当該者が(C)患者等であるかどうかを確認するため、当該者から、次の事項について書面又は電子情報処理組織を使用する方法による報告を求めることができる。
一) 医師の診断の結果
二) 特定感染症の症状を呈している者にあっては、当該症状が特定感染症以外によるものであることの根拠となる事項
障害を有している、又は幼少であること等により、宿泊者本人が記載できない場合は、同行者が代わりに記入しても差し支えない。その場合、代筆した者の氏名と続柄も記入させることが考えられる。
○ 旅館業の施設において集団感染が発生した際には、感染源及び感染経路の特定において発熱等の症状を呈していた時期及びその原因等の情報が正確であることが迅速かつ的確な感染拡大防止策につながるため、報告は、口頭ではなく、情報として明確に残る書面又は電子情報処理組織を使用する方法で報告を受けるものとする(則第5条の2第2項)。
なお、
・ 1回の宿泊について、診断書の受領等に係る負担をかけてまで、営業者が医師の診断及び疾患に関する詳細な情報を把握する必要性はないため、診断書の提出までは求められない。
・ 当該書面又は電子情報処理組織を使用する方法の保存期間は特に定めていない。営業者において、後に虚偽の記載であることが判明したときの証拠として用いることができるものとして、当該感染症の潜伏期間や感染力の持続期間に応じ適宜保存する。
・ 宿泊しようとする者が医療機関を受診した結果、特定感染症の患者であると診断され、入院することとなった場合、営業者はその報告を書面又は電子情報処理組織を使用する方法によって得ることが困難であることが想定される。また、当該者が何らかの障害を有する場合や子どもの場合にもその報告を書面又は電子情報処理組織を使用する方法によって得ることが困難であることが想定される。このような場合は「やむを得ない事情があると認められる場合」として、当該者や家族等から口頭で報告を受けることもできる。その際、営業者は、口頭で報告を受けた内容について書面を作成し又は電子情報処理組織を使用する方法によって保存しておくことも考えられる。
○ 報告内容が虚偽であると疑われ、営業者がその真偽を確かめることに対して、宿泊しようとする者が拒絶した場合において、後に報告内容が虚偽であることが確認された場合、宿泊しようとする者は報告の求めに応じていないこととなるため、法第4条の2第4項に反することとなる。営業者は、あらかじめこの旨を宿泊しようとする者にも周知することが望ましい。
○ なお、
・ 特定接触者にまで報告の求めを行うことが法第4条の2の「必要な限度」内と言えるかどうかは、特定感染症の国内発生時(又はその可能性が相当程度高まった時点)に、発生した特定感染症やフェーズに応じて、本指針の改定等を通じて示す。
・ 口頭で報告を求める場合は、他の宿泊客に個人情報が漏れ伝わらないよう、会話する場所等について配慮する必要がある。
②―2i一) 「医師の診断の結果」(則第5条の2第1項第1号)
○ i一)「医師の診断の結果」の報告により、(C)患者等であることが確認されなかった場合は、何かしらの症状を呈していたとしても、それは特定感染症の症状ではないため、上記(D)その他の者として対応することになる。
ただし、(C)患者等であることが確認されなかった後の感染等の可能性も考えられることから、(C)患者等であることが確認されなかった後の状況に応じて、継続した症状とは別の症状が生じた場合、必要な限度において、iii健康状態等の確認を行い、その結果に基づき、上記(A)有症状者として対応することもあり得る。
○ i一)「医師の診断の結果」の報告により、(C)患者等であることが確認された場合は、入院、宿泊療養等の対象として、原則、都道府県等の確保する医療機関や宿泊療養施設等において必要な治療・療養を受けるものであり、(C)患者等への対応は、医療機関や都道府県等の指示に従うことになる。
○ 新たに受診を要するような医師の診断の結果の報告を求めることについては、宿泊しようとする者に諸々の負担がかかることを踏まえ、宿泊しようとする者の基本的人権を最大限尊重しつつ、必要な限度に留めるべきことに特に留意されたい。
