添付一覧
○「食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法について」の一部改正について
(令和3年2月17日)
(生食発0217第1号)
(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官通知)
(公印省略)
今般、農薬、飼料添加物及び動物用医薬品に関する試験法に係る知見の集積等を踏まえ、「食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法について」(平成17年1月24日付け食安発第0124001号)を下記のとおり改正することとしました。
関係者への周知をお願いするとともに、その運用に遺漏なきようお取り計らい願います。
記
目次を別紙1のとおり改め、「フルベンダゾール試験法(畜水産物)」を廃止し、以下に掲げる4つの試験法を「第3章 個別試験法」に別紙2のとおり追加すること。
・アシュラム試験法(畜産物)
・エトフメセート試験法(農産物)
・クレソキシムメチル試験法(畜水産物)
・フルベンダゾール試験法(畜産物)
[別紙1]
(参考)食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)に規定する試験法
・2,4,5―T試験法
・アルドリン、エンドリン及びディルドリン試験法
・α―トレンボロン及びβ―トレンボロン試験法
・イプロニダゾール、ジメトリダゾール、メトロニダゾール及びロニダゾール試験法
・オラキンドックス及びカルバドックス試験法
・カプタホール試験法
・クマホス試験法
・クレンブテロール試験法
・クロラムフェニコール試験法
・クロルスロン試験法
・クロルプロマジン試験法
・酢酸メレンゲステロール試験法
・ジエチルスチルベストロール試験法
・ダミノジッド試験法
・デキサメタゾン及びベタメタゾン試験法
・二臭化エチレン試験法
・ニトロフラゾン試験法
・ニトロフラントイン、フラゾリドン及びフラルタドン試験法
・パラチオン試験法
・ブロチゾラム試験法
・プロファム試験法
・マラカイトグリーン試験法
[別紙2]
アシュラム試験法(畜産物)
1.分析対象化合物
アシュラム
2.適用食品
畜産物
3.装置
液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析計(LC―MS/MS)
4.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。
アシュラム標準品 本品はアシュラム95%以上を含む。
5.試験溶液の調製
1) 抽出
試料10.0gに水10mLを加え、ホモジナイズした後、アセトン50mLを加え、さらにホモジナイズする。毎分3,000回転で5分間遠心分離し、上澄液を採る。残留物にアセトン25mLを加えてホモジナイズし、上記と同様に遠心分離し、上澄液を採る。得られた上澄液を合わせ、アセトンを加えて正確に100mLとする。この溶液から正確に5mLを分取し、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にn―ヘキサン5mLを加え、n―ヘキサン飽和アセトニトリル5mLずつで2回振とう抽出する。抽出液を合わせ、40℃以下で約1mLまで濃縮する。
2) 精製
エチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルカラム(500mg)に0.1mol/L塩酸10mL及び0.1vol%ギ酸・アセトニトリル溶液20mLを順次注入し、各流出液は捨てる。オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム(1,000mg)に0.1mol/L塩酸10mL及び0.1vol%ギ酸・アセトニトリル溶液20mLを順次注入し、各流出液は捨てる。エチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルカラムの下部にオクタデシルシリル化シリカゲルミニカラムを接続する。このカラムに1)で得られた溶液を注入した後、容器を0.1vol%ギ酸・アセトニトリル溶液及び水(1:4)混液2mLで洗い、洗液をカラムに注入する。さらに0.1vol%ギ酸・アセトニトリル溶液7mLを注入して、負荷液及び洗液を含む全溶出液を採り、0.1vol%ギ酸・アセトニトリル溶液を加えて正確に10mLとしたものを試験溶液とする。
6.検量線の作成
アシュラム標準品の0.1vol%ギ酸・アセトニトリル溶液の標準溶液を数点調製し、それぞれLC―MS/MSに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。なお、本法に従って試験溶液を調製した場合、試料中0.01mg/kgに相当する試験溶液中濃度は0.0005mg/Lである。
7.定量
試験溶液をLC―MS/MSに注入し、6.の検量線でアシュラムの含量を求める。
8.確認試験
LC―MS/MSにより確認する。
9.測定条件
(例)
カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル 内径2.1mm、長さ100mm、粒子径5μm
カラム温度:40℃
移動相:0.1vol%ギ酸及び0.1vol%ギ酸・アセトニトリル溶液(49:1)から(7:3)までの濃度勾配を4分間で行い、さらに(1:49)までの濃度勾配を4分間で行い、(1:49)で3分間保持する。
イオン化モード:ESI(+)
主なイオン(m/z):プリカーサーイオン231、プロダクトイオン156、92
注入量:5μL
保持時間の目安:5分
10.定量限界
0.01mg/kg
11.留意事項
1) 試験法の概要
