添付一覧
○複数の医療機器の販売業者又は貸与業者が共同で利用する倉庫業者の営業所における他の医療機器の販売業者又は貸与業者の営業所の場所からの区別について
(令和5年6月30日)
(薬生機審発0630第5号)
(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長通知)
(公印省略)
医療機器の販売業及び貸与業(以下「販売業等」という。)の営業所の構造設備については、薬局等構造設備規則(昭和36年厚生省令第2号)第4条第1項第2号にて規定されています。
また、販売業者及び貸与業者(以下「販売業者等」という。)が利用する同一所在地にある倉庫業者の倉庫において、実地に管理を行うことができ、それぞれの医療機器の特性に応じた管理等の業務に支障を来さない場合には、複数の販売業者等と営業所管理者とがそれぞれ個別に使用関係を持ち、当該複数の販売業者等が同一人物を営業所管理者とすることについて相互に承諾したうえであれば、都道府県知事の兼務許可を受けて、当該倉庫業者の倉庫における複数の販売業者等の営業所管理者を同一人物が兼務することを妨げるものではない(「医療機器の販売業、賃貸業及び修理業に関しての質疑応答集」の情報提供について(令和2年12月25日医療機器審査管理課事務連絡))としているところです。
今般、複数の卸売販売業者が共同で設置する発送センターの営業所における他の卸売販売業者の営業所の場所からの区別について(令和4年10月6日薬生総発1006第1号。以下「医薬品倉庫通知」という。)を踏まえ、コンピュータ化システムを用いて医療機器の販売業者等の所有する医療機器を電子的に区別可能である場合にそれぞれの営業所の管理が適切に行われているものとして取り扱うことができるよう別添のとおり整理しましたので、その趣旨を十分に御了知の上、貴管下関係団体、関係機関等への周知をお願いします。
記
1.各販売業者等の営業所の場所の区別
・ 共同利用する倉庫において、以下の全ての項目を満たし、販売業者等が所有する医療機器と他の販売業者等が所有する医療機器を、コンピュータ化システムを用いて電子的に区別することが可能である場合には、その貯蔵場所が物理的に連続していない又は貯蔵場所の区別が一時的な場合であっても、販売業者等の営業所は、他の販売業者等の営業所の場所から明確に区別されていることとして取り扱って差し支えないこと。
(1) 適切な管理
・ 適切にバリデートされたコンピュータ化システムにより、当該販売業者等に係る全ての流通業務において、同一設備内の各販売業者等の所有する医療機器を確実に区別できること。
・ 製造販売業者、製造ロット等が同一の医療機器であっても、各販売業者等の所有する医療機器を確実に区別できる必要があること。
・ コンピュータ化システムのバリデーションにあたっては、正確性、一貫性及び再現性をもって販売業者等の所有する医療機器を確実に区別できることを示すこと。なお、コンピュータ化システムのバリデーションについては、「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(平成16年厚生労働省令169号)第45条第4項から第7項及び「医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインについて」(平成30年12月28日付け厚生労働省医薬・生活衛生局総務課・監視指導・麻薬対策課事務連絡)別添「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」(以下、「GDPガイドライン」という。)を参照すること。
・ 全ての流通業務には返品(貸与品の返却を含む)・回収・廃棄業務のほか、それらに関する衛生管理を含み、返品・回収・廃棄された医療機器であっても各販売業者等の区別ができること。
(2) リスクマネジメント
・ 販売業者等は、他の販売業者等と連携して、コンピュータ化システムによる管理を行うことを踏まえたリスク評価を行い、運用を開始する前にリスク管理の手順(例えば、システム障害発生時の対応)を定めること。
・ 事故、事件等の発生時に販売業者等の間で連絡が取れる体制を構築すること。
(3) 責任の所在の明確化
・ 予期しうる事故、事件等に対して、同一の貯蔵設備を用いる全ての販売業者等が医療機器の管理における責任を負うこと(ただし、特定の販売業者等による責任が明らかであるものを除く。)。また、責任の所在については同一の貯蔵設備を用いる全ての販売業者等の合意を得た上で文書化すること。
・ この際、各販売業者等は、責任の所在が不明となる可能性の高い事故等(例えば、鍵の閉め忘れによる盗難)に対する対応についても整理し、文書で明確化すること。
(4) 許可権者への資料の提示
・ 販売業者等は、他の販売業者等の保管する医療機器と電子的に区別した上で同一の貯蔵設備を共用しようとする場合の営業所の許可(更新を含む。)申請時及び構造設備を変更した際に提出する変更届時(以下「許可申請等時」という。)、調査・監視時に、許可権者の求めに応じて2.に示す資料を提示すること。
(5) その他
・ コンピュータ化システムは、許可権者により一部の販売業者等に対して業務停止命令等が発せられた場合に、他の販売業者等の医療機器の管理も含めて、当該命令等に対応可能な仕様とすること。
・ 特に、温度管理に注意を要するなど品質管理が困難な医療機器の保管について、他の販売業者等と同一の設備を共用する場合には、他の販売業者等の医療機器の品質に影響を与えないよう、共用する全ての販売業者等とあらかじめ協議の上、当該設備の管理手順を定めること。品質に懸念がある事象が発生した場合、他の医療機器への影響範囲を特定し、影響する販売業者等に報告すること。
2.許可権者への提示資料
・ 1.(1)において実施したコンピュータ化システムのバリデーションについて、営業所の方針がわかる簡潔な資料(例えば、「コンピュータ化システム管理規定」の要約、その内容がわかる資料であって、準拠しているガイドラインが分かり、手順書が整備されていることが分かる資料等)及びバリデーション実施結果報告書
・ 1.(2)において策定したリスク管理手順に関する資料
・ 1.(3)において明確化した医療機器の管理における責任の所在に関する資料
3.その他留意事項等
・ 1.(1)~(3)は、医療機器の販売、貸与又は授与の業務(医療機器の貯蔵に関する業務を含む。)に係る適正な管理を確保するために必要な事項であるが、1.(1)~(3)以外の方法で各事項の内容を達成することは妨げないこと。
・ 許可申請等時に提出する営業所の平面図(立体倉庫を使用する場合、立体倉庫の概要が分かる展開図等も含む。)においては、使用している又は使用し得る場所を示すこと。この際、他の販売業者等の使用している又は使用し得る場所と重複することは差し支えないが、当該重複部分についてその旨及びその面積について併せて記載すること。
・ 各営業所の面積は、各販売業者等の間の取決め等を踏まえて定められた重複部分の面積(特段の定めがない場合には、重複部分の面積を、共同で使用する販売業者等の数で割ったものとする。)も含めて、薬局等構造設備規則等に基づいて販売業等の業務を適切に行うことができる必要があること。
・ 当該重複部分を含む貯蔵設備の面積に変更があった場合には、30日以内に構造設備に関する変更届を許可権者に提出すること。
・ 保管時に品質不良が発生した場合、速やかに他の医療機器への影響範囲を特定し、影響する販売業者等に報告すること。