また、受診については、基本的に宿泊しようとする者が自ら行うものであるが、営業者は、宿泊しようとする者に対し、法第4条の2第1項第1号イに掲げる協力(医師の診断の結果の報告に係る部分に限る。)を求めるに当たっては、当該者に対し、適切な医療機関を知らせる等の支援を行うことが望ましい。
また、営業者は、宿泊しようとする者に対し法第4条の2第1項第1号イに掲げる協力(医師の診断の結果の報告に係る部分に限る。)を求める場合に備えて都道府県等、医療機関その他の関係者との連携を確保することが望ましい。
○ また、診断結果が判明するまでに要する時間は、感染症ごとに症状や地域の感染状況、検査方法等によって異なることになるが、待機が必要となり、宿泊しようとする者の行き場がなくなるおそれがある場合であって、満室等でない限りは、営業者は、宿泊しようとする者に対して感染防止対策への協力の求めを行い、客室等で待機させることが求められる。
○ なお、法第4条の2第1項第1号イは、宿泊しようとする者が特定感染症の症状を呈しているものの(C)患者等に該当するかどうか明らかでない場合に、営業者の独自の判断ではなく、医師の診断の結果などの客観的な事実に基づいてその者の状態に応じた適当な措置を講じられるよう当該営業者が必要な報告を求められるようにする趣旨の規定であり、当該営業者に対して、宿泊しようとする者を医療機関に受診させる権利を直接的に規定したものではなく、営業者が宿泊しようとする者に対して医師の診断を受けることを強制できるものではない。
来館前にあらかじめ症状を呈する要因が特定感染症によるものかどうかを医師に相談し、その診断の結果などが報告された場合は、その時点で宿泊しようとする者に対して改めて医療機関を受診するよう求めることとはせず、状況に応じて適切に医師の診断の結果の報告を求めることとすることに留意する必要がある。
○ 宿泊しようとする者が受診しようとした時間帯が医療機関の診療時間外等で受診をできない場合は、法第4条の2第4項の「正当な理由」がある場合に該当するが、営業者は、宿泊しようとする者に対して感染防止対策への協力の求めを行い、客室等での待機を求めることができる。
○ 宿泊しようとする者が(C)患者等であることを営業者が既に把握している場合は、法第4条の2第1項第1号イの宿泊しようとする者が(C)患者等に該当するかどうかが明らかでない場合には当たらない。
②―2i二) 「特定感染症の症状を呈している者にあっては、当該症状が特定感染症以外によるものであることの根拠となる事項」(則第5条の2第1項第2号)
○ 特定感染症は感染症ごとに症状が異なるため、特定感染症の国内発生時(又はその可能性が相当程度高まった時点)に、発生した特定感染症やフェーズに応じて、「当該症状が特定感染症以外によるもの」として考えられる要因について、具体的な基準等を速やかに示す。なお、当該基準等は諸般の状況を踏まえて変更し得る。
○ i二)「当該症状が特定感染症以外によるものであることの根拠となる事項」の報告については、まずは宿泊しようとする者の自己申告によって把握することになるが、報告内容が虚偽と疑われる場合は、営業者から宿泊しようとする者に対し、確認のための手段としての資料の提示等を求めることもできる。
また、②―2iのとおり、宿泊しようとする者が単に資料の提示等を拒絶しただけでは、宿泊を拒むことができる事由とはならないが、報告内容が後に虚偽の記載であることが確認された場合、宿泊者は報告の求めに応じていないこととなる。
○ i二)「当該症状が特定感染症以外によるものであることの根拠となる事項」の報告により、特定感染症以外によるものであることの根拠となる事項を確認した場合は、医師の診断結果の報告は求めないことになるが、引き続き、上記(A)有症状者として、営業者は、上記ii~ivの感染防止対策への協力の求めを行うことができる。
ただし、報告の求めを受けた者が、当該症状が特定感染症以外により生じたものであることについて、医師の診断結果又はそれに準ずる客観的事実を示した場合には、法第4条の2第1項において「旅館業の施設における特定感染症のまん延の防止に必要な限度において」と規定されている趣旨を踏まえて、協力を求める内容を必要な限度に留める必要がある。
