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○「労働安全衛生規則第12条の5第3項第2号イの規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質の管理に関する講習等の適用等について」の改正について

(令和5年7月4日)

(基発0704第5号)

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

(公印省略)

労働安全衛生規則第34条の2の10第2項、有機溶剤中毒予防規則第4条の2第1項第1号、鉛中毒予防規則第3条の2第1項第1号及び特定化学物質障害予防規則第2条の3第1項第1号の規定に基づき厚生労働大臣が定める者(令和4年厚生労働省告示第274号)第1号ニ及び粉じん障害防止規則第3条の2第1項第1号の規定に基づき厚生労働大臣が定める者(令和4年厚生労働省告示第275号)第4号で規定する「同等以上の能力を有すると認められる者」(以下「同等以上の者」という。)については、「労働安全衛生規則第12条の5第3項第2号イの規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質の管理に関する講習等の適用等について」(令和4年9月7日付け基発0907第1号。以下「施行通達」という。)により示しているところであるが、今般、同等以上の者として「産業医科大学産業保健学部産業衛生科学科を卒業し、産業医大認定ハイジニスト制度において資格を保持している者」を新たに追加することとし、施行通達を下記のとおり改正するので、了知の上、関係者への周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏なきを期されたい。

なお、改正後の通達は別紙のとおりである。

1 施行通達の一部改正

施行通達第2の2(2)について次の新旧対照表のとおり改正する。


改正前

改正後

第2

2

(2)

ア~オ (略)

ア~オ (略)

(新設)

カ 産業医科大学産業保健学部産業衛生科学科を卒業し、産業医大認定ハイジニスト制度において資格を保持している者

2 改正の趣旨

「産業医科大学産業保健学部産業衛生科学科を卒業し、産業医大認定ハイジニスト制度において資格を保持している者」は、施行通達第2の2(2)アからオまでに定める者と同等の実務経験、教育内容、更新基準を有していると認められるため、同等以上の者として追加したこと。

別紙

○労働安全衛生規則第12条の5第3項第2号イの規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質の管理に関する講習等の適用等について

(令和4年9月7日)

(基発0907第1号)

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

改正 令和5年7月4日基発0704第6号

(公印省略)

労働安全衛生規則第12条の5第3項第2号イの規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質の管理に関する講習(令和4年厚生労働省告示第276号。以下「講習告示」という。)、労働安全衛生規則第34条の2の10第2項、有機溶剤中毒予防規則第4条の2第1項第1号、鉛中毒予防規則第3条の2第1項第1号及び特定化学物質障害予防規則第2条の3第1項第1号の規定に基づき厚生労働大臣が定める者(令和4年厚生労働省告示第274号。以下「専門家告示(安衛則等)」という。)及び粉じん障害防止規則第3条の2第1項第1号の規定に基づき厚生労働大臣が定める者(令和4年厚生労働省告示第275号。以下「専門家告示(粉じん則)」という。)については、令和4年9月7日に告示され、令和5年4月1日から適用(一部令和6年4月1日から適用)することとされたところである。

これらの告示の制定の趣旨、内容等については、下記のとおりであるので、関係者への周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏なきを期されたい。

第1 制定の趣旨及び概要等について

1 制定の趣旨

今般、特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)等の特別則の規制の対象となっていない物質への対策の強化を主眼とし、国によるばく露の上限となる基準等の制定、危険性・有害性に関する情報の伝達の仕組みの整備・拡充等を前提として、事業者が、危険性・有害性の情報に基づくリスクアセスメントの結果に基づき、国の定める基準等の範囲内で、ばく露防止のために講ずべき措置を適切に実施する制度を導入することとし、労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第91号)等を公布したところである。

本告示は、これら事業者による化学物質管理を円滑に実施するために、事業場において化学物質の管理を行う化学物質管理者を養成するための講習の内容を定めるとともに、事業場内において化学物質管理を行い、事業場外において化学物質管理に関する助言や評価を行う専門家である化学物質管理専門家の要件を定めるものである。

2 告示の概要等

(1) 講習告示関係

労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第12条の5第3項第2号イにおいて、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第57条の3第1項の危険性又は有害性等の調査(主として一般消費者の生活の用に供されるものを除く。以下「リスクアセスメント」という。)をしなければならない労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「令」という。)第18条各号に掲げる物及び法第57条の2第1項に規定する通知対象物(以下「リスクアセスメント対象物」という。)を製造している事業場においては、講習告示に基づく講習(以下「化学物質管理者講習」という。)を修了した者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者のうちから化学物質管理者を選任しなければならないと規定しているところ、講習告示は、化学物質管理者講習の科目、内容、時間のほか、科目の免除等について定めたものであること。