アシュラムを試料からアセトンで抽出し、アセトニトリル/ヘキサン分配で脱脂する。エチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルミニカラムの下部にオクタデシルシリル化シリカゲルミニカラムを連結したカラムで精製した後、LC―MS/MSで定量及び確認する方法である。
2) 注意点
① アシュラムのLC―MS/MS測定で、試験法開発時に使用したイオンを以下に示す。
定量イオン(m/z):プリカーサーイオン231、プロダクトイオン156
定性イオン(m/z):プリカーサーイオン231、プロダクトイオン92
② 濃縮後の残留物を溶解する際には、超音波処理を行い溶解するとよい。
③ アシュラムは食品成分とともに器壁に吸着しやすいため、アセトニトリル/ヘキサン分配後の抽出液の濃縮時は乾固しないほうがよい。
④ アセトニトリル/ヘキサン分配後の抽出液を濃縮後の残留物は、カラム精製における溶出溶媒である0.1vol%ギ酸・アセトニトリル溶液には溶解が不十分なため、0.1vol%ギ酸・アセトニトリル溶液及び水(1:4)混液で容器を洗い残留物を十分に溶かして、洗液をカラムに注入する操作を行う必要がある。
⑤ 試験法開発時に検討した食品:牛の筋肉、牛の脂肪、牛の肝臓、牛乳
12.参考文献
なし
13.類型
C
エトフメセート試験法(農産物)
1.分析対象化合物
エトフメセート
代謝物M2【2,3―ジヒドロ―3,3―ジメチル―2―オキソ―ベンゾフラン―5―イルメタンスルホナート】
熱酸処理で代謝物M2に変換される代謝物(代謝物M3【2―(2―ヒドロキシ―5―メタンスルホニルオキシフェニル)―2―メチルプロピオン酸】及び代謝物M3抱合体を含む。)
2.適用食品
野菜
3.装置
ガスクロマトグラフ・タンデム型質量分析計(GC―MS/MS)
4.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。
エトフメセート標準品 本品はエトフメセート98%以上を含む。
代謝物M2標準品 本品は代謝物M2 98%以上を含む。
代謝物M3ナトリウム塩標準品 本品は代謝物M3ナトリウム塩95%以上を含む。
5.試験溶液の調製
1) 抽出
試料20.0gにアセトン及び水(4:1)混液100mLを加え、ホモジナイズした後、毎分3,000回転で5分間遠心分離し、上澄液を採る。残留物にアセトン及び水(4:1)混液50mLを加えてホモジナイズした後、上記と同様に遠心分離する。得られた上澄液を合わせ、アセトンを加えて正確に200mLとする。遠心分離後の残留物は4)①加水分解で使用する。
2) 水酸化ナトリウム溶液/ヘキサン分配
1)で得られた抽出液から正確に2mLを分取し、40℃以下で0.5mL以下まで濃縮する。これに0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液5mL及びn―ヘキサン5mLを加えて振とうする。n―ヘキサン層を採り、水層にn―ヘキサン5mLを加えて振とうする。得られたn―ヘキサン層を合わせ、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物に酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:9)混液1mLを加えて溶かす。分配後の水層は4)①加水分解で使用する。
3) エトフメセート試験溶液
シリカゲルミニカラム(1,000mg)に酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:9)混液10mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに2)で得られた溶液を注入した後、酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:9)混液10mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、酢酸エチル及びn―ヘキサン(3:17)混液10mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトン及びn―ヘキサン(1:1)混液に溶かし、正確に4mLとしたものを試験溶液とする。
4) 代謝物M2及び熱酸処理で代謝物M2に変換される代謝物(代謝物M3及び代謝物M3抱合体を含む。)試験溶液
① 加水分解
1)で得られた残留物を正確に量り、直ちにその1/100に相当する量を量り採る。これに2)で得られた水層を合わせた後、塩酸5mLを加え、密栓して80℃で2.5時間加熱する。放冷後、水10mLを加え、ジエチルエーテル20mLで3回振とう抽出する。抽出液を合わせ、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。
② 代謝物M2への変換
①で得られた残留物に無水酢酸0.5mLを加え、80℃で15分間加熱する。放冷後、酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:9)混液5mLを加える。
③ シリカゲルカラムクロマトグラフィー
シリカゲルミニカラム(1,000mg)に酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:9)混液10mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに②で得られた溶液を注入した後、酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:9)混液10mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:4)混液20mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトン及びn―ヘキサン(1:1)混液に溶かし、正確に4mLとしたものを試験溶液とする。
