添付一覧
○「「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」の一部改正について」にかかる留意点について〔厚生年金保険法〕
(令和5年6月12日)
(事務連絡)
(日本年金機構事業管理部門あて厚生労働省保険局保険課・厚生労働省年金局事業管理課通知)
健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取り扱いについては平成30年7月30日付け事務連絡「「「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」の一部改正について」にかかる留意点について」でお示ししたところですが、趣旨を明確化するため、同事務連絡のQ&Aを別紙のとおり改正しましたので、事務の実施に当たってご留意いただきたい。
(別紙)
「「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」の一部改正について」に関するQ&A
1 本通知の内容について
Q.1 本通知の発出に伴い、従前の局部長通知及び課長通知の取扱いが変更又は廃止となるのか。 |
A.本通知は、従前の局部長通知及び課長通知に示す取扱いを、より明確化し徹底を図ることを目的として、課長通知の一部を改正するものであり、局部長通知及び課長通知の取扱いを変更又は廃止するものではない。
Q.2 本通知の趣旨如何。 |
A.本通知は、諸手当等が、局部長通知の「通常の報酬」、「賞与に係る報酬」又は「賞与」に該当するのかを明確化するものであり、具体的には、
① 諸手当等の名称の如何に関わらず、諸規定又は賃金台帳等から、同一の性質を有すると認められるもの毎に判別するものであること(Q3参照)
② 賞与に係る諸規定を新設した場合には、年間を通じ4回以上の支給につき客観的に定められているときであっても、次期標準報酬月額の定時決定(7月、8月又は9月の随時改定を含む。)による標準報酬月額が適用されるまでの間は「賞与に係る報酬」に該当せず、「賞与」として取り扱うものであること(Q4参照)
を明確化したものである。
Q.3 本通知による改正後の課長通知1の(2)で、「同一の性質を有すると認められるもの毎に判別する」とあるが、その具体例如何。 |
A.事例1のように、業績に応じて支給される手当として、毎月定額により支給される手当(手当A1)と、半年毎に支給される手当(手当A2)が、給与規程上は「手当A」として規定されているが、賃金台帳上では「手当A1」及び「手当A2」と区分して記載されている場合には、「手当A1」と「手当A2」は客観的に区分できるものとして、「手当A1」を「通常の報酬」、「手当A2」を「賞与」として取り扱う。
<事例1>
給与規程上「手当A」と規定、賃金台帳上で「手当A1」「手当A2」に区分。
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
|
通常の報酬 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
手当A1 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
手当A2 |
100,000 |
100,000 |
||||||||||
手当計 |
10,000 |
10,000 |
110,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
110,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
事例2のように、業績に応じて支給される手当として、給与規程上では、毎月定額により支給される「手当A1」と半年毎に支給される「手当A2」に区分して規定されているが、賃金台帳上では、「手当A」としてまとめて記載されている場合も、事例1と同様に、「手当A1」と「手当A2」は客観的に区分できるものとして、「手当A1」を「通常の報酬」、「手当A2」を「賞与」として取り扱う。
<事例2>
給与規程上「手当A1」と「手当A2」に区分して規定、賃金台帳上は「手当A」としてまとめて記載。
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
|
通常の報酬 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
手当A |
10,000 |
10,000 |
110,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
110,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
事例3のように、業績に応じて手当が支給され、支給額から毎月定額により支給される手当と半年毎に支給される手当が一体で支給されていると考えられる場合であって、給与規程及び賃金台帳のいずれにおいても、事例1及び事例2のように手当が区分されておらず、客観的に区分できない場合には、「手当A」は一か月を超える期間にわたる事由によって算定される賃金等が分割して支給されるものとして、「賞与に係る報酬」として取り扱う。
<事例3>
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
|
通常の報酬 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
手当A |
10,000 |
10,000 |
110,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
110,000 |
10,000 |
10,000 |
10,000 |
Q.4 本通知による改正後の課長通知1の(3)について、新たに賞与の支給が諸規定に定められた場合、次期標準報酬月額の定時決定までの間は、具体的にどのような取扱となるのか。 |
A.賞与に係る諸規定を新設した場合、仮に年間を通じ4回以上の支給が客観的に定められている場合であっても、次期標準報酬月額の定時決定(7月、8月又は9月の随時改定を含む。)による標準報酬月額が適用されるまでの間は、賞与に係る報酬額を算定することが困難であることから、「賞与」として取り扱い、賞与支払届を提出させること。
なお、次期標準報酬月額の定時決定(7月、8月又は9月の随時改定を含む。)による標準報酬月額が適用される際には、諸規定や支給実績を元に「賞与に係る報酬」又は「賞与」を判断し、「賞与に係る報酬額」については、支給実績から、諸規定による諸手当等の支給回数等の支給条件であったとすれば7月1日前1年間に受けたであろう賞与の額を算定し、その額を12で除して得た額となる。
Q.5 本通知は、適用日以降に新設された諸手当等から適用されるということでよいか。また、本通知の適用日時点で、本通知に基づき、「賞与に係る報酬」か「賞与」かの判断を行い、見直す必要があるのか。 |
A.本通知の適用日以降に受け付けた届書から、本通知による取扱いを適用することとしており、適用日前に受け付けた届書の内容を見直すことは要さない。一方、本通知の適用日前に新設された諸手当等であっても、当該諸手当等に係る届書が適用日以後に提出された場合は、本通知が適用されることとなる。
Q.6 本通知の発出から適用までに半年の期間を設けている理由如何。 |
A.本通知により明確化した取扱いの徹底を図るため、事業主への周知、保険者等におけるマニュアル等の改正及び改正後の事務の周知徹底に要する期間を十分に確保するため、半年間の周知及び準備期間を設けた上で実施するものである。
2 その他の内容について
Q.7 「賞与に係る報酬」と「賞与」のいずれに該当するかは、支給回数により判断すればよいのか。諸手当等の支給間隔が3か月未満であっても、年間の支給回数が3回以下であれば、「賞与」に該当するということでよいか。 |
A.局部長通知1の(1)に示すとおり、年間を通じ4回以上支給されるものは「賞与に係る報酬」、3回以下のものは「賞与」に該当する。このため、支給間隔によらず、年間の支給回数が3回以下であれば、「賞与」に該当する。
Q.8 諸規定において、諸手当等の支給回数又は支給時期が記載されているものの、「支給することができる」旨の規定である場合は、どのように取り扱えばよいか。 |
A.局部長通知1の(1)の「客観的に定められているとき」とは、諸手当等の支給の可能性が諸規定に定められているだけでなく、基本的に諸手当等が支給されることが想定される場合をいう。このため、諸規定に「支給することができる」あるいは「勤務成績の上位の者のみに支給する」といった事由が定められるなど、必ずしも支給されることが想定されない場合には、Q.4の場合と同様に、新たに諸手当等の支給が諸規定に定められた際には「賞与」と扱い、次期標準報酬月額の定時決定の際には支給実績を元に、「賞与に係る報酬」又は「賞与」を判断すること。