(2) 専門家告示(安衛則等)及び専門家告示(粉じん則)関係

有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号)第4条の2第1項、鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第37号)第3条の2第1項、特化則第2条の3第1項第1号及び粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号。以下「粉じん則」という。)第3条の2第1項において、新たに設けた適用除外の要件の1つとして、当該事業場において、化学物質管理専門家が専属で配置されており、化学物質管理専門家がリスクアセスメント(粉じん則にあっては、法第28条の2第1項に規定する危険性又は有害性等の調査)の実施並びに当該リスクセスメント等の結果に基づく措置等の内容及びその実施に関する事項の管理を行うこと等を規定しており、また、安衛則第34条の2の10第1項に規定する労働基準監督署長による改善指示を受けた事業場等は、同条第2項において、化学物質管理専門家から、当該事業場における化学物質の管理の状況についての確認及び当該事業場が実施し得る望ましい改善措置に関する助言を受けなければならないと規定しているところ、専門家告示(安衛則等)及び専門家告示(粉じん則)は、当該化学物質管理専門家について要件を定めたものであること。

(3) 施行日

講習告示は、令和6年4月1日から、専門家告示(安衛則等)及び専門家告示(粉じん則)は、令和5年4月1日から適用することとしたこと。ただし、専門家告示(安衛則等)第2号の規定については、令和6年4月1日から適用することとしたこと。

第2 細部事項

1 講習告示関係

(1) 講義及び実習の内容(第1号イ及び同号ロ関係)

ア 化学物質管理者講習の講義の各科目及び実習については、必ずしも連続して行う必要はなく、一定の間を開けて実施しても差し支えないこと。また、受講者の理解度の評価方法については特に定めていないが、何らかの方法により受講者の理解度を評価することが望ましいこと。

イ 講義及び実習は、事業者自らが行うことのほか、他の事業者の実施する講習を受講させることも差し支えないこと。

ウ 実習については、受講者それぞれが、化学物質の危険性又は有害性等の調査等の一連の流れや保護具の選択及び使用を実習することを想定しているため、それらが可能となる実習体制の確保が必要であること。化学物質の危険性又は有害性等の調査等の実習については、実際に各々の事業場で取り扱っている化学物質に関するものとする等、実務に近い内容とすることが望ましいこと。

保護具の選択及び使用の実習については、必ずしもフィットテストについて機器を用いて実習する必要はないが、「保護具の選択及び使用」の管理に必要な能力を身につけられる実習内容とする必要があること。

エ 講義については、オンラインで実施しても差し支えないが、実習については、化学物質の危険性又は有害性等の調査等のためのツール使用や保護具の使用についての実習を含むため、オンラインでの実施は認められないこと。

(2) 講義科目の受講の免除(第1号ハ関係)

ア 講義科目の受講の免除ができる者については、それぞれの資格を取得する際に必要な技能講習や試験の科目の内容を踏まえて定めており、当該資格に係る実務経験を求めてはいないこと。

イ 「化学物質の危険性及び有害性並びに表示等」の科目については、「有機溶剤作業主任者技能講習」、「鉛作業主任者技能講習」、「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」の全ての技能講習を修了した者のみが、受講の免除を受けることができること。この場合において、平成18年3月31日以前に「特定化学物質等作業主任者技能講習」を修了した者については、「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」を修了した者と同等の者として取り扱って差し支えないこと。

ウ 「第一種衛生管理者の免許を有する者」について、安衛則第10条各号に掲げる衛生管理者の資格を有する者は該当しないため、「化学物質の危険性又は有害性等の調査」の科目については、受講の免除の対象とはならないこと。

(3) 講師(第2号関係)

講習の講師については、講義及び実習の各科目に定める内容について必要な知識や実務経験等を有する者を想定していること。

(4) その他

ア 化学物質管理者講習を修了した者と同等以上の能力を有すると認められる者

安衛則第12条の5第3項第2号イの「化学物質管理者講習を修了した者と同等以上の能力を有すると認められる者」には、以下の①から③までのいずれかに該当する者が含まれること。

