○ジルコプランナトリウム製剤の使用にあたっての留意事項について
(令和5年9月25日)
(医薬薬審発0925第3号)
(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬局医薬品審査管理課長通知)
(公印省略)
ジルコプランナトリウム製剤(販売名:ジルビスク皮下注16.6mgシリンジ、同皮下注23.0mgシリンジ、同皮下注32.4mgシリンジ)については、本日、「全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)」を効能又は効果として製造販売承認したところですが、本剤については、髄膜炎菌感染症の発症のリスクが高まることが懸念されること等から、その使用にあたっては、特に下記の点につきご留意いただくよう貴管下の医療機関へのご周知方よろしくお願いします。
なお、本通知の写しについて、別記の団体等に事務連絡するので、念のため申し添えます。
記
1.本剤については、本承認に際し、以下の承認条件を付しましたので、その実施にご協力をお願いします。
【承認条件】
1.医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
2.国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤の使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
3.本剤の投与が、全身型重症筋無力症の診断、治療に精通し、本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関のもとで、髄膜炎菌感染症の診断、治療に精通した医師との連携を取った上でのみ行われるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。
2.本剤の警告及び効能又は効果に関連する注意の記載は以下のとおりであり、髄膜炎菌感染症の発症のリスクには特段の留意をお願いします。その他の使用上の注意についても別添の添付文書を参照いただき、本剤を適正に使用していただくようお願いします。
1.警告
1.1 本剤の投与により髄膜炎菌感染症を発症することがあり、死亡に至るおそれもあるため、以下の点に十分注意すること。
1.1.1 本剤の投与に際しては、髄膜炎菌感染症の初期徴候(発熱、頭痛、項部硬直等)に注意して観察を十分に行い、髄膜炎菌感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと。
1.1.2 原則本剤投与前に髄膜炎菌に対するワクチンを接種すること。必要に応じてワクチンの追加接種を考慮すること。
1.1.3 髄膜炎菌感染症は致命的な経過をたどることがあるので、緊急時に十分に措置できる医療施設及び医師のもとで、あるいは髄膜炎菌感染症の診断及び治療が可能な医療施設との連携下で投与すること。
1.1.4 髄膜炎菌感染症のリスクについて患者に説明し、当該感染症の初期徴候を確実に理解させ、髄膜炎菌感染症に関連する症状が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること。
1.2 本剤は、全身型重症筋無力症に十分な知識を持つ医師のもとで、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤投与開始に先立ち、本剤は疾病を完治させる薬剤ではないことを含め、本剤の有効性及び危険性を患者又はその家族に十分説明し、同意を得てから投与すること。
5.効能又は効果に関連する注意
5.1 本剤は、抗アセチルコリン受容体抗体陽性の患者に投与すること。
5.2 本剤は、補体C5の開裂及びC5bとC6の結合を阻害し、終末補体複合体C5b―9の生成を抑制すると考えられるため、髄膜炎菌をはじめとする莢膜形成細菌による感染症を発症しやすくなる可能性があることから、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤投与の是非を慎重に検討し、適切な対象患者に使用すること。また、本剤投与に際しては、原則本剤投与開始の少なくとも2週間前までに髄膜炎菌に対するワクチンを接種すること。
別記
一般社団法人日本神経学会
一般社団法人日本神経治療学会
一般社団法人日本神経免疫学会
ユーシービージャパン株式会社
独立行政法人医薬品医療機器総合機構
各地方厚生局
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