○ また、営業者は、特定感染症の症状を呈している者にあっては、当該症状が特定感染症以外によるものであることの根拠となる事項について報告を求めることができるが、報告を求めることができる範囲は、「特定感染症以外の疾病」や「予防接種の副反応」等の大まかな区分に限られ、具体的には発生した特定感染症やフェーズに応じて様式例を示すので、参照されたい。発熱を例にとっても、当然のことながら、感染症等の疾病以外にも発熱することがあるが、宿泊しようとする者が、症状は特定感染症以外によるがプライバシーの観点から上述のような区分のいずれに当てはまるかも伝えたくない旨報告することもあり得、それは後述②―2iiiの確認の求めの場合にも同様の状況があり得る。この場合、宿泊しようとする者が明らかにしたくない情報を提供することや確認の求めに応じることを強制することは当然できず、宿泊しようとする者の置かれている状況等を配慮し、以下の取扱いとすること。
・ (A)(B)有症状者等が、症状が特定感染症以外により生じたものであると自己申告する場合は、仮に当該者が(C)患者等であった場合を想定し、他の宿泊者や従業者に感染させないように宿泊することへの協力を求めた上で、それ以上の報告や確認は求めずに宿泊を認めること。
・ (D)その他の者についても、仮に当該者が(C)患者等であった場合を想定し、他の宿泊者や従業者に感染させないように宿泊することへの協力を求めた上で、それ以上の確認は求めずに宿泊を認めること。
②―2ii 客室等待機(法第4条の2第1項第1号ロ、同項第2号、令第5条第1号)
○ 営業者は、(A)有症状者、(B)特定接触者や(C)患者等に対して、当該旅館業の施設においてみだりに客室その他の当該営業者の指定する場所から出ないことを求めることができる。
○ この場合、営業者は、客室等での待機を求めた宿泊者に対して、待機している客室等での食事とする、他の宿泊者と場所・時間をずらした食事とする等の対応を行うことが望ましい。
また、営業者は、客室等での待機を求めた宿泊者に必要が生じた場合(例えば、トイレが客室内になく、トイレを使用する場合等)には、客室等から出ることを認める必要がある。その必要性については、当該者の置かれている状況等を十分に踏まえた上で適切に判断されることが必要である。
○ 客室等での待機は宿泊者の行動の自由に対する制限であることを踏まえ、営業者においては、その求めについて、宿泊しようとする者の基本的人権を最大限尊重しつつ、旅館業の施設における特定感染症のまん延の防止に必要な限度に留めるべきことに特に留意されたい。
○ なお、客室等での待機を求めた宿泊者が障害者である場合は、障害者差別解消法の規定も踏まえ、
・ 聴覚障害者には遠隔でチャット等のコミュニケーションが可能となるように工夫すること
・ 車椅子利用者が当初は一般客室で宿泊していたとしても、待機が長期にわたることとなった場合にはバリアフリールームへの変更を検討すること
・ 障害者が待機対象となり、介護者が待機対象ではなかったとしても、介護者が当該障害者と同じ客室に待機することを妨げないこと
等、その障害の特性に応じた配慮を行うことが求められる。
また、子どもが待機対象となり、保護者が待機対象ではなかったとしても、保護者が子どもと同じ客室に待機することを妨げないこと等の配慮を行うことが求められる。
②―2iii 健康状態等の確認(法第4条の2第1項第1号ロ、同項第2号、同項第3号、令第5条第2号、令第6条第1号、則第5条の3、則第5条の5)
○ 営業者は、以下を要請することができる。
・(A)有症状者、(B)特定接触者、又は(C)患者等に対しては、体温その他の健康状態、直近で特定感染症が発生している外国の地域への滞在歴、媒介動物や(C)患者等との接触歴、(A)有症状者にあっては(B)特定接触者に該当するかどうかに関する営業者からの確認の求めに応じること。
・(D)その他の者に対しては、体温その他の健康状態、(B)特定接触者に該当するかどうかに関する営業者からの確認の求めに応じること。
○ 特定感染症は感染症ごとに症状や症例定義が異なるため、特定感染症の国内発生時(又はその可能性が相当程度高まった時点)に、発生した特定感染症やフェーズに応じて、健康状態等の確認内容について、具体的な基準等を速やかに示す。なお、当該基準等は諸般の状況を踏まえて変更し得る。
○ 健康状態の確認については、非接触型体温計やサーモグラフィー等により体温を測定するとともに、健康に関するセルフチェックシート等でチェックイン時等に宿泊しようとする者に記入を求めることが考えられ、確認内容は、感染症の種類による。