① 本告示の適用前に本告示の規定により実施された講習を受講した者

② 法第83条第1項の労働衛生コンサルタント試験(試験の区分が労働衛生工学であるものに限る。)に合格し、法第84条第1項の登録を受けた者

③ 専門家告示(安衛則等)及び専門家告示(粉じん則)で規定する化学物質管理専門家の要件に該当する者

イ 受講記録の保存

選任した化学物質管理者が要件を満たしていることを第三者が確認できるよう、当該化学物質管理者が受講した講習の日時、実施者、科目、内容、時間数等について記録し、保存しておく必要があること。

ウ 安衛則第12条の5第3項第2号ロの規定に基づき、リスクアセスメント対象物の製造事業場以外の事業場においては、化学物質の管理に係る技術的事項を担当するために必要な能力を有する者と認められるものから化学物質管理者を選任することとされているが、化学物質管理者講習の受講者及びこれと同等以上の能力を有すると認められる者のほか、化学物質管理者講習に準ずる講習を受講している者から選任することが望ましいこと。この化学物質管理者講習に準ずる講習は、別表に定める科目、内容、時間を目安とし、講義により、又は講義と実習の組み合わせにより行うこと。

2 専門家告示(安衛則等)及び専門家告示(粉じん則)関係

(1) 化学物質管理専門家の要件(専門家告示(安衛則)第1号イからハ関係、専門家告示(粉じん則)第1号から第3号関係)

ア 化学物質管理専門家に必要な要件について、労働衛生コンサルタント(試験の区分が労働衛生工学であるものに限る。)に係る「5年以上化学物質の管理に係る業務に従事した経験」又は「5年以上粉じんの管理に係る業務に従事した経験」については、当該資格取得の前後を問わないこと。

イ 「化学物質の管理に係る業務」には、化学物質管理専門家、作業環境管理専門家、労働衛生コンサルタント(労働衛生工学に関する業務に限る。)、労働安全コンサルタント(化学安全に関する業務に限る。)、化学物質管理者、化学物質関係作業主任者、作業環境測定士、第一種衛生管理者、衛生工学衛生管理者、保護具着用管理責任者の業務が含まれること。

ウ 「粉じんの管理に係る業務」には、粉じん則で規定する粉じん作業に係る管理に係る業務のほか、粉状の化学物質の管理に係る業務が含まれること。

エ 専門家告示(安衛則等)第1号ハ及び専門家告示(粉じん則)第3号で規定する厚生労働省労働基準局長が定める講習については、別途示すところによること。

(2) 同等以上の能力を有すると認められる者(専門家告示(安衛則等)第1号ニ関係、専門家告示(粉じん則)第4号関係)

専門家告示(安衛則等)第1号ニ及び専門家告示(粉じん則)第4号で規定する「同等以上の能力を有すると認められる者」については、以下のアからオまでのいずれかに該当する者が含まれること。

ア 法第82条第1項の労働安全コンサルタント試験(試験の区分が化学であるものに限る。)に合格し、法第84条第1項の登録を受けた者であって、その後5年以上化学物質に係る法第81条第1項に定める業務(専門家告示(粉じん則)第4号においては、粉じんに係る法第81条第1項に定める業務)に従事した経験を有するもの

イ 一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会が運用している「生涯研修制度」によるCIH(Certified Industrial Hygiene Consultant)労働衛生コンサルタントの称号の使用を許可されているもの

ウ 公益社団法人日本作業環境測定協会の認定オキュペイショナルハイジニスト又は国際オキュペイショナルハイジニスト協会(IOHA)の国別認証を受けている海外のオキュペイショナルハイジニスト若しくはインダストリアルハイジニストの資格を有する者

エ 公益社団法人日本作業環境測定協会の作業環境測定インストラクターに認定されている者

オ 労働災害防止団体法(昭和39年法律第118号)第12条の衛生管理士(法第83条第1項の労働衛生コンサルタント試験(試験の区分が労働衛生工学であるものに限る。)に合格した者に限る。)に選任された者であって、5年以上労働災害防止団体法第11条第1項の業務又は化学物質の管理に係る業務を行った経験を有する者

カ 産業医科大学産業保健学部産業衛生科学科を卒業し、産業医大認定ハイジニスト制度において資格を保持している者

第3 「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令等の施行について」(令和4年5月31日付け基発0531第9号)の改正について

1 「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令等の施行について」(令和4年5月31日付け基発0531第9号。以下「施行通達」という。)第1中改正の趣旨及び概要等の4(1)について、次表のとおり改正する。