6.検量線の作成
エトフメセート標準品及び代謝物M2標準品を用いてそれぞれ標準原液を調製する。各標準原液を適宜混合してアセトン及びn―ヘキサン(1:1)混液で希釈した溶液を数点調製し、それぞれGC―MS/MSに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。なお、本法に従って試験溶液を調製した場合、試料中0.01mg/kg(代謝物M2及び代謝物M3はエトフメセート換算)に相当する試験溶液中濃度は0.0005mg/L(代謝物M2及び代謝物M3はエトフメセート換算)である。
7.定量
試験溶液をGC―MS/MSに注入し、6.の検量線でエトフメセート及び代謝物M2*の各含量を求める。代謝物M2*を含むエトフメセートの含量を求める場合には、次式により求める。
エトフメセート(代謝物M2*を含む。)の含量(ppm)=A+B×1.117
A:エトフメセートの含量(ppm)
B:代謝物M2*の含量(ppm)
* 熱酸処理で代謝物M2に変換される代謝物(代謝物M3及び代謝物M3抱合体を含む。)を含む。
8.確認試験
GC―MS/MSにより確認する。
9.測定条件
(例)
カラム:5%フェニル―メチルシリコン 内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm
カラム温度:50℃(1分)-25℃/分-220℃-5℃/分-240℃-30℃/分-310℃(5分)
注入口温度:260℃
キャリヤーガス:ヘリウム
イオン化モード(イオン化エネルギー):EI(70eV)
主なイオン(m/z):
エトフメセート:プリカーサーイオン286、プロダクトイオン207、161
代謝物M2:プリカーサーイオン256、プロダクトイオン177、149
注入量:2μL
保持時間の目安:
エトフメセート:10分
代謝物M2:10分
10.定量限界
エトフメセート:0.01mg/kg
代謝物M2:0.01mg/kg(エトフメセート換算)
代謝物M3:0.01mg/kg(エトフメセート換算)
11.留意事項
1) 試験法の概要
エトフメセート及びその代謝物[代謝物M2及び熱酸処理で代謝物M2に変換される代謝物(代謝物M3及び代謝物M3抱合体を含む。)]を試料からアセトン及び水(4:1)混液で抽出し、水酸化ナトリウム溶液/ヘキサン分配により、エトフメセートをn―ヘキサン層に、代謝物を水層に分配する。エトフメセートについては、n―ヘキサン層をシリカゲルミニカラムで精製した後、GC―MS/MSで定量及び確認する。代謝物については、分配後の水層及び抽出時の残留物に塩酸を加えて加熱し、代謝物M3抱合体を代謝物M3に加水分解(この段階で代謝物M3の一部が代謝物M2に変換される)した後、ジエチルエーテルに転溶する。次いで無水酢酸で代謝物M3を代謝物M2に変換し、シリカゲルミニカラムで精製した後、代謝物M2をGC―MS/MSで定量及び確認する方法である。なお、エトフメセート及び代謝物M2[熱酸処理で代謝物M2に変換される代謝物(代謝物M3及び代謝物M3抱合体を含む。)を含む。]のそれぞれについて定量を行い、代謝物を含むエトフメセートの含量を求める場合には、代謝物M2の含量に換算係数を乗じてエトフメセートの含量に変換し、これらの和を分析値とする。
2) 注意点
① 抽出の際、遠心分離した後に浮遊物が認められる場合は、上澄液をろ紙を用いてろ過するとよい。
② 抽出後の残留物を量り採る際、残留物に含まれる溶媒の影響で重量が変動する場合は、窒素気流により溶媒を除去するとよい。
③ 加水分解操作により、代謝物M2と代謝物M3の平衡混合物となる。そのため、無水酢酸により、未変換の代謝物M3を代謝物M2に変換する。
④ 代謝物M3ナトリウム塩標準品を用いて添加回収試験を実施し、代謝物M2への変換が十分に行われていることを確認すること。なお、代謝物M3ナトリウム塩からエトフメセートへの換算係数は0.9665である。
⑤ 加水分解後のジエチルエーテルでの転溶の際にエマルジョンが生成した場合は、エマルジョンを残してジエチルエーテル層を採り、残ったエマルジョン及び水層について2回目以降の操作を行うとよい。
⑥ 測定の際に、マトリックスの影響やテーリングが認められた場合は、試験溶液及び検量線作成用の標準溶液にポリエチレングリコール300を加えるとよい。以下に方法を示す。
試験溶液:5.3)又は5.4)の③で得られた試験溶液から正確に1mLを分取し、0.1w/v%ポリエチレングリコール300含有アセトン及びn―ヘキサン(1:1)混液を正確に100μL加える。
検量線作成用の標準溶液:6.で得られた検量線作成用の標準溶液から正確に1mLを分取し、0.1w/v%ポリエチレングリコール300含有アセトン及びn―ヘキサン(1:1)混液を正確に100μL加える。
⑦ エトフメセート及び代謝物M2のGC―MS/MS測定で、試験法開発時に使用したイオンを以下に示す。
・エトフメセート
定量イオン(m/z):プリカーサーイオン286、プロダクトイオン207
定性イオン(m/z):プリカーサーイオン286、プロダクトイオン161
・代謝物M2
定量イオン(m/z):プリカーサーイオン256、プロダクトイオン149
定性イオン(m/z):プリカーサーイオン256、プロダクトイオン177
⑧ 試験法開発時に検討した食品:たまねぎ、てんさい、にんにく
12.参考文献
Ethofumesate:Magnitude of the residue on onion (dry bulb), Appendix 4 Analytical summary report, Bayer Cropscience, 2004.