○ 特定感染症の病原体ごとの潜伏期間等を踏まえた期間内において、宿泊しようとする者に当該特定感染症の発生地域(国外)の滞在歴があるか否かを確認することが想定される。
なお、
・ 全国的に特定感染症の発生が確認されている場合に特定地域における滞在歴があるか否かを確認することは、法第4条の2第1項の「必要な限度」を超えている。本項目を確認することが「必要な限度」を超えるか否かは、発生した特定感染症の状況等に応じて、本指針の改定等をもって示す。
・ 特定感染症が発生している国に滞在していたことのみをもって宿泊を拒否することはできないことに留意する必要がある。
○ 発生した特定感染症が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令(平成10年政令第420号)第5条各号に掲げる感染症である場合には、同号に定める動物との接触の有無を確認することが想定される。
○ 「特定感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に該当するかどうか」については、本人が都道府県等から特定感染症に「かかっていると疑うに足りる正当な理由のある者」と判断されたかどうかを申告してもらうことが想定される。
○ 営業者が確認の求めをしたことに対し、宿泊しようとする者が明らかにしたくない情報がある場合の取扱いは、②―2i二)を参照されたい。
○ 口頭で健康状態等の確認を行う場合は、他の宿泊客に個人情報が漏れ伝わらないよう、会話する場所等について配慮する必要がある。
②―2iv その他の感染防止対策(法第4条の2第1項第1号ロ、同項第2号、同項第3号、令第5条第3号、令第6条第2号)
○ 営業者は、(A)有症状者、(B)特定接触者、(C)患者等、(D)その他の者に対して、宿泊しようとする者自らによる当該特定感染症の感染の防止に必要な措置であって、特定感染症国内発生期間において以下のいずれかに即するものとして本指針で定めるものを要請することができる。
・ 厚生労働大臣が感染症法の規定に基づいて感染症の予防及びそのまん延の防止に必要なものとして公表している内容
・ 特措法に基づく基本的対処方針において定められた内容(新型インフルエンザ等感染症、新感染症及び指定感染症の場合)
○ 本指針で定める内容については、感染症ごとに症状や症例定義、対策等が異なるため、特定感染症の国内発生時(又はその可能性が相当程度高まった時点)に、発生した特定感染症やフェーズに応じて、感染症法や特措法による措置の状況を踏まえ、本指針の改定等により速やかに示し、周知する予定である点、留意されたい。なお、当該内容は諸般の状況を踏まえて変更し得る。
○ その他の感染防止対策については、場面に応じた咳エチケット、手指消毒・手洗い、食事・入浴の場面で大声を控えること等が考えられるが、旅館業の施設内だけ過剰な協力の求めを行うことにならないよう、政府によって国民へ推奨されている感染防止対策と整合性を保つこととしている。
③協力の求めができる期間(特定感染症国内発生期間)
○ 国内における感染症の発生及びまん延の防止等の感染症対策を定める感染症法や特措法に基づく対策状況に合わせて対策を講じることにより、旅館業の施設において感染症のまん延防止対策が適切に講じられるよう、営業者が感染防止対策への協力の求めができる期間は、次のとおりの特定感染症国内発生期間としており(法第4条の2第2項)、これらの期間について、特定感染症が国内で発生した際に、厚生労働省から営業者や国民に対し、ホームページや通知等によって速やかに周知を行っていく。
始期 |
終期 |
|
一類感染症・二類感染症(※1) |
感染症法により、厚生労働大臣・都道府県知事が国内で発生した旨を公表したとき。 |
感染症法により、厚生労働大臣・都道府県知事が国内での発生がなくなった旨を公表したとき。 |
新型インフルエンザ等感染症(※2) |
感染症法により、厚生労働大臣が国内で発生した旨を公表したとき。 |
感染症法により、厚生労働大臣が、その感染症が国民の大部分の免疫獲得等により新型インフルエンザ等感染症と認められなくなった旨を公表したとき。 |