改正前

改正後

4

(1)

(前略)ただし、2(2)イ及びエ、(3)ア、ウ①、④、⑤、エ前段(努力義務)、(4)(2(3)ウ①に係るものに限る。)、(5)、(6)、(8)に係る規定及び当該規定に係る経過措置については、令和5年4月1日から、2(1)、2(2)ウ、(3)イ、ウ②、③、エ、(後略)

(前略)ただし、2(2)イ及びエ、(3)ア、ウ①、④、⑤、エ前段(努力義務)、エ後段、(4)(2(3)ウ①に係るものに限る。)、(5)、(6)、(8)に係る規定及び当該規定に係る経過措置については、令和5年4月1日から、2(1)、2(2)ウ、(3)イ、ウ②、③、エ前段(義務)、(後略)

2 施行通達第4中細部事項9(1)ウについて、次表のとおり改正する。


改正前

改正後

9

(1)

ウ②

3年以上労働衛生コンサルタント(試験の区分が労働衛生工学又は化学であるものに合格した者に限る。)としてその業務に従事した経験を有する者

労働衛生コンサルタント(試験の区分が労働衛生工学であるものに合格した者に限る。)又は労働安全コンサルタント(試験の区分が化学であるものに合格した者に限る。)であって、3年以上化学物質又は粉じんの管理に係る業務に従事した経験を有する者

9

(1)

ウ④

衛生管理士(法第83条第1項の労働衛生コンサルタント試験(試験の区分が労働衛生工学であるものに限る。)に合格した者に限る。)に選任された者で、その後3年以上労働災害防止団体法第11条第1項の業務を行った経験を有する者

衛生管理士(法第83条第1項の労働衛生コンサルタント試験(試験の区分が労働衛生工学であるものに限る。)に合格した者に限る。)に選任された者であって、3年以上労働災害防止団体法第11条第1項の業務又は化学物質の管理に係る業務を行った経験を有する者

別表

リスクアセスメント対象物の製造事業場以外の事業場における化学物質管理者講習に準ずる講習

科目

範囲

時間

化学物質の危険性及び有害性並びに表示等

化学物質の危険性及び有害性

化学物質による健康障害の病理及び症状

化学物質の危険性又は有害性等の表示、文書及び通知

1時間30分

化学物質の危険性又は有害性等の調査

化学物質の危険性又は有害性等の調査の時期及び方法並びにその結果の記録

2時間

化学物質の危険性又は有害性等の調査の結果に基づく措置等その他必要な記録等

化学物質のばく露の濃度の基準

化学物質の濃度の測定方法

化学物質の危険性又は有害性等の調査の結果に基づく労働者の危険又は健康障害を防止するための措置等及び当該措置等の記録

がん原性物質等の製造等業務従事者の記録

保護具の種類、性能、使用方法及び管理

労働者に対する化学物質管理に必要な教育の方法

1時間30分

化学物質を原因とする災害発生時の対応

災害発生時の措置

30分

関係法令

労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)、労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)及び労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)中の関係条項

30分

○産業医大認定ハイジニスト制度の制定に係る化学物質管理専門家の要件と同等の能力を有すると認められる者の該当に関する適用について(依頼)

(令和5年6月21日)

(産医大発第230136号)

(厚生労働省労働基準局長あて産業医科大学学長通知)

標記につきましては、別紙資料のとおり、産業医科大学において、産業医大認定ハイジニスト制度(令和5年6月1日施行)を制定いたしましたので、産業医科大学産業保健学部産業衛生科学科を卒業し、当該制度において資格を保持している者が労働安全衛生規則第12条の5第3項第2号イの規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質の管理に関する講習等の適用等について(令和4年9月7日、基発0907第1号)の第2 細部事項「2 専門家告示(安衛則等)及び専門家告示(粉じん則)関係」のうち、化学物質管理専門家と「(2) 同等以上の能力を有する者(専門家告示(安衛則等)第1号ニ関係、専門家告示(粉じん則)第4号関係)」に該当する者となるようご依頼申し上げます。

<別紙資料>

・ 産業医科大学認定ハイジニスト制度について

・ 産業医科大学認定ハイジニスト規程

・ 産業医大認定ハイジニスト更新基準

産業医大認定ハイジニスト制度について

1 制度の趣旨・必要性

産業保健において、労働者の健康を保持することは重要である。一方、現在の産業界においては、化学物質をはじめ多くの有害要因が存在しており、この目的を達成するためには高度な知識と技術が必要とされる。世界的には、主として衛生管理の専門職であるオキュペイショナル(インダストリアル)ハイジニストが活躍しており、我が国においても高度な専門性を持つハイジニストの養成が急務といえる。