13.類型
C
クレソキシムメチル試験法(畜水産物)
1.分析対象化合物
クレソキシムメチル
2―[2―(4―ヒドロキシ―2―メチルフェノキシメチル)フェニル]―2―メトキシイミノ酢酸(以下「代謝物M9」という。)
2.適用食品
畜水産物
3.装置
液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析計(LC―MS/MS)
4.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。
クレソキシムメチル標準品 本品はクレソキシムメチル97%以上を含む。
代謝物M9標準品 本品は代謝物M9 98%以上を含む。
5.試験溶液の調製
1) 抽出
試料10.0gに0.5vol%ギ酸・アセトン溶液100mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物に0.5vol%ギ酸・アセトン溶液50mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせ、0.5vol%ギ酸・アセトン溶液を加えて正確に200mLとする。この溶液から正確に2mLを分取する。
2) 精製
① グラファイトカーボンカラムクロマトグラフィー
グラファイトカーボンミニカラム(250mg)に0.5vol%ギ酸・アセトン溶液5mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに1)で得られた溶液を注入した後、0.5vol%ギ酸・アセトン溶液10mLを注入し全溶出液を採り、0.1vol%ギ酸10mLを加え、40℃以下で10mL以下まで濃縮する。
② オクタデシルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー
オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム(1,000mg)に、メタノール及び0.1vol%ギ酸各5mLを順次注入し、各流出液は捨てる。このカラムに①で得られた溶液を注入した後、0.1vol%ギ酸及びメタノール(3:2)混液10mLを注入し、流出液は捨てる。次いで0.1vol%ギ酸・メタノール溶液10mLを注入し、溶出液を採り、0.1vol%ギ酸・メタノール溶液を加えて正確に10mLとしたものを試験溶液とする。
6.検量線の作成
クレソキシムメチル標準品及び代謝物M9標準品をそれぞれ溶かして標準原液を調製する。各標準原液を適宜混合して、0.1vol%ギ酸・メタノール溶液で希釈した溶液を数点調製し、それぞれLC―MS/MSに注入し、ピーク高法又は面積法で検量線を作成する。なお、本法に従って試験溶液を調製した場合、試料中0.01mg/kg(代謝物M9はクレソキシムメチル換算)に相当する試験溶液中濃度は0.0001mg/L(代謝物M9はクレソキシムメチル換算)である。
7.定量
試験溶液をLC―MS/MSに注入し、6.の検量線でクレソキシムメチル及び代謝物M9の各含量を求める。代謝物M9を含むクレソキシムメチルの含量を求める場合には、次式により求める。
クレソキシムメチル(代謝物M9を含む。)の含量(ppm)=A+B×0.9938
A:クレソキシムメチルの含量(ppm)
B:代謝物M9の含量(ppm)
8.確認試験
LC―MS/MSにより確認する。
9.測定条件
(例)
カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル 内径2.1mm、長さ150mm、粒子径5μm
カラム温度:40℃
移動相:アセトニトリル及び0.01vol%ギ酸の混液(2:3)から(7:3)までの濃度勾配を10分間で行い、(7:3)で3分間保持する。
イオン化モード:ESI(+)
主なイオン(m/z):
クレソキシムメチル:プリカーサーイオン314、プロダクトイオン131、116
代謝物M9:プリカーサーイオン316、プロダクトイオン269、116
注入量:5μL
保持時間の目安:
クレソキシムメチル:12分
代謝物M9:5分
10.定量限界
各0.01mg/kg(代謝物M9はクレソキシムメチル換算)
11.留意事項
1) 試験法の概要
クレソキシムメチル及び代謝物M9を試料からギ酸酸性下アセトンで抽出し、グラファイトカーボンミニカラム及びオクタデシルシリル化シリカゲルミニカラムで精製した後、LC―MS/MSで定量及び確認する方法である。なお、クレソキシムメチル及び代謝物M9それぞれについて定量を行い、代謝物M9を含むクレソキシムメチルの含量を求める場合には、代謝物M9の含量に換算係数を乗じてクレソキシムメチルの含量に変換し、これらの和を分析値とする。
2) 注意点
① クレソキシムメチル及び代謝物M9のLC―MS/MS測定で、試験法開発時に使用したイオンを以下に示す。