指定感染症(感染症法の入院、宿泊療養又は自宅療養に係る規定が準用されるものに限る。)(※2) |
感染症法により、 ① 厚生労働大臣が病状の程度が重篤であり、かつ、全国的かつ急速なまん延のおそれがあるものと認めて、国内で発生した旨を公表し、 かつ、 ② 政令によって、その感染症について感染症法の入院、宿泊療養又は自宅療養に係る規定が準用されたとき。(※3) |
感染症法により、 ① 厚生労働大臣が、その感染症について国民の大部分の免疫獲得等により全国的かつ急速なまん延のおそれがなくなった旨を公表したとき。 又は、 ② 政令によって、その感染症について感染症法の入院、宿泊療養及び自宅療養に係る規定がいずれも準用されなくなったとき。 |
新感染症(※2) |
感染症法により、厚生労働大臣が国内で発生した旨を公表したとき。 |
感染症法により、その感染症について感染症法の一類感染症に係る規定を適用する政令が廃止されたとき。 |
※1 結核は国内に常在すると認められる感染症である。そのため、その特定感染症国内発生期間は、厚生労働大臣が、感染症法第16条第1項の規定により公表した結核の発生の状況、動向及び原因に関する情報並びに結核の予防に必要な情報を踏まえ、営業者が宿泊しようとする者に対して法第4条の2第1項の規定に基づく協力を求めなければ旅館業の施設における結核のまん延のおそれがあると認め、その旨を告示した日から、当該おそれがなくなったと認め、その旨を告示した日までの間とされている(法第4条の2第2項柱書き、令第7条)。
本指針公表日時点では、結核については特定感染症国内発生期間ではない。結核の特定感染症国内発生期間ではない期間については、法第4条の2第1項柱書きにおいて「特定感染症国内発生期間に限り」と規定していることを踏まえ、結核の患者だったとしても、他の(C)患者等でない限り、法第4条の2第1項に基づいて協力の求めを行うことはできない。
仮に結核に関して特定感染症国内発生期間になったとしても、結核の患者のうち医師が他人にその感染症を感染させるおそれがほとんどないと診断した者は、宿泊することにより旅館業の施設において特定感染症をまん延させるおそれがほとんどないため、結核に関して(C)患者等から除かれることとなる。(法第4条の2第1項第2号、則第5条の4)
※2 一類感染症・二類感染症を除き、特定感染症国内発生期間の始期の要件となる公表をした場合は、特措法に基づき、厚生労働大臣は総理大臣に報告し、これを基に政府対策本部が設置され、終期の要件となる公表をした場合は、特措法に基づき、政府対策本部が廃止される。
※3 例えば、新型コロナウイルス感染症の特定感染症国内発生期間の始期については、当時の感染症法の規定は今と異なっており、一概にはいえないが、国内で発生した旨の公表は令和2年1月16日、指定感染症に指定され入院等の規定が準用されたのは令和2年2月1日であり、同日時点で「病状の程度が重篤であり、かつ、全国的かつ急速なまん延のおそれがあるもの」と認められていた場合は、令和2年2月1日が始期に当たったと考えられる。また、令和5年5月7日が終期に当たったと考えられる。
④協力の求めに応じない正当な理由等
○ 法第4条の2第4項において、宿泊しようとする者は、営業者から感染防止対策への協力の求めがあったときは、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならないこととしている。
○ これは、営業者は、宿泊拒否制限がかかっている中であっても、法第4条第1項において、旅館業の施設について宿泊者の衛生に必要な措置を講じなければならない義務を課されており、当該義務を果たすためには相応の法令上の根拠をもって宿泊客に対して感染防止対策への協力の求めをできるようにする必要があるため、規定しているものである。
○ 法第5条の宿泊拒否事由に該当する場合を除き、法第4条の2第1項の協力の求めに正当な理由なく応じないことのみをもって、営業者が宿泊を拒むことは認められないほか、宿泊しようとする者に罰則が科されるものでもない。
○ 他方で、改正法により、
・ 営業者による宿泊者への感染防止対策の協力の求めは、法に基づくものとなるとともに、
・ 宿泊者は、正当な理由がない限り、感染防止対策への協力の求めに応じなければならないという規定が設けられたところであり、