現在、産業衛生科学科(現4年生から新カリキュラム)では、約3,000時間の安全衛生等に関連した教育を実施しており、この中には、科学的な基礎学問のほか、統計学的手法、生理学、解剖学、毒性学、有害物質の挙動、生物学的な有害性物質、リスクアセスメントのほか、実務的な教育内容として、疫学手法、ばく露モニタリング方法、リスクアセスメント手法のほか、設備の改善技術、エルゴノミクス、安全衛生関係法令等が含まれていることから、実践的な力を有して、令和5年度(令和6年3月)に卒業することとなる。また、産業衛生科学科(環境マネジメント学科)の多くの卒業生が本社の統括部門や工場において、安全衛生管理者として既に活躍しているが、今後、さらなる高度な専門性を持つハイジニストレベルの人材が求められている。

特に、化学物質管理においては、令和5年4月1日施行の法令改正により、リスクアセスメントを主体とした自律的な管理手法が導入されることとなるが、対象とする化学物質数は約2,900にのぼり、事業主は労働者に対して多種のばく露対策実施により、厚生労働大臣が定める濃度基準値以下に抑えることが必須となり、さらなる化学物質管理の推進、健康障害防止のみならず、さらなる健康づくりと快適な作業場づくりにも寄与できる人材が求められている。本学が策定している20年間の長期ビジョン「産業医大未来構想2040(期間令和3年4月1日~令和23年3月31日)」では、世界的に通用するオキュペイショナルハイジニスト及び安全専門家の教育を構築することを掲げており、社会に望まれるレベルの人材育成のために新たな制度を構築し、また、世界的に高い信頼を得ることで、これらの要望に応えることが可能だと考えられる。

以上のことから、今後の産業衛生科学科の卒業生に対して、一定期間(1年以上)の化学物質管理に関する実務経験の後に、安全衛生管理(化学物質管理)の教育及び研修を継続して受け、高度な専門性を持った者に対して認定するための「産業医大認定ハイジニスト制度」を創設し、世界的に通用し社会や企業において活躍できる人材を養成する。

2 認定条件

産業衛生科学科を卒業後、化学物質管理に関する1年以上の実務を経験し、所定の試験を合格した者

3 制度開始年月日

令和6年4月1日(予定)

4 認定期間

5年 認定の更新を行うためには一定の条件を満たす必要あり(別添③参照)

5 認定(申請時)料金及び更新料金

認定(申請時)及び更新時の料金は、無料とする。

6 申請及び更新方法

認定希望者は、化学物質管理に関する実務経験1年以上経過後の毎年度4月1日から5月31日までの期間に、申請書等関連書類を産業医科大学(学長)あてに提出し、所定の試験を受けた後、産業医大認定ハイジニスト審査委員会が審査を行い、認定する。

<例 申請時>

R6.3 産業衛生科学科1期生卒業

R6.4 企業等に、衛生管理者、作業環境測定士又は衛生工学衛生管理者として就職

R7.4 上記の化学物質管理に関する実務経験1年経過

R7.4~5末 認定申請

R7.6 試験実施、委員会審査、認定付与(認定期間 R7.6~R12.5)

更新希望者は、認定後5年を経過する前に、更新申請書等関連書類を本学あてに提出し、委員会が審査を行い、更新認定する。

<例 更新時>

R12.4 更新申請(5年間の評点(100点以上)実績資料添付)

R12.5 委員会更新審査

R12.6 更新認定(認定期間 R12.6~R17.5)

7 関係規程等(別添)

① 産業医科大学認定ハイジニスト規程

② 産業医大認定ハイジニスト認定審査委員会細則

③ 産業医大認定ハイジニスト更新基準

※ いずれも令和5年6月1日施行、令和6年3月の産業衛生科学科卒業生から適用予定

産業医大認定ハイジニスト制度概要図

産業医科大学認定ハイジニスト規程

令和5年5月19日 産医大規程第19号

(目的)

第1条 この規程は、産業医科大学(以下「大学」という。)の産業保健学部産業衛生科学科の卒業生(以下「卒業生」という。)に対して、大学が実施する産業医大認定ハイジニスト(以下「ハイジニスト」という。)の認定及び認定の更新(以下「認定等」という。)に関し必要な事項を定めることを目的とする。