・クレソキシムメチル
定量イオン(m/z):プリカーサーイオン314、プロダクトイオン116
定性イオン(m/z):プリカーサーイオン314、プロダクトイオン131
・代謝物M9
定量イオン(m/z):プリカーサーイオン316、プロダクトイオン269
定性イオン(m/z):プリカーサーイオン316、プロダクトイオン116
② 試験法開発に検討した食品:牛の筋肉、牛の脂肪、牛の肝臓、牛乳、うなぎ、しじみ
12.参考文献
なし
13.類型
C
フルベンダゾール試験法(畜産物)
1.分析対象化合物
フルベンダゾール
(2―アミノ―1H―ベンズイミダゾール―5―イル)―(4―フルオロフェニル)―メタノン(以下「代謝物R35475」という。)
2.適用食品
畜産物
3.装置
液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析計(LC―MS/MS)
4.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。
フルベンダゾール標準品 本品はフルベンダゾール98%以上を含む。
代謝物R35475標準品 本品は代謝物R35475 98%以上を含む。
5.試験溶液の調製
1) 抽出
試料10.0gにアセトン50mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトン25mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせ、アセトンで正確に100mLとする。
2) 精製
ベンゼンスルホニルプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)にアセトン5mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに1)で得られた溶液から正確に2mLを分取して注入した後、アセトン5mL、水5mL及びアセトニトリル5mLを順次注入し、各流出液は捨てる。次いで、アセトニトリル及びアンモニア水(97:3)混液10mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をメタノールに溶かし、正確に4mLとしたものを試験溶液とする。
6.検量線の作成
フルベンダゾール標準品及び代謝物R35475標準品の混合メタノール溶液を数点調製し、それぞれLC―MS/MSに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。なお、本法に従って試験溶液を調製した場合、試料中0.005mg/kgに相当する試験溶液中濃度は0.00025mg/Lである。
7.定量
試験溶液をLC―MS/MSに注入し、6.の検量線でフルベンダゾール及び代謝物R35475の含量を求める。
8.確認試験
LC―MS/MSにより確認する。
9.測定条件
(例)
カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル 内径2.1mm、長さ150mm、粒子径3μm
カラム温度:40℃
移動相:5mmol/L酢酸アンモニウム溶液及び5mmol/L酢酸アンモニウム・メタノール溶液の混液(2:3)から(1:19)までの濃度勾配を20分間で行う。
イオン化モード:ESI(+)
主なイオン(m/z):
フルベンダゾール:プリカーサーイオン314、プロダクトイオン123、95
代謝物R35475:プリカーサーイオン256、プロダクトイオン123、95
注入量:5μL
保持時間の目安:
フルベンダゾール:15分
代謝物R35475:12分
10.定量限界
フルベンダゾール:0.005mg/kg
代謝物R35475:0.005mg/kg
11.留意事項
1) 試験法の概要
フルベンダゾール及び代謝物R35475を試料からアセトンで抽出した後、ベンゼンスルホニルプロピルシリル化シリカゲルミニカラムで精製し、LC―MS/MSで定量及び確認する方法である。
2) 注意点
① フルベンダゾール及び代謝物R35475のLC―MS/MS測定で、試験法開発時に使用したイオンを以下に示す。
・フルベンダゾール
定量イオン(m/z):プリカーサーイオン314、プロダクトイオン123
定性イオン(m/z):プリカーサーイオン314、プロダクトイオン95
・代謝物R35475
定量イオン(m/z):プリカーサーイオン256、プロダクトイオン123
定性イオン(m/z):プリカーサーイオン256、プロダクトイオン95
② フルベンダゾール及び代謝物R35475の各標準品は溶媒に溶けにくいので、標準溶液調製の際には完全に溶けていることを確認する。
③ 試験法開発時に検討した食品:牛の筋肉、牛の脂肪、牛の肝臓、牛乳、鶏卵
12.参考文献
なし
13.類型
C