営業者におかれては、宿泊しようとする者に対し、こうした点のほか、旅館業の施設において適時に有効な感染防止対策等を講ずるためには宿泊しようとする者の協力が必要であることを宿泊しようとする者に理解を得られるよう説明した上で、協力を求めることが考えられる。また、対応に苦慮する場合は、都道府県等(主に保健所が想定される。)に相談することが考えられる。
○ 特定感染症は、感染症ごとに症状や症例定義、対策等が異なるため、特定感染症の国内発生時(又はその可能性が相当程度高まった時点)に、発生した特定感染症やフェーズに応じて、協力の求めに応じない「正当な理由」の内容を速やかに本指針の改定等により示すが、「正当な理由」の内容としては、基本的には個人により左右できない理由により感染対策への協力が困難である場合が想定され、例えば以下のような内容が考えられる。
i 医師によって(C)患者等と診断されたかの報告を求められたが、
① 医療機関が診療時間外であることや遠方であること等により医師の診察が受けられないこと。
② 既往歴等の関係で特定の医療機関以外の受診を避ける必要があるとの申出があること。
③ 呈している症状等により、医師の診察を受けに行くことが困難であること。
④ 「症状が特定感染症以外によるものであることの根拠となる事項」の報告により、営業者に対し、特定感染症以外によるものであることの根拠となる事項を確認させたこと。
ii マスク着用を求められたが、年齢の低い子どもである、障害・疾患がある等によりマスク着用が困難であること。
iii 手指消毒を求められたが、消毒用アルコールへのアレルギーがあり、又は足踏み式の消毒のために車椅子使用者では対応できない等の事情により、手指消毒が困難であること。
iv 認知症により認知機能が低下し、協力の求めに応じることが困難であること。
v 協力の求めに応じるに当たり必要となる情報や器具等に関して、営業者からサポートがないこと(体温の確認にあたり営業者から検温器の貸し出しがない、アクセス可能な医療機関を知らせない(車椅子利用者に対してバリアフリーの医療機関を知らせないことを含む。)等)。
○ i②や③、ii~ivに関し、既往歴があることや障害があること等については、申告で足りることとし、他の宿泊者等が聞こえない場所で申告を受けるよう配慮するとともに、iiはその障害の詳細を聴取するのではなく、障害があることのみをもって申告内容として足りるものとする。
○ なお、上記のiに該当する場合は、営業者は、(A)有症状者に対して、みだりに客室その他の当該営業者の指定する場所から出ないことを求めることができることになる。客室等で待機させる場合には、②―2iiに記載した点に留意すること。
○ また、上記のiiに該当する場合に関して、営業者は、宿泊しようとする者に対して来館前に施設に相談するよう周知し、相談があった場合には、協力の求めを行っている感染対策以外の感染対策の選択肢を提示することが考えられる。ただし、フェイスシールド等についても、障害や疾患によっては着用が困難な場合があるが、そうした場合には一定の距離を離れることを依頼すること等が考えられる。
○ 上記のiiiに該当する場合は、営業者は、手指消毒に代わる選択肢として、手洗いを求めることができる。
○ 営業者は、全ての利用者に対して、以下URLに記載の内容を周知する等して、「感染症対策がしづらい人がいること」への理解を促していくことが重要である。
(マスク等の着用が困難な状態にある方への理解について)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14297.html
○ 法第4条の2第4項に規定する「正当な理由」については、上記i~vで網羅されるものではなく、宿泊しようとする者の置かれている状況等を十分に踏まえた上で、協力の必要性の有無及び協力の内容について適正性・公平性が図られるよう、柔軟に幅広く解釈・運用することに留意されたい。
○ 当然のことながら、協力の求めの内容が法令に規定されていないものや必要な限度を超えたものである場合には、法第4条の2第4項の「第一項の規定による協力の求め」ではないため、正当な理由の有無にかかわらず、同項の規定の対象外である。
3.宿泊拒否制限
(1) 特定感染症の患者等であるとき(法第5条第1項第1号関係)