(組織)

第2条 大学に、認定等に係る評価、判定その他必要な業務を行うため、産業医大認定ハイジニスト審査委員会(以下「委員会」という。)を置く。

2 委員会の組織及び運営について必要な事項は、別に定める。

(認定)

第3条 認定は、次の各号に掲げる事項に基づき実施する。

(1) 申請者は、1年以上の化学物質管理に関する実務経験を有した大学の卒業生であること。

(2) 申請者が認定を希望するときは、大学が定める必要な書類等を添えて学長に申請すること。

(3) 申請者は、大学が定める所定の試験に合格したものであること。

(4) 学長は、認定申請を受けたときは、委員会の議を経て認定の可否を決定すること。

(5) 認定時にやむを得ない理由により認定手続きができなかった者の取扱いは、委員会の議を経て学長が決定すること。

2 前項第2号に規定する認定に係る申請書類の様式及び同項第3号に規定する試験内容は、別に定める。

(認定の更新)

第4条 認定の更新は、次の各号に掲げる事項に基づき実施する。

(1) 認定の有効期間は5年とし、認定の更新を行わない者は、認定証の交付日から5年をもって失効すること。

(2) 申請者が認定の更新を希望するときは、大学が定める必要な書類等を添えて学長に申請すること。

(3) 学長は、認定の更新申請を受けたときは、委員会の議を経て更新の可否を決定すること。

(4) 認定の更新要件は、認定の有効期間内に、大学が別に定める基準による評点を100点以上取得すること。

(5) 評点の審査は、原則として第2号に規定する書類をもって行うこと。

(6) 認定更新時にやむを得ない理由により更新手続きができなかった者の取扱いは、委員会の議を経て学長が決定すること。

2 前項第2号に規定する認定の更新に係る申請書類の様式は、別に定める。

(庶務)

第5条 認定等に関する庶務は、キャリア支援課において行う。

(雑則)

第6条 この規程に定めるもののほか、認定等の実施に関して必要な事項は別に定める。

附 則

この規程は、令和5年6月1日から施行し、施行日以降に産業衛生科学科を卒業した者について適用する。

産業医大認定ハイジニスト審査委員会細則

令和5年5月19日 産医大内達第20号

(目的)

第1条 この細則は、産業医科大学認定ハイジニスト規程(令和5年規程第19号)第2条第2項の規定に基づき、産業医大認定ハイジニスト審査委員会(以下「委員会」という。)の組織及び運営に関し必要な事項を定めることを目的とする。

(審議事項)

第2条 委員会は、次の各号に掲げる事項を審議する。

(1) 産業医大認定ハイジニスト(以下「ハイジニスト」という。)の認定及び認定の更新に関する事項

(2) ハイジニスト制度の運用に関する事項

(3) 前2号のほか、ハイジニストに関する事項

(組織等)

第3条 委員会は、次の各号に掲げる委員をもって組織する。

(1) 副学長のうち学長が指名する者 1名

(2) 産業保健学部長

(3) 産業保健学部産業衛生科学科の教授のうち学長が指名する者 若干名

(4) 産業保健学部から選出された者 若干名

(5) 外部有識者 若干名

(6) その他委員長が必要と認めた者 若干名

2 委員会に委員長を置き、前項第1号の委員をもって充てる。

3 第1項第3号から第6号までの委員の任期は3年とし、再任を妨げない。ただし、委員に欠員が生じた場合の補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(会議)

第4条 委員長は、委員会を招集し、その議長となる。

2 委員長に事故があるときは、委員長があらかじめ指名した委員がその職務を代行する。

3 委員会は、必要に応じ開催する。

4 委員会は、委員の2分の1以上の出席により成立する。

5 委員会の議事は、出席委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

6 委員会が必要と認めたときは、委員以外の者の出席を求め、意見を聴くことができる。

(庶務)

第5条 委員会の庶務は、キャリア支援課において行う。

(雑則)

第6条 この細則に定めるもののほか、委員会に関し必要な事項は、委員会が別に定める。

附 則

1 この細則は、令和5年6月1日から施行する。

2 第3条第1項第3号から第6号までの規定により最初に選出される委員の任期の開始は、この細則の施行の日とし、その任期は第3条第3項の規定にかかわらず令和8年3月31日までとする。

別添3

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