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○人工腎臓装置承認基準に関する質疑応答集(Q&A)について

(令和5年8月31日)

(事務連絡)

(各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課通知)

人工腎臓装置承認基準については、「人工腎臓装置承認基準の改正について」(平成29年6月2日付け薬生発0602第4号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)により示してきたところです。

今般、人工腎臓装置承認基準について、「人工腎臓装置承認基準の改正について(その2)」(令和5年8月31日付け薬生発第0831号第8号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)により、一部改正を行いましたので、その円滑な運用に資するため、質疑応答集(Q&A)を、別添のとおり取りまとめました。御了知の上、貴管内関係団体、関係事業者等への周知方お願いします。

(別添)

人工腎臓装置承認基準に関する質疑応答集(Q&A)

【亜急性全身毒性、亜慢性全身毒性、慢性全身毒性】

Q1:令和2年1月6日薬生機審発0106第1号「医療機器の製造販売承認申請等に必要な生物学的安全性評価の基本的考え方についての改正について」において、「血液流路間接的・カテゴリC」の考慮すべき評価項目に、亜急性全身毒性等が追加された。しかしながら、人工腎臓装置においては多種類の部品が、患者と間接的に接触するものの、直接的に他の体内と体外を連結する医療機器と比べると、たとえ累積的な接触であったとしても、透析液や透析膜を介すことで接触の可能性がある化学物質の生体に与える影響は少ないと考えられる。このため、亜急性全身毒性の評価については、人工腎臓装置の使用実態や溶出物試験結果の同等性に基づき、生物学的安全性の同等性評価を行うことで、亜急性以降の全身毒性試験を省略することでよいか。

A1:差し支えない。

ただし、他に実施した生物学的安全性試験で毒性が示された場合や、使用された物質に新たに毒性情報が追加された場合については、適切にこれらの試験や情報を評価する必要がある。なお、説明については、科学的根拠を示し、適切に妥当性を説明すること。

【血液適合性】

Q2:血液適合性についての評価は、医療機器と血液との相互作用を評価するものであるが、人工腎臓装置の場合には、直接血液と接触しないため、材料起因の溶血毒性を評価することでよいか。

A2:差し支えない。

なお、説明については、科学的根拠を示し、適切に妥当性を説明すること。

【遺伝毒性】

Q3:人工腎臓装置の遺伝毒性評価においては、SDS等の情報収集、溶出物試験や他の毒性評価等にて問題のないこと、又は供給元への確認などにより評価可能と解してよいか。

A3:差し支えない。

なお、説明については、科学的根拠を示し、適切に妥当性を説明すること。

【がん原性】

Q4:人工腎臓装置のがん原性評価においては、化学物質のアラート構造を有していないことを国内外の化学物質毒性データベース、SDS等により確認することや、原材料の一般名が既存の医療機器で使用前例があること、溶出物試験や他の毒性評価にて問題のないこと、又は供給元への確認などにより評価可能と解してよいか。

A4:差し支えない。

ただし、使用前例については、体内体外連結機器で、かつ長期使用の医療機器であること(既存の人工腎臓装置を含む)。また、説明については、科学的根拠を示し、適切に妥当性を説明すること。

【埋植試験】

Q5:埋植試験については、人工腎臓装置の場合には、間接的に接触する組織は血液であるため、短中期的埋植影響については、血液適合性試験から適切な試験項目を設定し評価を行い、長期的埋植影響については、Q1に示される亜急性全身毒性試験結果や既存データ等を用いて総合的に長期的な評価を行うことで問題ないか。

A5:差し支えない。

なお、説明については、科学的根拠を示し、適切に妥当性を説明すること。

【原材料記載】

Q6:PMDAホームページに掲載されている「人工腎臓装置の製造販売承認申請書における原材料記載について」に従い、承認申請書の原材料又は構成部品欄に原材料の一般名が記載されている場合には、原材料規格を変更する場合において、一般名に変更がなければ、承認書の変更手続きは不要と解してよいか。

また、既存の人工腎臓装置に使用前例のある一般名(性能等に影響を及ぼさない場合に限る)に変更または当該一般名を追加する場合には、軽微変更届を行うことでよいか。

A6:差し支えない。

なお、説明については、科学的根拠を示し、適切に妥当性を説明すること。

【軽微変更届の範囲】

Q7:過去に短・中期的に接触する原材料として評価を行い、承認を取得した人工腎臓装置がある。当該装置の部品を本品または他の人工腎臓装置の部品(性能等に影響を及ぼさない場合に限る)として適用する場合には、平成20年10月23日薬食機発第1023001号「医療機器の一部変更に伴う手続について」の別紙1の3.4)を適用できると解してよいか。

A7:「医療機器の製造販売承認申請等に必要な生物学的安全性評価の基本的考え方についての改正について」(令和2年1月6日付薬生機審発0106第1号)の別紙の4.1)のとおり、上市後の医療機器はJIS T 14971又はISO 14971により管理されるべきであり、生物学的安全性の再評価を必ずしも求めるものではない。また、Q1に示す通り、人工腎臓装置においては多種類の部品が、患者と間接的に接触するものの、直接的に他の体内と体外を連結する医療機器と比べると、たとえ累積的な接触であったとしても、透析液や透析膜を介すことで接触の可能性がある化学物質の生体に与える影響は少ないと考えられる。

このため、原材料の評価においても人工腎臓装置の使用実態や溶出物試験結果等を用いて生物学的安全性の同等性評価を行い、リスク評価を行ったうえで平成20年10月23日薬食機発第1023001号「医療機器の一部変更に伴う手続について」の別紙1の3.4)を適用することは可能である。なお、説明については、科学的根拠を示し、適切に妥当性を説明すること。